以下、添付図面に従って本発明に好適なる実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通して同一符号は同一又は相当部分を示すものとする。図1,図2は第1の実施の形態による移動通信システムを説明する図で、DFT Spread OFDM方式を用いた移動通信システムの一例を示している。
図1に基地局受信部のブロック図を示す。移動局50からの上り無線信号は受信RF部11でベースバード信号に変換及び直交復調され、A/D変換部12でA/D変換される。パスサーチ部14は時間領域で受信信号と送信パイロット信号のレプリカとの相関演算を行うことにより、各パスの受信タイミング(有効信号成分の開始点)を検出する。CP削除部13はパス1の受信タイミングに基づいて受信信号からCP(Cyclic Prefix)を削除し、有効信号成分を切り出す。データ・パイロット信号分離部15は受信信号から時間多重されたパイロット信号とデータ信号を分離する。
パイロット信号については、FFT部16bで時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、各移動局に対応して設けられた復調回路部40A,40B等に加える。今、復調回路部40Aに注目すると、系列長決定部41では、当該移動局についての今回のRB割当情報と、後述のパイロット信号帯域の割当規則とに基づいて、パイロット信号の系列長と、サブキャリア上での信号配置とを決定すると共に、この決定に基づいて、パイロット信号生成部25では時間領域の送信パイロット信号のレプリカを生成し、DFT演算部26では時間領域のパイロット信号を周波数領域のパイロット信号に変換する。更に、サブキャリアマッピング部27では周波数領域のパイロット信号を当該移動局50に割り当てられたサブキャリアの配置位置にマッピングする。
チャネル推定部17は、パイロット信号が配置された各サブキャリアにつき周波数領域で受信パイロット信号と送信パイロット信号のレプリカとの相関演算を行うことにより各サブキャリアにおける周波数領域のチャネル歪みを推定する。
SIR推定部28は、その第1の目的としては、チャネル推定部17で得られたチャネル推定値を用いてデータ信号用の各RBに対する受信SIRを推定する。推定方法の例としては、データ信号用のRB毎に対象とする移動局50のパイロット信号が配置されたサブキャリアのチャネル推定値を用い、複素数で表されるチャネル推定値の実数部と虚数部のそれぞれの2乗の和を希望信号電力Sとみなし、かつ複数シンボルにおける分散値を干渉信号電力Iとみなし、SとIの比を受信SIRの推定値とする。第2の目的としては、後述の重み係数生成部20で用いる雑音電力推定値を算出する。具体的には、受信SIR推定値を求める過程で得られたデータ信号用の各RBの干渉電力IをRB間で平均することにより算出する。
RB割当部31では、各データ信号用RBの受信SIR推定値を用いて移動局50からの次回のデータ信号の送信に用いるRBを割り当てる。割り当て方法の例としては、受信SIR推定値が所定のしきい値を超えたRBを割り当てる方法等がある。各移動局に受信品質の高いRBを割り当てることによりセル全体でのスループットが向上する。制御信号変調部32は、RB割当部31で求められた次回のRB割当情報を制御信号にマッピングし、移動局50にフィードバックする。
なお、移動局50への次回の割当情報は当該移動局50がデータを送信する際の今回の割当情報であると共に、基地局10でその送信データを受信処理する際の今回の割当情報でもある。RB割当部31の次回のRB割当情報はバッファ30により遅延され、今回のRB割当情報となっている。
時間・周波数補間部18は、チャネル推定値の補間(内挿/外挿)が必要となった場合には、チャネル推定部17で得られたサブフレーム内の一部のサブキャリア、FFTブロックのチャネル推定値を用いて、時間方向、周波数方向での補間処理(線形補間等)を行うことによりサブフレーム内の全サブキャリア、全FFTブロックのチャネル推定値を算出する。
重み係数生成部20は周波数等化部19で用いるMMSEウェイトを算出する。例えば、特定のサブキャリア、FFTブロックについて、チャネル推定値をH、雑音電力推定値をNとすると、MMSEウェイトWは(3)式、
により求められる。ここで、*は複素共役を表す。
