JP5026366B2 - 波長多重光送信器 - Google Patents

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Description

本発明は、波長多重光伝送システムにおける波長多重光送信器に関する。
コアネットワークにおいては、WDM(波長多重:Wavelength Division Multiplexing)光伝送システムが広く導入されている。WDM光伝送システムは、図1に示されているように、それぞれ異なる信号を複数の波長チャネルに割り当て、単一の光伝送路で複数の光信号を伝送する方式である。一般に複数の光信号は周波数軸上または波長軸上に等間隔で配置され、図1では周波数間隔Δfで表されている。ここで、fは周波数を表し、網掛け部分は各波長チャネルの光信号スペクトルを表す。また、光伝送路中のある直線偏波軸方向を//で表し、これに直交する直線偏波軸方向を⊥で表す。ここでは、便宜上、//および⊥をそれぞれ水平偏波方向および垂直偏波方向と呼ぶこととする。ここでは、WDM信号は、全て水平偏波成分を持つとしている。一般に、WDM光伝送システムにおいては、複数の波長チャネルに割り当てられた光信号は、波長合分波器を用いて合分波される。また、近年、盛んに検討されているコヒーレント光通信システムにおいては、波長合分波器を用いる他に、受信時の局発光源との周波数ミキシングおよび電気的なフィルタリングにより電気領域で所望の信号成分を取り出すことができる。
WDM光伝送システムにおいては、伝送容量拡大および光帯域利用効率の向上のために信号スペクトルが重なり合わない範囲内で高密度化することが有効である。このとき、まず、システム内の全波長を周波数間隔Δfで、ある所望の周波数グリッドに安定化することが必要となる。また、全波長チャネルを安定化した上で、所望の波長チャネル以外の波長チャネルとのクロストークによる信号劣化を低減することが重要である。クロストークには、線形クロストークおよび非線形クロストークがある。線形クロストークは、偏波方向に依存しない強度雑音成分と偏波方向に依存するビート雑音成分からなる。ビート雑音成分は、所望の波長チャネルの受信信号帯域内で生じ、所望の波長チャネルとクロストークの原因となる波長チャネルの偏波が一致した場合にビート雑音は最大となる。これらを低減するには、合分波時に所望の波長チャネル以外の波長チャネルを十分に遮断することが必要となる。また、非線形クロストークは、FWM(四光波混合:Four Wave Mixing)やXPM(相互位相変調:Cross Phase Modulation)などからなる。これら非線形クロストークは、所望の光信号の偏波成分に一致する偏波成分を持つ光信号との非線形相互作用によって生じ、周波数間隔が狭いほど信号劣化は大きくなる。
また、近年、アクセスネットワークにおいても、WDM技術の活用が検討されている。アクセスネットワークにおいては、コアネットワークと比較してコスト低減要求が強く、そのためには、部品点数の削減や高価な部品の使用を極力控えることが重要である。
図2は、非特許文献1に記載の従来技術1を示している。従来技術1は、λ’1,//〜λ’N,//の等周波数間隔Δfに配置された複数の光信号を送出するN個の光送信器3〜3と、N個の光信号のうち奇数チャネル(λ’1,//、λ’3,//、〜λ’N−1,//)および偶数チャネル(λ’2,//、λ’4,//、〜λ’N,//)をそれぞれ合波する2個の波長合分波器2、2と、PBS(偏波ビームスプリッタ:Polarization Beam Splitter)1からなり、奇数チャネルと偶数チャネルはPBS 1により合波され、周波数が隣接する光信号の偏波が直交した偏波直交多波長光信号が送出される。ここで、λは波長チャネルを表し、添え字の’は変調された信号であることを表す。非特許文献1においては、Δf=50GHz、一波当たり40Gbit/sのNRZ(非ゼロ復帰:Non Return to Zero)変調方式が用いられている。図3に示されているように、この構成とすることで、隣接波長チャネルと偏波が直交しているため、隣接波長チャネルとの非線形クロストークを抑圧することができる。即ち、奇数チャネル間および偶数チャネル間の周波数間隔2Δfに応じて生ずる非線形クロストークを考慮すればよい。非特許文献1によると、特にXPMを低減できることが指摘されている。
