JP2014069233A - 耐磨耗板 - Google Patents

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哲男 原田
Kazumi Daitoku
一美 大徳
Akira Yamada
亮 山田
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Abstract

【課題】金属板に超硬合金、サーメット、セラミックスなどの耐磨耗チップを耐磨耗板をロウ付けすると、耐磨耗チップと金属板の剛性が異なるため金属板の変形や熱膨張で金属板が変形し、耐磨耗チップの剥離や耐磨耗板の割損や曲りが生じていた。そのため耐磨耗チップの摩耗寿命を享受できなかった。
【解決手段】耐磨耗チップに銅メッキを施し、金属板に形成した複数の溝に耐磨耗チップを挿入しロウ付けすることにより、金属板の剛性を低下させることなく、耐磨耗チップと金属板が一体となった耐磨耗板の製造が可能となった。使用済みの切削工具の硬化膜を剥ぐことなくフッ化銅浴で銅メッキする方法により、金属板とのロウ付けが可能となり、使用済み切削工具を耐磨耗チップの代用品とし利用できるようになった。このため、安価な使用済み切削工具を再利用できるようになり耐磨耗板のコスト削減ができた。
【選択図】図1

Description

本発明は金属板に超硬合金、サーメット、セラミックスのチップを係止して耐磨耗板を形成する方法に関する。機械加工切削工具として使用されている真空薄膜付き超硬合金やサーメット、セラミックスなどの耐磨耗チップからなる切削用工具は使用後再利用されることなく廃棄されるケースが多く、高価なW、Co、Niを大量に含有した超硬合金、サーメット、セラミックスの再利用方法の開発が望まれている。また、原材料を処理するシュート、ホッパー、粉砕機、ショットブラストインペラーなどの機器は摩耗律速で交換しているが、寿命が短く定期的な生産休止により取り換えを余儀なくされている。本発明は高価な希少資源を含有している廃棄物を有効利用して、靱性と耐磨耗性を兼ね備えた耐磨耗板を製造する方法に関するものである。
従来、耐摩耗性が要求される設備の摩耗対策としては鋳造製の耐摩耗ライナ、硬化肉盛溶接や溶射による被覆あるいは超硬合金、サーメット、セラミックス板のライニング施工が採用されている。硬化肉盛溶接や溶射による被覆は硬度が高く耐摩耗性に優れているが割れや剥離の欠点がある。また、剥離しやすいことから被覆層を厚くできない問題がある。超硬合金、サーメット、セラミックスは単独で使用する場合は靭性が低く割損しやすい問題がある。そのため、金属板にロウ付けや接着によりライニングして使用する方法があるが、衝撃力や曲げにより割損したり剥離したりする問題があった。鋳造製耐摩耗ライナとして優れているハイクロムライナは厚く製造できるので摩耗に対する寿命が長く衝撃にも強いことから多くの設備に多用されているが、ハイクロムライナは超硬合金、サーメット、セラミックスに比べると摩耗寿命が短い。摩耗寿命を延長するためにはある程度厚みを厚くする必要があり、クロムのような高価な材料を大量に使用するためコストが高くなっている。その分、重量が重たくなり現場での取り付け作業に多くの労力と時間を要していた。
本発明者は、特開2012−086225号広報「超鋼合金の鋳ぐるみ方法」において、液体フラックスを超鋼合金に塗布して、超硬合金とハイクロム鋳鉄を拡散接合により一体的に鋳込んだ耐磨耗板を具現化した。また、鋳造方法の一つとして、基材に垂直もしくは斜め溝を形成し、この溝に超硬合金を差し込むことにより固定して鋳造するする方法を具現化した。この方法により製造された耐磨耗板は、耐磨耗板の表面に超鋼合金とハイクロム鋳鉄が交互に露出しており極めて良好な耐磨耗性を有する耐磨耗板が具現化できた。しかしながら、超硬合金をハイクロムと鋳込むために鋳型、鋳造、手入れなどの複雑な工程を要しコスト高となっていた。また、ハイクロム鋳鉄の耐磨耗性能は優れているといえども超鋼合金ほどではない。そのため、このような複合耐磨耗板においては、ハイクロム鋳鉄がまず選択的に摩耗し、超硬合金と超硬合金の間には溝が形成され、溝が深くなるにつれやがて超硬合金が脱落する問題があった。また、超硬合金は高価でありコスト高となるうえにハイクロム鋳鉄などとの接合が不十分な場合、超硬合金が脱落して最後まで超硬合金寿命を享受できないなどの問題があった。一方機械加工用の使用済みチップを回収した回収超硬チップは安価であるものの、回収超硬チップの表面にはTiALNなどの各種真空薄膜が処理してありハイクロム鋳鉄との接合が困難であるため鋳ぐるみ材料としてはほとんど使用されていなかった。
特開2009−6347号広報「鋳造複合材」においては、母材表面の所定の部位に耐摩耗材を鋳ぐるみによって溶着した鋳造複合材において、前記母材表面の所定部位には、前記耐摩耗材で形成された粒状体が母材を覆うように並べられて粒状体層が形成されており、前記耐摩耗材で形成された柱状体が、所定の間隔で前記粒状体層から母材へ埋め込まれていることを特徴とする鋳造複合材が提案されている。
