JP5028112B2 - インクジェットヘッド用基板の製造方法およびインクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド用基板の製造方法およびインクジェットヘッド Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェットヘッド用の基板の製造方法およびインクジェットヘドに関するものである。
従来から、インク吐出圧発生素子の上方にインクを吐出するタイプのインクジェットヘッド(以下、サイドシュータ型ヘッド)が知られている。このタイプのインクジェットヘッドでは、吐出エネルギー発生部が形成された基板に貫通口(インク供給口)を設け、吐出エネルギー発生部が形成された面の裏面よりインクを供給する方式が採られている。
このタイプのインクジェットヘッドの製造方法が、特許文献1に開示されている。特許公報には、スルーホール(インク供給口)の開口径のばらつきを防ぐため、以下の工程を有する製法が開示されている。
(a)基板表面のスルーホール形成部位に基板材料に対して選択的にエッチングが可能な犠牲層を形成する工程
(b)基板上に犠牲層を被覆するように耐エッチング性を有するパッシベイション層を形成する工程
(c)犠牲層に対応した開口部を有するエッチングマスク層を基板裏面に形成する工程
(d)開口部より犠牲層が露出するまで基板を結晶軸異方性エッチングにてエッチングする工程
(e)基板エッチング工程により露出した部分より犠牲層をエッチングし除去する工程
(f)パッシベイション層の一部を除去しスルーホールを形成する工程
一方、特許文献2には、面方位<100>を有するSi材(Si基板)の異方性エッチング方法が開示されている。このSi異方性エッチング方法は、あらかじめSi材を加熱処理してからエッチングすることにより、“<>”型形状の加工断面を形成することを特徴としている。
また、特許文献3には、基板裏面に設けられたマスクを利用してドライエッチングを行った後に、同一のマスクを用いて結晶軸異方性エッチングにてエッチングを行うことでインクジェット記録ヘッドを製造する方法が開示されている。この製造方法によっても同様に“<>”型形状の加工断面が形成される。
これらの“<>”型形状の加工断面を形成する製造方法では、インクジェット記録ヘッドの素子基板をより一層小型化することができるという利点がある。すなわち基板の幅を狭くできるという利点がある。特にカラーインク吐出用の記録ヘッドなどの1つの基板に複数のインク供給口を設けるヘッドでは、このような基板の更なる小型化が求められている。
米国特許第6143190号明細書 米国特許第6107209号明細書 米国特許第6805432号明細書
しかしながら、特許文献2に開示された方法は、“<>”型の屈曲部の基板底面からの距離に制限がある。また、シリコン基板の中の酸素濃度によって出来上がりの形状が変化してしまうため、安定的に製造することが難しい。
一方、特許文献3に開示された方法では、ドライエッチングのマスクをウエットエッチングのマスクと共用している。この方法では、基板裏面のマスクの開口幅とドライエッチングの掘り込み量によってインク供給口の開口幅が決まる。そのため、インク供給口の開口幅を狭くし、所謂細い供給口をあける場合には、ドライエッチングでの掘り込み量を多くする必要があるが、ドライエッチングの掘り込みには時間がかかるため生産効率が悪いという問題がある。
そこで本発明は、インクジェットヘッド用基板を高い生産効率で安定的に製造することを可能にするインクジェットヘッド用基板の製造方法を提供することを目的とする。具体的には、本発明は、従来よりも開口幅が縮められた供給口を有するインクジェットヘッド用の基板を精度よく、かつ短時間で製造することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のインクジェットヘッド用基板の製造方法は、シリコン基板にインク供給口が形成されたインクジェットヘッド用基板の製造方法であって、シリコン基板の一方の面に、前記インク供給口を形成する部分に対応した開口部を有するエッチングマスク層を形成する工程と、前記一方の面の裏面に、シリコンよりも結晶異方性エッチングのエッチング速度が速い、前記シリコン基板の裏面における前記インク供給口の短手方向の開口幅を規定するための犠牲層を形成する工程と、複数の未貫通穴を、前記エッチングマスク層の前記開口部を通して、前記シリコン基板に前記開口部の長手方向に少なくとも2列に配列して形成する工程と、前記開口部より前記シリコン基板を結晶異方性エッチングにてエッチングし、該結晶異方性エッチングを前記犠牲層に到達させて前記犠牲層をエッチングすることにより前記インク供給口を形成する工程と、を有し、前記複数の未貫通穴は、前記開口部の短手方向の前記犠牲層の幅をL、前記シリコン基板の厚さをT、前記一方の面における、前記開口部の短手方向の前記犠牲層の中心から前記一方の面に伸ばした中心線と前記未貫通穴の中心との間の距離をX、前記未貫通穴の深さをDとしたときに、T−(X−L/2)×tan54.7°≧D≧T−X×tan54.7°の関係を満たすように形成される。

本発明によれば、インクジェットヘッド用基板を高い生産効率で安定的に製造することができる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明のインクジェットヘッド用基板の製造方法の特徴は、例えばレーザー加工によって未貫通穴(以下、「先導孔」という。)を形成した後に、異方性エッチングを実施することにある。以下の各実施形態においてこれを詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の一実施形態のインクジェット記録ヘッドの一部を示す。
このインクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)は、インク吐出エネルギー発生素子(液体吐出エネルギー発生素子(以下エネルギー発生素子))3が所定のピッチで2列並んで形成されたシリコン基板1を有している。シリコン基板1上には、密着層であるポリエーテルアミド層(不図示)が形成されている。更にシリコン基板1上には、流路側壁9及びエネルギー発生素子3の上方に開口するインク吐出口(液体吐出口)14が流路形成部材を成す被覆感光性樹脂により形成されている。この流路形成部材によって、インク供給口16から各インク吐出口14に連通するインク流路上部を形成している。また、シリコンの異方性エッチングによって形成されたインク供給口(液体供給口)16が、インク吐出エネルギー発生素子3の2つの列の間に開口されている。このインクジェット記録ヘッドは、インク供給口16を介してインク流路内に充填されたインク(液体)に、エネルギー発生素子3が発生するエネルギーを加えることで、インク吐出口14からインク液滴を吐出させて被記録媒体に付着させることにより記録を行う。
このインクジェット記録ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、更には各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、このインクジェット記録ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックなど種々の被記録媒体に記録を行う事ができる。なお、本発明において「記録」とは、文字や図形などの意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を付与することも意味する。
(先導孔を用いた異方性エッチングの特徴)
本実施形態の製造方法によれば、レーザー加工により先導孔20を所望のパターンおよび所望の深さに形成し、この後に異方性エッチングを実施することにより、断面が“<>”型形状のインク供給口16を容易に、かつ安定的に形成することが可能である。“<>”型形状とは、インク供給口16の幅が、インク供給口16の基板1の裏面側の開口部から基板1の所定の深さ位置まで次第に広がり、その所定の深さ位置を断面の最大幅(頂点)として基板1の表面側に向かって次第に狭まる形状を意味している。
図2に、本実施形態の製造方法が適用されるインクジェットヘッド用基板の断面図を示す。なお、図2は図1においてA−A線を通り基板に垂直な面によりインクジェットヘッド基板を切断した断面を示している。図2において、符号2は犠牲層、符号4はエッチングストップ層(パッシベイション層)、符号1はシリコン基板、符号8は異方性エッチングのための裏面マスク、符号20は先導孔を示している。犠牲層2は、エッチング後のシリコン基板表面におけるインク供給口の形成を予定している領域100に設けられる。犠牲層2はインク供給口の形成領域を精度よく画定したい場合、効果的であるが、本発明に必須ではない。またエッチングストップ層(パッシベイション層)4は、異方性エッチングに用いられる材料に耐性があるもので形成される。エッチングストップ層4は、シリコン基板表面に素子や構造物(インク流路を形成する部材等)が形成されている際の隔壁等の機能を果たす。犠牲層2と、エッチングストップ層4とは、それぞれを単独または併用で用いる場合において、エッチングを行う前の段階で、シリコン基板に形成されていればよい。エッチング前の段階において、形成する時期や順序は任意であり、方法は公知の方法によればよい。本実施形態では、図2に示すように、先導孔20は、インクジェットヘッド用基板の裏面側のインク供給口16が形成される領域の中において、インク供給口16の短手方向に少なくとも2列に形成される。先導孔20は、インクジェットヘッド用基板のインク供給口16が形成される領域に、インク供給口16の長手方向(紙面を貫通する方向)をみて、インク供給口の中心線(この線は短手方向の中心を通る)に対して対称に列をなして形成される(図5、6参照)ことが好ましい。なお、開示した実施形態では先導孔20は2列に配列され形成されている。
図2に示すように先導孔を形成したシリコン基板に対して結晶異方性エッチングを行ったときのエッチングの過程を図3に模式的に示す。以下の例では犠牲層2とパッシベイション層4とを用いた例を示す。
まず、基板1の裏面側におけるそれぞれの先導孔20の先端から基板1の表面へ向かう方向に幅が狭まるように<111>面21a,21bが形成されると共に、先導孔20の内部から基板1の厚さ方向に対して垂直な方向(図面の左右方向)にエッチングが進む。また、基板1の裏面側の開口部においては、基板1の表面へ向かう方向に幅が広がるように<111>面22が形成される(図3(A))。
更にエッチングが進行すると、2本の先導孔20の間において各々の先導孔20から形成された<111>面21bが接し、これらの<111>面21bによって形成された頂部からさらに基板1の表面に向かう方向にエッチングが進行する。また、2本の先導孔20における外側の<111>面21aと、基板1の裏面の開口部から延びた<111>面22とが交差し、基板1の厚さ方向に対して垂直な方向へのエッチングが、見かけ上、進行しなくなる(図3(B))。
