JP5027628B2 - 金属管内面の被覆欠陥検査方法及び被覆欠陥検査装置 - Google Patents

金属管内面の被覆欠陥検査方法及び被覆欠陥検査装置 Download PDF

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Description

本発明は上下水道配管等の埋設金属管内部に導電性液を満たしたまま、管内部に強制的に電流を供給することなく該金属管の腐食箇所より発生する腐食電流及び防食箇所に流入する防食電流を検知し、その電位差により該金属管内面に腐食を防止するために施された塗装等の絶縁性被覆やモルタル被覆等による被覆が損傷した位置を探査し、その際の腐食電流、腐食速度などを電気化学的に推定する金属管内面の被覆欠陥検査方法、およびそのために使用される被覆欠陥検査装置に関する。
一般に鋼や鋳鉄からなる配管内面には、腐食を防止するために塗装やモルタル被覆等の被覆物質による被覆(以下、単に被覆という)が施されている。しかしながら、何らかの原因によりこれらの被覆が損傷すると、その損傷部位から腐食反応が進行しやがて配管に腐食孔が生じるようになる。
腐食反応は配管のどこかに存在するカソード部(防食箇所で導電性液側から電流が流入する場所)とアノード部(被覆損傷箇所で電流の流出部、すなわち金属が溶解する腐食反応を起こす場所)間で生じ、被覆損傷部の腐食速度はカソードの大きさや両者間の距離の影響を受け、カソードの存在が大きな加速要因になっている。このため、配管の保全上、被覆損傷の有無とその位置を早期に発見すること及びカソードの存在(位置や大きさ)を評価することが重要である。
例えば、水道管においては、鋼管を敷設する際に現地で溶接が行われる場合があり、その際の熱影響により溶接部周囲の塗膜が損傷を受ける。そこで、水道管等の内部を導電性液が流れる金属配管では、溶接による熱影響が生じる部分(以下、開先部という)に耐食材料であるステンレス鋼が使用され、鋼管内面に例えばエポキシ系塗装を施して腐食対策を行っている。
この開先部にステンレス鋼を用いた鋼管(管端ステンレス鋼付塗覆装鋼管、以下「SUS開先鋼管」という)は鋼管内面の塗膜が健全なときは特に問題はないが、塗膜の損傷や劣化が生じた時、ステンレス鋼をカソードとし鋼をアノードとした異種金属接触腐食が生じこれが早期漏水の原因となる。しかも、塗膜の損傷面積が小さい程、SUS開先部との面積比が大きくなるので腐食速度も大きくなる。
また、内部を導電性液が流れる鋳鉄管等に電気絶縁されている接合部があると、片方の配管内面の被覆欠陥部から電流が流出し他方の配管の内面に流入するという、いわゆるジャンピング現象が起こり、電流の流れる向きによっては早期漏水の原因となることがある。
このような腐食現象を早期に発見し、漏水に至る前に補修を行うために、絶縁性被覆の劣化状況や鋼管の腐食状況(アノード位置とその大きさ、カソード位置とその大きさ)の評価が望まれている。
これに応える方法としては、従来から種々の被覆損傷検出方法が提案されているが、これらのうち、作業性や測定精度の面から優れている方法として電位差法が知られている。この電位差法の例として、例えば特許文献1には配管内に導電性液体を満たし、電源の一端に接続された電極を該導電性液体に浸け、他端はアース電極に接続して通電しながら、自走車に取り付けた2本の検知電極で配管内の電圧(電位差)を測定する技術が記載されている。
ここで、強制的に流した電流は導電性液体に浸かった電極から導電性液体を通して塗膜の欠陥部に流入し、配管外面から電流が流出し、土壌を介してアース電極に流入する。この際、水道水中に電位差が生まれ、この電位差の変化から欠陥部を推定するものである。
しかしながら、前記特許文献1に開示された技術では、例えば上述したSUS開先鋼管のように管内面に大きな面積の裸の金属が露出している場合、圧倒的に多くの電流がその部分に流入するので測定される電位差が極めて大きくなる。その影響により、最も腐食の恐れが高い、SUS開先部と隣接する鋼管内面の被覆欠陥部の小さな電位差は検出ができないという問題が生じる。その上、すべての金属面に電流が流入してしまうため、腐食反応を形成しているアノードとカソードの区別もできない等、鋼管内面の被覆欠陥部の検出精度が悪いという問題があり、その上、測定の際には通電用の電源装置や通電電極を設置する必要があり測定作業が煩雑となるという問題があった。
また、特許文献2のように、水道配管の内面の情報を得るために、カメラを搭載した水中ロボットにより配管内面を撮影し、その映像を解析する方法も周知である。しかしながら、水中カメラによる映像データのみでは単に汚れている部分と被覆欠陥部との区別が困難であるために、管内面の腐食箇所を的確に把握するに不十分である上、腐食程度の評価が定量的にできないという問題があった。
特開昭63−238589号公報 特開平10−221257号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、内面に被覆を施した金属管の該被覆の欠陥を、従来の電位差法による方法に比べてより精度良く、また、より簡便な金属管内面の被覆欠陥検査方法、及びそのための被覆欠陥検査装置を提供することを課題とする。
