JP5020211B2 - 冷凍機油組成物及び該組成物を用いた潤滑方法 - Google Patents

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本発明は冷凍機油組成物に関し、さらに詳しくは、CO2を主成分をとする冷媒を用いた冷凍機油組成物及び該組成物を用いた潤滑方法、特に油分離器及び/又はホットガスラインを有する圧縮式冷凍サイクルにおける潤滑方法に関する。
一般に、冷凍機、例えば圧縮機,凝縮器,膨張弁,蒸発器からなる圧縮型冷凍機の圧縮式冷凍サイクルは、冷媒と潤滑油との混合液体がこの密閉された系内を循環する構造となっている。このような圧縮型冷凍機には、冷媒として、従来ジクロロジフルオロメタン(R−12)やクロロジフルオロメタン(R−22)等のクロロフルオロカーボンが用いられており、また、それと併用する多数の潤滑油が製造され使用されてきた。しかるに、従来冷媒として使用されてきたこれらのフロン化合物は、大気中に放出されたときに、成層圏に存在するオゾン層を破壊するなどの環境汚染をもたらすおそれがあることから、最近、世界的にその使用に対する規制が厳しくなりつつある。そのため、新しい冷媒としてハイドロフルオロカーボンやハイドロクロロフルオロカーボンなどの水素含有フロン化合物が注目されるようになってきた。この水素含有フロン化合物、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)で代表されるハイドロフルオロカーボンは、オゾン層を破壊するおそれがないが、大気中での寿命が長いため地球温暖化への影響が懸念され、近年このような問題のない自然系冷媒の使用が考えられてきた。
一方で、炭酸ガスは環境に対して無害であり、人に対する安全性という観点では優れたものであり、更に、経済的に最適水準に近い圧力、従来の冷媒に比べ、非常に小さい圧力比、通常のオイルと機械の構造材料に対して優れた適合性、いたる場所で簡単に入手可能、回収不要で非常に安価である、などの利点を有しており、従来から冷凍機などの冷媒として通常使用されてきたものである。しかしながら、このような炭酸ガスを冷媒として使用した場合、冷凍機の潤滑油として、従来一般的に使用されている潤滑油で潤滑すると潤滑性に劣り、耐摩耗性が不充分となり、その結果安定性が悪くなり長期の安定使用ができなくなる。更に、炭酸ガスを用いた系では、R−134aなどを用いた系に比べ吐出圧が高く、その結果潤滑油の粘度が低下し、系のシール性が悪化するという問題も生じていた。
本発明は、上記観点からなされたもので、CO2を主成分とする冷媒を用いた圧縮式冷凍サイクルにおいて、潤滑性能及びシール性が良好で、長期の安定使用が可能な冷凍機油組成物及び該組成物を用いた潤滑方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の潤滑油基油と添加剤からなる潤滑油組成物を使用することにより、上記本発明の目的を効果的に達成しうることを見出し本発明を完成したものである。すなわち、本発明は、
(1)油分離器及び/又はホットガスライン並びにキャピラリーチューブを有する圧縮式冷凍サイクルにおいて、CO2を主成分とする冷媒と潤滑油組成物とからなり、該潤滑油組成物が、エステル油を主成分とし、100℃における動粘度が5.5〜30mm2/sである基油と、該基油に対して0.005〜5重量%の極圧剤及び/又は酸捕捉剤を含有する冷凍機油組成物を用いることを特徴とする潤滑方法、及び
(2)エステル油が、ジペンタエリスリトールと炭素数8の脂肪酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと炭素数7及び炭素数8の混合脂肪酸とのエステル、並びに脂環式多価カルボン酸エステルの中から選ばれる少なくとも一種である前記(1)に記載の潤滑方法、
を提供するものである。
本発明によれば、CO2を主成分とする冷媒を用いた圧縮式冷凍サイクルにおいて、潤滑性能及びシール性が良好で、長期の安定使用が可能な冷凍機油組成物及び該組成物を用いた潤滑方法を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の冷凍機油組成物は、CO2を主成分とする冷媒と潤滑油組成物とからなり、該潤滑油組成物が、エステル油を主成分とし、100℃における動粘度が5.5〜30mm2/sである基油と、該基油に対して0.005〜5重量%の極圧剤及び/又は酸捕捉剤を含有することを特徴とするものである。本発明に用いられるCO2を主成分とする冷媒としては、CO2をそのまま使用する場合のほか、これを炭化水素、R−134a等のフッ化炭化水素(あるいは塩化フッ化炭化水素)、エーテルなどの冷媒等と混合したものを使用することができる。