受信データ信号については、FFT部16aで時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、各移動局に対応して設けられた復調回路部40A,40B等に加える。復調回路部40Aに注目すると、FFT部16aの出力は周波数等化部19で周波数等化される。具体的には、特定のサブキャリア、FFTブロックについて、受信データ信号とそれに対応する前述のMMSEウェイトとを乗算する。
有効サブキャリア判定部29は、今回のRB割当情報を用いてデータ信号が配置されている有効サブキャリアの位置を判定する。今回のRB割当情報はRB割当部31からのバッファ30を経由した信号から得ることができる。サブキャリアデマッピング部21は、有効サブキャリアの情報を用いて、各FFTブロックの受信信号から対象とする移動局50のデータ信号が配置されたRBの信号を抽出する。IDFT演算部22では周波数領域のデータ信号を時間領域の信号に変換し、データ復調部23ではデータ復調を行う。更に、ターボ復号器24では誤り訂正復号を行い、こうして復元されたデータ信号を得る。復調回路部40Bについても同様である。
図2に移動局送信部のブロック図を示す。基地局10からの下り無線信号は受信RF部63で受信及びベースバンド信号に変換される。制御信号復調部64は基地局10からフィードバックされた制御信号を復調し、RBの割り当て数や、RB番号から構成されるRB割当情報を抽出する。基地局10からの次回のRB割当情報は移動局50の送信時における今回のRB割当情報である。
移動局50の送信データ信号はターボ符号器51で誤り訂正符号化され、データ変調部52で変調される。更に、スクランブルコード乗算部53は、セル間干渉を小さくする目的で、前記変調信号にセル固有のスクランブルコードを乗算する。DFT演算部54aでは基地局10からのRB割当数に応じたシンボル単位でデータ信号のDFT(Discrete Fourier Transform)処理を行い、時間領域のデータ信号を周波数領域の信号に変換する。例えば、RBのサブキャリア数をNcとし、RBの割当数をNRBとすると、(Nc×NRB)のシンボル単位でDFT処理を行う。サブキャリアマッピング部55aではDFT演算部54aの出力信号を周波数領域でのRB割当情報に基づいて局所配置にマッピングする。IFFT演算部56aでは周波数領域の信号を再び時間領域の信号に変換し、CP挿入部57aではIFFT演算部56aから出力されるサンプル(IFFTブロック)毎にCP(Cyclic Prefix)を挿入する。
系列長決定部71では、基地局10からのRB割当情報と、基地局10と共通のパイロット信号帯域の割当規則とに基づいて、自局のパイロット信号の系列長と、サブキャリア上での信号配置とを決定すると共に、この決定に基づいて、パイロット信号生成部61では時間領域の送信パイロット信号を生成し、DFT演算部54bでは時間領域のパイロット信号を周波数領域のパイロット信号に変換する。更に、サブキャリアマッピング部55
bでは周波数領域のパイロット信号を当該移動局50に割り当てられたサブキャリアの配置位置にマッピングする。また、基地局10にて各RBの無線チャネル品質情報CQI(Channel Quality Indicator)を測定するために、周期的に単独でパイロット信号を送信
する場合には、DFT演算部54bからの出力信号を全帯域にわたって分散配置にマッピングする。IFFT演算部56bでは周波数領域の信号を再び時間領域の信号に変換し、CP挿入部57bではIFFT演算部56bから出力されるサンプル毎にCPを挿入する。
更にデータ・パイロット信号多重部58ではデータ信号とパイロット信号を時間多重し、D/A変換部59でD/A変換を行い、送信RF部60で直交変調を行い、かつベースバンド信号を無線周波数の信号に変換し、送信アンテナから送信する。
係る構成により、DFT−spread−OFDM方式の下で、各所定の帯域幅で無線伝送されるデータ信号にチャネル補償用のパイロット信号を時間多重し、該多重したパイロット信号とデータ信号とをユーザ間で周波数多重(FDM)させて伝送する。この場合に、基地局10から各移動局50に向かう下り回線の信号は基地局10内で周波数多重され、各移動局50から基地局10へ向かう上り回線の信号は空間で周波数多重される。
