JP5022680B2 - 内視鏡用可撓管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡用可撓管の製造方法に関する。
医療用の内視鏡装置による被写体観察では、スコープが体腔内に挿入される。スコープの挿入部は、被写体である体腔の形状に応じて挿入されるため、可撓性を必要とする。さらにその先端部は、被写体観察や患部の処置のために湾曲可能であることを要する。
このような性能が要求されることから、スコープは、通常、可撓部と可撓部の先端側にある湾曲部とを含む可撓管を有する(例えば特許文献1および2)。そして一般に、可撓部と湾曲部との外周はそれぞれ外皮で覆われており、可撓管の製造時において、これらの外皮同士は接着剤によって接合される。
特開2006−218107号公報 特開2006−247262号公報
外皮の接合部における密着性が低い場合、可撓管が高温、高圧下にさらされるオートクレーブ滅菌処理時における水分、もしくは被写体観察時の体液等が、可撓管内に侵入するおそれがある。
そこで本発明は、接合部を確実に密着させた内視鏡用可撓管を、簡易な工程により製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の内視鏡用可撓管の製造方法は、第1の芯材と第2の芯材とを備える内視鏡用可撓管の製造方法であり、第1の芯材の外周を覆う第1の外皮の一部を形成するための外皮部材に、第2の芯材の外周を覆う第2の外皮との接合のための下地処理を施す処理工程と、下地処理が施された外皮部材を、第1の外皮の端部に融着させる融着工程と、融着された外皮部材と第2の外皮とを接合させる接合工程とを備えることを特徴とする。
内視鏡用可撓管の製造方法においては、処理工程の前に、第1の外皮の先端部を切断する切断工程をさらに有し、切断された先端部を外皮部材とすることが好ましい。外皮部材は、第1の外皮と同じ材質で形成されていることが好ましい。
処理工程においては、例えば、下地処理剤を外皮部材の外表面から浸透させる。融着工程においては、外皮部材と第1の外皮との融着領域に対して、第1の外皮に垂直な方向に力を加えることが好ましい。
接合工程においては、例えば、外皮部材と第2の外皮との接合部を接着剤で覆う。そしてこの場合、第1の外皮において、外皮部材の外表面のみを接着剤で覆うことが好ましい。また、接合工程においては、外皮部材と第2の外皮とを、第1の芯材と第2の芯材との連結位置から離れた位置で接合させることが好ましい。
本発明によれば、接合部を確実に密着させた内視鏡用可撓管を、簡易な工程により製造する方法を実現できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における電子内視鏡装置のスコープを部分的に示す図である。図2は、図1の紙面に平行な面で切断したスコープの可撓管の部分断面図である。
電子内視鏡装置は、被写体である患者の体腔内の観察、撮影に用いられるスコープ10と、スコープ10から送られてくる映像信号を処理するプロセッサ(図示せず)とを含む。スコープ10においては、被写体である体腔内に挿入される可撓管12(内視鏡用可撓管)、可撓管12の湾曲操作等のための操作部14、プロセッサとの接続のためのコネクタ(図示せず)等が設けられている。
可撓管12は、操作部14側の可撓部16と、先端付近に設けられた湾曲可能な湾曲部18とを有する。可撓部16および湾曲部18の内部には、光ファイバ、画像信号ケーブル等(いずれも図示せず)が通っている。可撓部16の表面には、体腔内に可撓管12がどれだけ挿入されたかを示すための目盛り22が付されている。
操作部14には、第1、第2操作ノブ17、19等が、それぞれ回動自在に設けられている。第1、第2操作ノブ17、19等の操作により、湾曲部18を所定の方向に湾曲させて方向を変え、また、所定の状態で固定させることなどが可能である。
可撓部16は、第1の芯材30と、第1の芯材30の外周を覆う第1の外皮32とを有している(図2参照)。また、湾曲部18は、第2の芯材40と、第2の芯材40の外周を覆う第2の外皮42とを有している。第1の芯材30の先端側(図中左側)と、第2の芯材40の操作部16側(図中右側)とは、接合部材15を介して互いに連結されている。また、第1の外皮32の先端側と、第2の外皮42の操作部16側とは互いに接合されている。第1の外皮32と第2の外皮42との接合部は、糸50で縛られ、さらに接着剤52で被覆・固定されている。
第1の芯材30は、螺旋管31と、この螺旋管31の外周を覆う第1の網状部材33とを含むチューブ状の長尺物である。螺旋管31は、帯状部材を均一な径で螺旋状に巻いて形成されており、螺旋管31には間隙Sが設けられている。帯状部材を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が用いられる。第1の網状部材33は、金属製または非金属製の細線を編組して形成されている。細線を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が用いられる。また、第1の網状部材33を形成する細線に、合成樹脂の被覆(図示せず)が施されていても良い。