本発明を構成する潤滑油組成物の基油の粘度は、100℃における動粘度が5.5〜30mm2/sのものが使用される。100℃における動粘度が5.5〜30mm2/s、特に7.5〜20.5mm2/sであることが、圧縮機の効率、潤滑性の点から好ましい。該基油の主成分であるエステル油としては、多価アルコールエステル,脂肪族又は芳香族多価カルボン酸エステル,脂環式多価カルボン酸エステル,その他の有機カルボン酸エステル、炭酸エステル、フマル酸エステルオリゴマー、ヒドロキシピバリン酸エステル及びそれらの組み合わせのエステル油を挙げることができる。順に説明する。
(1)多価アルコールエステル
多価アルコールエステルとして、脂肪族多価アルコールと直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸とのエステルを挙げることができる。そのエステルを形成する脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,ネオペンチルグリコール,トリメチロールエタン,ジトリメチロールエタン,トリメチロールプロパン,ジトリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,トリペンタエリスリトール,ソルビトールなどを挙げることができる。
脂肪酸としては、炭素数3〜12のものを使用することができ、好ましい脂肪酸としてプロピオン酸、酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−ブチルオクタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸を挙げることができる。なお、脂肪族多価アルコールと直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸との部分エステルも使用できる。
これらの脂肪族多価アルコールと直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸とのエステルとして、特に好ましくはペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,トリペンタエリスリトールと炭素数5〜12、更に好ましくは炭素数5〜9の脂肪酸、例えば吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−ブチルオクタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸などとのエステルを挙げることができる。
また、脂肪族多価アルコールと炭素数3〜9の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸との部分エステルと、脂肪族二塩基酸又は芳香族二塩基酸とのコンプレックスエステルをも使用することができる。このコンプレックスエステルにおいては、好ましくは炭素数5〜7のもの、更に好ましくは炭素数5と6の脂肪酸を使用するとよい。このような脂肪酸としては、吉草酸,ヘキサン酸,イソ吉草酸,2−メチル酪酸,2−エチル酪酸又はその混合物が使用され、炭素数5のものと炭素数6のものを重量比で10:90〜90:10の割合で混合した脂肪酸を好適に使用することができる。この脂肪酸とともに多価アルコールとのエステル化に使用される脂肪族二塩基酸としては、コハク酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ウンデカン二酸,ドデカン二酸,トリデカン二酸,ドコサンナ二酸を挙げることができ、芳香族二塩基酸としてフタル酸,イソフタル酸を挙げることができる。コンプレックスエステルを調製するためのエステル化反応は、まず多価アルコールと二塩基酸とを所定の割合で反応させて部分エステル化し、次いでその部分エステルと脂肪酸とを反応させてもよいし、また二塩基酸と脂肪酸の反応順序を逆にしてもよく、また二塩基酸と脂肪酸を混合してエステル化に供してもよい。さらに、下記一般式(I)
Figure 0005020211
(式中、R1〜R3は炭素数1〜13のアルキル基で、炭素数4以上のものは全て1個以上の枝分かれを有し、R1〜R3の合計炭素数は3〜23である。)で表される酸フルオライドと多価アルコールを反応させて得られる多価アルコールエステルも飽和吸湿量が低く好適に使用できる(特開平9−157219)。
(2)脂肪族又は芳香族多価カルボン酸エステル
ジカルボン酸のエステルとして、脂肪族又は芳香族のジカルボン酸のジアルキルエステル(炭素数16〜22)を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸として、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ウンデカン二酸,ドデカン二酸,トリデカン二酸,ドコサン二酸を挙げることができ、芳香族ジカルボン酸として、フタル酸,イソフタル酸を挙げることができる。一方、アルコール成分としては、炭素数5〜8のアルコールであり、例えばアミルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコールを挙げることができる。好ましいエステルとしては、ジオクチルアジペート,ジイソヘプチルアジペート,ジヘキシルセバケート,コハク酸ジヘプチル,ジオクチルフタレート,ジイソヘプチルフタレート,ジイソアミルフタレートを挙げることができる。
