JP5026210B2 - 架橋ナノカーボン可溶化剤および架橋ナノカーボン凝集体 - Google Patents

架橋ナノカーボン可溶化剤および架橋ナノカーボン凝集体 Download PDF

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Description

本発明は、架橋ナノカーボン可溶化剤および架橋ナノカーボン凝集体に関する。
ナノカーボンとは、カーボンナノチューブ(CNT)に代表される、エネルギー、エレクトロニクス、化学、医薬品、光学部品、材料・機械等の各種分野で注目されている新素材である。ここで、カーボンナノチューブには、単層・多層タイプとカップスタック型が存在し、単層・多層タイプのものは、直径がナノメートルオーダーの針状炭素分子であり、グラフェンを円筒状に丸めた構造を持っている。そして、グラフェン円筒が同心円状に多層構造をなしているものをマルチウォールカーボンナノチューブ(MWNT)といい、単層のグラフェン円筒のみからなるものをシングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)という。
ところで、従来より、数多くのカーボンナノチューブ粗生成物を精製する手法が提供されている。例えば、特許文献1には、カーボンチューブを含む粗生成物を金コロイド溶液に分散させる第一の工程と、前記粗生成物を含む金コロイド溶液から溶媒を除去する第二の工程と、前記粗生成物を酸素雰囲気下で加熱する第三の工程よりなるカーボンチューブの精製法が開示されている。この技術は、金が微粒子になると触媒として作用し、炭素を低温で酸化させる性質を持つという原理を利用したものである。
ここで、特許文献1記載の技術では、用いられる溶液の溶媒の一例は水であるが、カーボンナノチューブ自体は、水溶液中に分散した状態で存在しており溶解はしていない。
更に、非特許文献1には、単層カーボンナノチューブを水に可溶化する技術が開示されている。しかし、この技術は、ピレン基を持つ両親媒性化合物でカーボンナノチューブを表面処理してその表面を親水性化することにより、カーボンナノチューブ自体を水に可溶化するものである。このように、表面を修飾させた場合、用途によってはその修飾を後で外す必要があり、非常に面倒という問題が存在する。
特開2000−290008号公報 第51回高分子討論会予稿集,2002.10.2-4,九工大(北九州)
本発明は、ナノカーボン表面を修飾することなく、架橋ナノカーボンを水に可溶化する新規な技術の提供を目的とする。
本発明者は、試行錯誤の結果として、架橋ナノカーボンを球状ミセル(小胞体)又は擬似ミセル内に閉じ込めることにより、架橋ナノカーボンが可溶化することを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。尚、本明細書にいう「疑似ミセル」とは、架橋ナノカーボンを高分子の界面活性剤が包み込む(例えば、絡まったり取り囲んだりする形態で)ことにより形成された状態をいい、この状態においては、ミセルと同じく、包まれたものが全体として親水性を示すことで可溶化する。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
(1)水溶液中で直径が50〜2000nmの球状ミセルを形成しうる界面活性剤又は重量平均分子量が1万〜5千万である擬似ミセルを形成しうる水溶性高分子を有効成分として含有する架橋ナノカーボンの水可溶化剤と、架橋ナノカーボンとを含有する架橋ナノカーボン分散物
(2)前記架橋ナノカーボンの架橋部がπ電子共役系を含む、(1)項に記載の架橋ナノカーボン分散物
(3)前記界面活性剤が両性界面活性剤である、(1)又は(2)項に記載の架橋ナノカーボン分散物
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の架橋ナノカーボンの水可溶化剤は、水溶液中で直径が50〜2000nmの球状ミセルを形成しうる界面活性剤(以下、「ミセルタイプ」という)又は重量平均分子量が1万〜5千万である擬似ミセルを形成しうる水溶性高分子(以下、「擬似ミセルタイプ」という)を有効成分として含有することを特徴とする。
本明細書において、『擬似ミセル』とは臨界ミセル濃度以上で界面活性剤が可逆的平衡により形成する、親水部が水に面し疎水部が水に接しないように配置した球状の集合体が、ミセルである。擬似ミセルは、このようなミセルの特徴の一部を欠くが、ミセルと類似した構造を有する分子の集合状態を表す。たとえば、親水部が水に面した集合状態であるが球形ではなく非球状の集合状態にあるもの、あるいは、この集合体を構成する界面活性剤分子が単独の界面活性剤分子と平衡により入れ替わることなく固定されているもの、あるいはこの集合構造が分子内に親水部と疎水部を併せ持つ高分子化合物からなるために、分子の入れ替えが起こらず形状も球形でないものなどが挙げられる。