第1の外皮32は、適度な可撓性を有し、耐久性に優れるポリオレフィン、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等の疎水性樹脂により形成される。そしてこれらの中でも、特に、耐薬品性や耐熱性に優れるとともに、適度な可撓性を有するポリオレフィンまたはフッ素系樹脂を主成分とするものが好ましい。適度な可撓性により糸50が第1の外皮32に食い込むため、第1の外皮32を第1の芯材30に対して強固に固定することができる。
第1の外皮32を形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PPVFまたはPVF)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの樹脂等は、可撓性等の点で第1の外皮32の素材として適しているものの、接着剤52との親和性が低い難接着性材料である。このため、第1の外皮32には、後述する下地処理が施されている。なお、第1の外皮32は、例えば複数層の積層体で構成され、その最外層が難接着性材料で構成されたものであっても良い。
また、第1および第2の外皮32、42の平均厚さは、それぞれ可撓部16および湾曲部18内に配設された光ファイバ等を保護可能であり、かつ、可撓部16および湾曲部18の可撓性、湾曲性を妨げない範囲であれば良いが、100〜3000μm程度であることが好ましく、より好ましくは200〜1000μm程度である。
第2の芯材40は、節輪アセンブリ41と、節輪アセンブリ41の外周を覆う第2の網状部材43とを含む長尺物である。節輪アセンブリ41においては、複数の節輪41aが、節輪アセンブリ41の中心軸Aに沿って配置されている。互いに隣接する節輪41a同士は、リベット(図示せず)によってそれぞれ傾動可能に連結されている。節輪41aは、例えば、ステンレス鋼、銅合金等により形成される。
また、一部の節輪41aにはワイヤガイド(図示せず)が設けられており、このワイヤガイドには、湾曲操作ワイヤー(図示せず)が挿通されている。湾曲操作ワイヤーが牽引または開放されることにより、湾曲部18が、節輪41aの傾動を伴って任意の方向に湾曲される。
第2の外皮42は、主としてゴム材料により形成されている。ゴム材料としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR、1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のブタジエン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)等のジエン系特殊ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリル系ゴム(ACM、ANM)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等のオレフィン系ゴム、ウレタンゴム(AU、EU)等のウレタン系ゴム、ヒドリンゴム(CO、ECO、GCO、EGCO)等のエーテル系ゴム、多硫化ゴム(T)等のポリスルフィド系ゴム、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、塩素化ポリエチレン(CM)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が組み合わせられて使用される。
これらの素材は、一般に、後述する接着剤52との親和性にも優れている。このため、第1の外皮32とは異なり、第2の外皮42には後述する下地処理は不要である。また、第2の外皮42の外表面(積層体の場合、最外層)は、上述のゴム材料のうち、特にフッ素ゴムを主材料として構成されているのが好ましい。フッ素ゴムは、耐薬品性および耐熱性に優れるため、可撓管12にオートクレーブ滅菌処理、消毒処理等を施す際の第2の外皮42の劣化を防止できるからである。
可撓管12の先端には、硬性部20が設けられている(図1参照)。硬性部20の内部には、被写体像を撮像するためのCCD(図示せず)が設けられている。CCDによって生成された画像信号は、可撓管12、および操作部14の内部に設けられた画像信号ケーブルを介してプロセッサに送られ、被写体像が形成される。
なお、硬性部20には、湾曲操作ワイヤーの端部が固定されている。硬性部20の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金等が用いられる。
次に、可撓管12の製造方法について説明する。図3は、可撓管12の製造に用いられる第1の外皮32を概略的に示す断面図である。図4は、図3に示された第1の外皮32の先端部を切断する工程を示す断面図である。図5は、第1の外皮32の先端部を切断前の位置に融着させる工程を示す断面図であり、図6は、第1の外皮32の先端部と第2の外皮42との接合部が固定された状態を示す断面図である。図3以下の図面においては、第1の外皮32と第2の外皮42とは接合部材15の周辺で接合されているものの、図2に示されるように、接合部材15から離れた位置で接合されても良い。
可撓管12の製造工程の一環として、第1の芯材30と第2の芯材40とを接合部材15を介して連結する。そして、第1の芯材30を覆うように第1の外皮32を第1の芯材30に取付けた後、矢印Bの示すように、第1の外皮32の先端部32Tを切断する(切断工程・図4参照)。