本発明者等は前記課題を解決するべく、金属管内部に導電性液を満たしたまま該金属管の内面に被覆されている被覆の欠陥を電気化学的な手法により探査し、検知する方法について鋭意検討の結果、従来の電位差法のように別途外部の電源から通電することなく、導電性液が満たされた被検査金属管中において少なくとも一対の電位センサを走査させ、もしくは該管内に設置することで該導電性液が満たされた金属管内部のそれぞれの箇所で生じている電位差が十分に検知可能であり、そのため被検査金属管のそれぞれの箇所での電位差とその変化を検知するだけで該金属管の被覆欠陥部の場所が精度良く検出でき、さらに前記方法に水中カメラによる金属管内壁の映像情報を適用することによって、さらに精度よく金属管内面の欠陥検査を行うことができる外、金属管の腐食電流や腐食速度の推定も可能で、金属配管の保守のために有用であるとの知見を得て本発明を完成させた。
すなわち、本発明の金属管内面の被覆欠陥検査方法、及び被覆欠陥検査装置は以下の構成からなる。
(1) 内面に被覆物質による被覆が施されていて内部に導電性液体が満たされた金属管の腐食箇所(アノード部)から流出する腐食電流及び防食箇所(カソード部)に流入する防食電流によって形成される前記金属管内における電位差を、外部電源から前記金属管内の導電性液体に通電することなく少なくとも一対の電位センサを用いて計測し、該電位差が変化する位置を検知することにより前記金属管の腐食箇所及び防食箇所を検出することを特徴とする金属管内面の被覆欠陥検査方法。
(2) 前記少なくとも一対の電位センサを、前記金属管内の該金属管の軸方向及び/又は該金属管の軸方向と交差する断面上で走査して前記電位差を計測することを特徴とする前記(1) に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
()前記検出される電位差の変化する位置が、前記金属管内における電位差が連続に増加または減少している領域の中点又はその近傍であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
()前記検出される電位差の変化する位置が、前記金属管内における電位差の極性が変わる点であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
()前記少なくとも一対の電位センサを前記金属管内部の管軸方向に走査して、前記一対の電位センサ間の電位差(ΔE)を計測し、前記金属管の断面積(S)、前記一対の電位センサ間の間隔(L)、及び前記導電性液の抵抗率(ρ)および前記金属管内における導電性液の充填率(α)から下記式〔1〕を演算して前記金属管内面における腐食箇所(アノード部)から流出する腐食電流及び防食箇所(カソード部)に流入する防食電流(I)を推定することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
I=(ΔE・S・α)/(L・ρ)・・〔1〕
()水中カメラを前記金属管内に3次元的に走査させて該金属管の内壁面の映像を撮影し、得られた該壁面の映像及び前記電位差の変化から該金属管の前記腐食箇所(アノード部)、及び前記防食箇所(カソード部)の位置を検知することを特徴とする前記(1)〜(4)のいづれかに記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
()前記水中カメラにより得られた前記金属管の内壁面の映像をもとに、該内壁面の腐食面積(A)を求め、該腐食面積(A)と前記腐食電流(I)から下記式〔2〕を演算して前記金属管内面の腐食箇所(アノード部)の腐食速度(υ)を推定することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
υ=κ・I/A・・〔2〕
(但し、前記式中、κはファラディーの法則から求まる前記金属管の種類で決まる係数である)
()前記少なくとも一対の電位センサの間隔(L)が、前記金属管の内径の1/6〜1/2であることを特徴とする前記(1)〜()のいづれかに記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
()導電性液体が満たされた金属管内部の電位差を測定するための少なくとも一対の電位センサと、前記金属管内部において前記少なくとも一対の電位センサを走査するための駆動手段と、前記少なくとも一対の電位センサにより前記金属管内部を走査したときの該電位センサの移動距離検知手段と、前記少なくとも一対の電位センサ、及び前記移動距離を検知する手段からの出力信号を入力して記憶、演算し、前記金属管内での電位差、及び該電位差が変化する位置を検出する記憶、演算手段とを少なくとも具備することを特徴とする前記(1)〜(8)のいづれかに記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法のための金属管内面の被覆欠陥検査装置。
(10)前記駆動手段により前記金属管内部を移動させて該金属管内壁の映像を撮影するための水中カメラを具備したことを特徴とする前記(9)に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法のための金属管内面の被覆欠陥検査装置。
本発明によれば、被検査金属管内の軸方向における電位差の変化と電位差計測開始地点から前記電位差の変化を検知した地点までの距離の計測とにより、金属管内部の導電性液を排出し、電源装置や通電電極を設置して通電するといった煩雑な作業を行うことなく、検出が困難な該管内面の腐食箇所である被覆欠陥部(アノード部)及び防食箇所(カソード部)の位置を精度よく、かつ、簡便に特定することができる。
また、金属管の中心方向への腐食電流による電位差も検知できるので、一層正確に被覆の欠陥部の位置を特定することができ、探査、検出を精度よく簡便に行うことが可能となる。
さらに水中カメラによる被検査管内の映像情報を併用することにより、電位センサにより電位差の変化を検知した箇所のみを水中カメラで精査すればよいので、被覆欠陥部の特定に要する時間を格段に短くすることができる。