実開平1−163797号広報「焼結機パレットのシール装置」において、焼結機下面に配設されたスライドベッドとシールバーが互いに圧接摺動するシール装置において、スライドベッドとシールバーの圧接摺動面にセラミックス片(セラミックス柱)を埋設する方法が提案されている。この方法は、円筒形のセラミックス柱を適宜間隔で金属板に埋め込んだものであり、セラミックス柱は摩耗しにくいが、金属面が剥き出しの部分が選択的に摩耗する。セラミックス柱を摺動方向に対して直角方向にかつ線状に並べていないので微粉の堰き止め効果(セルフライニング効果)がなく、やがてセラミックス柱が剥き出しになり金属板から脱落していた。
特開昭63−235699広報「ブロワー用羽根車のライニング方法」において、羽根車表面に断面逆台形の係合突起を突設するとともに、セラミックス小片の裏面に係合突起に係合する凹溝を設け、この凹溝を前記係合突起に順次係合せしめてセラミックス小片を配置する方法が提案されている。この方法では、係合突起が摩耗するとセラミックス小片が次から次に脱落する問題がある。この方法とは逆に羽根車に凹溝を設け、セラミックス小片に断面逆台形の係合突起を突設する方法も考えられるが、セラミックスの裏面に逆台形の突起を設けると高価になる。羽根車の凹溝はセラミックス小片を保持するためにある程度の深さが必要となり強度が低下する問題があった。
特開平10−100309号広報において、超硬合金を鉄系材料にロウ付けなどの方法により接合し、耐磨耗板を製造する方法が提案されている。この方法では、超硬合金と鉄系材料の間に生じる残留応力を除去するために鉄系材料に分割面を形成する方法が示されているが、このような分割面は鉄系材料の剛性を低下させるものであり、摩耗に対する寿命は延びても耐磨耗板の割れや曲りによって使用できなくなる問題があった。
特開平08−268521号広報「摩耗防止用ライナ部材」において、シート状弾性部材の表面に耐摩耗片を敷設して成る摩耗防止用ライナ部材において、ライナ部材が、屈曲自在なフレキシブル領域を構成し、少なくともフレキシブル領域におけるシート状弾性体に伸縮自在な布状シートを一体化して成る摩耗防止用ライナ部材が開示されている。
特開2012−086225号広報「超鋼合金の鋳ぐるみ方法」 特開2009−6347号広報「鋳造複合材」 実開平1−163797号広報「焼結機パレットのシール装置」 特開平10−100309号広報「超硬合金複合材」 特開平08−268521号広報「摩耗防止用ライナ部材」 特開昭63−235699広報「ブロワー用羽根車のライニング方法」 特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」 特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」 特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」
特許文献1の方法における問題点は、超硬合金をハイクロムと鋳込むために鋳型、鋳造、手入れなどの複雑な工程を要しコスト高となっていた。また、ハイクロム鋳鉄の耐磨耗性能は超鋼合金に劣るので、このような複合耐磨耗板においては、ハイクロム鋳鉄がまず選択的に摩耗する。このため、超硬合金を配列する間隔が広いと、溝が深くえぐれてしまうので、超硬合金を固定しているハイクロム部分が消滅し超硬合金が脱落する問題があった。超硬合金と超硬合金の間のハイクロムが摩耗してその部分に凹みが生じた場合は、その凹みに原材料の微粉が入り込み、原材料自身がライニング材として作用し、耐磨耗板それ以上摩耗しないようにするセルフライニング効果が必要である。そのためにはある程度超硬合金の間隔を狭くする必要があった。超硬合金の間隔を狭くしすぎると鋳造時にハイクロムの湯流れが悪くなり超硬合金とハイクロムが接合できない問題があった。また、ハイクロム鋳鉄と超硬合金の接合が不十分な場合、超硬合金が脱落して最後まで超硬合金寿命を享受できないなどの問題があった。
特許文献2の方法における問題点は、超鋼合金からなる粒状体と柱状体を高クロム鋳鉄に鋳込んでいるが、粒状体と高クロム鋳鉄の接合力が弱く粒状体が剥離しやすい問題がある。いったん粒状体が剥離すると高クロム部分が選択的に摩耗し、柱状体が半分程度露出すると柱状体が脱落する問題があった。このような鋳込み形状では超硬合金のセルフライニング効果を発揮することができないので、たちまち柱状体が露出してしまうことになる。また、超硬合金の表面になんらかの前処理を施すことなく高クロム鋳鉄と鋳込んで金属接合することは不可能である。
特許文献3の方法における問題点は、金属母材として耐磨耗性のない鋼板を使用しているので金属母材が選択的に摩耗しセラミックス柱が露出してしまう問題があった。また、セラミックス柱によるセルフライニング効果を発揮できない構造なのでたちまちセラミックス柱が露出していた。また、金属板の表面に丸い凹みを形成するために加工に手間がかかり高価なライナになっていた。
特許文献4の方法における問題点は、分割面を形成することにより鉄系材料(金属板)の剛性が低減し、原料の荷重や衝撃により鉄系材料が割損したり、変形したりして耐磨耗板の寿命が低下することである。
特許文献5の方法における問題点は、セラミックスチップの広面側を弾性体に対向して張り合わせているため、広面同士がお互いに突っ張りあうことになり弾性体が変形しにくい問題があった。また、弾性体とセラミックスチップの接合面にせん断力が生じるので弾性体の屈曲回数が多くなるに従い接合面が剥離してくる問題があった。