更にエッチングが進行すると、2本の先導孔20の間に<100>面23が形成される(図3(C))。この<100>面23が、エッチングの進行と共にシリコン基板1の表面へ向かい、最終的に犠牲層2に到達することにより、異方性エッチングが完了する(図3(D))。無論であるが、犠牲層がなくとも、エッチングを完了することは可能である。
なお最終的に、インク供給口形成予定領域や犠牲層が設けられていた領域よりも、表面におけるインク供給口が大きくなる場合がある。これはオーバーエッチング等に起因すると考えてよい。しかし供給特性には大きな影響を及ぼさない。
上記のようなインク供給口16の形成方法においては、基板1の表面に向かう方向に加工幅が狭まるように形成される<111>面21aの形成位置は、先導孔20の位置によって決まる。また、基板1の裏面側の開口部から形成される<111>面22の形成位置は、基板1の裏面側に配置される裏面マスク8の開口位置によって決まる。
ここで、インク供給口16の長手方向に先導孔20を1列だけ形成した場合の断面図を図4に示す。この場合は、先導孔20の先端に形成された2つの<111>面61a,61bの頂部において異方性エッチングが見かけ上進行しなくなり、犠牲層2を露出させることが難しい場合がある。また、先導孔20自体を犠牲層2に到達させて形成しようとすると、レーザが犠牲層2およびエッチングストップ層4を貫通してしまう懸念が生じる。貫通してしまった場合には、表面に配線などの機能層がもうけられていた場合それらを損傷する可能性がある。またインクジェットのためのインクの流路がすでに形成されていた場合などは、それらも損傷してしまう。これらの理由により、先導孔20を1列だけ形成した場合には、インク供給口16を所望の形状および寸法に高精度に形成することが難しい。
再び図2を参照すると、犠牲層2の幅(犠牲層において、シリコン基板の裏面に一番近い面を図2のように切断したときの、基板短手方向の両端の距離)がL、シリコン基板の厚さがT、犠牲層2の中心から先導孔20の中心までの距離がXで表されている。また、先導孔20の深さがD、裏面マスク8の開口幅がYで表されている。犠牲層2が用いられる例においては、犠牲層2は、シリコン基板表面におけるインク供給口を形成する予定の領域(インク供給口形成予定領域)に設けられるため、犠牲層2とインク供給口形成予定領域とは、それぞれの中心、端部は一致する。
上記のようなエッチングの進行過程において、基板の裏面側から異方性エッチングを進めて犠牲層2を露出させるには、先導孔20の深さDが以下の範囲内に入ることが好ましい。
T−(X−L/2)×tan54.7°≧D≧T−X×tan54.7°…式(1)
また、上記のような“<>”型形状のインク供給口16を形成するには、裏面マスク8の開口幅Yは、以下の式にあてはまると好ましい。
(T/tan54.7°)×2+L≧Y…(式2)
一方、裏面マスク8の開口幅Yが(T/tan54.7°)×2+Lよりも大きいと、Si基板の裏面から基板の表面へ向かう方向に加工幅が狭くなるような<111>面を有するインク供給口が形成されてしまう。
このように、本実施形態におけるインクジェットヘッド用基板の製造方法によれば、先導孔20の加工パターンや深さ、裏面マスク8の開口幅を適宜変更することにより、種々の“<>”型形状のインク供給口16を形成することができる。つまり、基板1の裏面側でのインク供給口16の開口幅が大きく、“<>”型形状の頂点の位置が基板1の裏面側に近い形状や、基板1の裏面側でのインク供給口16の開口幅が小さく、頂点の位置が基板1の厚さの半分近くにある形状も形成することができる。
また、本実施形態におけるインクジェットヘッド用基板の製造方法では、“<>”型形状のインク供給口16を得るための先導孔20をレーザーによる穴加工によって形成している。レーザ加工は任意の位置へ正確かつ高速に加工することが可能であり、パターン形成の為の前工程(マスクの形成等)を要しない。その為、少ない工程で“<>”型形状のインク供給口16を得ることが可能である。
また先導孔の内部まで、エッチング液が進入していくため、先導孔がない場合に比べ、短いエッチング時間で供給口を形成することが可能となる。
ここで、先導孔20を形成する工程において、予め測定されたシリコン基板の厚みに基づいて、先導孔20を形成する条件を変更することにより、より安定的に供給口を形成することが可能となる。
シリコン基板の厚みは通常、基板毎に30〜50μm程度のバラツキを有して、工程に投入される。つまり、式(1)におけるシリコン基板の厚さTは30〜50μmのバラツキを有することになり、これに応じてDの範囲が小さくなる為、工程のマージンが小さくなる。これに対して、予めシリコン基板の厚みを測定することにより、シリコン基板の厚さTのバラツキを見かけ上小さくする事ができる。
(厚み測定のフィードバック手法)
図13に先導孔形成工程のシーケンスを示す。厚み測定器により基板1の厚みを測定する。測定された基板1の厚みに基づいて、レーザ加工装置にて好適な加工条件を選択する。選択された加工条件にて、レーザ加工装置にて先導孔20を形成する。
この時、一般的に用いられる反射型のシリコン基板厚み測定器を用いる場合は、基板1の表面側にノズル形成部材が形成されると基板1のみの厚みが測定できない為、ノズル形成部材を形成する前(後述、図5A(A))に基板1の厚みを測定する必要がある。この場合、基板1の厚み測定から先導孔20の形成の間に種々の工程が入り、測定値と基板との対応が困難となる為、レーザ加工装置に基板番号の識別機能を追加し、厚み測定値と基板番号の対応を確認した上で、先導孔20の形成条件を選択することが好ましい。