本発明の水可溶化剤が適用される架橋ナノカーボン、特に架橋カーボンナノチューブ(CNT)について説明する。
カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでも、二層以上の多層カーボンナノチューブでも構わない。いずれのカーボンナノチューブを用いるか、あるいは双方を混合するかは、用途により、あるいはコストを考慮して、適宜、選択すればよい。
また、単層カーボンナノチューブの変種であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に拡径しているホーン型のもの)、カーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)、カーボンナノビーズ(中心にチューブを有し、これがアモルファスカーボン等からなる球状のビーズを貫通した形状のもの)、カップスタック型ナノチューブ、カーボンナノホーンやアモルファスカーボンで外周を覆われたカーボンナノチューブ等、厳密にチューブ形状をしていないものも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
さらに、カーボンナノチューブ中に金属等が内包されている金属内包ナノチューブ、フラーレンまたは金属内包フラーレンがカーボンナノチューブ中に内包されるピーポッドナノチューブ等、何らかの物質をカーボンナノチューブ中に内包したカーボンナノチューブも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
以上のように、本発明においては、一般的なカーボンナノチューブのほか、その変種や、種々の修飾が為されたカーボンナノチューブ等、いずれの形態のカーボンナノチューブでも、その反応性から見て問題なく使用することができる。したがって、本発明における「カーボンナノチューブ」には、これらのものが全て、その概念に含まれる。
これらカーボンナノチューブの合成は、従来から公知のアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法のいずれの方法によっても行うことができ、本発明においては制限されない。これらのうち、高純度なカーボンナノチューブが合成できるとの観点からは、磁場中でのアーク放電法が好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの直径としては、0.3nm以上100nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの直径が、当該範囲を超えると、合成が困難であり、コストの点で好ましくない。カーボンナノチューブの直径のより好ましい上限としては、30nm以下である。
一方、一般的にカーボンナノチューブの直径の下限としては、その構造から見て、0.3nm程度であるが、あまりに細すぎると合成時の収率が低くなる点で好ましくない場合もあるため、1nm以上とすることがより好ましく、10nm以上とすることがさらに好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの長さが、当該範囲を超えると、合成が困難、もしくは、合成に特殊な方法が必要となりコストの点で好ましくなく、当該範囲未満であると、一本のカーボンナノチューブにおける架橋結合点数が少なくなる点で好ましくない。カーボンナノチューブの長さの上限としては、10μm以下であることがより好ましく、下限としては、1μm以上であることがより好ましい。
本発明の水可溶化剤が適用される架橋カーボンナノチューブは、連結基を介して、複数の架橋部位で相互に架橋している。当該連結基としては、π電子共役系を含む連結基であることが好ましい(ただし、この場合、当該連結基と前記カーボンナノチューブとの結合は、エステル結合又はアミド結合ではないことが好ましい。)。ここで、π電子共役系とは、sp2混成もしくはsp混成の原子が互いに隣接して形成される電子系であり、原子間の結合軸に対して垂直に配置したp軌道同士が原子間の結合軸方向に重なることによって形成されるπ結合の連鎖からなる。π電子共役系は、炭素−炭素間もしくは炭素−窒素間の二重結合、炭素−炭素間の三重結合、又は非共有電子対を有するヘテロ原子のうち少なくとも一種からなるものが好ましく、炭素−炭素間もしくは炭素−窒素間の二重結合、炭素−炭素間の三重結合、又は非共有電子対を有するヘテロ原子のうち少なくとも二種の組み合わせからなるものがより好ましく、ベンゼン環、炭素−炭素間の二重結合、又は炭素−炭素間の三重結合のうち少なくとも二種の組み合わせからなるものが更に好ましい。
架橋カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブと架橋剤とを反応させることで得ることができる。