本発明は以上の問題点を解決しようとするものでありその課題は以下である。(1)耐磨耗チップである超硬合金、サーメット、セラミックスを金属板に強固に固定し、振動や衝撃で脱落したり剥離したりしないようにする。(2)金属板が選択的に摩耗した場合でも、セルフライニング機能を持たせることにより超硬合金、サーメット、セラミックスの取り付け部を残存せしめ、超硬合金、サーメット、セラミックスが脱落しないようにする。(3)超硬合金、サーメット、セラミックスの埋め込み間隔を適宜調整してセルフライニングできるようにする。(4)超硬合金、サーメット、セラミックスの表面に銅メッキすることにより金属板と強固に接合することにより、溝を形成した金属板の曲げ強度が低下しないようにする。(5)単純な溝形状にすることにより金属板の加工費用の低減を図る。(6)機械加工に使用後の廃棄超硬合金、サーメット、セラミックスを形状や大きさに係わらず幅広く利用できるようにする。(7)従来のハイクロム鋳鉄のように板厚を厚くすることで寿命を延長すると重量が大きくなり現場の取り付け作業が困難であった。超硬合金、サーメット、セラミックスのような耐磨耗性に優れた材料を応用することにより、耐磨耗板の重量を軽くし且つ現場への取り付け作業を軽減する。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、金属板に複数の溝を設け、該溝に複数の耐磨耗チップを挿入した耐磨耗板において、前記耐磨耗チップの材質は超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなり、前記耐磨耗チップにメッキを施して、前記耐磨耗チップの広面が前記溝の側面に対向するようにして、前記溝にロウ付け固定した耐磨耗板である。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記耐磨耗チップの前記メッキは第1層目が銅メッキであるとともに、前記耐磨耗チップと前記金属板の前記溝に、複数のフッ化物とホウ化物を溶媒に溶解して生成した液体フラックスを塗布し、前記耐磨耗チップを前記溝に挿入し、ロウ付けした耐磨耗板である。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記溝と溝を仕切る溝板の厚みは前記耐磨耗チップの埋め込み深さの1/2以下である耐磨耗板である。
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記溝に前記貫通孔を有する前記耐磨耗チップを配設し、前記溝板に溝板貫通孔を設け、該溝板貫通孔と前記耐磨耗チップの前記貫通孔に金串を刺してロウ付けしている耐磨耗板である。
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記貫通孔を有する複数の前記耐磨耗チップを積層し、前記貫通孔に金属串を刺して一体化した耐磨耗チップセグメントを形成し、該耐磨耗チップセグメントを前記溝に挿入してロウ付けしている耐磨耗板である。
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、ゴム板に複数の溝を設け、該溝に複数の前記耐磨耗チップを挿入した耐磨耗ゴム板において、前記耐磨耗チップの材質は超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなり、前記耐磨耗チップに銅メッキを施して、該耐磨耗チップの広面が前記溝の側面に対向し、且つ前記溝板の厚みが前記耐磨耗チップの埋め込み深さの1/2になるようにし、前記耐磨耗チップを前記溝に接着剤接合又は加硫接合した耐磨耗ゴム板である。
第1の解決手段による効果は、(1)耐磨耗チップにメッキを施しロウ付けで金属板の溝にロウ付けしているので、金属板に強固に固定され振動や衝撃で脱落したり剥離したりしない。(2)耐磨耗チップを挿入する溝が単純な直線形状なので加工しやすいことから、種々の形や大きさをした使用後の超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスのチップを形状や大きさに係わらず幅広く利用できるので、資源の有効利用と製造費用の低減が実現できる。(3)超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスは高い硬度を有するが、靱性が小さいことから、衝撃荷重や大荷重を受けると割損する危険性がある。しかし、金属板の溝に挿入しロウ付けすることで金属板と一体化し、金属板の靱性で補強されるので摩耗と靱性を兼ね備えた耐磨耗板ができる。(4)金属板が選択的に摩耗しても、セルフライニング機能により耐磨耗チップの取り付け部が残存するので、耐磨耗チップが脱落しない。(5)耐磨耗チップの埋め込み間隔を適宜調整することによりセルフライニング機能が生まれある深さ以上に金属板の摩耗が進行しない。(6)耐磨耗チップの表面に銅メッキして金属板とロウ付けしているので、金属板と耐磨耗チップは強固に接合する。(7)溝で分断された金属表面の突起が耐磨耗チップを仲介して再度強固に接合されるので金属板の曲げ強度が低下しない。(6)薄い金属板に溝を形成し耐磨耗チップを嵌め込んでロウ付けする単純な構造であることから大幅な重量軽減ができた。(8)金属板が鉄板やSUS材の場合は、取り付け場所に直接溶接できるので取り付けが容易である。また、金属板にボルトを溶接することによりボルト取り付けが可能であり交換が容易にできる。(9)耐磨耗チップを原料の流れる方向と同じ方向に倒して金属板に挿入・取り付けすることにより、原料から受ける衝撃力をまともに打受けず軽減することができるので、耐磨耗チップが摩耗しにくくなり寿命を延長することができる。(10)セルフライニングの深さを浅くできるので、耐磨耗チップの露出部分が少なくなり耐磨耗チップが剥離しにくくなることである。