また、近赤外線光を用いたシリコン基板厚み測定器を用いる場合は、基板1の表面側にノズル形成部材が形成されていても基板1のみの厚みを測定できる。この場合、ノズル形成部材を形成した後(後述、図5B(F))の状態で基板1の厚みを測定できる為、レーザ加工装置内にシリコン基板厚み測定器を付加し、先導孔20の形成直前に基板1の厚みを測定する事も可能である。
(条件の変更手法)
上記の様に測定した基板1の厚みに基づいて、先導孔20を形成するレーザ加工の条件を適宜変更する。変更する項目については、以下の2通りが挙げられる。
ひとつは、基板1の厚みに基づいて先導孔20の深さDを変更する手法である。基板1が厚い場合は、先導孔20の深さDを大きく、基板1が薄い場合は先導孔20の深さDを浅くする。深さDの変更については、レーザの出力やショット数を調節する事で実施可能である。
もう一つは、基板1の厚みに基づいて基板表面におけるインク供給口を形成する予定の領域(犠牲層がある場合は犠牲層2)の中心から先導孔20の中心までの距離Xを変更する手法である。基板1が厚い場合は距離Xを大きく、基板1が薄い場合は距離Xを小さくする。距離Xを変更することで、基板1の厚みが異なる場合にも、インク供給口が犠牲層に到達する幅を揃えていくことが可能となる。
次に、上述したインクジェットヘッド用基板の製造方法を適用したインクジェット記録ヘッドの製造方法について、図5Aおよび図5Bを参照して説明する。なお、本発明はこのような実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるべき他の技術にも応用することができる。
図5A(A)〜(D)および図5B(E)〜(H)の各図は、図1のA−A線における部分の断面を示している。
図5A(A)に示した基板1の表面上には、発熱抵抗体等のインク吐出エネルギー発生素子3が複数個配置されている。また、基板1の裏面はSiO2膜6によってその全面が覆われている。さらに、アルカリ性の溶液によってインク供給口16を形成する際に溶解する犠牲層2が基板1の表面上に設けられている。インク吐出エネルギー発生素子3の配線やそのヒータを駆動する為の半導体素子は不図示である。この犠牲層2はアルカリ溶液でエッチングできる材料からなり、例えば、ポリシリコンや、エッチング速度の速いアルミ、アルミシリコン、アルミ銅、アルミシリコン銅などで形成される。これらのものに限られることなく、シリコンに比べてアルカリ溶液に対する被エッチング速度が速いものを好適に選択可能である。また、エッチングストップ層4としては、基板1の異方性エッチング時に犠牲層2が露出した後、アルカリ溶液でのエッチングが進行しない事が必要である。エッチングストップ層4は、例えば、ヒータ3の裏面側に位置し蓄熱層として用いられる酸化珪素や、インク吐出エネルギー発生素子3の上層に位置し保護膜として機能する窒化珪素等で構成することが好ましい。
次に、図5A(B)に示すように、基板1の表面側と裏面側にそれぞれポリエーテルアミド樹脂7,8を塗布し、ベーク工程によりそれらを硬化させる。そして、ポリエーテルアミド樹脂7をパターニングする為に、基板1の表面側にポジ型レジスト(不図示)をスピンコート等により塗布、露光、現像し、ポリエーテルアミド樹脂7をドライエッチング等によりパターニングした後、ポジ型レジストを除去する。同様に、ポリエーテルアミド樹脂8をパターニングする為に、基板1の裏面側にポジ型レジスト(不図示)をスピンコート等により塗布、露光、現像し、ポリエーテルアミド樹脂8をドライエッチング等によりパターニングした後、ポジ型レジストを除去する。
次に、図5A(C)に示すように、基板1の表面側にインク流路となる型材料であるポジ型レジスト10をパターニングする。
次に、図5A(D)に示すように、ポジ型レジスト10上にノズル形成部材を成す被覆感光性樹脂12をスピンコート等により形成する。さらに、被覆感光性樹脂12上に、撥水材13をドライフィルムをラミネートすること等によって形成する。そして、被覆感光性樹脂12を紫外線やDeepUV光等によって露光、現像してパターニングすることにより、被覆感光性樹脂12にインク吐出口14を形成する。
次に、図5B(E)に示すように、ポジ型レジスト10及び被覆感光性樹脂12等が形成されている基板1の表面及び側面を、スピンコート等によって保護材15で覆う。
次に、図5B(F)に示すように、基板1の裏面側から表側に向けて、レーザー加工により先導孔20を形成する。この時、先導孔20は犠牲層2の中心に対して左右対称に2列に形成する。先導孔20の形成にはYAGレーザの3倍波(THG:波長355nm)のレーザ光を用い、そのレーザ光のパワーおよび周波数を適切な値に設定した。本実施形態では、先導孔20の径を約φ40μmに形成した。先導孔20の径は、約φ5〜100μmの径であることが望ましい。径が小さすぎると、この後に行われる異方性エッチングの際にエッチング液が先導孔20内に入りにくくなる。また、径が大きすぎると、所望の深さの先導孔20を形成するのに時間を要する。なお、先導孔20の径を大きくする場合には、それに応じて、隣接する先導孔20同士が重ならないように加工ピッチを設定する必要がある。
図6に、図5B(F)で先導孔20を形成した際の基板1の裏面側の平面図を示す。基板1の表面側に形成されている犠牲層2(図6では点線で表示している)に対応した位置に、ポリエーテルアミド樹脂(裏面マスク)8の開口部28が形成されている。この開口部28は図5A(B)に示した工程で形成され、基板1に施される異方性エッチング用のマスクとして機能する。
