JP5024471B2 - 液体吐出装置および液体吐出ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット式記録装置、ディスプレー製造装置、電極形成装置、あるいは、バイオチップ製造装置など、液体を吐出して描画等を行う液体吐出装置および液体吐出ヘッドに関する。
従来、液体吐出装置として、紙への印刷に適したインクジェットプリンタ等があり、一般的には、印刷用紙に対して往復動するキャリッジに、液体(インク)を微小なノズルから吐出する液体吐出ヘッドを搭載した構成のものが知られている。このような液体吐出装置における課題の一つはインクの供給流路内に滞留する気泡の問題である。このような滞留した気泡は、印刷動作時におけるインクの流動によってノズルの方へ流出することがあり、吐出不良を引き起こす原因となる。
そこで、上述の問題に鑑みて、滞留している気泡をインクと共に供給流路から強制的に排出する、いわゆる回復動作(クリーニング動作)を行う液体吐出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。ところで、供給流路内の気泡は経時的に成長することが知られており、気泡を排出するための回復動作は、その成長に合わせて適切なタイミングで行われることが望ましい。気泡が回復動作によって排出されるためには、ある程度の大きさに成長していることが必要であり、微小な気泡に対して回復動作を行っても、当該気泡に対して十分な排出力が作用せず、インクばかりが消費されて不経済だからである。
特開2001−239679号公報
ところで、本願発明の発明者らは、供給流路に滞留する気泡の成長速度が対応するインク種によって異なることを新たに発見した。この場合、適切な回復動作のタイミングがインク種毎に異なるため、回復動作を行ったときに、一のインク種に対応する供給流路からは気泡を排出できても、他のインク種に対応する供給流路には気泡が残留したままであることが起こり得る。このため、吐出不良を引き起こす機会が増えたり、回復動作を要するタイミングの間隔が短くなってインクの消費量が増えてしまったりすることが起こり得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、複数種の液体に対応して設けられた供給流路内における気泡を効率的に排出可能な液体吐出装置、および液体吐出ヘッドを提供することを目的としている。
本発明は、液体をノズルに供給するための、少なくとも2種以上の前記液体にそれぞれ対応した供給流路を備え、前記ノズルから前記液体を吐出可能な液体吐出装置であって、前記供給流路における一の要素領域の気泡排出性に係る構造が、一の前記液体に対応する供給流路と他の前記液体に対応する供給流路とで異なるようにされていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、供給流路間の気泡成長速度差に依存して生じる回復動作の適正タイミングについてのばらつきを、当該供給流路間における気泡排出性に係る構造の差によって補償することができる。これにより、供給流路内で成長した気泡を一度の回復動作で効率的に排出することができる。
また好ましくは、気泡の発生速度が互いに異なる前記2種以上の液体に対応した前記液体吐出装置において、一の前記液体に対応する前記要素領域の気泡排出性が、当該一の液体よりも気泡の発生速度の速い他の前記液体に対応する前記要素領域の気泡排出性よりも、高くされていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、自己分解による気泡の発生速度の異なる液体を用いつつも、気泡成長速度の差に依存して発生する回復動作の適正タイミングの供給流路間ばらつきを補償して、効率的な気泡排出を実現することができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記一の要素領域は、前記供給流路における拡幅された領域であることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、構造的に気泡が滞留しやすく、供給流路全体の気泡排出性に支配的な影響を及ぼす箇所である拡幅された領域について、気泡排出性に係る構造差を設けるようにしているので、上述の効果をより効果的に得ることができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記一の要素領域は、フィルタ部材を備えるフィルタ室であることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、構造的に気泡が滞留しやすく、供給流路全体の気泡排出性に支配的な影響を及ぼす箇所であるフィルタ室について、気泡排出性に係る構造差を設けるようにしているので、上述の効果をより効果的に得ることができる。
