JP5013349B2 - 超硬合金の鋳ぐるみ方法 - Google Patents

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Description

本発明は主としてハイクロム鋳鉄からなる耐摩耗ライナの摩耗寿命を向上させる目的として、機械加工用刃物として使用されている真空薄膜付き超硬合金をハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみする方法に関する。機械加工用の刃物として使用される超硬合金は使用後は廃棄されるケースが多く、高価なW、Co、Niを大量に含有した超硬合金の再利用方法の開発が望まれていた。
従来、耐摩耗性が要求される設備の摩耗対策としては鋳造製の耐摩耗ライナ、硬化肉盛溶接や溶射による被覆あるいは超硬合金やセラミックス板のライニング施工が採用されている。硬化肉盛溶接や溶射による被覆は硬度が高く耐摩耗性に優れているが割れや剥離の欠点があるため被覆層を厚くできない問題がある。超硬合金は靭性が低く割損しやすい問題がある。またロウ付けや接着により施工するため剥離しやすい問題がある。鋳造製耐摩耗ライナとして優れているハイクロムライナは比較的厚く製造できるので摩耗に対する寿命が長く衝撃にも強いことから多くの設備に多用されている。しかしながら、ハイクロムライナは超硬合金に比べると摩耗寿命が短い。摩耗寿命を延長するためにはある程度厚みを厚くする必要があり高価な材料を大量に使用するためコストが高くなっている。またその分、重量が重たくなり現場での取り付け作業に多くの労力と時間を要していた。
ハイクロム鋳鉄の寿命を延長するには厚みを厚くする方法が主流であるが重量が重たくなるとともにCrなどの素材費が高価なこともありコスト高となっている。そのため超硬合金をハイクロム鋳鉄と一緒に鋳ぐるみ、超硬合金との複合体にする方法が提案されている。しかし、超硬合金は高価でありコスト高となるうえにハイクロム鋳鉄などとの接合が不十分な場合、超硬合金が脱落して最後まで超硬合金寿命を享受できないなどの問題があった。一方機械加工用の使用済みチップを回収した回収超硬チップは安価であるものの、回収超硬チップの表面にはTiALNなどの各種真空薄膜が処理してありハイクロム鋳鉄との接合が困難であるため鋳ぐるみ材料としてはほとんど使用されていなかった。
特許文献1においては、母材表面の所定の部位に耐摩耗材を鋳ぐるみによって溶着した鋳造複合材において、前記母材表面の所定部位には、前記耐摩耗材で形成された粒状体が母材を覆うように並べられて粒状体層が形成されており、前記耐摩耗材で形成された柱状体が、所定の間隔で前記粒状体層から母材へ埋め込まれていることを特徴とする鋳造複合材が提案されている。
特許文献2においては、超硬合金チップ、サーメットチップと高クロム鋳鉄との間の結合強度(界面接合力)を向上させるために、超硬合金チップ、サーメットチップの表面に鑞付け層を形成する材質として、無電解Ni−P鍍金を採用する方法が提案されている。
特許文献3においては、鋳造によって硬質層としての超硬粒子を鋳物で一体に成型して成る耐摩耗用焼結体において、該超硬粒子を多角形とし、かつ辺部に凹部を設けた事を特徴とする耐摩耗用焼結体が提案されている。
2009−6347号広報「鋳造複合材」 2001−96182号広報「鋳ぐるみ蝋付け法」 H6−33182号広報「耐摩耗用焼結体及びその製造方法」 特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」 特開2009−297782号広報「液体フラックスと製造装置」 特開2010−100441号広報「液体フラックスと製造装置」 特開2009−255105号広報「気化装置」
特許文献1の方法における問題点は、耐摩耗材で形成された粒状体の表面処理をしないままにハイクロム鋳鉄中に鋳込むことからハイクロム鋳鉄との接合性が悪く粒状体が剥離してしまうことである。
特許文献2の方法における問題点は、無電解Ni−Pメッキ(カニゼンメッキ)を回収超硬合金チップに施す前に表面の真空薄膜などを複雑な工程を経て処理しなければならず多大な手間と費用を要していることである。また、フラックスの耐熱性をアップするために金属ホウ素を含有したフラックスが提示されているが金属ホウ素の融点は2300℃であり1400〜1450℃で鋳込むハイクロム鋳鉄においては十分なフラックス機能を果たすことができなかった。このため、超硬合金とハイクロム鋳鉄の境界には酸化物が生じてしまうために拡散接合できていなかった。
特許文献3の方法における問題点は、超硬粒子を多角形とし、かつ辺部に凹部を設けてハイクロム鋳鉄が冷却するときの収縮力で機械的に接合する方法があるが、超硬粒子とハイクロム鋳鉄はほとんど接合されておらず周辺のハイクロム鋳鉄が摩耗するにつれて超硬粒子を保持できなくなり超硬粒子が脱落することである。
以上のように超硬合金とハイクロム鋳鉄を鋳込む場合は超硬合金表面にカニゼンメッキして超硬合金とハイクロム鋳鉄の接合面に合金層を形成するかあるいは超硬合金を凹凸のある形状にしてハイクロム鋳鉄が収縮する際の機械的な収縮力で超硬合金を保持する接合方法が採用されている。超硬合金にカニゼンメッキを施しハイクロム鋳鉄との合金層を形成するのが最も信頼性の高い接合方法であるが、カニゼンメッキを保護するフラックスに問題があり完全な接合はできていなかった。すなわち、超硬合金をハイクロム鋳鉄と強固に接合するにはカーケンドール効果によりハイクロム鋳鉄と超硬合金の接合面に分子拡散層を形成するフラックスが必要である。また、回収超硬合金チップをハイクロム鋳鉄に鋳込む場合は、回収超硬合金チップにカニゼンメッキを施すために真空薄膜などのコーティングを除去しなければならない問題がある。真空薄膜は機械的なブラスト処理や化学処理が必要であり多大のコストや手間を要していた。このため、コーティングを除去せずに信頼性の高いカニゼンメッキをする方法が求められていた。本発明が解決しようとする課題は、超硬合金をハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみする方法において、超硬合金の真空薄膜を除去することなく、真空薄膜の上に銅メッキを施して鋳ぐるみすることによりハイクロム鋳鉄との完全な接合体を具現化することである。回収超硬チップの真空薄膜の上に銅メッキができればカニゼンメッキしなくても直接回収超硬チップとハイクロム鋳鉄との鋳込みが可能である。