JP5024559B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来、ガソリンとアルコールの各種組成の混合燃料で走行可能な車両として、いわゆるFFV(Flexible Fuel Vehicle)が知られている。FFVは、混合燃料内のアルコール濃度をアルコール濃度センサで検出し、検出したアルコール濃度に応じてエンジンの燃料噴射量等の運転パラメータを制御する。
ところで、コスト低減等の面から、アルコール濃度センサを設けずにOセンサ等の既存のセンサの検出値からアルコール濃度を推定する燃料性状推定装置を設けたFFVが知られている(特許文献1参照)。
特開2004−251135号公報(請求項1、段落0021等)
上記燃料性状推定装置においては、センサの故障があった場合には、アルコール濃度推定値を40%に固定してその後の制御を行う。そのため、実際の燃料性状とは異なる燃料性状となっている場合が多い。そうすると、この固定した濃度と実際の燃料濃度とが大きく乖離している場合に、以下のような問題が生じる可能性がある。
すなわち、アルコールはガソリンと比較してエネルギー密度が小さい(約2/3)ため、アルコール混合燃料においてアルコール濃度が高くなればなるほど、より多くの燃料を噴射する必要がある。この場合に、特許文献1のようにアルコール濃度推定値を40%に固定してしまうと、例えば実際の燃料中のアルコール濃度が70%である場合は、目標空燃比となるように制御しても実際に必要な燃料量よりも少ない量しか噴射されず、燃料量が不足していることとなる。そして、燃料量が不足すると、燃料の気化熱によって排気系の温度を下げる効果が実現されにくくなるため、排気系が過熱状態に至る可能性があり、その結果、排気管が熱劣化したり、触媒が溶損したりする等の問題が生じるおそれがある。
特に、ドライバの要求する車両の走行状態が、排気空燃比のフィードバック制御作動領域から外れると、フィードバック制御を行わない状態、即ち排気空燃比に基づいて適切な燃料噴射量を設定しない状態となる。この排気空燃比に基づいて適切な燃料噴射量を設定しない状態で、実際の燃料性状とは異なるアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射を行ってしまうと、さらに燃料噴射量が少なくなって排気系の過熱の問題が顕著となることが考えられる。
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、検出手段の故障があってアルコール濃度を推定できない場合であっても、エンジンの排気系などのダメージを抑制できる内燃機関の制御装置を提供しようとするものである。
本発明の内燃機関の制御装置は、車両の内燃機関から排出される排気の状態を示す排気状態検出情報を検出する排気状態検出手段と、この排気状態検出情報に基づいて排気空燃比を目標空燃比に近づけるようにフィードバック制御を行うフィードバック制御手段と、燃料中のアルコール濃度を推定するために必要な車両状態検出情報を検出する、前記排気状態検出手段とは別の一以上の車両状態検出手段と、これらの排気状態検出情報及び車両状態検出情報に基づいて前記燃料中の前記アルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、前記排気状態検出手段と前記車両状態検出手段とが正常に機能しているかどうかを判定する機能状態判定手段と、前記機能状態判定手段により、前記排気状態検出手段が正常に機能していると判定され、かつ、前記車両状態検出手段のうちのいずれか一つ以上が正常に機能していないと判定された場合に、前記フィードバック制御手段がフィードバック制御を行うフィードバック制御作動領域となるように前記内燃機関の吸入空気量を制限する吸入空気量制御手段と、前記内燃機関の回転速度に基づいて前記内燃機関の有効圧力値を設定する有効圧力値設定手段とを備え、前記吸入空気量制御手段は、この有効圧力値に基づいて前記内燃機関の吸入空気量を制限することを特徴とする。
従来、各車両状態検出手段のうちのいずれか一つ以上が正常に機能しておらず、燃料のアルコール濃度が正確に推定できない状況では、上述のように実際の燃料性状とは異なるアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射を行ってしまい、場合によっては排気系統にダメージを与える可能性があった。これに対し、本発明においては、燃料のアルコール濃度が正確に推定できない状況であっても、吸入空気量制御手段で吸入空気量を制限することにより、車両の走行状態をフィードバック制御作動領域に収めて燃料が過小にならない適切な状態の燃料噴射量に設定できる。このように、本発明においては、燃料のアルコール濃度が正確に推定できない状況下で、ドライバの要求する車両の走行状態がフィードバック制御作動領域を外れるものとなっても、吸入空気量をフィードバック制御作動領域になるようにしてフィードバック制御を継続して、排気系の過熱を抑えて排気系へのダメージを抑制することが可能である。