図4は、非特許文献2に記載の従来技術2を示している。また、図5は、従来技術2の原理を表している。λ1,//〜λN,//の等周波数間隔Δfに配置された複数の光キャリア(以下、多波長光とする)を送出する多波長光源4と、前記多波長光が入力され、そのうちある1つの光キャリアの周波数に同期した光信号を送出するN個の注入同期光送信器5〜5が光カプラ6を介して接続される。図5(a)は多波長光スペクトル、図5(b)はある1つの注入同期光送信器の送出光スペクトル、図5(c)は複数の注入同期光送信器出力を光カプラにより合波させた後の送出スペクトルの模式図を表す。N個の注入同期光送信器5〜5は、図5(a)に示されている多波長光のうち、図5(b)に示されているようにそれぞれ目標とする光キャリアの周波数に重複なく同期した光信号を送出し、それら光信号が光カプラ6により図5(c)に示されているように合波されることで多波長光信号が送出される。ここでは、注入同期光送信器5〜5の出力光は、N個の光送信器全てについて水平偏波//としている。これは、一般に多波長光を生成する際に用いる光部品は直線偏波に対して動作するものが多いため、多波長光の偏波は全て同一の直線偏波であるとともに、注入同期光送信器の入出力光の偏波状態を一致させる必要があるためである。例えば、非特許文献1においては多波長光源としてML−LD(モードロックレーザダイオード:Mode-Lock Laser Diode)が用いられている。他にも、光周波数コムなどを用いてもよく、これらは偏波無依存化のためなどの特別の構成としない限り直線偏波光を出力する。また、光送信器として一般に用いられるFP−LD(ファブリー・ペロー形レーザダイオード:Fabry-Perot LD)やDFB−LD(分布帰還形レーザ:Distributed Feed-back LD)などの半導体レーザを注入同期光送信器として用いる場合、これらは単一の直線偏波で発振し、発振偏波に一致した周波数および偏波に対して注入同期される。この構成においては、多波長光源に高価な光部品を必要とするため、多波長光源が大きなコスト要因となるが、これはN個の注入同期光送信器を一群として、複数の注入同期光送信器群で共用することによりコストを低減することができる。非特許文献2によると、従来技術2は、周波数間隔が極めて高密度にできることが指摘されており、設計パラメータの一例として、Δf=10GHz、0.1〜1Gbit/sのDPSK(差動位相シフトキーイング:Differential Phase Shift Keying)変調方式を適用した場合の実現可能性について言及されている。また、波長チャネルごとに周波数基準を与える光部品や波長合分波器が不要であるため部品点数が少なく単純であること、多波長光の周波数間隔を制御することにより任意の周波数間隔のWDM信号光の生成が実現できることといった利点がある。
K.Fukuchi et.al.,"10.92−Tb/s(273x40−Gb/s)triple−band/ultra−dense WDM optical−repeatered transmission experiment",OFC2001 K.Kikuchi et.al.,"Amplitude−Modulation Sideband Injection Locking Characteristics of Semiconductor Lasers and Their Application",JLT,Vol.6,No.12,Dec.,1988 Kent D.Choquette et. al., "Control of Vertical−Cavity Laser Polarization with Anisotropic Transverse Cavity Geometries", IEEE Photonics Technology Letters,Vol.6,No.1,Jan.,1994
従来技術1は、複数の波長チャネルをそれぞれ所望の周波数に安定化するために目標周波数に対する周波数基準を与える光部品を別に必要とするとともにそれら所定の周波数と波長合分波器の透過中心周波数を一致させる必要があり、また高密度化するに従い十分な遮断特性を有する波長合分波器を製造するコストが上昇するなど、光伝送システム全体のコストが上昇する課題があった。