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、超硬合金をハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみする方法において、前記超硬合金の表面に銅メッキを施し、該銅メッキの上に少なくとも複数のフッ化物とホウ化物を溶媒に溶解して生成した液体フラックスを塗布し、該液体フラックスを乾燥せしめてフラックス結晶を生成せしめて、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみするハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記銅メッキのメッキ浴はホウ酸水溶液とフッ化水素と銅からなるホウフッ化銅浴であり、該ホウフッ化銅浴に前記フッ化水素を連続的に添加しながら電気メッキするハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記銅メッキした前記超硬合金の上にマンガンメッキもしくはカニゼンメッキもしくはマンガンメッキとカニゼンメッキを施すハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記液体フラックスは、クリオライト(3NaFAlF3)、ケイフッ化ナトリウム(NaSiF6)、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウ砂(Na2B4O7)、ホウ酸(H3BO3)、リン酸(H3PO4)をアルコールやアセトンなどの溶媒に5wt%以上溶解して生成したものであるハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記鋳型の表面には前記液体フラックスを混合した塗型剤が塗布してあり、前記鋳型の空隙部には前記液体フラックスを気化せしめた前記気化フラックスを注入しているハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記塗型剤に混合する前記液体フラックスはホウ酸(H3BO3)、ケイフッ化ナトリウム(Na2SiF3)、ホウ弗化カリウム(KBF4)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、リン酸(H3PO4)をアルコールやアセトンの溶媒に5wt%以上溶解したものであるハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第7の解決手段は特許請求項7に示すように、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、前記超硬合金に貫通孔を設け、該貫通孔に串を通して複数の前記超硬合金を連結し、前記串を適宜間隔にて支持体で支持し、該支持体を基材30に取り付けてモジュール化し、該モジュール全体を液体フラックスでコーティングせしめて鋳型にセットして鋳込むハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第8の解決手段は特許請求項8に示すように、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、前記基材に垂直もしくは斜め溝を形成し、該溝に前記超硬合金を差し込んで固定するハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第9の解決手段は特許請求項9に示すように、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、前記超硬合金の前記貫通孔に頭付きピンを貫通せしめて、該頭付きピンを鋳型底に突き刺して固定し、前記ピンを前記基材に固定するハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第10の解決手段は特許請求項10に示すように、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、前記超硬合金を金網に配列収納し、前記金網を前記鋳型に配設してハイクロム鋳鉄と鋳込むハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法である。
第11の解決手段は特許請求項11に示すように、前記超硬合金に銅メッキし、もしくは該銅メッキの上にマンガンメッキもしくはカニゼンメッキもしくはマンガンメッキとカニゼンメッキをした後、前記超硬合金をモジュール化し、該モジュールを前記液体フラックスに浸漬して前記液体フラックスを塗布し、前記液体フラックスを乾燥させてフラックス結晶を析出させた後、前記モジュールを前記鋳型にセットして前記ハイクロム鋳鉄と鋳込んだ耐摩耗ライナである。
第1の解決手段による効果は、(1)ハイクロム鋳鉄と超硬合金を液体フラックスの有する清浄作用、酸化防止作用、表面張力除去作用の機能により、ハイクロム鋳鉄と銅メッキ、ハイクロム鋳鉄とマンガンメッキ、ハイクロム鋳鉄とカニゼンメッキの間にカーケンドール効果を生じさせて拡散接合できる、(2)ハイクロム鋳鉄と超硬合金が一体化するので超硬合金がハイクロム鋳鉄から脱落しない、(3)耐摩耗ライナとしてのハイクロム鋳鉄の摩耗寿命を延長できることである。
第2の解決手段による効果は、回収超硬チップのように表面に真空薄膜などのコーティング材がある場合でも、コーティング材を剥ぐことなくコーティング材の上に直接銅メッキができることである。
第3の解決手段による効果は、マンガンメッキのマンガン(Mn)とカニゼンメッキのリン(P)が還元作用を助ける効果があり、カーケンドール効果が生じやすくなること及びカニゼンメッキのニッケル(Ni)がロウ材となり超硬合金とハイクロム鋳鉄をロウ付けすることである。
第4の解決手段による効果は、液体フラックスの有する清浄作用、酸化防止作用、表面張力除去作用の機能により、銅メッキカニゼンメッキとハイクロム鋳鉄の間にカーケンドール効果による拡散接合ができることである。
第5の解決手段による効果は、(1)液体フラックスを気化せしめた気化フラックスを前もって鋳型中に圧入することによりポーラス空間の水分や水素を除去できる、(2)気化フラックス及び塗布した液体フラックスは溶媒中の炭化水素により急熱されることで鋳型内の水分を還元して分子ガスに変えかつ生砂中にホウ酸ガラスを生成させるため溶湯接触部のピンホール、鋳巣、引けなどを防止できる、(3)塗型剤中のFe2O3、KMnO2などの添加物は低融点反応剤としては弱いのでこれをカバーするために塩基性の液体フラックスを入れることで、鋳型表面に乾燥して張り付いた液体フラックス(溶媒は蒸発して個体部分だけが残存している状態)と鋳型に圧入した気化フラックスにより激しい酸化還元作用が生じ短時間で回収超硬チップとハイクロム鋳鉄の接合反応を完了できることである。
第6の解決手段による効果は、超硬合金とハイクロム鋳鉄のロウ付け接合に適した液体フラックスを生成することにより、(1)ハイクロム鋳鉄と超硬合金を液体フラックスの有する清浄作用、酸化防止作用、表面張力除去作用の機能により、ハイクロム鋳鉄と銅メッキ、ハイクロム鋳鉄とマンガンメッキ、ハイクロム鋳鉄とカニゼンメッキの間にカーケンドール効果を生じさせて拡散接合できることである。
第7の解決手段による効果は、(1)ハイクロム鋳鉄に比べて比重の大きな超硬合金の浮き上がりを防止して、ハイクロム鋳鉄の中に超硬合金を設計通り配置できる、(2)超硬合金を串刺しにして束ねているので衝撃に強い耐摩耗ライナを製造できることである。
第8の解決手段による効果は、(1)ハイクロム鋳鉄に比べて比重の大きな超硬合金の浮き上がりを防止して、ハイクロム鋳鉄の中に超硬合金を設計通り配置できる、(2)超硬合金をハイクロム鋳鉄の中に壁状に並べているので摩耗と衝撃に強い耐摩耗ライナを製造できることである。
第9の解決手段による効果は、(1)ハイクロム鋳鉄に比べて比重の大きな超硬合金の浮き上がりを防止して、ハイクロム鋳鉄の中に超硬合金を設計通り配置できる、(2)超硬合金をハイクロム鋳鉄の表面に平面的に並べることができるので面積の広い耐摩耗ライナを製造できることである。
第10の解決手段による効果は、(1)ハイクロム鋳鉄に比べて比重の大きな超硬合金の浮き上がりを防止して、ハイクロム鋳鉄の中に超硬合金を設計通り配置できる、(2)超硬合金をハイクロム鋳鉄の表面に平面的に並べることができるので面積の広い耐摩耗ライナを製造できる、(3)金網の網目を通してハイクロム鋳鉄の溶湯が超硬合金の間に流入しやすいことである。
