電子写真式の画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)では、用紙への印字位置を調整するためのレジスト制御が行なわれている。これは、画像形成装置において、トナー像と用紙との位置関係を良好に保つためのものである。レジスト制御を行なうために、用紙の先端を検出するセンサと、トナー像が転写ポイントに到達するタイミングを検出する機構とを備える画像形成装置が知られている。
カラーのプリント方式の代表的なものとして、4サイクル方式、中間転写ベルトを用いる中間転写タンデム方式、および直接転写ベルトを用いる直接転写タンデム方式などがある。4サイクル方式や中間転写タンデム方式では転写ベルトを、直接転写タンデム方式では用紙搬送ベルトを装置が有することになる。これら各ベルトユニットは、マシンのコストの中で大きな部分を占めている。コストダウンを進める中で、これらのベルトが果たしている役割を他のユニットの機能で補う必要がある。
このような観点から、ベルトを用いないタンデム方式(ベルトレスタンデム方式)という構成が考えられる。しかしながらベルトレスタンデム方式では、用紙の搬送を安定させることに関して課題が多く、用紙への画像の書出し位置ずれや、色ずれが悪化することが懸念されている。
図9は、第1の従来例の画像形成装置における画像形成部周辺の構成を説明する図である。
画像形成装置の画像形成部は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナー像を形成する。画像形成部は、各色ごとに画像形成ユニット108A〜108Dが設けられる。用紙搬送方向上流(図面左側)からY→M→C→BKの順に画像形成ユニット108A〜108Dが配置されている。用紙Pは、図面左側から右側へ搬送される。この画像形成装置は、用紙搬送のためのベルトや中間転写ベルトを有しない、ベルトレスタンデム方式を採用している。
画像形成部の用紙搬送方向の最上流には、給紙部から送られてくる用紙Pの先端を検出するタイミングセンサ113が取り付けられている。
画像形成ユニット108A〜108Dのそれぞれは、感光体(感光体ドラム)104A〜104Dと、感光体104A〜104Dに相対して配置される転写ローラ105A〜105Dと、感光体104A〜104Dと転写ローラ105A〜105Dとの接する部分であるニップ部に用紙を送込むガイド板109A〜109Dとを備えている。
各感光体104A〜104Dの上方に、書込位置LA〜LDが形成されている。用紙Pがタイミングセンサ113で検出された後、所定時間後に各感光体104A〜104Dに対応する各プリントヘッド(PH)の書出しタイミングで各感光体104A〜104Dの書込位置LA〜LDに画像の書込みが開始される。
ここで、感光体104Aの書込位置LAに書込みが開始されるタイミングは、用紙の先端が“A”の位置に来た時である。感光体104Bの書込位置LBに書込みが開始されるタイミングは、用紙の先端が“B”の位置に来た時である。感光体104Cの書込位置LCに書込みが開始されるタイミングは、用紙の先端が“C”の位置に来た時である。感光体104Dの書込位置LDに書込みが開始されるタイミングは、用紙の先端が“D”の位置に来た時である。
これらのタイミングは、全てタイミングセンサ113の検出結果に基づいて定められる。すなわち、用紙Pの搬送速度が一定であるものとみなし、タイミングセンサ113で用紙先端の検出が行なわれてから所定の時間が経過したタイミングで、書込みが開始される。
各感光体が矢印方向に所定速度で回転することにより、書込位置における画像がニップ部に到達するときに、用紙Pの画像形成位置がニップ部に到達するように調整するものである。
図10は、第1の従来例の画像形成装置において実行される処理を示すフローチャートである。
図10の処理は、画像形成ユニット108A〜108Dのそれぞれに対して実行される。ここでは、画像形成ユニット108Aに対する処理について説明する。
図を参照して画像形成装置は、給紙部から搬送される用紙Pの先端がタイミングセンサ113の位置に到達したことを検出するまで待機する(S301)。タイミングセンサ113で用紙が検出されると(S301でYES)、画像形成ユニット108Aでの画像書込み開始のタイミングが演算される(S302)。
画像形成ユニット108Aに対して設定されたタイミングになると、感光体104Aへの画像の書込みが開始される(S303)。画像は図示されないトナー現像器で現像される。感光体104Aに書込まれたトナー画像は、ニップ部で用紙に転写される(S304)。