ここで、有効圧は「図示有効圧」を指す。ストイキのフィードバック領域を規定する条件の「排気系(触媒)温度」は、主にエンジンに吸入された新気重量(=エンジン出力)と関連があるので、「図示有効圧」をパラメータとすることで、環境条件に応じて必要な領域のみに限定した吸入空気量の制限が可能となる。
具体的には、吸入空気量の制限を直接設定すると、筒内への流入空気量は環境条件によらず一定になるが、環境条件により密度が異なるために重量は一定とはならず、高地では排気系温度が低下する。つまり、この場合には吸入空気量の制限が不要になるため、環境条件に応じて必要な領域のみに限定した吸入空気量の制限が可能となる。
また、前記吸入空気量制御手段の好ましい実施形態としては、前記機能状態判定手段により、前記排気状態検出手段が正常に機能していると判定され、かつ、前記車両状態検出手段のうちのいずれか一つ以上が正常に機能していないと判定された場合に、前記フィードバック制御手段が前記目標空燃比をストイキとするストイキフィードバック制御を行うストイキフィードバック制御作動領域となるように、前記内燃機関の前記吸入空気量を制限することが挙げられる。
ストイキフィードバック制御作動領域となるように吸入空気量を制限することで、より適切に燃料噴射量を設定できる。
また、前記吸入空気量制御手段の好ましい実施形態としては、前記機能状態判定手段により、前記排気状態検出手段が正常に機能していないと判定された場合には、前記車両の運転状態が前記ストイキフィードバック制御作動領域となる空気量、又は、同吸気量よりも少ない空気量となるように吸入空気量を制限することが挙げられる。
排気状態検出手段が正常に機能していない場合には、ストイキフィードバック制御作動領域となる空気量を上限として空気量を制限することができる。
また、前記内燃機関の有効圧力値を設定する有効圧力値設定手段を備え、前記吸入空気量制御手段は、この有効圧力値に基づいて前記内燃機関の吸入空気量を制限することが好ましい。
また、前記吸入空気量制御手段は、前記内燃機関の吸気系に設けられたスロットルバルブの開度を調整して前記内燃機関の前記吸入空気量を制限するバルブ開度制御手段であることが好ましい。
スロットルバルブの開度を調整することで、簡易に吸入空気量を制御することが可能である。
本発明の内燃機関の制御装置によれば、排気状態検出手段が正常に機能しており、かつ、アルコール濃度推定に用いられる車両状態検出手段が正常に機能していない場合、即ちアルコール濃度推定を実行できず、適切なアルコール濃度を設定できない場合には、走行状態を常にフィードバック制御作動領域に設定することができる。これにより、アルコール濃度推定を実行できない状況でフィードバック制御作動領域からはずれる走行状態をドライバが要求しても、フィードバック制御に基づいて燃料噴射量を適宜設定できる。従って、アルコール濃度が推定されないことに起因して生じるエンジン本体、エンジンの排気系(特に触媒)などのダメージを抑制するという優れた効果を奏し得る。
本発明の内燃機関の制御装置を、図1を用いて説明する。図1は、内燃機関(エンジンシステム)の構成を示す模式図である。
図1に示すガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)11は、吸気管噴射型(Multi Point Injection)のガソリンエンジンである。このエンジン11は、シリンダヘッド12とシリンダブロック13とを有している。シリンダブロック13の各シリンダ14内には、ピストン15が往復移動自在に収容されている。そして、このピストン15とシリンダ14とシリンダヘッド12とで燃焼室16が形成されている。ピストン15は、コンロッド17を介してクランクシャフト18に接続されている。ピストン15の往復運動は、コンロッド17を介してクランクシャフト18に伝達される。
シリンダヘッド12には吸気ポート19が形成されている。この吸気ポート19には、吸気マニホールド20が接続されている。吸気マニホールド20には、吸気管21が接続されている。吸気ポート19には、吸気弁22が設けられている。吸気ポート19は、この吸気弁22の開度に応じて開閉されるようになっている。さらに吸気マニホールド20には、燃料噴射弁23が設けられている。この燃料噴射弁23には、燃料配管を介して燃料タンク24から燃料が供給される。
