JP5029432B2 - 貯湯タンクユニット及びそれを用いた給湯機 - Google Patents

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本発明は、真空断熱材を備えた貯湯タンクユニットに関し、特に、貯湯タンクの断熱性能を低下させること無く省スペース・高効率化を実現する貯湯タンクユニットに関するものである。
従来のこの種の貯湯タンクユニットとしては、断熱材に真空断熱材を使用したものがある(例えば、特許文献1参照)。図5、図6は、特許文献1に記載された従来の貯湯タンクユニットを示すものである。
図5、図6に示すように、貯湯タンクユニット101は、円筒状の貯湯タンク102と、貯湯タンク102を包囲する角筒状の外装ケース103とから構成されており、貯湯タンク102と外装ケース103との空間には、貯湯タンクの保温のために真空断熱材104とシート状断熱材105とが設置されている。真空断熱材104は、貯湯タンク102の形状に沿って貼り付けられている。
また、シート状断熱材105は、貯湯タンク102と外装ケース103との空間部に充填されるように設置されている。
このように、貯湯タンク102と外装ケース103との空間距離が小さい部分に真空断熱材4を配置することにより、貯湯タンク102の断熱性能を低下させること無く設置スペースを削減し、施工性向上を図ることができるのである。
特開2005−226965号公報
しかしながら、前記従来の構成では、貯湯タンク102と給水・給湯配管(図示せず)との接続部が位置する複雑な3次元曲面形状である貯湯タンク102の頂上部や底面部、及び真空断熱材104設置部分以外の貯湯タンク102の側面部を、全てシート状断熱材105で断熱しているため、シート状断熱材105の設置が困難であり、設置が不十分な場合にはシート状断熱材105どうしの間隙またはシート状断熱材105と真空断熱材104との間隙からの放熱ロスが発生して貯湯タンク102の断熱性能が低下するという恐れがあった。
また、貯湯タンク102の容量が大きい場合(例えば460L)には真空断熱材104のサイズが大きくなり、コストが増大する。また真空断熱材104を複数に分割した場合には隣接する真空断熱材104どうしの隙間からの放熱ロスが増大し、貯湯タンク102の断熱性能が低下するという恐れがあった。
また、真空断熱材104は、外装ケース103と略接触するように配置されているため、真空断熱材104が破損する恐れがあった。真空断熱材104は、シリカ等の繊維材をアルミニウム等で包装して内部を真空にした断熱材であり、その熱伝導率はウレタンの5分の1から10分の1と非常に高性能な断熱材である。その一方で、外部からの衝撃には比較的弱く、一旦内部の真空が保持できなくなると、断熱性能が極端に低下してしまう。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、貯湯タンクや給水・給湯配管の形状に応じて複数の断熱材で貯湯タンクを断熱することで断熱の施工性の向上を図るとともに、真空断熱材の間隙からの放熱ロスを防止すると共に真空断熱材の破損を回避して、高効率で信頼性の高い貯湯タンクユニットを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯タンクユニットは、貯湯タンクの上面を覆う頂部断熱材と、前記貯湯タンクの側面を覆い、少なくとも一部が真空断熱材から構成される側部断熱材と、前記貯湯タンクを収納する外装ケースとを備え、前記頂部断熱材と前記側部断熱材との接合外周部に、第一シール用断熱材を配設するとともに、前記貯湯タンクに前記頂部断熱材を設置した外周径を、前記貯湯タンクに前記真空断熱材を設置した外周径よりも大きくすることで、前記真空断熱材と前記外装ケースとの間に空間を形成する構成としたことを特徴とするもので、前記頂部断熱材と前記側面断熱材との接合部からの放熱ロスを低減して高効率化を図ることができる。