図3は実施の形態によるパイロット信号の配置例を示す図で、システムの周波数帯域幅(32)を3つの移動局A〜Cにより周波数分割して使用する場合を示している。パイロット信号を配置する際の目安となる規則は、各パイロット信号の系列長が各ユーザのデータ信号に割り当てられた帯域幅内での空白部分ができるだけ少なくなるように、かつ隣接するデータ信号(ユーザ)の帯域間でパイロット信号の重なり(干渉)が生じないように配置するものである。更に、いかなるパイロット信号もシステムの帯域幅を超えないものである。本実施の形態で使用する一例のパイロット信号は、時間領域及び周波数領域における信号振幅が一定であり、かつ位相差が0の場合を除いて自己相関が0である、等の性質を有する、CAZAC(Constant Amplitude and Zero Auto Correlation)系列に分類される系列であって、例えば系列長が素数のZadoff−Chu系列をDFT処理した周波数成分の系列からなるものである。以下、パイロット信号の一例の配置例を具体的に説明する。
図3において、ユーザAにはRB1(サブチャネルSCf1〜f8)、ユーザBにはRB2,RB3(SCf9〜f24)、ユーザCにはRB4(SCf25〜f32)が割り当てられているとする。ユーザAの先頭のパイロット信号1にはデータ信号の帯域幅(8)を超えない最大の素数(7)の系列長が割り当てられ、ユーザAの末尾のパイロット信号2にはデータ信号の帯域幅(8)を超える最小の素数(11)の系列長が割り当てられる。ここで、記号N(Narrow)は当該ユーザのパイロット信号に割り当てられる狭い側の帯域幅を表し、記号W(Wide)は広い側の帯域幅を表す。なお、図10(B)に素数の例を示す。
次に、隣接するユーザBのパイロット信号には、上記ユーザAに対するのと相補的となるような系列長が割り当てられる。即ち、ユーザBの先頭のパイロット信号1にはデータ信号の帯域幅(16)を超える最小の素数の系列長(W17)が割り当てられ、ユーザBの末尾のパイロット信号2にはデータ信号の帯域幅(16)を超えない最大の素数の系列長(N13)が割り当てられる。
更に、ユーザA,Bの先頭のパイロット信号1に着目すると、ユーザAの(N7)とユーザBの(W17)との和は(24)であり、これはユーザA,Bのデータ帯域幅の和(24)を超えない。また、ユーザA,Bの末尾のパイロット信号2に着目すると、ユーザAの(W11)とユーザBの(N13)との和も(24)であり、これもユーザA,Bの
データ帯域幅の和(24)を超えない。従って、ユーザA,Bの各パイロット信号間で干渉が生じないばかりか、更に他のユーザとの間でもパイロット信号の干渉は生じない。
また、ユーザA,Bの各パイロット信号を図示の如く配置することで、ユーザAのデータ信号に関するSCf8のチャネル推定はユーザAの末尾のパイロット信号(W11)を使用して良好に行え、またユーザBのデータ信号に関するSCf9〜11のチャネル推定はユーザBの先頭のパイロット信号(W17)を使用して良好に行える。
更に、ユ−ザCのパイロット信号については、上記ユーザA,Bの各パイロット信号により丁度データ信号の帯域幅(24)分を埋めたので、新たに配分を開始できる。但し、ユーザCのデータ信号帯域はシステム帯域幅の端部(右端)に位置しているため、そのパイロット信号はユーザCのデータ信号の帯域幅(8)を超えることが出来ない。そこで、ユーザCの先頭のパイロット信号1については、データ信号の帯域幅(8)を超えない最大の素数の系列(N7)が割り当てられ、かつ末尾のパイロット信号2にもデータ信号の帯域幅(8)を超えない最大の素数の系列(N7)が与えられる。好ましくは、上下の各パイロット信号(N7)を、図示の如く、左右の帯域幅いっぱいにオフセットさせて配置することにより、ユーザCのデータ信号に関するSCf25のチャネル推定はユーザCの末尾のパイロット信号(N7)を使用して良好に行え、かつSCf32のチャネル推定はユーザCの先頭のパイロット信号(N7)を使用して良好に行える。本実施の形態によれば、チャネル推定値を周波数方向で外挿する必要がないので、チャネル推定精度の劣化を効果的に防ぐことができる。
