JP5017754B2 - 非水電解質二次電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に高温時における電池の内部短絡を抑止できる非水電解質二次電池のセパレータおよび電池構造と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、非水電解質二次電池のセパレータは正極や負極の極板よりも面積を広くすることにより両極が直接接触することを防いでいる。しかしながら、電池が高温にさらされたときにセパレータが収縮し、極板面積よりも小さくなることにより両極板の接触が生じ、電池の内部で短絡が発生する。高温において短絡が発生した電池は、その後の使用が出来なくなる。
【0003】
高温時においてセパレータの収縮を抑制する方法としてポリエチレンの分子量を大きくしたり、ポリプロピレンの配合比を増やしたりなどの方法が取られている。しかしながら、これらの方法を行うとセパレータのもう一つの安全性機構であるシャットダウンの温度が上昇し、短絡や過充電が発生したときでの電流遮断機構が作動しにくくなる。また、一軸延伸によりセパレータを作成することにより幅方向の収縮を抑えることができるが、延伸方向にセパレータが裂けやすくなる。その結果、逆に内部短絡が発生しやすくなり電池の信頼性が低下する。
【0004】
正極板と負極板を交互に積層して作成する角型電池の場合、正極板と負極板が短絡することを抑止する手段として通常行われている手段としては特開平10−55795号公報等で示されるように、袋状に加工したセパレータ中に正極板もしくは負極板を挿入する方法が提案されている。しかし、この方法においては、極板を積層する構造の電池しか適応できない上に、製造上で工数の増加やセパレータの溶着管理などの問題が生じる。また、極板を巻回して作成する構造の電池においては、特開2000−251866号公報で示されるように高温でのセパレータの収縮による短絡を防止するため、最外周にポリプロピレン製の短絡防止テープを貼着する方法が提案されている。この方法は巻回型の電池構造に対応し、非常に簡便な量産性に優れた方法である。しかし、この方法では、外周部の短絡を抑止することが出来るものの、内周部でセパレータが収縮したときに発生する短絡を抑止することが出来なかった。
【0005】
特開平6−150900号公報では、電極体の上下部に突出したセパレータの上下余剰端部を加熱して熱収縮することにより電池内部での短絡を抑制する方法が提案されている。しかしこの方法では、セパレータの熱収縮が発生しない通常の使用温度領域(−20℃から60℃までの範囲)において電池の内部短絡を抑えることができるが、60℃以上においてセパレータの収縮を抑えることができなかった。
【0006】
この問題を解決できる手法として、電極体の上下部に突出したセパレータの上下部端部を巻芯方向に折曲し、加熱して熱溶着する特開平1−122574号公報の方法があげられる。しかし、この構成は、金属リチウムのデンドライトを防止するのが主目的であるため、上下部端部を全部を溶着する必要があり、注液時に群内部に電解液が含浸しない、全溶着のための工数が増加、溶着状態の管理が困難など製造上いくつかの課題が存在した。
【0007】
また同様に、電極体の上下部に突出したセパレータの上下余剰端部を加熱して熱収縮し耐電解液性の絶縁溶着テープを電極体の上下部に貼り付ける特開平2−10652号公報の方法があげられる。この方法においても、注液時に群内部に電解液が含浸しない、テープ貼付けのための工数が増加、貼付け状態の管理が困難など実際に電池を製造する上で数多くの課題が存在した。
【0008】
さらに重要なことは、外部短絡や過充電時においては、極板より電気を取り出すためのリード部においてリード自身が有する抵抗のために熱が発生し、リードが高温になる。その為、リード部周辺に存在するセパレータの収縮が高温時における電池の内部短絡を抑止する上で特に問題であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するものであり、高温時における電池の内部短絡を抑止する事により高温加熱時において電池の信頼性を向上させることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明の第1の非水電解質二次電池は、正極板もしくは負極板の少なくとも一方の電極体が、電池外部端子へ接合を行うリード部を有し、さらに前記セパレータの幅寸法を前記電極体の幅寸法より大きく且つセパレータは、前記電極体の上下から外方に突出した部分を有し、前記リード部の周囲5mm以内に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分を溶着した構造を有したものである。特に、リード部の周囲5mm以外に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分の少なくとも一部を溶着し、前記電極体を封入する構造を有するのが好ましい。
