JP5018461B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
<特許文献1に記載のエアバッグ装置が適用された車両用シートの場合>
単一のインフレータから膨張用ガスがエアバッグの各膨張領域に略均等に分配供給される。そのため、例えば二人の乗員が着座しているときには、両着座部の座面を略均等に隆起させることができる。しかし、一人の乗員が着座していて、一部の着座部の座面に偏って荷重が加わっていると、インフレータからの膨張用ガスが、乗員が着座しておらず荷重の加わっていない膨張領域へは流れやすく、乗員が着座していて荷重の加わっている膨張領域へは流れにくい。そのため、この場合には、荷重が加わっている着座部の座面を高く隆起させることが困難となる。
この場合、着座部に加わっている荷重に応じてエアバッグを適切な量だけ膨張させて座面を隆起させることが可能となる反面、着座部毎に、インフレータ、センサ、ガス量の調整装置等が必要となり、部品点数の増加及び構造の複雑化が避けられない。
上記の構成によれば、エアバッグの前方に配置された膨張流体発生源は、エアバッグに膨張流体を供給する機能を発揮するほか、膨張流体により膨張するエアバッグの前方への動きを規制する機能を発揮する。従って、衝突等の衝撃により前方へ移動しようとする乗員によってエアバッグが押されても、同エアバッグは前方へ動きにくく、上方へ膨張して座面を確実に隆起させる。
図1及び図3の少なくとも一方に示すように、車両の後部側には、複数人掛けの車両用シートとして三人掛けのベンチシート11が配設されている。ベンチシート11は、座部(シートクッション)12と、座部12の後端側に配置された背もたれ部(シートバック)13と、背もたれ部13の上側に配置されたヘッドレスト部14とを備えて構成されている。
シートベルト装置30は、乗員Pを拘束する帯状のウェビング31と、ウェビング31に対しその長手方向への移動可能に取り付けられたタング32と、座部12の一方の側方に配置されてタング32が係脱可能に装着されるバックル33とを備えている。ウェビング31は、その一端部が、座部12においてバックル33の配設されていない側に固定され、他端部がベルト巻取り装置(図示略)により巻き取られる構成とされている。シートベルト装置30では、ウェビング31に対してタング32を摺動させることで、ラップベルト部34及びショルダベルト部35の各長さを変更可能である。
エアバッグモジュールAMは、膨張流体発生源としてのインフレータ40と、そのインフレータ40から供給される膨張流体としての膨張用ガスGにより膨張するエアバッグ50とを備えている。次に、これらの各構成部材について説明する。
インフレータ40には膨張用ガスGの生成態様の違いから複数のタイプがあるが、ここでは、パイロタイプと呼ばれるインフレータ40が用いられている。図3及び図5の少なくとも一方に示すように、インフレータ40は略円柱状をなしており、その軸線を車幅方向に合致させた状態で、後部フロアパン21上であって第3座面20の前端下方に配置されている。インフレータ40にはブラケット42が設けられており、このブラケット42において、インフレータ40がボルト及びナット(図示略)により後部フロアパン21に締結されている。
エアバッグ50は、図4及び図5の少なくとも一方に示すように、車幅方向に細長い平面長方形状をなす一対の布帛(以下「基布51」という)を備えている。両基布51は上下に重ね合わされ、それらの周縁部に設けられた周縁結合部52において気密状態で結合されている。各基布51は、ポリエステル糸、ポリアミド糸等を経糸及び緯糸とした織布によって形成されており、高い強度と可撓性とを有している。本実施形態では、周縁結合部52は、両基布51の周縁部を縫糸で縫合することにより構成されている。図5では、縫糸は太い破線で示されている。ただし、図5中、基布51の一部を破断して図示した箇所では、縫糸は二点鎖線で示されている。周縁結合部52は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって構成されてもよい。なお、上述した「太い破線、二点鎖線を用いた縫糸の図示」、及び「縫合に代えて接着剤を用いた接合」は、後述する内結合部53及び周縁結合部62についても同様である。
図6及び図7の少なくとも一方に示すように、エアバッグ50内には、インフレータ40から噴出された膨張用ガスGを第1膨張領域A1及び第2膨張領域A2に分配して導くインナチューブ60が配置されている。インナチューブ60は、上記エアバッグ50と同様、織布等からなり、高い強度と可撓性とを有する1枚又は2枚の基布61を縫製することによって形成されている。図6及び図7では、一対の基布61が上下に重ね合わされ、それらの周縁部に設けられた周縁結合部62によって結合されている。
上述したように、エアバッグ装置は、上記エアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ71及び制御装置72を備えている。衝撃センサ71は加速度センサ等からなり、車両のフロントバンパ(図示略)等に取付けられており、フロントバンパ等に前方から加わる衝撃を検出する。制御装置72は、衝撃センサ71からの検出信号に基づきインフレータ40の作動を制御する。