架橋剤としては、ビニルスルホン系架橋剤やビスメタロセン系架橋剤を好ましく用いることができる。
ビニルスルホン系架橋剤の具体例としては、VS−1:CH2=CH−SO2−C64−SO2−CH=CH2、VS−2:CH2=CH−SO2−C64−SO2−CH=CH2、VS−3:CH2=CH−SO2−CH2CH2CH2−SO2−CH=CH2、VS−4:CH2=CH−SO2−CH2CH2OCH2−SO2−CH=CH2等が挙げられる。これらは、例えば、Nambara,「薬学雑誌」,75巻,1560−1563(1956)や、Amosova.S.V.,「Russ.Chem.Bull.」,45(2),414−416(1996)等の記載を参照して合成することができる。
ビスメタロセン系架橋剤の具体例としては、FE−1:フェロセン−フェロセン、FE−2:フェロセン−P(=O)N(C25)2−フェロセン、FE−3:フェロセン−C(=O)−C(CH3)2−C(=O)−フェロセン、FE−4:フェロセン−C(=O)−CH2CH2−C(=O)−フェロセン、FE−5:フェロセン−CH=CH−CH=CH−CH=CH−フェロセン等が挙げられる。
架橋カーボンナノチューブの調製に際し、カーボンナノチューブは、架橋しやすくするために、架橋剤と反応しうる官能基が導入されていてもよい。
カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの架橋剤により架橋反応を起こし得るものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−C64OH、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR'3(以上、R、R1、R2およびR'は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−C64OH、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、架橋剤としては、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
官能基の導入量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、官能基の種類、CNT架橋体の用途等により異なり、一概には言えないが、1本のカーボンナノチューブに2以上の官能基が付加する程度の量とすることが、得られる架橋体の強度の観点から好ましい。
カーボンナノチューブ架橋体におけるπ電子共役系を含む連結基は、カーボンナノチューブとの結合がエステル結合又はアミド結合ではないことが好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ架橋体におけるπ電子共役系を含む連結基は、フェニレン基またはビニレン基を介して前記カーボンナノチューブと結合するものが好ましい。また、−G−CH2CH2SO2−基(式中、Gは、前記カーボンナノチューブに結合する2価の基を表す。好ましくは、−O−、−NH−、−CH2O−、又は−S−である。)を介して前記カーボンナノチューブと結合するものも好ましい。
または、カーボンナノチューブ架橋体におけるπ電子共役系を含む連結基は、−M−C55−L−C55−M−(式中、Mは遷移金属原子を表し、Lは2価の基を表す。好ましくは、−(CH=CH)n−、−(C64)n−、及びこれらの組み合わせから選択される基である。)で表される基であることが好ましい。
π電子共役系を含む連結基により連結されたカーボンナノチューブ架橋体は、例えば、以下のようにして調製することができる。
合成例1
カーボンナノチューブ(CNT)にパラヒドロキシベンゼンジアゾニウムを反応させ(Woo-Jae Khim et al.,Chem.Mater.,19,1571-1576(2007)を参照。)、CNT−C64−OHとする。
これに、ビニルスルホン系架橋剤CH2=CH−SO2−C64−SO2−CH=CH2を反応させることにより、CNT−C64−O−CH2CH2SO2−C64−SO2CH2CH2−O−C64−CNTというCNT架橋体が得られる。
合成例2
カーボンナノチューブ(CNT)にビスメタロセン系架橋剤フェロセン−CH=CH−CH=CH−CH=CH−フェロセンを反応させることにより、CNT−Fe−C55−CH=CH−CH=CH−CH=CH−C55−Fe−CNTというCNT架橋体が得られる。
