JP5015985B2 - 遠心式血液ポンプ装置 - Google Patents
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そして、このような遠心式血液ポンプとして、特開平4−91396号公報(特許文献1)に示されるターボ形ポンプがある。この特許文献1に開示されるものでは、インペラの一方面に設けられた第1の永久磁石とハウジングを介して対向する第2の永久磁石とで磁気カップリングを形成し、この第2の永久磁石を取り付けたロータを回転することにより、インペラが回転駆動する。そして、インペラは、ロータ側に吸引されるが、動圧溝を有するため、動圧溝とハウジング内面間に形成される動圧軸受効果により、若干であるが、ハウジング内面より離れ、非接触状態にて回転する。
そして、このような動圧軸受ポンプの場合、動圧溝が発生する負荷容量(負荷容量とは軸受の用語であり力の次元を持つ)と、それに対抗する力、例えば、磁力によって送液用のインペラを周囲の面と非接触に保って、溶血や血栓の発生を防いでいる。 そして、この動圧溝の形状によって、負荷容量が変わる。すなわち、周囲とどれだけ大きな距離を保つことができるかが変わるので、その形状設計は重要である。
そこで、本発明の目的は、磁気浮上タイプの遠心式血液ポンプではなく、いわゆる動圧溝を利用して実質的にハウジングにインペラを非接触状態にて回転させる遠心式血液ポンプ装置であって、使用時における溶血の発生が少ない遠心式血液ポンプ装置を提供するものである。
(1) 液体流入ポートと液体流出ポートとを有するハウジングと、磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって液体を送液するインペラを有する遠心ポンプ部と、前記遠心ポンプ部の前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の面に設けられた動圧溝形成部を備え、前記ハウジングに対して前記動圧溝によりインペラが非接触状態にて回転する遠心式血液ポンプ装置であって、前記動圧溝形成部には、複数の動圧溝が設けられており、かつ各動圧溝は、該動圧溝形成部の周縁から中央側に延びるとともに向かい合う第1および第2の辺と、該第1の辺および第2の辺の一端間を結ぶ第3の辺と、前記第1の辺および第2の辺の他端間を結ぶ第4の辺とを備え、かつ、前記第1の辺と前記第2の辺は、中心の異なる円弧により形成されており、前記第3の辺と前記第4の辺は、同じ中心を有し、半径が異なる円弧により形成されており、さらに、該4つの辺からなる前記動圧溝の4つの角部は、丸められている遠心式血液ポンプ装置。
(2) 前記動圧溝の4つの角部は、少なくとも0.1mm以上の半径Rを持つように丸められている(1)に記載の遠心式血液ポンプ装置。
(3) 前記動圧溝の4つの角部は、0.1mm以上かつ1.0mm以下の半径Rを持つように丸められている(1)に記載の遠心式血液ポンプ装置。
(4) 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの前記磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、該ロータを回転させるモータを備え、前記動圧溝は、前記ロータ側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記ロータ側の面に設けられている(1)ないし(3)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(5) 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの前記磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるために、円周上に配置された複数のステーターコイルを備えるものであり、前記動圧溝は、前記ステーターコイル側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記ステーターコイル側の面に設けられている(1)ないし(3)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
また、前記4つの辺からなる前記動圧溝の4つの角部は、丸められているものであれば、丸めない場合に比べて溝面積が減少するため、負荷容量は若干低下するが、過度に圧力が高い部分がなくなり、血液にあたえるダメージをより軽減できる。また、血液の停滞も生じにくい。したがって、溶血の発生がより少なく、さらに、血液停滞に起因する血栓の発生も減少する。