また、本願発明によれば検出された個々の被覆の欠陥部について、腐食電流または腐食速度を推定することができるので、これらを比較することにより、被覆の補修計画に役立てることができる。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
図11に示すように、例えば内部に導電性液が満たされ、その内面に被覆が施された鋼管部51内の一部分に被覆が欠落した被覆欠陥部54があると、鋼管部51の内部では図11の矢印で示すような方向にアノード部となった欠陥部54からカソード部となったSUS開先部52に向かって腐食電流が流れる。
本発明の金属管内面の被覆欠陥検査方法(以下、単に本発明の欠陥検査方法ともいう)
は、例えば鋼管部51内に電位センサ57a、57bからなる一対の電位センサを鋼管部51内に配置して、鋼管部51内の任意の場所に移動させ、各電位センサからの出力をケーブル58により鋼管部51外に取り出し得るようにしておくことにより鋼管部51内の各場所での電位差を測定しこの電位差が変化する位置を検知することによって鋼管部51の被覆欠陥部54の場所を特定する。
より具体的には、鋼管部51の軸に平行な方向における複数の位置とその各位置での電位差との関係を表す曲線(以下、電位差分布曲線という)を求め、該電位差分布曲線から鋼管部51内の電位差が局部的に一定の値から連続的に上昇(又は下降)してこれよりもより高い(低い)一定の電位差へと大きく変化する領域の中点又はその近傍、もしくは電位差が局部的に変化する領域において電位差が一方の極性から他方の極性へと変化する際の電位差が零となる位置が被覆欠陥部54であり、この点を検知することによって被覆欠陥部54の位置が特定される。
本明細書において言う「電位差が変化する位置」とは、導電性液体が満たされた被検査金属管内において少なくとも一対の電位センサを走査し、上記のようにして該金属管内における前記の電位差分布曲線をもとめ、(i) 電位差が局部的に連続して大きく変化する領域の中点又はその近傍、(ii) 電位差の極性が一方の極性から他方の極性へと変化する際の電位差が零となる位置、もしくは (iii) 絶縁して接続された2つの管におけるジャンピング電流のように電流の出入りする位置(アノードとカソード)が近接している場合の電位差分布曲線に見られるように、電位差がその位置の前後で急激に変化して電位差分布曲線にシャープなピークが現れる場合の該ピークの位置又はその近傍をいい、その位置が被覆欠陥の存在する場所に相当する。
なお、本発明の被覆欠陥検査方法において、被検査金属管内に満たされる導電性液体は必ずしも該管内全体に満たしておく(充填率が100%である)必要はなく、導電性液体が満たされた被検査金属管内には一部空隙があってもよい。
本発明の欠陥検査方法は、内面に被覆が施された金属管(以下、単に金属管ともいう)内の部分的な腐食等による被覆欠陥を、腐食反応に伴う金属管内での微弱な電流による電位差を計測することにより、腐食箇所(アノード部)と防食箇所(カソード部)を探査する欠陥検査方法であって、導電性の液体が満たされた金属管内部の軸方向、断面方向、管内壁面の周方向等、任意の方向に向けて水中ロボット等の駆動手段に搭載された少なくとも一対の電位センサを走査して、該金属管内における腐食箇所(アノード部)及び防食箇所(カソード)部の間に形成される電位差の分布を計測し、その電位差の変化する位置を検知することによって金属管内面における腐食箇所(アノード部)と防食箇所(カソード部)を特定する外、腐食(及び防食)電流の推定、及び腐食速度の推定を行うものである。本発明の欠陥検査方法においては金属管内部の電位差の分布を測定するに際し、従来の方法のように金属管内部の導電性液体中に外部電源から通電を行う必要はない。
図1〜図3は本発明の欠陥検査方法の一実施例を説明する概略図であって、図1は本発明の欠陥検査方法を実施するための装置の配置構成を例示する概略図であり、管内面が防食塗装された被検査鋼管である塗覆装鋼管3(以下、鋼管部3という)の両端にSUS開先部2、2を有するSUS開先鋼管1の内部の被覆欠陥部4(図では面積の異なる4箇所の被覆欠陥部を例示)を有する鋼管部3内において探査用水中ロボット5(以下、水中ロボット5という)を走査することにより探査する配置構成を示したものである。図2は水中ロボット5の側面の外観(図2のa)、および正面(図2のb)の外観を示す概略図である。
本実施例の欠陥検査方法は、図2に例示すように水中ロボット5の下部の軸に平行な同一線上に電位センサ7-1、7-2を所定の間隔で搭載し、さらにその周囲には電位センサ7-2と同一断面上に、鋼管部3の管軸と直角な管断面上の電位差を検出するための電位センサ7-3、7-4および7-5が90°間隔で配置されている。なお、電位センサ7-2は管断面上の電位差を検出するための電位センサを兼ねている。また、図2では電位センサ7−2〜7−5は鋼管部3の管軸に直角な同一断面上に配置した例を示したが、これら電位センサ7−2〜7−5は鋼管部3の管軸に対して斜め方向に交差する断面上に配置しておいてもよい。鋼管部3内の電位差の計測には上記各電位センサの中、少なくとも一対の電位センサ(すなわち、少なくとも2つ1組の電位センサ)から出力される電位差測定信号を利用する。
さらに本実施例では、水中ロボット5の正面に水中カメラ6が搭載され、各電位センサからの計測データとともに、水中カメラ6で撮影した映像がその後部に接続されたケーブル8を介して鋼管部3の外部に送信される。なお、図示していないが水中ロボット5には推進装置や姿勢制御装置等が備えられていて、電位センサ7−1〜7−5を導電性液体が満たされた鋼管部3の内部の所望の方向に走査することによって、鋼管部3内の所定の地点における電位差の検出と撮影がなされる。