本実施形態では、開口部28の短手方向の開口寸法は400μmである。また、犠牲層2の短手方向の幅は150μmである。先導孔20をレーザ加工したところ、基板1の断面観察による深さ測定において先導孔20の深さは420〜460μmの範囲であった。ここで、前述の近赤外線光を用いたシリコン基板厚み測定器を用いて、基板1の厚みを測定したところ600μmであった。これらの寸法と式(1)から、短手方向における犠牲層2の中心から先導孔20の中心までの距離Xを150μmと設定し、先導孔20を形成した。つまり、先導孔20は、開口部28内の領域に、開口部28の短手方向に300μmのピッチで、かつその長手方向に150μmのピッチで複数形成した。
形成される先導孔の状態においては、他に図14及び図15のようなものがある。例えば、図14のように、エッチングマスク層の開口部の長手方向に2列に形成された先導孔のうち、一方の列にある先導孔の間隔が、他方の列にある先導孔の間隔よりも狭いものである。このようにすると先導孔の間隔が広い列の異方性エッチングが、先導孔の間隔が狭い列の異方性エッチングにならってくる。結果として、実質的に先導孔の数を減らし、生産性の向上という効果が得られる。また、図15に示されるように、エッチングマスク層の開口部の長手方向に2列に形成された先導孔が、同列にある先導孔と一部または全部がつながり、溝状になっているものである。これは、例えばレーザーを連続的にスキャンさせる事により形成可能である。この場合、未貫通穴全体にわたり、溝状の未貫通穴の基板の裏面からの深さがそろいやすいメリットがある。
なお、本実施形態ではYAGレーザの3倍波(THG:波長355nm)のレーザ光を用いて先導孔20の加工を行ったが、基板1の材料であるシリコンに対して穴加工ができる波長であれば、加工に用いることができるレーザ光はこれに限られない。例えば、YAGレーザの2倍波(SHG:波長532nm)も、THGと同様にシリコンに対する高い吸収率を有しており、これで先導孔20を形成してもよい。
次に、図5B(G)に示すように、基板1の裏面側の開口部28(図6参照)内のSiO2膜6を除去して、基板1の異方性エッチングの開始面となるSi面を露出した後、インク供給口16を形成していく。具体的にはまず、ポリエーテルアミド樹脂8を裏面マスクとして、開口部28内における基板1の裏面のSiO2膜6を除去する。その後、TMAHを異方性エッチング液として用い、シリコン基板1の裏面からエッチングを行って、犠牲層2にいたるインク供給口16を形成する。このエッチングにおいては、図3を参照して説明した過程によりエッチングが進行し、先導孔20の先端において、基板1の裏面に対して54.7°の角度に形成される<111>面が犠牲層2に至る。犠牲層2はエッチング液によって等方エッチングされ、インク供給口16はその上端が犠牲層2の形状に形成される。また、インク供給口16の図1におけるA−A線方向の断面は、<111>面によって“<>”型形状に形成される。
最後に、図5B(H)に示すように、エッチングストップ層4の、インク供給口16の開口部を覆う部分をドライエッチングにて除去する。次に、ポリエーテルアミド樹脂8及び保護材15を除去する。更に、ポジ型レジスト10を、インク吐出口14及びインク供給口16から溶出させることにより、インク流路及び発泡室を形成する。
以上の工程により、ノズル部が形成された基板1が完成する。そして、その基板1をダイシングソー等によって切断分離してチップ化し、各チップにおいて、インク吐出エネルギー発生素子3を駆動させる電気配線の接合を行った後、インク供給用のチップタンク部材を接続することで、インクジェット記録ヘッドが完成する。
なお、本実施形態では、厚さ600μmの基板1を用いてインクジェットヘッド用基板を製造したが、これよりも薄い、もしくは厚い基板に対しても、本発明のインクジェットヘッド用基板の製造方法を適用することができる。その際には、式(1)及び式(2)を満たすように、先導孔20の深さ及び開口部28の寸法を適宜変更する。
また、本実施形態に対して、図5B(F)から図5B(H)の工程を複数回実施してインク供給口16を形成する事ができる。つまり、表面側に到達しないように先導孔20の形成と異方性エッチングを実施し、その溝に対して更に先導孔20の形成と異方性エッチングを実施する事によってもインク供給口16を形成してもよい。その際、犠牲層に到達させる為の先導孔20を形成する時に、式(1)を適用する必要がある。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッド用基板の断面図である。
本実施形態のインクジェットヘッド用基板には、同一基板内に、第1の実施形態で説明した製造方法によって形成された複数のインク供給口が並列に配置されている。したがって、本実施形態のインクジェットヘッド用基板における各インク供給口16も断面が“<>”型形状を有している。
図8は、先導孔を用いない従来の製造方法によって形成されたインクジェットヘッド用基板の断面図である。図7と図8とを比較すると明らかなように、図8に示した本実施形態の構成によれば、各インク供給口16の基板裏面側の開口幅を図9に示した従来の構成に比べて狭くすることができる。そのため、本実施形態の構成では従来よりもインク供給口16同士の間隔を狭めることが可能であり、その結果、インクジェットヘッド用基板の小型化を図ることができる。さらに、本実施形態ではインク供給口16が“<>”型形状の断面を有していることから、隣接するインク供給口16同士の間に形成される色分離面50の幅を従来よりも広く形成することができる。そのため、隣接するインク供給口16同士でインクの混合が生じることを抑えることができる。