第11の解決手段による効果は、ハイクロム鋳鉄と超硬合金を銅やマンガンやニッケルによってロウ付けした耐摩耗ライナの提供である。ハイクロム鋳鉄と超硬合金がカーケンドール効果によって一体的に接合しているので超硬合金がハイクロム鋳鉄から剥離する問題を解消したことである。
超硬合金の鋳ぐるみ前の断面図 超硬合金とハイクロム鋳鉄の鋳ぐるみ断面図 超硬合金の鋳ぐるみ前の断面図 フラックス結晶のモデル図 超硬合金とハイクロム鋳鉄の鋳ぐるみ断面図 超硬合金の鋳ぐるみ前の断面図 超硬合金とハイクロム鋳鉄の鋳ぐるみ断面図 超硬合金の鋳ぐるみ前の断面図
以下、本発明の実施の形態を図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8に基づいて説明する。
第1の解決手段は、超硬合金10をハイクロム鋳鉄20に鋳ぐるみする方法において、前記超硬合金10の表面に銅メッキ12を施し、該銅メッキ12の上に少なくとも複数のフッ化物とホウ化物を溶媒に溶解して生成した液体フラックス15を塗布し、該液体フラックス15を乾燥せしめてフラックス結晶15を生成せしめて、前記超硬合金10を前記ハイクロム鋳鉄20に鋳ぐるみするハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
中央部に貫通孔(図示せず)を設けた超硬合金10の鋳込みを例に挙げて説明する。図1において、超硬合金の貫通孔に串32を通して複数の超硬合金10を連結する。串32を適宜間隔にて支持体31で支持する。支持体31を基材30に溶接する。ハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の接触面積を大きくして接合性を強固にするために、超硬合金10同士間にはスペーサ33を配設して隙間ができるようにしている。超硬合金10、基材30、支持体31、串32、スペーサ33は一体のモジュール60となっている。モジュール60化することにより超硬合金10を鋳型40内に設計通り配設できる。ハイクロム鋳鉄20の溶湯はフィルタ50を経由して鋳型40に注がれる。基材30は熱歪を考慮してあらかじめ鋳型40の内側に向けて反らせておくのがよい。図2はハイクロム鋳鉄20と超硬合金10からなる耐摩耗ライナ70である。基材30の材質はハイクロム鋳鉄などの鋳鉄材、鋳鋼材、SS400などの炭素鋼材、SUS材などの金属材料が使用できる。支持体31、串32、スペーサ33は炭素鋼材、SUSなどが使用できる。フィルタ50材質はセラミックスなどが使用できる。
超硬合金10は、タングステンカーバイト(WC)、MoC、VC、NbC、TiCなどの複合炭化物をNiやCoにて粒子間結合させたものである。超硬合金10からなる工具表面には窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、チタンアルミナイトライド(TiALN)、アルミクロムナイトライド(ALCrN)などの硬質物質を化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)した切削工具が主流になりつつある。
ハイクロム鋳鉄20の化学成分は一般的に重量%で、C:2.5〜3.5%、Si:0.3〜0.5%、 Mn:0.4〜0.6、P: 0.02以下、S: 0.02以下、Cr:24〜28、Ni:max2%、 残Feであり、炭化クロムCr2C7を主力としている。用途に応じてMo、Nb、V、W、Ti、ALなどを添加する場合がある。
従来のハイクロム鋳鉄20の化学成分を基本にして、これに炭化物を形成する元素を添加してハイクロム鋳鉄20の硬度向上を図ることも可能である。従来の主成分である炭化クロム(Cr2C7)に加えて、炭化ニオブ(NbC2)、炭化モリブデン(MoC)、炭化バナジウム(VC)、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)などの炭化物を析出させた組織構造とすることによりハイクロム鋳鉄20の硬度はHv900〜1200を実現できる。添加元素の内、Ti、V、Ni、Moは硬度向上の他に結晶微細化剤としての働きもある。ハイクロム鋳鉄20は急熱急冷すると針状炭化物となるため割れやすいがTi、V、Ni、Moなどの結晶微細化を促進する元素を添加することにより、マルテンサイトやセメンタイト中にセミオーステナイトが生まれるので緩衝材の役割を果たし割れにくくなる。硬度向上のための主な炭化物はCr2C7、NbC2、WCでありこれらがハイクロム鋳鉄20中の炭化物の95%程度を占めている。ハイクロム鋳鉄20に各種炭化物形成元素を添加すると超硬合金10との接合性が低下したりクラックが入りやすくなったりするなどの問題があったが、銅メッキ12への液体フラックス15塗布によりこれらの問題を解決できた。
ハイクロム鋳鉄20の品質を確保するには溶湯の流動性をよくする必要があり、ジルコニアレンガの最大耐熱温度である1600±50℃近辺まで溶湯温度を上げて鋳込むのが望ましい。超硬合金10は冷やし金として作用するので溶湯の急冷を緩和するために通常の鋳込みよりも溶湯温度は100℃程度高くする。このためフラックスも1650〜1750℃の温度範囲において酸化防止や清浄作用の効果を発揮する必要がある。フラックスとして一般に使用されているケイ酸ソーダ(Na2SiO3)の使用限界は最大1200〜1400℃であり、ホウ砂(Na2B4O7)は800〜1000℃である。従って従来のフラックスは1400℃が限界でありハイクロム鋳鉄用20のフラックスとして必ずしも最良のものではない。本発明で使用する液体フラックス15(フラックス結晶15)は200〜300℃の低温域から1650〜1750℃の高温域までをカバーする幅広い温度範囲で機能を発揮するものである。
本発明による液体フラックス15及び気化フラックスは、本発明者が発明した特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」(特許文献1)、特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」(特許文献2)、特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」(特許文献3)、特開2009−255105号広報「気化装置」(特許文献4)よって製造することができる。少なくとも複数のフッ化物とホウ化物をアルコールやアセトンなどの溶媒に溶解して生成したものである。フッ化物とホウ化物は必須材料でありこの他に用途に応じて種々の化合物を配合できる。
ホウ化物はホウ素とそれより電気陰性度が小さい元素との間の化合物の総称である。例えば、ホウ酸(H3BO3)、ホウ砂(Na2B4O7、酸化ホウ素(B2OB)、ホウ酸トリメチール((CH3O)3B)、ホウ酸カリウム(K2B4O7)、ホウフッ化水素酸(HBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)などがありハイクロム鋳鉄の成分、鋳込み温度になどの条件に応じて選択することができる。