吸気管21には、パージ通路25を介してキャニスタ26が接続されている。これらのパージ通路25及びキャニスタ26は、キャニスタ26に蓄積された蒸発燃料がパージ通路25から吸気管21にパージされるように構成されている。また、パージ通路25には、パージ通路25を通過する蒸発燃料量を調整するためのパージソレノイドバルブ27が介装されている。
シリンダヘッド12には、さらに排気ポート28が形成されている。この排気ポート28には排気マニホールド29の一端が接続されている。排気マニホールド29の他端には、排気管30が接続されている。なお、排気ポート28には排気弁31が設けられている。この排気ポート28は、吸気ポート19における吸気弁22と同様、排気弁31によって開閉されるようになっている。
シリンダヘッド12には、気筒毎に点火プラグ32が取り付けられている。各点火プラグ32には、高電圧を出力する点火コイル33が接続されている。また、吸気マニホールド20の上流側の吸気管21には、吸入空気量を調整するスロットルバルブ34が設けられている。排気マニホールド29に接続された排気管30には、排気浄化用触媒である三元触媒35が介装されている。
ECU(電子コントロールユニット)36は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えている。このECU36は、エンジン11を含めた制御装置10の総合的な制御を行うものである。
ECU36の入力側には、各種センサ類が接続されている。ECU36には、これらセンサ類からの検出情報が入力される。このようなセンサとしては、燃料タンク24に設けられた燃料レベルセンサ40、スロットルバルブ34の開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)41、スロットルバルブ34の上流に設けられ吸気量を計測する吸気量センサ(エアフローセンサ)42、三元触媒35の上流側に設けられ排気状態(酸素濃度)を検出するOセンサ43、エンジン11の冷却系に設けられた水温センサ44、エンジン11に設けられエンジンの回転速度を検出するためのクランク角センサ45がある。また、アクセルペダル(図示せず)の操作開度を検出するアクセルポジションセンサ47、車速を検出する車速センサ48も接続されている。
本実施形態では、ECU36は、燃料が燃料タンク24に給油された場合、これらの水温センサ44、Oセンサ43、燃料レベルセンサ40等の各種検出量に基づいて、アルコール濃度を推定するように構成されている。そして、ECU36は、このアルコール濃度に応じて排気空燃比が目標空燃比に近づくように燃料噴射量や噴射時期を設定するように構成されている。
ECU36の出力側には、上述の燃料噴射弁23、点火コイル33、スロットルバルブ34等が接続されている。これらには、各種センサ類からの検出情報に基づきECU36で演算された燃料噴射時間、点火時期、スロットル開度等がそれぞれ出力される。
以下、ECU36での処理について、図2を用いて説明する。図2は、ECUの構成を説明するための模式的ブロック図である。
ECU36は、触媒通過前の排ガス中の酸素濃度を検出するOセンサ43で検出された排気空燃比を目標空燃比に近づけるようにフィードバック制御するフィードバック制御手段51と、各種検出情報に基づいて燃料中のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段52と、エンジン11の作動を制御するエンジン制御手段53とを備えている。
フィードバック制御手段51は、吸入空気量に応じて車両の走行状態がフィードバック制御を行うフィードバック制御作動領域(いわゆるクローズドループ領域)にあるかどうかを判定する。具体的には、吸入空気量としてのエアフローセンサ42及びスロットルポジションセンサ41の検出結果と、クランク角センサ45及び車速センサ48との検出結果に応じて、車両の走行状態がフィードバック制御作動領域にあるかどうかを判断する。フィードバック制御作動領域にない場合とは、例えば、エンジン11が高回転・高負荷で運転している場合が挙げられる(いわゆるオープンループ領域)。フィードバック制御作動領域であれば、フィードバック制御手段51はOセンサ43により検出された排気空燃比と目標空燃比とのずれを算出し、このずれを基にフィードバック補正量を決定してフィードバック補正量をエンジン制御手段53に出力している。
アルコール濃度推定手段52は、給油判定手段としての燃料レベルセンサ40及び車速センサ48の検出情報に基づいて給油有判定情報が入力され、その後燃料配管内に残存していた給油前の燃料が噴射されているかどうかにより、アルコール濃度推定期間であるかどうかを判断する。アルコール濃度推定期間であれば、アルコール濃度推定手段52は、フィードバック制御手段51の作動状態及びパージバルブ開度センサ46からのパージソレノイドバルブ27の開度情報からパージが停止中であるかどうかを判断する。フィードバック制御中でかつパージが停止中である場合、アルコール濃度推定手段52はアルコール濃度推定を実行する。アルコール濃度推定手段52は、この推定された推定アルコール濃度値をエンジン制御手段53に出力する。