本実施形態におけるインクジェットヘッド用基板の製造方法においても、先導孔20の加工パターンや深さ、裏面マスク8の開口幅を適宜変更することにより、種々の“<>”型形状のインク供給口16を形成する事ができる。つまり、インク供給口16の裏面側の開口幅が大きく、“<>”型形状の頂点の位置が基板の裏面側に近い形状や、インク供給口16の裏面側の開口幅が小さく、樽型の頂点の位置が基板の厚さの半分近くにある形状も形成することができる。
上記したように、同一チップ内にインク供給口16が複数列並んだインクジェットヘッド用基板においては、上記の(式2)
(T/tan54.7°)×2+L≧Y
で求められる、互いに隣接するインク供給口16における裏面マスク8の開口幅の寸法Y1,Y2(図9参照)を、Y1>Y2、もしくはY1<Y2という関係にすることで、複数列のインク供給口16の“<>”型形状の頂点の深さ位置を変えることが可能となる。同一チップ内にインク供給口16が複数列並んだインクジェットヘッド用基板においては、“<>”型形状の頂点の深さ位置が異なるインク供給口16を並べることにより、チップの更なる小型化を図ることが可能となる。そのように構成されたインクジェットヘッド用基板の断面図を図9に示す。このように、隣接するインク供給口16の“<>”型形状の頂点の深さ位置を供給口同士で変えることにより、図7に示した構成に比べて、隣接するインク供給口16を“<>”型形状の頂点同士が重なるように近づけて配置することができる。そのため、インクジェットヘッド用基板の一層の小型化を図ることができる。さらに、図9に示した構成では、隣接するインク供給口16の“<>”型形状の頂点同士の距離が図7に示した構成に比べて大きくなるので、色分離面50を構成する部分の強度をより高くすることができる。
次に、図9に示したインクジェットヘッド用基板を含むインクジェット記録ヘッドの製造方法について、図10Aおよび図10Bを参照して説明する。なお、本発明はこのような実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるべき他の技術にも応用することができる。
図10A(A)に示した基板1の表面上には、発熱抵抗体等のインク吐出エネルギー発生素子3が複数個配置されている。また、基板1の裏面はSiO2膜6によってその全面が覆われている。さらに、アルカリ性の溶液によってインク供給口16を形成する際に溶解する犠牲層2が基板1の表面上に設けられている。インク吐出エネルギー発生素子3の配線やそのヒータを駆動する為の半導体素子は不図示である。この犠牲層2はアルカリ溶液でエッチングできる材料からなり、例えば、ポリシリコンや、エッチング速度の速いアルミ、アルミシリコン、アルミ銅、アルミシリコン銅などで形成される。また、エッチングストップ層4としては、基板1の異方性エッチング時に犠牲層2が露出した後、アルカリ溶液でのエッチングが進行しない事が必要である。エッチングストップ層4は、例えば、ヒータ3の裏面側に位置し蓄熱層として用いられる酸化珪素や、インク吐出エネルギー発生素子3の上層に位置し保護膜として機能する窒化珪素等で構成することが好ましい。
次に、図10A(B)に示すように、基板1の表面側と裏面側にそれぞれポリエーテルアミド樹脂7,8を塗布し、ベーク工程によりそれらを硬化させる。そして、ポリエーテルアミド樹脂7をパターニングする為に、基板1の表面側にポジ型レジスト(不図示)をスピンコート等により塗布、露光、現像し、ポリエーテルアミド樹脂7をドライエッチング等によりパターニングした後、ポジ型レジストを除去する。同様に、ポリエーテルアミド樹脂8をパターニングする為に、基板1の裏面側にポジ型レジスト(不図示)をスピンコート等により塗布、露光、現像し、ポリエーテルアミド樹脂8をドライエッチング等によりパターニングした後、ポジ型レジストを除去する。
ここで、基板1の裏面をパターニングする裏面マスク8の開口幅がインク供給口16の開口幅となるため、裏面マスク8の開口幅は、形成するインク供給口16の開口幅に合わせて選定される。図11に、図10A(B)に示した基板1を裏面側から見た平面図を示す。本実施形態では、裏面マスク8の開口部28の短手方向の開口寸法は、大きい方の開口部28の開口寸法Y1が800μm、小さい方の開口部28の開口寸法Y2が400μmである。
次に、図10A(C)に示すように、基板1の表面側にノズル流路となる型材料であるポジ型レジスト10をパターニングする。
次に、図10A(D)に示すように、ポジ型レジスト10上に被覆感光性樹脂12をスピンコート等により形成する。さらに、被覆感光性樹脂12上に、撥水材13をドライフィルムをラミネートすること等によって形成する。そして、被覆感光性樹脂12を紫外線やDeepUV光等によって露光、現像してパターニングすることにより、被覆感光性樹脂12にインク吐出口14を形成する。
次に、図10B(E)に示すように、ポジ型レジスト10及び被覆感光性樹脂12等が形成されている基板1の表面及び側面を、スピンコート等によって保護材15で覆う。
