JP5015925B2 - 多孔質自己凝集ウェブ材料の製造方法 - Google Patents

多孔質自己凝集ウェブ材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は移植可能な医用材料及び器具に関する。より詳細には、本発明は、高い気孔率を有する自己凝集フィラメント不織ウェブの形状の生体吸収性ポリマー材料で作られた、移植可能な医用材料及び器具を対象とする。
様々な生体吸収性ポリマー化合物が医療用途に使用する目的で開発されている。これらの化合物から作った材料は、移植レシピエント(implant recipient)の体内に一生残ることはない移植可能な器具を構成するために使用できる。生体吸収性材料は、移植レシピエントの固有の身体的過程によって、移植レシピエントの身体から取り除かれる。これらの過程として、生体吸収性化合物の全体又は一部の単純な溶解、生体吸収性化合物中の不安定な化学結合の加水分解、酵素作用、及び/又は材料の表面浸食を挙げることができる。これらの過程の分解生成物は、一般に、肺、肝臓、及び/又は腎臓の働きを通じて移植レシピエントから排出される。文献において、「生体吸収性(bioresorbable)」、「吸収性(resorbable)」、「生体吸収性(bioabsorbable)」及び「生体分解性(biodegradable)」は、交換して使用されることの多い用語である。本明細書では「生体吸収性(bioabsorbable)」が好適な用語である。
生体吸収性ポリマー化合物は、何十年もの間、創傷閉鎖用途及び再建用途に使用されている。縫合が最も有名な例である。成型した物品、フィルム、フォーム、積層体、織材及び不織材もまた、生体吸収性ポリマー化合物を用いて製造されている。生理活性構成物は、これらの生体吸収性化合物のいくつかと放出可能に組み合わされている。
Hayesの米国特許第6165217号には、自己凝集不織ウェブの形状の生体吸収性材料が開示されている(本明細書の図1及び図1A)。自己凝集不織ウェブ材料は、直鎖ブロックコポリマーとして1種以上の半結晶又は無定形ポリマー成分と共有結合した1種以上の半結晶ポリマー成分、あるいは1種以上の半結晶又は無定形ポリマー成分とブレンドされた1種以上の半結晶ポリマー成分から作られた、連続フィラメントのスパンウェブである。
連続フィラメントは、フィラメントを収集面上で凝集した不規則パイル又はウェブで収集するときに、発生するフィラメントにタック性を付与してそれらフィラメントを固体フィラメントとして自己凝集させる紡績条件を選択することによって製造される。紡いだフィラメントは、それらが自己凝集フィラメントの多孔質ウェブの形状で収集されながら混ざり合う。自己凝集フィラメントは、ウェブ内部で互いに接触する複数の接触点を有する。自己凝集フィラメントは、追加の接着剤、バインダー、接着補助剤(例えば溶剤、粘着付与樹脂、軟化剤)又は後押出溶融加工といった要件の追加を必要とせずに、それらの接触点で結合する。好ましい実施態様の自己凝集フィラメントであるポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)の不織ウェブは直径が20μm〜50μmである。Hayesらによれば、これらの自己凝集不織ウェブの、気孔率(パーセント)の指標となる(見かけ密度としても報告される)体積密度は、およそ40〜80の範囲である。潜在的に半結晶のウェブが、熱力学的に不安定(準安定)で、均質(ミクロ相では無秩序)で、実質的に相混和性で、結晶性が限られている無定形状態で保存される場合、ウェブは順応性(malleable)であって所望形状へと容易に適合させる又は成型することが可能である。次に、その成形された形状を、より秩序だった、熱力学的に安定で、少なくとも部分的に相不混和性の半結晶状態へと変換することによって保存することが可能である。長時間の無定形状態(すなわち混和性が無秩序な状態)から秩序だった半結晶状態への、(形成されたウェブ構造物の完全な再溶融及び再形成のない)この不可逆的な変換は、融点と秩序−無秩序転位温度(Todt)(その温度より高温で無秩序から秩序への転位が進行しうる)との間に存在するゴム状態において存在する鎖の可動性によって一般にもたらされる。代わりに、鎖の移動を容易にし、構成ポリマー鎖のより秩序だった状態への再配置を促進するために、溶剤、潤滑剤又は可塑剤を、加熱と組み合わせてあるいは加熱せずに使用することができる。自己凝集フィラメントの化学組成は、得られるウェブが移植可能かつ生体吸収性であるように選択できる。
Hayesは、繊維付着密度及びその後の任意の圧縮に基づいてある程度可変の気孔率を有するものとして、自己凝集不織ウェブ材料を記載している。また、Hayesは、順応性で不安定な無定形状態にある平坦なウェブを、事実上無制限の一連の形状(その形状はその後の結晶化を通じて保持可能である)に成形可能であることも記載している。しかしながら、Hayesは、自己凝集フィラメントの未硬化(unset)ウェブが、アニール前にウェブの気孔率を増大する追加の伸長処理を行うための前駆ウェブ材料として提供可能であることを示唆していない。また、Hayesは、断面直径が20μm未満の連続フィラメントのかなりの集団を有する、自己凝集不織ウェブ材料を教示してもいない。本発明による前駆ウェブ材料の追加処理がなければ、Hayesの自己凝集不織ウェブ材料は、0.050より大きい複屈折値を提供するのに十分に増大した分子配向をウェブの自己凝集フィラメント中に含まないであろう。
気孔率が高くフィラメント径が小さい自己凝集不織ウェブ材料は、1又は複数の方向において比例して増大した機械強度を有しうる。機械強度が増大するにもかかわらず、かかる高気孔率の自己凝集不織ウェブ材料は、Hayesより作られたウェブ材料よりも、かさばり(loft)が大きく、よりしなやかで、ドレープ性、形状追随性(conformability)及び組織適合性が高い。
非移植用途については、高い気孔率を有する自己凝集不織ウェブを、移植可能な器具及び材料を送達装置に取り外し可能に取り付けるために使用できる。配向したフィラメントの集団を、その配向したフィラメントが移動可能な増大した内部空隙体積と組み合わせると、かかる材料にある程度の弾性(elasticity)又は回復弾性(resiliency)を与えうる。
かかるウェブ材料における、これらの改良及び他の改良に加えて、より多孔質の生体吸収性ウェブ材料は、他の構成要素をウェブと組み合わせる機会を提供しうる。構成要素をフィラメントの表面に配置することが可能である。また、構成要素をフィラメント間の空隙又は気孔の内部に配置することも可能である。構成要素は生体吸収性又は生体非吸収性であってよい。同様に、構成要素が有用な物質を放出可能に含有してもよい。
従って、機械強度、かさばり、しなやかさ、ドレープ性、形状追随性及び組織適合性が増した、高い気孔率を有する、合成の生体吸収性自己凝集不織ポリマーウェブ材料が必要とされている。
本発明は、高い気孔率を有する、合成の生体吸収性自己凝集不織ポリマーウェブ材料を対象とする。高度に多孔質のウェブ材料は機械的に強く、かさばり、しなやかさ、ドレープ性、形状追随性及び組織適合性の程度が高い。いくつかの実施態様では、本発明物は弾性を示す。本発明物は、移植可能な医療器具又は医療器具の構成要素として使用するのに適している。また、本発明物は、出血部位又は動脈瘤形成部位における血栓形成剤として、多くの例で使用するのにも適している。
これらの特性は、定められた条件下で、特定の速度及び伸長比で少なくとも1方向に、未アニールの自己凝集前駆ウェブ材料を引っ張る又は伸長することによって、本発明物に付与される。伸長後、優先的に、完全に又は部分的に拘束した状態で熱硬化及び冷却される。
自己凝集前駆ウェブ材料は、複数の接触点で互いに付着したフィラメントを有する(図1及び1A)。加工中、フィラメントはその自己凝集する接触点によって、一緒に固定された状態に保たれる。自己凝集フィラメントが伸長されると、フィラメントは長くなりかつ断面直径が小さくなる(図2〜4A、及び6〜7)。フィラメントが細くなると、フィラメント間に増大した空隙が形成される(表12)。その後、伸長した状態の構造物を、完全に又は部分的に拘束したいずれかの状態で「硬化(set)」又はアニールして、少なくとも部分的な相不混和性及びその後の結晶化を誘発する。ウェブ材料中に生成したより細いフィラメント及び増大した空隙は、本発明物の改善された特性のうち多くに関与する。
多孔質ウェブ材料の空隙を定量化するための簡便な測定基準は、完成したウェブ材料の気孔率(パーセント)である。気孔率(パーセント)は、未処理の出発化合物の密度と、完成した多孔質ウェブ材料の密度とを比較する。本発明の、伸長した自己凝集連続フィラメント不織ウェブ材料は、90%を超える多孔質である。本発明では、ウェブに付与された増大した気孔率を、利用可能な気孔率を有効に減少しうる充填材又は他の追加成分を包含しない状態で、伸長した自己凝集ウェブの外部境界の内側に設けられた空隙として定義する。
本発明は、ウェブ材料のポリマー成分上及び/又はポリマー成分中に配置された追加組成物を包含してもよい。また、追加組成物を、ウェブ材料の空隙又は気孔の中に配置することも可能である。その組成物として、ウェブ材料に放出可能に含まれた有用な物質を挙げることができる。本発明物の空隙中及び表面に配置するのに好ましい組成物はヒドロゲル系材料である。
ある実施態様では、本発明は、生体吸収性高多孔質自己凝集ウェブ材料の製造方法であって、自己凝集性スパンボンドフィラメントを形成可能な生体吸収性ポリマー材料を用意する工程と;前記生体吸収性ポリマー材料を、少なくとも1つの加熱した紡糸口金を通して押し出すことによって、少なくとも1つの連続フィラメントを形成する工程と;前記連続フィラメントを移動式収集装置上で収集する工程と;収集した前記連続フィラメントを、前記連続フィラメントの別の部分へ自己凝集させて、多孔質ウェブ材料を形成する工程と;その多孔質自己凝集ウェブ材料を、少なくとも1方向に少なくとも1:1の比率で伸長する工程と;その伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料を加熱して、前記生体吸収性ポリマー材料をアニールする工程とを含む、方法である。
本発明のこれら及び他の特徴に加えて本発明自体が、本発明の図面及び詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
本発明は、高い気孔率を有する、生体吸収性自己凝集不織ポリマーウェブ材料を対象とする。高い気孔率は、本発明物に多くの望ましい特徴を付与する。これらの特徴として、かさばり、しなやかさ、ドレープ性、形状追随性及び組織適合性が挙げられる。これらの高多孔質材料の多くは、かなりの大きさの機械強度を示す。本発明の高多孔質ウェブ材料は、移植可能な医療器具又はその構成要素として使用可能である。本発明の高多孔質生体吸収性ウェブ材料を移植すると、その材料は、移植レシピエントの固有の身体的過程によって、移植レシピエントの身体から取り除かれる。
本発明の高多孔質ウェブ材料は、未アニール・未伸長の自己凝集不織前駆ウェブ材料を1又は複数の方向に伸長して、逐次的に又は同時に、熱及び/又は適切な溶剤を用いて伸長したウェブ材料のポリマー成分をアニールすることにより作られる。前駆ウェブ材料は、半結晶の多成分ポリマーシステムから形成された連続フィラメントから作られ、そのポリマーシステムは、平衡状態に達した際に、システムの構成ポリマー成分が相不混和性であるいくつかの証拠を有している。前駆ウェブ材料が、溶融物から固化した後、初期に自己凝集する能力は、結晶化速度が比較的低下した結果であると考えられる。結晶化速度が低下することにより、限られた結晶性の同様の無定形状態で維持されている連続フィラメントの他の部分と物理的に接触可能となるような時間まで、固化した急冷後のフィラメント状ウェブ中に、溶融物の実質的に均質な無定形非結晶相の混合状態が保存される。連続フィラメントの部分が前駆ウェブ材料において複数の点で互いに接触すると、追加の接着バインダー、接着補助剤又は後押出溶融加工を必要とせずに、フィラメントが固化状態でそれらの接触点で結合される。そのように連結された連続又は不連続フィラメントは「自己凝集している」と見なされる。
無定形相内部で完全に成分混和性の状態で存在するブレンド又はコポリマーシステムは、準安定状態であっても平衡状態であっても、システムの組成に関係しかつFox式を利用すると実質的に予測可能な温度に現れる単一のTg又はTodtを示すことが予想される。反対に、完全に不混和性の多相無定形システムは、分離した不混和相のそれぞれについてホモポリマー類似体と相関する別個のTgを示すことが予想される。部分的に混和性のシステムでは、立体障害又はセグメント包接などの理由のため、いくつかの結晶化可能な又は他の構成成分が、存在する無定形相の内部で混和性の状態でいる。その結果、それぞれのTgは、非結晶化ホモポリマー類似体のTgから、無定形相内部に存在する構成成分比を反映した温度に向かってシフトし、その値はFox式を利用して解釈可能である。
同様に、そのような部分的に混和性のシステムの結晶領域内部に非結晶化又は無定形包接体が十分な濃度で存在する場合、それらの包接体が、希釈効果又は束一性効果を生み出して、結晶化ホモポリマー類似体の予想融点から融点降下を生じさせることが予想できる。そのような部分的に混和性のシステムであれば、観察されるTmの降下が生じる一方で、完全に相分離したシステムであれば、ホモポリマー類似体のTmと同様のTmが維持されると思われる。
本発明では、前駆ウェブ材料を逐次的又は同時に1又は複数の方向に伸長して、自己凝集フィラメントの伸長及び薄化を引き起こすことを可能にする、実質的に均質な無定形非結晶準安定相が混合した状態に自己凝集前駆ウェブ材料を保留することが可能である。前駆ウェブ材料を伸長するとウェブ材料中で混ざり合ったフィラメント間の空隙が増大する。Hayesは、米国特許第6165217号の教示に従って作られた、完成した自己凝集ウェブについて、気孔率がおよそ40〜80%の材料を記載しているが、本発明者らは、前駆ウェブ材料に、材料の全体積の90%に達する空隙を持たせることが可能であることを発見した。本明細書では、この測定基準を気孔率(パーセント)又は単に「気孔率」として表現する。気孔率は、本明細書の例3で説明するように決定する。本発明の完成したウェブ材料の気孔率の値は90%を超える(表12)。
加工中に前駆ウェブ材料に存在する長時間の無定形状態は、完全又は部分的なミクロ相分離及びその後の結晶化の両方を実質的に阻害するのに十分に急速な冷却と組み合わせた、少なくとも部分的に相不混和性のブレンド又はブロックコポリマーを優先的に選択し利用することによって達成可能である。フィラメントへの押出を可能にするのに十分な溶融混和性をポリマー混合物が有することを条件として、少なくとも部分的に相不混和性の、ポリマー又はコポリマーのブレンドを利用できる。本発明は、熱力学的安定状態において少なくとも部分的に相不混和性のセグメント成分を有する、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックコポリマーとして説明可能なブロックコポリマーを優先的に利用する。ブロックコポリマーの文脈における相不混和性とは、相関するホモポリマーのブレンドの一部であった場合に、溶融物中で相分離することが予想されるであろうセグメント成分を指すことが意図されている。