画像形成ユニット108B〜108Dのそれぞれでも、同様の処理が行なわれる。
このようにして、用紙が画像形成部に突入するタイミングに基づいて、下流にある感光体に対する画像形成タイミングが決定される。
図11は、第2の従来例の画像形成装置における画像形成部周辺の構成を説明する図である。
ベルトレスタンデム方式では、中間転写ベルト方式や直接転写方式とは異なり、感光体と転写ローラとで用紙が搬送される。このため用紙の挙動が不安定になる可能性が高い。これにより、ニップ部への用紙の突入タイミングや角度が変化し、副走査方向で画像の位置ずれや色ずれが発生する可能性がある。
第2の従来例は、このような問題を軽減させるためのものであり、用紙の先端を検出する先端検出センサ214A〜214Dを各ニップ部の上流に配置するものである。先端検出センサ214A〜214Dは、ニップ部に用紙が突入するタイミングを検出する。
このように先端検出センサを各感光体の上流に配置することで、タイミングセンサ113での用紙検出から各先端検出センサでの用紙検出までの時間が計測される。一定時間後のプリントヘッドの書出しタイミングを調整することで、用紙への画像書出し位置が調整される。
すなわち、図9における“A”〜“D”の位置を前後に調整することで、用紙の搬送が予定より早い場合は早めに書込みを開始し、遅い場合は書込みタイミングを遅らせるものである。
また、最上流の感光体104Aと転写ローラ105Aの対以降では、タイミングセンサ113から各先端検出センサまでの用紙の移動時間を計測してもよいし、上流の先端検出センサから次の先端検出センサまでの用紙の移動時間を計測してもよい。
図12は、第2の従来例の画像形成装置において実行される処理を示すフローチャートである。
図12の処理は、画像形成ユニット108A〜108Dのそれぞれに対して実行される。ここでは、画像形成ユニット108Aに対する処理について説明する。
図を参照して画像形成装置は、給紙部から搬送される用紙Pの先端がタイミングセンサ113の位置に到達したことを検出するまで待機する(S401)。タイミングセンサ113で用紙が検出されると(S401でYES)、次は、用紙の先端が先端検出センサ214Aの位置を通過したことが検出される(S402)。
先端検出センサ214Aで用紙が検出されると、タイミングセンサ213の検出から先端検出センサ214Aの検出までの時間(センサONタイミング)が適正であるかを判定する(S403)。
適正でない場合(S403でNO)、用紙と画像のずれ量を演算する(S404)。演算されたずれ量に基づいて、画像形成ユニット108Aにおける画像書込み開始のタイミングを演算する(S405)。なお、適正であれば(S402でYES)、ずれは生じないものとして通常のタイミングで画像書込みを行なう。
画像形成ユニット108Aに対して設定された所定のタイミングとなると(S406でYES)、感光体104Aへの画像の書込みを開始する(S407)。感光体104Aに書き込まれた画像はニップ部で用紙に転写される(S408)。
画像形成ユニット108B〜108Dのそれぞれでも、同様の処理が行なわれる。
このように、タイミングセンサ113および先端検出センサ214A〜214Dで検出が行なわれたタイミングに基づいて、用紙の搬送速度が演算される。搬送速度に応じて感光体上での画像形成タイミングを補正することにより、用紙に対する位置ずれのない画像を得ることが可能となる。
下記特許文献1には、感光体駆動部材の負荷変動に基づいて、用紙が感光体に突入したタイミングを検出する画像形成装置が開示されている。この突入タイミングに基づいて、下流の感光体に対する画像形成タイミングを決定するものである。
下記特許文献2には、転写電流の変動を元に、用紙が複数の転写ローラに突入したタイミングをそれぞれ検出する画像形成装置が開示されている。検出結果に基づき、用紙の搬送速度が算出され、画像形成タイミングが補正される。
特開2001−209224号公報
特開2005−221622号公報
以下、本発明の実施の形態における、画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、YMCK(イエロー・マゼンタ・シアン・ブラック)のすべての色を1サイクルで印刷する、タンデム方式のカラープリンタである。タンデム方式のカラープリンタでは、複数色の感光体が直列に配置される。用紙を通紙および搬送させながら、各色のトナー画像を感光体から用紙に順次転写することで、カラー画像が形成される。