フッ化物は例えば、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、三フッ化ホウ素(BF3)、四フッ化珪素(SiF4)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF2)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、フッ化アルミナトリウム(液晶石、Na3ALF6)、フッ化アルミカリウム(カリ永晶石、K3ALF6)、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、ケイフッ化ナトリウム(NaHF6)、ケイフッ化ナトリウム(NaHF6)などがありハイクロム鋳鉄の成分、鋳込み温度になどの条件に応じて選択することができる。フッ化物とホウ化物の共通の化合物であるホウフッ化カリウム(KBF4)やホウフッ化ナトリウム(NaBF4)はそれぞれのフッ化物とホウ化物の両方で例示した。
ハイクロム鋳鉄20の溶湯は徐冷中の1000〜1100℃の温度領域で銅メッキ12と液体フラックス15の相互作用により超硬合金10と溶着する。液体フラックス15は鋳型40の予熱時に焼成され溶媒は消失するが銅メッキ12に固着したフラックス結晶15(残留成分)は薄いフィルム状のフラックス膜となりハイクロム鋳鉄20溶湯の表面張力除去、清浄作用、酸化防止作用により鋳ぐるみロウ付けを可能にする。
超硬合金10表面には液体フラックス15塗布後、アルコール分が蒸発して均一に0.1mm程度のフラックス結晶15(液体フラックス15)が析出する。液体フラックス15中には複数の電解質がアルコール中最大30wt%濃度にて溶解しているためである。鋳ぐるみ母材となる超硬合金10はモジュール60化するため熱容量が大きくなることから鋳込み前にあらかじめ200〜300℃程度に予熱する。超硬合金10が冷やし金となって溶湯が固まるのを防ぐためである。液体フラックス15は、乾燥後溶媒が蒸発してフラックス結晶15となっている。このフラックス結晶15を200〜300℃にて予熱するとガラス状に固まり強固に超硬合金10に張り付いて剥離しない。フラックス結晶15はガラス状に固まることで1400〜1450℃の溶湯が鋳型に流れ込んできても超硬合金10に張り付いたまま剥離しない。即ち、液体フラックス15はフラックスとしての機能を果たすために200〜1450℃までの温度範囲で超硬合金10に張り付く機能が必要である。液体フラックス15の役割は、(1)超硬合金10表面の酸化物を除去し清浄作用を有すること、(2)銅メッキ12のロウ付け温度(1086℃)まで活性化を保持できること、(3)ロウ付けの流動性と拡延性を保持することである。これら条件が満たされることにより、1400〜1450℃のハイクロム鋳鉄20溶湯を流し込んだときに超硬合金10表面のフラックス結晶15がフラックス機能を発揮し、一瞬にしてハイクロム鋳鉄20の表面張力を破り安定して銅メッキ12とロウ付け接合することが可能となる。
第2の解決手段は、前記銅メッキ12のメッキ浴はホウ酸水溶液とフッ化水素と銅からなるホウフッ化銅浴であり、該ホウフッ化銅浴に前記フッ化水素を連続的に添加しながら電気メッキするハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
銅メッキ浴は硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴、シアン化銅浴、ホウフッ化銅浴があるが、ホウフッ化銅浴は安定剤が不要であり温度調整範囲が広いので作業性に優れている。ホウフッ化銅(Cu(BF4)2)はホウ酸(H3BO3)水溶液に銅粉を混入した液体にフッ化水素を吹き込んで生成する。反応式はCu(銅粉)+2H3BO3(ホウ酸)+8HF(フッ化水素)→Cu(BF4)2+6H2O+2Hとなる。銅メッキ12の電流密度は6〜30A/dm2とする。電圧は3〜12Vとする。
10wt%濃度のフッ化水素液をホウフッ化浴に連続的に添加する。フッ化水素はPH1の強酸である。フッ化水素をホウフッ化浴に連続的に添加する理由は、超硬合金10の真空薄膜11を連続的にフッ化水素の泡衝撃と強酸で酸洗いをするためである。ホウフッ化浴中のフッ化水素とホウ酸の作用で真空薄膜11を剥ぐことなく真空薄膜11上に銅メッキ12が可能となる。銅メッキ12する前に超硬チップを50〜80℃の苛性ソーダ(NaOH、PH2)で脱脂する。銅メッキ完了後は、使用済みのホウフッ化浴と苛性ソーダを混合することにより中和することができるので排水処理も簡単である。
ハイクロム鋳鉄20に超硬合金10を鋳込んだ耐摩耗ライナ70は従来のハイクロム鋳鉄単品ライナと比較すると3〜10倍の長寿命品となるが、ハイクロム鋳鉄20に鋳込むための超硬合金10を新規製作するのはコスト高となる。コストを低減するには回収超硬チップ10を再利用する方法が最良である。しかしながら回収超硬チップ10の表面には硬い真空薄膜11が0.03〜0.05mm程度の厚みでコーティングされているためこの膜を剥離するか特殊な前処理と下地メッキしないことには銅メッキ12を強力に付着させることは不可能であった。回収超硬チップ10は旋盤、フライス、中グリ盤、プラノミラー、セーパーと重衝の重摩耗が刃先にかかるため非常に複雑な切削逃げ角度がついており、機種に沿った複雑な刃物形状をしている。回収超硬チップ10には高硬度材質の真空薄膜11がCVD、PVD、またはAIPなどによる真空薄膜処理にて形成されている。これらの真空薄膜11は回収超硬チップ10とハイクロム鋳鉄20の間の相互拡散を抑制するため、回収超硬チップ10とハイクロム鋳鉄20との間には相互拡散層に基づく強固な接合は生じないことになり、回収超硬チップ10を単純に鋳ぐるむだけでは回収超硬チップ10はハイクロム鋳鉄20の凝固収縮時の収縮応力で機械的に保持されるだけとなる。真空薄膜11の上に直接銅メッキ12しても付着強度が弱く、急加熱するだけで剥離してしまう。
特開2001−96182号広報では回収超硬チップ10の表面に特殊な前処理と下地メッキを経てカニゼンメッキ14をする方法が開示されている。この方法は工程が多く複雑であり高コストであった。銅メッキ12を回収超硬チップ10上に強固にコーティングするにはあらかじめ真空薄膜11を除去する必要があった。真空薄膜11の除去方法は機械的にはバレルサンドショットがある。化学処理としてはアルカリ溶液(例えばNaOHの15〜20%溶液など)中で30〜60分間、100℃に加熱した後過酸化水素(H2O2)を注入してバッハ効果による衝撃波を数回繰り返す方法がある。真空薄膜11がチタンベースの場合、TiN(Hv2500)、TiC(Hv3000)はNaOHなどによるアルカリ溶解も可能であるが、中間層にCr―N(Hv1800)、TiALN(Hv3000)などがコーティングされているとアルカリ溶解では除去できない。また、PVD(物理蒸着)による真空薄膜11は除去しやすいが、回収超硬チップ10の真空薄膜11は大部分CVD(真空化学蒸着)によってコーティングされている。従ってNaOHによる溶解だけでは除去できず手間のかかる機械的な除去工程が不可欠であった。しかも、ブラストによる真空薄膜11除去費用は高額なので、通常はまずアルカリによる溶解工程を経て残存した真空薄膜11をブラスト処理するという2回の除去工程をとっていた。回収超硬チップ10は小物のためバレル回転装置内でブラストしているが、バレル自体の鋼の摩耗も大きく手間のかかる大仕事であった。回収超硬チップ10は真空薄膜11を剥離しない限り銅メッキ12の付着力は小さい。回収超硬チップ10の再利用が進んでいないのは真空薄膜11の剥離技術が無かったことや真空薄膜11の上に直接強固な銅メッキ12ができなかったからである。