図3は本実施例で用いられる電位センサ(7-1〜7-5の一つ)を拡大した断面を示す概略断面図であり、電位感知部7Aと溶液7Cとをケース7Dに収納するとともに、接続部7Bを介しケーブル8Aに接続されている。ケース7Dは台座7Eに装着され、その先端には液絡部7Fを有するキャップ7Gが取り付けられている。
電位センサ7-1〜7-5はこのような構成により、水中ロボット5を動作させず保管中であっても電位感知部7Aは溶液7Cに浸漬される。また、ケース7Dが水中ロボット5と着脱容易に構成されているので、電位センサ7-1〜7-5を容易に交換できる。
鋼管部3内の被覆欠陥部4の有無を探査するには、前記のように構成された水中ロボット5を分岐管9からSUS開先鋼管1の内部に挿入して、図示していない推進装置や姿勢制御装置を駆動させることによって、電位センサ7-1〜7-5を鋼管部3内の任意の場所へ移動させて鋼管部3内の電位差を順次計測するが、その移動方向としては被覆欠陥部4の解析がし易い点で、管軸に平行な方向、該管軸に交差する断面上、及び鋼管部3の内壁の周上を走査し移動させるのが好ましい。
電位センサ7-1〜7-5からの計測データはデータロガー10に記録され、水中カメラ6で撮映した映像はディスプレイ装置11に画像表示されると共に、既存のビデオテープやDVDにも録画される。そしてケーブル8の送出部には、ロータリエンコーダ(図示せず)が装着され、水中ロボット5を送り出した距離が記録される。
なお、本実施例では電位センサ7-1〜7-5の5対の電位センサを特定の場所に搭載した例について示したが、水中ロボット5に搭載する電位センサの数は図1に例示した数及び場所である必要はなく、水中ロボット5による走査領域の調整で任意の場所に少なくとも1対以上搭載しておけばよいことはいうまでもない。
図5は、内面が液状エポキシ樹脂塗料で被覆された鋼管部3の図1に示すSUS開先鋼管1の左側開先部2からおよそ160cmだけ右側開先部2側によった箇所の底部の被覆に、それぞれ1mmφ、2mmφ、5mmφ、10mmφ、20mmφ、及び50mmφの大きさの被覆欠損部4を設けたSUS開先鋼管1の鋼管部3にそれぞれ水道水を満たし、図2に示す水中ロボット5を鋼管部3の中心部においてその管軸方向に走査し計測した時の鋼管部3内の電位差を示すグラフ(電位差分布曲線)であり、図5の横軸はロータリエンコーダにより測定された、電位センサ7-1、及び7-2が搭載された水中ロボット5の左側開先部2からの移動距離で、縦軸は電位センサ7-1、及び7-2によって計測された電位差である。また、図5における曲線a、b、c、d、e、及びfはそれぞれ被覆欠損部4の大きさが1mmφ、2mmφ、5mmφ、10mmφ、20mmφ、及び50mmφである場合について示したものである。
図5の電位差分布曲線は鋼管部3の中心部管軸方向での電位差の変化の状況を表しており、図5の曲線a〜fの比較からわかるように、径の大きい被覆欠陥部4を有する鋼管ほど電位差及びその欠陥部近傍での電位差の変化が大きくなるが、いずれの場合も被覆欠陥部4から離れた領域では電位差が一定であるのに対して、被覆欠陥部4に近づくと電位差が大きく変化して、電位差が“零”である点を通過後±の符号(電位差の極性)が反転した。しかしながら、その反転する位置は被覆欠陥部4の大きさによらずほぼ同じであった。
そして、被覆欠陥部4の大きさによらず電位差が“零”である通過点(電位差の極性が変わる点)はいずれも開先部2からの距離がほぼ等しく、その位置は被覆欠損部4を設けた場所とほぼ同じであって、電位センサ7-1、及び7-2とともに搭載した水中カメラ6による映像により確認した被覆欠陥部4の場所ともほぼ一致した。なお、本例では電位差分布曲線において電位差が零である点(電位差の極性が変わる点)は電位差が連続して変化する領域のほぼ中間点でもあった。
図6は前記図5の測定に用いたSUS開先鋼管1の中、大きさが20mmφの被覆欠陥部4が設けられたSUS開先鋼管1について、図5の測定の場合と同様に水中ロボット5を管のほぼ中心部において管軸に平行な方向に走査して、前記と同様にして電位センサ7-1〜7-5で計測した時の、鋼管部3内の電位差を示すグラフ(電位差分布曲線)であり、図6の横軸は左側開先部2からの移動距離で、縦軸は電位センサ7-1〜7-5の各電位センサによって計測された電位差であり、図6における曲線a、b及びcはそれぞれ電位センサ7−1、7−2により計測された管底側(被覆欠陥部4が設けられた側)の管軸に平行な長手方向での電位差、7−2、7−3により計測された管軸に対して直交する鉛直方向での電位差、及び7−4、7−5により計測された管軸に平行な水平方向での電位差を示したものである。
図6は鋼管部3の中心部管軸方向における長手方向、鉛直方向、及び水平方向での各電位差を表しており、図6からわかるように、管軸方向(長手方向)の電位差の変化(図6の曲線a)は図5と同じ傾向を示し、電位差が“零”の点を通過後、±の符号(電位差の極性)が反転する位置と水中カメラ6による映像から、開先部2からほぼ160cmのところに欠陥部4が存在することが確認された。
なお、鋼管部3の鉛直方向の電位差の変化(図6の曲線b)をみると、管底部の被覆欠陥部4から管断面中心に上向きに流れている腐食電流が計測されたことにより、被覆欠陥部4の位置の少し手前をピークとする電位差に変化が現れた。これにより、被覆欠陥からの電流は鋼管部3の下部から上部へ流れていることが分かり、被覆欠陥は下部に存在すると推理することができる。一方、水平方向の電位差(図6の曲線c)には鋼管部3の中心部管軸方向における場所による電位差の変化は認められなかった。