(1)インフレータ40からの膨張用ガスGを第2座面19の下方を経由して第1膨張領域A1に導く第1流路67と、膨張用ガスGを第1座面18の下方を経由して第2膨張領域A2に導く第2流路68とを設けている。これらの第1流路67及び第2流路68を、可撓性を有する管体(インナチューブ60)により構成している。そのため、乗員Pが着座している座面18(19)の下方の膨張領域A1(A2)を専ら膨張させることができる。乗員Pの着座している座面18(19)を、着座していない座面19(18)よりも高く隆起させ、乗員Pの腰部Ppをシートベルト装置30のラップベルト部34に押し付け、ラップベルト部34の拘束力を高めて腰部Ppの前方移動を規制し、もってサブマリン現象を好適に抑制することができる。
<インナチューブ60について>
・インナチューブ60における第1導流部63及び第2導流部64の各形状は、線L1に対し、厳密に線対称でなくてもよい(略線対称であってもよい)。また、同形状は線L1に対し非線対称となる形状であってもよい。この場合、両導流部63,64の流路長が略等しくなるように、各導流部63,64の形状を工夫することが望ましい。
・インフレータ40を上記実施形態とは異なる箇所、例えば座部12の車両前後方向についての後端部に配置してもよい。また、インフレータ40を座部12の車幅方向についての中央部から偏倚した箇所に配置してもよい。さらに、インフレータ40を上記実施形態とは異なる向き、例えば、インフレータ40の軸線を車両前後方向に合致させた状態で配置してもよい。
・後部フロアパン21に下方へ凹む凹部を設け、ここにインフレータ40を配置してもよい。ただし、この場合には、インフレータ40がエアバッグ50の前方への移動を規制する機能は発揮されにくくなる。
・エアバッグ50を折り畳んだ状態で座部12及び後部フロアパン21間に配置してもよい。
<その他>
・本発明のエアバッグ装置は、座部12に第1着座部15及び第2着座部16が並設された複数人掛けの車両用シートであれば適用可能であり、例えば車両の前席及び後席のいずれも適用対象である。また、本発明のエアバッグ装置は、3人掛け以外の複数人掛け(例えば二人掛け)の車両用シートにも適用可能である。上記実施形態における第3着座部17を省略することで二人掛けの車両用シートとなる。
Claims (5)
- 座部に第1着座部及び第2着座部が並設された複数人掛けの車両用シートに適用されるものであり、
前記第1着座部の第1座面よりも下方に第1膨張領域を有するとともに、前記第2着座部の第2座面よりも下方に第2膨張領域を有するエアバッグを備え、
膨張流体発生源から第1流路を通じて供給される膨張流体により前記第1膨張領域を膨張させて前記第1座面を隆起させる一方、前記膨張流体発生源から第2流路を通じて供給される膨張流体により前記第2膨張領域を膨張させて前記第2座面を隆起させることで、前記第1座面上又は前記第2座面上の乗員の前方への移動を抑制するようにしたエアバッグ装置であって、
前記第1流路は、可撓性を有する管体により構成され、前記膨張流体発生源からの前記膨張流体を前記第2座面の下方を経由して前記第1膨張領域に導き、
前記第2流路は、可撓性を有する管体により構成され、前記膨張流体発生源からの前記膨張流体を前記第1座面の下方を経由して前記第2膨張領域に導くものであることを特徴とするエアバッグ装置。 - 前記エアバッグ内には、可撓性を有するインナチューブが配設され、
前記インナチューブには、
前記膨張流体発生源及び前記第1膨張領域間を繋ぎ、かつ中間部分が前記第2座面の下方に配置され、内部空間を前記第1流路とする第1導流部と、
前記膨張流体発生源及び前記第2膨張領域間を繋ぎ、かつ中間部分が前記第1座面の下方に配置され、内部空間を前記第2流路とする第2導流部と
が設けられている請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記第1膨張領域及び前記第2膨張領域は連通領域により相互に連通されており、
前記第1導流部の一部及び前記第2導流部の一部は相互に重ね合わされた状態で前記連通領域に配設され、前記第1導流部又は前記第2導流部の膨張時には、同第1導流部及び第2導流部が前記連通領域の壁面に密着するものである請求項2に記載のエアバッグ装置。 - 前記膨張流体発生源は前記第1着座部及び前記第2着座部間の下方に配置され、前記第1導流部及び前記第2導流部は、前記第1着座部及び前記第2着座部間の中央部を通る線を挟んで略線対称となる形状を有している請求項2又は3に記載のエアバッグ装置。
- 前記膨張流体発生源は前記エアバッグの前記前方に配置されている請求項1〜4のいずれか1つに記載のエアバッグ装置。
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2007
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