ミセルタイプに係る水可溶化剤につき説明する。このタイプに使用される界面活性剤は、水溶液中で直径が50〜2000nm(好適には50〜300nm)の球状ミセルを形成しうるものである。この大きさの球状ミセル(小胞体)が好適である理由は定かでないが、現時点では、以下のような理由ではないかと推察している。例えば、架橋カーボンナノチューブの場合、その長さは、通常、100〜1000nmの範囲にある。そして、本発明に係る水可溶化剤を水溶液の形態で用いた場合、架橋カーボンナノチューブは、数分の一程度(例えば四分の一程度)の長さに折り畳まれ、その結果、溶液中では数十nm〜数百nmの長さになる。恐らく、上記のサイズが、この折り畳まれた架橋カーボンナノチューブを小胞体内に収納するのに丁度良く、結果、架橋カーボンナノチューブを効率的に可溶化できるためと理解される。また、他の架橋ナノカーボンについても同様の作用機序でミセル内に格納されるものと推定される。
尚、従来にも界面活性剤を添加する技術はある(特開2002−255528)が、それにより形成されるミセルは、0.1nm程度と非常に小さいものであり、そのミセル表面にカーボンナノチューブが付着するという原理である。本発明は、ミセル表面でなく、ミセル(小胞体)の内部に架橋ナノカーボン(例えば架橋カーボンナノチューブ)を格納するという新規な着想に基づくものである。
なお、本明細書にいう「球状ミセル」(「小胞体」)とは、界面活性剤により形成されたミセルであって、球状のような収納空間を持つものをいう。例えば、リン脂質系界面活性剤の場合には、該小胞体はリポソームといわれる。また、この球状ミセル(小胞体)の直径は、光散乱法に従って測定された値(20℃のpH未調整の水溶液)を指す。
界面活性剤の種類は、上記の特性を有するものである限り特に限定されず、例えば、以下で述べるようなリン脂質系界面活性剤及び非リン脂質系活性剤のいずれも用い得る。
ここで、「リン脂質系界面活性剤」とは、リン酸基を官能基とする陰イオン性界面活性剤・両性イオン界面活性剤であり、リン脂質(グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質の両方を含む)及び改質リン脂質(例えば、水素添加リン脂質、リゾリン脂質、酵素変換リン脂質、リゾホスファチジルグリセロール、他の物質との複合体)のいずれでもよい。このようなリン脂質は、生物を構成する細胞の種々の膜系、例えば原形質膜、核膜、小胞体膜、ミトコンドリア膜、ゴルジ体膜、リソソーム膜、葉緑体膜、細菌細胞膜に存在し、好適には、リポソームの調製に用いられるリン脂質が好適である。具体的には、例えば、ホスファチジルコリン{例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトリルホスファチジルコリン(DPPC)}、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンを挙げることができる。
また、「非リン脂質系界面活性剤」とは、リン酸基を官能基として含まない非イオン型界面活性剤・両性イオン型界面活性剤であり、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CHAPSO)及び3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−プロパンスルホン酸(CHAP)を挙げることができる。
次に、擬似ミセルタイプの水可溶化剤につき説明する。このタイプで使用される水溶性高分子は、重量平均分子量が1万〜5千万(好適には1万〜5百万)であるものである。ここで、重量平均分子量は、プルランを標準としたゲル濾過高速液体クロマトグラフィーにより測定した値に基づくものである。
上記の水溶性高分子は、上記の分子量を有するものである限り特に限定されず、例えば、各種の植物性界面活性剤、水溶性多糖類、例えば、アルギン酸類、例えば、アルギン酸、プロピレングリコールアルギネート、アラビアンゴム、キサンタンガム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、水溶性セルロース類、例えば、酢酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キチン;水溶性タンパク質、例えば、ゼラチン、コラーゲン;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーから選ばれる化合物を挙げることができる。
次に、本発明に係る水可溶化剤(ミセルタイプ及び擬似タイプ)に関する他の要件につき説明する。まず、本発明に係る水可溶化剤は、使用の際には水溶液の形態にある。但し、水溶液の形態のみならず、その濃縮液や個々のパーツ毎に分けたキット、また、乾燥状態で使用時に水溶液にするタイプ等も含め、使用時に水溶液の形態になるものはすべて「水可溶化剤」の概念に包含される。
尚、水溶液の形態時には、ミセルタイプの場合、界面活性剤の含有量は、小胞体を形成する臨界ミセル濃度以上である必要がある。通常、粗生成物1g用の水溶液1リットル当たり、0.2〜10mmolである。また、擬似ミセルタイプの場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されないが、通常、粗生成物1g用の水溶液1リットル当たり、5〜50gである。