【0011】
これにより、電池すなわちリードに大電流が流れた時に、その発熱によりリード付近のセパが収縮し、短絡することを防止する事が出来る。
【0012】
また、上記の構成の製造方法は、正極板および負極板をセパレータを介在させて極板を渦巻状に巻回する構造の極板群を構成した後にセパレータの溶着を行う工程を有することが、従来の群構成機が使えるため好適である。
【0013】
本発明の第2の非水電解質二次電池は、セパレータが、電池高温時に電池温度が100℃以上、且つセパレータの熱収縮によりセパレータの短手方向の寸法が正極板または負極板における寸法よりも短くなる温度以下で、互いに熱溶着するセパレータを有したものである。特に、セパレータは、電池温度が100℃以上、150℃以下である温度領域において互いに熱溶着し、室温から150℃までのセパレータの短手方向の収縮率が5%以下であることが好ましい。
【0014】
これにより、電池高温時にセパレータの両端が溶着され、袋状に極板を包むことにより、高温でのセパレータの短手方向の縮を押さえ、短絡を防ぐ事が出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、リチウムを吸蔵、放出する活物質を備えた合剤層と、前記合剤層と電子のやりとりを行うための集電体とからなる正極板および負極板をセパレータを介在させて極板を渦巻状に巻回する構造の極板群を備えた非水電解質二次電池において、前記正極板もしくは負極板の少なくとも一方の電極体が、電池外部端子へ接合を行うリード部を有し、前記セパレータの幅寸法を前記電極体の幅寸法より大きく且つセパレータは、前記電極体の上下から外方に突出した部分を有し、前記リード部の周囲5mm以内に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分を溶着し、前記リード部の周囲5mm以外に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分を溶着していない構造を有し、さらに前記セパレータが、突き刺し強度が350gf以上の強度を有する非水電解質二次電池としたものであり、電池の内部でもっとも熱が発生する部分においてセパレータを事前に熱溶着し、収縮が発生するセパレータにおいても収縮を抑え、正極と負極が接触することを防止する作用を有する。
【0016】
すなわち、過大電流がリード部に流れることによりリードが発熱し、リード部周辺のセパレータが特異的に収縮を起こすところを、熱のかかる範囲のセパレータを事前に熱溶着する事によりセパレータの収縮を抑える。このような構造となることにより電池の内部短絡を抑止し、電池の信頼性、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の非水電解質二次電池において、リード部の周囲5mm以外に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分の一部を溶着し、前記セパレータを前記電極体の上下から外方に突出した部分を溶着することにより前記電極体を封入する構造を有するものである。これは、電池に外部短絡や過充電などの事故が発生したときには、リード部だけでなく電池全体の温度が上昇し、状況によっては100℃以上の温度になる。このような状況になったときには、リード部付近だけでなく電池内部に存在するセパレータ全体が収縮する。このような状況に対して、前述の構造を取ることにより対応することが可能となる。この時、極板はあたかもセパレータに包み込まれたような状態となり、セパレータは極板の幅以下には収縮できなくなる。したがって、電池の内部短絡を抑止するという作用を有し、電池が高温になったときの信頼性、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の非水電解質二次電池を製造する方法であって、前記正極板および負極板をセパレータを介在させて極板を渦巻状に巻回する構造の極板群を構成した後にセパレータの溶着を行う工程を有することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法であり、群構成後にセパレータの溶着を行うため、特に巻回型の電池に好適である。また、製造上においても工数が増加することがなく従来の生産設備をそのまま使用することが出来る点で非常に優れた方法である。