本発明によれば、貯湯タンクの断熱材の間隙からの放熱ロスを低減すると共に、真空断熱材の破損を防止して、高効率でコンパクトかつ信頼性の高い貯湯タンクユニット及びそれを用いた給湯機を提供することができる。
第1の発明は、貯湯タンクの上面を覆う頂部断熱材と、前記貯湯タンクの側面を覆い、少なくとも一部が真空断熱材から構成される側部断熱材と、前記貯湯タンクを収納する外装ケースとを備え、前記頂部断熱材と前記側部断熱材との接合外周部に、第一シール用断熱材を配設するとともに、前記貯湯タンクに前記頂部断熱材を設置した外周径を、前記貯湯タンクに前記真空断熱材を設置した外周径よりも大きくすることで、前記真空断熱材と前記外装ケースとの間に空間を形成する構成としたことを特徴とする貯湯タンクユニットで、前記貯湯タンクの断熱施工性が向上すると共に、前記頂部断熱材と前記側面断熱材との接合部からの放熱ロスを低減して高効率化を図ることができる。
第2の発明は、側部断熱材は、貯湯タンクの外周前面部に配設した前面断熱材と、前記貯湯タンクの外周側面部及び外周背面部に設置した側面断熱材とから構成され、前記側面断熱材は少なくとも複数の真空断熱材で構成されるとともに、前記複数の真空断熱材の接合部外周に第二シール用断熱材を配設したことを特徴とするもので、前記第一真空断熱材と前記第二真空断熱材との間隙からの放熱ロスを低減することができ、高効率化・コンパクト化を図ることができる。
第3の発明は、側部断熱材は、貯湯タンクの外周前面部に配設した前面断熱材と、前記貯湯タンクの外周側面部及び外周背面部に設置した側面断熱材とから構成され、前記前面断熱材と前記側面断熱材との接合部外周、前記前面断熱材と前記頂部断熱材との接合部外周のうち、少なくともどちらか一方に第三シール用断熱材を配設したことを特徴とするもので、前記前面断熱材と前記側面断熱材や前記前面断熱材と前記頂部断熱材との間隙からの放熱ロスを低減できる。
第4の発明は、側面断熱材と頂部断熱材との接合部外周に、第四シール用断熱材を配設したことを特徴とするもの、分割した断熱材の間隙からの放熱ロスを低減することができ、更なる高効率化を図ることができる。
第5の発明は、第1〜4の発明のいずれか1つに記載の貯湯タンクユニットを用いた給湯機で、貯湯タンクの断熱材の間隙からの放熱ロスを低減すると共に、真空断熱材の破損を防止して、高効率でコンパクトかつ信頼性の高い貯湯タンクユニットを用いた給湯機を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における貯湯タンクユニット1の構成図である。また図2は、貯湯タンクユニット1のA−A‘水平断面図である。
実際の貯湯タンクユニット1は、図1、図2に図示している構成の他に、貯湯タンク2に水を供給する給水配管、貯湯タンク2から湯を取り出す給湯配管、水と湯を混合して所定温度の湯を供給する混合弁、水を加熱する熱源(電気ヒータやヒートポンプユニット)などを備えているが、ここでは貯湯タンクユニット1の断熱構造について述べるため、図示及び詳細な説明を省略する。
図1において、貯湯タンク2は、円筒状胴体2aの上端部を上部鏡板2bで、円筒状胴体2aの下端部を下部鏡板2cでそれぞれ密閉した容器である。貯湯タンク2の材質には主にステンレスが使用される。
貯湯タンク2の外周は、前面断熱材3と側面断熱材4とから構成される側部断熱材、頂部断熱材5、底部断熱材6によって断熱された状態で、外装ケース7に収納されている。
貯湯タンク2の円筒胴体2aの外周前面部には、前面断熱材3が設置されている。貯湯タンク2の前面部には、通常、制御用基板や電装部品類の他、給水・給湯配管や混合弁など多くの部品(図示していない)が配置されるため、前面断熱材3の材質としては、成型加工が容易でコストも比較的安価な発泡スチロールや発泡ウレタンを使用すると良い。