また、本発明の遠心式血液ポンプ装置は、液体流入ポートと液体流出ポートとを有するハウジングと、磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって液体を送液するインペラを有する遠心ポンプ部と、前記遠心ポンプ部の前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の面に設けられた動圧溝を備え、前記ハウジングに対して前記動圧溝によりインペラが非接触状態にて回転する遠心式血液ポンプ装置であって、前記動圧溝は、動圧溝形成部の周縁から中央側に延びるとともに向かい合う第1および第2の辺と、該第1の辺および第2の辺の一端間を結ぶ第3の辺と、前記第1の辺および第2の辺の他端間を結ぶ第4の辺とを備え、かつ、前記第1の辺と前記第2の辺は、中心の異なる円弧により形成されており、さらに、該4つの辺からなる前記動圧溝の4つの角部は、丸められているものである。このため、丸めない場合に比べて溝面積が減少し、負荷容量は若干低下するが、過度に圧力が高い部分がなくなり、血液にあたえるダメージを軽減できる。また、血液の停滞も生じにくい。したがって、溶血の発生がより少なく、さらに、血液停滞に起因する血栓の発生も少ない。
そして、前記動圧溝の4つの角部は、少なくとも0.1mm以上のRを持つように丸められているものであれば、より溶血の発生が少ないものなる。
また、前記第3の辺と前記第4の辺は、同じ中心を有し、半径が異なる円弧により形成されいるものであれば、加工が容易である。
そして、本発明の遠心式血液ポンプ装置の第1の態様では、動圧溝38が、動圧溝形成部39の周縁から中央側に延びるとともに向かい合う第1の辺38aおよび第2の辺38bと、第1の辺38aおよび第2の辺38bの一端間を結ぶ第3の辺38cと、第1の辺38aおよび第2の辺38bの他端間を結ぶ第4の辺38dとを備え、かつ、第1の辺38aと第2の辺38bは、中心の異なる円弧により形成されている。さらに、インペラ回転時の動圧溝形成部の動圧溝部におけるインペラ21とハウジング間距離h1とインペラ回転時の動圧溝形成部の動圧溝非存在部におけるインペラと前記ハウジング間距離h2より算出される溝深さ関連値a(a=h1/h2)が、1.5〜2.5であり、動圧溝の周縁部の幅Boと隣り合う動圧溝の周縁間の動圧溝非存在部幅B1と前記幅Boの和B(B=Bo+B1)より算出される溝幅関連値s(s=Bo/B)が、0.6〜0.8となっているものである。
この遠心式血液ポンプ装置1は、磁気浮上ではなく、動圧溝によりインペラを実質的にハウジングに対して非接触状態にて回転させるものであり、磁気浮上のパーツの中で大きな容積を占める電磁石が不要となり、装置の小型化が可能となる。
図1ないし図5に示すように、この実施例の遠心式血液ポンプ装置1は、血液流入ポート22と血液流出ポート23を有するハウジング20と、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラ21を有する遠心式血液ポンプ部2と、インペラ21のためのインペラ回転トルク発生部3とを備える。
そして、この実施例の遠心式血液ポンプ装置1では、インペラ回転トルク発生部3は、インペラ21の磁性体25を吸引するための磁石33を備えるロータ31と、ロータ31を回転させるモータ34を備えるものとなっている。
ハウジング20は、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを備え、非磁性材料により形成されている。ハウジング20内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通する血液室24が形成されている。このハウジング20内には、インペラ21が収納されている。血液流入ポート22は、ハウジング20の上面の中央付近よりほぼ垂直に突出するように設けられている。なお、血液流入ポートは、このようなストレート管に限定されるものではなく、湾曲管もしくは屈曲管であってもよい。また、血液流出ポート23は、図2および図4に示すように、ほぼ円筒状に形成されたハウジング20の側面より接線方向に突出するように設けられている。
図3に示すように、ハウジング20内に形成された血液室24内には、中央に貫通口を有する円板状のインペラ21が収納されている。インペラ21は、図3および図4に示すように、下面を形成するドーナツ板状部材(下部シュラウド)27と、上面を形成する中央が開口したドーナツ板状部材(上部シュラウド)28と、両者間に形成された複数(例えば、7つ)のベーン18を有する。そして、下部シュラウドと上部シュラウドの間には、隣り合うベーン18で仕切られた複数(7つ)の血液通路26が形成されている。血液通路26は、図4に示すように、インペラ21の中央開口と連通し、インペラ21の中央開口を始端とし、外周縁まで徐々に幅が広がるように延びている。言い換えれば、隣り合う血液通路26間にベーン18が形成されている。なお、この実施例では、それぞれの血液通路26およびそれぞれのベーン18は、等角度間隔にかつほぼ同じ形状に設けられている。
また、この実施例のようにある程度の個数の磁性体25を埋設することにより、後述するロータ31との磁気的結合も十分に確保できる。磁性体25(永久磁石)の形状としては、円形であることが好ましい。