【0019】
本発明の請求項4に記載の発明は、リチウムを吸蔵、放出する活物質を備えた合剤層と、前記合剤層と電子のやりとりを行うための集電体とからなる正極板および負極板にセパレータを介在させた構造の極板群を備えた非水電解質二次電池において、電池高温時に極板の両面に位置するセパレータが極板の幅方向に突出した部分で互いに溶着し極板を包み込み、セパレータは、電池温度が100℃以上、150℃以下である温度領域において互いに熱溶着し、室温から150℃までのセパレータの短手方向の収縮率が5%以下であり、さらに前記セパレータが、突き刺し強度が350gf以上の強度を有することを特徴とする非水電解質二次電池としたものであり、熱による収縮が発生するセパレータにおいても収縮を抑え、正極と負極が接触することを防止するという作用を有する。
【0020】
すなわち、重なったセパレータが熱溶着を起こすことにより、極板よりはみ出した部分のセパレータ同士が溶着を起こす。すると極板はあたかもセパレータに包み込まれたような状態となり、セパレータは極板の幅以下には収縮できなくなる。このような構造となることにより電池の内部短絡を抑止し、電池が高温になった時の信頼性、安全性の向上を図ることが可能となる。ただし熱溶着は、セパレータが極板よりはみ出した状態の時に起こらねば意味がない。すなわち、熱収縮の発生する以前、もしくは熱収縮の初期段階においてセパレータ同士の熱溶着が起きる必要がある。具体的には、熱収縮によりセパレータの大きさが包み込むべき極板の大きさより小さくなるまでに熱溶着するのが好適である。
【0022】
セパレータが熱収縮により正極板または、負極板よりも小さくなる温度が150℃以上である場合、セパレータ同士の熱溶着は150℃までに発生する必要がある。150℃以上の温度領域では、活物質と電解液との反応が大きくなりこれらの反応熱が急激に増加する。これにより、電池温度も急激に上昇を開始し、セパレータの熱溶着による極板の包み込みが不十分な状態でセパレータの熱収縮が開始する恐れがある。すなわち高温状態での短絡という電池の安全性にとっては非常に危険な状態となるため、セパレータの熱溶着は150℃までに発生する必要があり、TDの収縮率が5%以下であるのが好ましい。
【0024】
また、シャットダウン時にセパレータの収縮を強制的に抑えた場合、熱収縮による緊張でセパレータの破断が生じ、短絡する可能性が生じる。しかし、本発明のセパレータは、350gf以上の突き刺し強度を有しているため、セパレータの強度を十分に確保する事ができ、高温時での内部短絡の発生を抑制することが出来る。
【0025】
以下に突き刺し強度試験の詳細を説明する。直径4cmの穴のあいた2枚の金属板の間に穴を塞ぐようにセパレータを装着する。その後、穴の中央部にあるセパレータに試験針を押し当て、試験針に傾斜過重をかけてゆく。セパレータが破断した過重をそのセパレータの突き刺し強度とした。
【0026】
他に、セパレータの強度を測定する方法として引っ張り強度の測定がある。これは、一定の幅に切り出したセパレータの両端部を保持し、両端部を互いに反対方向へ引っ張る。この時、セパレータが破断した過重をそのセパレータの引っ張り強度とするものである。しかし、この方法は、セパレータの短手方向と長手方向で測定値が大きく異なり、またセパレータの形状が引っ張られることにより大きく変形する。この結果、電池としてセパレータに求める強度とは、かけ離れた特性を評価していることになり、この値をもとに電池に必要なセパレータを選択することは意味のあることとは言い難いため、突き刺し強度で評価するのが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図1の角型電池の一部断面図を参照しながら説明する。
【0028】