図7は前記図5の測定に用いたSUS開先鋼管1について、水中ロボット5を鋼管部3の中心軸から見て下部、中心部および上部においてそれぞれ鋼管部3の管軸方向に走査し、電位センサ7-1、7-2により管軸方向の電位差を計測した時の鋼管部3内の電位差を示すグラフ(電位差分布曲線)であり、図7の横軸は水中ロボット5の左側開先部2からの移動距離で、縦軸は電位センサ7-1、及び7-2によって計測された電位差であり、図7における曲線a、b及びcはそれぞれ鋼管部3の中心軸から見て上部、中心部及び下部管軸方向での電位差を示している。
図7は鋼管部3の中心軸から見て下部、中央部(管軸の方向)および上部における各管軸方向での電位差を表しており、図7からわかるように、鋼管部3の下部を走査した場合(図7の曲線c)、電位差が“零”となる点の前後に被覆欠陥部4の腐食電流密度が大きいことによるピークが現れるものの、鋼管部3の上部(図7の曲線a)、中央部(図7の曲線b)および下部(図7の曲線c)のいづれの場所を走査した場合も、図5に例示の場合と同様に、被覆欠陥部4から離れた位置の電位差は一定であり、被覆欠陥部4に近づくと電位差が変化するため、電位差は“零”の点を通過後で±の符号(電位差の極性)が反転する。
その反転する位置は鋼管部3の中心軸からみて下部、中央部(管軸の近傍)、上部によらずほぼ同じ位置であり、この電位差が“零”の点を通過後、±の符号(電位差の極性)が反転する位置は、図7からわかるように電位差が局部的に連続して大きく変化する領域の中間点でもあるところの、SUS開先部2からおよそ160cm離れたところにあって、電位センサとともに搭載した水中カメラ6による映像により特定した被覆欠陥部4の場所ともほぼ一致することが確認された。
なお、この場合、曲線a、b及びcの比較からわかるように、電位センサの位置が被覆欠陥部4に近いほど電位差が大きい傾向にあると共に、電位差が連続的に大きく変化しはじめ、変化し終わる領域の前後での電位差のピークの有無(図7では曲線cとa、cとbとの曲線形状の違い)で検査装置の走査位置が被覆欠陥に近いか遠いかの判断も行うことができる。
図8及び図9は図1の左側開先部2の位置に、鋼よりも電位が貴な異種金属からなる砲金製バルブが取りつけられた鋼管部3を用いた以外は図1と同様の配置構成(SUS開先なし)からなる鋼管部3内の底部にそれぞれ、5mmφ、10mmφ、20mmφ、及び50mmφの大きさの被覆欠損部4が設けられた鋼管部3の管軸の近傍(図8)、及び下部(被覆欠陥部4が設けられた側、図9)において、それぞれ水中ロボット5を被覆欠損部4を中心にして鋼管部3の管軸に平行な左右方向に走査した時の被覆欠損部4から左右方向への移動距離(各横軸)と各地点における電位差(各縦軸)との関係を示すグラフ(電位差分布曲線)で、鋼管部3の被覆欠損部4を中心とする左右両側の管軸方向における電位差の変化を表しており、図8、図9において曲線a、b、c及びdはそれぞれ被覆欠損部4の大きさが5mmφ、10mmφ、20mmφ、及び50mmφである場合について例示するものである。
図8からわかるように、被覆欠損部4の大きさによらず被覆欠損部4から離れた位置での電位差は一定であり、被覆欠損部4に近づくと電位差が変化しはじめるが、被覆欠陥部4から先(グラフ右側)には電流が流出していないので、電位差は“零”にとどまる。
鋼管部3の管軸の近傍で電位センサを走査した図8のケースでは被覆欠陥部の大きさによって欠陥部の特定が多少困難になるが、この電位差に変化が現れる領域のほぼ真ん中の位置が被覆欠陥部4の存在する場所に相当する。
一方、電位センサが欠陥部に近い鋼管部3の下部を走査した図9の例では電位差分布曲線に電位差が“零”となり引き続きその極性が反転する点を通過する位置が認められ、その位置は被覆欠損部4の大きさによらずほぼ一定であり、この電位差の極性が変化する位置を検知することによって被覆欠損部4の場所が特定できることがわかる。この電位差の極性が変化する位置は図8のケースと同様、電位差が一定値から連続して変化しはじめる位置と、連続して変化した電位差が再び一定値となる位置とのほぼ真ん中の位置に相当する。
また、図9に例示のケースでも図7の曲線cと同様に電位センサは被覆欠損部4に近い鋼管部3の管の下部を走査しているので、電位差が“零”となる位置の前後に被覆欠陥部4付近の腐食電流密度が大きいことによるピークが現れるので、被覆欠損部4の前後に現れるピークの位置によっても被覆欠陥部4の位置の特定が容易になる。
なお、前記実施例では電位センサ7-1〜7-5を水中ロボット5に搭載して鋼管部3内を走査することによって鋼管部3部内における電位差を計測する例を示したが、前記実施例において水中ロボット5に代えて、所定の位置に電位センサが取り付けられたファイバースコープカメラや、電位センサを装備した中性浮力のケーブルを鋼管部3内に挿入し、該電位センサからの計測データをデータロガー10に記録するようにしてもよい。
また、前記実施例において水中ロボット5には電位センサと共に水中カメラ6を搭載した例について例示したが、水中カメラ6等の撮像手段は併用せず、各電位センサ7−1〜7−5から計測される電位差の計測データのみをもとに、被覆欠陥部位の検出を行うことも十分に可能である。
さらに本願発明の欠陥検査方法は、前記実施例に例示の装置以外にもファイバースコープカメラに電位センサを付設したものや、配管類内部の清掃用に用いられるスプリング状ワイヤーに一定間隔で電位センサを付けたものなど、種々の装置を採用することもできる。