貯湯タンク2の円筒胴体2aの左右側面部から背面部にかけては、側面断熱材4が設置されている。この部分は給水・給湯配管が貫通することもなく貯湯タンク2の表面形状も単純な2次元曲面であるため、板状の真空断熱材をロール状に成型したものを貯湯タンク2の円筒胴体2aに沿うように設置すると良い。真空断熱材の熱伝導率はウレタンの5分の1から10分の1と非常に高性能な断熱材である。従って、貯湯タンク2の側面の断熱に真空断熱材を使用すれば、ウレタン等を使用するよりも断熱材の厚さを薄くすることができ、貯湯タンクユニット1をコンパクト化することが可能である。
貯湯タンク2の上部鏡板2bの外周には、頂部断熱材5が設置されている。上部鏡板2bは、給湯配管などの配管が頂部断熱材5を貫通するだけでなく、上部鏡板2aの形状も複雑な3次元曲面であるため隙間無く断熱材を設置することが難しい。また、貯湯タンク2の上部には常に高温(60〜90℃)の湯が存在するため、断熱性能も優れている必要がある。従って、頂部断熱材5の材質としては、成型加工が容易でコストも比較的安価な発泡スチロールや発泡ウレタンを使用すると良い。
貯湯タンク2の下部鏡板2cの外周には底部断熱材6が設置されている。下部鏡板2cは、給水配管などの配管が底部断熱材6を貫通するだけでなく、下部鏡板2cの形状も複雑な3次元曲面であるため隙間無く断熱材を設置することが難しい。但し、貯湯タンク2の底部付近に高温の湯が存在するのは希(貯湯タンク2の全量沸き上げ運転が終了した直後のみ)であり、通常は、貯湯タンク2の底部には低温の水が存在するため、貯湯タンク2の上部程には断熱を強化する必要はない。従って、底部断熱材6の材質としては、成型加工が容易でコストも比較的安価な発泡スチロールや発泡ウレタンの他、安価で設置が容易なグラスウールなどを使用すると良い。
また、頂部断熱材5と側面断熱材4との接合部外周には第一シール用断熱材8を設置している。第一シール用断熱材8の材質としては、断熱性能と柔軟性を兼ね備えたシート状
のウレタンフォームや発泡スチロールなどを使用すると良い。第一シール断熱材8を設置したことにより、頂部断熱材5と側面断熱材4との接合部からの放熱ロスを低減して高効率化を図ることができる。
以上のように、本発明の貯湯タンクユニットでは、断熱する部位の特性(表面形状や断熱の重要度など)に応じて断熱材を使い分けることにより、断熱の施工性が向上するだけでなく、高性能かつコンパクトな貯湯タンクユニットを構成することができる。また、頂部断熱材と側面断熱材との接合部外周に第一シール用断熱材を設置したことにより、頂部断熱材と側面断熱材との接合部からの放熱ロスを低減して更なる高効率化を図ることができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における貯湯タンクユニットの構成図である。また図4は、貯湯タンクユニット1の略中央部高さにおけるB−B‘水平断面図である。
本実施の形態が、実施の形態1と異なる点は、図3において、側面断熱材4が少なくとも2個の第一真空断熱材4aと第二真空断熱材4bとで構成され、第一真空断熱材4aと第二真空断熱材4bとの接合部外周に第二シール用断熱材9を設置したことである。
第一真空断熱材4aは、第二真空断熱材4bの上部に隣接するように設置されている。第一真空断熱材4a、第二真空断熱材4bが接触する貯湯タンク2の表面形状は、比較的単純な2次元曲面である。そこで、第一真空断熱材4a、第二真空断熱材4bは、平板状の真空断熱材を曲面状にロール加工して貯湯タンク2の胴体外周に沿うように設置している。