3価以上の多価カルボン酸エステルを構成する多価カルボン酸として、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。アルコールとして炭素数3〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する1価アルコール、又は
H−(AO)n−R
(式中、Aは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、nは1〜10の整数)
で表されるポリアルキレングリコールのモノアルコール体をあげることができる。
上記の多価カルボン酸とアルコールをエステル化反応させて得られる多価カルボン酸エステル、又は上記多価カルボン酸及びアルコールに更にエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールを加えエステル化反応させて得られるコンプレックスエステルを使用することができる。
(3)脂環式多価カルボン酸エステル
脂環式多価カルボン酸エステルとして下記一般式(II)
Figure 0005020211
(式中、Aはシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を示す。R4は水素原子又はメチル基を示す。Xは水素原子又はCOOR7を示す。Yは水素原子又はCOOR8を示す。R5〜R8はそれぞれ炭素数3〜18のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)で表される多価カルボン酸エステルを挙げることができる。このエステルは、所定の酸成分とアルコール成分を常法に従って、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下、エステル化触媒の存在下又は無触媒下で加熱攪拌しながらエステル化することにより調製される。
該酸成分としては、シクロアルカンポリカルボン酸又はシクロアルケンポリカルボン酸及びそれらの酸無水物を挙げることができ、一種もしくは二種以上の化合物を混合して使用することができる。具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルホン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸及びそれらの酸無水物が例示され、中でも1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びそれらの酸無水物が好ましい。
上記アルコール成分としては、炭素数3〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族アルコール又は炭素数3〜10の脂環式アルコールを挙げることができる。具体的な直鎖状脂肪族アルコールとしては、n−プロピルアルコール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール等を例示できる。
また、具体的な分岐鎖状脂肪族アルコールとしては、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、イソペンタノール、イソヘキサノール、2−メチルヘキサノール、2−メチルヘプタノール、イソヘプタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、イソオクタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソヘキサデカノール、イソオクタデカノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール等を例示できる。
更に、脂環式アルコールとしては、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール等を例示できる。上記の多価カルボン酸とアルコールから得られる脂環式多価カルボン酸エステルの中でも、特に、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソブチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソヘプチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(2−エチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(2,6−ジメチル−4−ヘプチル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソウンデシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジシクロヘキシル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジイソヘプチル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラ(3,5,5−トリメチルヘキシル)を好適に挙げることができる。