切断された先端部32Tには、以下のように、接着剤52(図2参照)に対する密着性を向上させるための下地処理が施される(処理工程)。この下地処理としては、例えば、下地処理剤を先端部32Tの外表面から所定の厚さまで浸透させる処理と、先端部32Tの外表面の改質を行う処理等が可能である。これらにつき、順次以下に説明する。
下地処理剤を浸透させる処理によれば、浸透した下地処理剤が脱離し難くなり、下地処理の効果を長期間に渡り持続できる。この浸透処理に用いる下地処理剤は、先端部32Tの組成、先端部32Tとの親和性、相溶性等に応じて選択される。なお、先端部32Tは第1の外皮32の一部であるため、第1の外皮32と同じ材質で形成されている。
例えば、先端部32Tがポリオレフィンを主成分とする場合、下地処理剤は、ハロゲン化ポリオレフィンを主成分とするものであるのが好ましい。先端部32T中に浸透したハロゲン化ポリオレフィンにより、先端部32Tの表面自由エネルギーが低下し、親水性、すなわち接着剤52に対するぬれ性が高まり、その結果、先端部32Tと接着剤52との密着性が向上するからである。ハロゲン化ポリオレフィンとしては、例えば、入手が容易であり、化学的にも安定である塩素化ポリオレフィンが用いられる。
また、先端部32Tの材料であるポリオレフィンと、下地処理剤であるハロゲン化ポリオレフィンとは、同種のポリオレフィン、すなわち同じ繰り返し単位で構成されたポリマーであることが好ましい。例えば、先端部32Tがポリプロピレンを主成分とする場合、下地処理剤には、ハロゲン化ポリプロピレン(特に、塩素化ポリプロピレン)を主成分とするものが好ましい。このような下地処理剤は、先端部32T中に、より容易かつ確実に浸透可能だからである。
また、下地処理剤を浸透させる厚さは、先端部32Tの厚さの30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。先端部32T中に下地処理剤を十分に浸透させることにより、先端部32Tの表面全般に渡って確実に下地処理を施すことができるからである。
なお、下地処理剤が浸透される先端部32Tの厚さの上限値は、100%以下でも良いが、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。先端部32Tの可撓性低下を防止するためである。
一方、先端部32Tの外表面の改質処理によれば、先端部32Tを改質させ、接着剤52に対する密着性を向上できる。使用する下地処理剤は、先端部32Tの組成等に応じて適宜選択される。例えば、先端部32Tの材料がフッ素系樹脂を主成分とする場合、芳香族アルカリ金属化合物を主成分とするものが下地処理剤として適している。芳香族アルカリ金属化合物における、高い反応性を有するアルカリ金属が、先端部32Tの表面に存在するフッ素原子と反応することにより、フッ素系樹脂からフッ素原子を引き抜き、代わりに、水酸基等の親水性の高い官能基が導入されるからである。このような改質反応により、先端部32Tの表面には、接着剤52に対する高い親和性が付与される。
芳香族アルカリ金属化合物としては、例えば、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタ
レン、カリウムアントラセン等が用いられる。そして、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることが可能であり、特に、ナトリウムナフタレン(Na+[C10H8]−)が好ましい。ナトリウムナフタレンは、非常に高い反応性を有し、フッ素系樹脂からフッ素原子を引き抜く能力に特に優れ、先端部32Tの表面をより確実に改質できるからである。
また、改質処理の後には、下地処理剤を先端部32Tの表面から除去することが好ましい。先端部32Tの接着剤52に対する親和性を向上させ、先端部32Tと接着剤52との密着性をさらに高めるためである。下地処理剤を除去するために、例えば、先端部32Tをメタノール、エタノール、アセトンのような各種有機溶剤の他、蒸留水、純水、イオン交換水、RO水等の洗浄液で洗浄する。
上述のいずれの下地処理においても、下地処理剤を第1の外皮32の被処理領域に接触させるために、下地処理剤を含有する処理液に先端部32Tを浸漬させる方法、もしくは下地処理剤を先端部32Tに塗布する方法等が用いられる。特に、先端部32Tを浸漬させることにより、先端部32Tの表面を、容易かつ確実に下地処理剤に接触させることができる。
この場合、処理液の調製に用いる液体(溶媒または分散媒)としては、下地処理剤の組成に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば、下地処理剤がハロゲン化ポリオレフィンを主成分とする場合、キシレン、トルエン等が、また、下地処理剤が芳香族アルカリ金属化合物を主成分とする場合、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、フェネトール、ジフェニルエーテルのようなエーテル類等が適している。
なお、処理液中には、必要に応じて、例えば、可塑剤、顔料、各種安定剤(酸化防止剤