図4は実施の形態によるパイロット系列長決定処理のフローチャートで、この処理はパイロット信号の系列長決定部41,71で実行される。処理の概要は、各パイロット信号がユーザに割り当てられたデータ信号の帯域幅内でより多くの帯域にを占めるように、かつ隣接するユーザ間ではパイロット信号が重ならないように決定する。更に、いかなるパイロット信号もシステムの帯域幅を飛び出さないものである。
ステップS11ではユーザAに割り当てられたデータ信号の帯域幅DBAを取得する。ステップS12ではユーザAのワイド側のパイロット信号の系列長PAWにDBAを超える最小の素数をセットする。ステップS13ではユーザAのナロー側のパイロット信号の系列長PANにDBAを超えない最大の素数をセットする。ステップS14ではユーザAのデータ信号の帯域の隣の帯域が、他のユーザのデータ信号用の帯域として割り当てられているか否かを判別する。
存在する場合は、ステップS15でユーザBに割り当てられたデータ信号の帯域幅DBBを取得する。ステップS16ではユーザBのワイド側のパイロット信号の系列長PBWにDBBを超える最小の素数をセットする。ステップS17ではユーザBのナロー側のパイロット信号の系列長PBNにDBBを超えない最大の素数をセットする。
ステップS18ではユーザA,Bの先頭のパイロット信号1の合計の系列長(PAW+PBN)がユーザA,Bの合計のデータ信号の帯域幅(DBA+DBB)を超えるか否かを判別する。超える場合は、パイロット信号間で干渉が生じるので、ステップS19で重なる分の帯域幅ΔABを(PAW+PBN)−(DBA+DBB)により求める。ステップS20では、ユーザBのナロー側のパイロット信号の系列長PBNを(PBN−ΔAB)を超えない最大の素数で置き換える。また上記ステップS18の判別がNOの場合は上記ステップS19,S20の処理をスキップする。
ステップS21ではユーザA,Bのパイロット信号2の合計の系列長(PAN+PBW)がユーザA,Bの合計のデータ信号の帯域幅(DBA+DBB)を超えるか否かを判別
する。超える場合は、干渉が生じるので、ステップS22で重なる分の帯域幅ΔBAを(PAN+PBW)−(DBA+DBB)により求める。ステップS23では、ユーザAのナロー側のパイロット信号の系列長PANを(PAN−ΔBA)を超えない最大の素数で置き換え、この処理を抜ける。また上記ステップS21の判別がNOの場合は上記ステップS22,S23の処理をスキップし、この処理を抜ける。
また、上記ステップS14の判別でNoの場合はステップS24でユーザAのワイド側のパイロット信号の系列長をナロー側のパイロット信号の系列長PANで置き換え、この処理を抜ける。なお、上記ステップS14の判別がNoとなる場合には、他のユーザに割当可能なデータ信号用の帯域がシステムに余っていない場合と、システムの帯域は余っているが、データ信号用帯域を割り当てるユーザがいない場合とがあり、図示のステップS24は、システムの帯域が余っていない前者の場合を示している。もし、システムの帯域は余っているが、データ信号用帯域を割り当てるユーザがいないような後者の場合には、今回の処理対象であるユーザAにワイド側のパイロット信号の系列長PAWを割り付けても良い。但し、システムの全帯域幅を超えない範囲内であることが条件である。
本実施の形態では、隣接する2つのユーザに割り当てられたデータ信号の帯域幅を単位に同一の処理を繰り返すことで、容易にパイロット信号を配置できる。そして、最後にペアが形成できなかった端数としての1つのユーザが残った場合には、上記ステップS24のルートを通ってこの処理を抜けることで、任意数分のユーザに対する各パイロット信号の系列長を効率よく決定できる。
図5〜図7は実施の形態による他のパイロット信号配置例を示す図(1)〜(3)で、本発明に従う様々なパイロット信号の配置例を示している。図5(A)は同一帯域幅のRBを単位にパイロット信号の系列長を決定する場合を示している。ここでは、データ信号の帯域幅(12)の各RB1〜RB5がユーザA〜Eに割り当てられ、サブフレームの先頭と末尾にパイロット信号1,2が配置される例を説明する。
RBの帯域幅が(12)であることにより、RBを超えない最大の素数は11,またRBを超える最小の素数は13となる。これらのパイロット信号をN11,W13とし、上記の条件に従って配置すると、RB1において、先頭のパイロット信号1にはW13を配置し、末尾のパイロット信号2にはN11を配置する。これによりRB1の右端のサブキャリアの伝搬特性は先頭のパイロット信号1(W13)により推定できる。