上記の脂環式多価カルボン酸エステルには、体積固有抵抗、粘度等の物性バランスを改良するために、それ以外のエステル(以下、併用エステルという)を混合することができる。併用エステルとしては、アジピン酸エステル、アゼラインエステル、セバシン酸エステル、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、多価アルコールエステルを挙げることができる。該多価アルコールエステルの多価アルコール成分として、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどを挙げることができ、酸成分として、イソ酪酸、2−エチル酪酸、イソバレリン酸、ピバリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等を挙げることができる。潤滑油中における併用エステルの含有量は10〜90重量%である。
(4)その他の有機カルボン酸エステル
上記の(1)〜(3)以外のその他の有機カルボン酸エステルとしては、1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物をアジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ウンデカン二酸,ドデカン二酸,ドコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、又はフタル酸等の芳香族ジカルボン酸によりエステル化して得られるジエステルを挙げることができる。また、グリセリン,トリメチロールプロパン等の多価アルコールのアルキレンオキサイドの1〜10モル付加物を炭素数3〜12の脂肪酸、例えばプロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸,イソノナン酸、イソデカン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−ブチルオクタン酸等によりエステル化して得られるエステルを挙げることができる。
(5)炭酸エステル
炭酸エステルとしては、下記一般式(III)
Figure 0005020211
(式中、R9は炭素数2〜10のアルキル基、R10は炭素数2〜10のアルキレン基又はシクロアルキレン基、aは1〜4の整数を示す。)
で表される化合物、又は下記一般式(IV)
Figure 0005020211
(式中、R11は炭素数2〜6の水酸基を有する多価アルコール残基、R12は炭素数2〜10のアルキル基、bは2〜6の整数を示す。)で表される化合物を挙げることができる。上記の炭酸エステルは、ジメチルカーボネートとアルコール類を塩基性触媒の存在下でのエステル交換反応により調製される。また、下記一般式(V)
Figure 0005020211
(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基、R14は炭素数2〜10のアルキル基を示し、cは2〜10の整数、dは2〜100の整数を示し、−BO−は−CH2−CH(CH3)−O−、又は−CH2−CH2−O−を示す。)
で表される化合物も使用できる。この炭酸エステルは、例えば炭酸とアルキレンオキシドとを反応させて得られるものであるが、そのアルキレンオキシドの付加形態は、エチレンオキサイド単独又はプロピレンオキサイド単独でもよく、混合体でもよい。
(6)フマル酸エステルオリゴマー
フマル酸エステルオリゴマーは、フマル酸エステルの単独重合体またはフマル酸エステルと不飽和脂肪族炭化水素との共重合体であり、下記式(VI)
Figure 0005020211
(式中、R15はアルキレン基、置換アルキレン基又はアルキレンオキサイド基、R16、R17は炭素数1〜9のアルキル基、アリル基又は末端置換もしくは未置換ポリアルキレンオキサイド基を示し、それらはたがいに同一でもよく異なっていてもよい。eは0以上、fは1以上の整数を示し、R15は全体の50モル%以下である。)で表される。具体的には、ジエチルフマレートのエステルオリゴマー、ジブチルフマレートのエステルオリゴマー等を挙げることができる。なお、上記式(VI)における両末端は重合反応に際して使用される重合開始残基であり、記載を省略した。また、下記構造式(VII)