より詳細には、本発明は、逐次的開環付加重合によって合成されかつPGAとしても知られるポリ(グリコリド)及びTMCとしても知られるポリ(トリメチレンカーボネート)から構成される、ABAトリブロックコポリマーシステムを優先的に利用して、伸長した生体吸収性高多孔質自己凝集不織ウェブ材料を形成し、ここで、Aは全質量の40〜85質量%を構成し、Aはグリコリド繰り返し単位から構成され、Bは全質量の残部を構成してトリメチレンカーボネート繰り返し単位から構成され、前記材料は生体吸収性かつ移植可能である。好ましい前駆ウェブ材料は、PGAとTMCの比が67%と33%(67:33−PGA:TMC)及びPGA50%とTMC50%(50:50−PGA:TMC)である、PGA:TMCトリブロックコポリマーを用いて作られる。ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中、30℃における、これらポリマーの固有粘度は、平均で0.5dL/g〜1.5dL/g以上の範囲であってよく、好ましい用途では、1.0dL/g〜1.2dL/gの範囲であってよい。DSC溶融ピークによって測定される、この特定範囲のコポリマー組成物について許容可能な融点は、およそ170℃〜220℃の範囲であってよい。これらコポリマーの経時で累積した熱暴露は、押出からであっても他の処理からであっても、コポリマーのブロック構造及びそれに相関する結晶化度及び相不混和性といった特性を劣化させうるトランスエステル化反応を防止するために、十分に最小限にする必要がある。
自己凝集連続フィラメント前駆ウェブ材料を本明細書で記載するように調製したら、そのウェブ材料を拘束して、その材料の秩序−無秩序転移温度(Todt)より高温かつ融点(Tm)より低温で、顕著な結晶化を誘起せずにその材料を軟化するのに十分な時間予備加熱する。次に、軟化した前駆ウェブ材料を、1又は複数の方向で伸長する(図2〜4A)。多方向でのウェブ材料の伸長は、逐次的に行ってもよく、あるいは単一操作で行ってもよい。前駆ウェブ材料は、特定の速度及び初期寸法と最終寸法との特定の比率で伸長される。
単軸で伸長した大半の実施態様(図2及び2A)では、前駆ウェブ材料は、1秒あたり前駆ウェブ初期寸法の10〜50%の速度で伸長されるのが好ましい。所与の伸長速度について、前駆ウェブ材料を2:1〜11:1の比率で伸長することが可能である。好ましい比率は、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1及び10:1である。伸長後、前駆ウェブ材料は、部分的乃至完全な相分離及びその後の結晶化を誘起するために、ポリマー材料をアニールする加熱工程を経る。アニール工程は2つの方法のいずれかによって行うことができる。
第1のアニール方法は、ウェブがほとんど又は完全にアニールされるまで、アニール条件でウェブを最大に張って維持することを必要とする。好ましいアニール条件は110℃〜130℃で0.5〜3分であるが、秩序−無秩序温度(Todt)より高くかつ融点(Tm)より低い温度を、時間を適切に調節して使用できる。
第2のアニール方法は、本明細書では「部分的に拘束された」方法と呼ぶ。この方法では、伸長した自己凝集ウェブ材料を最大に張って拘束しながら最初に部分的にアニールする。次に、伸長したウェブ材料の拘束を少なくする又はなくして、アニール工程を完了する。この方法に好ましい条件は、第1工程(完全に拘束)について70℃で0.5分であり、最終工程(拘束が少ない又は拘束がない)について120℃で1〜2分である。
アニールしたら、高多孔質自己凝集ウェブ材料を、処理装置から取り外して移植可能な医療器具又はその構成要素として使用するために用意する。部分的に拘束されたアニール方法の利点は、繊維径の増大又は気孔率の減少を伴わずに、通常10〜60%、伸長したウェブを収縮させて、より柔らかいウェブを得ることを可能にする点である(例えば以下の例9を参照)。この柔らかさは、ウェブ中の繊維が最終アニール工程中に収縮するときに、繊維がカールすることによって付与される。
二軸伸長した大半の実施態様(図3)では、前駆ウェブ材料を、25℃〜75℃で1秒あたりおよそ20%又は30%の適切な速度で伸長する。好ましい方法の1つは、面積質量が40〜50mg/cm2の前駆ウェブ材料を、x軸(ダウン−ウェブ方向)に沿って伸長比3.5:1、y軸(横方向)に沿って伸長比6.0:1になるように70℃で伸長することである。x軸及びy軸の伸長比を掛けると面積比が21:1になる。伸長したウェブを、70℃で2分間部分的にアニールし、次に拘束から解放して120℃で2分間完全にアニールする。上述のアニール方法はいずれも二軸伸長したウェブをアニールするために使用可能である。
放射状に伸長した前駆ウェブ材料(図4A)についても同様の条件が使用される。半径方向の伸長比は3.75:1(面積比14:1)であることが好ましく、伸長比が4.5:1(面積比20:1)であると具合がよい。単軸及び二軸で伸長したウェブのように、上述のアニール方法のいずれも使用可能である。
本発明の伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を互いに組み合わせて、層状の又は積層された材料を形成できる。必要に応じて、その材料を、熱、バインダー、接着剤及び/又は溶剤を用いてさらに処理して、個々の層を一緒に取り付けることも可能である。代わりに、これらの層のうち1つ又は複数の一部を取り付けずに分離した状態にして、これらの層の間に空間を形成することも可能である。
いくつかの実施態様では、伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を、ロッド、円筒(図14)、ロープ、又はチューブ(図13)の形状に作ることが可能である。チューブ形状物を、伸長する及び/又は直径を増大することが可能な「伸縮性」形状に作ることが可能である(図17)。これら及び他の形状物は、特定の解剖学的構造物又は外科手技を用いる用途に適合可能である。例えば、シート形状の、伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を、吻合接合部の周りに配置するために適合させて、所定位置で縫合又はステープル止めすることが可能である(図11)。他の実施態様(図10)では、綿撒糸材料(14)を本発明の「伸縮性」形状物(12)と組み合わせて、ステープル装置カートリッジ上への綿撒糸要素の一時的配置を容易にするよう適合した、実質的にチューブ状の構造物(10)が得られる(図10A〜10B)。代わりに、本発明物を綿撒糸要素として追加的に提供することも可能である。
また、本発明の伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を他の材料と組み合わせて、複合器具を形成することも可能である(図15)。ある実施態様では、伸長した生体吸収性自己凝集ウェブ材料のシート(28)は、そのウェブ材料を取り囲む平坦な生体非吸収性材料(26)を備えており、歯科インプラント(25)を形成する。移植された場合、そのインプラントによって画定された空間内で、骨又は他の組織の成長が促される。時間と共に骨又は他の組織が内方成長して空間を満たしつつ、移植レシピエントの生来の身体的過程によって、生体吸収性ウェブ材料が移植部位から取り除かれる。インプラントの生体吸収性部分が消失したら、本発明の生体吸収されたウェブ材料によって露出した部位に存在する、再生した骨又は組織に他の歯科プラントを配置できる。代替実施態様を図12に図示する。
他の実施態様では、本発明の伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料(22)が層状にされ、必要に応じて生体非吸収性材料(24)のシートに積層される。この複合材料(21)は、頭蓋手術における硬膜代替物として使用するのに特に適している(図21)。好ましい生体非吸収性材料は、組成がフルオロポリマーであるものであって、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及び/又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)が最も好ましい。生理活性物質(27)を、本発明の伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料の中又は当該材料の上に配置できる(図21A)。
他の実施態様(図16)では、構造要素(39)が、伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料(38)と組み合わされて、複合構造物(36)を形成する。構造要素は、生体非吸収性材料及び/又は生体吸収性材料から作ることが可能である。構造要素を、伸長した自己凝集ウェブ材料の片面又は両面に配置することが可能である。また、構造要素をウェブ材料の内部に配置することもできる。
本発明の伸長した自己凝集ウェブ材料の高い気孔率を、フィラメントをさらにより大きく引き離す手順をそのウェブ材料に施すことにより、さらに増大することが可能である。この手順では、伸長したウェブ材料の連続フィラメントを小片に破砕してもよい。このような本発明の伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料は、高い血栓形成特性を有することが示されている。好ましい形状において、ウェブ材料(49)の外観は「コットンボール」である(図19)。これらの可逆的に圧縮可能な「血栓形成性コットンボール」(49)の1つ又は複数を、出血部位又は動脈瘤形成部位に移植するために、カテーテルなどの送達システム(48)と組み合わせることが可能である(図20)。金属バンドなどの追加要素(図19A〜B)を、視覚化補助又は機械的支持として、伸長した非常に高多孔質の自己凝集ウェブ材料に足すことも可能である。医療器具の構成要素として使用する場合、これらの非常に高多孔質血栓形成性ウェブ材料は、器具と周囲の解剖学的構造物及び組織との間にシールを提供することが可能である。
様々な化学成分(23)を、本発明の高多孔質ウェブの伸長した自己凝集ウェブ材料(20)と組み合わせることが可能である(図9)。化学成分を、高多孔質ウェブ材料を含むポリマー材料の表面に配置することが可能である。また、化学成分を、ウェブ材料の空隙又は気孔の中に配置することも可能である。化学成分は、ヒドロゲル材料などの適度に粘性の化学成分とすることが可能である。生理活性物質(27)を追加の化学成分と組み合わせることが可能である(図9A)。例えばヒドロゲル材料を用いると、生理活性物質をヒドロゲル材料から直接放出させるか、ヒドロゲル材料及び下地のウェブ材料を移植レシピエントの身体に生体吸収させながら生理活性物質を放出させることが可能である。好ましい化学成分はヒドロゲル材料の状態である。
適したヒドロゲル材料として、以下に限られないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストラン、アガロース、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリアクリルアミド、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール−co−エチレン)、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)、ポリ(酢酸ビニル−co−ビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ビニルアルコール)、ポリ(アクリロニトリル−co−アクリルアミド)、ポリ(アクリロニトリル−co−アクリル酸−アクリルアミジン)、ポリ(アクリロニトリル−co−アクリル酸−co−アクリルアミジン)、ポリアクリル酸、ポリ−リジン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリスルホン、メルカプトシラン、アミノシラン、ヒドロキシルシラン、ポリアリルアミン、ポリアミノエチルメタクリレート、ポリオルニチン、ポリアミノアクリルアミド、ポリアクロレイン、アクリロキシスクシンイミド又はそれらのコポリマー、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。親水性ポリマーを溶解するのに適した溶剤として、以下に限られないが、水、アルコール、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルなどが挙げられる。
必要に応じて、ウェブ材料と組み合わせた後に、組成物を化学的に変性することも可能である。これらの化学的変性とは、ウェブ材料のポリマー成分又は組成物自体の化学反応性基と相互作用する化学反応性基であってよい。これらの組成物に対する化学的変性を、生理活性物質(27)などのさらに別の化学組成物と化学結合するための結合部位として提供することが可能である。これらの「生理活性物質」として、酵素、有機触媒、リボザイム、有機金属、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ポリアミノ酸、抗体、核酸、ステロイド分子、抗生剤、抗真菌剤、サイトカイン、炭水化物、疎油性物質、脂質、細胞外マトリクス物質及び/又はその個々の成分、医薬品、並びに治療剤が挙げられる。好ましい化学系生理活性物質はデキサメタゾンである。細胞、例えば、哺乳類細胞、爬虫類細胞、両生類細胞、鳥類細胞、昆虫細胞、プランクトン細胞、非哺乳類海洋脊椎動物及び無脊椎動物からの細胞、植物細胞、微生物細胞、原生生物、遺伝子組換細胞、及びミトコンドリアのような細胞小器官もまた生理活性物質である。さらに、非細胞生物学的実体、例えばウイルス、ヴィレノス(virenos)及びプリオンも生理活性物質と見なされる。
以下の例は、本発明の特定態様を詳述する目的で挙げられており、本発明を限定するものと見なしてはならない。
例1:この例では、本発明の物品の形成を説明する。最初に、未アニールの自己凝集不織ポリマー前駆ウェブを形成した。前駆ウェブ材料を若干加熱して、ウェブ材料の気孔率を増大するために、単一方向すなわち単軸方向で伸長した。その後、高多孔質自己凝集ウェブ材料を熱で硬化した。
前駆ウェブ材料は、ポリ(グリコリド)67%及びポリ(トリメチレンカーボネート)33%(質量/質量)のセグメント化トリブロックコポリマー(67%PGA:33%TMC)から形成されていた。このコポリマーは、Tyco Healthcare Group LPの一部門である、United States Surgical(Norwalk, Connecticut, US)から樹脂形状で入手できる。このポリマーは一般にポリグリコネートと呼ばれ、元Davis & Geck(Danbury, Connecticut)を通じて歴史的に入手可能であった。典型的な67%PGA:33%TMC樹脂ロットは、米国特許第6165217号(参照により本明細書の一部とする)でHayesによって以前に同定された。この「67:33−PGA:TMC」樹脂材料の同定方法を本明細書で繰り返す。
得られたコポリマーおよそ25mgをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)25mL中に溶解した。こうして作った希釈溶液の固有粘度(IV)は、30℃(±0.05℃)に設定した水浴に浸漬したCannon−Ubbelohde粘度計を用いて測定したときに、1.53dL/gであった。