次に、図10B(F)に示すように、基板1の裏面側から表側に向けて、レーザー加工により先導孔20を形成する。この時、先導孔20は犠牲層2の中心に対して左右対称に2列に形成する。先導孔20の形成にはYAGレーザの3倍波(THG:波長355nm)のレーザ光を用い、そのレーザ光のパワーおよび周波数を適切な値に設定した。本実施形態では、先導孔20の径を約φ40μmに形成した。先導孔20の径は、約φ5〜100μmの径であることが望ましい。径が小さすぎると、この後に行われる異方性エッチングの際にエッチング液が先導孔20内に入りにくくなる。また、径が大きすぎると、所望の深さの先導孔20を形成するのに時間を要する。なお、先導孔20の径を大きくする場合には、それに応じて、隣接する先導孔20同士が重ならないように加工ピッチを設定する必要がある。また、各インク供給口16において同じ条件で先導孔20の加工を行うことで、基板1の表面側における各インク供給口16の開口幅を同じにすることができる。
図12に、図10B(F)で先導孔20を形成した際の基板1の裏面側の平面図を示す。基板1の表面側におけるインク供給口の開口予定位置100(図6では点線で表示している犠牲層がある場合は犠牲層2)に対応した位置に、ポリエーテルアミド樹脂(裏面マスク)8の開口部28が形成されている。この開口部28は図10(B)に示した工程で形成され、基板1に施される異方性エッチング用のマスクとして機能する。ここで、前述の近赤外線光を用いたシリコン基板厚み測定器を用いて、基板1の厚みを測定したところ600μmであった。犠牲層2の短手方向の幅は150μmである。複数のインク供給口16同士のピッチは1500μmである。短手方向における犠牲層2の中心から先導孔20の中心までの距離Xは100μmとした。これらの寸法に基づき、式1に適合するように、レーザ光の照射パルス数を設定して先導孔20の深さが490〜530μmとなるようにし、先導孔20を形成した。先導孔20は、開口部28内の領域に、開口部28の短手方向に200μmのピッチで、かつその長手方向に100μmのピッチで複数形成した。
なお、本実施形態ではYAGレーザの3倍波(THG:波長355nm)のレーザ光を用いて先導孔20の加工を行ったが、基板1の材料であるシリコンに対して穴加工ができる波長であれば、加工に用いることができるレーザ光はこれに限られない。例えば、YAGレーザの2倍波(SHG:波長532nm)も、THGと同様にシリコンに対する高い吸収率を有しており、これで先導孔20を形成してもよい。
次に、図10B(G)に示すように、基板1の裏面側の開口部28(図12参照)内のSiO2膜6を除去して、基板1の異方性エッチングの開始面となるSi面を露出した後、インク供給口16を形成していく。具体的にはまず、ポリエーテルアミド樹脂8を裏面マスクとして、開口部28内における基板1の裏面のSiO2膜6を除去する。その後、TMAHを異方性エッチング液として用い、シリコン基板1の裏面からエッチングを行って、犠牲層2にいたるインク供給口16を形成する。このエッチングにおいては、先導孔20の先端からエッチングが進行していき、先導孔20の先端において基板1の裏面に対して54.7°の角度に形成される<111>面が、犠牲層2に至る。犠牲層2はエッチング液によって等方エッチングされ、インク供給口16はその上端が犠牲層2の形状に形成される。また、インク供給口16の短手方向の断面は、<111>面によって“<>”型形状に形成される。本実施形態では、隣接するインク供給口16同士の間では“<>”型形状の頂点の深さ位置が互いに140μm前後ずれて形成されている。
最後に、図10B(H)に示すように、エッチングストップ層4の、インク供給口16の開口部を覆う部分をドライエッチングにて除去する。次に、ポリエーテルアミド樹脂8及び保護材15を除去する。更に、ポジ型レジスト10を、インク吐出口14及びインク供給口16から溶出させることにより、インク流路及び発泡室を形成する。
以上の工程により、ノズル部が形成された基板1が完成する。そして、その基板1をダイシングソー等によって切断分離してチップ化し、各チップにおいて、インク吐出エネルギー発生素子3を駆動させる電気配線の接合を行った後、インク供給用の部材を接続することで、インクジェット記録ヘッドが完成する。
なお、本実施形態では、厚さ600μmの基板1を用いてインクジェットヘッド用基板を製造したが、これよりも薄い、もしくは厚い基板に対しても、本発明のインクジェットヘッド用基板の製造方法を適用することができる。その際には、式(1)及び式(2)を満たすように、先導孔20の深さ及び開口部28の寸法を適宜変更する。
上記では、裏面マスク8の開口部28の短手方向の開口寸法を変えることによって、インク供給口16の“<>”型形状の頂点の深さ位置を変える例について説明した。
また、本実施形態では、シリコン基板上にインクの流路を形成する部材を形成した後に、先導孔20の形成を行う例の説明を行った。しかし、本発明はこれに限定されず、先導孔20とエッチングマスクが形成されたシリコン基板を用意した後に、シリコン基板上に流路を形成する部材を設けてもよい。