第2の解決手段による効果は以下である。(1)超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスの表面には比較的容易に銅メッキが可能であり、銅メッキすることにより、銅メッキそのものがロウ材となり確実にかつ強度の高いロウ付けができる。(2)耐磨耗チップ表面の銅メッキ及び溝内面に液体フラックスを塗布することにより、ロウ付け時に溶融したロウ材の酸化を防止し、表面張力を低減するとともに清浄化するので強度の高いロウ付けができることである。
第3の解決手段による効果は、耐磨耗チップの間隔、即ち、溝と溝を仕切っている溝板の厚みを耐磨耗チップの埋め込み深さの1/2以下にすることにより、金属板の突起が摩耗して凹みが生じても、凹み部分に小さな粒径の原料が堆積し、原料自体がライニング材となり摩耗防止機能を発揮するので、ある程度の深さまで摩耗が進行するとそれ以上摩耗しなくなることである。セルフライニング機能を確実に発揮するには、溝板の厚みは耐磨耗チップの埋め込み深さの1/2以下にすることが必要条件である。
第4の解決手段による効果は以下である。(1)耐磨耗チップの貫通孔と溝板に金串を刺して連結しているので大荷重により変形しても耐磨耗チップが剥離しない。(2)耐磨耗板の曲げ剛性が向上し、大荷重、大衝撃を受けても耐磨耗板が割損することがない。
第5の解決手段による効果は以下である。(1)貫通孔を有する耐磨耗チップを積層して、貫通孔に金串をさして連結しているので大きな衝撃を受けても耐磨耗チップが剥離しない。(2)一つの溝あたりの耐磨耗チップの挿入数を多くできるので耐磨耗性が向上することである。
第6の解決手段による効果は以下である。(1)大衝撃をゴム板の弾力性により吸収できるので耐磨耗チップが割損しない。(2)耐磨耗チップに銅メッキを施すことにより、銅メッキとゴムに含まれる硫黄が加硫時に反応し強固に接合するので耐磨耗チップが剥離しにくい。(3)耐磨耗チップとゴム板を金属串で串刺しにすることにより耐磨耗チップが剥離しなくなる。(4)耐磨耗ゴム板の重量が軽いので現場施工が容易である。
耐磨耗チップの広面を溝に平行に挿入した耐磨耗板の部分断面図。 耐磨耗チップの狭面を溝に平行に挿入した耐磨耗板の部分断面図。 金属板に斜め溝を形成して耐磨耗チップを埋め込んだ耐磨耗板。 耐磨耗チップを斜めに挿入し、金属板のエッジをカットした耐磨耗板。 複数の耐磨耗板を連結した図。 厚みの異なる耐磨耗チップを埋め込んだ耐磨耗板。 耐磨耗チップにメッキを施してロウ付けした場合の模式図。 耐磨耗チップにメッキを施し、液体フラックスを塗布してロウ付けした模式図。 耐磨耗チップが垂直の場合の耐磨耗板の摩耗状態の模式図。 耐磨耗チップが斜めの場合の耐磨耗板の摩耗状態の模式図。 溝と直角方向に耐磨耗チップに金属串を刺した部分断面図。 溝と平行に耐磨耗チップに金属串を刺した部分断面図。 耐磨耗チップセグメントの部分断面図。 ゴム板に耐磨耗チップを埋め込んだ部分断面図。
以下、本発明の実施の形態を図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14に基づいて説明する。
第1の解決手段は、金属板20に複数の溝21を設け、該溝21に複数の耐磨耗チップ30を挿入した耐磨耗板10において、前記耐磨耗チップ30の材質は超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなり、前記耐磨耗チップ30にメッキ40を施して、前記耐磨耗チップ30の広面30aが前記溝21の側面21aに対向するようにして、前記溝21にロウ付け50固定したことを特徴とする耐磨耗板10である。
図1、図2のように耐磨耗チップの面積の広い側の面を広面30a、面積の狭い側を狭面30bとした場合、広面30aが溝21の側面21aと対向するようにしてロウ付け固定する。広面30aを溝21の側面21aに対向するようにした場合は耐磨耗チップ30の埋め込み深さDが深くなり、耐磨耗チップ30を溝21に強固に固定できる。従来、広面30aを金属板20上面にロウ付けする方法が公知の技術として多用されている。この方法は金属板20に張り付ける耐磨耗チップ30の数を少なくできるメリットがある。しかしながら、金属板20が荷重や熱によって変形した場合、耐磨耗チップ30が割損したり剥離したりして、耐磨耗チップ30の持つ摩耗寿命を最後まで享受できなかった。本発明では表面に様々なコーティングを施した使用済みの切削工具にメッキを施すことによりロウ付けできるようにしたことにより大量の耐磨耗チップを低コストで利用できるようにしたものである。