Figure 0005020211
で表される構造単位を1〜50モル%及び下記一般式(VIII)
Figure 0005020211
(式中、R18及びR19はそれぞれ炭素数3〜8のアルキル基を示し、それらは同一でも異なっていてもよい。)
で表される構造単位を50〜99モル%含むフマル酸アルキルエステル共重合体を挙げることができる。
(7)ヒドロキシピバリン酸エステル
ヒドロキシピバリン酸エステルとしては、一般式(IX)
Figure 0005020211
(式中、R20及びR21は炭素数2〜10のアルキル基、gは1〜5の整数を示す。)
で表されるものを挙げることができる。
(1)〜(7)に記載したエステル油は、同種のエステル油を一種又は二種以上を混合して使用してもよいし、異種のエステル油を混合して使用してもよい。なお、基油の粘度について100℃における動粘度を前述のように5.5〜30mm2/sに調節する必要がある。上記のエステル油を基油として使用する際、その粘度の範囲をはずれた場合には、他の成分で添加して調節すればよい。粘度が高い場合には、例えば、脂肪族多価アルコールと炭素数3〜9の脂肪酸のエステル油で、100℃における動粘度が6mm2/s以下のものを適宜添加して適正範囲に調整することができる。また、粘度が低い場合には、ポリマー類を添加して粘度を調節するとよい。該ポリマーは100℃における動粘度が10mm2/s以上のものが好ましい。
このようなポリマーとしては、ポリアルキルメタクリレート(例えば、アルキル基が1〜8のもの)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール成分とポリエチレングリコール成分からなる共重合体,ポリプロピレングリコール成分とポリブチレングリコール成分からなる共重合体等),ネオペンチルグリコールと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステルで、下記式(X)
Figure 0005020211
(hは1〜20の整数を示し、iは1〜10の整数を示す。)で表されるもの等を挙げることができる。本発明を構成する潤滑油組成物は上記の基油に、該基油に対して0.005〜5重量%の極圧剤及び/又は酸捕捉剤が配合されて調製される。該極圧剤として、例えば、硫化油脂,硫化脂肪酸,硫化エステル,硫化オレフィン,ジヒドロカルビルポリサルファイド,チオカーバメート類,チオテルペン類,ジアルキルチオジプロピオネート類などの硫黄系極圧剤を挙げることができる。ここで、硫化油脂は硫黄や硫黄含有化合物と油脂(ラード油,鯨油,植物油,魚油等)を反応させて得られるものであり、その硫黄含有量は特に制限はないが、一般に5〜30重量%のものが好適である。その具体例としては、硫化ラード,硫化なたね油,硫化ひまし油,硫化大豆油,硫化米ぬか油などを挙げることができる。硫化脂肪酸の例としては、硫化オレイン酸などを、硫化エステルの例としては、硫化オレイン酸メチルや硫化米ぬか脂肪酸オクチルなどを挙げることができる。
硫化オレフィンとしては、例えば、下記の一般式(XI)
22−Sj−R23 ・・・(XI)
(式中、R22は炭素数2〜15のアルケニル基、R23は炭素数2〜15のアルキル基又はアルケニル基を示し、jは1〜8の整数を示す。)
で表される化合物などを挙げることができる。この化合物は、炭素数2〜15のオレフィン又はその二〜四量体を、硫黄,塩化硫黄等の硫化剤と反応させることによって得られ、該オレフィンとしては、プロピレン,イソブテン,ジイソブテンなどが好ましい。
また、ジヒドロカルビルポリサルファイドは、下記の一般式(XII)
24−S −R25 ・・・(XII)
(式中、R24及びR25は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基又は環状アルキル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、kは2〜8の整数を示す。)
で表される化合物である。ここで、R24及びR25がアルキル基の場合、硫化アルキルと呼ばれる。
上記一般式(XII)におけるR24及びR25の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基,各種ノニル基,各種デシル基,各種ドデシル基,シクロヘキシル基,シクロオクチル基,フェニル基,ナフチル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基,フェネチル基などを挙げることができる。
このジヒドロカルビルポリサルファイドとしては、例えば、ジベンジルポリサルファイド,ジ−tert−ノニルポリサルファイド,ジドデシルポリサルファイド,ジ−tert−ブチルポリサルファイド,ジオクチルポリサルファイド,ジフェニルポリサルファイド,ジシクロヘキシルポリサルファイドなどを好ましく挙げることができる。