また好ましくは、前記フィルタ室を前記一の要素領域とする前記液体吐出装置において、前記フィルタ室の内径が、一の前記液体に対応する供給流路と他の前記液体に対応する供給流路とで異なるようにされていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、好適に気泡排出性の差を設けることができる。
また好ましくは、前記フィルタ室を前記一の要素領域とする前記液体吐出装置において、前記フィルタ部材のメッシュ径が、一の前記液体に対応する供給流路と他の前記液体に対応する供給流路とで異なるようにされていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、好適に気泡排出性の差を設けることができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記2種以上の液体は、染料を含むインクであることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記一ないし他の液体の少なくとも一方は、アゾ染料を含むインクであることを特徴とする。
これらの発明の液体吐出装置によれば、自己分解によりガスを発生しやすい染料、特にアゾ染料を含有するインクを用いつつも、気泡成長速度の差に依存して発生する回復動作の適正タイミングの供給流路間ばらつきを補償して、効率的な気泡排出を実現することができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記ノズルから前記液体を強制的に排出させるための強制排出手段を備えることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、回復動作の適正タイミングが均一化された供給流路から、強制排出手段を用いて気泡を強制排出させることで、吐出不良のリスクを好適に低減することができる。
本発明は、液体をノズルに供給するための、少なくとも2種以上の前記液体にそれぞれ対応した供給流路を備え、前記ノズルから前記液体を吐出可能な液体吐出ヘッドであって、前記供給流路における一の要素領域の気泡排出性に係る構造が、一の前記液体に対応する供給流路と他の前記液体に対応する供給流路とで異なるようにされていることを特徴とする。
この発明の液体吐出ヘッドによれば、供給流路間の気泡成長速度差に依存して生じる回復動作の適正タイミングについてのばらつきを、当該供給流路間における気泡排出性に係る構造の差によって補償することができる。これにより、供給流路内で成長した気泡を一度の回復動作で効率的に排出することができる。
第1実施形態に係る液体吐出装置を示す概略斜視図。 液体吐出ヘッドおよびその周辺の概略構造を示す一部破断の側面図。 (a)〜(c)は、フィルタ室内を示す概略断面図。 第2実施形態に係る液体吐出装置を示す概略平面図。 圧力調整ユニットの要部構成を示す断面図。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置を示す概略斜視図である。図2は、液体吐出ヘッドおよびその周辺の概略構造を示す一部破断の側面図である。
図1において、液体吐出装置としてのプリンタ1は、用紙2に対して液体としてのインクを吐出して画像等の描画を行う装置である。プリンタ1は、インクを吐出する液体吐出ヘッド3と、液体吐出ヘッド3を搭載するキャリッジ4と、キャリッジ4を往復動(主走査)させる主走査機構5と、用紙2を移送(副走査)するプラテンローラ6と、液体吐出ヘッド3のメンテナンスを行うメンテナンスユニット12と、を備えている。
主走査機構5は、キャリッジ4と結合されるタイミングベルト8と、タイミングベルト8を駆動するモータ9と、キャリッジ4のガイド軸をなすガイドロッド10と、を備えている。キャリッジ4はタイミングベルト8を介してモータ9によって駆動され、ガイドロッド10に沿って往復動(主走査)する。