図3、図4、図5、図10に示すように、耐磨耗チップ30を原料70の流れる方向に傾けることにより、原料70の衝撃を軽減できるので耐磨耗チップ30の寿命が延び、その結果耐磨耗板10の寿命を延ばすことができる。
図4のように、耐磨耗チップを金属板に傾けて固定した場合は、金属板20の前後の前エッジ23、後ろエッジ24を面取りすることにより、図5のように耐磨耗板10を連結することができる。面取りすることにより、連結部での耐磨耗チップ30の間隔が不均等、不連続にならないように調整できる。
図6のようにも溝幅T(耐磨耗チップの厚みと同等)を変えることにより厚みの異なる耐磨耗チップ30を使用することができる。例えば、厚みT1の厚手耐磨耗チップ31と厚みT2の薄手耐磨耗チップ32を交互に埋め込むことにより寸法の異なる耐磨耗チップ30を有効に使うことができるので使用済み切削工具の有効活用ができる。
金属板20は一般構造用圧延鋼材(SS材、SM材、SB材など)や機械構造用炭素鋼鋼材(S−C材、S−CK材)、鍛造材(SF材)、SUS材(SUS304、SUS316など)や銅板、銅合金板、チタン、アルミニウムなどが使用できる。また、鋳鉄や鋳鋼板も使用できる。金属板20の厚みは15〜30mm程度の厚みがよい。15mmより薄いと溝21を形成した後の残存厚みが薄くなる。30mmより厚いと耐磨耗板10の重量が重くなりすぎて取り付けや取り外す場合の作業が困難となる。チタンやアルミニウムの板に耐磨耗チップ30を埋め込むことにより超軽量で耐食性に強い耐磨耗板を製造できる。鋳鉄板がハイクロム鋳鉄の場合は、ハイクロム鋳鉄を鋳込む際に櫛状の溝21を形成しておくか、軟鋼板を一緒に鋳込んでおき、鋳造後軟鋼板を削って溝21を形成し、その溝21に耐磨耗チップ30を挿入してロウ付け50してもよい。ハイクロム鋳鉄の溝21に耐磨耗チップ30をロウ付け50することのより金属板20そのものの耐磨耗性が向上するので耐磨耗板10の寿命を延長できる。
耐磨耗チップ30の材質は超鋼合金、サーメット、セラミックスである。これらの耐磨耗チップ30は機械切削用の切削工具として大量に使用されており、本発明は使用済みの切削工具を使用することが可能であることから、貴重な資源の有効利用にも貢献するものである。超硬合金には、硬度や靱性が高いタングステンカーバイト(WC)があるが、Wが希少金属であることから回収後Wを抽出して再利用する方法がある。サーメットには、MoC、VC、NbC、TiCなどがある。複合炭化物をNiやCoにて粒子間結合させたサーメットは金属の回収が難しいため再利用の方法がなく大量に廃棄されているのが現状である。サーメットからなる切削工具表面には窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、チタンアルミナイトライド(TiALN)、アルミクロムナイトライド(ALCrN)などの硬質物質を化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PVD)で被覆した切削工具が主流になりつつある。セラミックスにはアルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニアなどがある。耐磨耗チップ30の厚みは3〜15mmがよい。3mmより薄いと機械強度が小さく割損しやすい。また、溝21数が多くなり機械加工費用がアップしコスト高となる。耐磨耗チップ30の縦横の大きさは5〜20mm□である。5mm□より小さいと摩耗代が小さいので耐磨耗板10の寿命が短くなる。20mm□より大きいと溝21深さが深くなり、金属板の厚みが厚くなり重量が大きくなる。
耐磨耗チップ30の表面のメッキ40には、銅メッキ41、ニッケルメッキ、マンガンメッキ、カニゼンメッキ(Ni−P)などがある。これらのメッキ厚みは、0.01〜0.03mmがよい。メッキ40は1層もしくは複層にしてもよく、例えば銅メッキ41の上にマンガンメッキもしくはカニゼンメッキもしくはマンガンメッキとカニゼンメッキを施してもよいし、マンガンメッキもしくはカニゼンメッキもしくはマンガンメッキとカニゼンメッキの上に銅メッキ41を施してもよい。メッキ40の組み合わせはいろいろあるがどのような組み合わせでも本発明の範囲である。
超硬合金やサーメットにメッキ40するには、電気メッキ、化学メッキ(無電解メッキ)、蒸着メッキ、溶融メッキ、拡散浸透メッキ、金属溶射、陰性スパッタリングなどの方法がある。例えば銅メッキ41、ニッケルメッキ、マンガンメッキする場合は電気メッキ法、カニゼンメッキする場合は化学メッキ法で行うことができる。超硬合金はタングステンカーバイト、チタンカーバイト、ニオブカーバイトなど種類が豊富なことから特性も異なるので各種メッキ法の中から適宜選択するのがよい。
セラミックスにメッキ40するには、メタライジング(金属化)後電気メッキする方法がある。メタライジングには蒸着、スパッタリングなどのPVD法やペースト焼成法などが実用化されている。ペースト法は銀やパラジウムペーストを塗布後焼成して無電解メッキや電気メッキする方法である。