さらに、チオカーバメート類としては、例えば、ジンクジチオカーバメートなどを、チオテルペン類としては、例えば、五硫化リンとピネンの反応物を、ジアルキルチオジプロピオネート類としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート,ジステアリルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。
また、上記極圧剤として、例えば、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステル,チオリン酸エステル,チオ酸性リン酸エステル及びこれらのアミン塩、さらには上記の五硫化リンとピネンの反応物などのリン硫化テルペン類などのリン系極圧剤を挙げることができる。ここで、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,及び酸性亜リン酸エステルは、下記の一般式(XIII)〜(XVII)で表されるものを包含する。
Figure 0005020211
Figure 0005020211
Figure 0005020211
Figure 0005020211
Figure 0005020211
上記一般式(XIII)〜(XVII)において、R26〜R28は炭素数4〜30のアルキル基,アルケニル基,アルキルアリール基及びアリールアルキル基を示し、R26〜R28は同一でも異なっていてもよい。リン酸エステルとしては、トリアリールホスフェート,トリアルキルホスフェート,トリアルキルアリールホスフェート,トリアリールアルキルホスフェート,トリアルケニルホスフェートなどがあり、具体的には、例えばトリフェニルホスフェート,トリクレジルホスフェート,ベンジルジフェニルホスフェート,エチルジフェニルホスフェート,トリブチルホスフェート,エチルジブチルホスフェート,クレジルジフェニルホスフェート,ジクレジルフェニルホスフェート,エチルフェニルジフェニルホスフェート,ジエチルフェニルフェニルホスフェート,プロピルフェニルジフェニルホスフェート,ジプロピルフェニルフェニルホスフェート,トリエチルフェニルホスフェート,トリプロピルフェニルホスフェート,ブチルフェニルジフェニルホスフェート,ジブチルフェニルフェニルホスフェート,トリブチルフェニルホスフェート,トリヘキシルホスフェート,トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート,トリデシルホスフェート,トリラウリルホスフェート,トリミリスチルホスフェート,トリパルミチルホスフェート,トリステアリルホスフェート,トリオレイルホスフェートなどを挙げることができる。
酸性リン酸エステルとしては、具体的には、例えば2−エチルヘキシルアシッドホスフェート,エチルアシッドホスフェート,ブチルアシッドホスフェート,オレイルアシッドホスフェート,テトラコシルアシッドホスフェート,イソデシルアシッドホスフェート,ラウリルアシッドホスフェート,トリデシルアシッドホスフェート,ステアリルアシッドホスフェート,イソステアリルアシッドホスフェートなどを挙げることができる。
亜リン酸エステルとしては、具体的には、例えばトリエチルホスファイト,トリブチルホスファイト,トリフェニルホスファイト,トリクレジルホスファイト,トリ(ノニルフェニル)ホスファイト,トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト,トリデシルホスファイト,トリラウリルホスファイト,トリイソオクチルホスファイト,ジフェニルイソデシルホスファイト,トリステアリルホスファイト,トリオレイルホスファイト,2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどを挙げることができる。
酸性亜リン酸エステルとしては、具体的には、例えばジブチルハイドロゲンホスファイト,ジラウリルハイドロゲンホスファイト,ジオレイルハイドロゲンホスファイト,ジステアリルハイドロゲンホスファイト,ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどを挙げることができる。また、チオリン酸エステル及びチオ酸性リン酸エステルとしては、それぞれ上記に例示のリン酸エステル及び酸性リン酸エステルに対応するものを挙げることができる。
さらに、これらとアミン塩を形成するアミン類としては、例えば一般式(XVIII)、
mNH3-m ・・・(XVIII)
(式中、Rは炭素数3〜30のアルキル基もしくはアルケニル基,炭素数6〜30のアリール基もしくはアラルキル基又は炭素数2〜30のヒドロキシアルキル基を示し、mは1,2又は3を示す。また、Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)で表されるモノ置換アミン,ジ置換アミン又はトリ置換アミンが挙げられる。上記一般式(XVIII)におけるRのうちの炭素数3〜30のアルキル基もしくはアルケニル基は、直鎖状,分岐状,環状のいずれであってもよい。