エンジン制御手段53は、アクセルポジションセンサ47により検出されたアクセルペダルの踏み込み量と、クランク角センサ45により検出されたエンジン回転速度Neと、エアフローセンサ42によって検出されたエンジン11の吸気流量とに基づいて、基本噴射量を設定する。そして、エンジン制御手段53は、この基本噴射量を、エンジン制御手段53に入力された推定アルコール濃度値及びフィードバック補正値に基づいて補正し、目標噴射量を設定する。この目標噴射量は、エンジン11の燃料噴射弁23によって噴射される燃料の目標量を示すものである。この目標噴射量に基づいて、燃料噴射弁23から所望量の燃料が噴射される。
ところで、アルコール濃度推定手段52に検出結果を送出する各種センサのうちいずれか一つ以上が、正常に機能していない(即ち機能欠損している)と、正確にアルコール濃度が推定できず、例えば、アルコール濃度が高い燃料が給油されたにも関わらず、低いアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射を行うことがある。この状態で、例えば、ドライバの要求する車両の走行状態がフィードバック制御作動領域から外れるものであると(例えばエンジンが高負荷状態になる走行が要求されると)、フィードバック制御ができない状態、即ち排気空燃比に基づいて適切な燃料噴射量を設定できない状態となる。この排気空燃比に基づいて適切な燃料噴射量を設定できない状態で、低いアルコール濃度推定値に基づいて燃料噴射を行ってしまうと、実際に必要な燃料量よりも少ない量しか噴射されず、燃料量が不足していることとなる。そして、燃料量が不足すると、燃料の気化熱によって排気系の温度を下げる効果が実現されにくくなる。その結果、エンジン11本体、エンジン11の排気系(特に三元触媒35)が高温となってしまうことがある。これにより、エンジン11本体、エンジン11の排気系(特に三元触媒35)などにダメージが加わるおそれがあるので、これを抑制する必要がある。
そこで、本実施形態のECU36は、エンジン11の吸入空気量を制限する吸入空気量制御手段を備える。吸入空気量制御手段は、アルコール濃度推定手段52に検出結果を送出する各種センサ(ただし後述するようにOセンサ43は除く)のうちのいずれか一つ以上が正常に機能していない状態で、吸入空気量を車両の走行状態がフィードバック制御作動領域となるように制御することで、ドライバの要求する走行状態がフィードバック制御作動領域を超える場合であっても走行状態をフィードバック制御作動領域に限定することができる。これにより、フィードバック制御を行って排気空燃比に基づいて燃料噴射量を設定できるので、過度の温度上昇を防止できエンジン11の排気系などのダメージを抑制できる。
本実施形態では、吸入空気量制御手段として、目標有効圧設定手段(有効圧力値設定手段)54を備えている。目標有効圧設定手段54は、吸入空気量を制御するためにエンジン11の有効圧を設定するものである。
目標有効圧設定手段54は、具体的には、車両の走行状態がフィードバック制御作動領域となるための目標有効圧PIを車両の走行状態から設定するものである。車両の走行状態を検出するためには、車速や吸入空気量等を検出してもよいが、本実施形態では、クランク角センサ45によりエンジン回転速度を検出し、このエンジン回転速度に基づいて、フィードバック制御作動領域となるように、好ましくは目標空燃比をストイキとするストイキフィードバック制御を行うストイキフィードバック制御作動領域となるように、目標有効圧PIを設定する。
フィードバック領域の判別は、排気系(触媒)温度を基に負荷(充填効率)で行っているが、これは、負荷に対する排気系(触媒)温度は、エンジン回転速度によって異なるためである。
また、本実施形態のECU36は、Oセンサ43及びアルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータが正常に機能しているかどうかを判断する機能状態判断手段55を備える。ここで、アルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータとしては、上述したように水温センサ44、車速センサ48及び燃料レベルセンサ40、並びにパージバルブ開度センサ46が挙げられる。また、フィードバック制御作動領域にあることがアルコール濃度推定実行のための条件であることから、フィードバック制御手段51がフィードバック制御作動領域にあるかどうかを判断するために使用されるセンサ・アクチュエータもアルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータに含まれる。これらのセンサ・アクチュエータとしては、上記したように、エアフローセンサ42、クランク角センサ45及びスロットルポジションセンサ41が挙げられる。