第3の解決手段は、前記銅メッキ12した前記超硬合金の上にマンガンメッキ13もしくはカニゼンメッキ14もしくはマンガンメッキ13とカニゼンメッキ14を施すハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
本手段は、超硬合金10に銅メッキ12を施し、銅メッキ12の上にマンガンメッキ13を施し、マンガンメッキ13の上にカニゼンメッキ14を施し、カニゼンメッキ14の上に液体フラックス15を塗布して、ハイクロム鋳鉄20と鋳ぐるみするものである。回収超硬チップ10の表面に施されている真空薄膜11を除去することなくハイクロム鋳鉄20に鋳ぐるみ、ハイクロム鋳鉄20と回収超硬チップ10の良好な接合を実現するものである。
本発明の主着目点は液体フラックス15の溶媒を蒸発させて均一なフィルム状のフラックス結晶15にして、その中に均一にフラックス機能を持たせたことにある。フラックス結晶15は酸化防止機能、清浄機能、表面張力除去機能を有する個別の化合物を一旦溶媒に溶解し再び析出させたものである。フラックス結晶15の作用によりハイクロム鋳鉄20と銅メッキ12、ハイクロム鋳鉄20とマンガンメッキ13、ハイクロム鋳鉄20とカニゼンメッキ14の境界面に円滑にカーケンドール効果を生じさせることができるので、銅メッキ12、マンガンメッキ13、カニゼンメッキ14をロウ材として超硬合金10とハイクロム鋳鉄20の拡散接合が可能になった。
図3によりメッキの概要を示す。超硬合金10の表面に銅メッキ12を施し、銅メッキ12の上にマンガンメッキ13を施し、マンガンメッキ13の上にカニゼンメッキ14(無電解Ni−Pメッキ14)を施し、カニゼンメッキ14の上に液体フラックス15(フラックス結晶15)を塗布している。超硬合金10が回収超硬チップ10の場合は真空薄膜11を剥がずに直接真空薄膜11上に銅メッキ12、マンガンメッキ13、カニゼンメッキ14を施す。液体フラックス15の還元作用、清浄作用、表面張力除去効果により、カーケンドール効果が生まれ一瞬にしてハイクロム鋳鉄20溶湯と超硬合金10の鋳ぐるみが完了する。カニゼンメッキ14のNiは回収超硬チップ10の銅メッキ12及びハイクロム鋳鉄20の溶湯とNiの合金層を作り溶着する。マンガンメッキ13中のマンガンは酸化マンガン(MnO2)として還元作用を発揮する。カニゼンメッキ15中のリンは五酸化リン(P2O5)として還元作用を発揮する。リン(P)とマンガン(Mn)の還元反応で超硬合金10をハイクロム鋳鉄20に完全ロウ付けの状態で鋳込むことができる。
硝酸マンガン(2)六水和物(H12MnN2O12)や硫酸マンガン(2)五水和物(H10MnO9S)の溶液によりマンガンメッキ13は可能である。
本発明は、超硬合金10の表面に少なくとも銅メッキ12を施した後にマンガンメッキ13もしくはカニゼンメッキ14もしくはマンガンメッキ13とカニゼンメッキ14を施し、カニゼンメッキ14の上に液体フラックス15を塗布してハイクロム鋳鉄20と鋳込むものである。液体フラックス15は超硬合金10に塗布後すぐに溶媒が蒸発するのでフラックス結晶15が残る。超硬合金10とハイクロム鋳鉄20の中間にカニゼンメッキ(無電解Ni−Pメッキ)14と液体フラックス15の残留物であるフラックス結晶15を存在させることでハイクロム鋳鉄20と超硬合金10との間にロウ付け接合面が形成され接合強度が向上する。超硬合金10とカニゼンメッキ14の間に銅メッキ12する理由は、ハイクロム鋳鉄20と銅メッキ12の拡散接合強度が高いからである。また、本発明による銅メッキ12方法によれば、真空薄膜11の有無に関わらず超硬合金10に強固に銅メッキ12できるからである。
液体フラックス15は酸化防止作用、清浄作用、表面張力除去作用があり、このフラックス機能を利用することにより銅メッキ12、マンガンメッキ13、カニゼンメッキ13とハイクロム鋳鉄20のロウ付けは可能になる。鋳ぐるみ専用のフラックスとして液体フラックス15を塗布し、液体フラックス15を乾燥させた際のフラックス結晶15の厚み0.1±0.05mmを目標に均一に薄く塗布する。この厚みは液体フラックス15の濃度を30wt%程度にすれば可能である。本発明者はすでに常温で30wt%濃度の液体フラックス15製造方法を具現化した。
銅メッキ12、マンガンメッキ13、カニゼンメッキ13の上に液体フラックス15を塗布する。液体フラックス15の塗布厚みは乾燥後のフラックス結晶15厚みにおいて、0.1±0.05mmが望ましい。
特開2001−96182号広報では超硬合金10にカニゼンメッキ14を施し、このカニゼンメッキ14の上にホウ酸、ホウ砂、フッ化物、金属ホウ素1〜2wt%を含有するフラックスを塗布してハイクロム鋳鉄20と鋳込む方法が提案されている。従来のフラックスは複数の化合物を単純に混合しただけのものであり、フラックス化合物は化合物単体毎にカニゼンメッキ14の上にまばらに分布しているのに対して、液体フラックス15は完全に均一なフィルム状態で析出する。例えば、図4(A)は液体フラックス15が乾燥してフラックス結晶15が析出した状態を表している。フラックス結晶15は均一なフィルム状になって超硬合金10に張り付いている。液体フラックス15の化合物は溶媒中に一旦完全に溶解し溶媒が蒸発した後、化合物同士が部分的に新たな化合物を形成したりしながら超硬合金10表面に均一にフィルム状のフラックス結晶15として析出する。そのため、ミクロ的にみた場合、フラックス結晶15はフラックスとしての機能を果たす成分がどの微小部分においても均一に分布しており、ハイクロム鋳鉄20の溶湯が注入された瞬間、超硬合金10表面で均一にフラックスとしての機能を果たしカーケンドール効果によりハイクロム鋳鉄20とカニゼンメッキ14の間に分子拡散層を生成することができる。図4(B)は従来のフラックスの塗布状態であり、例えばホウ酸15a、ホウ砂15b、フッ化物15c、金属ホウ素15dが単体毎にまばらに分布している。そのため、ミクロ的にみた場合、超硬合金10表面で瞬間的に均一なフラックス機能を果たすことができない。従来多種のフラックスが生み出されているが本発明のように液体フラックス15を塗布してフラックス結晶15として均一なフィルム状にするフラックスはなかった。
第4の解決手段は、前記液体フラックス15は、クリオライト(3NaFAlF3)、ケイフッ化ナトリウム(NaSiF6)、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウ砂(Na2B4O7)、ホウ酸(H3BO3)、リン酸(H3PO4)をアルコールやアセトンなどの溶媒に5wt%以上溶解して生成したものであるハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
フッ化物としては、クリオライト(3NaFALF3)、ケイフッ化ナトリウム(NaSiF6)、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF2)を含有している。ホウ化物としてはホウ酸カリウム(KBF4)、ホウ砂(NaB4O7)、ホウ酸(H3BO3)を含有している。その他還元促進剤としてPを接種するためにリン酸(H3PO4)を含有している。