隣接のRB2について、先頭のパイロット信号1にはN11を配置し、末尾のパイロット信号2にはW13を配置する。これによりRB2の左端サブキャリアの伝搬特性は末尾のパイロット信号2(W13)により推定できる。しかも、RB1,RB2の間では先頭のパイロット信号1でも末尾のパイロット信号2でも共に干渉は生じていない。またW13とN11の和の帯域幅は(24)であり、これはユーザA,Bに割り当てられたデータ信号の帯域幅(14)と等しい。従って、RB3,RB4についても同様に処理できる。
一方、RB5では単一のデータ信号の帯域幅(12)しか使えないため、先頭及び末尾のパイロット信号1,2に共にN11を配置する。好ましくは、先頭と末尾のパイロット信号N11を図示の如くRB5の帯域幅いっぱいにオフセットさせて配置する。こうすればRB5の右端のサブキャリアの伝搬特性は先頭のパイロット信号N11の右端のシンボルを使用して推定でき、RB5の左端のサブキャリアの伝搬特性は末尾のパイロット信号N11の左端のシンボルを使用して推定できる。なお、この例のサブキャリアの不足数は「1」であるから、これを外挿してもよい。
図5(B)はユーザに割り付けられたデータ信号の帯域幅を単位にパイロット信号の系
列長を決定する場合を示している。ここでは、ユーザAに帯域幅(12)、ユーザBに帯域幅(36)、ユーザCに帯域幅(12)が割り付けられ、サブフレームの先頭と末尾にパイロット信号1,2が配置される例を説明する。ユーザAの帯域幅が(12)であることにより先頭のパイロット信号1にはW13を配置し、末尾のパイロット信号2にはN11を配置する。これによりユーザAの右端のサブキャリアの伝搬特性は先頭のパイロット信号1(W13)を使用して推定できる。
隣接のユーザBについては、データ信号の帯域幅が(36)であることにより、該(36)を超えない最大の素数は31,また(36)を超える最小の素数は37となる。これらのパイロット信号をN31,W37とし、上記条件を満たすように配置すると、ユーザBの先頭のパイロット信号1にはN31を配置し、末尾のパイロット信号2にはW37を配置する。これによりユーザBの左端側の5つのサブキャリアの伝搬特性は末尾のパイロット信号2(W37)を使用して良好に推定できる。
しかも、ユーザA,B間では先頭のパイロット信号1でも末尾のパイロット信号2でも共に干渉(重複)は生じていない。また、末尾のN11とW37の和の帯域幅は丁度(48)であり、これはユーザA,Bに割り当てられたデータ信号の帯域幅(48)と等しい。一方、先頭のパイロット信号N31はデータ信号の帯域幅(36)に(5)足りないが、末尾のパイロット信号W37を使用して良好に推定できる。なお、先頭のパイロット信号N31は左右に空きが出来るように配置しても良い。また、隣接するユーザCについては、上記図5(A)の場合と同様に処理できる。
図6はデータ信号の帯域幅より小さい系列長のパイロット信号をサブフレームの先頭と末尾でデータ信号の帯域幅いっぱいにオフセットさせて配置する場合を示している。ユーザA,Bには共にデータ信号の帯域幅(16)が割り当てられており、該(16)を超えない最大の素数は13である。そこで、ユーザAについてはデータ信号の帯域幅より狭い2つのパイロット信号N13を図示の如くデータ信号の帯域幅いっぱいにオフセットさせて配置する。これにより、サブキャリアSCf1〜SCf3の伝搬特性は先頭のパイロット信号N13を使用して良好に推定でき、またSCf14〜SCf16の伝搬特性は末尾のパイロット信号N13を使用して良好に推定できる。なお、本実施の形態における末尾のパイロット信号2(N13)は、これに続くデータブロックに対する先頭のパイロット信号としてチャネル推定に利用しても良い。
ユーザBについては、ユーザAと同様でも良いが、この例では、ユーザAと逆になるようにオフセットさせて配置している。これにより、SCf17〜SCf19の伝搬特性は末尾のパイロット信号N13を使用して、またSCf30〜SCf32の伝搬特性は先頭のパイロット信号N13を使用して良好に推定できる。なお、ユーザA,Bのパイロット信号パターン(N13)は同一でも良いが、系列番号kを変えても良い。