なお、Oセンサ43が正常に機能していない場合については、排気空燃比を検出することができないので、吸入空気量をフィードバック制御作動領域に限定するように目標有効圧PIを設定してもECU36は適切な燃料噴射量を設定することができない。他方で、Oセンサ43が少なくとも機能していれば、排気空燃比からフィードバック補正量を算出して、エンジン制御手段53により燃料噴射量を設定できる。従って、目標有効圧設定手段54は、Oセンサが正常に機能しており、かつ、上記のアルコール濃度推定に用いられるセンサのうちのいずれか一つ以上が正常に機能していない場合に、フィードバック制御作動領域になるように有効圧を設定するものである。
また、正常に機能していない状態とは、センサが故障している状態をいい、センサが不活性となっている状態を含むものである。機能状態判断手段55は、これらのセンサ・アクチュエータからの検出情報が入力されているかどうか、また、検出情報が示す特性が異常値ではないかどうかで正常に機能しているかどうかを判断する。
上記のように、目標有効圧設定手段54は、ドライバの要求する要求有効圧値Pdがフィードバック制御作動領域になかったとしても、ドライバが要求するドライバ要求有効圧PIdを目標有効圧PIに限定し、その結果車両の走行状態がフィードバック制御作動領域となるようにすることを可能としている。そして、これにより車両がフィードバック制御を行って、適宜燃料噴射量を設定することができるので、エンジン本体、エンジンの排気系(特に触媒)などのダメージを抑制することができる。
以下、ドライバの要求する車両の走行状態がフィードバック制御作動領域にない場合における目標有効圧設定手段54による目標有効圧の設定工程について、図3を用いて説明する。
制御がスタートすると、まず、ステップS2では、Oセンサ43が正常に機能しているかどうかを判定する。Oセンサ43が正常に機能している場合(YES)には、ステップS1で、上述したアルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータが正常に機能しているかどうかを判定する。正常に機能している場合(YES)は、ステップS5に進み(内容は後述する)、制御が終了する。
ステップS1でセンサ・アクチュエータが正常に機能していない場合(NO)は、ステップS3へ進む。ステップS3では、エンジン回転速度Neに対する有効圧PIv(Ne)とのマップを用いて、エンジン回転速度Neから有効圧PIv(n)を決定し、ステップS4へ進む。ステップS1では、Oセンサ43以外のアルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータが正常に機能しているかどうかを判定している。
ステップS2で、Oセンサ43が正常に機能していない場合(NO)は、ステップS21へ進む。ステップS21では、エンジン回転速度Neに対する有効圧PIva(Ne)とのマップを用いて、エンジン回転速度Neから有効圧PIv(n)を決定し、ステップS4へ進む。
ここで、有効圧PIva(Ne)は、Oセンサ43が正常に機能していない場合の空気量を設定するもので、車両の運転状態がストイキフィードバック制御作動領域となる空気量、又は、同吸気量よりも少ない空気量となるように設定される有効圧である。
ステップS4では、ドライバの要求するドライバ要求有効圧PId(n)が設定した有効圧PIv(n)よりも大きいかどうかを判定する。ここで、ドライバ要求有効圧PId(n)は、アクセルポジションセンサ47の踏み込み値によって設定される。
ドライバ要求有効圧PId(n)が有効圧PIv(n)以下の場合(NO)には、ステップS5に進み、ドライバ要求有効圧PId(n)を目標有効圧PI(n)として設定する。他方で、ドライバ要求有効圧PId(n)が有効圧PIv(n)よりも高い場合(YES)には、ステップS6に進み、有効圧PIv(n)を目標有効圧PI(n)として設定する。このように、ステップS4〜S6により、本実施形態では、目標有効圧PI(n)がドライバ要求有効圧PId(n)を上回らないように設定する。
このようにして、目標有効圧PIを設定することができる。設定された目標有効圧PIは、エンジン制御手段53に入力される。この場合に、有効圧が目標有効圧PIに限定されていることからフィードバック制御作動領域を保持することができる。これにより、ドライバがフィードバック制御作動領域を外れるような走行状態を要求したとしても、フィードバック制御を行うことができ、適宜燃料噴射量を設定することができるため、エンジン11本体やエンジン11の排気系のダメージを抑制する。