得られたコポリマーおよそ10mgを、アルミニウムの示差走査熱量測定(DSC)サンプルパンの中に置き、覆い、−40℃と低温にサンプル冷却が可能なIntracooler II 冷却ユニットを備えた、Perkin−Elmer DSC 7を利用して分析した。サンプルを180℃で2分間、予備調整した後、装置の提供する最大速度(設定:−500℃/分)でサンプルを冷却し、−40℃から250℃まで走査速度10℃/分で走査した。この初期走査を完了した後、装置の提供する最大速度(設定:−500℃/分)でサンプルを速やかに冷却した。同じ温度範囲にわたって、第2の同様の走査を同じサンプルにおいて試みた。走査が完了して250℃で5分間温度を維持した後、再び装置の提供する最大速度でサンプルを冷却し、第3の走査を試みた。
各走査を、観察されたガラス転移温度(Tg)、秩序−無秩序転移温度(Todt)、結晶化発熱及び融解吸熱について分析した。結果を表1にまとめる。
Figure 0005015925
前駆ウェブ材料へと処理するためのコポリマー樹脂を用意するために、コポリマーおよそ100gを、115℃〜135℃、真空下(<40mmHg)で一晩加熱した。4mmの穴を有するスクリーンを備えた造粒機(Model 611−SR, Rapid Granulator, Rockford, Illinois, USA)を通してコポリマーを挽くことにより、樹脂をペレット化した。
紡糸パックアセンブリ(J. J. Jenkins, Inc., Matthews, NC, USA)が取り付けられた、1.5インチのスクリュー押出機(Model RCP−0500, Randcastle Extrusion Systems, Inc., Cedar Grove, New Jersey, USA)を入手した。紡糸パックアセンブリの底部には、直径2.06cm(0.812インチ)の円形配置で並べられた直径0.33mm(0.013インチ)のダイ開口部からなる、7つのオリフィス紡糸口金(図5の「紡糸パック」を参照)を有していた。紡糸パックは温度250℃〜270℃に設定した。この特定の温度は、樹脂の固有粘度特性に依存していた。
Vortec Model 902 TRANSVECTOR(登録商標)(Vortec Corporation−Cincinnati, Ohio USA)を保持する調節可能なアームを、紡糸パックに取り付けて、スクリーン布帛収集ベルト(screen fabric collector belt)の進行方向と一列にして紡糸口金の基部の下方に配置した(図5)。TRANSVECTOR(登録商標)の入口上部を、ダイ開口部の下方で、およそ2.5〜3.8cm(1.0〜1.5インチ)に調節された距離「A」(図5)で中央に置いた。移動巻き取りベルトと同じ方向の布帛収集装置を横断してTRANSVECTOR(登録商標)を往復させる機械装置にアームを載置した。アームは、1秒あたりおよそ0.58回の完全掃引サイクル(1分あたりおよそ35回の完全サイクル)の頻度で、中心からおよそ5度の角度の間を往復した。TRANSVECTOR(登録商標)をおよそ50〜55psi(0.34〜0.38MPa)の圧縮空気源に接続した。圧縮空気は、ポリマーのTodtを上回る温度である室温(20〜25℃)であった。操作時に、圧縮空気を導入してTRANSVECTOR(登録商標)のスロート内部で加速した。加速された空気流は、複数のオリフィスダイの領域から入口内へと追加の空気を引き込んだ。
次に、真空乾燥してペレット化したコポリマーを、図5に図示するように、スクリュー押出機(101)内に供給し、紡糸口金(102)のクロスヘッドを通して供給した。溶融したコポリマーは、7つの独立したフィラメント(105)の形状で紡糸口金から出た。TRANSVECTOR(登録商標)入口(103)に入る空気の流れによってフィラメントが影響を受けるようになるため、空気の巻き込みがないときと比べて非常に高い速度で、フィラメントがTRANSVECTOR(登録商標)を通って加速された。次に、加速されたフィラメントを、TRANSVECTOR(登録商標)出口から距離66cm(26インチ)(107)に位置して速度およそ20.4cm/分(0.67フィート/分)で移動するスクリーン布帛収集ベルト(106)上に集積させて、前駆ウェブ材料(108)を形成した。ベルト速度を増加するとより薄いウェブ材料が製造され、ベルト速度を減少するとより厚いウェブ材料が製造される。
収集ベルトに集積して生じた、未アニール・未伸長の自己凝集フィラメント状不織前駆ウェブ材料は、ベルトの移動方向に沿って比較的一貫したかさばりを有し、およそ3.2インチの「使用可能幅」を有していた。「使用可能幅」とは、総量、外観水準及び微細な顕微鏡的水準が最大に一貫している、前駆ウェブ材料の内側部分を指す。「使用可能幅」の外側の前駆ウェブ材料の部分は、ベルトの移動方向と一致して観察したときに、中心線の両側における相対的な高さ及び密度について全体のウェブが減少するように集積しているフィラメントを有する。本明細書で報告する面積密度は、「使用可能幅」を有するウェブ領域から取った代表的なサンプルから得た。
周囲温度で10秒を超えて冷却した後、前駆ウェブを布帛ベルトから取り除いた。調べたところ、その材料は、適度な取り扱いを受けたときに、ほつれない又はウェブから分離しないように見える個々の構成繊維を有する、触感的にしなやかな凝集繊維ウェブであった。フィラメントは混ざり合いかつ接触点で結合して、未アニールで(すなわち結晶化が最小限の、又は「未硬化の」)未伸長の自己凝集不織前駆ウェブ材料を形成した。
このようにして製造した前駆ウェブは、Hayesの米国特許第6165217号(参照により本明細書の一部とする)の例2に記載されたものと同様の、固有粘度(IV)値及び結晶化発熱ピークを一般に有する。この例の特に関係する部分を、本明細書で以下引き写す。
固有粘度:上述の前駆ウェブおよそ29mgをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)25mL中に溶解して希釈溶液を作った。この溶液の固有粘度(IV)は、30℃(±0.05℃)に設定した水浴に浸漬したCannon−Ubbelohde粘度計を用いて測定したときに、0.97dL/gであった。従って、ペレット化したコポリマーの初期値1.53dL/gから前駆ウェブの値0.97dL/gへと、加工中にIVが低下していたことが観察された。
熱特性:Perkin Elmer DSC7 示差走査型熱量計(DSC)を用いて熱分析を可能にするために、適当な大きさのサンプルを上述の前駆ウェブから得た。走査を10℃/分で行い、Intracooler II 冷却ユニットを用いて装置温度を加減した。−20℃〜250℃の単一走査を行って以下の結果を得た(表2)。
Figure 0005015925
本明細書で報告する、秩序−無秩序転移温度(Todt)は、走査のベースラインにおいて0.1ジュール/グラム℃(J/(g・℃))より大きい偏差によって示される、異なる水準の熱容量の間の変曲点に存在する。このTodtは、それぞれのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)間の温度に存在し、Fox式によって粗く近似される。この特定の例では、前駆ウェブサンプルの示した秩序−無秩序転位温度はおよそ16℃であり、結晶化発熱はおよそ70℃で始まった。試験片全体の結晶性は、エンタルピー(単位はジュール/グラム(J/g))によって定量化される、融解吸熱の下の面積に比例すると考えられる。この前駆ウェブの熱走査の一般的な特徴を、上記参照した'217特許の図3に見ることができる。
次に、前駆ウェブの結晶化発熱エンタルピー(DSCシステムに基づく電力補償を用いた上述の評価を通じて測定される)の実質的な減少につながりうる、熱又は時間の組み合わせにウェブを曝さないことを確実にして、前駆ウェブの長方形部分の対向する端部を拘束して置き、単一すなわち単軸の横方向(すなわち前駆ウェブの長辺からおよそ90度の方向)に伸長した。
本発明の伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を、ピングリップ及び3つの電熱区域を備えた横方向延伸/伸長機を用いて作った。そのような機械は、縦方向に移動しながら支持金属シートの表面全体を横方向に延伸する能力を有する、調節可能なテンター又は幅出しフレームとしても知られている。幅広く適応可能であるため、本明細書に記載した機能を実現可能な様々な機械が数多くの供給者から入手可能であり、その供給者の1つは、Monforts, A Textilmaschinen GmbH & Co KG, Moechengladbach, Germanyである。
この特定のユニットは、長さがそれぞれ24、6及び24インチ(61、15.2及び61cm)の、3つの連続して結合した加熱定盤を備えていた。加熱定盤は、ウェブ材料が通過する加熱区域を作り出した。13インチ(33cm)長の伸長−転移領域の前縁は、第1の加熱区域の前縁から11インチ(27.9cm)で始まった。初期供給速度は1フィート(30.48cm)/分であった。
初期伸長操作において、伸長機の第3のすなわち最下流の区域のみを120℃に加熱した。しかしながら、前駆ウェブが伸長される前に温められるように、第3区域からの熱が、隣接する第2区域及び第1区域に徐々に入り込んでいたことが偶然発見された。とりわけ、このことによって、最終の高多孔質ウェブ材料の均一性が徐々に改善された。前駆ウェブ材料を、2:1、3:1、4:1、5:1及び6:1の比率で伸長した。横方向伸長装置の区域1を50℃に設定し、前駆ウェブ材料を6:1の比率で伸長したときに、好ましい材料が形成された。
伸長したウェブを約120℃で約1分間熱硬化した後に、本発明の高多孔質自己凝集ウェブ材料が形成され、室温まで放冷した。本発明の材料の各片は、未アニール状態の同様のウェブを予備加熱せずかつ伸長せずに作った、同様の自己凝集不織ウェブと比べて、より多孔質で、しなやかで、厚く、形状追随性で均一な外観であることが分かった。
前駆ウェブ材料の追加の長方形部分を、伸長装置内の連続するそれぞれの加熱区域について、設定がおよそ50℃、75℃及び125℃の予備加熱した定盤を用いて、8:1及び10:1の比率で伸長した。最初の2つの加熱区域の設定により、前駆ウェブ材料を確実に「予備加熱」した。'217特許に報告されたTodtを超える温度は、前駆ウェブ材料のコポリマー分子の移動を促進して、より一貫した最終製品を提供するのに十分であった。第3の加熱区域を、'217特許に記載された結晶化発熱ピーク(Tcr)温度に少なくとも接近しおそらくは超える温度に設定して、最終ウェブ材料をアニール又は熱硬化した。
例2:この例では、例1に記載された様々なベルト速度及び横延伸比を用いて製造した前駆ウェブを、様々なウェブ密度及び伸長比について得た。加工後、本発明のこの実施態様の代表的な領域の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影した。本発明の伸長したウェブ及び当該ウェブを構成するフィラメントの特性のいくつかを以下のように定量化した。
本発明の各ウェブ材料中の伸長したフィラメントの断面直径を、SEMを目視で調べることによって測定した。各SEMにおいて50の伸長したフィラメントを無作為に選択し、各フィラメントの断面直径を測定した。これらのフィラメントの断面直径の累積結果を表3に載せ、図6及び7にまとめた。伸長比をXの倍数として表す。例えば、「0X」は未伸長の前駆ウェブ材料を指す。「4X」は伸長比4:1を指す。ウェブの一覧にした特徴は、繊維径の平均値、中央値、最大値及び最小値であった。加えて、その50の繊維の中で断面直径が20μm未満であることが見出された数及び百分率の両方も一覧にした。
Figure 0005015925
この方法で評価した場合、未アニール・未伸長の前駆ウェブ(0X)の全ての繊維の断面直径は、17〜59μmであることが観察された。さらに、90%を超える繊維の断面直径は、上記参照した'217特許に記載されていた20〜50μmの範囲内にあった。繊維径に与える伸長の影響はこのデータから容易に読み取れる。本発明の伸長処理を施した場合、未伸長の前駆ウェブのフィラメントの直径を減少させることが可能である。繊維径の減少は、直径が20μm未満の未伸長のウェブ中の繊維数(例えば5.7%)を、直径が20μm未満の伸長したウェブ中の繊維数と対比することにより、容易に読み取れる。本発明の伸長した材料中で直径が20μm未満の繊維数は、平均で64%〜81%の範囲にある。従って、前駆ウェブを実質的に伸長すると、本発明の最終的な伸長したウェブ材料において、かなりの数の繊維の繊維径が非常に減少する。
これらのウェブは、単一方向で又は「単軸」であるように伸長される又は引き伸ばされるため、伸長したウェブ中の繊維の20〜40%の直径が20μmより大きいことが、この同じデータから注目される。伸長したウェブ内部の繊維径がこのように混在することが、ウェブ材料全体のかさばりの増加をもたらした。伸長したウェブ材料のかさばりの増加は、ウェブの面積密度及び体積密度の両方の減少と相関する。体積密度は気孔率に直接関係する。本発明のウェブ材料は、未伸長の同様のウェブ材料と比較して気孔率が増加している。気孔率の増加及び対応する体積密度の減少により、ウェブ構造内部のすき間の空間が最大になる。これらの特徴により、宿主細胞がウェブ材料内に浸潤する機会が増大する。本発明のウェブ材料に宿る細胞の数及び種類が、ウェブ材料の生体吸収性に直接影響する。
本発明の伸長処理によって付与された、実際の分子配向を定量化するために、伸長比を変えて作った本発明のウェブからの様々なフィラメントについて、複屈折値を測定した。複屈折値は、光学グリッド及び円形回転ステージの両方を有する、スライド石英楔式高性能偏光顕微鏡(例えば、Nikon Optiphot 2−POL)を利用して得た。フィラメントの断面直径及び複屈折値の両方を、周囲のウェブの光学的影響から能動的又は受動的に分離されたフィラメントの試料標本から測定した。
フィラメント分離中に生じた物理的にゆがんだ二次産物がないことを確認して、従来の光学顕微鏡検査法及び複屈折値を用いて断面直径値を測定した。この値は、Michel−Levy図を利用して得た。かかる光学装置は様々な供給者(例えば、Nikon America, Melville, NY)から入手可能である。Michel−Levy図もまた様々な供給者(例えば、The McCrone Institute (Chicago, IL))から入手可能である。
こうして得られた複屈折値を、フィラメント径との相関について分析した。その関係は、R2値が0.8211の、式:Y=0.4726X-0.9979で近似可能な冪関数に従うようであることが分かった(図8参照)。この関係を用い図8を参照すると、断面直径20μmのフィラメントの複屈折値をおよそ0.024と予想できることが決められた。従って、断面直径が20μm未満のフィラメントの複屈折値が0.025を超えることを合理的に予想できた。
例3:例1に記載した材料を伸長した結果として、単位面積あたりのポリマー材料の量(面積密度)及び単位体積あたりのポリマー材料の量(体積密度)の両方が減少した。前駆ウェブ(ベルト速度0.67フィート/分(20.4cm/分)で製造)を、設定100℃のオーブンで25分間さらに処理して、そのウェブ材料を完全にアニール又は「熱硬化」した。
未アニール・未伸長の自己凝集前駆ウェブ材料は、'217特許に開示されたウェブ材料と実質的に同じであった。前駆ウェブ材料を熱硬化したものを測定したところ、面積密度はおよそ23mg/cm2であり、体積密度はおよそ0.16g/ccであった。この種類のウェブの市販形態のものは、商品名 Gore Bioabsorbable Seam Gurad及びGORE Resolut Adapt LTで、W.L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, AZから入手可能である。これらの未伸長の各ウェブ材料の面積密度は、それぞれ9.7mg/cm2及び8.4mg/cm2である。また、各ウェブ材料の体積密度は、それぞれ0.57g/cc及び0.74g/ccである。これは気孔率(パーセント)が56及び43にそれぞれ相当する。