液体吐出ヘッド3から吐出するインクには、本実施形態の場合、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のものが使用され、キャリッジ4上に搭載された液体容器としてのインクカートリッジ7a〜7dにこれら各色のインクが収容されている。このインクカートリッジ7a〜7dの底部には、図2に示すように、インクを導出する導出部17a〜17dが設けられており、液体吐出ヘッド3のケース部材30に取り付けられた中空針状の針部材31a〜31dと結合して、液体吐出ヘッド3にインクを供給するようになっている。
図2において、針部材31a〜31dは、導入孔41、導入路42を有する中空針状の部材であり、連通路32a〜32dが形成されたケース部材30に溶着されて、インクを供給するための供給流路を形成している。そして、この供給流路における導入路42と連通路32a〜32dとの間の領域は、拡幅されたフィルタ室44a〜44dとなっており、フィルタ室44a〜44dにはフィルタ部材43a〜43dが配設されている。
フィルタ部材43a〜43dは、インク中に含まれる異物等をトラップするために設けられており、例えば、金属線を細かく編みこむなどして形成されている。フィルタ室44a〜44dの拡幅された構造は、フィルタ部材43a〜43dにおけるインクの通過面積を大きくし、通過に係るインクの流動抵抗(損失水頭)を低減するためのものである。
連通路32a〜32dに供給されたインクは、図示しない液溜め室(リザーバ)に一旦収容され、さらにリザーバと連通する圧力室(キャビティ)33、ノズル34に供給される。そして圧力室33に配設された圧力発生手段(図示せず)の駆動により、ノズル34の開口からインク滴を吐出するようになっている。かくして、主走査および副走査と同期させてノズル34毎に圧力発生手段の駆動制御を行うことにより、画像形成(印刷動作)が行われる。
再び図1に戻って、メンテナンスユニット12は、液体吐出ヘッド3の吐出面13の一定領域を囲んで封止可能なキャップ部材15を備えている。キャップ部材15は、吐出面13を覆うことで、ノズル34(図2参照)を粉塵や乾燥などから保護する役割を果たすほか、後述する吸引動作にも用いられる。
メンテナンスユニット12はまた、ゴム等で形成された板状部材であるワイパブレード14を有している。ワイパブレード14は、後述する回復動作において、吐出面13に付着したインク等を払拭して除去するのに用いられる。
図2において、キャップ部材15は、液体吐出ヘッド3の吐出面13と対向する側に開口を有する箱型の弾性部材である。キャップ部材15は、上縁部分のシール部15bを液体吐出ヘッド3の吐出面13に密着させることで、ノズル34の開口を封止(キャッピング)することができる。
キャップ部材15内には、スポンジや不織布などで形成された吸液材18が設けられている。吸液材18は、キャッピングの状態においてノズル34の開口に面する空間15aを保湿する役割を果たしており、ノズル34およびその近傍におけるインクの乾燥を抑える効果を発揮する。
キャップ部材15の底部には連通管19が形成されており、連通管19は連通チューブ21の一端と接続されている。連通チューブ21は、キャップ部材15がスライダー機構などによって移動可能に構成されることに鑑みて、適度な可撓性を有していることが好ましい。また、空間15aと連通される空間を形成することに鑑みて、壁面からのインクの蒸発の起こりにくいガス遮断性に優れた材質であることが好ましい。
連通チューブ21の他端は、吸引ポンプ22と接続されている。吸引ポンプ22には、小型で効率の良いチューブポンプなどが好適に用いられる。吸引ポンプ22は、連通チューブ21、連通管19を介して空間15aに負圧(大気圧に対して負である圧力)を発生させることができる。
かくして、キャッピングされた状態で吸引ポンプ22を駆動すると、空間15aに発生する負圧によってノズル34からインクが強制的に排出され、いわゆる吸引動作を行うことができる。すなわち、キャップ部材15、吸引ポンプ22は、強制排出手段を構成している。
吸引動作によりノズル34から排出されたインクは、キャップ部材15、連通チューブ21、吸引ポンプ22を通って廃液タンク23に排出される。排出されたインクは、不織布や吸液性ポリマーなどで構成された吸液材24に吸収されて保持される。