ここで、モノ置換アミンの例としては、ブチルアミン,ペンチルアミン,ヘキシルアミン,シクロヘキシルアミン,オクチルアミン,ラウリルアミン,ステアリルアミン,オレイルアミン,ベンジルアミンなどを挙げることができ、ジ置換アミンの例としては、ジブチルアミン,ジペンチルアミン,ジヘキシルアミン,ジシクロヘキシルアミン,ジオクチルアミン,ジラウリルアミン,ジステアリルアミン,ジオレイルアミン,ジベンジルアミン,ステアリル・モノエタノールアミン,デシル・モノエタノールアミン,ヘキシル・モノプロパノールアミン,ベンジル・モノエタノールアミン,フェニル・モノエタノールアミン,トリル・モノプロパノールなどを挙げることができる。また、トリ置換アミンの例としては、トリブチルアミン,トリペンチルアミン,トリヘキシルアミン,トリシクロヘキシルアミン,トリオクチルアミン,トリラウリルアミン,トリステアリルアミン,トリオレイルアミン,トリベンジルアミン,ジオレイル・モノエタノールアミン,ジラウリル・モノプロパノールアミン,ジオクチル・モノエタノールアミン,ジヘキシル・モノプロパノールアミン,ジブチル・モノプロパノールアミン,オレイル・ジエタノールアミン,ステアリル・ジプロパノールアミン,ラウリル・ジエタノールアミン,オクチル・ジプロパノールアミン,ブチル・ジエタノールアミン,ベンジル・ジエタノールアミン,フェニル・ジエタノールアミン,トリル・ジプロパノールアミン,キシリル・ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,トリプロパノールアミンなどを挙げることができる。
これらのリン系極圧剤の中で、極圧性,摩擦特性などの点からトリクレジルホスフェート,トリ(ノニルフェニル)ホスファイト,ジオレイルハイドロゲンホスファイト,2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどが好ましい。本発明においては、上記極圧剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、基油に対して、0.005〜5重量%の範囲が好ましい。この量が0.005重量%未満では極圧性や摩擦特性が不足するおそれがあり、また5重量%を超えるとスラッジ発生を促進するおそれがある。
次に、前記酸捕捉剤は、冷凍機油組成物において加水分解安定性を目的として配合されるもので、例えば、フェニルグリシジルエーテル,アルキルグリシジルエーテル,アルキレングリコールグリシジルエーテル,シクロヘキセンオキサイド,α−オレフインオキサイド,エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物を挙げることができる。中でも相溶性の点でフェニルグリシジルエーテル,アルキルグリシジルエーテル,アルキレングリコールグリシジルエーテル,シクロヘキセンオキサイド,α−オレフインオキサイドが好ましい。
本発明においては、上記酸捕捉剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、基油に対して、0.005〜5重量%の範囲が好ましい。この量が0.005重量%未満では酸捕捉能が発揮でないおそがあり、また5重量%を超えるとスラッジ発生要因となるおそれがある。なお、上記の極圧剤と酸捕捉剤を両方使用する場合は、その合計量は、基油に対して、0.005〜5重量%の範囲である。
本発明の冷凍機油組成物を構成する潤滑油組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、更に、必要に応じ公知の各種の添加剤、例えば、フェノール系,アミン系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールやその誘導体などの銅不活性化剤、シリコーン油やフッ化シリコーン油などの消泡剤などを適宜配合することができる。これらの添加剤は、潤滑油組成物中に、0.5〜10重量%の量で含有される。
本発明においては、前記CO2冷媒と潤滑油組成物の使用量については、冷媒/潤滑油組成物の重量比で99/1〜10/90の範囲にあることが好ましい。冷媒の量が上記範囲より少ない場合は冷凍能力の低下が見られ、また上記範囲よりも多い場合は潤滑性能が低下し好ましくない。このような観点から、冷媒/潤滑油組成物の重量比は、95/5〜30/70の範囲にあることが更に好ましい。