例1の前駆ウェブ材料を6:1の比率で単軸伸長した後、材料の面積密度を測定したところおよそ5.3mg/cm2であった。これは面積密度がおよそ75%変化したことを意味する。例1の未伸長の前駆ウェブ材料の体積密度は0.16g/ccであった。それに対し、例1の伸長したウェブ材料の体積密度は0.083g/ccであった。これは体積密度がおよそ50%減少したことを意味する。
完全密度で未伸長の67%PGA:33%TMC(質量/質量)のポリマーの比重(ρpolymer)は、1.30g/ccであると報告されている(Mukherjee, D, et al; Evaluation Of A Bioabsorbable PGA:TMC Scaffold For Growth Of Chondrocytes, Abstract #12, Proceedings of the Society for Biomaterials, May 2005)。この報告されているポリマー密度の値を本発明のウェブ材料の体積密度(ρscaffold)と比較することにより、関係式:(ρpolymer−ρscaffold)÷ρpolymer×100によって、追加成分がないときの全体の気孔率(パーセント)を決定できる。
本明細書で使用する用語「気孔率(パーセント)」又は単に「気孔率」とは、利用可能な気孔率を有効に減少しうる充填材又は他の追加成分を包含せずに、伸長した自己凝集ウェブの外部境界の内側に設けられた空隙として定義される。
この評価により、例1の前駆ウェブ材料を伸長すると、PGA:TMC前駆ウェブ材料の気孔率(パーセント)が88%(追加成分なし)からおよそ94%(追加成分なし)へと増加したことが示された。前駆ウェブ及び上述の6:1で伸長したウェブの両方のについて得られた気孔率(パーセント)(追加成分なし)を表4に示す。表4には、伸長前後のウェブ材料の面積密度、体積密度及び気孔率(パーセント)もまとめられている。
Figure 0005015925
例4:この例では、本発明の単軸伸長した(伸長比6:1)ウェブ材料に関する引張応力−歪みデータの生成を説明する。ベルト速度を0.26フィート/分(7.9cm/分)とした以外は、例1に従ってウェブ材料を作った。
本発明の伸長したウェブ材料のサンプルを、「犬の骨」の形状によく似た、中央の細片と拡大した端部とを有する形状に切り抜いた。犬の骨の形状の試験片は、ASTM D638 Type IVについて記載された(すなわち狭いところの長さが18mm及び狭いところの幅が3mmの)試験片の大きさのおよそ半分であった。試験は、伸び計及び500Nのロードセルを備えたINSTRON(登録商標) Tensile Tester Model No. 5564を用いて行った。試験装置を操作するために使用したソフトウェアパッケージは、Merlin, Version 4.42 (Instron Corporation, Norwood, MA)であった。ゲージ長は15.0mmであった。クロスヘッド速度(XHR)は250mm/分であった。データを0.1秒毎に取った。
より強いクロス−ウェブ方向と一列になるように長さを配向させた試験片から測定した、伸長したウェブの伸び(パーセント)及びマトリクス引張応力は、それぞれ32.0%及び60MPaであることが分かった。より弱いダウン−ウェブ方向において測定されるように長さを配向させた試験片から測定した、伸長したウェブの伸び(パーセント)及びマトリクス引張応力は、それぞれ84.7%及び3.4MPaであることが分かった。これらの67:33−PGA:TMCウェブに関する引張応力の結果を表5にまとめる。比較する目的で、'217特許に記載されたような67:33−PGA:TMCのより薄いウェブの機械的特性も表5に含めた。
高い気孔率及び容易に変形したかさばりを有する本発明の材料のような、厚さ測定に問題が生じる可能性のあるサンプルの引張応力を正規化するための手段として、マトリクス引張応力を利用する。試験材料の面積密度及びその成分ポリマーの比重を利用することにより、マトリクス引張応力法は、測定が困難な多孔質のかさばりを完全密度の成分ポリマーの等価厚さに変換する。減少分は、成分ポリマーの比重で割ったウェブの体積密度に比例する。そして、引張応力の計算において横断面積を決定するために、この等価ポリマー厚さを利用した。マトリクス引張応力をそのように使用することは、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料の強度測定に利用するために、Goreの米国特許第3953566号及びBowmanらの米国特許第4482516号の両方に記載されている。
マトリクス引張強度を得るために、引張試験片の等価厚さを、多孔質構造物の面積密度を成分ポリマーの比重で割って決定した。次に、応力を測定する際に、試験片の実際の厚さの代わりにこの値で置き換えた。従って、等価厚さ=面積密度/ポリマーの比重である。
面積密度及び成分ポリマーの比重の両方が分かっていることを条件として、この等価厚さの値を、多孔質サンプルの引張応力をマトリクス引張応力値へと変換するためにも使用できる。'217特許の例2では、67:33−PGA:TMCウェブ材料の最大引張応力と併せて試験片の面積密度の両方が報告され、それぞれ4.9MPa及び28.1mg/mm2であることが分かった。
従って、マトリクス引張応力は次のように計算できる。
Figure 0005015925
Figure 0005015925
データから分かるように、本発明のウェブ材料は、高度に異方性であることが見出され、「ダウンウェブ」方向において減少した強度かつ顕著な伸びを有していた。反対に、強度は伸長方向で最大であり、クロス−ウェブマトリクス引張応力は、'217特許に記載された完全に結晶化した未伸長のウェブ材料より、非常に高いことが分かった。この結果から、PGA:TMCブロックコポリマーの分子配向が増大したことが明らかになった。
例5:この例では、ポリ(グリコリド)とポリ(トリメチレンカーボネート)の比(質量/質量)が50:50である、PGA:TMCのABAトリブロックコポリマーを用いた本発明の物品の形成を説明する。
典型的な50%PGA:50%TMC樹脂ロットの合成は、'217特許に既に記載されており、本明細書で以下のように繰り返す。
クラス10000のクリーンルーム内に設置され、Sterling brand hot oil system (Model #S9016, Sterling, Inc., Milwaukee, Wis., USA)に接続された、最大230℃の温度を維持可能な4CV Helicone Mixer (Design Integrated Technologies, Warrenton, Va., USA)を予備洗浄して、ポリマー又は他の残留物を除去し、次に、ミキサーボウルを再取り付けする前に2時間かけて完全に空気乾燥した。その後、ドライミキサーを140℃に予備加熱し、次いでパージして、実験中、最小流量で乾燥窒素を用いて覆った。トリメチレンカーボネート 740.7gを含有するホイル包装を開け、内容物を導入した後、速度設定「6.5」で混合した。10分後撹拌を停止し、SnCl2・2H2O触媒 0.228g及びジエチレングリコール開始剤 15.71gを組み合わせたもの 2.73gを、融解したTMCに直接添加した。混合を再開し、10分後に温度が160℃に上昇した後、30分後に180℃へと上昇した。さらに30分後にグリコリドモノマー 75gを添加した後、温度が200℃に上昇した。15分後にグリコリド 675gを添加して、温度設定を速やかに220℃に変更した。40分後、重合生成物を220℃で清浄な剥離表面上に排出し、そこで重合生成物は室温に冷めながら固化した。このようにして得た薄茶色のポリマーを、発熱物質を含まないプラスチック袋に包装し、その後、4.0mmスクリーンを通して機械的に粒状化してから、さらに分析及び加工を行った。
'217特許で、Hayesは、この特定の50%PGA:50%TMC樹脂ロットの固有粘度(IV)が0.99dL/gであることを付記している。
次に、上記の通り合成した50%PGA:50%TMCトリブロックコポリマーを例1で説明したように粒状化し、引き続き120℃〜130℃で少なくとも15時間真空乾燥した。粉砕されたポリマーおよそ250gを例1で説明した押出機内に配置し、ダイ温度をおよそ230℃〜250℃に加熱した。幅がおよそ3.2インチ(5.08cm)の、不規則に連続した前駆ウェブ材料を、ベルト速度およそ20.4cm/分(0.67フィート/分)で得た。前駆ウェブ材料は、例1で説明した未伸長の67:33−PGA:TMC前駆ウェブ材料と形態的に類似していた。個々のフィラメントは接触点で凝集結合を形成して、自己凝集ウェブを形成した。この処理を通じて製造されたウェブ材料のフィラメント径は25μm〜40μmの範囲であった。'217特許に注記されているように、これらのウェブ材料の固有粘度値は通常0.9dL/gである。これらのウェブ材料に関する典型的なDSC値を表6に列記する。
Figure 0005015925
67:33−PGA:TMCトリブロックコポリマーの自己凝集不織前駆ウェブ材料について例1で説明したのと同じ装置及び単軸伸長比を用いて、未アニールの自己凝集不織前駆ウェブ材料の伸長を行った。伸長する前に、ウェブの結晶化発熱エンタルピーの実質的な減少につながりうる熱又は時間の組み合わせに、未伸長の前駆ウェブが曝されないように注意した。
例1で説明した単軸伸長比に加えて、さらに7:1から10:1までの単軸伸長比を実施した。区域1のオーブン温度を40℃に設定し、区域3を85℃に設定した。伸長したウェブの熱硬化は、85℃の区域3にて、およそ1分後に完了した。
50:50PGA:TMCトリブロックコポリマー出発原料を用いて作った本発明のウェブの場合、単軸伸長比7:1から10:1で、最もしなやかで均一な外観のウェブが製造された。
例6:この例では、多層の前駆ウェブ材料を用い、その多層材料を逐次的に複数の垂直方向に伸長した、本発明の物品の形成を説明する。
例1に従って作った、9枚の未アニール・未伸長の前駆ウェブ材料シートを一緒に積み重ねることによって、出発原料を得た。9枚の前駆シートを、それぞれベルト速度1.58フィート/分(48cm/分)で製造した。各前駆シートの面積密度はおよそ9.0mg/cm2であり体積密度はおよそ0.27g/ccであることが分かった。従って、9層の前駆シート材料の面積密度はおよそ81mg/cm2であり体積密度はおよそ0.27g/ccであると予想された。
最初に、9枚の未アニール・未伸長の前駆ウェブシートを、それらの幅がウェブ形成時にウェブを巻き取るために使用した移動ベルトと概ね同じ「流れ方向」にあるように配置した。同様に配置された層状シートを、設定がそれぞれ室温、50℃及び120℃である3つの加熱区域を備えたオーブン内で、横方向(すなわち、未アニールのウェブの初期配置方向からおよそ90度の方向)に伸長した。伸長比は6:1であり伸長速度は1フィート/分(30.5cm/分)であった。
得られた本発明の物品の面積密度は18mg/cm2であった。このことは、前駆ウェブ材料から面積密度が76%近く減少したことを意味する。物品の体積密度は0.11g/ccであった。このことは、前駆ウェブ材料(0.27g/cc)から体積密度が60%近く減少したことを意味する。このウェブ材料の気孔率(パーセント)は79であった。
前駆ウェブの伸び(パーセント)及び完成した積層ウェブ材料のマトリクス引張応力を、より強いクロス−ウェブ方向について測定したところ、それぞれ64%及び48MPaであることが分かった。伸び(パーセント)及び本発明の完成した積層ウェブ材料のマトリクス引張応力を、より弱いダウン−ウェブ方向について測定したところ、それぞれ133%及び5.2MPaであることが分かった。これらの値は、例1の単軸で膨張させた単一層ウェブを用いて観察された値より大きい。クロス−ウェブ方向のマトリクス引張応力もまた、'217特許で報告された値、22.7MPaよりも高かった。
この例の層状ウェブ材料は、未伸長の自己凝集層状不織ウェブ材料と比較して、しなやかさが増大し外観が均一であった。
例7:この例では、第1の長手方向のウェブ伸長手順の後に、引き続き、同じウェブを横方向に伸長する手順から製造された材料を説明する。このウェブ材料を本明細書では「長手方向−横方向伸長ウェブ」と呼ぶ。未アニール・未伸長の自己凝集前駆ウェブ材料を例1に従って用意し、次のように処理して本発明の材料を形成した。前駆ウェブ材料の面積密度はおよそ45mg/cm2であった。
例1で説明したDSCパラメータを使用して評価したところ、使用した67:33−PGA:TMC樹脂及び得られた未アニールの前駆ウェブの両方の熱特性は、表7にまとめた通りであった。
Figure 0005015925
本発明の伸長したウェブ材料を5種類、主に伸長比に基づきこの例で製造した。異なる速度に調節された供給ローラー及び巻取ローラーの間で長手方向に移動しながら、3つの区域の加熱された支持金属シートの表面を横断して適当な長さの前駆ウェブを引くことが可能な長手方向伸長機を用いて、最初に、未アニール・未伸長の前駆ウェブ材料をそれぞれ、未伸長の前駆ウェブの回収に使用した収集ベルトの方向と実質的に同じ方向で、温度20℃、比率1.5:1で長手方向に伸長した。この長手方向(例えばx軸方向)を、本明細書では「ダウン−ウェブ」(DW)方向と呼ぶ。
次に、長手方向に伸長した未アニールの自己凝集ウェブ材料を、例1で説明した加熱定盤の横方向伸長機に移した。引き続き、これらのダウン−ウェブで伸長した各材料を、今度は第1の長手方向への伸長手順の方向と直交する「クロス方向」(y軸)で伸長した。この「クロス方向」の伸長を、本明細書では「クロス−ウェブ」(CW)伸長と呼ぶ。第1サンプル(「1B」と表記)を比率2:1にてクロス−ウェブで伸長した。次のサンプル(「2A」と表記)を比率3:1にてクロス−ウェブで伸長した。残りの各サンプル(2B、2C及び2D)をそれぞれ比率3.5:1、4:1及び4.5:1にてクロス−ウェブで伸長した。オーブンの第1及び第3加熱区域をそれぞれ50℃及び120℃に設定した。区域3の温度は、最終的な本発明の伸長したウェブ材料を完全に熱硬化するのに十分であった。実質的なDW伸長性(extendibility)を示す表8に記載の熱特性から明らかなように、得られた材料は完全にアニールされたウェブであった。
Figure 0005015925
完全に硬化した前駆ウェブと一緒に、長手方向(1.5:1)−横方向(4.5:1)で伸長したウェブ(2D)の物理的特性及び引張応力−歪み特性を表9にまとめる。
Figure 0005015925
例8:この例では、本発明の2つの伸長した自己凝集ウェブ材料の形成を説明する。これらのウェブ材料を加工中に2方向(x軸及びy軸)に二軸で同時に伸長した。
未伸長の前駆ウェブ材料を例1に従って作った。TRANSVECTOR(登録商標)装置について、紡糸口金角度を8.5度、掃引速度を1秒あたりおよそ0.46回の完全サイクルに設定した。ベルト速度をおよそ8cm/分として製造して得られた未アニール・未伸長の前駆ウェブ材料の「使用可能幅」は5〜6インチ(12.7cm〜15.2cm)であり、このときウェブ密度は40〜50mg/cm2であった。未アニール・未伸長の前駆ウェブ材料は、ウェブの結晶化発熱エンタルピーの実質的な減少につながりうる、中間の熱又は時間の組み合わせに暴露されなかった。