尚、本発明に係る水可溶化剤は、ナノカーボン透過性物質及び酸化剤を更に含有し、かつ、アルカリ性水溶液の形態にあることが好適である。以下、この好適な態様について説明する。
まず、「ナノカーボン透過性物質」とは、ナノカーボンのC−C格子サイズより小さい直径を有する物質を意味する。例えば、このような直径(イオン径)を有するナノカーボン透過性カチオン、具体的には、リチウムイオンを挙げることができる。但し、水素イオンは、格子サイズより小さいが、オキソニウムイオンの形で水に奪われてしまうため、ナノカーボン透過性カチオンとしては不適切である。尚、ナノカーボン透過性物質の役割は現時点では解明されていないが、例えば、ナノカーボン透過性カチオンの場合には、ナノカーボン内に入り込むことにより、ナノカーボン内部の電荷状態を変えると共に、ナノカーボン内部の表面及び内部の不純物を押し出す役割を担うと推察される。
このナノカーボン透過性物質の含有量は、架橋ナノカーボン粗生成物1g用水溶液の場合、水溶液1リットル当たり、好適には0.1〜1molである。
次に、酸化剤について説明する。使用可能な酸化剤は、特に限定されないが、過硫酸塩(液中では過硫酸イオン)が好適である。その理由は、過硫酸塩が、アルカリ性で活性が高いことに加え、酸化した後自身は硫酸になるので、後処理が容易であるからである。
次に、pHについて説明する。pHは、6〜14の範囲であることが好適である(好適にはアルカリ性)。液がこの範囲であることが好適である理由は定かでないが、架橋ナノカーボンの表面の電子状態を変えることに加え、架橋カーボンナノチューブの場合には、カーボンの表面を柔らかくし、架橋カーボンナノチューブを折り畳む役割を担っていると推察される。尚、ミセルタイプの場合は、10〜14の範囲、擬似ミセルタイプの場合は、6〜12の範囲が好適である。
次に、本発明に係る水可溶化剤を架橋ナノカーボン精製のために用いる方法につき説明する。尚、高純度架橋ナノカーボンの製造方法については、その一工程である可溶化工程が、以下で説明する精製方法であり、また、それ以外の粗ナノカーボンの製造工程等は、本願出願時に周知である(以下でも例示)ので、その説明を省略する。
本精製方法で精製可能なナノカーボンを含む粗生成物は特に限定されず、例えば、電気放電法(C.Journet et al.,Nature 388,756(1997)及びD.S.Bethune et al.,Nature 363,605(1993))、レーザー蒸着法(R.E.Smally et al.,Science 273,483(1996))、気相合成法(R.Andrews et al.,Chem.Phys.Lett.,303,468,1999)、熱化学気相蒸着法(W.Z.Li et al.,Science,274,1701(1996)、Shinohara et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,37,1257(1998))、プラズマ化学気相蒸着法(Z.F.Ren et al.,Science.282,1105(1998))等、いずれの合成方法により得られた粗生成物に対しても有効である。
尚、合成に際し金属触媒が用いられた粗生成物に関しては、本発明に係る水可溶化剤(精製用水溶液)に加える前に、酸で処理して金属触媒を除去することが好適である。酸処理に関しては、例えば、特開2001−26410記載のように、酸水溶液としては硝酸溶液または塩酸溶液を用い、例えば、硝酸溶液は50倍の水に希釈された溶液を、塩酸溶液も50倍の水に希釈された溶液を使用する手法を挙げることができる。そして、このように酸処理した後、洗浄し、フィルタリングし、以後の溶解処理に付する。
次に、ナノカーボン(例えばカーボンナノチューブ)を含有する粗生成物を、本発明に係る可溶化剤(精製用水溶液)に投入する。ここで、投入量に関しては特に限定されないが、通常、精製用水溶液1リットルに対し、例えばミセルタイプの場合は粗生成物1〜5g、擬似ミセルタイプの場合は粗生成物1〜10gである。
投入後、ミセルタイプの場合は、ナノカーボン(例えばカーボンナノチューブ)を完全に溶解させるため、好適には、最初に超音波で5分程度ほぐす。その後、室温だと6時間程度、60℃に加温すると数分程度で完全に溶解する。
また、擬似ミセルタイプの場合は、ホモジナイザーで、擬似ミセル形成物質(例えば、アルギン酸ナトリウム)、透過剤(例えば、水酸化リチウム)、酸化剤(例えば、過硫酸ナトリウム)、ナノカーボン及び脱イオン水を含む混合物を十分に拡散分散させた後、40℃で、一日程度、静置する。尚、透過剤や酸化剤を用いない場合には、40℃で1週間程度、静置する。