ロウ付け50は一種の溶接であるが、接合する母材よりも融点の低い合金(ロウ材)を溶かして一種の接着剤として用いることにより、母材自体を溶融させずに複数の部材を接合できる方法である。一般的にロウ付け50に用いる合金を硬ロウといい金属加工の分野では銀の合金を用いた銀ロウが多用されている。銀ロウは銀、銅、亜鉛を主成分とし、アルミニウム、マグネシウム以外の金属のロウ付けに広く使用されている。銅ロウや黄銅ロウは銅と亜鉛が主成分であり鋼や銅のロウ付けに使用される。リン銅ロウは銅と5〜8%のPを主成分とし、Pの還元作用があるのでフラックスを必要としない利点がある。他にアルミロウ、金ロウなどがある。以上のようなロウ材を使用することにより、超硬合金、サーメット、セラミックスなどの耐磨耗チップ30を金属板20にロウ付け50できる。
耐磨耗チップ30の表面にメッキ40を施すことにより金属板20とのロウ付け50が可能である。耐磨耗チップ30のロウ付け50接合のための、メッキ40の種類とロウ付け50の種類の組み合わせは各種あるが、いずれにしても本発明の範囲である。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記耐磨耗チップ30の前記メッキ40は第1層目が銅メッキ40であるとともに、前記耐磨耗チップ30と前記金属板20の前記溝21に、複数のフッ化物とホウ化物を溶媒に溶解して生成した液体フラックス60を塗布し、前記耐磨耗チップ30を前記溝21に挿入し、ロウ付け50した耐磨耗板である。
耐磨耗チップ30の表面のメッキ40には、銅メッキ41、ニッケルメッキ、マンガンメッキ、カニゼンメッキ(Ni−P)などをメッキ40できるが、特に銅メッキ41と限定している理由は、メッキした銅がロウ材の役割を果たすとともにロウ材との合金を形成し接合強度の高いロウ付け50ができるからである。また、使用後の切削工具にはPVDやCVDで硬化膜がライニングしてありショットブラストなどの特殊な処理をしない限り硬化膜を剥ぎ取ってメッキ50することは不可能であった。しかし、ホウフッ化銅浴でフッ化水素を連続的に吹き込むことで、硬化膜を剥がずに直接銅メッキ41できることから、第1層目に銅メッキ41を施しているのである。耐磨耗チップ30の表面に銅メッキ41だけを施してもよいし、銅メッキ41の上にカニゼンメッキやニッケルメッキやマンガンメッキなどを施してもよい。銅メッキ41と他のメッキの組み合わせはいろいろあるが少なくも銅メッキ41が1層目に施されていればよい。銅はロウ材として優れており、ロウ付け50強度を向上するために少なくとも銅メッキ41は必須である。
ロウ付け50手順としては、メッキ40した超硬合金、サーメット、セラミックスなどの耐磨耗チップ30の表面に液体フラックス60を塗布し乾燥させた後、同様に液体フラックス60を塗布して乾燥させた金属板20の溝21に、耐磨耗チップ30を挿入し、耐磨耗チップ30の周囲にロウ材を載置して、450〜950℃の高温炉で加熱する。ロウ付け中のロウ材の酸化物を除去するため、還元性雰囲気において金属酸化物を還元する方法、あるいは真空、不活性雰囲気において金属酸化物を解離する方法があるがいずれの方法でも耐磨耗チップ30のロウ付け50として使用できる。
本発明者は、特開2012−086225号広報「超鋼合金の鋳ぐるみ方法」において、使用後の超硬合金やサーメットやセラミックスからなる切削工具表面に施されているPVDやCVDによる硬化皮膜を除去して銅メッキ41を施し、ハイクロム鋳鉄と鋳こむ技術を発明した。この技術は使用後の切削工具をロウ付け50する技術にも応用できる。硬化皮膜のある耐磨耗チップ30に銅メッキ41する場合の銅メッキはホウフッ化銅メッキ、シアン化銅メッキがある。
ホウフッ化銅メッキはホウフッ化浴で行う。ホウフッ化銅浴はホウ酸水溶液とフッ化水素と銅からなり、ホウフッ化銅浴にフッ化水素を連続的に添加しながら電気メッキする方法である。ホウフッ化銅浴は安定剤が不要であり温度調整範囲が広いので作業性に優れている。ホウフッ化銅(Cu(BF)はホウ酸(HBO)水溶液に銅粉を混入した液体にフッ化水素を連続的に吹き込んで生成する。反応式はCu(銅粉)+2HBO(ホウ酸)+8HF(フッ化水素)→Cu(BF+6HO+2Hとなる。銅メッキ41の電流密度は6〜30A/dm2とする。電圧は3〜12Vとする。ホウフッ化銅浴にフッ化水素を連続的に添加しながら電気メッキする方法は硬化薄膜処理をしていない耐磨耗チップ30にも適用できる。
シアン化銅メッキはシアン化銅浴で行う。シアン化銅浴は、銅イオンが1価の銅イオンCu+で錯体イオンとして存在しているため遊離のCu濃度が極めて低いため硫酸銅浴の場合のように卑金属の表面への置換反応が起こらないため鉄よりイオン化の大きいアルミニウムや亜鉛などにも直接メッキが可能である。超硬、サーメットのメッキに適する。シアン化第一銅(CuCN)とシアン化ナトリウム(NaCN)の反応は次のようになる。1モルのシアン化第一銅を溶解させるには2モルのシアン化ナトリウムが必要である。

CuCN+2NaCN→NaCu(CV)
陰極反応(メッキ側) Cu(CN) 2−→+eCu+3CN
陽極反応(アノード側) Cu+3CN→Cu(CN) 2−+e