図4は本発明のさらに別の実施例を例示するもので、内面に絶縁被覆を施した鋳鉄管12のゴムなどの絶縁物質15により電気絶縁されている接合部13を挟んでその両側の鋳鉄管12、12に一対の電位センサ14、14を設置して、管内の導電性流体中を流れるジャンピング電流を計測する装置の配置構成を示した概略断面図である。
ジャンピング電流は必ず絶縁された接合部13を挟んで発生するので、鋳鉄管12、12中において水中ロボットを操作することなく本例のように管の接合部をまたいでその両端に最初から配管内に電位検知センサ14、14を配置しておいても良い。
図10は図4に例示するように、内面に絶縁被覆を施した鋳鉄管12、12がゴム15により電気絶縁されている接合部13を挟んで、右側鋳鉄管12から左側鋳鉄管12に向けて流れているジャンピング電流を、図4に例示したように接合部13を挟んでその両側の鋳鉄管12、12に一対の電位センサ14、14を設置するのではなく、鋳鉄管12、12の接合部13の底部に形成した被覆欠陥部16の近傍、鋳鉄管12、12の中央部、及び被覆欠陥部16から最も離れた部分において、一対の電位センサ7−1、7−2が搭載された水中ロボット5を、被覆欠陥部16を基点として鋳鉄管12、12の左右方向に移動させ、そのときの電位差を計測したときの接合部13から左右方向への移動距離と各地点における電位差との関係を示すグラフで、鋳鉄管12、12の接合部13に設けた被覆欠陥16を中心としてその左右方向でのジャンピング電流による電位差の変化を表している。なお、図10において曲線a、b及びcはそれぞれ鋳鉄管12、12の中心軸から見て、中心部、下部及び上部における管軸方向の電位差の変化の様子を表している。
配管及びその被覆欠陥部とが図4に例示したような位置関係にあるような場合、ジャンピング電流は配管の被覆欠陥部から流出入する局部的電流であるため、水中ロボット5の走査位置で電位センサ7−1、7−2の感度及び計測される電位差の形状が異なるが、図10からわかるように被覆欠陥部16と電位センサ7−1、7−2との距離によって電位差の変化の程度は異なるものの、鋳鉄管12、12の接合部13の下部(接合部13の底部の被覆欠陥部16近傍)を走査する場合では被覆欠陥部近傍を堺にして電位差が大きく増減して変化し(曲線b)、この大きく変化する様子からジャンピング電流の流出入を明確に捕らえている。
本実施例は、本発明でいう電位差が変化する位置を示す第三の例であり、電流の出入りする位置(腐食箇所及び防食箇所)が近接していて、電位差分布曲線に急峻なピークが見られる場合であって、このように配管内の電位差分布を測定したときこの電位差分布曲線に急峻なピークが認められる領域(又はその近傍)においても被覆欠陥が存在する。したがって、本発明の欠陥検査方法により図10に類似の電位差分布曲線が得られた場合には、アノードとカソード(腐食箇所及び防食箇所)とが近接して存在するものと判断することができる。
本例の場合には、右側の配管の接合部で腐食が進行しやがて漏水に至る。しかし、測定した電位差の符号が逆であれば、左側の配管の接合部付近の欠陥で腐食が進行するが、構造から見ても分かるように、腐食が進んでも漏水に至る可能性は小さい。
なお、ジャンピング電流は、鋳鉄管12、12の接合部13付近に限定される場合が多いので、配管内において水中ロボットなどの移動手段を用いて電位センサを移動させることなく、図4に示すように予め配管の継ぎ目近傍に電位センサ14を設置しておくことで、鋳鉄管12、12間に流れるジャンピング電流の有無、向き及び大きさを評価することができる。
本発明のさらに別の被覆欠陥検査方法は、例えば図8及び図10に例示したように異種金属腐食やジャンピングなどの腐食反応に伴い配管中の導電性液中を流れる電流による電位差から腐食箇所での被覆の欠陥部の腐食電流を推定する方法である。
すなわち前記の図5の測定と同様にして、少なくとも一対の電位センサを搭載した水中ロボットを例えば金属管内部の管軸方向に走査して前記の方法により金属管内部の被覆欠陥部を検出するとともに、その際に計測される該被覆欠陥部近傍での一対の電位センサ間の電位差(ΔE)と、予め知られる被測定金属管の軸に直交する面の断面積(S)、このとき使用した一対の電位センサの間隔(L)、及び導電性液の抵抗率(ρ)から下記式〔1〕を演算することにより、該金属管内部の被覆欠陥部における腐食電流の実測値に近似した腐食電流(I)を推定するものである。
ただし、配管内部の導電性液が管内に完全に充満していれば良いが、上部に空隙が存在する場合もあるので、導電性液の充填状況を考慮する必要がある。そこで、導電性液の充填率αを乗じて補正する。配管内に導電性液が完全に満たされていればα=1となる。
なお、前記導電性液の充填率αとは、被測定配管が水平に置かれた状態での導電性液の充填率をいい、導電性液が満たされ、水平に置かれた被測定配管の管軸に垂直な断面を見たとき、該断面全体に対して導電性液の部分が占める割合に相当する値である。
I=(ΔE×S×α)/(L×ρ)………〔1〕
ここで、被覆欠陥部から配管の左右に腐食電流が流れているときは、右側の電位差をΔE、左側の電位差をΔEとすると、右側方向へ流れる電流Iおよび左側方向へ流れる電流Iはそれぞれ次のようになる。

=(ΔE×S×α)/(L×ρ)
=(ΔE×S×α)/(L×ρ)
したがって、前記〔1〕式の腐食電流Iは次のようになる。
I=I+I={(ΔE+ΔE)×S×α)/(L×ρ)}
また、本発明のさらに別の欠陥検査方法は、前記の方法により推定された腐食電流(I)と電位センサと共に水中ロボットに搭載した水中カメラにより撮影された金属管内壁の映像を解析して得た被覆欠陥部の腐食面積(A)及びファラデーの電気化学の法則により求められる既知の係数(κ)に基づいて下記式〔2〕を演算することにより、該被覆欠陥部の腐食速度(υ)を推定するものである。
