JP5034023B2 - 芝病害防除組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、芝病害防除組成物等に関する。
公園又はゴルフ場等の芝生を健全な状態に育成管理し、有効に利用するために多くの技術が開発利用されてきた。特に、芝の栽培においては美しく見えることが重要視されており、芝が病害に犯され被害症状が発生した場合には、審美性が大きく損なわれるため、芝病害の発生を抑制するために各種の農薬が開発され利用されている。
中でもトルクロホスメチルは、ゴルフ場での雪腐れ病をはじめとして多くの芝病害に対して長く使用されている。(例えば、特許文献1、2及び3参照)
特公昭54−17804号公報 特開平5−213708号公報 特開平6−345609号公報
しかしながら、各々単独での施用では、如何なる条件においても、常に十分な芝病害防除効果が維持されるとは言いがたい状況があった。
本発明では、より芝病害防除効果が高く、芝に対し薬害の問題を生じることがない芝病害防除技術等を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意研究を行った結果、有効成分としてアゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを組み合わせて用いることにより、芝病害防除効果が維持されるとともに投下薬剤量を減少させることが可能となることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.有効成分として、アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを含有することを特徴とする芝病害防除組成物(以下、本発明組成物と記すこともある。);
2.アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを重量比で5:2〜1:25の割合で含有することからを含むことを特徴とする前項1記載の芝病害防除組成物;
3.アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを重量比で2:5〜1:20の割合で含有することからを含むことを特徴とする前項1記載の芝病害防除組成物;
4.前項1、2又は3記載の芝生病害防除組成物、或いは、同時に若しくは併用して(a)アゾキシストロビンと(b)トルクロホスメチルとの組み合わせ、の有効量を芝又は芝生病害微生物が生息する土壌に施用することを特徴とする芝病害防除方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
5.芝病害防除組成物の有効成分としての、アゾキシストロビンと(b)トルクロホスメチルとの組み合わせの使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
等を提供するものである。
本発明により、十分な芝病害防除効果が維持されるとともに投下薬剤量を減少させることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明組成物は、広範囲の芝病害に対し防除効果を有し、芝に対し問題となるような薬害を生じない。
本発明組成物において使用できる「アゾキシストロビン」(IUPAC:メチル=(E)−2−{2−[6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル}−3−メトキシアクリラート)(即ち、化合物A)は、ファ−ム ケミカルズ ハンドブック(マイスタープロ インフォメーション リソーシズ発行)〔Farm Chemical Handbook(Meister Pro Imformation Resources発行)〕2002年度版第c50頁、ザ ペスティサイド マニュアル サーティンス エディション(ブリティッシュ クロップ プロテクション カウンシル発行)〔The Pesticide Manual Thirteenth Edition(British Crop Protection Council発行)〕2003年第52頁に記載の化合物である。
一方、他の一つの有効成分である「トルクロホスメチル」(即ち、化合物B)は、ファ−ム ケミカルズ ハンドブック(マイスタープロ インフォメーション リソーシズ発行)〔Farm Chemical Handbook(Meister Pro Imformation Resources発行)〕2002年度版第c396頁、ザ ペスティサイド マニュアル サーティンス エディション(ブリティッシュ クロップ プロテクション カウンシル発行)〔The Pesticide Manual Thirteenth Edition(British Crop Protection Council発行)〕2003年第979頁に記載の化合物である。