未アニールの前駆ウェブ材料を二軸伸長するためにパントグラフを使用して、第1の二軸伸長したウェブ材料を形成した。パントグラフは、ある範囲の速度及び温度(例えば50℃〜300℃)にわたって、前駆ウェブ材料を二軸又は単軸で伸長することが可能な機械である。この例で使用したパントグラフは、4インチ×4インチ(4''×4'')の正方形の小片から25インチ×25インチ(25''×25'')の小片へと、前駆ウェブ材料の小片を伸長することが可能であった。このことは、x軸及びy軸の両方において伸長比が6.1:1であることを意味した。伸長しながら前駆ウェブ材料を保持するために、パントグラフの各アームの最後の0.5インチにはピンアレイが備わっていた。全部で32のアーム(各辺に7つ+各角に1つ)がパントグラフにあった。また、パントグラフには、加工中に前駆ウェブ材料の温度制御を可能にする、加熱された蝶番式定盤が備わっていた。
未アニール・未伸長の前駆ウェブ材料(45mg/cm2)の5インチ(12.7cm)角の小片を、初期設定が4インチ×4インチ(4''×4'')のパントグラフのピンフレーム上に固定することによって、第1の二軸伸長したウェブ材料を作った。蝶番式定盤を50℃に設定し、未アニールのウェブ上に2分間配置して、伸長前にポリマーのTodtを超える温度に前駆ウェブ材料を予備加熱した。引き続いて、予備加熱した前駆ウェブ材料を、x軸(ダウン−ウェブ)に沿って3.6:1の比率、y軸(横方向)に沿って6.0:1の比率で、両方とも速度20%/秒で伸長した。伸長処理が完了したら、定盤を二軸で伸長したウェブ材料から引っ込めた。
長さ12インチ×幅8インチのピンフレームを、本発明の二軸伸長したウェブ材料がパントグラフのピンから取り外された後に、そのウェブに挿入して、ウェブの一部を拘束した。次に、8インチ×12インチのピンフレームに拘束された状態で、120℃に設定したオーブン内で約3分間、その二軸伸長したウェブ材料を熱硬化した。得られた第1の二軸伸長したウェブ材料をピンフレームから取り外し、拘束されていなかった部分を切り落とした。
第1の二軸伸長したウェブ材料を、面積質量及び厚さについて試験した。これらの測定から、例3に教示したように体積密度及び気孔率を計算した。面積質量は例1で説明したように測定した。光学コンパレーターにおいてウェブの上面を明確に見分けるために、25mm×25mm×1mm厚のガラススライドをウェブの上に置いた以外は、例1の手順に従って厚さを測定した。面積質量は2.61mg/cm2であって、これは未アニールの前駆ウェブ材料の面積質量の約94%の減少を意味した。厚さは0.44mmであった。これらの値から体積密度0.059g/cm3及び気孔率(パーセント)95が得られる。この気孔率(パーセント)の値は、空隙と固体との比率(空隙体積/固体体積)において、'217特許に開示された最も高い気孔率の2倍大きい。
第2の二軸伸長したウェブ材料を、いくつかの処理パラメータ設定を変更した以外は上述したように作った。この第2の伸長したウェブ材料については、予備加熱温度を70℃に設定し、未アニールのウェブを約30秒間予備加熱した。このウェブを、x軸に沿って3.6:1の比率、y軸に沿って6.0:1の比率で、同じ伸長速度である30%/秒で同時に伸長した。第2の二軸伸長したウェブ材料を、第1の伸長したウェブ材料について上述したようにオーブン内でピンフレーム上に拘束して熱硬化した。
第2の二軸伸長したウェブ材料の特性を、第1の伸長したウェブ材料について説明したように測定した。面積質量は3.37mg/cm2であって厚さは0.94mmであった。このことから、体積密度及び気孔率の値がそれぞれ0.036g/cm3及び97%となった。第2の二軸伸長したウェブ材料の空隙と固体との比率は、第1の二軸伸長したウェブ材料より約50%大きく、'217特許に開示された値より約3倍大きい。
例9:この例では、本発明の伸長したウェブ材料の形成を説明する。伸長したウェブ材料は、かさばり及びしなやかさが増大し、与えられた変形力が取り除かれたときに元の形状へと実質的に回復する。
ウェブ材料をオーブン内で熱硬化した際に、ウェブ材料を拘束するためのピンフレームを使用しなかった以外は、例8に従って二軸伸長したウェブ材料を作った。逆に、二軸伸長したウェブ材料を、硬化の際にラックからオーブン内でだらりと吊り下げた。二軸伸長したウェブ材料をパントグラフから取り外した後に観察すると収縮していた。二軸伸長したウェブ材料をオーブン内でさらに収縮させた。完全に伸長した出発ウェブ材料の面積は、この処理を用いることで約50%減少した。
得られた二軸伸長かつ収縮した高多孔質ウェブ材料は、例8で同様に製造された伸長したウェブ材料のいずれと比べても、より厚く、柔らかく、かさばり、より可撓性であった。さらに、この二軸伸長かつ収縮したウェブ材料は、与えられた変形力が取り除かれた時に元の形状へと回復した。この回復弾性は、二軸伸長かつ収縮したウェブ材料の全ての部分で見られた。回復弾性の二軸伸長かつ収縮したウェブ材料を顕微鏡(50X)で観察することにより、z軸(すなわち平面のx軸及びy軸に対して垂直)を含む全ての方向に配向した、材料が高度に曲がった自己凝集フィラメントが明らかになった。これらの「z軸に配向した繊維」の直径は、「x軸」及び「y軸」に配向した繊維の直径と同様であった。本発明で得られた、回復弾性の二軸伸長かつ収縮した生体吸収性高多孔質自己凝集ポリマーウェブ材料は、「フリース」と一般に呼ばれる布帛と同様の物理的特性及び取り扱い特性を有していた。
二軸伸長かつ収縮したフリースウェブ材料の特性を、例9で説明した方法に従って測定し、以下の表10で例8の第2の二軸伸長したウェブと比較する。
Figure 0005015925
図4は、伸長処理後に複数の方向に配向したこれら材料のフィラメントを示す、走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。10倍(10X)では、多数のフィラメントが、材料のx軸及びy軸に沿って配向した他のフィラメントと垂直な方向(z軸)に配向しているように見えた。目視観察では、本発明の厚い物品はフリース状の外観を有し、深いパイル、高いかさばり度合い及び非常に高い気孔率(パーセント)を有していた。
例10:この例では、同時に全ての方向で放射状に前駆ウェブ材料を伸長することによる、本発明の物品の形成を説明する。単層及び多層の前駆ウェブ材料の両方をこの例では放射状に伸長した。いくつかの実施態様では、これらの多層前駆ウェブ材料は、完成したウェブ材料において一緒に積層されていた。
各実施態様において、例1に従って作った67:33−PGA:TMC前駆ウェブ材料の少なくとも一片を、初期直径が6インチ(15.24cm)の円形片に切り抜いた。多層の前駆ウェブ材料を使用する実施物は、切断前に前駆ウェブ材料を何層か合わせて置くことによって形成した。各実施態様について、温度制御された環境内部で全ての方向に等速で前駆ウェブ材料を伸長することが可能なクランプ装置に、円形材料を拘束した。
各実施態様において、ウェブ材料の端からおよそ0.5インチに、その特定の前駆ウェブ材料の周囲を囲んで等距離で8つの締め具を配置した。このことにより、前駆ウェブ材料の有効な初期直径は6インチから5インチ(12.7cm)へと減少した。締め付けた前駆ウェブ材料を、温度50℃でおよそ2分間予備加熱して、前駆ウェブ材料を作るために使用した特定のポリマーシステムの秩序−無秩序温度(Todt)を超えて前駆ウェブ材料を昇温した。次に、軟化した前駆ウェブ材料を、ウェブの直径が12インチ(30.48cm)になるまで速度0.25インチ/秒で伸長した。同じ伸長速度で、4層材料を最終直径14インチ(35.56cm)に伸長した。伸長した形態を保持したままで、その伸長したウェブ材料を120℃に2〜3分間加熱して、伸長したウェブ材料を熱硬化した。
各物品の層、前駆ウェブ材料の面積質量及び伸長比(最終直径/初期直径)のパラメータを、以下の表11に列記する。前駆ウェブ材料の合計面積質量は、前駆層の面積質量と層数の積である。例えば、物品10−2の前駆体面積質量の総量は約90mg/cm2(2層×45mg/cm2)であった。物品10−6は均一な外観に製造されたが、定量的に試験しなかった。完成した、伸長したウェブの面積質量も表に列記する。
Figure 0005015925
図4Aは、本発明の放射状に伸長した自己凝集ウェブ材料のフィラメントを示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。伸長処理後に、複数の方向に放射状に配向したフィラメントを図示する画像は、50%PGA:50%TMCコポリマーから作製した代替実施物からのものである。
例11:この例では、本発明の様々な実施態様で観察された気孔率値を編集したものを提供する。最初に、例1で説明したような前駆ウェブ材料を、ベルト速度7.9、14.0、20.4及び48.0cm/分で用意し、拘束下でアニールして、体積密度及び気孔率(パーセント)について評価した。気孔率(パーセント)値は、例8で説明したように、顕微鏡用ガラススライド及び光学コンパレーターを用いて完成したウェブ材料の高さを制御することによって測定した。最も高い気孔率(パーセント)値を有する、本発明の伸長したウェブ材料は、ベルト速度48.0cm/分の場合に得られた。
適切な大きさにされた前駆ウェブ材料のサンプルを、例1で説明したように横方向に伸長するか、あるいは例8又は9のいずれかで説明したように二軸伸長した。次に、前駆ウェブ材料及び完成したいくつかの伸長したウェブ材料を、平均気孔率(パーセント)について評価した。気孔率(パーセント)の結果と、付随した加工パラメータを表12に示す。表12から分かるように、前駆ウェブ材料の有する最も高い気孔率(パーセント)は89.7%であった。従って、本発明の伸長した自己凝集ウェブ材料の気孔率(パーセント)値は全て少なくとも90%である。
Figure 0005015925
表12から分かるように、本発明者らによって作られた前駆ウェブ材料と比較して、本発明の伸長したウェブ材料の全実施態様について気孔率(パーセント)は増加し、現在利用可能な技術を用いて可能な限り高い気孔率(パーセント)であった。
例12:この例では、チューブ形状の本発明の物品の形成を説明する(図13)。
この例では、未硬化の前駆ウェブから形成した巻きチューブを長手方向に引き伸ばす手段を備えたマンドレルの組み合わせを利用して、半径方向に伸長可能なチューブ状物品を形成した。利用した組み合わせは、巻きチューブの端部を固定するための円周手段の内径内部に少なくとも部分的に収容されることが可能な、より小さい剛直なロッド又はチューブ(「マンドレル」)から構成される。次に、チューブの少なくとも一端を、マンドレルの軸に沿った手動手段又は機械手段によって滑らせて、所望の長手方向延伸比とする。代わりに、チューブを形成して円周固定部に取り付けたら、マンドレルを取り外して、張力引き伸ばし(tensile extension)によって延伸を完了することも可能である。
長さおよそ5インチ(12.7cm)の、例1で説明したように作った未アニールの前駆ウェブ材料(〜9mg/cm2)を、直径3/8インチ(0.953cm)の金属マンドレル及び後で物理的固定を可能にするのに十分な円周固定部の一部分の周りを両方巻くことによって物品を形成した。向かい合う端部を若干重ねることにより巻いて、「たばこ巻き」を形成した。継ぎ目をオフセットしてこの工程を繰り返して、未アニールの前駆ウェブ材料の多層(すなわち2層〜10層、好ましくは5層)チューブを製造した。
固定手段へのチューブの取り付けは、銅線を用いて円周隆起部に対して上にあるチューブの端部を固定することによって行った。次に、この組み合わせを設定温度50℃で予備加熱したオーブン内におよそ2分間置いて、未硬化のポリマー材料を軟化した。次に、その軟化した材料を長手方向におよそ5:1の比率で伸長した。その後、スライド式マンドレルを所定位置に固定し、この組み合わせを100℃に5分間加熱して、最終物品を硬化(すなわちアニール又は完全結晶化)した。
本発明のこのチューブ形状物は、半径方向の膨脹力を受けたときに、初期の第1直径からより大きい第2直径へと変化する能力を示した。この例で形成したチューブは、第1直径から、その第1直径のおよそ2倍大きい第2直径へと容易に膨張可能であることが見出された。
例13:この例では、軸長を変化させる能力と組み合わせて、初期の第1直径からより大きい第2直径へと直径を増大する能力を有する、チューブ形状の本発明の物品の形成を説明する。
先の例のように、直径3/8インチ(0.953cm)の金属マンドレル及び円周固定部の両方の周りに、多層の未アニールウェブをたばこ巻きすることによって、この物品を形成した。次に、この巻いた組み合わせを設定温度50℃で予備加熱したオーブン内におよそ2分間置いて、未アニールのポリマー材料を軟化した。その後、その軟化した材料を長手方向に5:1の比率で伸長し、スライド式固定部を動かなくして、この組み合わせを100℃に設定したオーブン内で1分間加熱した。この組み合わせを取り外して、「アコーディオン状」になるようチューブ形状物の長さに沿って材料を圧縮するように、元の引き伸ばし長さのおよそ半分の長さに、その伸長したチューブ形状物の対向する端部を互いに向けて押し進めた。この「波打った」チューブ状材料を含む組み合わせを、その後130℃に5分間加熱して、最終物品を完全に硬化した。完了して固定部から物品を取り外す際に、物品を観察すると波打った構造は保持されており、100℃の処理条件で部分的に結晶化したことが明らかとなった。
半径方向の膨脹力を受けたときに直径が容易に変化する能力を有することに加えて、この例で説明した物品は、長さを変化させることも可能であった。さらに、この物品は、上記の例で説明した物品と比べて、より可撓性であって曲がった形態に屈曲した場合により高い耐キンク性を示した。
例14:この例では、少なくとも1つの骨組要素が組み込まれた、チューブ形状の本発明の物品の形成を説明する(図16)。
2層の完全硬化した第1のチューブ形状物を、例12で説明したように構築し、長さおよそ4インチを切り落として、円周固定部上に重ねずにマンドレルに残した。直径0.020インチ(0.051cm)の銅線を、巻きの間隔をおよそ0.25インチ(0.635cm)として、チューブ形状物の外表面の周りでらせん状に巻いた。次に、幅およそ5インチ(12.7cm)の前駆ウェブ材料から作った第2のチューブ形状物で、銅線が巻かれた第1のチューブ形状物及びその物理的取り付けを可能にするのに十分な円周固定部の一部分を両方ともきつく覆った。その後、その組み合わせを、上に重なる犠牲ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)パイプ−テープ型フィルムで覆った。次に、チューブ形状物の長手方向の伸長を、上述したように伸長比5:1で行って、チューブ内径を同時に減少させながらチューブを引き伸ばした。この処理により、外部チューブが効果的に圧縮されて、下地の金属コイル及び内部チューブに密接に接触した。次に、この覆われた構造物を100℃に5分間加熱して、物品を熱硬化した。犠牲PTFEフィルムを完成した物品から取り除いた。
このようにして製造した物品は、可撓性で伸長した自己凝集PGA:TMC不織チューブの上地層及び下地層の両方の内部に包み込まれた金属コイルであった。この構造物は、ステント又はステントグラフトなどの、移植可能な血管内医療器具として供することが可能であった。
例15:この例では、ロープ又は可撓性ロッドの形状の、本発明の伸長した自己凝集ウェブ材料の形成を説明する(図14)。