これらの式でCN−は遊離シアンでメッキ反応は遊離シアンの濃度が低いほど促進し高いほど抑制される。欠点は大気中の炭酸ガスを吸収するとNaCO(炭酸ナトリウム)ができて限界値80〜100g/リットルに達すると外観不良となる。そのため1〜2%のNaBF(テトラフルオロホウ酸ナトリウム)又は2〜3%のCu(BF(ホウ酸銅)又は1〜2%NaSiF(ケイフッ化ナトリウム)を入れることで、(−)電位の発生水素側で、e+F(+)→HF の反応が生じ、フッ化水素の清浄作用にてシアン化銅浴PH11〜12の強アルカリでありながら発生フッ化水素にて中性としてメッキするためサーメット(TiC)や超硬合金(WC)などの炭化物に対してメッキ付着がよくなる。
耐磨耗チップ30として使用する超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスを新規製作するのはコスト高となる。コストを低減するには超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなる使用済みの切削工具(回収切削工具)を再利用する方法が最良である。しかしながら回収切削工具の表面には硬い真空薄膜が0.03〜0.05mm程度の厚みでコーティングされているためこの膜を剥離するか、特殊な前処理と下地メッキしないことには銅メッキ41を強力に付着させることは不可能であった。回収切削工具は旋盤、フライス、中グリ盤、プラノミラー、セーパーなどに使用され、重摩耗が刃先にかかるため非常に複雑な切削逃げ角度がついており、機種に沿った複雑な刃物形状をしている。回収切削工具には高硬度材質の真空薄膜がCVD、PVD、またはAIPなどによる真空薄膜処理にて形成されている。これらの真空薄膜は回収切削工具とロウ材との相互拡散を抑制するため、回収切削工具と金属板間には相互拡散層に基づく強固な接合を生み出すことはできない。即ち、回収切削工具を単純にロウ付けするだけでは回収切削工具はロウ材の凝固収縮時の収縮応力で溝21に機械的に保持されるだけとなる。従って、真空薄膜の上に直接銅メッキ41しても付着強度が弱く、急加熱するだけで剥離してしまう。そのため、フッ化水素をホウフッ化浴に連続的に添加して真空薄膜を連続的にフッ化水素の泡衝撃と強酸で酸洗いし、回収切削工具のコーティングを活性化しているのである。フッ化水素はPH1の強酸である。ホウフッ化浴中のフッ化水素とホウ酸の作用で真空薄膜を剥ぐことなく真空薄膜上に銅メッキ41が可能となる。銅メッキ41完了後は、使用済みのホウフッ化浴と苛性ソーダを混合することにより中和することができるので排水処理も簡単である。
特開2001−96182号広報では、本発明のようなフッ化銅浴を使用しないメッキ方法が開示されている。回収超硬チップの表面に特殊な前処理で皮膜を除去し、下地メッキを経てカニゼンメッキをする方法である。この方法は工程が多く複雑であり高コストであった。このように、銅メッキ41を回収超硬チップ上に強固にコーティングするにはあらかじめ真空薄膜を除去する必要があった。真空薄膜の除去方法は機械的にはバレルサンドショットがある。化学処理としてはアルカリ溶液(例えばNaOHの15〜20%溶液など)中で30〜60分間、100℃に加熱した後過酸化水素(H2O2)を注入してバッハ効果による衝撃波を数回繰り返す方法がある。真空薄膜がチタンベースの場合、TiN(Hv2500)、TiC(Hv3000)はNaOHなどによるアルカリ溶解も可能であるが、中間層にCr―N(Hv1800)、TiALN(Hv3000)などがコーティングされているとアルカリ溶解では除去できない。また、PVD(物理蒸着)による真空薄膜は除去しやすいが、回収超硬チップの真空薄膜は大部分CVD(真空化学蒸着)によってコーティングされている。従ってNaOHによる溶解だけでは除去できず手間のかかる機械的な除去工程が不可欠であった。しかも、ブラストによる真空薄膜除去費用は高額なので、通常はまずアルカリによる溶解工程を経て残存した真空薄膜をブラスト処理するという2回の除去工程をとっていた。回収超硬チップは小物のためバレル回転装置内でブラストしているが、バレル自体の鋼の摩耗も大きく手間のかかる大仕事であった。従来の下地処理方法では、回収超硬チップは真空薄膜を剥離しない限り銅メッキ41の付着力は小さかった。回収超硬チップの再利用が進んでいないのは真空薄膜の剥離技術が無かったことや真空薄膜の上に直接強固な銅メッキ41ができなかったからである。
液体フラックス60の塗布厚みは乾燥後において、0.01〜0.03mmが望ましい。液体フラックス60はロウ付け時に次のような働きをする。(1)ロウ付け中の酸化物を除去し清浄化作用をする。(2)耐磨耗チップ30のメッキや溝21表面の酸化を防止する。(3)ロウ材の流動性や清浄性を向上し、拡延性を広げ表面張力を低減するので全面積に渡り均一な強度の高いロウ付け50ができる。
本発明による液体フラックス60は、本発明者が発明した、特開2012−086225号広報「超鋼合金の鋳ぐるみ方法」(特許文献1)、特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」(特許文献6)、特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」(特許文献7)、特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」(特許文献8)などの方法によって製造することができる。少なくとも複数のフッ化物とホウ化物をアルコールやアセトンなどの溶媒に溶解して生成したものである。