本発明組成物は、例えば、芝又は芝病害微生物が生息する土壌に施用すればよいが、特に、芝の茎葉に対して散布処理することが好ましい。
本発明組成物の施用量は、アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとの混合比、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、防除対象病害、対象作物等により異なるが、例えば、アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとの混合割合は、重量比で約5:2〜1:25、好ましくは約2:1〜1:20、より好ましくは約2:5〜1:20、特に好ましくは約1:4〜1:20の割合で、通常10アール当たり有効成分としては約1g〜10kg、好ましくは約100g〜1kgである。水和剤及び顆粒水和剤等を水で希釈して施用する場合には、その施用濃度は約0.0001重量%〜1重量%、好ましくは約0.01重量%〜0.5重量%である。勿論、場合によっては、水等で希釈することなくそのまま施用することも可能である。
本発明における芝地に用いられる芝草としては、ノシバ、ビロードシバ、コウライシバ、ベントグラス、ブルーグラス、バミューダグラス、ライグラス、センチピードグラス、セントオーガスチングラス、バヒアグラス、ダリスグラス、フェスク等を挙げることができる。
対象となる芝病害としては、例えば、葉枯病(Curvularia geniculata, Helminthosporium-hagare-byo)、ダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、擬似葉腐病(Ceratobasidium spp.)、葉腐病(Rhizoctonia solani)、雪腐小粒菌核病(Typhula incarnata, Typhula ishikariensis)、炭そ病(Colletotrichum graminicola)、紅色雪腐病(Monographella nivalis)等、褐色雪腐れ病(Pythium spp.)を挙げることができる。
製剤化された本発明組成物は、そのままで又は水等で希釈して、植物体又は土壌に施用される。施用場所としては、例えば、公園、ゴルフ場、運動場、道路、家庭の庭等の芝生が挙げられる。更に、他の殺菌剤、殺虫剤、除草剤、肥料、土壌改良剤等と併用してもよい。このような殺菌剤としては、例えば、ベノミル、チオファネートメチル、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、水和硫黄、ミクロブタニル、チフルザミド、ピリブチルカルブ、キャプタン、有機銅、ホセチル、イソプロチオラン、フルトラニル、メプロニル、トリフミゾール、チラウム、ヒドロキシイソキサゾール、ポリカーバメイト、メタラキシル、オキシカルボキシン、トリホリン、エクロメゾール、プロシミドン、ペンシクロン、シプロコナゾール、クロロネブ、TPN、テブコナゾール、イプロジオン、バリダマイシン、プロピコナゾール、フェリムゾン、ベテルタノール、トリアジメホン、シメコナゾール、プロパモカルブ塩酸塩、ポリオキシン、テトラコナゾール、イミベンコナゾール、メトコナゾール、フェナリモル、マンゼブ等が挙げられ、殺虫剤としては、例えば、モノクロトホス、アセタミプリド、ダイアジノン、ペルメトリン、ピリダフェンチオン、アセフェート、CVMP、テブフェノジド、イソキサチオン、PHC、シハロトリン、エトフェンプロックス、MEP、CYAP、テフルベンズロン、シラフルオフェン、トラロメトリン、クロルピリホス、DDVP、イミダクロプリド、DEP、NAC、ビフェントリン、プロチオホス、チアメトキサム、CVP、クロチアニジン、フェノブカルブ、MIPC、メソミル、チオジカルブ、ベンスルタップ等が挙げられる。また、除草剤としては、例えば、シンメチリン、トリアジフラム、イマゾスルフロン、プロジアミン、ビフェノックス、ペンディメタリン、ピリブチカルブ、イマゼキンアンモニウム、プロピザミド、DBN、ナプロパミド、DCBN、ハロスルフロンメチル、シアナジン、テニルクロール、カフェンストロール、トリアジフラム、SAP、CAT、メチルダイムロン、イソキサベン、クロルフタリム、ブタミホス、ジチオピル、シデュロン、アミプロホスメチル、インダノファン、ジチオピル、ベスロジン、アラクロール、オキサジクロメホン、オルソベンカーブ、シアナジン、レナシル、アシュラム、ピラゾスルフロンエチル、MCPP、エンドタール二ナトリウム塩、エトキシスルフロン、メトスルフロンメチル、トリクロピル、フラゾスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファンムロン、イマザキン、2,4PA、MDBA、リムスルフロン、MCPイソプロピルアミン塩、フロラスラム、ピリデート等が挙げられる。