吸引動作は、ノズル34内方の供給流路における異物や気泡、乾燥して特性の劣化(粘度の上昇)したインクなどを強制的に排出して、吐出性能の回復を図る際に実行され、その目的に応じて吸引量や吸引速度を違えた複数のモードが用意されている。特に気泡の排出を目的とする吸引動作は、多くの吸引量を要し、インクの消費量も多くなることから、適切なタイミングで効率的にこれを行うことが求められる。
次に、図3を参照して、フィルタ室における気泡成長について説明する。図3は、フィルタ室内を示す概略断面図である。
供給流路内へのインク50a〜50dの初期充填は、上述した吸引動作によって行われる。初期充填後のフィルタ室44a〜44dは、理想的には、図3(a)に示すように完全にインク50a〜50dで満たされた状態となる。
しかしながら、フィルタ室44a〜44dは、フィルタ部材43a〜43dの目において作用する毛管力の働きで一連の供給流路の中でも特に気泡がトラップされやすい箇所となっており、このため、印刷動作の累積や時間の経過によって、図3(b)、図3(c)に示すように次第に大きな気泡51が形成されてゆく(気泡成長)。
このような気泡成長の因子としては、供給流路の上流部に元々存在していた気泡や、供給流路の壁面(例えば針部材31a〜31dの外郭面など)を介して透過する大気中のガスなどが挙げられる。また、本願発明者によれば、インク50a〜50dの自己分解により発生するガスが、気泡成長の重要因子となっているとの知見が得られている。
インク50a〜50dの自己分解による気泡成長の速度は、含まれる色材や添加剤の種類、調整されるpHなどに依存しており、色材に関しては、特に染料を含むインクにおいて、とりわけアゾ染料を含むインクにおいて気泡成長が速い傾向にある。染料は顔料に比べて化学的安定性に劣っており、また、アゾ染料に含まれるアゾ基は分解によって窒素ガスに変化するためである。
上述の説明からわかるように、複数種のインク(特に染料系インク)に対応したプリンタ1(図1参照)は、インク種に応じた気泡成長の速度の差を反映して、フィルタ室44a〜44d間で、滞留する気泡51の大きさがばらついてしまうという問題を抱えている。本実施形態では、ブラックインク50aに対応するフィルタ室44aで最も気泡成長が速く、イエローインク50dに対応するフィルタ室44dがこれに次ぎ、マゼンタインク50b、シアンインク50cに対応するフィルタ室44b,44cの気泡成長が最も遅くなっている(表1参照)。
成長した気泡51は吐出不良を引き起こす原因となるので、定期的に、あるいはユーザの命令によって適宜に吸引動作を実行し、気泡51を強制的にノズル34(図2参照)から排出させる必要がある。しかしながら、その構造上の理由から、フィルタ室44a〜44dから気泡51を排出させるためには十分な排出力をその気泡51に与えることが必要であり、とりわけ、上述のようにフィルタ室44a〜44d間で気泡51の大きさが異なってしまう状態にあっては、全ての気泡51に対して十分な排出力を与えるための工夫が必要となる。一般的に、大きな気泡には大きな排出力が働くが、小さな気泡に排出力を与えることは困難だからである。
そこで本実施形態のプリンタ1(図1参照)では、対応するインク種に応じてフィルタ室44a〜44dの構造を違え、上述した気泡成長の速度差(気泡51の大きさのばらつき)の影響を補償するようになっている。具体的には、表1に示すようにフィルタ室44a〜44d(針部材31a〜31dの基部)の内径を変えることで、フィルタ室44a〜44d間の気泡排出性の調整が図られている。一般的に、フィルタ室は、その内径が小さいほど吸引動作時における内部流速が速くなり、気泡51に大きな排出力を与えることができるからである。かくして、気泡51は、その大きさのばらつきに左右されることなく、一度の吸引動作で各フィルタ室44a〜44dから効率的に排出される。
Figure 0005024471
(変形例1)
次に、変形例1について上述の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
この変形例1では、対応するインク種に応じて、表2に示すようにフィルタ部材43a〜43dのメッシュ径を変えることで、フィルタ室44a〜44d間の気泡排出性の調整が図られている。一般的に、フィルタ部材は、そのメッシュ径が大きいほど気泡51をトラップする力が弱くなるからである。
この変形例のように、本発明における気泡排出性に係る構造とは、流路の内径に限られるものではない。例えば、供給流路内に整流効果のある突起部や凹部を形成することで、気泡排出性の調整を図ることも可能である。