この例では、伸長したロープ又は可撓性ロッドの自己凝集フィラメント形状物を、ある長さ(幅2.54cm×長さ25.4cm)の未アニール・未伸長の前駆ウェブ材料(9mg/cm2)を触覚的に抵抗の感じる点まで、長手方向に引きかつ軸についてねじることによって形成した。前駆材料の長さはおよそ15.25cm(6インチ)に引き伸ばされ、およそ10回ねじられた。次に、2:1を超える伸長比で長軸に沿ってその材料を伸長した。この例では、前駆ウェブ材料を手でねじりかつ伸長したが、機械的方法を使用してもよい。
次に、ねじられた状態に物品を拘束して、温度50℃に設定したオーブン内で1分間加熱し、取り出してから、元の長さの2倍の長さに長軸に沿って素早く伸長した。次に、伸長した状態に物品を拘束してから、100℃に設定したオーブン内で5分間加熱して、最終物品を熱硬化(すなわちアニール又は完全に結晶化)した。
完成した物品は、横断面を通る連続気孔構造を有するように目で見える、可撓性の高いロッド又はロープのようであった。
例16:この例では、非常に低い体積密度及び非常に高い気孔率(パーセント)を有する、本発明のウェブ材料の形成を説明する(図19)。
上述の例のいずれかの伸長した多孔質ウェブ材料も、この気孔率(パーセント)が非常に高い材料の出発原料として使用するのに適しているが、伸長比6:1及び面積密度40〜50mg/cm2の例1に従って作ったウェブ材料を得て、この例における出発ウェブ材料として使用した。
花崗岩の定盤の上にウェブ材料を平らに置き、手でウェブ材料を拘束し、そしてワイヤブラシを用いて不規則にウェブ材料のフィラメントを繰り返し擦り剥くことによって、出発ウェブ材料に梳毛手順を施した。ウェブ材料のフィラメントが擦り剥けるにつれて、ウェブのフィラメントの少なくとも一部が、ブラシのワイヤにかみ合って引き離される。フィラメントが引き離されるにつれて、ウェブ材料の気孔率(パーセント)が増加し体積密度が減少する。完成した毛羽立ったウェブ材料の外観は「コットンボール」に類似していた。
他の実施態様では、少なくとも1つの金属バンドをウェブ材料に取り付ける(図19A及び19B)。金属バンドは、移植中及び移植後にウェブ材料の可視化を補助するための、放射線不透過マーカーとして供することが可能である。
例17で説明するように、この材料は血栓形成性であり、様々な状況で止血を提供することが示されている。例えば、本発明の毛羽立ったウェブ材料は、大腿動脈などの主要な血管内の切開部位における出血を停止又は顕著に低減することが可能である。穿刺創、裂傷又は他の外傷における出血もまた、停止又は顕著に低減することが可能である。この例で説明した毛羽立ったウェブ材料を、移植レシピエントの体内の、動脈瘤に詰めるため又は血管もしくは他の開口部を閉塞するために使用することも可能である。
間接的に接近可能な解剖学的部位にてウェブ材料の配置を補助するために、本明細書で説明した高多孔質ウェブ材料を、カテーテルなどの送達システム(図20)と組み合わせることも可能である。
移植可能な医療器具に解剖学的構造又は組織に対する液体シールを付与する際の補助として、このウェブ材料をその器具の構成要素として使用することも可能である。
例17:この例では、移植レシピエントの動脈における出血を停止するために、本発明の非常に高多孔質のウェブ材料を使用することを説明する。
予めヘパリン処置された家畜ブタのモデルを用い、左の腎動脈の頭蓋枝に選択的にアクセスするために、8フレンチ(8F)ガイドカテーテルを使用した。ベースラインを画像化するために血管造影を行い、ガイドワイヤを除去した。次に、例16に従って作った、およそ直径7mm×長さ20mmのウェブ材料片の組み合わせを収容する6Fガイドカテーテルを、8Fカテーテルの長さ方向に通して移植レシピエントの脈管構造内に導入した。例16のウェブ材料は、移植中及び移植後に、本発明物の遠隔的な可視化を補助するための放射線不透過マーカーバンドを含んでいた(図20)。
その後、例16のマーカー付きウェブ材料を、6Fカテーテルから、上述の左腎動脈の頭蓋枝内へと展開した。マーカー付きウェブ材料を腎動脈内に移植した後、30秒以内に血管造影図を介して血管の部分的閉塞が観察された。血管の完全閉塞は、展開後3分の時点で観察された。閉塞は、ヘパリンの存在には関係なく、移植部位における血管内での血液凝固によって引き起こされたと解釈された。
例16のウェブ材料が動脈切開部位にて血流を停止する能力を例証するために、第2の手順をこの移植レシピエントに行った。大腿動脈を部分的に処置して大腿裂傷を作った。動脈を近位で閉塞したため、逆行性血流のみが存在した。この条件にも拘わらず、切開部位での出血は大量であった。次に、例16のウェブ材料から作られたコットンボール大の小片を2つ、動脈切開に適用し、およそ30秒間指で押さえて保持した。ボールを通って血液が最初にいくらかしみ出したものの、2分の時点で出血は完全に停止した。
例18:他の重大な血管開存性の研究に使用した、標準活性化凝血時間(ACT)を有するブタ及びイヌを、器官の裂傷のモデルのためにこの例で使用した。器官の裂傷を誘発するために、改良した冠状のこぎりを用いて、移植レシピエントの肝臓又は脾臓に直径13mmの穿刺を作った。この穿刺により45秒間大量に出血した。例16で説明した高多孔質ウェブ材料をおよそ1グラム、その穿刺内に手で適用して1分間圧縮した。その後、圧力を解放して、出血について傷口を調べた。出血が停止していない場合、さらに1分間圧力を再度与えて、評価を繰り返した。
比較として、市販のキトサン系止血材料(HEMCON; HemCon Inc., Portland, OR)を、同じ器官の裂傷モデルにおいて調べた。例16で説明した高多孔質ウェブ材料及びHEMCON材料の両方とも、1分間の圧縮後に止血することに成功した。本発明物の取り扱い及び移植の容易さは、HEMCON製品よりも優れていると考えられた。
例16のウェブ材料は「コットンボール状」の形状であるが、他の形状の高多孔質ウェブ材料も、止血及び血栓形成性の結果が要求される他の医療状況に使用可能である。これらの形状として、以下に限られないが、ウェブ材料のロール又は小塊が挙げられる。本発明物の高い圧縮性は、本発明物の効率的な包装を可能にする。
例19:この例では、相対凝血時間(RCT)で表される結果を提供する、相対生体外凝血試験を用いることによって、本発明物の血栓形成特性を例証する。
様々な血栓形成性材料のサンプルについて生体外全凝血時間を測定するために、各試験サンプル材料をおよそ2mg得て、個々にポリプロピレンの微小遠心管に入れた。この試験で使用したサンプル材料は、例1及び16に従って作った多孔質ウェブ材料、並びに2種類の市販の止血材料である、HEMCON(登録商標)キトサン包帯(HemCon Inc., Portland, OR)及びHEMABLOCK(登録商標)止血剤微多孔質多糖類ビーズ(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)であった。
図18に、相対凝血時間試験に従った工程を図示する。試験では、新鮮でヘパリン処置していない動脈血を飼育ブタから採取し、すぐにクエン酸ナトリウムと混合して最終クエン酸濃度を0.0105Mとした。新鮮なクエン酸処理血液 1mLを各サンプルチューブに加えた。凝血カスケードを促進するために、0.1M塩化カルシウム 100μLを各サンプルチューブに加えた。すぐにチューブにふたをして3回逆さにした。30秒間隔ごとに、チューブを1秒間逆さにして直立位置に戻した。血液がサンプルチューブ内で流れなくなる時間を記録した。各試験には、陽性対照(カルシウム+クエン酸処理血液のみ)及び陰性対照(クエン酸処理血液のみ)を含めた。各試験について、凝血時間をカルシウム対照に正規化した。この場合、値が小さいほど凝血する全時間が早いことを示す。
例1及び例16の従って作った両方のウェブ材料はそれぞれ、相対凝血時間(RCT)の値がおよそ0.7と、クエン酸処理したカルシウム陽性対照の値1.0と比べて減少した。また、これらの材料は、実験的に観察されたRCTが1.0の、市販の止血製品HEMCONより優れた結果を示した。HEMABLOCK(登録商標)止血剤粉末を用いた場合、RCTが0.9であることが観察された。
例20:この例では、第2の生体吸収性ポリマー材料を包含する、本発明の物品の形成を説明する(図9)。
この例では、完成した例1の6:1ウェブ材料を得て、その材料にカルボキシメチルセルロース(CMC)で作られたフィルムを吸収させた。利用したCMCは、Sigma−Aldrich (St. Louis, MO, USA)からカタログ番号 C−5013で入手可能な、高粘度(25℃、1%で1500〜3000cP)の種類のものであった。CMCフィルムは、濃度がCMC 8g/蒸留水 100mL(8%質量/体積)のゲルから形成した。フィルムの厚さは、吸収させるウェブ材料の厚さと大体同じであった。8%CMCのゲルビーズを平坦な金属板上でロール掛けして、フィルムを固めることによってフィルムを製造した。次に、CMCゲルフィルムを例1のウェブ材料を同様の大きさにした小片と接触させて配置し、2つの適当な剥離性表面の間で、およそ1分間、室温で一緒に手で押し付けた。その後、CMC吸収ウェブ材料を真空中40℃で乾燥し、時々空気でパージした。
この処理を繰り返して、CMCゲルフィルムを「サンドイッチ」の関係でウェブ材料の両面に配置した。
生理食塩水、水又は血液で濡らした場合、この例で説明した材料は、数多くの身体特徴部の表面的形状にウェブを容易に適合させる優れた接着性を示す濃縮ゲルを生成した。かかる接着性は、特定の解剖学的位置や移植部位に、又は外科手術装置もしくは他の移植可能な器具の近くに、本発明物を一時的に維持する際に、外科医、介入治療者又は他の保健医療専門家を補助するための運搬能(carrying potential)として認識された。乾燥状態又はゲル状態のいずれかのCMC被膜は、様々な生理的流体が、下地のウェブ材料に入って又はその材料から出て浸透する速度に影響しうる。
例21:この例では、上の例5によって完成した7:1ウェブ材料のすき間にカルボキシメチルセルロース(CMC)を吸収させることを説明する。この構造物を作るため、高粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウム(「CMC」; Sigma Chemical Company, St. Louis, MO)を、工業用ブレンダーを用いて、濃度4%(すなわち4g/100mL)で脱イオン水中に溶解した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いてCMC溶液を完成したウェブ材料(3.8cm×10.2cm)に吸収させて、ウェブの気孔を完全に満たした。CMC吸収ウェブを室温で16時間空気乾燥して、伸長したCMC吸収自己凝集PGA:TMCウェブ材料を製造した。
生理食塩水、水又は血液で濡らした場合、この例で説明した材料は、数多くの身体特徴部の表面的形状にウェブ材料を容易に適合させる優れた接着性を示す濃縮ゲルを生成した。かかる接着性は、特定の解剖学的位置や移植部位に、又は外科手術装置もしくは他の移植可能な器具の近くに、本発明物を一時的に維持する際に、外科医、介入治療者又は他の保健医療専門家を補助するための運搬能(carrying potential)として認識された。
例22:この例では、完成した例16のウェブのすき間にカルボキシメチルセルロース(CMC)を吸収させて、その吸収させたCMCをウェブからリン酸バッファー生理食塩水(PBS)溶液中に溶解させることを説明する。この構造物を作るために、ローラーを用いて例16に従って作った高多孔質ウェブ材料のサンプル中に4%CMCを吸収させて、すき間を完全に満たした。吸収させたウェブを室温で16時間空気乾燥して、CMC吸収高多孔質自己凝集PGA:TMCウェブ材料を製造した。例16のCMC吸収ウェブを次にPBS溶液に浸漬した。浸漬時にCMCが膨潤して、ハイドロゲルで満たされた高多孔質自己凝集PGA:TMCウェブ材料が作られた。さらに10分間浸漬すると、CMCはPBS中に溶解してウェブ材料から溶出したようであった。
例23:この例では、例16のウェブ材料のすき間にカルボキシメチルセルロース(CMC)を吸収させることを説明する。この構造物を作るために、ローラーを用いて例16に従って作った高多孔質ウェブ材料のサンプル中に8%CMC溶液を吸収させて、高多孔質ウェブ材料のすき間を完全に満たした。次に、吸収させたウェブを真空下、40℃で乾燥して、CMC吸収高多孔質自己凝集PGA:TMCウェブ材料を製造した。PBSに浸漬すると、CMCが膨潤してハイドロゲルで満たされたウェブが作られた。さらに10分間浸漬すると、CMCは溶解してウェブ材料から溶出した。
例24:この例では、例21のウェブ材料のすき間にカルボキシメチルセルロース(CMC)を吸収させて、ウェブ材料内部でCMCをそれ自身と架橋させることを説明する。この構造物を作るために、完成した例21の材料を得て、Reidの米国特許第3379720号(参照により本明細書の一部とする)に教示されているように、その材料を化学的に架橋した。この処理において、37%HClを滴下して加えて、4%CMC溶液のpHをpH4に調節した。CMCを吸収させて例20に従って空気乾燥したら、その複合物を100℃に設定したオーブン内に1時間置いて、CMC化学骨格に存在するカルボン酸基とアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。架橋したCMC材料が内部に含まれている、伸長した高多孔質自己凝集PGA:TMCウェブ材料が得られた。
例25:この例では、例24の架橋したCMCウェブ材料をPBS中で膨潤させることを説明する。例24の材料をPBS中に数分浸漬した。浸漬するとCMCは膨潤してハイドロゲルで満たされたウェブが作られた。さらに2日間浸漬した場合でも、CMC材料の架橋した化学基によってCMCがウェブ内部に保持された。架橋したハイドロゲルで満たすとウェブ材料はPBSを通さなかった。この実施態様のウェブ材料は、流体バリアとして有効に機能した。
例26:この例では、完成した例5の7:1ウェブのすき間にポリビニルアルコール(PVA)を吸収させることを説明する。この構造物を作るために、USPグレードのポリビニルアルコール(PVA)を、Spectrum Chemical Company, (Gardena, CA)から得た。PVAを濃度10%(すなわち10g/100mL)で脱イオン水中に加熱撹拌して溶解した。閉じこめられた空気を遠心分離により除去した。ローラーを用いて例5のウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にPVA溶液を吸収させて、高多孔質ウェブのすき間を完全に満たした。吸収させたウェブを室温で16時間空気乾燥して、PVA吸収自己凝集PGA:TMCウェブ材料を製造した。
例27:この例では、例26のウェブのすき間にポリビニルアルコール(PVA)を吸収させて、PVAをウェブからリン酸バッファー生理食塩水(PBS)溶液中に溶解することを説明する。例26のPVA吸収ウェブ材料をPBS溶液中に浸漬した。浸漬するとPVAが膨潤して、ハイドロゲルで満たされて伸長した自己凝集PGA:TMCウェブ材料が作られた。さらに10分間浸漬すると、PVAはPBS中に溶解してウェブ材料から溶出した。
例28:この例では、例26のPVA吸収材料をコハク酸と架橋することを説明する。PVAを例26のウェブ材料に吸収させたら、Izardの米国特許第2169250号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って、PVAをジカルボン酸であるコハク酸と化学的に架橋した。