、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤)等の各種添加物を添加するように
しても良い。
このような処理液中の下地処理剤の濃度は、特に限定されないが、液体100重量部に対して、下地処理剤0.5〜50重量部程度であることが好ましく、1〜40重量部程度であることがより好ましい。これにより、第1の外皮32の被処理領域に対して、必要かつ十分な下地処理剤を付与することができる。
また、処理液を第1の外皮32の被処理領域に接触させる時間は、10分〜10時間程度が好ましく、30分〜3時間程度がより好ましい。これにより、第1の外皮32の被処理領域に対して、下地処理が確実に行われる。なお、浸漬時間が前記上限値より長くても、それ以上の下地処理を行うだけの十分な効果は期待できない可能性がある。
下地処理剤自体が常温において液状である場合、下地処理剤をそのまま処理液として用いても良い。また、下地処理剤を含有する処理液と第1の外皮32とを接触させた後、必要に応じて、処理液の乾燥処理(処理液の調製に用いた液体の除去処理)を行っても良い。
こうして処理された先端部32Tを、矢印Cの示すように、元の位置、すなわち第1の外皮32の端部に融着させる(融着工程・図5参照)。このように、第1の外皮32から切断した先端部32Tを、再び第1の外皮32の一部を形成する部材(外皮部材)として用いる。なお、先端部32Tにおける下地処理が施された領域が、×印で示されている。下地処理は、第2の外皮42に接合される領域にのみ必要であり、先端部32Tの全表面に施す必要はないものの、下地処理剤を浸漬させた場合、図示するように、先端部32Tの表面の全ての領域に処理が施される。
融着工程においては、先端部32Tと第1の外皮32との接合線Dの周辺にある融着領域を覆うように熱収縮チューブ54を取付け、融着領域を加熱する。この結果、熱収縮チューブ54によって保持される融着領域には、第1の外皮32の外表面32Sに垂直な方向に適度な圧力が加えられる。同一の材質で形成されている先端部32Tと第1の外皮32との融着工程はもとより容易であるところ、圧力が加えられることにより、融着領域への気泡の侵入等を防止しつつ、より確実な融着が可能である。
次に、第2の外皮42を第2の芯材40の外周に取付け、第1の外皮32の端部、すなわち先端部32Tと第2の外皮42とを突き合わせる(図6参照)。そして、先端部32Tと第2の外皮42とを接合する(接合工程)。接合工程においては、まず、糸50を先端部32Tと第2の外皮42との接合部周辺に巻きつけ、これらの部材の外表面側を縛る。
そして、先端部32Tと第2の外皮42との外表面、および糸50を覆うように、接着剤52を供給する。その後、硬化した接着剤52による接着剤層が、先端部32Tと第2の外皮42との接合部を固定する。ここで、第1の外皮32においては、先端部32Tの外表面のみが接着剤52により被覆される。すなわち、既に融着工程により消滅している接合線Dを越えて、先端部32Tを除く第1の外皮32の外表面32Sに接着剤52を使用することは回避される。
これは、下地処理が施されておらず、接着剤52との親和性が低いままである第1の外皮32の外表面32Sを接着剤52が覆った場合、接着剤層が剥離し易くなり、先端部32Tと第2の外皮42との接合部が保護されなくなるおそれがあるためである。また、部分的に接着剤層の端部のみが剥離された状態にあっても、剥離部分の滅菌が不十分になる可能性があるためである。
以上のように、先端部32Tと第2の外皮42との接合部は、糸50および接着剤52により強固に固定され、製造後の可撓管12における可撓部16と湾曲部18との接合部における密着性が確保される。
糸50の平均径は、1〜500μm程度であることが好ましく、10〜300μm程度であることがより好ましいものの、これには限定されない。糸50の直径が小さ過ぎると、糸50の引張強度が低下し、先端部32Tと第2の外皮42とを十分に固定することが困難になる一方、糸50の直径が大き過ぎると、可撓管12において糸50で縛った部分の外径のみが大きくなり過ぎてしまう。
接着剤52としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルアセタール系接着剤、ポリ塩化ビニル系接着剤、ポリアミド(ナイロン)系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、ユリア(尿素)系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、レゾルシノール系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリイミド系接着剤、マレイミド系接着剤、ポリベンゾイミダゾール系接着剤、α−シアノアクリレート系接着剤等が用いられる。
これらの中でも、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤もしくはシリコーン系接着剤のうちの少なくとも1種を主材料とすることが好ましい。これらの接着剤は、耐熱性および耐薬品性に優れるため、消毒・滅菌処理等による接着剤52の剥離をより確実に防止できるからである。