Figure 0005024471
(変形例2)
次に、変形例2について上述の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
この変形例2では、対応するインク種に応じて、表3に示すようにフィルタ室44a〜44dの内径とフィルタ部材43a〜43dのメッシュ径の両方を変えることで、フィルタ室44a〜44d間の気泡排出性の調整が図られている。
Figure 0005024471
フィルタ室の内径が小さくなると、その気泡排出性が向上する反面、印刷動作時における流路抵抗(損失水頭)が増加する傾向にある。また、フィルタ部材のメッシュ径が大きくなると、フィルタ室における気泡排出性が向上する反面、印刷動作時における流路抵抗が減少する傾向にある。
このように、フィルタ室44a〜44dの内径、フィルタ部材43a〜43dのメッシュ径のうちの一方により気泡排出性の調整を図るようにした先の態様(表1、表2)にあっては、印刷動作時における供給特性を、対応するインク種間でそろえることができないという二次的な課題があった。これに対してこの変形例2にあっては、フィルタ室44a〜44dの内径とフィルタ部材43a〜43dのメッシュ径とを組み合わせて気泡排出性の調整を図るようにされており、流路抵抗の変動分を互いに相殺することで上記課題の克服が図られている。
(第2実施形態)
次に、図4、図5を参照して第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明を行う。図4は、第2実施形態に係る液体吐出装置を示す概略平面図である。図5は、圧力調整ユニットの要部構成を示す断面図である。
図4において、プリンタ60は、いわゆるオフキャリッジタイプとよばれる構成の液体吐出装置である。すなわち、プリンタ60は、キャリッジ4の外部に固定されたインクカートリッジ65a〜65dから供給システム68によって液体吐出ヘッド3にインクを供給し、印刷動作を行う。
供給システム68は、各色インクを収容したインクカートリッジ65a〜65dを装着するためのカートリッジホルダ61と、圧縮空気を生成する加圧ポンプ67と、当該圧縮空気をインクカートリッジ65a〜65dに移送する送気管66a〜66dと、を備えている。また、供給システム68は、インクカートリッジ65a〜65dからインクを移送するための供給管63a〜63dと、液体吐出ヘッド3の針部材31a〜31d(図2参照)とそれぞれ接続する圧力調整ユニット62a〜62dと、を備えている。この構成により、圧縮空気によって加圧されたインクは、供給管63a〜63d、圧力調整ユニット62a〜62dを経て、液体吐出ヘッド3に供給される。すなわち、供給管63a〜63d、圧力調整ユニット62a〜62dは、供給流路を形成している。
圧力調整ユニット62a〜62dは、加圧供給されてくるインクを適度に減圧するための機能を果たしており、図5に示すような要部構造となっている。すなわち、圧力調整ユニット62aは、合成樹脂からなる基材252と、基材252の両面に溶着されたフィルム248、フィルム249と、フィルム249に張り合わされた受圧板254とを備えている。そして、インクを導入する導入路251、導入室250、圧力室246、導入室250と圧力室246とを連通する貫通孔245、圧力室246から針部材31a(図3参照)へインクを導出する導出路253が形成されている。
圧力調整ユニット62aは、圧力室246から導入室250へのインクの供給調整を行う圧力調整弁232を備えている。圧力調整弁232は、貫通孔245に挿通された軸部255aと、軸部255aの一端側に形成された円板部255bとからなる弁体255を備えている。弁体255の円板部255bの一面は、バネ257の一端に当接しており、バネ257の他端はバネ座258に当接している。弁体255の軸部255aの他端側は、フィルム249を介して受圧板254に対向している。かくして、閉弁状態においては、図示するように、弁体255がバネ257によって図の右方に付勢され、導入室250と圧力室246の間の連通が遮断されている。