上述した実施形態においては、エンジン11の吸入空気量を限定的に設定する吸入空気量制御手段として機能する目標有効圧設定手段54を備えているものであった。以下で説明するように、吸入空気量制御手段としては、吸入空気量を制限できるものであれば、例えば、スロットルバルブ34の開度を制御して吸入空気量を制限するETV開度制御手段でもよい。
ETV開度制御手段は、センサ等が正常に機能しているかどうかを判断する機能状態判断手段を備える点は目標有効圧設定手段54と同一である。ETV開度制御手段は、目標有効圧に対して目標ETV開度を設定し、この目標ETV開度に基づいてETVの開度を調整するETV開度調整手段を備える点が異なっている。ETV開度調整手段は、車両の走行状態がフィードバック制御作動領域となるための目標ETV開度TPを車両の走行状態から設定するものである。車両の走行状態を検出するためには、車速や吸入空気量等を検出してもよいが、本実施形態では、クランク角センサ45によりエンジン回転速度を検出し、このエンジン回転速度に基づいて、フィードバック制御作動領域となるように目標ETV開度TPを設定する。そして、ETV開度調整手段は、目標ETV開度TPに基づいてスロットルバルブ34の開度を調整する。なお、目標ETV開度設定手段は、ドライバ要求ETV開度TPdを超えない目標ETV開度TPを設定するように構成されている。
図4は、目標ETV開度制御手段の制御工程を説明するためのフローチャートである。
初めに、制御がスタートすると、まず、ステップS12では、Oセンサ43が正常に機能しているかどうかを判定する。Oセンサ43が正常に機能している場合(YES)には、ステップS11で、上述したアルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータが正常に機能しているかどうかを判定する。正常に機能している場合(YES)は、ステップS16に進み(内容は後述する)、制御が終了する。ステップS11では、Oセンサ43以外のアルコール濃度推定で使用されるセンサ・アクチュエータが正常に機能しているかどうかを判定している。
ステップS11でセンサ・アクチュエータが正常に機能していない場合(NO)は、ステップS13へ進む。
ステップS13では、有効圧PIv(n)を設定する。具体的には、以下の式(1)より求める。
PIv(n)=PIv(Ne)×1/KAT×760/PATM・・・(1)
ここで、有効圧PIv(Ne)は、エンジン回転速度Neに対する有効圧PIv(n)を示すマップを用いて、エンジン回転速度Neからを決定されたものである。また、KAT、PATMはそれぞれ環境変数であり、KATはエンジン11の吸気系に設けられた吸気温センサ49による吸気温度に応じた値、PATMは圧力計50による大気圧力値に応じたである。有効圧PIv(n)を設定した後、ステップS14へ進む。
ステップS12で、Oセンサ43が正常に機能していない場合(NO)は、ステップS22へ進む。ステップS22では、Oセンサ43が正常に機能していない場合の有効圧PIv(n)を設定する。具体的には、以下の式(2)より求める。
PIv(n)=PIva(Ne)×1/KAT×760/PATM・・・(2)
ここで、有効圧PIva(Ne)は、Oセンサ43が正常に機能していない場合のエンジン回転速度Neに対する有効圧PIva(Ne)を示すマップを用いて、エンジン回転速度Neから決定されたものである。
有効圧PIva(Ne)は、Oセンサ43が正常に機能していない場合の空気量を設定するもので、車両の運転状態がストイキフィードバック制御作動領域となる空気量、又は、同吸気量よりも少ない空気量となるように設定される有効圧である。
また、KAT、PATMはそれぞれ環境変数であり、KATはエンジン11の吸気系に設けられた吸気温センサ49による吸気温度に応じた値、PATMは圧力計50による大気圧力値に応じたである。有効圧PIv(n)を設定した後、ステップS14へ進む。
ステップS14では、得られた有効圧PIv(n)及びエンジン回転速度Neに対するETV開度TPを示すマップから、ETV開度TPv(n)を決定する。ステップS15へ進む。
ステップS15では、ドライバの要求するドライバ要求開度TPd(n)が設定したETV開度TPv(n)よりも大きいかどうかを判定する。ここで、ドライバ要求開度TPd(n)は、アクセルポジションセンサ47の踏み込み値を元にして踏み込み値に対するETV開度を示すマップから設定される。