従来技術2においては、従来技術1と比べて、特に波長合分波器を必要としないなど、簡易な構成で極めて高密度な波長多重光送信器を実現することができるが、多波長光と注入同期光送信器の入出力偏波を一致させる必要があるため、波長多重信号光の偏波状態は全波長で一致し、非線形クロストークによる信号劣化が生じる。この課題に対して、従来技術1と同様の構成とすることにより非線形クロストークを低減することが考えられる。図6はその構成の一例を示している。また、図7はその原理を表している。図6においては、多波長光源4が送出する周波数間隔Δfの多波長光をインタリーバ7に入力し、2Δf間隔の多波長光とし、それらをN個の注入同期光送信器5〜5のうち奇数チャネルおよび偶数チャネルごとに注入同期し、出力光信号をPBS 1で合波するものである。図7(a)は、例として水平偏波成分を持つ周波数間隔2Δfの多波長光スペクトル、図7(b)はある1つの注入同期光送信器の送出光スペクトル、図7(c)はλ’1,//、λ’3,//、〜λ’N−1,//と、λ’2,//、λ’4,//、〜λ’N,//をPBSにより合波させた後の送出スペクトルの模式図を表す。このように、従来技術1と同様に偏波が直交した多波長光信号を生成することができる。しかし、この構成においては、多波長光源とインタリーバを複数の注入同期光送信器群で共用したとしても、一群の注入同期光送信器ごとにPBSを必要とし、また多波長光が2系統に分割されるため追加光伝送路が必要になるなど、装置および実装コストが増大する課題がある。
さらに、各注入同期光送信器における注入同期動作において所望の波長チャネルとそれ以外の波長チャネルとのSMSR(サイドモード抑圧比:Side Mode Supression Ratio)が十分確保できない場合には、隣接波長チャネルの残留サイドモードに起因する線形クロストークにより所望の波長チャネルの信号品質が劣化する課題がある。例えば、非特許文献2では、強度変調による多波長光を用いた場合には注入同期光送信器として用いるレーザダイオードの緩和振動周波数よりも大きなΔfに対してこのようなことが生ずることが指摘されている。図8は、注入同期光送信器としてFP−LDを用い、正弦波強度変調により生成した12.5GHz間隔の多波長光に対して注入同期させた場合の出力スペクトルの一例である。この測定では、194.2THzを中心とする3波の光パワーを−30dBmとした12.5GHz間隔の多波長光を用いている。194.2THzにある中央の最大ピークが注入同期された所望の波長チャネル、それ以外のピークが残留サイドモードであり、最大ピークに隣接するピークが支配的な線形クロストーク要因となるため、最大ピークと隣接ピークとの光パワー差をSMSRとしている。この測定例では、最大ピークから低周波側では10.1dB、高周波側では17.4dBのSMSRしか得られていない。このように、SMSRが小さい場合の多波長光信号スペクトルについて図9を用いて説明する。図9(a)は多波長光スペクトル、図9(b)はある1つの注入同期光送信器の送出光スペクトル、図9(c)は複数の注入同期光送信器出力を光カプラにより合波させた後の送出スペクトルの模式図を表す。ここで、縦線網掛け以外の網掛けで表されている箇所はクロストーク成分を表す。このとき、SMSRが十分に確保できない場合、図3(c)に示されているように、所望の波長チャネルは隣接する注入同期光送信器の残留サイドモードに起因する強度雑音およびビート雑音により信号品質が劣化する。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、周波数が隣接する光キャリア間の非線形クロストークおよび線形クロストークを低減できる波長多重光送信器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の波長多重光送信器は、周波数が隣接する光キャリア間の偏波が直交した複数の直線偏波光キャリアからなる偏波直交多波長光を送出する偏波直交多波長光源と、前記偏波直交多波長光を、直線偏波保持光カプラを介して入力する複数の注入同期光送信器とを備え、前記複数の注入同期光送信器のそれぞれが、前記偏波直交多波長光を構成する複数の直線偏波光キャリアのいずれかの周波数および偏波に同期し、かつ互いに周波数スペクトルが重複しない変調光信号を生成し、生成された複数の前記変調光信号を前記直線偏波保持光カプラにより合波して出力する波長多重光送信器であって、前記注入同期光送信器として、入力された直線偏波光キャリアに対して光利得の偏波依存性を有するレーザダイオードが用いられ、前記偏波直交多波長光を構成する複数の直線偏波光キャリアのいずれかの周波数および偏波に重複なく注入同期が達成されるように前記レーザダイオードが配置されていることを特徴とする。
前記偏波直交多波長光源は、周波数間隔Δfの多波長光を出力する多波長光源と、前記周波数間隔Δfの多波長光を入力し、それぞれ周波数間隔2Δfの奇数チャネルの光からなる第1の多波長光と偶数チャネルの光からなる第2の多波長光とに分波して出力するインタリーバと、前記第1の多波長光と前記第2の多波長光とをそれぞれの偏波状態を互いに直交させた状態で合波し、周波数間隔Δfの前記偏波直交多波長光として出力する偏波ビームスプリッタとからなることが好ましい。または、前記偏波直交多波長光源は、周波数間隔2Δfの奇数チャネルの光からなる第1の多波長光を出力する第1の多波長光源と、周波数間隔2Δfの偶数チャネルの光からなる第2の多波長光を出力する第2の多波長光源と、前記第1の多波長光と前記第2の多波長光とをそれぞれの偏波状態を互いに直交させた状態で合波し、周波数間隔Δfの前記偏波直交多波長光として出力する偏波ビームスプリッタとからなることが好ましい。また、前記レーザダイオードを集積したレーザダイオードアレイを用いることが好ましい。