完全に溶解した後、慣用手法によりナノカーボン(例えばカーボンナノチューブ)を溶液から取り出す。例えば、ミセルタイプの場合は、ナノカーボン(例えばカーボンナノチューブ)溶液をクロマトグラフィーに付し、大きさ毎に分取した後、ナノカーボン(例えばカーボンナノチューブ)分画に水を入れ、臨界ミセル濃度未満とすることで、ナノカーボン(例えばカーボンナノチューブ)を取り出すことができる。
また、擬似ミセルタイプの場合には、例えば、アルギン酸ナトリウムを擬似ミセル形成物質として用いた場合には、90%のギ酸を用い、アルギン酸を選択的に加水分解し、濾過で、精製したナノカーボンを取り出すことができる。
このように、本発明によれば、ナノカーボンの合成方法に応じて発生する各種不純物、例えば、黒鉛などの不要な炭素不純物や遷移金属を、安価でかつ効率的に除去することが可能となり、結果として高純度のナノカーボンを得ることができる。
上記の架橋ナノカーボンの水可溶化剤における界面活性剤として両性界面活性剤を用いることで、架橋CNTが孤立分散状態で安定である架橋CNT分散ペースト又はCNT分散溶液を作製することができる。
(CNT分散ペースト)
CNT分散ペーストは、孤立分散させたいCNT凝集体(バンドル)と、両性界面活性剤と、を混合することで作製する。
両性界面活性剤は、本発明における分散処理において主たる役割を果たす。正電荷および負電荷を有するこれらの分子は、架橋CNT凝集体(バンドル)の表面上で自己組織化両性単分子膜(self-assembled zwitterionic monolayer:以下「SAZM」と略記する)を形成する。
架橋CNTバンドルを覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他の架橋CNTバンドルを覆うSAZMと静電的に結合する傾向がある。この静電的な力によって混合物中の各架橋CNTバンドルが互いに引っ張りあうことにより、架橋CNTバンドルを構成する各架橋CNTの引き剥がれが起き、新たな架橋CNTバンドルの表面が露出する。新しく露出した表面は、新たにSAZMによって覆われる。以上の反応が、架橋CNTバンドルを構成する架橋CNTが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的には架橋CNTを完全に孤立分散させることができる。なお、ここで「孤立分散する」とは、架橋CNTが1本ずつバラバラになることをいう。
具体的には、架橋CNTバンドルと両性界面活性剤と安定剤とを混ぜると、両性界面活性剤は、まず、分子間の電気的引力によって自己組織化し、二量体または四量体になる。この時、安定剤は、両性界面活性剤の疎水部と水素結合を形成し、二量体または四量体を構成する両性界面活性剤の分子間の結合を安定にする。次に、これらのSAZM構成要素(両性界面活性剤の分子の二量体または四量体)は、架橋CNTバンドルの表面に付着し、構成要素間で会合して、架橋CNTバンドルの表面にSAZMを形成する。この時、隣り合う両性界面活性剤の分子間で、同じ極性を有する領域が接近すると斥力が働いてしまう。そのため、両性界面活性剤の分子は、正電荷と負電荷が交互になるようにSAZMを構成する。
架橋CNTバンドルを覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他の架橋CNTバンドルを覆うSAZMと静電的に結合する。このような双極子間の電気的相互作用は容易に起こり、静置しておくだけで十分である。この時、この静電的な力によって各架橋CNTバンドルが互いに引っ張りあうことにより、架橋CNTバンドルを構成する各架橋CNTの引き剥がしが起き、両性界面活性剤分子が吸着していない架橋CNTが露出する。この新しく露出した表面は、新たに両性界面活性剤によって覆われる。以上の反応が、架橋CNTバンドルを構成する架橋CNTが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的には架橋CNTが両性界面活性剤によって完全に孤立分散する。
この過程は、両性分子の物理的特性によって自動的に進行するため、従来技術で見られる超音波処理などの物理的分散処理は不必要である。
上記の両性界面活性剤としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーやポリペプチドなどの両性高分子、および、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)、n−ドデシル−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、レシチン、などの両性低分子(両性界面活性剤を含む)、などが挙げられる。
安定剤は、例えば、グリセロール、多級アルコール、ポリビニルアルコール、アルキルアミンなどの水素結合を形成する物質が挙げられる。