ここで、ETV開度TP=f(エンジン回転速度、有効圧)で設定しており、この特性はある条件(例えば標準状態)で成立する。このため、環境条件が変化した場合には、環境条件に応じて新気重量(=エンジン出力)を一定にする修正が必要となる。
ドライバ要求開度TPd(n)がETV開度TPv(n)以下の場合(NO)には、ステップS16に進み、ドライバ要求開度TPd(n)を目標ETV開度TP(n)として設定する。他方でドライバ要求開度TPd(n)がETV開度TPv(n)よりも高い場合(YES)には、ステップS17に進み、ETV開度TPv(n)を目標ETV開度TP(n)として設定する。その後、設定された目標ETV開度TP(n)に基づいて、電気制御式スロットルバルブ34の開度を調整する。このようにして、吸気量を制御して車両の走行状態をフィードバック制御作動領域に限定する。これにより、エンジン11及びその排気系のダメージを防止することが可能である。
なお、上述した各実施形態においては、排気状態検出手段としてOセンサを用いたが、LAFS(リニア空燃比センサ)を用いてもよい。また、本実施形態において、アルコール濃度推定に用いられる各種センサ・アクチュエータを列挙したが、これ以外にもアルコール濃度推定に用いられる各種センサ・アクチュエータがあればそれを含むものである。
本発明の内燃機関の制御装置によれば、内燃機関の排気系へのダメージを抑制するという優れた効果を奏し得る。従って、例えば自動車製造産業において利用可能である。
本実施形態のエンジンシステムの構成を示す模式図である。 本実施形態のECUの構成を示す模式図である。 本実施形態の目標有効圧設定工程について説明するフローチャートである。 本実施形態の目標ETV開度制御手段の制御工程について説明するフローチャートである。
符号の説明
10 制御装置
11 エンジン
25 パージ通路
26 キャニスタ
27 パージソレノイドバルブ
34 スロットルバルブ
40 燃料レベルセンサ
41 スロットルポジションセンサ
42 エアフローセンサ
43 Oセンサ
44 水温センサ
45 クランク角センサ
46 パージバルブ開度センサ
47 アクセルポジションセンサ
48 車速センサ
49 吸気温センサ
51 フィードバック制御手段
52 アルコール濃度推定手段
53 エンジン制御手段
54 目標有効圧設定手段
55 機能状態判断手段

Claims (3)

  1. 車両の内燃機関から排出される排気の状態を示す排気状態検出情報を検出する排気状態検出手段と、
    この排気状態検出情報に基づいて排気空燃比を目標空燃比に近づけるようにフィードバック制御を行うフィードバック制御手段と、
    燃料中のアルコール濃度を推定するために必要な車両状態検出情報を検出する、前記排気状態検出手段とは別の一以上の車両状態検出手段と、
    これらの排気状態検出情報及び車両状態検出情報に基づいて前記燃料中の前記アルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、
    前記排気状態検出手段と前記車両状態検出手段とが正常に機能しているかどうかを判定する機能状態判定手段と、
    前記機能状態判定手段により、前記排気状態検出手段が正常に機能していると判定され、かつ、前記車両状態検出手段のうちのいずれか一つ以上が正常に機能していないと判定された場合に、
    前記フィードバック制御手段がフィードバック制御を行うフィードバック制御作動領域となるように前記内燃機関の吸入空気量を制限する吸入空気量制御手段と
    前記内燃機関の回転速度に基づいて前記内燃機関の有効圧力値を設定する有効圧力値設定手段とを備え、
    前記吸入空気量制御手段は、この有効圧力値に基づいて前記内燃機関の吸入空気量を制限することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記吸入空気量制御手段は、
    前記機能状態判定手段により、前記排気状態検出手段が正常に機能していると判定され、かつ、前記車両状態検出手段のうちのいずれか一つ以上が正常に機能していないと判定された場合に、
    前記フィードバック制御手段が前記目標空燃比をストイキとするストイキフィードバック制御を行うストイキフィードバック制御作動領域となるように、前記内燃機関の前記吸入空気量を制限することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記吸入空気量制御手段は、前記内燃機関の吸気系に設けられたスロットルバルブの開度を調整して前記内燃機関の前記吸入空気量を制限するバルブ開度制御手段であることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
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