すなわち画像形成装置は、中間転写ベルトや直接転写ベルトを用いない、ベルトレスタンデム方式を採用している。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
図を参照して画像形成装置1は、給紙カセット2と、給紙部3と、Y色感光体4Aと、M色感光体4Bと、C色感光体4Cと、K色感光体4Dと、Y色転写ローラ(転写部)5Aと、M色転写ローラ(転写部)5Bと、C色転写ローラ(転写部)5Cと、K色転写ローラ(転写部)5Dと、定着部6と、排紙部7とを備える。
給紙カセット2には、画像を形成するための用紙が収容されている。用紙の有無は、センサにより検出される。用紙がセットされていない場合、または印字中に用紙が無くなった場合には、センサが状況を検出し、表示パネル等でユーザに知らせる。給紙カセット2の前方(図において右側)には、給紙カセット2内の用紙を画像形成部(画像書込部)へ送り出すための給紙部(搬送ローラ)3が備えられている。画像形成装置1には、装置の制御を行なうCPU等を含むコントローラ(画像データ処理部)51が備えられている。
画像形成装置1は、直接にまたはネットワークを介し、コンピューターに接続して使用される。コンピューターからは、用紙に印字する画像データが、画像形成装置内のコントローラ51に転送される。画像形成部は、転送された画像データに基づいて、Y色感光体4A上に潜像を形成する。現像部は、その潜像に従い、現像材によりY色感光体4A上に像を形成する。Y色感光体4A上に形成された現像材による像は、Y色転写ローラ5Aによって用紙へ転写される。この用紙は、給紙カセット2内の用紙が、給紙部3から送り出されたものである。用紙は、給紙部3より、用紙に対する画像の位置が適切となるように制御され、Y色転写ローラ5Aに搬送される。同様に、M色感光体4BとM色転写ローラ5Bとによる転写処理、C色感光体4CとC色転写ローラ5Cとによる転写処理、およびK色感光体4DとK色転写ローラ5Dとによる転写処理が各色連続して行われる。各色転写ローラ5A〜5Dで現像材が転写された用紙は、定着部6に送られ、熱と圧力が加えられる。用紙上の現像材は、定着部6を通過することにより、用紙に定着すると同時に発色する。その後、用紙は排紙部7に排出される。これにより、画像形成が完了する。
感光体4A〜4D、および転写ローラ5A〜5Dが設置される位置は、画像形成部8を構成する。
図2は、画像形成部8の構成を示す側面図である。
画像形成部8は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナー像を形成する。画像形成部8においては、各色に対応する画像形成ユニット8A〜8Dが設けられる。用紙搬送方向上流(図の左側)からY→M→C→BKの順に画像形成ユニット8A〜8Dが配置されている。
画像形成ユニット8Aは、感光体4Aと、感光体4Aを一様に帯電させるための帯電器と、帯電した感光体4Aに画像書込みを行う画像書込部と、感光体4A上に書き込まれた静電潜像にY色のトナーで現像を行うための現像器と、感光体4Aに相対して配置される転写ローラ5Aと、感光体4Aに残留したトナーを除去するクリーナと、転写ポイントであるニップ部に用紙Pを送込むガイド板9Aと、先端検出センサ14Aとを備えている。
用紙Pの先端が位置“A”に到達したとき、感光体4Aの書込位置LAで画像の書込み(露光)が開始される。先端検出センサ14Aは、感光体4Aにおいて画像露光が開始されるときの用紙の先端位置“A”より用紙搬送方向の下流に配置される。
用紙の搬送速度と、感光体回転時の感光体の表面の移動速度とは通常は等しいため、位置“A”と、その下流にある感光体4Aのニップ部との間の距離は、書込位置LAでの画像がニップ部に移動するまでの距離と等しい。
また、先端検出センサ14Aから、その下流にある感光体4Aのニップ部までの距離は、感光体4Aの画像書込位置LAでの画像がニップ部に移動するまでの距離よりも短く設定されている。これは、装置をコンパクトに構成することを目的としたものである。
画像形成ユニット8B〜8Dの構成、および先端検出センサ14B〜14Dと感光体4B〜4Dの画像書込み開始における用紙の先端位置“B”〜“D”との位置関係も同様である。
すなわち、感光体・転写ローラ対の間の距離を短くするために、先端検出センサの設置位置は、プリントヘッドの書出しタイミング時の用紙の先端位置とニップ部との間の位置となっている。
タイミングセンサ13が用紙Pの先端を検出した後、所定の時間が経過したときである、用紙先端が“A”の位置に来たと想定されるときに、感光体4A上の画像書込位置LAへプリントヘッドが画像の書込みを始める。