本発明は、隣接する光キャリア間の偏波が直線偏波直交していることで隣接する光キャリア間の非線形クロストークを低減できるとともに、多波長光に対する注入同期における残留サイドモードによる線形クロストークを低減できる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図10は、本発明の波長多重光送信器の第1の実施形態を示している。第1の実施形態の波長多重光送信器は、等周波数間隔に配置され、周波数が隣接する光キャリア間の偏波が直交したλ1,//、λ2,⊥、λ3,//〜λN,⊥の複数の直線偏波光キャリア(以下、偏波直交多波長光とする)を送出する偏波直交多波長光源8と、前記偏波直交多波長光を、直線偏波保持光伝送路および直線偏波保持光カプラ10を介して入力するN個(Nは任意の自然数)の注入同期光送信器11〜11を備えている。N個の注入同期光送信器11〜11が、λ1,//、λ2,⊥、λ3,//〜λN,⊥の光キャリアのうちそれぞれ異なる光キャリアの周波数および偏波状態に同期し、かつ互いに周波数スペクトルが重複しない変調光信号を生成して送出し、それら光信号を直線偏波保持光カプラ10により合波することで偏波直交多波長光信号λ’1,//、λ’2,⊥、λ’3,//〜λ’N,⊥を送出する。図11(a)は偏波多波長光スペクトル、図11(b)はある1つの注入同期光送信器の送出光スペクトル、図11(c)は複数の注入同期光送信器出を直線偏波保持光カプラにより合波させた後の送出スペクトルの模式図を表す。この構成とすることにより、図11(c)に示されているように、注入同期光送信器群ごとのPBSや追加光伝送路を必要としない簡易な構成で、偏波直交光信号を生成することができる。
本発明において用いられている偏波直交多波長光は複数の方法により生成することができる。図12に本発明において用いられている偏波直交多波長光源の例1を示す。偏波直交多波長光源の例1は、2つの多波長光源4、4およびPBS 1からなる。第1の多波長光源4は第1の多波長光λ1,//、λ3,//、〜λN−1,//を出力し、第2の多波長光源4は第2の多波長光λ2,//、λ4,//、〜λN,/を出力する。第1の多波長光の偏波状態と第2の多波長光の偏波状態を直交させた状態でPBS 1により合波することにより偏波直交多波長光を生成することができる。また、PBSを用いる代わりに、いずれかの多波長光源の出力端にPC(偏波コントローラ:Polarization Controller)を配置し、偏波を直交させた上で直線偏波保持光カプラにより合波してもよい。
図13に偏波直交多波長光源の例2を示す。偏波直交多波長光源の例2は、多波長光源4、インタリーバ7、PBS 1からなる。インタリーバ7の2出力について偏波状態を直交させた状態でPBS 1により合波することにより偏波直交多波長光を生成することができる。また、PBSを用いる代わりに、インタリーバの2出力のうちいずれかの出力端にPCを配置し、偏波を直交させた上で直線偏波保持光カプラにより合波してもよい。
なお、ここでは偏波直交多波長光源の例を2つ示したが、偏波直交多波長光は他の方法で生成しても良く、以下の例においても同様である。また、直線偏波保持光伝送路および直線偏波保持光カプラとして直線偏波保持光ファイバ、直線偏波保持光ファイバカプラ、PLC(平面光波回路:Planer Lightwave Circuit)を用いてもよい。
(第2の実施形態)
図14は、本発明の波長多重光送信器の第2の実施形態を示している。第2の実施形態は、注入同期光送信器として、偏波直交多波長光に対しPDG(偏波依存性利得:Polarization Dependent Gain)を有するレーザダイオードを用いた構成である。等周波数間隔に配置され、周波数が隣接する光キャリア間の偏波が直交したλ1,//、λ2,⊥、λ3,//〜λN,⊥の複数の直線偏波光キャリアが入力され、そのうちある1つの光キャリアの周波数および偏波状態に同期した光変調信号を送出する複数個のレーザダイオード12〜12が直線偏波保持光伝送路および直線偏波保持光カプラ10を介して接続される。なお、図14ではレーザダイオードが3個の場合を示している。第2の実施形態では、PDGを有する複数個のレーザダイオードを、偏波直交多波長光の各光キャリアの周波数および偏波に重複なく注入同期が達成されるように配置することが特徴である。このような構成とすることで、偏波直交光信号が生成されるだけでなく、従来技術2で課題であった残留サイドモードによる信号劣化を大幅に低減することができる。