本発明の冷凍機油組成物は、種々の冷凍機に使用可能であるが、特に、圧縮型冷凍機の圧縮式冷凍サイクルに好ましく適用できる。とりわけ、本発明の冷凍機油組成物は、例えば添付図1〜3の各々で示されるような油分離器及び/又はホットガスラインを有する圧縮式冷凍サイクルに適用する場合にその効果を有効に奏する。通常、圧縮式冷凍サイクルは、圧縮機−凝縮機−膨張弁−蒸発器からなる。また、冷凍機用の潤滑油は、一般に、冷凍機に使用される冷媒と相溶性が良好なものが使用される。しかし、上記の冷凍サイクルで炭酸ガスを主成分とする冷媒を用いたときに、冷凍機を一般に使用されている潤滑油で潤滑すると、耐摩耗性が不十分であったり、安定性が不足して長期安定使用ができなかった。特に、電気冷蔵庫や小型エアコンディショナーなどの冷凍サイクルのように、膨張弁としてキャピラリーチューブを使用する場合にこの傾向が著しい。そこで、本発明の潤滑方法は、油分離器及び/又はホットガスラインを有する圧縮式冷凍サイクルを炭酸ガスを主成分とする冷媒を使用して運転する場合に、潤滑油組成物として、100℃の動粘度が5.5〜30mm2/sの基油と、該基油に対して0.005〜5重量%の極圧剤及び/又は酸捕捉剤を含有する組成物を用いることを特徴とするものである。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。実施例1〜4及び比較例1,2第1表に示す性状の基油に、基油に対して1重量%のトリクレジルホスフェート(TCP)及び1.5重量%のα−オレフィンオキサイド(実施例1,2)、1.5重量%のフェニルグリシジルエーテル(実施例3,4及び比較例1,2)を添加した潤滑油組成物について上記の方法で各試験を行い評価を行った。結果を第2表に示す。
なお、潤滑油組成物の性状及び性能は、次の方法に従って求めた。
(1)溶解性
油100gに50kg/cm2の加圧条件で炭酸ガスを吹き込み、油中における炭酸ガスの溶解量(重量%)を測定した。
(2)シールドチューブ試験
ガラス管に触媒Fe/Cu/Alを入れ、炭酸ガス/油/水=0.5g/4g/0.02gの割合で試料を充填し封管した。175℃で10日間保持した後、油外観、触媒外観、全酸価及びスラッジの有無を評価した。
(3)吸湿性試験
油10gを湿度85%R.H.(30℃)にて120時間放置した後の吸湿量(重量%)を求めた。
(4)ファレックス焼付試験
ファレックス試験機を用い、ピン/ブロック材料をAISIC1137/SAE3135とした。ピン/ブロックをセットし、試験容器内に試料の油200gを入れ炭酸ガスを5リットル/hで吹き込んだ後、回転数290rpm、油温50℃で焼付荷重を測定した。
Figure 0005020211
Figure 0005020211
実施例5〜8及び比較例3〜5
第1表に示した基油に、基油に対して1重量%のトリクレジルホスフェート(TCP)及び1.5重量%のα−オレフィンオキシド(実施例5,6)、1.5重量%のフェニルグリシジルエーテル(実施例7,8及び比較例3,4)を添加した潤滑油組成物について下記の方法で実機テストを行い評価を行った。結果を第3表に示す。
なお、潤滑油組成物についての実機テストは、下記に示す圧縮式冷凍サイクルを用いて行った。
圧縮式冷凍サイクルの方式
A:油分離器を有する「圧縮機−凝縮器−膨張弁−蒸発器」の圧縮式冷凍サイクル(図2参照)なお、膨張弁はキャピラリーチューブ式のものを使用した。
実機テストは、出力100WのAの冷凍機について、冷媒として炭酸ガスを用い、炭酸ガス70重量%、潤滑油組成物30重量%の割合で下記条件で1年間に亘って冷凍試験を実施した。
運転状況
吸入温度 : 0℃
吐出温度 : 100℃
凝縮器出口温度: 10℃
評価法
運転状態に異常が生じた時点で停止し、その原因追求のため各部を観察した。
Figure 0005020211
本発明によれば、CO2を主成分とする冷媒を用いた圧縮式冷凍サイクルにおいて、潤滑性能及びシール性が良好で、長期の安定使用が可能な冷凍機油組成物及び該組成物を用いた潤滑方法を提供することができる。
油分離器及びホットガスラインを有する「圧縮機−凝縮器−膨張弁−蒸発器」の圧縮式冷凍サイクルの一例を示す流れ図である。 油分離器を有する「圧縮機−凝縮器−膨張弁−蒸発器」の圧縮式冷凍サイクルの一例を示す流れ図である。 ホットガスラインを有する「圧縮機−凝縮器−膨張弁−蒸発器」の圧縮式冷凍サイクルの一例を示す流れ図である。 「圧縮機−凝縮器−膨張弁−蒸発器」の圧縮式冷凍サイクルの一例を示す流れ図である。
符号の説明
1:圧縮機
2:凝縮器
3:膨張弁
4:蒸発器
5:油分離器
6:ホットガスライン
7:ホットガスライン用弁

Claims (1)

  1. 油分離器及び/又はホットガスライン並びにキャピラリーチューブを有する圧縮式冷凍サイクルにおいて、CO2を主成分とする冷媒と潤滑油組成物とからなり、該潤滑油組成物が、ジペンタエリスリトールと炭素数7及び炭素数8の混合脂肪酸とのエステル、並びに脂環式多価カルボン酸エステルの中から選ばれる少なくとも一種を主成分とし、100℃における動粘度が5.5〜30mm2/sである基油と、該基油に対して0.005〜5重量%の極圧剤及び/又は酸捕捉剤を含有する冷凍機油組成物を用いることを特徴とする潤滑方法。
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