その後、用紙Pの先端が先端検出センサ14Aに到達したときに、タイミングセンサ13の位置から先端検出センサ14Aの位置までの用紙を搬送するのに要する時間の理論値と測定値とが比較される。それらにずれがあると判断された場合は、感光体4Aと転写ローラ5Aとの位置を図2の左右方向に移動させることで、画像の用紙への書出し位置を合わせる制御が行なわれる。
またそのような制御を行なうときに、最上流の感光体4Aと転写ローラ5Aの対以降では、タイミングセンサ13の位置から各先端検出センサ14B〜14Dの位置までの用紙の搬送時間を計測する方法と、上流にある先端検出センサの位置から次の先端検出センサの位置までの用紙の搬送時間を計測する方法とのどちらを用いてもよい。
用紙Pへの転写終了後は、次の用紙がタイミングセンサ13の位置に到達する前に、各感光体と転写ローラとは元の位置に戻る。その後次の用紙に対して、上記と同様のシーケンスが繰返される。
図3は、画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図を参照して、タイミングセンサ13および先端検出センサ14A〜14Dの検出情報が画像形成装置の備えるCPU31に入力される。搬送ローラ3は、搬送ローラ駆動モーター34により駆動される。感光体4A〜4Dのそれぞれは、感光体駆動モータ37により駆動される。
画像書込部16A〜16Dは、レーザダイオード(またはLED)やポリゴンミラーなどの走査系により構成され、CPU31によりその駆動タイミングが制御される。画像書込部16A〜16Dは、プリントヘッド20と折返しミラー19A〜19Dとを含む。
CPU31には、外部機器(外部PC(パーソナルコンピュータ))と通信を行なうための入出力I/F41と、画像書込部16A〜16Dのそれぞれで書込まれた潜像の現像を行なうトナー現像器43A〜43Dと、定着器6とが接続される。
CPU31は、タイミングセンサ13の検出信号に従って、搬送ローラ駆動モータ34を制御して搬送ローラ3により用紙を搬送させる。それと共にCPU31は、感光体駆動モータ37を制御して感光体4A〜4Dを回転させる。また、画像書込部16A〜16Dを制御して感光体4A〜4D上に潜像を形成する。
CPU31は、先端検出センサ14A〜14Dの検出信号を得ると、その出力タイミングが規定のタイミングであるかどうかチェックする。規定のタイミングであれば、その状態を継続する。
規定のタイミングでない場合、CPU31は、画像の位置を用紙に合わせるためにニップ部移動モータ35A〜35Dを駆動する。ニップ部移動モータ35A〜35Dは、それぞれ感光体4A〜4D、および転写ローラ5A〜5Dの各ペアを移動させることで、それらのニップ部を移動させるものである。これによりニップ部の位置が補正される。
また画像形成装置には、ニップ部の位置の補正に合わせて、折返しミラー19A〜19Dのそれぞれを回転運動させるミラー移動モータ53A〜53Dが備えられている。さらに画像形成装置には、ニップ部の位置の補正に合わせて、ガイド板9A〜9Dの位置をそれぞれ移動させるガイド板移動モータ51A〜51Dが備えられている。
なお、感光体が1つの場合においても本発明を実施することは可能であり、その場合、先端検出センサ、画像書込部、および現像器は、それぞれ1つでよい。
なお、搬送ローラ駆動モータ34は独立したモータである必要はなく、感光体駆動モータが兼用していても構わない。
なお、感光体駆動モータとしては、4つの感光体に対して1つのモータを用いてもよいし、それぞれの感光体に対応する4つのモータを用いてもよい。
図4は、画像形成ユニット8Aのニップ部の位置調整の方法を説明するための図である。
画像書込部16Aは、露光部であるレーザダイオード(またはLED)を含むプリントヘッド(PH)20、および露光部からの光を感光体4Aに入射させるための折返しミラー19Aを備えている。
補正部であるニップ部移動モータ35Aは、感光体4Aおよび転写ローラ5Aを移動させ、転写ポイントであるニップ位置を補正する。
すなわち用紙Pへの画像書出し位置の調整は、感光体4Aと転写ローラ5Aの対が、図に示されるように副走査方向に移動することで行なわれる。このような移動により、ニップ部へ用紙を早く突入させたり遅く突入させたりすることが可能となる。結果として、用紙への画像書出し位置を調整することができる。
ニップ部の移動量は、タイミングセンサ13の検出出力と、先端検出センサ14Aの検出出力とに応じて演算される。
また、ニップ部の移動に合わせてガイド板9Aおよび折返しミラー19Aの位置の移動が行なわれる。