PVAを濃度10%(すなわち10g/100mL)で脱イオン水中に加熱撹拌して溶解した。コハク酸(Sigma)も濃度2g/100mLでPVA溶液中に溶解した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて例5の7:1ウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にPVA−コハク酸溶液を吸収させて、高多孔質ウェブのすき間を完全に満たした。ウェブ材料を室温で16時間空気乾燥した。複合物を140℃に設定したオーブン内に15分間置いて、コハク酸に存在するカルボン酸基とPVAに存在するアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。
例29:この例では、例26のPVA吸収材料をクエン酸と架橋することを説明する。PVAを例26のウェブ材料に吸収させたら、Izardの米国特許第2169250号(参照により本明細書の一部とする)の教示に従って、PVAをトリカルボン酸であるクエン酸と化学的に架橋した。
PVAを濃度10%(すなわち10g/100mL)で脱イオン水中に加熱撹拌して溶解した。クエン酸(Sigma)も濃度2g/100mLでPVA溶液中に溶解した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて例5の7:1ウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にPVA−クエン酸溶液を吸収させて、高多孔質ウェブ材料のすき間を完全に満たした。ウェブ材料を室温で16時間空気乾燥した。複合物を140℃に設定したオーブン内に15分間置いて、クエン酸に存在するカルボン酸基とPVAに存在するアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。
例30:この例では、例26のPVA吸収材料をアスパラギン酸と架橋することを説明する。PVAを例26のウェブに吸収させたら、PVAをアミノジカルボン酸であるアスパラギン酸と化学的に架橋した。
PVAを濃度10%(すなわち10g/100mL)で脱イオン水中に加熱撹拌して溶解した。アスパラギン酸(遊離酸、Sigma)も濃度1g/100mLでPVA溶液中に溶解した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて例5の7:1ウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にPVA−アスパラギン酸溶液を吸収させて、高多孔質ウェブ材料のすき間を完全に満たした。ウェブ材料を室温で16時間空気乾燥した。複合物を140℃に設定したオーブン内に15分間置いて、アスパラギン酸に存在するカルボン酸基とPVAに存在するアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。
例31:この例では、例26のPVA吸収材料をカルボキシメチルセルロース(CMC)と架橋することを説明する。PVAを例26のウェブに吸収させたら、PVAをポリカルボン酸であるCMCと化学的に架橋した。
PVAを濃度10%(すなわち10g/100mL)で脱イオン水中に加熱撹拌して溶解した。CMCも濃度1g/100mLでPVA溶液中に溶解した。この処理において、37%HClを滴下して加えて、1%CMC溶液のpHをpH1.5に調節した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて例5の7:1ウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にPVA−CMC酸性溶液を吸収させて、高多孔質ウェブ材料のすき間を完全に満たした。ウェブ材料を室温で16時間空気乾燥した。複合物を140℃に設定したオーブン内に15分間置いて、CMCに存在するカルボン酸基とPVAに存在するアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。
例32:この例では、例28〜31の構造物のハイドロゲル成分をPBS中で膨潤させることを説明する。これらの構造物をそれぞれPBS溶液中に浸漬すると、PVAは膨潤してハイドロゲルで満たされた本発明のウェブ材料が作られた。さらに2日間浸漬した場合でも、上述の化学架橋が存在するために、全てのウェブ材料中のPVAは変化しなかった。ハイドロゲルで満たされた各ウェブ材料は、ウェブ材料を横切るPBSの移動を防止することが観察された。
例33:この例では、例5のウェブ材料のすき間にPLURONIC(登録商標)界面活性剤を吸収させることを説明する。PLURONIC(登録商標)界面活性剤は、BASF (Florham Park, NJ)から入手可能な、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーである。グレードF−127などのある種のグレードのPLURONIC(登録商標)界面活性剤は、Henryの米国特許第5366735号(参照により本明細書の一部とする)に教示されているように、温かい生物学的流体に浸漬するとゲルを形成する。グレードF−127のPLURONIC(登録商標)界面活性剤を濃度5g/5mLでジクロロメタン中に溶解した。
ローラーを用いて例5の7:1ウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にF−127溶液を吸収させて、高多孔質ウェブ材料のすき間を完全に満たした。吸収させたウェブ材料を60℃で5分間乾燥した。吸収させたウェブ材料を、予め37℃に温めたPBS中に浸漬した。浸漬するとF−127は膨潤してハイドロゲルで満たされたウェブ材料が作られた。37℃でさらに1日浸漬すると、F−127は溶解してウェブ材料から溶出した。
例34:この例では、例21のウェブ材料のハイドロゲル材料に生理活性種を組み入れることを説明する(図9A)。デキサメタゾン(Sigma, St. Louis)を濃度10mg/100mLで脱イオン水中に溶解した。工業用ブレンダーを用いて高粘度CMC 4gをその溶液に添加した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて完成したウェブにCMC/デキサメサゾン溶液を吸収させて、室温で16時間空気乾燥した。PBS中に浸漬すると、CMCは膨潤し、デキサメサゾンはハイドロゲルから流出したことが観察された。
例35:この例では、例21のウェブ材料のハイドロゲル材料に物理架橋を用いて生理活性種を組み入れることを説明する。リン酸デキサメサゾン(Sigma, St. Louis)を濃度10mg/100mLで脱イオン水中に溶解した。工業用ブレンダーを用いて高粘度CMC 4gをその溶液に添加した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて完成したウェブにCMC/リン酸デキサメサゾン溶液を吸収させて、室温で16時間空気乾燥した。PBS中に浸漬すると、CMCは膨潤し、塩基性のリン酸デキサメサゾンと酸性のCMCとの間の物理的な酸/塩基錯形成のために、リン酸デキサメサゾンが例34よりも遅い速度でハイドロゲルから流出したことが観察された。
例36:この例では、例24のウェブ材料のハイドロゲル材料に化学架橋を用いて生理活性種を組み入れることを説明する。デキサメサゾン(Sigma, St. Louis)を濃度10mg/100mLで脱イオン水中に溶解した。工業用ブレンダーを用いてCMC 4gをその溶液に添加した。37%HClを滴下して加えて、デキサメサゾン/CMC溶液のpHをpH4に調節した。例20に従ってデキサメサゾン/CMC溶液を吸収させ空気乾燥したら、その複合物を100℃に設定したオーブン内に1時間置いて、CMC化学骨格に存在するカルボン酸基とアルコール基との間、及びCMCに存在するカルボン酸基とデキサメサゾンに存在するアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。PBS中に浸漬すると、CMCは膨潤し、デキサメサゾンとCMCとの間の化学エステル結合形成のために、デキサメサゾンが例35よりも遅い速度でハイドロゲルから流出したことが観察された。
例37:この例では、例28のウェブ材料のハイドロゲル材料に化学架橋を用いて生理活性種を組み入れることを説明する。デキサメサゾン(Sigma, St. Louis)を濃度10mg/100mLで脱イオン水中に溶解した。
PVAを濃度10%(すなわち10g/100mL)で脱イオン水中に加熱撹拌して溶解した。コハク酸(Sigma)も濃度2g/100mLでPVA溶液中に溶解した。閉じこめられた空気は遠心分離により除去した。ローラーを用いて例5の7:1ウェブ材料(3.8cm×10.2cm)にデキサメサゾン−PVA−コハク酸溶液を吸収させて、高多孔質ウェブのすき間を完全に満たした。ウェブ材料を室温で16時間空気乾燥した。複合物を140℃に設定したオーブン内に15分間置いて、コハク酸に存在するカルボン酸基とPVAに存在するアルコール基との間、及びコハク酸に存在するカルボン酸基とデキサメサゾンに存在するアルコール基との間のエステル架橋を誘起した。このようにして、デキサメサゾンはエステル結合を介してコハク酸と化学的に結合しており、そしてコハク酸はエステル結合を介してPVAと化学的に結合していた。PBS中に浸漬すると、PVAは膨潤し、デキサメサゾンとコハク酸/PVAとの間のエステル結合形成のために、デキサメサゾンが遅い速度でハイドロゲルから流出したことが観察された。
例38:この例では、伸長した生体吸収性ウェブと組み合わせた追加材料を包含する、本発明の物品の形成を説明する(図12)。
一連の穴(0.5cm)を、85%d,l−PLA−co−15%PGAコポリマー(Absorbable Polymers, Pelham, Alabama, USAから入手可能)から構成される溶剤キャストフィルムの2つの長方形片に切り込んだ。完成した例1の6:1最終ウェブ材料を同等の大きさにした長方形片を得て、2片のフィルム材料の間に配置して、PLA:PGAコポリマーを軟化しかつ例1のウェブのすき間に浸透させるのに十分な高温及び時間で一緒に押し付けた。得られた積層複合物は、封入したウェブ材料がフィルムの穴により局部的に露出した領域を有していた。与えた圧力、温度並びに利用したフィルムの厚さ及びウェブの厚さに応じて、向かい合うフィルム層の間のウェブの気孔は満たされてもよく、満たされなくてもよい。代わりに、用意したウェブの一方の表面にフィルム(穴有り又は穴無し)を適用してもよい。37℃の水性条件に曝したときに、フィルムの構成要素によって順応性のある剛性が付与され、その順応性のある剛性により、移植前にウェブ構造物を触って操作して所望の非平面形状に維持することが容易になる。
説明した積層要素の組成物を、生理活性剤のための担体としてさらに機能しうる、あるいは含有する生理活性物質を制御された速度で放出する媒体として機能しうる、望ましい特性を備えた吸収性又は非吸収性の天然材料又は合成材料のいずれかから選択してもよい。あるいは、説明した積層複合物を、様々な可能な手段によって、生物学的応答(例えば止血、炎症)を引き出す他の吸収性又は非吸収性の天然材料又は合成材料に取り付けて、機械的支持を提供してもよく、及び/又は生理活性剤を送達するためのビヒクルとしてもよい。
例39:この例では、綿撒糸材料と組み合わせた本発明の材料を含む、複合材料の構築を説明する(図10)。本発明の材料は、外科手技中にステープル装置の所定位置に綿撒糸材料を保持する助けとなる(図10A及び10B)。
完成した例1の6:1で伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料を2つ得て、パターン追跡(pattern-following)レーザーを用いて同じ大きさの長方形状に切り抜き、一緒に積み重ねて層間に小袋を形成した。パターン追跡レーザーを、W.L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, AZから入手したPGA:TMCのブロックコポリマー(67:33、質量%)で作られた、長方形の生体吸収性綿撒糸材料の切断にも使用した。レーザーパターンによって3片のウェブ材料が正確な寸法に制御された。また、レーザーパターンによって3片のウェブ材料に4つの小さな位置合せ穴が付与された。位置合せ穴は、個々の小片をマンドレル上に配置してウェブ材料の溶接を補助するために使用した。マンドレルは正方形の横断面形状を有していた。
器具を構築するために、伸長した多孔質ウェブ材料を2つ積み重ねた小片を、マンドレルの4面のうち3面の周りに巻き付け、レーザーで切り抜かれた穴を通って位置する位置合せピンで所定位置に保持した。綿撒糸材料をマンドレルの第4面に配置し、レーザーで切り抜かれた穴を通って位置する位置合せピンで所定位置に保持した。小片を適当に並置したら、その組み合わせを超音波溶接機上に挿入し長方形ウェブ材料の2つの長辺に沿って加熱圧縮溶接を形成して、伸長した多孔質ウェブ材料を綿撒糸材料に取り付けた。溶接幅はおよそ0.025cmであった。最終形態の構造物は、実質的に正方形の横断面を有する概ねチューブの形状であった。超音波溶接は、綿撒糸材料の操作中に綿撒糸材料をステープル装置上に保持するのに十分強い一方で、伸長した多孔質ウェブ材料に引っ張る力を与えたときに、綿撒糸材料と伸長した多孔質ウェブ材料とを分離可能にするのに十分な壊れやすさも残していた。
伸長した多孔質ウェブ材料からの綿撒糸材料の分離を補助するために、ポリエチレンテレフタレート(PET)で作られた引張り紐を、上述の超音波溶接処理の前に、伸長した多孔質ウェブ材料に取り付けた。プルタブを引張り紐の自由端に付与した。複合材料の構築後、取り付けた引張り紐を巻いて、プルタブを露出させた状態で小袋に収納した。
類似実施態様では、超音波溶接に近接して綿撒糸材料に孔を開けて、伸長した多孔質ウェブ材料からの綿撒糸材料の分離を補助した。
例40:この例では、生体非吸収性材料と組み合わせた本発明の材料を含む、複合材料の構築を説明する(図15)。この実施態様では、生体吸収性材料が、複合物の生体非吸収性材料と別の領域を占めている。特に、この本発明の複合材料は、器具の生体非吸収性部分が移植レシピエントの体内に残りうる一方で、生体吸収性部分が移植レシピエントの身体から予測可能な期間内に消失する、移植可能な歯科器具として有用である。この実施態様では、第2の移植可能な歯科器具を、本発明物の生体吸収性部分が元々占めていた、本発明物の領域に配置することが可能である。
完成した例1の6:1ウェブ材料を得て、およそ幅0.5cm×長さ0.75cmの楕円形状に切り抜いた。角が丸まった、医療グレードの多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)長方形片を、W.L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, AZから入手した。ePTFE材料は幅0.75cm、長さ1.0cmであった。例1の材料の外径より若干小さい穴をePTFEに切り抜いた。例1の材料をその穴を覆って配置し、例1の材料をいくらか溶解してePTFE材料の多孔質構造中に流入させるのに十分な、穴の端に沿って適用された少量のPLA:TMC/アセトン溶液を用いて、所定位置に溶剤接着した。利用したアセトン溶液は、Boehringer Ingelheim, (Ingelheim, Germany及びPetersburg, Virginia, USA)から市販されているコポリマーである、ポリ(70%ラクチド−co−30%トリメチレンカーボネート)およそ20%(質量/体積)から構成されていた。例1の材料の融点未満に加熱したオーブン内に減圧下で複合材料を短時間配置して、移植可能な医療器具からアセトン溶剤を完全に除去した。