超硬合金10の鋳ぐるみにおいて、超硬合金10は溶湯に対して冷やし金となる。1400〜1450℃の湯が冷えるといくら押し湯しても湯流れは悪くなる。湯流れを良くするのがリン(P)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、アルミニウム(AL)である。リンやマンガンは鋳鋼、鋳鉄、ステンレス鋳物などの一般鋳造品には必ず入っている。酸化したものが還元すると発熱する。この作用を保持するため鋳ぐるみ用の液体フラックス15の成分は例えば重量%で、K:12.99、Na:11.09、Si:1.74、P:2.10、AL:1.83、B:8.77、H:1.43、O:31.10、F:28.95である。Si、P、AL、Bの含有量は14.44%である。還元作用がありかつ表面張力除去による湯流れをよくし発熱効果のある元素を入れることで超硬合金10が冷やし金となる欠点を防いでいる。
第5の解決手段は、前記鋳型40の表面には液体フラックス15を混合した塗型剤41が塗布してあり、前記鋳型40の空隙部には前記液体フラックス15を気化せしめた気化フラックスを注入しているハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
鋳型40表面に塗布した塗型剤41に含まれているベンガラ(Fe2O3)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)などは低融点反応剤としては弱いために塩基の複合作用を持った液体フラックス15を塗型剤41中に最大20%入れて補完している。鋳型40中の水分を追い出すために、液体フラックス15を気化せしめた気化フラックスを注入してあらかじめ鋳型40に圧入する。フラックス結晶15は砂型(鋳型)40中で200〜300℃に予熱するのでその際の熱で焼成され超硬合金10に薄く張り付く。予熱により砂型40中の水分も100%近くまで除去される。フラックス結晶15は注湯時に次のような働きをする。(1)注湯中の酸化物を除去し清浄作用をする。(2)カニゼンメッキ14表面の酸化を防止する。(3)注湯の流動性をよくし、拡延性を広げ表面張力を低減するので鋳巣、ピンホールの発生を抑制する。
注湯の際鋳型40の表面は溶湯の熱に晒され破壊されやすい状態になる。この状態を防ぐため鋳型40の表面に種々の塗型剤41を塗布する。この塗装工程を塗型という。またこの材料を塗型剤41という。超硬合金10をハイクロム鋳鉄20に鋳ぐるむには塗型剤41の役割が重要である。塗型剤41は耐熱性、付着性、被覆性、通気性、反応性、粘性が必要である。塗型剤41には黒鉛、木炭分、石炭粉、コークス粉、雲母粉、ベンガラ(Fe2O3)、過マンガン酸カリウム(KMnO2)、シリコン、ジルコンフラワーなどがある。従来の石炭、コークス粉、Fe2O3、KMnO2などの固体フラックスに液体フラックス15を加えて、ホウ酸ガラスのシールド効果や還元作用を付加した。濃度20〜30wt%の液体フラックス15を個体フラックスに対して15〜35wt%加えてよく混合する。液体フラックス15の溶媒が蒸発するとフラックス結晶15が塗型剤41に残留する。フラックス結晶15は1400〜1450℃の溶湯温度にてホウ酸ガラスを形成して溶湯に水素ガスが侵入するのを防止する。液体フラックス15(フラックス結晶15)の還元作用にて酸素を除去し、生砂型40中の水分(水素)を石炭、コークス粉にてアセチレンガス(C2H2)に転換し燃焼せしめ、塗型剤41中のFe2O3やKMnO2などの熱分解にて水酸基OHを作り生砂型中の水分を総合的に除去する。
塗型剤41を塗布する場合の塗布量は0.01〜0.10g/cm2以内にする。鋳型40にきちんと固着し、しかも型ばらしの後再生砂として再使用可能にするにはこの範囲内を保持する必要がある。また、鋳型40に直接液体フラックス15を刷毛塗りまたはエアスプレーにて塗布することも可能である。液体フラックス15は電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒中に最大30%重量比溶解させものであり、溶湯中の還元作用にて酸化物を浮かし水素吸収を抑制するとともに生砂回収も可能にした。
湯口42は鋳造湯が高温(1400〜1700℃)になるほど酸化物を形成しやすくなるためZrO2やAL2O3で作られたポーラスセラミックスのフィルタ50(網状物体)を湯口42に設置し酸化物を除去しているが、このフィルタ50に液体フラックス15を塗布し乾燥せしめる(アルコール成分のため1〜2分で自然乾燥する)。塗布1回当り0.005〜0.08mmの厚みのフラックス結晶15を付加する。これは数回繰り返すことで平均0.1mm厚みのフラックス結晶15をフィルタ50に沿って付着させる。湯口42でのフラックスの酸化発熱作用にてハイクロム鋳鉄20溶湯の酸化物を軽くし押し湯と共に浮き上がらせる。この作用を受け持つ元素として塗型剤41に15〜35wt%混合した液体フラックス15の成分であるP、Si、Mn、Bが使われる。塗型剤41を湯道、堰、押し湯口塗布することにより、わずか数秒という短時間の注湯中でも反応が激しく進むため複雑な鋳ぐるみが可能となった。
液体フラックス15及び気化フラックスに含まれる溶媒のメタノール(CH3OH)の炭化水素のため急熱されることで鋳型40内の水分を還元して水素と酸素の分子ガスに変えかつ生砂中にホウ酸ガラスを生成させて溶湯接触部のピンホール、鋳巣、引けなどを防止する。高温の溶湯の熱量にて超硬合金10表面の銅メッキ12やマンガンメッキ13やカニゼンメッキ14などを溶解しハイクロム鋳鉄20と超硬合金10をロウ付けする。ハイクロム鋳鉄溶湯(M)+H2O→MO+2H↑、2H+2C→C2H2↑(アセチレンガス)となる。Mはメタルである。発生燃焼するアセチレンガスにて生砂中の水分はさらに除去され、生砂中に残留したホウ酸ガラスにて砂粒が結合されるため鋳造内圧にも十分耐えることが可能である。
一般に低温1400〜1450℃の溶湯だと高温酸化が少なく鋳造欠陥として湯回り切れの原因となるが、結合剤としてフラン樹脂などが使われるため生砂の再生使用が可能である。逆に1450〜1700℃の高温となると高温酸化が激しいためフラックスによる酸化物の浮上技術が必要となる。高温用結合剤としてケイ酸ソーダ(NaSiO2)を使用すると湯回りはよくなるがCO2により生砂が硬くなるので生砂の再生が困難となる。鋳砂の再生はコスト的に大切であり無機質に対して有機質結合剤が主として使われる最大の理由である。この塗型剤41に使用する液体フラックス15の濃度は最大30wt%であり低濃度であることから生砂を水洗浄する際に溶解してくれるので生砂の再生は簡単であり、生砂洗浄後の排水も無害である。フッ化物は100%フッ化水素ガスとして抜けているためホウ酸ガラスのみ残った生砂となる。
生砂型40を用いて鋳ぐるみを作るためには鋳肌近辺のピンホール、鋳巣、引巣と呼ばれる欠陥をなくすことが重要である。小物鋳込みの場合は鋳型40を生砂の入ったまま400〜500℃程度に乾燥させているが、大物鋳込みとなると完全な生砂の乾燥ができないので、鋳造欠陥をなくすために鋳ぐるみ材の加熱(200〜300℃)や塗型剤41の塗布を行っている。また、酸化剤(CuO、Fe2O3、Ag2O、NiO、MnO2、ZnO、ZrO2など)を20%程度炭酸塩(SiO2、Na2O、K2O、CaO、MgO、B2O3、PbO、AL2O3、一般ガラスなど)と混合したものや石炭粉あるいはコークス粉を生砂中に添加する方法が特許文献1や特許文献2に提案されている。