移動の制約条件として、以下の条件を採用することが好ましい。すなわち、感光体4A上の画像書込み位置LAから、感光体4Aと転写ローラ5Bのニップ部までの距離を一定に保った状態でニップ部を移動させるものである。このような制約を課することで、プリントヘッド20による画像書出しタイミングから感光体上の画像が転写ニップ部に到達するまでの時間を一定に保つことができる。
また折返しミラー19Aは、プリントヘッド20の光路上に配置され、感光体上の画像書込位置LAを決める。感光体4Aからプリントヘッド20への光の正反射を避けることが望ましい。このため、感光体4Aと転写ローラ5Aの対が移動する範囲内において、感光体4A中心の回転軸がプリントヘッド20からの光の進行方向に位置しないように制御が行なわれる。すなわち、折返しミラー19Aでの反射位置と書込位置LAとを結ぶ直線は、感光体4A中心の回転軸を通らないように(図4の感光体4Aを示す円の書込位置LAにおける接線が、折返しミラー19Aでの反射位置と書込位置LAとを結ぶ直線と直交しないように)、感光体4Aの移動が行なわれる。これにより、感光体4Aへの光の入射は常に斜入射となる(感光体4Aへの光の入射方向は、感光体4Aの書込位置LAにおける接面とは垂直にはならない)。
感光体4Aと転写ローラ5Bの通常の位置は、図4の符号4A,5Bで示される位置であるが、用紙の搬送が予定よりも早く、用紙を遅くニップ部に突入させたいときには、感光体4Aと転写ローラ5Bは、位置4A’,5A’で示される方向に移動する。逆に、用紙の搬送が予定よりも遅く、用紙を早くニップ部に突入させたいときには、感光体4Aと転写ローラ5Bは、位置4A’’,5A’’で示される方向に移動する。
画像の書出し位置の調整において、感光体4Aと転写ローラ5Aと転写前ガイド板9Aは、副走査方向に対して角度が変化しないように移動する。かつ感光体5A上の画像書出し位置を決める折返しミラー19Aも連動して回転することで、ニップ部へ用紙を早く突入させたり遅く突入させたりすることが可能になり、用紙先端への画像書出し位置を調整することができる。
また移動量および回転量は、タイミングセンサ13および用紙先端検出センサ14Aの出力結果に応じて演算される。ニップ部やミラーを任意の位置に止めることで、用紙先端の書出し位置は調整される。
画像書込ユニット8B〜8Dも同様の構成であるため、説明を繰り返さない。
図5は、図4の構成においてニップ部の移動方法をさらに詳しく説明するための図である。
感光体上の画像書込み位置LAは、折返しミラー19Aの折返し点Cを中心とした円弧上を移動する(符号LA,LA’,LA’')。かつ、折返しミラー19Aは、感光体4Aの移動に連動して回転する。折返しミラー19Aと画像書込み位置LAの位置関係は変化しないため、露光長を一定に保つことができ、安定した出力画像を供給することができる。
また、感光体4Aと転写ローラ5Aと転写前ガイド板9Aは、副走査方向に対して角度が変化しないように移動する。このため、ニップ部への用紙突入角度とニップ部からの用紙排出角度とを一定に保ったままにすることができる。これにより、ニップ部突入時と下流の感光体と転写ローラ対への用紙搬送時の用紙の挙動を安定させることができる。
折返しミラー上の折返し点Cと、感光体上の画像書込み位置LAとを結ぶ直線が移動した角度がθ1またはθ2であるときに、折返しミラー19Aは、(1/2)×θ1、または(1/2)×θ2の関係を保ちながら回転する。これにより、感光体への露光入射角度の変化を軽減しながら感光体を移動させることができる。なお、折返しミラー上の折り返し点Cと画像書込み位置LAとの距離を変化させることで、露光入射角度を調節することも可能である。
感光体4Aと転写ローラ5Aと転写前ガイド板9Aとの移動、および折返しミラー19Aの回転は、センサの出力結果より演算された任意の移動量および回転量に基づいて行なわれる。感光体4Aと転写ローラ5Aと転写前ガイド板9Aとの移動は、用紙先端がニップ部に到達するまでに完了し、用紙に画像を転写している間はこれらは停止するように制御が行なわれる。
このような制御を行なうのであれば、感光体4Aと転写ローラ5Aと転写前ガイド板9Aを一体として移動させてもよいし、別々に移動させてもよい。ただし、折返しミラー19Aは、感光体4Aの移動中も画像を書込んでいることから、感光体4Aの動きに連動して回転させる必要がある。
感光体4Aと転写ローラ5Aと転写前ガイド板9Aとを別々に移動させる場合は、折返しミラー19Aの折返し点Cから画像書出し位置LAまでを半径とした円弧(移動軌跡A2)を画像書出し位置LAは移動する。この移動軌跡A2と同じ形状の軌跡を、感光体と転写ローラと転写前ガイドが移動する。よって、感光体4Aは、図5に示す感光体移動軌跡A1を、転写ローラ5Aは転写ローラ移動軌跡A4を、転写前ガイド板9Aは転写前ガイド板移動軌跡A3を移動する。