後述の方法で作製した正極板と負極板とをセパレータを介して複数回、渦巻状に巻回して極板群1を形成し、電池ケース4内に収容した。そして、正極板から正極リード2を引き出して封口板5に、負極板からは負極リード3を引き出して負極端子6に接続した。封口板5で電池ケース4をレーザ封口し、注入口7から電解液を注入後、レーザでアルミ板を溶接して封止し角型電池を作製した。
【0029】
<実施例1、2及び比較例1〜3>
負極板は次のように作製した。黒鉛97重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂3重量%を混合し、これらをカルボキシメチルセルロースの1%水溶液に分散させてスラリーを作製し、銅箔からなる負極集電体上に塗布し合剤層を設け、乾燥した。このように作製した負極板を所定の厚みとなるように加圧成形を行った。
【0030】
一方、正極板はコバルト酸リチウム粉末85重量%に対し、導電剤の炭素粉末10重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量%を混合し、これらをカルボキシメチルセルロースの1%水溶液に分散させてスラリーを作製し、アルミニウム箔からなる正極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。
【0031】
また、有機電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比1:3の混合溶媒にLiPF6を1.2モル/リットル溶解したものを使用した。
【0032】
セパレータは、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体を用い、突き刺し強度が310gfから455gfまでのものを用いた。この際、セパレータの空孔体積やシャットダウン温度などの他の物性がほぼ同じ値になるものを用いた。
【0033】
さらに、群構成後に行うセパレータの溶着について図2の極板群の図面を用いて説明する。図2は、正極リード13の付いた正極板14aと負極リード12の付いた負極板14bがセパレータ15を介して複数回巻回して作成した極板群を示している。図中の11はリード部の周囲5mm以内に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分を溶着した部分、図中の16はリード部周辺以外に存在するセパレータの電極体より外方へ飛び出した部分を溶着した部分を示す。これらの溶着部分を組み合わせることにより(表1)に示す実施例の電池(実施例1、2)と、比較例の電池(比較例1〜3)を作成した。
【0034】
なお、作成した電池は、幅34mm、高さ50mm、厚み6mmのアルミケースの電池であり、1Cの設計容量は、850mAhである。
【0035】
(評価)
本発明の実施例1および2の電池と比較例1から3の電池を充電状態にして電池の正極と負極の端子を短絡させる外部短絡試験を行った。充電条件は、電池電圧の上限が4.2Vの定電圧定電流(CVCC)充電を行い最大制限電流を1Aとし、電流が100mAになった時点で充電終了とした。尚、充電と外部短絡試験は20℃の恒温槽の中で行った。
【0036】
外部短絡試験では、試験電池数10個で行い、試験後に電池の内部抵抗を1kHzの交流法により測定し、電池の内部抵抗の値が20mΩ以下となった電池を内部短絡が発生した電池としてその個数から内部短絡が発生しやすい構造かどうかを評価した。結果を(表1)に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0005017754
【0038】
この結果について説明する。実施例1および2においては、外部短絡試験後においても内部抵抗の値が20mΩ以下となり内部短絡を発生している電池の個数は、0となっている。
【0039】
セパレータの突き刺し強度が350gf以下の比較例1の電池では、2割の電池が短絡を生じている。これは、熱溶着により高温での収縮が抑えられているにもかかわらずセパレータの突き刺し強度が弱いため、収縮を開始したときにセパレータ自身の収縮力により破断し、内部短絡が発生したと考えられる。
【0040】