現在市販されている一般家庭向け貯湯タンクの容量は300L〜560Lが主流であり、貯湯タンク2の外周部の全体を1枚の真空断熱材で覆うためには真空断熱材の寸法が非常に大きくなってしまう。一方、真空断熱材の製作性や成型性、組み立て性などを考慮した場合の真空断熱材の最大寸法は、おおよそ0.5m×1m程度が適当である。従って、貯湯タンク2の側面の断熱には、第一真空断熱材4a、第二真空断熱材4bのように複数の真空断熱材を使用するのが良い。
また、第一真空断熱材4aと第二真空断熱材4bとの隣接部外周には、第二シール用断熱材9を設置している。真空断熱材は、発泡スチロールや発泡ウレタン等に対して断熱性能面で優れている反面、外部からの振動や衝撃には比較的弱く、一旦断熱材内部に空気が混入すると断熱性能が極端に低下する恐れがある。
そこで、第一真空断熱材4aと第二真空断熱材4bとの隣接部外周に第二シール用断熱材9を設置したことにより、第一真空断熱材4aと第二真空断熱材4bとの隣接部からの放熱ロスを更に低減することができるだけでなく、貯湯タンクユニット1の外部からの衝撃が真空断熱材に直接伝達して真空断熱材が破損することを防止でき、高効率化・信頼性向上を図ることができる。
その他、図示はしないが、前面断熱材3と側面断熱材4との接合部、前面断熱材3と頂部断熱材5との接合部についてもシール用断熱材を設置すれば更なる放熱ロスの低減が可能となり、断熱性能(保温性能)が優れた貯湯タンクユニット1を提供することができる。
本発明にかかる貯湯タンクユニットは、貯湯タンクの加熱手段としてヒートポンプユニ
ットを用いたヒートポンプ給湯機のほか、電気ヒータを用いた電気温水器の貯湯タンクユニットに利用できる。
本発明の実施の形態1における貯湯タンクユニットの側断面図 図1のA−A‘断面図 本発明の実施の形態2における貯湯タンクユニットの側断面図 図3のB−B‘断面図 従来の貯湯式給湯装置の貯湯タンクユニットの側断面図 図5のC−C‘断面図
1 貯湯タンクユニット
2 貯湯タンク
2a 円筒状胴体
2b 上部鏡板
2c 下部鏡板
3 前面断熱材
4 側面断熱材
5 頂部断熱材
6 底部断熱材
7 外装ケース
8 第一シール用断熱材
9 第二シール用断熱材

Claims (5)

  1. 貯湯タンクの上面を覆う頂部断熱材と、前記貯湯タンクの側面を覆い、少なくとも一部が真空断熱材から構成される側部断熱材と、前記貯湯タンクを収納する外装ケースとを備え、前記頂部断熱材と前記側部断熱材との接合外周部に、第一シール用断熱材を配設するとともに、前記貯湯タンクに前記頂部断熱材を設置した外周径を、前記貯湯タンクに前記真空断熱材を設置した外周径よりも大きくすることで、前記真空断熱材と前記外装ケースとの間に空間を形成する構成としたことを特徴とする貯湯タンクユニット。
  2. 側部断熱材は、貯湯タンクの外周前面部に配設した前面断熱材と、前記貯湯タンクの外周側面部及び外周背面部に設置した側面断熱材とから構成され、前記側面断熱材は少なくとも複数の真空断熱材で構成されるとともに、前記複数の真空断熱材の接合部外周に第二シール用断熱材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。
  3. 側部断熱材は、貯湯タンクの外周前面部に配設した前面断熱材と、前記貯湯タンクの外周側面部及び外周背面部に設置した側面断熱材とから構成され、前記前面断熱材と前記側面断熱材との接合部外周、前記前面断熱材と前記頂部断熱材との接合部外周のうち、少なくともどちらか一方に第三シール用断熱材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。
  4. 側面断熱材と頂部断熱材との接合部外周に、第四シール用断熱材を配設したことを特徴とする請求項3に記載の貯湯タンクユニット。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の貯湯タンクユニットを用いた給湯機。
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