ずれ量に基づいてニップ位置の移動量を演算し、上記のような制御を行なってもよいし、感光体と転写ローラと転写前ガイド板各々の移動量を演算し、制御を行なってもよい。
図6は、ニップ部の移動条件を説明するための図である。
画像書込位置LAから、感光体4Aおよび転写ローラ5Aのニップ部までの画像の移動距離は一定である。従って、用紙の副走査方向のずれ量=ニップ部の移動距離という関係が成り立つ。ここでは、用紙の搬送タイミングを調整するために、図6に示すようにニップ部を用紙搬送方向の下流側に距離Xだけ移動させる状況を想定する。用紙先端がニップ部に移動する前に、ニップ部の移動を完了させていなければならない。
これらから、ニップ部(転写領域)の移動角速度ωは、
ω≧(S×sin−1(X/R))/(L+X) ・・・(1)
の関係を維持することが必要となる。それぞれの変数は、以下の値を示す。
ω;転写ニップ部移動角速度[rad/s]
S;用紙搬送速度(システム速度)[mm/s]
L;先端検出センサ14Aから転写ニップ部までの距離[mm]
X;用紙先端ずれ量(ニップ部の移動量)[mm]
R;ミラーの回転中心Cから感光体上の画像書込位置LAまでの直線距離[mm](これは、ニップ部の回転中心からニップ部までの直線距離[mm]と等しい)
用紙先端が先端検出センサ14Aの位置から移動後のニップ部まで移動するのに要する時間tは、t=(L+X)/S[s]である。この時間内にニップ部の移動を完了しなければならない。ニップ部の移動に要する時間は、θ/ω[s]である。
従って、(L+X)/S≧θ/ωの関係を満たさなければならない。
上式を変形すると、ω≧S×θ/(L+X)である。ここに、θ=sin−1(X/R)であることから、上記(1)式のω≧(S×sin−1(X/R))/(L+X)の関係を導くことができる。この条件でニップ部を移動させるのであれば、用紙の先端がニップ部に到ったときに、すでにニップ部の移動を完了させている(ニップ部の移動を停止させている)ことができる。
このように、画像形成ユニットの転写領域(ニップ部)に用紙が搬送されるときに、用紙がタイミングセンサ13から先端検出センサ14A〜14Dを通過するまでに実際かかった時間tと、予め想定されていた所要時間t1とが同じ(t=t1)場合(または誤差程度しかずれがない場合)、CPU31は、感光体および転写ローラを移動させない。
用紙がタイミングセンサ13から先端検出センサ14A〜14Dを通過するまでに実際かかった時間tが、予め想定されていた所要時間t1を超えている場合(t>t1)、CPU31は、感光体および転写ローラを用紙搬送方向上流側へ移動させる。
用紙がタイミングセンサ13から先端検出センサ14A〜14Dを通過するまでに実際かかった時間tが、予め想定されていた所要時間t1に満たない場合(t<t1)、CPU31は、感光体および転写ローラを用紙搬送方向下流側へ移動させる。
また、感光体および転写ローラが移動したとき、感光体上の画像書込位置からニップ部までに画像が移動する距離は一定になるように制御されている。このように構成することで、感光体上に書き込まれた画像が画像書込位置からニップ部に到達する時間を一定に保つことができる。
さらに、折返しミラーを回転中心として画像書込位置を移動することで、折返しミラーと画像書込位置との距離関係は変化せず、露光長を一定に保ったままにでき、安定した画像を供給することができる。
なお、感光体および転写ローラ(ニップ位置)は、円弧に沿って移動することとしたが、搬送する用紙の速度に応じてニップ位置を移動させ、書き込み先端を合わせることができるのであれば、移動軌跡は円弧に限るものではない。
なお、上記実施の形態ではタイミングセンサ13および先端検出センサ14A〜14Dの組み合わせで用紙速度を検出するものを説明したが、1つの先端検出センサおよび他の先端検出センサの組み合わせで用紙速度を検出することとしてもよい。
図7は、CPU31の検出結果に基づいて、CPU31が感光体4A〜4Dおよび転写ローラ5A〜5Dなどの位置調節を行なう処理を示すフローチャートである。
これは、画像形成部8のタイミングセンサ13および先端検出センサ14A〜14Dの検出結果に基づいて、画像形成装置1のCPU31が感光体4A〜4Dおよび転写ローラ5A〜5Dの動作制御を行なうものである。
なお、以下では感光体4Aおよび転写ローラ5Aにおける制御を説明するが、感光体4B〜4Dおよび転写ローラ5B〜5Dにおける制御も同様のフローチャートの処理により行われる。