次に、試験後の9割の電池が短絡していた比較例2の電池について説明する。比較例2の電池は、リード部周辺の熱溶着がなされていないため、リードが発熱した時に近傍のセパレータが熱により収縮を起こし、セパレータの収縮に伴い露出したリードとその近傍にある極板が対極の極板に接触し内部短絡が発生したと考えられる。実際に試験後の電池を分解すると、リードに接触しているセパレータだけでなく、極板を挿むことでリードとは直接接触していないセパレータにおいても、リードに沿って特異的に収縮を起こしていることが確認できた。このことから、リードに直接接触しているセパレータだけでなく、リードで発生した熱が直接伝わる範囲のセパレータにおいて、収縮を抑えるため熱溶着をしておくことが必要である。
【0041】
次に、試験後の6割の電池が短絡していた比較例3の電池について説明する。比較例3の電池は、リード部周辺以外に存在するセパレータの電極体より外方へ飛び出した部分は溶着されているため、その部分での内部短絡は防げるが、比較例2の電池と同様、リード部周辺の熱溶着がなされていないため、リードが発熱した時に近傍のセパレータが熱により収縮を起こし、セパレータの収縮に伴い露出したリードとその近傍にある極板が対極の極板に接触し内部短絡が発生したと考えられる。
【0042】
さらに、実施例1および2の電池について、以下に詳細に説明する。
【0043】
実施例1の電池は、リード部周辺が熱溶着されているため、最も収縮が発生しやすい部分での保護は十分であるが、発熱により電池全体の温度が上昇し、リード部付近だけでなく電池内部に存在するセパレータ全体が収縮する。実際に外部短絡試験中に電池の表面温度は80℃まで上昇した。電池の内部温度は100℃付近まで上昇していると考えられる。このような状況の場合、実施例2の電池のように、リード部付近のセパレータを溶着する事に加え、電極体から外方へ突出したセパレータを一部溶着した構造をとることにより、極板はあたかもセパレータに包み込まれたような状態となり、セパレータは極板の幅以下には収縮できなくなる。外部短絡試験後に内部短絡した電池を分解してみると、熱収縮のためセパレータの幅が極板の幅と同じか、もしくはそれ以下の幅になっていた。このことから電池温度が100℃以上上昇する場合、リード部付近のセパレータを溶着する事に加え、電極体から外方へ突出したセパレータを一部溶着した構造をとることが好ましい。
【0044】
今回の評価では、外部短絡試験による評価を行ったため発火、破裂する電池は1セルも存在しなかった。しかし、充電方向で同様に大電流が流れる状況になった場合、電池は通常の充電状態よりも危険な状態となる。この様な過充電中において電池が高温になった時に内部短絡が発生すると、発火、破裂の危険性が非常に高くなる。そのため、本発明のような内部短絡防止構造を有する電池は、電池の信頼性の確保という面で非常に重要である。
【0045】
<実施例3、4及び比較例4〜6>
以下、本実施例および比較例において作製した電池を、図3の円筒型電池の縦断面図を参照しながら説明する。
【0046】
後述の作製した正極板と負極板とをセパレータを介して複数回、渦巻状に巻回して極板群24を形成し、電池ケース21内に収容し、電解液を注入後、封口板22を用いて電池を封口し円筒型電池を作製した。
【0047】
尚、正極板からは正極リード25が引き出されて封口板22に、負極板からは負極リード26が引き出されて電池ケース21の底部に接続されている。また、極板群24の上下には絶縁リング27をそれぞれ設けている。
【0048】
負極板は次のように作製した。黒鉛97重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂3重量%を混合し、これらをカルボキシメチルセルロースの1%水溶液に分散させてスラリーを作製し、銅箔からなる負極集電体上に塗布し合剤層を設け、乾燥した。このように作製した負極板を所定の厚みとなるように加圧成形を行った。
【0049】
一方、正極板はコバルト酸リチウム粉末85重量%に対し、導電剤の炭素粉末10重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量%を混合し、これらをカルボキシメチルセルロースの1%水溶液に分散させてスラリーを作製し、アルミニウム箔からなる正極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。
【0050】
また、有機電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比1:3の混合溶媒にLiPF6を1.2モル/リットル溶解したものを使用した。