図7は、比較例の製造方法における、第1の外皮32の下地処理を概略的に示す断面図である。
比較例においては、第1の外皮32の先端部32Tは切断されず、×印で示されるように、第1の外皮32の外表面32Sのうち、第2の外皮42と接合される端部周辺に下地処理が直接施される。この場合、処理を施す領域はわずかであるものの、通常、数メートルに及ぶ可撓管12に含まれる第1の外皮32もまた長い部材であることから、下地処理の作業が煩雑となる。
これに対し、本実施形態の製造方法においては、切断工程、融着工程を有するものの、下地処理の対象である先端部32Tのみを取り扱うことができ、多数の先端部32Tを同時に処理することができる等、処理作業が容易かつ効率的である。さらに、例えば、各部材を遠隔地に送り、そこでスコープ10を製造する場合においては、処理済の先端部32Tを用意することにより、処理工程のための設備を現地に設けることが不要になる等の利点がある。
また、製造後においても、例えばスコープ10の修理等のために湾曲部18を可撓部16から取り外した場合においては、第1の外皮32の接合部において細かい凹凸が形成されてしまうこと等により、再度の下地処理と湾曲部18の取り付け作業が困難となり得る。これに対し、本実施形態の製造方法を採用していた場合、第1の外皮32の端部を切断し、予め処理された先端部32Tを融着するという簡易な作業により、湾曲部18を迅速に可撓部16に取付けることができる。
以上のように本実施形態においては、可撓部16と湾曲部18との接合部の密着性に優れ、オートクレーブ処理など、高温、高圧下での消毒・滅菌処理が施されても内部に水分等の侵入を防止可能な可撓管12を、簡易な工程、作業によって製造できる。
なお上述のように、先端部32Tを含む第1の外皮32と、第2の外皮42とを、接合部材15から離れた位置で接合しても良い(図2参照)。このように、第1の芯材30と第2の芯材40との連結位置の近傍で、接合部材15により第1もしくは第2の外皮32、42が隆起した領域を避けて第1および第2の外皮32、42を接合することにより、第1および第2の外皮32、42同士の接合位置と第1および第2の芯材30、40の連結位置とが一致する場合(図3〜図7参照)に比べ、可撓管12の細径化が可能である。
先端部32Tは、第1の外皮32が第1の芯材30に取付けられる前に予め切断されていても良い。また、第1の外皮32から先端部32Tを切断せず、下地処理が施される部材(外皮部材)を当初から第1の外皮32とは別に形成しても良い。この場合、外皮部材の材質を自由に選択できるものの、その後の融着工程を容易にするために、外皮部材と第1の外皮32とは同じ材質で形成されていることが好ましい。
また、接合工程において、第1の外皮32の先端部32Tと第2の外皮42の端部とを重ね合わせても良い。
電子内視鏡装置のスコープを部分的に示す図である。 スコープの可撓管の部分断面図である。 可撓管の製造に用いられる第1の外皮を概略的に示す断面図である。 図3に示された第1の外皮の先端部を切断する工程を示す断面図である。 第1の外皮の先端部を切断前の位置に融着させる工程を示す断面図である。 第1の外皮の先端部と第2の外皮との接合部が固定された状態を示す断面図である。 比較例の製造方法における、第1の外皮の下地処理を概略的に示す断面図である。
符号の説明
12 可撓管(内視鏡用可撓管)
30 第1の芯材
32 第1の外皮
32T 先端部(外皮部材)
40 第2の芯材
42 第2の外皮
52 接着剤
S 隙間

Claims (6)

  1. 第1の芯材と第2の芯材とを備える内視鏡用可撓管の製造方法であって、
    第1の芯材の外周を覆う第1の外皮に融着される外皮部材に、前記第2の芯材の外周を覆う第2の外皮との接合のための下地処理を施す処理工程と、
    下地処理が施された前記外皮部材を、前記第1の外皮の端部に融着させる融着工程と、
    融着された前記外皮部材と前記第2の外皮とを接合させる接合工程とを備えることを特徴とする内視鏡用可撓管の製造方法。
  2. 前記処理工程の前に、前記第1の外皮の先端部を切断する切断工程をさらに有し、切断された前記先端部を前記外皮部材とすることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用可撓管の製造方法。
  3. 前記外皮部材が、前記第1の外皮と同じ材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用可撓管の製造方法。
  4. 前記処理工程において、下地処理剤を前記外皮部材の外表面から浸透させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用可撓管の製造方法。
  5. 前記接合工程において、前記外皮部材と前記第2の外皮との接合部を接着剤で覆うことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用可撓管の製造方法。
  6. 前記外皮部材の外表面のみを前記接着剤で覆うことを特徴とする請求項に記載の内視鏡用可撓管の製造方法。
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