インペラ回転トルク発生部3は、図3に示すように、ハウジング20内に収納されたロータ31とロータ31を回転させるためのモータ34を備える。ロータ31は、血液ポンプ部2側の面に設けられた複数の永久磁石33を備える。ロータ31の中心は、モータ34の回転軸に固定されている。永久磁石33は、インペラ21の永久磁石25の配置形態(数および配置位置)に対応するように、複数かつ等角度ごとに設けられている。
また、インペラとモータ間の永久磁石のカップリングにおいて、外力によりカップリングが外れ、インペラとモータ間が脱調しても必ず両者間に吸引力が発生するように永久磁石を配置することが好ましい。このようにすることにより、カップリングが外れ、インペラとモータ間が脱調しても、両者間に吸引力が発生しているため、カップリングが容易に復帰する。
動圧溝38は、図6に示すように、インペラ21の底面(ロータ側面)に対応する大きさに形成されている。この実施例のポンプ装置1では、ハウジング内面20aの中心より若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(言い換えれば、湾曲して)ハウジング内面20aの外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、動圧溝38は複数個設けられており、それぞれの動圧溝38はほぼ同じ形状であり、かつほぼ同じ間隔に配置されている。動圧溝38は、凹部であり、深さとしては、0.05〜0.4mm程度が好適である。動圧溝としては、6〜36個程度設けることが好ましく、特に、8〜24程度が好ましい。この実施例では、18個の動圧溝がインペラの中心軸に対して等角度に配置されている。
なお、動圧溝は、ハウジング側ではなくインペラ21のロータ側の面に設けてもよい。この場合も上述した動圧溝と同様の構成とすることが好ましい。
そして、このポンプ装置では、動圧溝38は、動圧溝形成部39の周縁から中央側に延びるとともに向かい合う第1の辺38aおよび第2の辺38bと、第1の辺38aおよび第2の辺38bの一端間を結ぶ第3の辺38cと、第1の辺38aおよび第2の辺38bの他端間を結ぶ第4の辺38dとを備えている、そして、第1の辺38aと第2の辺38bは、中心の異なる円弧により形成されている。特に、この実施例では、第1の辺38aと第2の辺38bは、中心が異なるとともに半径も異なる円弧により形成されている。なお、同じ中心において半径の異なる円弧により動圧溝を形成したもの、また、異なる中心で同じ半径の円弧により動圧溝を形成したものであってもよい。しかし、上記のように中心および半径が異なる円弧により動圧溝を形成することにより、同じ中心において半径の異なる円弧により動圧溝を形成した場合および異なる中心で同じ半径の円弧により動圧溝を形成した場合に比べて、動圧溝の動圧溝形成部の周縁部における幅を広いものとできる。
また、この実施例では、第3の辺38cと第4の辺38dは、同じ中心を有し、半径が異なる円弧により形成されている。
また、動圧溝38は、図6に示す、周縁部の幅Boと、隣り合う動圧溝38の周縁間の動圧溝非存在部幅B1と上記幅Boの和B(B=Bo+B1)より算出される溝幅関連値s(s=Bo/B)が、0.6〜0.8となるように形成されている。
さらに、この実施例のポンプ装置では、動圧溝38の4つの辺38a,38b,38c,38dからなる4つの角部38e,38f,38g,38hは、丸められている。そして、4つの角部は、少なくとも0.1mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。
そして、動圧溝38が、上述した溝幅関連値s(s=Bo/B)が、0.6〜0.8であって、かつ、溝深さ関連値a(a=h1/h2)が、1.5〜2.5となるように形成されていることにより、同じ個数の動圧溝を備える対数動圧溝に比べて溝幅が大きく、また、溝深さも浅いため、溶血の発生が少ないものとなる。
図14に示すような溝形状が対数螺旋の場合は、溝外半径:r2、溝内半径:rb、溝流入角:α、溝部とランド部の幅の比:a1/a2、溝の個数:N、溝深さ:h1、回転数:ω、粘度:μを与えることによって負荷容量が計算できる。しかし、それ以外の動圧溝形状では、流体の流れを3次元問題として解析して、負荷容量を求めて適するパラメータを決めるか、2次元問題(動圧溝の断面形状のみを考慮し、その断面と直交する長さ方向は断面の幅に十分長いとして考えることができる問題)に簡略化して理論解析した結果を用いることになる。この実施例においては、後者の設計方法を用いた。
(1)インペラとロータ間の磁気カップリングによってインペラをロータ側に引く力が働く。
(2)動圧溝が発生する負荷容量によってインペラをロータ側と逆方向に動かす力が働く。
(1)の力と(2)の力が釣り合って、インペラはハウジング内で周囲と非接触に位置を保つ。
図8の形状(溝の断面方向の長さはLとする)の動圧溝の場合を考えると、圧力pは、