図7はデータ信号の帯域幅をパイロット信号の系列長に合わせる場合を示しており、図7(A)はパイロット信号の系列長をRBを単位に決定する場合を示している。RBを(12)とすると、該(12)を超える最小の素数は13、該(12)を超えない最大の素数は11である。RB1とRB2はデータ信号の合計の帯域幅(24)をW13とN11とで分け合うことにより、合計の帯域幅(24)を有効に使用出来る。しかも、パイロット信号の全シンボルをチャネル推定に利用できる。隣接するRB3,RB4についても同様である。RB5については、単一であるため、パイロット信号N11を使用している。
図7(B)はパイロット信号の系列長を各ユーザに割り振られたデータ信号の帯域幅毎に決定する場合を示している。この例のユーザA,Bには、基本的には、共通の帯域幅(24)が割り当てられるとすると、該(24)を超える最小の素数は29、該(24)を
超えない最大の素数は23となる。これらの和は(52)となる。そこで、この例では、例えばユーザAにW29、ユーザBにN23を割り当てることで、この帯域幅をパイロット信号及びデータ信号で隙間無く有効に利用できる。なお、ユーザAにパイロット信号N23、ユーザBにパイロット信号W29を割り当てても良い。また、図示しないが、ユーザCにパイロット信号N7を割り当てても良い。
図8,図9は第2の実施の形態による移動通信システムを説明する図で、図1のRB割当情報に加え、パイロット信号の系列長に関する優先度情報を併用することにより、更に高度で柔軟性の高いパイロット信号の配置制御を行える場合を示している。図8に基地局受信部のブロック図を示す。この基地局10は、パイロット信号に割り当てる帯域幅の不足率を計算する不足率計算部42と、求めた不足率に基づいてパイロット信号の系列長決定に関する優先度を判定し、優先度情報を生成する優先度判定部43と、移動局50にフィードバックする次回の優先度情報を保持(遅延)して、該移動局50が送信したサブフレーム信号を受信処理する際の今回の優先度情報とするバッファ30bとを更に備える。他の構成については上記図1で述べたものと同様で良い。
図9に移動局送信部のブロック図を示す。この移動局50は、基地局10から送られる次回のRB割当情報と、次回の優先度情報とに基づいてパイロット信号の系列長(帯域幅)を決定する系列長決定部71を備える。その他の構成については上記図2で述べたものと同様で良い。
図9の優先度判定部43は、ユーザに割り当てられたデータ信号の帯域幅毎にパイロット信号の系列長に関する優先度情報を生成し、これを下り制御チャネルで各移動局50に通知する。優先度情報は、基本的には、データ信号の帯域幅に対するパイロット信号で使用可能な帯域の不足率に基づいて決定される。
図10はパイロット信号で使用可能な帯域の不足率を説明する図で、図10(A)にパイロット信号とデータ信号の配置例を示す。今、BWdataをデータ信号の帯域幅、BWpilotをパイロット信号の帯域幅とすると、パイロット信号で使用可能な帯域の不足率DR
は(4)式、
によって定義される。この不足率は、データ信号の帯域幅を超えない最大の素数の値がデータ信号の帯域幅に応じて異なるために、その目安として求められるものである。
図10(B)に自然数の素数の例(2〜59)を示す。図示の如く、自然数の集合における素数の分布は略均等であると仮定できるから、パイロット信号に割り当てる帯域幅が不足する程度はRBの数によらず、略一定と考えられる。従って、パイロット信号の不足率は(5)式、
によって近似でき、データ信号の帯域幅に反比例することになる。素数の例(2〜59)の範囲における比例定数は2〜6(平均3.6)程度である。
そこで、基地局10の優先度判定部43は、基本的には、不足率の高いユーザ(移動局)の優先度をハイ(High)に設定し、不足率の低いユーザの優先度をロー(Low)に設定する。また不足率が中間のユーザの優先度を中間(Middle)に設定する。これにより、基地局10における受信特性の大きな劣化を有効に防止できる。
一方、基地局10からのRB割当情報と共に優先度情報を受けた移動局50では、優先度情報がハイ(H)の場合は自局のデータ信号に割り当てられた帯域幅よりも長い系列長(帯域幅)のパイロット信号(W)を優先的に多重し、また優先度情報がロー(L)の場合は自局のデータ信号の帯域幅よりも短い系列長のパイロット信号(N)を優先的に多重し、そして、優先度情報が中間(M)の場合は自局のデータ信号の帯域幅よりも長い系列長のパイロット信号(W)と短い系列長のパイロット信号(N)とを交互に多重する。これにより、不足率の高いユーザは広い帯域幅のパイロット信号を送信することになり、基地局10でのチャネル推定精度の大きな劣化を有効に防止できる。