本発明組成物の施用量は、有効成分である化合物Aと化合物Bとの混合割合、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、防除対象雑草、対象作物により変わり得るが、1ヘクタール当り有効成分の合計量は、通常、1gから5000g、好ましくは5gから2000gである。その所定量を1ヘクタール当り通常100〜1000リットルの水で希釈して施用する。また、本発明組成物を芝に茎葉処理する場合には、本発明組成物の希釈水にさらにアジュバントを加え、芝に対する効力の増強を期待することができる。
また、本発明においては上述の本発明組成物の使用量、使用形態等に準じて有効成分である化合物Aと化合物Bとを施用時に併用して芝に有効量処理することによっても優れた芝病害防除効果を発揮し得る。
本発明組成物に含有される有効成分は、通常、固体担体、液体担体等と混合し、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤等を添加して、乳剤、水和剤、懸濁剤、粒剤、顆粒水和剤、懸濁液剤、粉剤、液剤、エマルジョン剤、マイクロカプセル等に製剤化して用いられる。これらの製剤中には、化合物Aと化合物Bとの合計量が一般に、約0.01〜99.9重量%、好ましくは約0.05〜80重量%含有される。
製剤する際に用いられる固体担体としては、例えば、粘土類(カオリナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、クレー、ベントナイト、酸性白土等)、タルク、その他の無機鉱物(セリサイト、石英粉末、活性炭、炭酸カルシウム等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、塩安、尿素等)等の微粉末や粒状物等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリ−ルスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、多糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等)等の固着剤や分散剤、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチルー4−メチルフェノール)、BHA(2−/3−tert−ブチル−4−メトキシフェノール)、植物油、鉱物油、脂肪酸、脂肪酸エステル等の安定剤が挙げられる。
本発明組成物は、夫々の有効成分を前記の製剤手法により製剤した後、これらを混合することにより調製することもできる。
このようにして製剤化された本発明組成物は、そのまま散布してもよいし、水等で希釈して希釈液とした後に、土壌若しくは植物体に散布してもよい。
以下に製剤例及び試験例等の実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明において「部」は重量部を意味する。
製剤例1 アゾキシストロビン2.7部、トルクロホスメチル50部、合成含水酸化珪素42.3部、リグニンスルホン酸カルシウム3部及びラウリル硫酸ナトリウム2部をよく粉砕混合して水和剤を得る。
製剤例2 アゾキシストロビン12.1部、トルクロホスメチル50部、合成含水酸化珪素32.9部、リグニンスルホン酸カルシウム3部及びラウリル硫酸ナトリウム2部をよく粉砕混合して水和剤を得る。
製剤例3 アゾキシストロビン25部、トルクロホスメチル11.7部、合成含水酸化珪素58.3部、リグニンスルホン酸カルシウム3部及びラウリル硫酸ナトリウム2部をよく粉砕混合して水和剤を得る。
製剤例4 アゾキシストロビン2部、トルクロホスメチル30部、合成含水酸化珪素63部、リグニンスルホン酸カルシウム3部及びラウリル硫酸ナトリウム2部をよく粉砕混合して水和剤を得る。
製剤例5 アゾキシストロビン2部、トルクロホスメチル38.3部、合成含水酸化珪素54.7部、リグニンスルホン酸カルシウム3部及びラウリル硫酸ナトリウム2部をよく粉砕混合して水和剤を得る。