領域1(0<x<Bo)の場合: p=(Pm/Bo)x
領域2(Bo<x<B)の場合: p=[Pm/(B−Bo)](B−x)
となる(pのy方向の変化は十分小さく、無視できる)。ここで、
Pm=6μU(h1−h2)/[h1 3/Bo+h2 3/(B−Bo)]
である。式中のμ,Uはそれぞれ、流体の粘度、インペラの半径方向速度(回転数に比例)である。
したがって、1個の溝が発生する負荷容量Wは、
W= L∫0 B pdx
=LBPm/2
である。このWをμULB2で除して無次元化したWd-lessは、
Wd-less=Wh2 2/(μULB2)
=3s(1−s)(a−1)/[a3(1−s)+s]
である。ここで、a,sは、
a=h1/h2,s=Bo/B
である。すると、a,sについてのWd-lessの変化は図9のようになり、所望のh1,h2に対して最大の負荷容量が得られる(効率の良い)s(BoとBの比)が存在することがわかる。したがって動圧溝の形状パラメータであるh1,h2,B,Bo,Lを適値に設定することで、十分な負荷容量を得ることができる。
図9から、a=1.5〜2.5、s=0.6〜0.8
が実用的な範囲であることがわかる(最大値の約0.8倍以上の値)。
遠心ポンプの場合、インペラの外径と内径が指定されるので、それによって溝外径と溝内径が指定される。ここでは、インペラ直径50mmを想定して、
溝外径D2=50mm、溝内径Db>20mm
の場合について、溝形状のパラメータである溝幅関連値sおよび溝深さ関連値aとして、a=1.8,s=0.65を選択し設計した。この選択は、溝同士の間隔を0.5mm以上とすることより行った。
負荷容量が最大値となるのは、a=1.866, s=0.7182の場合であるが、各々のWd-lessは0.203, 0.206と、ほとんど変わらず1.5%の違いである。したがって、a=1.8と、0.1mmのインペラの浮上量(図8中のh2)をねらっていることから、溝深さは0.08mmになる。0.08mmならば、
a=1+0.08/0.1=1.8
になる。
1) インペラの外径をφ50とした。このため、溝外径もφ50とした。
2) インペラの内径をφ20とした。このため、溝の内径はφ20以上とすることができる。
(r2−rb)/(r2−r1)を0.7〜0.8にしたいので、
rb=14にした。その場合、
(r2−rb)/(r2−r1)=0.73になる。これで溝の二辺が決まる。
3) 次に、動圧溝の内径・外径の中心を原点にしたときの座標(36,−31)を中心に半径58の円をかく(単位はいずれもmm)。この点(36,−31)と半径58はねらっている溝流入角(15〜60度にとる)から指定しているものである。これで溝の三辺が決まる。また、前述の半径14mmと半径25mmの中点は、半径19.5mmの円周上になる。これら半径58と半径19.5の2つの円の交点とx軸とがなす角度は、72.36度である。したがって、交点の座標は(5.91,18.58)になる。
4) 次に中点の円周上でs=0.65になるように溝幅を決める。今回、溝数は18個にするので20度間隔で溝が設けられる。インペラの直径(動圧溝形成部の直径)が50mm程度の場合、溝数は15〜20個が適当である)。s=0.65の場合、溝がしめる角度は、20x0.65=13度になるから、
72.36−13=59.36度
より、溝の対面の中点の円周上の座標は、
19.5cos(59.36°)=9.94
19.5sin(59.36°)=16.78
となり、(9.94,16.78)になる。
この点と点(35,−37)間の距離を半径として、点(35,−37)を中心に円をかく。これで溝の四辺が決まる。
なお、ここで使用した点(35、−37)もねらっている溝流入角(15〜60度にとる)から、あらかじめ指定しているものである。
5) そして、溝の4箇所の角をR0.5で丸める。丸める半径はR1でもよいが、あまり大きいと、負荷容量が低くなる。フライス盤による加工を想定して、普通に用意できるエンドミルの直径からR0.5がこの実施例においては適当である。
6) 残り17個の溝をかく。
a)本発明の溝形状の方が溝深さを浅く、溝幅を大きくできる。このことは、赤血球に与えるダメージが小さく、溶血の点で有利である。
b)本発明の溝形状の方が溝深さを浅くできる。このことは設計上有利である。すなわち、図3に示すような構造の血液ポンプの場合、インペラとロータ間の距離は剛性を確保するためにある程度小さくなければならない。これは距離が大きいとカップリング力が低くなるので、浮上時の剛性が下がってしまうためである。このため動圧溝を設ける面の厚みは制限を受ける。そして、この面自体がモータを取りつけるために強度が必要なので、溝深さは浅い方が強度を確保しやすく設計は容易になる。また、図3の構造では動圧溝はロータ側のハウジングにしかないが、流入ポート側の面にも設けて、インペラの両面で動圧を受けるようにすることも考えられる。その場合は、ロータ側からの動圧が大きくなりすぎたために、インペラが流入ポート側に移動しすぎて磁気カップリングが外れることを心配しなくてもよいので、流入ポート側にも磁気カップリングを設けて、低回転数時の浮上量増加を実現できる。流入ポート側に磁気カップリングを設ける場合もロータ側のハウジングの厚さと同様の制約があるので、溝深さが浅くできることは設計上、有利である。