このように作られた架橋CNTと両性界面活性剤の混合物では、バンドルを構成していた架橋CNTは孤立分散しているが、それらは両性界面活性剤を介して静電的に結合しているため、粘性が高いペースト状になる。
なお、上記分散ペーストの製法では、両性界面活性剤の正電荷−負電荷間の引力を用いて架橋CNTを孤立分散させるようにしているが、この原理によれば、両性分子を用いずに正電荷−負電荷間の引力を用いて架橋CNTを孤立分散させることもできる。
例えば、両性界面活性剤の代わりに陽性分子(例えば、陽イオン性界面活性剤および陽イオン性ポリマー)で修飾した架橋CNTバンドルと、陰性分子(例えば、陰イオン性界面活性剤および陰イオン性ポリマー)で修飾した架橋CNTバンドルと、の2種類の架橋CNTバンドルを用いて架橋CNTを孤立分散させることができる。これら2種類の架橋CNTバンドルを混合すると、2種類のバンドル間で正電荷−負電荷間の引力が働き、上記の両性界面活性剤を用いた方法と同じように架橋CNTバンドルが解体されていく。
しかし、この方法では、静電的に結合できる架橋CNTバンドルの数が半減する上、架橋CNTの分散に伴って現れる新たな架橋CNT表面を覆う陽性または陰性の分子がないため、上記両性界面活性剤を用いる方法に比べて効率が若干低下することが予想される。
(架橋CNT分散溶液)
架橋CNT分散溶液は、上記製法によって得られた架橋CNT分散ペーストを、極性が高いイオンおよび電荷を有する高分子の溶液に溶解することで得られる。この時、極性が高いイオンおよび電荷を有する高分子の組み合わせは、極性が高い陰イオンおよび酸性高分子、または極性が高い陽イオンおよび塩基性高分子、のいずれかとなる。以下、極性が高い陰イオンおよび酸性高分子を用いた場合について説明する。
極性が高い陰イオンは、溶液中では両性界面活性剤の分子内の正電荷部分と強くイオン結合し、両性界面活性剤の正電荷部分を電気的に中和する。これにより、両性界面活性剤は負電荷に帯電し、両性界面活性剤に覆われた架橋CNTは負電荷を帯びるようになる。その結果、孤立分散した架橋CNTは互いに反発するようになり、架橋CNT分散ペーストのように静電的に結合しなくなるので、架橋CNTは溶液中で完全に孤立分散状態になる。
上記極性が高い陰イオンは、例えば、ヨウ化物イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、フッ化ベリリウムイオンなどが挙げられる。
酸性高分子は、両性界面活性剤によって孤立分散された架橋CNTの安定化において主たる役割を果たす。酸性高分子は、上記極性が高い陰イオンによって負の電荷を帯びるようになった架橋CNTを覆う両性界面活性剤と、互いに反発しあう性質を持つ。そのため、架橋CNTを覆っている両性界面活性剤は、架橋CNTを分散させた後も周囲にある酸性高分子と反発しあうことになるので、架橋CNTから離れることができなくなる。これにより、SAZMは高い安定性を得られるようになる。なお、酸性高分子は、ペーストを作製する段階で混ぜても構わない。また、孤立分散された架橋CNTの安定性を高める必要がない場合は、電荷を有する高分子(この場合、酸性高分子)は必ずしも必要ではない。電荷を有する高分子を加えなくても、架橋CNT分散溶液は得られる。
上記酸性高分子は、例えば、κ−カラギーナン(κ-carrageenan)、DNA、ナフィオン(登録商標)、酢酸セルロース、リン酸セルロース、スルホン酸セルロース、ゲラン、アラビアンガム、ポリリン酸などが挙げられる。
極性が高い陽イオンおよび塩基性高分子を用いた場合は、原理は同じだが正電荷と負電荷が逆になる。すなわち、両性界面活性剤は、極性が高い陽イオンによって両性界面活性剤が正電荷を帯び、周囲の塩基性高分子と反発するようになる。上述のとおり、孤立分散された架橋CNTの安定性を高める必要がない場合は、電荷を有する高分子(この場合、塩基性高分子)は必ずしも必要ではない。
上記極性が高い陽イオンは、例えば、テトラメチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
上記塩基性高分子は、例えば、プロトン化されているキトサンなどが挙げられる。
上記架橋CNT分散溶液を疎水性平滑体に適用した後に乾燥し、その後水可溶化剤を洗浄除去することで、網目状架橋ナノカーボン凝集体を得ることができる。ここで、「平滑体」とは、表面が平面状である場合のみならず例えば球面状である場合をも包含する概念である。また、「適用」とは、例えば、塗布や浸漬等を挙げることができ、具体例としては、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の手段を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<カーボンナノチューブ精製用水溶液の調製>