本発明の実施形態のインクジェット記録ヘッドの一部を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の製造方法が適用されるインクジェットヘッド用基板の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッド用基板の製造方法を示す図である。 インク供給口の長手方向に先導孔を1列だけ形成した場合を示す断面図である。 図3に示したインクジェットヘッド用基板の製造方法を適用したインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す図である。 図3に示したインクジェットヘッド用基板の製造方法を適用したインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す図である。 図5B(F)で先導孔を形成した際の基板の裏面側を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッド用基板の断面図である。 先導孔を用いない従来の製造方法によって形成されたインクジェットヘッド用基板の断面図である。 断面の頂点の深さ位置が異なる複数のインク供給口を有するインクジェットヘッド用基板の断面図である。 図9に示したインクジェットヘッド用基板を含むインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す図である。 図9に示したインクジェットヘッド用基板を含むインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す図である。 図10A(B)に示した基板1を裏面側から見た平面図である。 図10B(F)に示した工程で先導孔が形成された基板の裏面側を示す平面図である。 先導孔形成工程のシーケンスを示す図である。 先導孔が形成された基板の裏面側を示す平面図である。 先導孔が形成された基板の裏面側を示す平面図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2 犠牲層
3 吐出エネルギー発生素子
4 エッチングストップ層
8 裏面マスク
14 インク吐出口
16 インク供給口

Claims (7)

  1. インク供給口が形成されたインクジェットヘッド用基板の製造方法であって、
    シリコン基板の一方の面に、前記インク供給口を形成する部分に対応した開口部を有するエッチングマスク層を形成する工程と、
    前記一方の面の裏面に、シリコンよりも結晶異方性エッチングのエッチング速度が速い、前記シリコン基板の裏面における前記インク供給口の短手方向の開口幅を規定するための犠牲層を形成する工程と、
    複数の未貫通穴を、前記エッチングマスク層の前記開口部を通して、前記シリコン基板に前記開口部の長手方向に少なくとも2列に配列して形成する工程と、
    前記開口部より前記シリコン基板を結晶異方性エッチングにてエッチングし、該結晶異方性エッチングを前記犠牲層に到達させて前記犠牲層をエッチングすることにより前記インク供給口を形成する工程と、
    を有し、
    前記複数の未貫通穴は、前記開口部の短手方向の前記犠牲層の幅をL、前記シリコン基板の厚さをT、前記一方の面における、前記開口部の短手方向の前記犠牲層の中心から前記一方の面に延ばした中心線と前記未貫通穴の中心との間の距離をX、前記未貫通穴の深さをDとしたときに、
    T−(X−L/2)×tan54.7°≧D≧T−X×tan54.7°
    の関係を満たすように形成するインクジェットヘッド用基板の製造方法。
  2. 前記未貫通穴を前記開口部の長手方向に延びる中心線に対して対称に配置することを含む、請求項1に記載のインクジェットヘッド用基板の製造方法。
  3. 形成される前記開口部の前記短手方向の寸法をYとしたときに、
    (T/tan54.7°)×2+L≧Y
    の関係を満たすように前記エッチングマスク層を形成することを含む、請求項1または2に記載のインクジェットヘッド用基板の製造方法。
  4. 前記互いに隣接する前記開口部のうちの一方の前記開口部の短手方向における寸法をY1、他方の前記開口部の短手方向における寸法をY2としたときに、
    (T/tan54.7°)×2+L≧Y1、
    (T/tan54.7°)×2+L≧Y2、および
    Y1>Y2、またはY2<Y1
    の関係を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッド用基板の製造方法。
  5. 耐エッチング性を有するパッシベイション層を前記犠牲層を被覆するように形成する工程を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッド用基板の製造方法。
  6. 前記未貫通穴をレーザー加工によって形成する、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド用基板の製造方法。
  7. インクを吐出するエネルギーを発生させるエネルギー発生素子が表面側に形成され、かつ該エネルギー発生素子へインクを供給する複数のインク供給口が並んで形成されたシリコン基板と、
    インク吐出口と、該インク吐出口と前記インク供給口とを連通する複数のインク流路を形成する流路形成部材と、
    を有するインクジェットヘッドにおいて、
    前記各インク供給口は、前記複数のインク供給口の並び方向における幅が、前記シリコン基板の裏面側における前記インク供給口の開口部から前記シリコン基板の第1の深さ位置まで次第に広がり、該第1の深さ位置を断面の最大幅である頂点として前記シリコン基板の表面側に向かって次第に狭まる形状を有しており、
    前記各インク供給口における前記第1の深さ位置が、互いに隣接する前記インク供給口で異なっているインクジェットヘッド。
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