ハイクロム鋳鉄20溶湯の場合は、CrO+H2O→CrO2+2H↑となり、酸化クロムが生砂中の水分と反応し水素ガスが発生しやすく、ハイクロム鋳鉄20の溶湯が凝固時に水素を吸収してピンホールとなっていた。このような欠陥を防止するために、塗型剤41としてFe2O3(ベンガラ)を入れると、3Fe2O3+2H2O→2Fe3O+2H2↑+4O2↑、2Fe3O+2H2+4O2+C2→2Fe3O+2CO2+2H2+2O2、2Fe3O+2CO2+2H2+2O2+4C→2C2H2↑(アセチレンガス)+2CO2↑(炭酸ガス)+2Fe3Oとなりアセチレンガスや炭酸ガスが発生する。生砂中に石炭粉やコークス粉を入れることで炭酸ガスやアセチレンガスとして生砂中の水分を除去できるのでピンホールが除去されていた。
Fe2O3(ベンガラ)、KMnO2(過マンガン酸カリウム)は1450〜1700℃のように高い温度範囲の鋳造湯の場合は水分除去効果を発揮する。しかし、1400〜1450℃のように低い温度範囲の鋳造湯の場合は、Fe2O3(ベンガラ)、KMnO2(過マンガン酸カリウム)などの酸化物は熱分解反応が弱くピンホール、鋳巣、引巣の原因となる欠陥率を抑えることが困難であり高品質の鋳ぐるみを提供できなかった。
本発明の目的は1400〜1450℃のように比較的低温範囲の鋳造湯でも、超硬合金10をハイクロム鋳鉄20に精密に鋳ぐるみロウ付けすることにある。それには液体フラックス15に空気、窒素、アルゴンなどを吹き込んで気化せしめた気化フラックスを生砂型40に圧入する。生砂型40には約20%の空間(気孔率20%)があり気化フラックスはこの空間に充満する。気化フラックスに含まれている成分同士が鋳造熱にて結合し、生砂型40中にホウ酸ガラスを生成する。ホウ酸ガラスによるシールド作用で生砂中から溶湯に水素が入り込むのを防止する。従来は生砂中にアルゴンガスを封入して水素ガスが溶湯に侵入するのを防いでいたが、生砂をホウ酸ガラスでシールドするので略完全に溶湯への水素ガス侵入をシャットアウトできるようになった。
塗型剤用個体フラックスとして、従来一般に使用されているケイ酸ソーダ(Na2SiO3)の耐熱は最大1200〜1400℃、ホウ砂(Na2B4O7)は800〜1000℃、クリオライト(3NaFALF3)は1400〜1800℃である。従来の塗型剤41はこれら個体フラックスを粉末状態で液体と混合して金属母材や鋳型40表面に塗布するが、ある程度の塗布厚みが必要であることから塗布厚みが厚くなったり不均一になったりする問題があり、ピンホールや鋳巣の原因となっている。この改善タイプとして濃度5〜10%程度の水ガラス(Na2SiO3)とフッ化物を混合して噴射する方法などもあるが、水ガラスが溶湯の急熱により膨らみ気泡となり湯回りの悪い所に集積して空間として残ってしまう問題がありハイクロム鋳鉄20の品質としては甚だ好ましくなかった。
1450〜1700℃の高温溶解となると鋳型40の主成分はジルコニア(ZnO2)となるため非常に高価となる。コスト低減のためには1400〜1450℃の温度範囲で黒鉛坩堝を使用しての溶解で鋳込みできるようにする必要がある。溶解温度の高い溶湯ほど保有熱エネルギーが大きいため湯流れはよいが、生砂中の水分が急熱・急膨張するため鋳型40内圧が高くなる。鋳型40内圧に対応して生砂も強く固くする必要があるためガス抜きが悪くなり欠陥率のアップにつながる。鋳造欠陥を少なくするには湯の温度管理、湯道設計、ガス抜き、肉厚差、冷やし金使用方法などの工夫が必要であり経験が大きく作用する。塗型剤用の液体フラックス15を塗型剤41と混合して鋳型40に塗布したり、塗型剤用の液体フラックス15を生砂中に注入したりすることにより1400〜1450℃の低温鋳造が可能となりコスト低減となった。
第6の解決手段は、前記塗型剤41に混合する前記液体フラックス15はホウ酸(H3BO3)、ケイフッ化ナトリウム(Na2SiF3)、ホウ弗化カリウム(KBF4)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、リン酸(H3PO4)をアルコールやアセトンの溶媒に5wt%以上溶解したものであるハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
第7の解決手段は図1及び図2に示すように、前記超硬合金10をモジュール化して鋳込む方法において、前記超硬合金10に貫通孔16を設け、該貫通孔16に串32を通して複数の前記超硬合金10を連結し、前記串32を適宜間隔にて支持体31で支持し、該支持体31を基材30に取り付けてモジュール60化し、該モジュール60全体を液体フラックス15でコーティングせしめて鋳型40にセットして鋳込むハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
超硬合金10をモジュール60化する理由は、ハイクロム鋳鉄20の溶湯を鋳型40に注入する際に超硬合金10が流動したり浮き上がったりするのを固定するためである。回収超硬チップ10は通常機械切削用のバイトとして使用されるため専用の貫通孔16を設けたものがあり活用できる。
モジュール60化した超硬合金10を液体フラックス15に浸漬して均一に塗布するのがよい。液体フラックス15を刷毛や霧吹きで塗布してもよい。液体フラックス15を塗布後液体フラックス15の溶媒を蒸発させて乾燥させ、超硬合金10の表面にフラックス結晶15を析出させる。フラックス結晶15の厚みは0.1±0.05mmを目標とする。液体フラックス15を塗布する前に、組み立てモジュール60は市販の界面活性剤入り洗剤で洗浄して表面張力を除去しておくとよい。液体フラックス15に超硬合金10のモジュール60を浸漬することで支持材31を含めて全体に均一に液体フラックス15を塗布できる。基材30、支持体31、串32は炭素鋼材やSUSなどが使用できる。フラックス結晶15を基材30、支持体31、串32などに析出させることによりカーケンドール効果が生まれ、ハイクロム鋳鉄20と金属材料との拡散接合ができ、モジュール60とハイクロム鋳鉄20が完全一体となった耐摩耗ライナ70ができる。基材30、支持体31、串32はハイクロム鋳鉄との接合性をよくするため銅メッキするのがよい。
第8の解決手段は図5に示すように、前記超硬合金10をモジュール60化して鋳込む方法において、前記基材30に垂直もしくは斜め溝34を形成し、該溝34に前記超硬合金10を差し込んで固定するハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
基材30は炭素鋼材、SUSなどが使用できる。基材30にはハイクロム鋳鉄との接合性をよくするため銅メッキするのがよい。図5は溝を垂直溝34にしているため超硬合金は垂直になっているが、斜め溝34にすることにより超硬合金10を材料の流れる方向に傾斜させることができる。超硬合金10を傾斜させることにより超硬合金10の投影面積が広くなり耐摩耗ライナ70の寿命を延長できる。
第9の解決手段は図6、図7に示すように、前記超硬合金10をモジュール化して鋳込む方法において、前記超硬合金10の前記貫通孔16に頭付きピン35を貫通せしめて、該頭付きピン35を鋳型底40aに突き刺して固定し、前記頭付きピン35を前記基材30に固定するハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
頭付きピン35は炭素鋼材、SUSなどが使用できる。
第10の解決手段は図8に示すように、前記超硬合金10を前記ハイクロム鋳鉄20に鋳込む方法において、前記超硬合金10を金網36に配列収納し、前記金網36を前記鋳型40に配設してハイクロム鋳鉄20と鋳込むハイクロム鋳鉄20と超硬合金10の鋳ぐるみ方法である。