以下の表1の配合に従い、カーボンナノチューブ精製用水溶液を調製した。そして、水溶液中の小胞体の直径を計測する。
Figure 0005026210
実施例1
シクロへキサン(200mL)とHiPco単層カーボンナノチューブ(0.5g)を混合し、室温で10分間攪拌する。ビスフェロセン化合物FE−5(15.8g、40mmol)、塩化アルミニウム13.3g、100mmol)、アルミニウム粉(0.68g、25mmol)を加え、窒素下で8時間還流する。0℃に冷却し、メタノールを加え、生じる固体を遠心分離し、超音波浴中で、メタノール、アセトン、エーテルで洗い、減圧下60℃で乾燥することにより、架橋単層カーボンナノチューブを得る。
前記の処理で得た架橋単層カーボンナノチューブを、1リットルのカーボンナノチューブ精製用水溶液に添加し、超音波で約10分間ほぐした。そして、この架橋単層カーボンナノチューブ/カーボンナノチューブ精製用水溶液の混合体を、湯浴中で、室温から60℃に上昇させ約10分間放置すると、カーボンナノチューブは完全に溶解し、架橋単層カーボンナノチューブの分散物が得られる。
前記の操作で得られるカーボンナノチューブ溶液に大量の水を入れ、臨界ミセル濃度未満とすることで、カーボンナノチューブが析出する。このカーボンナノチューブの回収率を測定すると、約90%程度である。
実施例2〜6
実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブの回収率を測定する。その結果を表2に示す。
Figure 0005026210
実施例7
HiPco単層カーボンナノチューブを1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波処理し、超遠心分離機で沈殿物を除去し、単層カーボンナノチューブの懸濁液を得る。この液をpH5.5、45℃に調整し、その5mLを攪拌しつつ、これに、Woo−Jae Kim等の著した米国化学会2007年発行のChemistry of Materials 誌、19巻、1571−1576頁に記載された方法で調製される4−ヒドロキシベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレートの水溶液(0.3mmol/L、500μL)をシリンジポンプを用いて、約20μL/hの速度で添加する。水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性に調整し、ビニルスルホン化合物VS−1のメタノール溶液を加えて室温で24時間攪拌する。溶媒を減圧下に留去し、水、メタノール、アセトンで洗い、減圧下に乾燥して架橋単層カーボンナノチューブを得る。
市販のアルギン酸ナトリウム(和光純薬、重量平均分子量:50万)とこの架橋単層カーボンナノチューブ(重量比4:1)を脱イオン水中に添加する(脱イオン水に対するアルギン酸ナトリウムの重量比で1%、5%、2%)。十分な撹拌の後、40℃で約1週間、静置する。その後、アルギン酸ナトリウム:架橋単層カーボンナノチューブ:脱イオン水の重量比を約4:1:10000まで希釈すると、透明な分散物が得られる。そして、赤外スペクトル、ゼータ電位測定及び透視型電子顕微鏡を使って、アルギン酸ナトリウム/架橋単層カーボンナノチューブの複合体の存在を確認する。その後、この分散物に90%のギ酸を添加し、アルギン酸を選択的に加水分解し、濾過することにより、精製したナノカーボンを得る。
実施例8
実施例7で用いた架橋単層カーボンナノチューブ20mgを、水酸化リチウム0.2M、過硫酸アンモニウム0.1M及び上記アルギン酸ナトリウム(20mg/ml)を含有する水溶液(pH=12.8)1mlに添加し、ホモジナイザーで十分に混合し、40℃下で一日程度静置する。その後、遠心分離機(3000G)で不溶性不純物を取り除き、均一に分散している墨状の分産物を得る。これを、ギ酸(90%)で100℃で処理し、精製した単層カーボンナノチューブを高圧ろ過分離し、脱イオン水で十分に洗浄し、120℃で乾燥し、約2mgの高純度架橋単層カーボンナノチューブを得る。

Claims (3)

  1. 水溶液中で直径が50〜2000nmの球状ミセルを形成しうる界面活性剤又は重量平均分子量が1万〜5千万である擬似ミセルを形成しうる水溶性高分子を有効成分として含有する架橋ナノカーボンの水可溶化剤と、架橋ナノカーボンとを含有する架橋ナノカーボン分散物
  2. 前記架橋ナノカーボンの架橋部がπ電子共役系を含む、請求項1記載の架橋ナノカーボン分散物
  3. 前記界面活性剤が両性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の架橋ナノカーボン分散物
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