FP−LDやDFB−LDなどの端面発光型レーザダイオードの光活性層は一般に長方形であり、軸方向に対する光閉じ込めの非対称性から、注入同期状態にない場合、入力光に対する入出力特性はPDGを有する光増幅器のように振る舞う。このことを図15および図16を用いて説明する。図15は、FP−LDに対して注入同期が生じない状態で多波長光を入力した場合の入出力スペクトル測定結果を表し、図16は、偏波直交多波長光を入力した場合の入出力スペクトル測定結果を表している。いずれの測定においても194.2THzを中心とする3波の光パワーを−30dBmとし、周波数間隔は12.5GHz間隔としている。図15からわかるように、多波長光に対する出力光の中心3波の光パワー差は0.1dB以下であるのに対し、図16からわかるように、偏波直交多波長光においては194.2THzの中心波長に対し隣接2波と13.3±0.1dB光パワー差が生じていることがわかる。従って、このような特性を示すレーザダイオードを用い、入出力偏波が一致した偏波直交多波長光の所望の光キャリアに注入同期を行うことで線形クロストークの支配的な要因である隣接チャネルのSMSRを大幅に拡大することができる。偏波直交多波長光に対し注入同期を行った場合の入出力光スペクトル測定結果を図17に示す。PDGの効果により、残留サイドモードによるSMSRが28.4dB以上と、図8に示されている従来技術2におけるものに対して大幅に改善していることがわかる。従って、図14に示されているように、出力光信号の偏波状態が隣接波長チャネル間で直交するように配置することで、隣接波長チャネル間で偏波が直交しているため非線形クロストークを抑圧できることと共に、残留サイドモードによる線形クロストークを大幅に低減した偏波直交多波長光信号を生成することができる。このことを、図18を用いて説明する。図18(a)は偏波直交多波長光スペクトル、図18(b)はある1つの注入同期光送信器の送出光スペクトル、図18(c)は複数の注入同期光送信器出力を光カプラにより合波させた後の送出スペクトルの模式図を表す。図18(a)に示すような偏波直交多波長光をPDGを有するレーザダイオードに入力したとき、図18(b)に示すような出力が得られる。ここで、中央の最大ピークが所望の波長チャネルであり、それ以外が残留サイドモードである。PDGの効果により、最大ピークの隣接ピークは十分に抑圧されている。図18(c)に示すように、これらを多チャネル合波したとき、最大ピークの隣接ピークは隣接チャネルのクロストークとなるが、残留ピークは十分に抑圧されているため、クロストークによる信号劣化は隣接波長チャネルの偏波状態が一致した従来技術に比べて大幅に低減される。なお、端面発光レーザダイオードの例としてここではFP−LDを用いた場合について測定例を示したが、同様の効果が得られる他の注入同期光送信器を用いてもよい。
(第3の実施形態)
図19に本発明の波長多重光送信器の第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、注入同期光送信器として、PDGを有するレーザダイオードアレイ13を用いた構成である。第2の実施形態においては、個別の注入同期光送信器を用いた場合についての構成を示したが、同一基板上に多数のレーザダイオードが集積されたレーザダイオードアレイ13を用いることでさらに低コスト化することができる。このようなレーザダイオードアレイの例としては、VCSEL(面発光レーザ:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイがある。これは、例えば端面発光レーザダイオードを用いる場合には、特性検査のためにへき開もしくはダイシング工程を必要とするが、VCSELにおいてはウエハレベルでの検査が可能であることなどによる。しかし、一般にVCSELは円形もしくは方形状の射出面形状を持つと共に、基板面方位の対称性からPDGが小さい。そこで、大きなPDGを有するVCSELアレイを用いることで第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。図19には例として楕円の射出面形状を有するVCSEL(非特許文献3参照)を用いた場合の構成法を示しているが、PDGを有するレーザアレイであれば他のものを用いてもよい。このようなレーザアレイを用いることで、例えばN個の注入同期光送信器を1個のレーザアレイとして大幅な部品点数の削減を達成することができる。