製剤例6 アゾキシストロビン10部、トルクロホスメチル23.9部、合成含水酸化珪素61.1部、リグニンスルホン酸カルシウム3部及びラウリル硫酸ナトリウム2部をよく粉砕混合して水和剤を得る。
試験例1 (ポット試験:ベントグラスの葉腐病(ブラウンパッチ)に対する防除効果試験)
ベントグラス(ペンクロス)の種をプラスチックポットに播種し、温室内で約1ヶ月栽培し、当該芝の草丈を5mm程度にハサミを用いて刈り込した。その後、製剤例1〜2で調製された本発明組成物を、所定濃度になるように水で希釈した後、当該薬液を当該芝の茎葉に対して、液量が500ml/mになるように散布した。芝の茎葉に付着した薬液が風乾した後、V8フスマ培地で2週間培養されたRhizoctonia solaniの乾燥粉砕菌体をそのまま芝の茎葉表面に散粒接種した。その後、過湿条件下で14日間置くことにより、発病を促進させた。当該薬液の病害防除効果を調べるために、発病面積率を目視調査し、下記式に基づき防除価を求めた。
防除価(%)=100×(P−W)/P
P:無処理区発病面積率(%)
W:各薬剤処理区発病面積率(%)
E:コルビーの理論値=(X+Y)−(X×Y)/100
X:A剤の防除価
Y:B剤の防除価
Figure 0005034023
その結果、驚くべきことに本発明防除剤は、相乗効果として当業者により予想される防除効果(即ち、コルビーの理論値)に対して15.3ポイント、29.1ポイントも優れた効果(即ち相乗効果)を示した。
試験例2(ポット試験:ベントグラスの紅色雪腐病に対する防除効果試験)
ベントグラス(ペンクロス)の種をプラスチックポットに播種し、温室内で約1ヶ月栽培し、当該芝の草丈を10mm程度にハサミを用いて刈り込した。その後、製剤例5〜6で調製された本発明組成物を、所定濃度になるように水で希釈した後、当該薬剤を当該芝の茎葉に対して、液量が500ml/mになるように散布した。芝の茎葉に付着した薬液が風乾した後、PDA培地で2週間培養されたMonographella nivalisの胞子懸濁液(105cfu/ml)を、そのまま芝の茎葉表面に1ポット当たり2ml噴霧接種した。その後、過湿条件下で14日間置くことにより、発病を促進させた。当該薬剤の病害防除効果を調べるために、発病を目視調査し、下記式に基づき防除価を求めた。
調査基準 0:発病無し、1:発病面積率25%未満、2:発病面積率25%以上50%未満、4:発病面積率50%以上
発病度=(発病指数×該当ポット数)/4×調査ポット数
防除価(%)=100×(P−W)/P
P:無処理区発病度
W:各薬剤処理区発病度
E:コルビーの理論値=(X+Y)−(X×Y)/100
X:A剤の防除価
Y:B剤の防除価
Figure 0005034023
その結果、驚くべきことに本発明防除剤は、相乗効果として当業者により予想される防除効果(即ち、コルビーの理論値)に対して29.2ポイント、18.7ポイントも優れた効果(即ち、相乗効果)を示した。
以上の2つの試験結果より、コルビーの理論値(E)と比較して顕著に高い防除価を示したことから、本発明組成物は優れた相乗作用を有することが示された。従って本発明により、単に混合した時に得られる相加効果以上の相乗効果を得ることができ、防除可能な病害の種類が多くなるとともに、その施用量を減少させることを可能とした。
本発明により、十分な芝病害防除効果が維持されるとともに投下薬剤量を減少させることが可能となる。

Claims (5)

  1. 有効成分として、アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを含有することを特徴とする芝病害防除組成物。
  2. アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを重量比で5:2〜1:25の割合で含有することからを含むことを特徴とする請求項1記載の芝病害防除組成物。
  3. アゾキシストロビンとトルクロホスメチルとを重量比で2:5〜1:20の割合で含有することからを含むことを特徴とする請求項1記載の芝病害防除組成物
  4. 請求項1、2又は3記載の芝生病害防除組成物、或いは、同時に若しくは併用して(a)アゾキシストロビンと(b)トルクロホスメチルとの組み合わせ、の有効量を芝又は芝生病害微生物が生息する土壌に施用することを特徴とする芝病害防除方法。
  5. 芝病害防除組成物の有効成分としての、アゾキシストロビンと(b)トルクロホスメチルとの組み合わせの使用。
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