この例の器具は、欠損部位又は損傷部位の組織の再成長又は再生を必要とする医療状況に特に適している。例えば、いくつかの歯科用途では、修復手順の一部として顎骨に空間が作られるか拡大される。周囲の歯肉組織がその空間に内方成長することを防止しない限り、骨はその空間内で所望するように再成長しない。この例の器具は、骨の中の空間を覆って配置されて、不要な組織がその空間に内方成長することを防止しつつ、所望の骨組織の再成長を促進する。ePTFE単独で作られた従来の器具を用いると、ePTFEが移植部位に一生残る。いくつかの状況では、第2の移植可能な歯科器具、例えば金属鋲を、新たに再成長した骨組織に配置することが望ましい場合がある。本発明の生体吸収性材料を有するePTFE組織バリア材料を提供すれば、器具の生体吸収性部分を移植部位から消失させて、第2の歯科インプラントを配置するための、ePTFE材料を通る、遮られていない経路を残すことが可能になる。
例41:この例では、生体吸収性要素と組み合わせた生体非吸収性要素を有する、本発明の複合材料の構築を説明する(図21)。この例では、例1で説明したような完成した6:1生体吸収性ウェブ材料を多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン材料に接着して、移植可能なシートを形成した。このシートは、様々な解剖学的膜の置換又は代用として使用可能である。特に、これらの膜は、神経系の硬膜及び他の膜の代用として有用である。
例1の生体吸収性材料を得て、その材料で繊細なフィブリル及び広大な細孔体積を有する薄いePTFEシート材料の上を覆った。ePTFE材料は、Bacinoの米国特許第5476589号(参照により本明細書の一部とする)に従って作った。
2枚の材料シートを、上述のPLA:TMC/アセトン溶液を用いて溶剤接着した。接着後、加熱真空下でアセトンを除去した。移植可能な医療器具として使用するのに適した複合シート材料が得られた。
例42:この例では、解剖学的構造又は器官の外部支持ラップとして、本発明の伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料を使用することを説明する(図11)。このラップを、漏出及び組織接着を最小限にするために、吻合部位に使用することも可能である。
この例では、組織適合性の研究を一群の動物について行った。研究において、例1に従って作った、伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料の一片を2cm×5cmの長方形片に切り抜いた。完成した例1の6:1で単軸伸長したウェブ材料は、ウェブの長い方の寸法(すなわち10cm)において伸長する能力を示した。生体非吸収性材料から作った対照材料を、W.L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, AZから、商品名PRECLUDE(登録商標)Dura Substitute (PDS)で入手した。
8のニュージーランドホワイトラビットの各結腸の2つの部位を試験に使用した。肛門からおよそ5cmの遠位部位において、試験材料のうち1つの小片で結腸の周りを覆った。結腸のさらに上方5cmであるより近位において、第1の小片と異なる、試験材料の別の小片で結腸の周りを覆った。材料は結腸漿膜の周りにスリーブを形成し、GORE−TEX(登録商標)Suturesで所定位置に縫いつけた。
7日及び30日の終わりに、全ての動物を犠牲にして様々な材料を無傷で回収した。付随する接着部を有する、覆った結腸の特定の区域を、パラフィン組織検査のために10%中性バッファードホルマリンに浸漬した。材料への接着を点数化した。
本発明のウェブ材料の肉眼的評価及び組織分析を行ったところ、7日で漿膜中にウェブ材料が取り込まれていたことが示された。本発明のウェブ材料は、31日で結腸漿膜に加えて周囲の接着部に良好に取り込まれていた。本発明のウェブ材料は、7日及び31日の両方で新生血管が高度に形成して見えた。PDSは7日又は31日で漿膜中に取り込まれておらず、材料も新生血管が形成していなかった。
本発明のウェブ材料を、部分的に架橋したポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース又はヒアルロン酸バイオ材料などの生体吸収性接着バリア材料の被膜と組み合わせて使用すると有利である。
先行技術の自己凝集ウェブ材料の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 先行技術の自己凝集ウェブ材料の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 単一方向に伸長した、本発明の実施態様の50倍の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 50−50PGA:TMCから作製し単一方向に伸長した、本発明の実施態様の100倍の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 互いにほぼ直交した2方向で伸長した、本発明の実施態様の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 本明細書でフリースと呼ぶ形状を有する、本発明の実施態様の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 材料の中心から外に向かって全方向で伸長した、本発明の実施態様の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。 本発明で使用する前駆ウェブ材料を製造するのに適した装置の概略図である。 本発明の完成したウェブ材料において、様々な伸長比がフィラメント径に与える影響を示すグラフである。 所与の伸長比について、直径が20μm未満のフィラメントの百分率を示すグラフである。 本発明の完成したウェブ材料における、複屈折率とフィラメント径の関係を示すグラフである。 ウェブ材料の表面上及び空隙中に配置された少なくとも1つの追加材料を有する、本発明のウェブ材料の図である。 ウェブ材料の表面上及び空隙中に配置された少なくとも2つの追加材料を有する、本発明のウェブ材料の図である。 綿撒糸材料に取り付けられた本発明のウェブ材料の図である。 綿撒糸材料に取り付けられてステープル装置に配置された、本発明のウェブ材料の図である。 綿撒糸材料に取り付けられてステープル装置に配置された、本発明のウェブ材料の図である。 吻合ラップの形状の、本発明のウェブ材料の図である。 開口部を有する第2の材料の間に配置された本発明のウェブ材料の図であり、その開口部を通してウェブ材料が露出している。 チューブ形状を有する本発明のウェブ材料の図である。 円筒形状を有する本発明のウェブ材料の図である。 本発明のウェブ材料及び生体非吸収性材料の図である。 少なくとも1つの構造要素が内部に含まれている、チューブ形状の本発明のウェブ材料の図である。 半径方向及び長手方向に寸法を変化させることが可能な、チューブ形状の本発明のウェブ材料の図である。 血液凝固時間検定の全体図である。 非常に高い気孔率を有する本発明のウェブ材料の写真である。 非常に高い気孔率を有しており、金属バンドが取り付けられている、本発明のウェブ材料の写真である。 非常に高い気孔率を有しており、複数の金属バンドが取り付けられている、本発明のウェブ材料の写真である。 送達器具の内側に配置された図19のウェブ材料の図である。 生体非吸収性材料の上に重ねられた、伸長した自己凝集ウェブ材料を有する複合材料の図である。 生体非吸収性材料の上に重ねられており、生理活性種を放出可能に含有する、伸長した自己凝集ウェブ材料を有する複合材料の図である。

Claims (19)

  1. 高多孔質自己凝集不織ウェブの製造方法であって、
    秩序−無秩序転移温度及び結晶化発熱エンタルピーを有する自己凝集フィラメントを含む不織前駆ウェブ材料を用意する工程であって、前記自己凝集フィラメントが、部分的に相不混和性のブロックコポリマー又はフィラメントへの押出を可能にするのに十分な溶融混和性を有する、ポリマーもしくはコポリマーのブレンドから構成される、工程と;
    前記前駆ウェブ材料を軟化する工程であって、前記前駆ウェブ材料の秩序−無秩序転移温度より高温であってかつ軟化した前記前駆ウェブ材料の結晶化発熱エンタルピーの実質的な減少につながりうる熱及び時間の組み合わせ未満で軟化する、工程と;
    その軟化した前駆ウェブ材料を少なくとも一方向に少なくとも2:1の比率で伸長して、全体積の少なくとも90%が空隙である未アニールの伸長した高多孔質自己凝集ウェブを形成する、工程と;
    その伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を最大に張って拘束しながら部分的にアニールする工程と;
    その伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を最大に張った拘束から解放する工程と;
    その伸長したウェブ材料への拘束が少なくなった後で、その伸長したウェブ材料を完全にアニールすることにより、その伸長して部分的にアニールされた高多孔質自己凝集ウェブ材料のかさばりを増大する工程と
    を含む、方法。
  2. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、4:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、5:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  4. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、6:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  5. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、7:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  6. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、8:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  7. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、9:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  8. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料が、10:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  9. 前記伸長した多孔質自己凝集ウェブ材料を、チューブ状構造物に形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料が、3:1の比率で伸長されている、請求項1に記載の方法。
  11. 前記前駆ウェブ材料が単軸伸長される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記前駆ウェブ材料が二軸伸長される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記前駆ウェブ材料が放射状に伸長される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記伸長したウェブ材料を前記前駆ウェブ材料の最大伸長から10%〜60%収縮させる、請求項1に記載の方法。
  15. 高多孔質自己凝集不織ウェブの製造方法であって、
    自己凝集性紡糸フィラメントを形成可能なポリマー材料を用意する工程と;
    前記ポリマー材料を、少なくとも1つの加熱した紡糸口金を通して押し出して、少なくとも1つの連続フィラメントを形成する工程と;
    前記連続フィラメントを移動式収集装置上で収集する工程と;
    収集した前記連続フィラメントを自己凝集させて、秩序−無秩序転移温度及び結晶化発熱エンタルピーを有する実質的に無定形で不織の自己凝集したポリマー前駆ウェブ材料を形成する工程と;
    前記ポリマー前駆ウェブ材料を軟化する工程であって、前記ポリマー前駆ウェブ材料の秩序−無秩序転移温度より高温であってかつ軟化した前記前駆ウェブ材料の結晶化発熱エンタルピーの実質的な減少につながりうる熱及び時間の組み合わせ未満で軟化する、工程と;
    その軟化したポリマー前駆ウェブ材料を少なくとも一方向に少なくとも2:1の比率で伸長して、全体積の少なくとも90%が空隙である未アニールの伸長した高多孔質自己凝集ウェブを形成する、工程と;
    その伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を最大に張って拘束しながら部分的にアニールする工程と;
    その伸長した高多孔質自己凝集ウェブ材料を最大に張った拘束から解放する工程と;
    その伸長したウェブ材料への拘束が少なくなった後で、その伸長したウェブ材料を完全にアニールすることにより、その伸長して部分的にアニールされた高多孔質自己凝集ウェブ材料のかさばりを増大する工程と
    を含む、方法。
  16. 高多孔質自己凝集不織ウェブの製造方法であって、
    秩序−無秩序転移温度及び結晶化発熱エンタルピーを有する自己凝集フィラメントを含む不織前駆ウェブ材料を用意する工程であって、前記自己凝集フィラメントが、部分的に相不混和性のブロックコポリマー又はフィラメントへの押出を可能にするのに十分な溶融混和性を有する、ポリマーもしくはコポリマーのブレンドから構成される、工程と;
    前記前駆ウェブ材料を軟化する工程であって、前記前駆ウェブ材料の秩序−無秩序転移温度より高温であってかつ軟化した前記前駆ウェブ材料の結晶化発熱エンタルピーの実質的な減少につながりうる熱及び時間の組み合わせ未満で軟化する、工程と;
    その軟化したポリマー前駆ウェブ材料を少なくとも一方向に少なくとも2:1の比率で伸長して、全体積の少なくとも90%が空隙である未アニールの伸長した高多孔質自己凝集ウェブを形成する、工程と;
    その伸長した高多孔質自己凝集ウェブを最大に張って拘束しながら完全にアニールする工程と
    を含む、方法。
  17. 前記前駆ウェブ材料が単軸伸長される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記前駆ウェブ材料が二軸伸長される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記前駆ウェブ材料が放射状に伸長される、請求項16に記載の方法。
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