好ましくは、優先度判定部43では、更に以下の判定を行うことで、実際の通信環境を考慮したより柔軟な判定を行う。例えば、相隣接する移動局の優先度がH,H又はL,Lの場合は両者の優先度をM,Mに再設定する。これにより、両移動局を公平に収容できる。また、優先度判定部43は、相隣接する移動局間でパイロット信号の干渉が発生するおそれがある場合には、優先度の高い方(H又はM)の移動局の優先度をLに設定する。これによりパイロット信号の干渉を有効に回避できる。また、優先度判定部43はシステム帯域幅の端部に位置する移動局の優先度を低く(Lに)設定する。これにより、隣接帯域輻射の増大を安全に回避できる。また優先度判定部43は、変調多値数の小さい移動局の優先度を相対的に低く(M又はLに)設定する。一般に、変調多値数が小さいチャネルの通信では、比較的に良好な受信特性(BERなど)が得られるので、優先度を相対的に低くしても受信品質の劣化は少ない。これに伴い隣接するユーザの優先度を上げることも可能である。
なお、上記実施の形態では移動通信システムの上りチャネルの通信を具体的に説明したが、これに限らない。本発明のパイロット信号多重方式は下りチャネルの通信にも適用できる。また、上記実施の形態では、基地局からのRB割当情報に基づいて各移動局でパイロット信号の系列長と配置を決定したが、これは基地局と各移動局でRB割当情報を共有することで可能となる。なお、基地局の側で各移動局宛のパイロット信号の系列長や配置を決定し、これを各移動局に知らせるようにしても良い。
また、上記実施の形態ではパイロット信号をサブフレームの先頭と末尾に時間多重したが、これに限らない。サブフレーム上に複数のパイロット信号を所定間隔で定期的に配置しても良い。
また、上記実施の形態ではデータ信号の帯域幅を割り当てられた各2ユーザ分をひとくくりとしてパイロット信号系列の割付処理を行ったが、これに限らない。3ユーザ以上の帯域幅について順次割り付けても良い。また、上記システムの帯域幅をセルの帯域幅として本発明を適用しても良い。
また、上記本発明に好適なる複数の実施の形態を述べたが、本発明思想を逸脱しない範囲内で各部の構成、制御、処理及びこれらの組合せの様々な変更が行えることは言うまでも無い。
(付記1) DFT−spread−OFDM方式により各所定の帯域幅で無線伝送されるデータ信号にチャネル補償用のパイロット信号を時間多重し、該多重したパイロット信号とデータ信号とをユーザ間で周波数多重させたフォーマットの信号を送信する無線通信システムのパイロット信号送信方法において、前記データ信号よりも帯域幅が広い第1のパイロット信号と、該データ信号よりも帯域幅が狭い第2のパイロット信号とを時間軸上で混在させて多重することを特徴とするパイロット信号送信方法。
(付記2) 第1,第2のパイロット信号は系列長が限定された自然数の系列(例えば、系列長が素数のZadoff−Chu系列)をDFT処理した周波数成分の系列からなることを特徴とする付記1記載のパイロット信号送信方法。
(付記3) データ信号の帯域幅を超える、系列長が最小の素数の系列からなる第1のパイロット信号と、該データ信号の帯域幅を超えない、系列長が最大の素数の系列からなる第2のパイロット信号とを時間軸上で交互に多重することを特徴とする付記2記載のパイロット信号送信方法。
(付記4) データ信号の帯域が隣接するユーザ間では同一のタイミングに伝送される互いのパイロット信号が重ならないように多重することを特徴とする付記3記載のパイロット信号送信方法。
(付記5) 隣接するユーザのデータ信号の帯域幅が同一であることを特徴とする付記4記載のパイロット信号送信方法。
(付記6) 隣接するユーザのデータ信号の帯域幅が異なることを特徴とする付記4記載のパイロット信号送信方法。