まず、CPU31はタイミングセンサ13を用いて、用紙の先端がその位置に到達したかどうかをチェックする(S101)。タイミングセンサ13がONとなると(S101でYES)、CPU31は、画像書込部16Aにおいて画像書込みを開始するタイミングを演算する(S102)。
CPU31は、搬送ローラ3を用いて、画像書込みタイミングに合わせて用紙Pが感光体4Aと転写ローラ5Aとのニップ部に到達できるようにタイミングを見計らって用紙Pを搬送する。CPU31は、画像書込みタイミングが到達したかどうかをチェックし(S103)、画像書込みのタイミングが到達すれば(S103でYES)、感光体4Aへの画像の書込みを開始する(S104)。
これにより、コンピュータより転送された画像データに基づく第1色目の潜像が感光体4A上に形成される。感光体4A上に形成された潜像は、ニップ部に到達するまでの間に現像器によりトナー像となる。
CPU31は、先端検出センサ14Aを用いて、用紙の先端がその位置に到達したかどうかをチェックする(S105)。先端検出センサ14AがONとなると(S105でYES)、CPU31は、そのONとなったタイミングが規定範囲内であるかどうかをチェックする(S106)。ステップS105およびS106では、タイミングセンサ13の検出結果を元に設定されている用紙の到達タイミングが、実際の用紙の到達タイミングとずれがあるのかをチェックするものである。
先端検出センサ14Aの検出タイミングが規定範囲内であった場合(S106でYES)には、CPU31によりそのまま用紙はニップ部へ搬送され、トナー像が用紙に転写される(S110)。その後用紙は、CPU31により感光体4Bと転写ローラ5Bとのニップ部に向かって搬送されていく。その間には、図7と同じフローチャートでの処理により、画像書込部16Bの書込みタイミングや先端検出センサ14Bの検出タイミング等をチェックしていく。これは、既に説明した内容と重複するため説明を繰り返さない。この場合には、1色目の画像と用紙との位置関係は所定の関係になっている。このため、2色目の画像の位置関係を考える際には、1色目の画像の位置を考慮しなくても良い。
先端検出センサ14Aの検出タイミングが規定範囲内でなかった場合(S106でNO)には、CPU31は用紙と画像とのずれ量を演算し(S107)、ずれ量に基づいて感光体の移動量の演算処理を行なう(S108)。また、ずれ量に基づき折返しミラーの回転量を演算する(S121)。
ずれ量の補正において、感光体4Aを移動し、同時に折返しミラーを回転させる方法が実行される(S109)。また、同時にずれ量に基づき転写ローラの移動量が演算され(S123)、それを移動させる処理が行なわれる(S127)。さらに、同時にずれ量に基づきガイド板の移動量が演算され(S125)、それを移動させる処理が行なわれる(S129)。
転写前に、ニップ部およびガイド板は移動終了位置で停止する。CPU31により用紙はニップ部へ搬送され、トナー像が用紙に転写される(S110)。転写処理が行われた後、感光体4Aおよび転写ローラ5AのステップS109による移動があれば(S111でNO)、感光体4Aおよび転写ローラ5A、並びに折返しミラーおよびガイド板を所定の位置(初期位置)に戻す処理が行なわれる(S112)。
これにより、用紙と画像との位置関係を補正した第1色目のトナー像を得ることができる。その後、用紙は感光体4Bと転写ローラ5Bとのニップ部に向かって搬送されていく。その間には、画像書込部16Bの書込みタイミングや先端検出センサ14Bの検出タイミング等をチェックしていく。すなわち、既に説明した内容とほぼ同様の制御を繰り返すことになる。ただし、第2色目の画像と用紙との位置関係、または第2色目の画像と第1色目の画像との位置関係を考慮した補正が必要となる場合がある。
なお、画像書込部16Bの書込みタイミングは、タイミングセンサ13の検出結果を元に決定するものとしたが、演算時間や先端検出センサ14Aの配置の観点から可能であれば、先端検出センサ14Aの検出結果を元に決定してもよい。
画像書込部16Bに近い方のセンサの検出結果に基づいて決定した方が、ずれ量が小さくなるため好ましい。場合によっては、タイミングセンサ13の検出結果を元に画像書込部16Bの書込みタイミングを凡そ決定しておいて、先端検出センサ14Aの検出結果に基づいてそのタイミングを微調整してもよい。
画像書込部16C,16Dに対する処理も同様である。すなわち、上流のセンサの検出結果を使用して画像書込みタイミングを決定すればよい。