υ=κ×I/A………〔2〕
図1に示す配置構成と同様に、SUS開先部を設けた試験金属配管の該開先部からおよそ160cm離れた位置に、被覆欠陥部の直径がそれぞれ5mm、10mm、20mm及び50mmの模擬欠陥を設け、該試験金属配管の内部に抵抗率(ρ)が5000Ω・cmである導電性液を満たし、模擬欠陥とSUS開先部を短絡状態にして、導電性液中の電位差(ΔE)、実際に模擬欠陥部とSUS開先部との間に流れる電流(腐食電流I)を測定するとともに、各模擬欠陥部の腐食速度を実験的に実測した。なお、電流測定には回路に流れる電流の妨げにならないよう、ゼロ抵抗電流計17を用いた。
一方、上記のようにして得られたΔE値に基づいて{(ΔE×S×α)/(L×ρ)}の演算値(前記〔1〕式)から腐食電流(I)を演算するとともに、得られた腐食電流(I)から前記の{(κ×I)/A}の値(前記〔2〕式)を演算することによって、被覆欠陥部における腐食電流(I)及び腐食速度(υ)を算出した。
このようにして得られた腐食電流(I)及び腐食速度(υ)の計算値と実測値とを表1に示す。
表1からわかるように、本発明の検査方法により得られる腐食電流、及び腐食速度は、実験値によく近似しており、本発明の欠陥検査方法によれば鋼管内の被覆欠陥部における腐食電流及び腐食速度は該欠陥の大きさと電位差から比較的精度良く予測できることがわかった。
Figure 0005027628
本願発明の欠陥検査方法を実施する場合、その検査精度をより高め得る点で、使用される一対の電位センサの両電極間の距離(L)は検査される金属管の内径に対してその1/6〜1/2の範囲の間隔で水中ロボットや検査冶具に取り付けるのが好ましい。
本発明の第1の金属管内面の被覆欠陥検査装置(本発明の欠陥検査装置という)は、例えば図2のような概略構成からなり、液体内における電位差を測定するための少なくとも一対の電位センサと、内部に液体が満たされた金属管内において該各電位センサを走査して移動させるための、例えば遠隔操作により金属管内の液体中を所望の方向に向かって前記電位センサを移動させる水中ロボット等の駆動手段と、前記金属管内部を走査して前記少なくとも一対の電位センサを移動させたときの該電位センサのそれぞれの移動距離を計測する手段と、前記駆動手段により電位センサを前記金属管内部において走査し、移動させた時の該電位センサの移動距離を記録するためのロータリエンコーダなどを備えた電位センサの移動距離記録手段と、前記少なくとも一対の電位センサの出力信号を入力して計測された各地点での電位差を記憶させるとともに、前記電位センサの移動距離記録手段により記録された各電位センサの移動距離をもとに、金属管内における電位差分布、及び該電位差の変化する場所を検知するための演算を行う記憶、演算手段とを少なくとも具備してなる。
金属管内面の被覆欠陥の有無の検査を行うには、例えば図1〜3に例示の配置構成とした本発明の欠陥検査装置を用い、水中ロボット等の駆動手段に少なくとも一対の電位センサを搭載して、前述のように導電性液体が満たされた被検査金属管内を走査して該金属管内の電位差分布、及び該電位差分布が変化する位置を検知することによって、前記本発明の被覆欠陥検査方法よって被検査金属管内面の被覆欠陥を検査することができる。
なお、本発明の欠陥検査装置には水中ロボット等その駆動手段に水中カメラを搭載し、外部に設置されたディスプレイにより被検査金属管の内面の撮影映像を表示し得るようにすることによって、被検査金属管内の被覆欠陥箇所の特定をより正確に行うことができるのでより好ましい。
本発明の第2の欠陥検査装置は電位センサを走査するための駆動手段、及び該電位センサの移動距離検知手段を具備していない以外は本発明の前記第1の欠陥検査装置と同様の構成からなり、この装置により金属管内面の被覆欠陥の有無の検査を行うには、前記本発明の第1の欠陥検査装置の電位センサの移動距離検知手段により各電位センサの移動距離を検知する代わりに予め各電位センサ毎に被検査金属管内における電位センサの設置位置を記憶、演算手段に入力して記憶させておき、これと対応する各電位センサにより計測され該記憶、演算手段に入力されてくる各電位差測定値を予め入力されているプログラムに基づいて演算処理して、被検査金属管内の電位差分布、電位差が変化する位置、絶縁材を介して鋳鉄管の接合部付近で流れるジャンピング電流の有無、その向き及び大きさを検出することによって、前記本発明の第1の欠陥検査装置と同様にして前記本発明の被覆欠陥検査方法より被検査金属管内面の被覆欠陥を検査することができる。
本願発明によれば内表面が被覆され、かつ、内部に導電性液体が満たされた金属管内において少なくとも一対の電位センサを走査して該金属管内の被覆が欠落して腐食が生じた部分の腐食により生じた被覆欠陥部(アノード部)から流出する腐食電流、及び防食箇所(カソード部)に流入する防食電流によって生じる電位差、及びその変化を検知することにより、金属管内の被覆欠陥箇所及びその腐食速度などを、外部からの電源による通電を行うことなく簡便、かつ高精度に測定でき、例えば上下水道等の配管を非破壊的に検査する方法として有用である。