(付記7) DFT−spread−OFDM方式により各所定の帯域幅で無線伝送されるデータ信号にチャネル補償用のパイロット信号を時間多重し、該多重したパイロット信号とデータ信号とをユーザ間で周波数多重させたフォーマットの信号を送信する無線通信システムのパイロット信号送信方法であって、データ信号の帯域幅を超えない、系列長が最大の素数の系列をDFT処理した周波数成分の系列からなるパイロット信号を該データ信号の帯域幅の片端いっぱいにオフセットさせて多重し、該オフセットさせる方向は時間軸上で変化することを特徴とするパイロット信号送信方法。
(付記8) DFT−spread−OFDM方式により各所定の帯域幅で無線伝送されるデータ信号にチャネル補償用のパイロット信号を時間多重し、該多重したパイロット信号とデータ信号とをユーザ間で周波数多重させたフォーマットの信号を送信する無線通信システムのパイロット信号送信方法であって、前記パイロット信号は系列長が素数の系列をDFT処理した周波数成分の系列からなると共に、データ信号の帯域幅を前記パイロット信号の系列長に対応する帯域幅に一致させたことを特徴とするパイロット信号送信方法。
(付記9) 基地局と該基地局に接続する1又は2以上の移動局との間でDFT−spread−OFDM方式により各所定の帯域幅で無線伝送されるデータ信号にチャネル補償用のパイロット信号を時間多重し、該多重したパイロット信号とデータ信号とをユーザ間で周波数多重させたフォーマットの信号を送信する移動通信システムであって、基地局は各移動局に割り付けるデータ信号の帯域幅を下り制御チャネルで各移動局に通知し、各移動局は自局のデータ信号の帯域幅を超える、系列長が最小の素数の系列をDFT処理した周波数成分の系列からなる第1のパイロット信号と、該データ信号の帯域幅を超えな
い、系列長が最大の素数の系列をDFT処理した周波数成分の系列からなる第2のパイロット信号とを時間軸上で交互に多重すると共に、データ信号の帯域が隣接する移動局間では同一のタイミングに伝送される互いのパイロット信号が重ならないように多重することを特徴とする移動通信システム。
(付記10) 基地局と該基地局に接続する1又は2以上の移動局との間でDFT−spread−OFDM方式により各所定の帯域幅で無線伝送されるデータ信号にチャネル補償用のパイロット信号を時間多重し、該多重したパイロット信号とデータ信号とをユーザ間で周波数多重させたフォーマットの信号を送信する移動通信システムであって、基地局は各移動局に割り付けるデータ信号の帯域幅と共にパイロット信号に割り付ける帯域幅の優先度情報を下り制御チャネルにより各移動局に通知し、各移動局は自局の優先度情報がハイの場合は自局のデータ信号の帯域幅を超える、系列長が最小の素数の系列をDFT処理した周波数成分の系列からなる第1のパイロット信号を多重することを特徴とする移動通信システム。
(付記11) 各移動局は自局の優先度情報がローの場合は、自局のデータ信号の帯域幅を超えない、系列長が最大の素数の系列をDFT処理した周波数成分の系列からなる第2のパイロット信号を多重することを特徴とする付記10記載の移動通信システム。
(付記12) 各移動局は自局の優先度情報が中間の場合は第1,第2のパイロット信号を時間軸上で交互に多重すると共に、データ信号の帯域が隣接する移動局間では同一のタイミングに伝送される互いのパイロット信号が重ならないように多重することを特徴とする付記11記載の移動通信システム。
(付記13) 基地局は、パイロット信号で使える帯域幅の不足率を、(データ信号の帯域幅―パイロット信号の帯域幅)/(データ信号の帯域幅)により求め、該不足率の大きい移動局に対する優先度をハイに設定することを特徴とする付記12記載の移動通信システム。
(付記14) 基地局は、不足率の小さい移動局に対する優先度をローに設定することを特徴とする付記13記載の移動通信システム。
(付記15) 基地局はデータ信号の帯域が隣接する各移動局に対する優先度の情報が共にハイの場合、又は共にローの場合は、共に中間に再設定することを特徴とする付記14記載の移動通信システム。
(付記16) 基地局はデータ信号の帯域が隣接する移動局間でパイロット信号が干渉する可能性がある場合は優先度がハイの移動局の優先度をローに再設定することを特徴とする付記15記載の移動通信システム。
(付記17) 基地局はシステム帯域幅の端部に位置する移動局の優先度をローに設定することを特徴とする付記15記載の移動通信システム。
(付記18) 基地局は変調多値数の小さい移動局の優先度をローに設定することを特徴とする付記15記載の移動通信システム。