金網36はハイクロム鋳鉄20の流動性をよくするためにできるだけ網目を大きくし、線形を細くするのがよい。溶湯の流れで超硬合金10が動かないように選定することが重要である。金網36に配列収納することにより超硬合金210は用途に応じて複層にすることも容易である。金網36はハイクロム鋳鉄20との接合性をよくするため銅メッキを施すのがよい。
第11の解決手段は図2、図5、図7に示すように、前記超硬合金10に銅メッキ12し、もしくは該銅メッキ12の上にマンガンメッキ13もしくはカニゼンメッキ14もしくはマンガンメッキ13とカニゼンメッキ14をした後、前記超硬合金10をモジュール60化し、該モジュール60を前記液体フラックス15に浸漬して前記液体フラックス15を塗布し、前記液体フラックス15を乾燥させてフラックス結晶15を析出させた後、前記モジュール60を前記鋳型40にセットして前記ハイクロム鋳鉄20と鋳込んだ耐摩耗ライナ70である。
モジュール60の形態は例えば第7、第8、第9の解決手段による形態がある。このほかにも各種の形態が考えられるがいずれの形態においても、超硬合金10に銅メッキ12を施して液体フラックス15を塗布しているか、もしくは銅メッキ12の上にマンガンメッキ13、カニゼンメッキ14などを施してその上に液体フラックス15を塗布してあればすべて本発明に含まれるものである。
10 :超硬合金
11 :真空薄膜
12 :銅メッキ
13 :マンガンメッキ
14 :カニゼンメッキ
15 :フラックス結晶
15a:ホウ酸(H3BO3)
15b:ホウ砂(Na2B4O7)
15c:フッ化物
15d:金属ホウ素
16 :貫通孔
20 :ハイクロム鋳鉄
30 :基材
31 :支持体
32 :串
33 :スペーサ
34 :溝
35 :頭付きピン
36 :金網
40 :鋳型、生砂型
40a:鋳型底
41 :塗型剤
42 :湯口
50 :フィルタ
60 :モジュール
70 :耐摩耗ライナ

Claims (11)

  1. 超硬合金をハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみする方法において、前記超硬合金の表面に銅メッキを施し、該銅メッキの上に少なくとも複数のフッ化物とホウ化物を溶媒に溶解して生成した液体フラックスを塗布し、該液体フラックスを乾燥せしめてフラックス結晶を生成せしめて、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみすることを特徴とするハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  2. 前記銅メッキのメッキ浴はホウ酸水溶液とフッ化水素と銅からなるホウフッ化銅浴であり、該ホウフッ化銅浴に前記フッ化水素を連続的に添加しながら電気メッキすることを特徴とする請求項1記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  3. 前記銅メッキした前記超硬合金の上にマンガンメッキもしくはカニゼンメッキもしくは前記マンガンメッキと前記カニゼンメッキを施し、前記マンガンメッキもしくは前記カニゼンメッキの上に前記液体フラックスを塗布し、該液体フラックスを乾燥せしめてフラックス結晶を生成せしめて、前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳ぐるみすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  4. 前記液体フラックスは、クリオライト(3NaFAlF3)、ケイフッ化ナトリウム(NaSiF6)、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウ砂(Na2B4O7)、ホウ酸(H3BO3)、リン酸(H3PO4)をアルコールやアセトンの溶媒に5wt%以上溶解して生成したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  5. 前記超硬合金を鋳込むための鋳型の表面には前記液体フラックスを混合した塗型剤が塗布してあり、前記鋳型の空隙部には前記液体フラックスを気化せしめた前記気化フラックスを注入していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  6. 前記塗型剤に混合する液体フラックスはホウ酸(H3BO3)、ケイフッ化ナトリウム(Na2SiF3)、ホウ弗化カリウム(KBF4)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、リン酸(H3PO4)をアルコールやアセトンの溶媒に5wt%以上溶解したものであることを特徴とする請求項5記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  7. 前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、銅メッキもしくは銅メッキとマンガンメッキもしくは銅メッキとカニゼンメッキもしくは銅メッキとマンガンメッキとカニゼンメッキを施した前記超硬合金に貫通孔を設け、該貫通孔に串を通して複数の前記超硬合金を連結し、前記串を適宜間隔にて支持体で支持し、該支持体を基材に取り付けてモジュール化した後に、該モジュール全体を前記液体フラックスに浸漬してコーティングせしめて鋳型にセットして前記ハイクロム鋳鉄と鋳込むことを特徴とする請求項1又は請求項3記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  8. 前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、基材に垂直もしくは斜め溝を形成し、該溝に銅メッキもしくは銅メッキとマンガンメッキもしくは銅メッキとカニゼンメッキもしくは銅メッキとマンガンメッキとカニゼンメッキを施した前記超硬合金を差し込んで固定してモジュール化した後に、該モジュール全体を前記液体フラックスに浸漬してコーティングせしめて鋳型にセットしてハイクロム鋳鉄を鋳込むことを特徴とする請求項1又は請求項3記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  9. 前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、銅メッキもしくは銅メッキとマンガンメッキもしくは銅メッキとカニゼンメッキもしくは銅メッキとマンガンメッキとカニゼンメッキを施した前記超硬合金の貫通孔に頭付きピンを貫通せしめて、該頭付きピンを鋳型底に突き刺して固定し、前記ハイクロム鋳鉄と鋳込むことを特徴とする請求項1又は請求項3記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  10. 前記超硬合金を前記ハイクロム鋳鉄に鋳込む方法において、銅メッキもしくは銅メッキとマンガンメッキもしくは銅メッキとカニゼンメッキもしくは銅メッキとマンガンメッキとカニゼンメッキを施した前記超硬合金を金網で挟むことにより配列収納し、前記金網を鋳型に配設して前記ハイクロム鋳鉄と鋳込むことを特徴とする請求項1又は請求項3記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法。
  11. 請求項7又は請求項8又は請求項9又は請求項10記載のハイクロム鋳鉄と超硬合金の鋳ぐるみ方法によって製造された耐摩耗ライナ。
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