なお、1色目の画像と用紙との位置関係が所定の関係になっていると判断して補正を行なわなかった場合においても、理想の画像位置とは若干の差があることが考えられる。この場合には、第1色目のずれ量を補正制御した場合と同様に、第2色目の画像と用紙との位置関係、または第2色目の画像と第1色目の画像との位置関係を考慮した補正制御を行なうことで、より良好な画像を得ることが可能となる。
なお、単色プリントを行なう画像形成装置では、図7の処理で1色目のトナー像が得られれば画像形成は完了する。
[第2の実施の形態]
以下に、第2の実施の形態における画像形成装置が第1の実施の形態におけるそれと異なる点について説明する。
図8は、第2の実施の形態における画像形成装置がCPU31の検出結果に基づいて、感光体4A〜4Dおよび転写ローラ5A〜5Dなどの位置調節を行なう処理を示すフローチャートである。
図8のステップS201〜S206、およびS212〜S214での処理は、図7のS101〜S106、およびS110〜S112での処理と同じであるためここでの説明を繰り返さない。
図8のフローチャートでは、先端検出センサ14Aの検出タイミングが規定範囲内でなかった場合(S206でNO)には、CPU31は用紙と画像とのずれ量を演算する(S207)。CPU31は、ずれ量の演算結果に基づいて、ニップ位置の移動量の演算処理を行なう(S208)。またCPU31は、ずれ量の演算結果に基づいて、折返しミラーの回転量の演算処理を行なう(S211)。
その後ずれ量の補正として、感光体、転写ローラ、およびガイド板の移動が実行される(S210)。また、ずれ量の補正として、折返しミラーの回転が実行される(S210)。CPU31により用紙はニップ部へ搬送され、トナー像が用紙に転写される(S212)。転写処理が行われた後、ステップS210での感光体、転写ローラ、およびガイド板の移動やミラーの回転があれば(S213でNO)、それらを初期位置に戻す処理が行なわれる(S214)。
[実施の形態における効果]
上記実施の形態における構成によると、用紙先端の検出結果により用紙と画像との位置関係が検出される。用紙先端が感光体と転写ローラとの間のニップ部に到達する前に、ニップ部の位置を調整することができる。ニップ部を移動させることにより、感光体に既に画像書込みが行なわれている場合であっても、用紙への画像の転写のずれを補正する(あるいは小さくする)ことが可能となる。また、複数の色により画像を形成する場合には、色ずれを補正することができる。
またニップ部を移動させることができるため、先端検出センサでの用紙検出前に感光体への書込みを開始しても、用紙への書込み位置を調整することができる(感光体へ画像が書込まれた後であっても補正が可能となる)。これにより、感光体間の距離を短くして装置の小型化を達成することができる。また、プリント中にセンサで検出が行なわれた時点で補正が可能となるため、当該プリントを含むすべてのプリントに対して補正を行なうことができる。
[その他]
なお感光体と転写ローラとガイド板は、一体として1つの駆動機構(モータ、アクチュエータなど)で移動するようにしてもよいし、それぞれ別の駆動機構で移動するようにしてもよい。
また、画像の位置合わせは用紙の位置を基準に行なってもよいし、上流で用紙に形成された画像の位置を基準に行なってもよい。
また、用紙速度を検出するために、実施の形態では用紙先端の到達を検出するタイミングセンサ13および先端検出センサ14A〜14Dセンサのいずれか2つを用いるものを説明したが、用紙の搬送速度を検出するセンサを用いてもよい。すなわち、用紙の搬送速度に基づいてニップ部への用紙の到達タイミングを判定し、それにより感光体および転写ローラの位置を補正するものである。
また、感光体および転写ローラの位置の補正が行われた場合において、転写処理終了後に、感光体、転写ローラ、ガイド板、およびミラーを元の位置(所定の位置)に戻す装置について説明したが、それらの移動後、元の位置(所定の位置)にそれらを戻さずに、次の転写処理に対する位置補正を行なってもよい。
また、画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。
また、上述の実施の形態における処理は、ソフトウエアによって行なっても、ハードウエア回路を用いて行なってもよい。
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの用紙に記録してユーザに提供することにしてもよい。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。