本発明により鋼管内面の被覆欠陥部を探査するための装置の配置構成の一実施例を例示する概略図である。 本発明において用いられる水中ロボットの側面(a)および正面(b)の概略構成図である。 本発明において用いられる電位センサの概略断面図である。 本発明の他の実施例である、鋳鉄管の欠陥検査における電位センサの設置例を示した図である。 本発明の検査方法によって得られた内部に被覆欠陥部を有する金属管内の電位差分布の一例を示すグラフである。 本発明の検査方法によって得られた内部に被覆欠陥部を有する金属管内の電位差分布の他の例を示すグラフである。 本発明の検査方法によって得られた内部に被覆欠陥部を有する金属管内の電位差分布のさらに他の例を示すグラフである。 本発明の検査方法によって得られた内部に被覆欠陥部を有する金属管内の電位勾配分布のさらに他の例を示すグラフである。 本発明の検査方法によって得られた内部に被覆欠陥部を有する金属管内の電位差分布のさらに別の例を示すグラフである。 本発明の検査方法によって得られた内部に被覆欠陥部を有する金属管内の電位差分布のさらに他の例を示すグラフである。 内部に被覆欠陥部を有するステンレス開先鋼管内の電位電流分布を示す図である。
符号の説明
1 SUS開先鋼管
2、52 SUS開先部
3、51 塗覆装鋼管(鋼管部)
4、54 被覆欠陥部
5 探査用水中ロボット
6 水中カメラ
7-1、7-2、7-3、7-4、7-5、57a、57b 電位センサ
7A 電位感知部
7B 接続部
7C 溶液
7D ケース
7E 台座(水中ロボット容器壁)
7F 液絡部
7G キャップ
8、8A、58 ケーブル
9 分岐管
10 データロガー
11 ディスプレイ装置
12 鋳鉄管
13 接合部
14 電位センサ
15 絶縁体
16 継手部の被覆欠陥部
17 ゼロ抵抗電流計

Claims (10)

  1. 内面に被覆物質による被覆が施されていて内部に導電性液体が満たされた金属管の腐食箇所(アノード部)から流出する腐食電流及び防食箇所(カソード部)に流入する防食電流によって形成される前記金属管内における電位差を、外部電源から前記金属管内の導電性液体に通電することなく少なくとも一対の電位センサを用いて計測し、該電位差が変化する位置を検知することにより前記金属管の腐食箇所及び防食箇所を検出することを特徴とする金属管内面の被覆欠陥検査方法。
  2. 前記少なくとも一対の電位センサを、前記金属管内の該金属管の軸方向及び/又は該金属管の軸方向と交差する断面上で走査して前記電位差を計測することを特徴とする請求項1に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
  3. 前記検出される電位差の変化する位置が、前記金属管内における電位差が連続的に増加または減少している領域の中点又はその近傍であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
  4. 前記検出される電位差の変化する位置が、前記金属管内における電位差の極性が変わる点であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
  5. 前記少なくとも一対の電位センサを前記金属管内部の管軸方向に走査して、前記一対の電位センサ間の電位差(ΔE)を計測し、前記金属管の断面積(S)、前記一対の電位センサ間の間隔(L)、及び前記導電性液の抵抗率(ρ)および前記金属管内における導電性液の充填率(α)から下記式〔1〕を演算して、前記金属管内面における腐食箇所(アノード部)から流出する腐食電流及び防食箇所(カソード部)に流入する防食電流(I)を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
    I=(ΔE・S・α)/(L・ρ)・・〔1〕
  6. 水中カメラを前記金属管内に3次元的に走査させて該金属管の内壁面の映像を撮影し、得られた該壁面の映像及び前記電位差の変化から該金属管の前記腐食箇所(アノード部)、及び前記防食箇所(カソード部)の位置を検知することを特徴とする請求項1〜のいづれか一項に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
  7. 前記水中カメラにより得られた前記金属管の内壁面の映像をもとに、該内壁面の腐食面積(A)を求め、該腐食面積(A)と前記腐食電流(I)から下記式〔2〕を演算して前記金属管内面の腐食箇所(アノード部)の腐食速度(υ)を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
    υ=κ・I/A・・〔2〕
    (但し、前記式中、κはファラディーの法則から求まる前記金属管の種類で決まる係数である)
  8. 前記少なくとも一対の電位センサの間隔(L)が、前記金属管の内径の1/6〜1/2であることを特徴とする請求項1〜のいづれか一項に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法。
  9. 導電性液体が満たされた金属管内部の電位差を測定するための少なくとも一対の電位センサと、前記金属管内部において前記少なくとも一対の電位センサを走査するための駆動手段と、前記少なくとも一対の電位センサにより前記金属管内部を走査したときの該電位センサの移動距離検知手段と、前記少なくとも一対の電位センサ、及び前記移動距離を検知する手段からの出力信号を入力して記憶、演算し、前記金属管内での電位差、及び該電位差が変化する位置を検出する記憶、演算手段とを少なくとも具備することを特徴とする請求項1〜8のいづれか1項に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法のための金属管内面の被覆欠陥検査装置。
  10. 前記駆動手段により前記金属管内部を移動させて該金属管内壁の映像を撮影するための水中カメラを具備したことを特徴とする請求項9に記載の金属管内面の被覆欠陥検査方法のための金属管内面の被覆欠陥検査装置。
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