【0051】
セパレータは、突き刺し強度が380gfおよび室温から150℃までのTDの収縮率が7%のポリプロピレンとポリエチレンの混合体を用い、低分子量のポリエチレングリコールの末端にメタクリル酸を修飾した樹脂を分散させた溶液中に当該セパレータを浸漬し、セパレータの表面及び内部に樹脂を含む溶液を含浸させた。その後、乾燥により溶媒のみを除去し、表面及び内部に樹脂を吸着したセパレータを作成した。なお、樹脂の官能基と分子量を調整することで熱溶着が起こる温度を調整し、(表2)に示す実施例3および4の電池と、比較例4から6の電池を作成した。
【0052】
上記した正極板、負極板、セパレータを、それぞれ54mm、56mm、60mmの幅の短冊状に加工した。これらを群構成することにより、直径18mm、高さ65mmの図3に示すような円筒型非水電解質二次電池を作成した。
【0053】
なお、高温において熱溶着を起こさせる材料として、アクリル酸メチルやメチルビニルケトン、アクリルアミド、アクリルニトリル、などの官能基を用いても良い。また、スルフィド系の材料やフェノールや尿素樹脂、不飽和ポリエステルのスチレンモノマーによる硬化を利用しても良い。また、これらの材料を組み合わせることにより架橋、重合後に複合網目構造を有することで強度を持たせることが可能となる。これらの材料を、熱により架橋や重合させることで熱溶着させることを目的としているが、同時にセパレータ自身の強度も増加していることが突き刺し試験の結果よりわかっており、電池の安全性をさらに高める効果が確認されている。
【0054】
<実施例5〜7及び比較例7〜9>
セパレータは、ポリプロピレンとポリエチレンの混合比率を調整し、空隙体積を変化させることで、突き刺し強度が異なるセパレータを作成した。なお、全てのセパレータに熱溶着が起こる温度が140℃の樹脂を吸着させた。
【0055】
これらの突き刺し強度が異なるセパレータを用いた以外は、全て実施例3と同様の正極、負極、電解液を用いて(表3)に示す実施例5から7の電池と、比較例7から9の電池を作成した。
【0056】
なお、試験に用いたセパレータは、室温から150℃までのTDの収縮率は、5%以内のものを用いて検討を行った。
【0057】
(評価)
上記実施例3から7と比較例4から9の電池を充電状態にして85℃における保存試験と室温から150℃まで5℃/分で温度を上げ、150℃で1時間保持する昇温試験を行った。充電は、電池電圧の上限が4.2VのCVCC充電を行い最大制限電流を1Aとし、電流が100mAになった時点で充電終了とした。放電は1400mAの定電流で3.0Vになるまで放電した。尚、充放電は20℃の恒温槽の中で行った。
【0058】
保存試験は、実施例3、4および比較例4から6について行った。保存前の放電容量を100%とした時の保存後の放電容量を保存特性とした。また、昇温試験については、実施例3から7と比較例4から9について行った。昇温試験では、室温と昇温試験後の電池電圧を比較し、降下した電圧を測定した。それぞれの試験は、試験電池数3個で行い、保存特性は3個の平均値を、昇温試験は、それぞれの測定値を試験結果として(表2)および(表3)に示した。
【0059】
【表2】
Figure 0005017754
【0060】
【表3】
Figure 0005017754
【0061】
(表2)の結果について説明する。実施例3、4の電池においては、保存特性が良好で昇温試験における電圧降下が全ての電池で1V以内に収まっており、短絡が発生していないと考えられる。昇温試験後のセパレータの状態を確認するため電池の分解観察を行った。その結果、正極板の両面に位置するセパレータが正極板の幅方向に突出した部分で互いに溶着し正極板を包み込んだ状態となっていることが確認された。これによりセパレータの幅が熱収縮により正極板の幅よりも短くなることを抑制されていることが確認された。
【0062】
これに対し比較例4、5の電池においては、保存特性については問題ないが昇温試験においてほとんどの電池が約4Vの電圧降下を示している。電圧の降下は昇温中や、150℃に保持している間に急激に発生する。急激な電圧の降下が確認された直後から電池の発熱が確認されたため、この電圧の降下はセパの収縮による電池の内部短絡が原因と予想される。実際に昇温試験後の電池を分解観察して見ると、セパレータの溶着は見られずセパレータの幅が正極板の幅よりも短くなっていることが確認された。セパレータが正極板よりも短くなっている部分では、負極と正極が直接対面しているためこの部分で内部短絡が発生しているものと考えられる。