異なる信号が割り当てられる複数の波長チャネルを示す図である。 従来技術1を説明する図である。 奇数チャネルと偶数チャネルの光信号スペクトルを示す図である。 従来技術2を説明する図である。 多波長光スペクトル、注入同期光送信器の送出光スペクトル、合波後の送出スペクトル示す図である。 従来技術1と従来技術2とを組み合わせた例を説明する図である。 多波長光スペクトル、注入同期光送信器の送出光スペクトル、合波後の送出スペクトル示す図である。 注入同期光送信器にFP−LDを用い、12.5GHz間隔の多波長光に対して注入同期させた場合の出力スペクトルの一例を示す図である。 多波長光スペクトル、注入同期光送信器の送出光スペクトル、合波後の送出スペクトル示す図である。 本発明の第1の実施形態を示す図である。 偏波多波長光スペクトル、注入同期光送信器の送出光スペクトル、合波後の送出スペクトル示す図である。 偏波直交多波長光源の例1を示す図である。 偏波直交多波長光源の例2を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示す図である。 FP−LDに対して注入同期が生じない状態で多波長光を入力した場合の入出力スペクトルの一例を示す図である。 偏波直交多波長光を入力した場合の入出力スペクトルの一例を示す図である。 偏波直交多波長光に対し注入同期を行った場合の入出力光スペクトルの一例を示す図である。 偏波多波長光スペクトル、注入同期光送信器の送出光スペクトル、合波後の送出スペクトル示す図である。 本発明の第3の実施形態を示す図である。
符号の説明
1 PBS
、2 波長合分波器
〜3 光送信器
4、4、4多波長光源
〜5、11〜11注入同期光送信器
6 光カプラ
7 インタリーバ
8 偏波直交多波長光源
10 直線偏波保持光カプラ
12〜12 レーザダイオード
13 レーザダイオードアレイ

Claims (4)

  1. 周波数が隣接する光キャリア間の偏波が直交した複数の直線偏波光キャリアからなる偏波直交多波長光を送出する偏波直交多波長光源と、
    前記偏波直交多波長光を、直線偏波保持光カプラを介して入力する複数の注入同期光送信器とを備え、
    前記複数の注入同期光送信器のそれぞれが、前記偏波直交多波長光を構成する複数の直線偏波光キャリアのいずれかの周波数および偏波に同期し、かつ互いに周波数スペクトルが重複しない変調光信号を生成し、生成された複数の前記変調光信号を前記直線偏波保持光カプラにより合波して出力する波長多重光送信器であって、
    前記注入同期光送信器として、入力された直線偏波光キャリアに対して光利得の偏波依存性を有するレーザダイオードが用いられ、前記偏波直交多波長光を構成する複数の直線偏波光キャリアのいずれかの周波数および偏波に重複なく注入同期が達成されるように前記レーザダイオードが配置されていることを特徴とする波長多重光送信器。
  2. 請求項1に記載の波長多重光送信器であって、
    前記偏波直交多波長光源は、
    周波数間隔Δfの多波長光を出力する多波長光源と、
    前記周波数間隔Δfの多波長光を入力し、それぞれ周波数間隔2Δfの奇数チャネルの光からなる第1の多波長光と偶数チャネルの光からなる第2の多波長光とに分波して出力するインタリーバと、
    前記第1の多波長光と前記第2の多波長光とをそれぞれの偏波状態を互いに直交させた状態で合波し、周波数間隔Δfの前記偏波直交多波長光として出力する偏波ビームスプリッタと
    からなることを特徴とする波長多重光送信器。
  3. 請求項1に記載の波長多重光送信器であって、
    前記偏波直交多波長光源は、
    周波数間隔2Δfの奇数チャネルの光からなる第1の多波長光を出力する第1の多波長光源と、
    周波数間隔2Δfの偶数チャネルの光からなる第2の多波長光を出力する第2の多波長光源と、
    前記第1の多波長光と前記第2の多波長光とをそれぞれの偏波状態を互いに直交させた状態で合波し、周波数間隔Δfの前記偏波直交多波長光として出力する偏波ビームスプリッタと
    からなることを特徴とする波長多重光送信器。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の波長多重光送信器であって、
    前記レーザダイオードを集積したレーザダイオードアレイを用いることを特徴とする波長多重光送信器。
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