図10は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の他の実施例の正面図である。図11は、図10に示した実施例の遠心式血液ポンプ装置の縦断面図である。図12は、図10の遠心式血液ポンプ装置のB−B線断面図である。図13は、図10の遠心式血液ポンプ装置の底面図である。なお、図10に示した実施例の遠心式血液ポンプ装置の平面図は、図2と同じであり、図10の遠心式血液ポンプ装置のB−B線断面図よりインペラを取り外した状態の断面は、図5と同じであるのでそれらを参照する。
この実施例のポンプ装置50では、インペラ回転トルク発生部3は、図11および図13に示すように、ハウジング20内に収納された複数のステーターコイル61を備える。ステーターコイル61は、円周上にほぼその円周の中心軸に対して等角度となるように複数配置されている。具体的には、6個のステーターコイルが用いられている。また、ステーターコイルとしては、多層巻きのステーターコイルが用いられる。各ステーターコイル61に流れる電流の方向を切り換えることにより、回転磁界が発生し、この回転磁界により、インペラは吸引されるとともに回転する。
また、この実施例のようにある程度の個数の磁性体25を埋設することにより、ステーターコイル61との磁気的結合も十分に確保できる。磁性体25(永久磁石)の形状としては、略台形状であることが好ましい。磁性体25は、リング状、板状のいずれでもよい。また、磁性体25の数および配置形態は、ステーターコイルの数および配置形態に対応していることが好ましい。複数の磁性体25は、磁極が交互に異なるように、かつ、インペラの中心軸に対してほぼ等角度となるように円周上に配置されている。
2 遠心ポンプ部
3 インペラ回転トルク発生部
20 ハウジング
21 インペラ
25 磁性体
31 ロータ
33 磁石
34 モータ
38 動圧溝
Claims (5)
- 液体流入ポートと液体流出ポートとを有するハウジングと、磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって液体を送液するインペラを有する遠心ポンプ部と、前記遠心ポンプ部の前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の面に設けられた動圧溝形成部を備え、前記ハウジングに対して前記動圧溝によりインペラが非接触状態にて回転する遠心式血液ポンプ装置であって、
前記動圧溝形成部には、複数の動圧溝が設けられており、かつ各動圧溝は、該動圧溝形成部の周縁から中央側に延びるとともに向かい合う第1および第2の辺と、該第1の辺および第2の辺の一端間を結ぶ第3の辺と、前記第1の辺および第2の辺の他端間を結ぶ第4の辺とを備え、かつ、前記第1の辺と前記第2の辺は、中心の異なる円弧により形成されており、前記第3の辺と前記第4の辺は、同じ中心を有し、半径が異なる円弧により形成されており、さらに、該4つの辺からなる前記動圧溝の4つの角部は、丸められていることを特徴とする遠心式血液ポンプ装置。 - 前記動圧溝の4つの角部は、少なくとも0.1mm以上の半径Rを持つように丸められている請求項1に記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記動圧溝の4つの角部は、0.1mm以上かつ1.0mm以下の半径Rを持つように丸められている請求項1に記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの前記磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、該ロータを回転させるモータを備え、前記動圧溝は、前記ロータ側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記ロータ側の面に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの前記磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるために、円周上に配置された複数のステーターコイルを備えるものであり、前記動圧溝は、前記ステーターコイル側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記ステーターコイル側の面に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
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