【0063】
比較例6の電池においては、昇温試験においては電圧の降下が1V以内に収まり良好な結果が得られたが、保存特性が悪化しており熱溶着が生じたことによる電池特性の劣化が確認された。
【0064】
次に、(表3)の結果について説明する。実施例5から7については、昇温試験における電圧降下は、全て1V以内であるため短絡が発生していないと考えられる。これに対し、比較例7から9の電池は、昇温試験中に電池電圧が急激に降下し、その直後に電池温度の上昇が確認された。これはセパレータの突き刺し強度が弱いため、高温でセパレータが収縮を開始したときに破断し内部短絡が発生したと考えられる。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、リード部付近のセパレータを溶着する構造をとることや、さらに、100℃以上の高温領域においてセパレータ同士が熱溶着することにより、高温時における電池の内部短絡を抑制し、発熱のない安全性に優れた非水電解質二次電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の角型非水電解質二次電池の一部断面図
【図2】本発明の一実施例の極板群の3面図
【図3】本発明の別の実施例の円筒型非水電解質二次電池の縦断面図
【符号の説明】
1 極板群
2 正極リード
3 負極リード
4 電池ケース
5 封口板
6 負極端子
7 注入口
11 リード部周辺のセパレータを溶着した部分
12 負極リード
13 正極リード
14a 正極板
14b 負極板
15 セパレータ
21 電池ケース
22 封口板
23 絶縁パッキング
24 極板群
25 正極リード
26 負極リード
27 絶縁リング

Claims (4)

  1. リチウムを吸蔵、放出する活物質を備えた合剤層と、前記合剤層と電子のやりとりを行うための集電体とからなる正極板および負極板をセパレータを介在させて極板を渦巻状に巻回する構造の極板群を備えた非水電解質二次電池において、
    前記正極板もしくは負極板の少なくとも一方の電極体が、電池外部端子へ接合を行うリード部を有し、前記セパレータの幅寸法を前記電極体の幅寸法より大きく且つセパレータは、前記電極体の上下から外方に突出した部分を有し、前記リード部の周囲5mm以内に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分を溶着し、前記リード部の周囲5mm以外に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分を溶着していない構造を有し、さらに前記セパレータが、突き刺し強度が350gf以上の強度を有する非水電解質二次電池。
  2. リード部の周囲5mm以外に存在するセパレータのうち電極体の外方へ突出した部分の一部を溶着し、前記セパレータを前記電極体の上下から外方に突出した部分を溶着することにより前記電極体を封入する構造を有する請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 請求項1または2記載の非水電解質二次電池を製造する方法であって、前記正極板および負極板をセパレータを介在させて極板を渦巻状に巻回する構造の極板群を構成した後にセパレータの溶着を行う工程を有することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  4. リチウムを吸蔵、放出する活物質を備えた合剤層と、前記合剤層と電子のやりとりを行うための集電体とからなる正極板および負極板にセパレータを介在させた構造の極板群を備えた非水電解質二次電池において、電池高温時に極板の両面に位置するセパレータが極板の幅方向に突出した部分で互いに溶着し極板を包み込み、前記セパレータは、電池温度が100℃以上、150℃以下である温度領域において互いに熱溶着し、室温から150℃までのセパレータの短手方向の収縮率が5%以下であり、さらに前記セパレータが、突き刺し強度が350gf以上の強度を有することを特徴とする非水電解質二次電池。
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