圧力室246のインクが消費されて内圧が一定値以下に低下すると、フィルム249は当該内圧と大気圧との差によって撓み、受圧板254はフィルム249の撓みに連動して矢印Bの方向に移動する。そして、圧力室246の内圧低下と共に受圧板254がバネ260を圧縮し、さらに弁体255を図面左方に付勢して開弁状態にする。このとき、インクが導入室250から圧力室246内に流入して圧力室246の内圧が補償され、再び閉弁状態に戻る。このように、閉弁状態、圧力室246の内圧低下、開弁状態、圧力室246の内圧補償、閉弁状態、を繰り返すことにより、圧力室246の内圧(液体吐出ヘッド3への供給圧)は常に所定の値に保たれることとなる。
このようなオフキャリッジタイプのプリンタ60の場合には、上述した供給管63a〜63dや圧力調整ユニット62a〜62dにおいても、気泡成長が起こり得る。特に、拡幅された圧力室246は、供給流路の中でも気泡成長の著しい箇所であり、上述したフィルタ室44a〜44d(図3参照)と同様の問題(対応するインク種による気泡成長差)を抱えている。このため、圧力室246には、対応するインク種に応じて整流効果のある突起部や凹部(図示せず)が形成され、気泡排出性の好適な調整が図られるようになっている。
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、オフキャリッジタイプの液体吐出装置の別の例として、圧力ダンパを備えたものがあるが(例えば、特開2003−211688号公報参照)、この場合は当該圧力ダンパについて、気泡排出性に係る構造をインク種ごとに違えるようにしてもよい。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
1…液体吐出装置としてのプリンタ、2…用紙、3…液体吐出ヘッド、4…キャリッジ、5…主走査機構、6…プラテンローラ、7a〜7d…インクカートリッジ、12…メンテナンスユニット、13…吐出面、15…キャップ部材、15a…空間、15b…シール部、17a〜17d…導出部、18…吸液材、19…連通管、21…連通チューブ、22…吸引ポンプ、23…廃液タンク、24…吸液材、30…ケース部材、31a〜31d…針部材、32a〜32d…供給流路を構成する連通路、33…供給流路を構成する圧力室、34…ノズル、41…供給流路を構成する導入孔、42…供給流路を構成する導入路、43a〜43d…フィルタ部材、44a〜44d…拡幅された供給流路を構成するフィルタ室、50a〜50d…インク、51…気泡、60…プリンタ、62a〜62d…供給流路を構成する圧力調整ユニット、63a〜63d…供給流路を構成する供給管、65a〜65d…インクカートリッジ、68…供給システム、232…圧力調整弁、245…供給流路を構成する貫通孔、246…拡幅された供給流路を構成する圧力室、250…供給流路を構成する導入室、251…供給流路を構成する導入路、253…供給流路を構成する導出路。

Claims (5)

  1. 第1の液体および前記第1の液体より気泡成長速度が速い第2の液体をそれぞれノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、
    負圧により前記ノズルから前記液体を強制的に排出する吸引動作を行うメンテナンスユニットと、を備え、
    前記液体噴射ヘッドは、前記第1の液体を供給するための供給流路に設けられた第1のフィルタ部材と、前記第2の液体を供給するための供給流路に設けられた第2のフィルタ部材と、を有し、
    前記第1のフィルタ部材のメッシュ径が、前記第2のフィルタ部材のメッシュ径より大きいことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記第1の液体は、顔料を含むインクであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記第2の液体は、染料を含むインクであることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記染料は、アゾ基を含むことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記液体噴射ヘッドは、前記第1のフィルタが設けられた第1のフィルタ室と、前記第2のフィルタ室が設けられた第2のフィルタ室と、を有し、
    前記第1のフィルタ室の内径は、前記第2のフィルタ室の内径より小さいことを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項に記載の液体吐出装置。
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