ホウ化物はホウ素とそれより電気陰性度が小さい元素との間の化合物の総称である。例えば、ホウ酸(H3BO3)、ホウ砂(Na2B4O7、酸化ホウ素(B2OB)、ホウ酸トリメチール((CH3O)3B)、ホウ酸カリウム(K2B4O7)、ホウフッ化水素酸(HBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)などがありロウ材の成分、ロウ付け温度などの条件に応じて選択することができる。
フッ化物は例えば、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、三フッ化ホウ素(BF3)、四フッ化珪素(SiF4)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF2)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、フッ化アルミナトリウム(液晶石、Na3ALF6)、フッ化アルミカリウム(カリ永晶石、K3ALF6)、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)、ケイフッ化ナトリウム(NaHF6)、ケイフッ化ナトリウム(NaHF6)、酸性フッ化カリウム(KHF2)などがありロウ材の成分、ロウ付け温度などの条件に応じて選択することができる。フッ化物とホウ化物の共通の化合物であるホウフッ化カリウム(KBF4)やホウフッ化ナトリウム(NaBF4)はそれぞれのフッ化物とホウ化物の両方で例示した。
液体フラックス60は酸化防止作用、清浄作用、表面張力除去作用があり、このフラックス機能を利用することにより銅メッキ41、マンガンメッキ、カニゼンメッキと金属板20のロウ付け50が強固なものとなる。ロウ付け50専用のフラックスとして液体フラックス60を塗布し、液体フラックス60を乾燥させた後のフラックス結晶の厚みが0.1±0.05mm程度になるように均一に薄く塗布する。この厚みは液体フラックス60の濃度を30wt%程度にすれば可能である。本発明者はすでに常温で30wt%濃度の液体フラックス60製造方法を具現化した。
耐磨耗チップ30のメッキ40に塗布した液体フラックス60は乾燥させてフィルム状の結晶にしてから金属板20の溝21に挿入する。フラックス結晶は酸化防止機能、清浄機能、表面張力除去機能を有するフッ化物やホウ化物を一旦溶媒に溶解し再び析出させたものであり、その成分がフィルム状の結晶の中に均一に分布しているので、フラックスの機能がどの面にも万遍なく作用し、確実で強固なロウ付け50ができるのである。また、耐熱性の異なる成分を混合しているので、常温から450〜950℃のロウ付け温度の範囲でフラックス機能を発揮できる。フラックス結晶の作用によりロウ材と銅メッキ41、ロウ材とマンガンメッキ、ロウ材とカニゼンメッキの境界面に円滑にカーケンドール効果を生じさせることができるので、銅メッキ41、マンガンメッキ、カニゼンメッキをロウ材として耐磨耗チップ30と金属板20の拡散接合の信頼性をより向上させることができた。マンガンメッキ中のマンガンは酸化マンガン(MnO2)として還元作用を発揮する。カニゼンメッキ中のNiは銅メッキ30及びロウ材とNiの合金層を作り溶着する。カニゼンメッキ中のリンは五酸化リン(P2O5)として還元作用を発揮する。リン(P)とマンガン(Mn)の還元反応で超硬合金やサーメットやセラミックスなどの耐磨耗チップ30を金属板20に強固にロウ付け50できる。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記溝21と溝21を仕切る溝板22の厚みBは前記耐磨耗チップ30の埋め込み深さの1/2以下である耐磨耗板10である。
図1、図2、図9、図10において、溝板22の厚みB≦D/2である。溝板22の厚みを耐磨耗チップ30の埋め込み深さDの1/2以下とすることにより、金属板20の露出部が摩耗し、深い凹部20bが生じる。原料70が耐磨耗板10を通過する間に凹部21bに粉砕粒71が堆積し、粉砕粒71自身がライニングとなって、金属板20の摩耗を防止する働きをするので、ある程度の摩耗深さdまで摩耗するとそれ以上摩耗は進行しなくなる。これをセルフライニングと称している。図9のように耐磨耗チップ30を金属板20に垂直に埋め込んだ場合は、埋め込み深さDは耐磨耗チップ30の縦長さに等しくなる。図10のように耐磨耗チップ30を斜めに埋め込んだ場合は、埋め込み深さDは耐磨耗チップ30の縦長さより浅くなるが凹部21bも浅くなるのでセルフライニングの機能を発揮できる。
金属板20に凹部21bが生じることにより耐磨耗チップ30は徐々に露出してくるが、強力にロウ付けされているので、ロウ付け面が残存している限り耐磨耗チップ30が金属板20から剥離することはない。
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記溝21に前記貫通孔30cを有する前記耐磨耗チップ30を配設し、前記溝板22に溝板貫通孔22aを設け、該溝板貫通孔22aと前記耐磨耗チップ30の前記貫通孔30cに金串80を刺してロウ付け50している耐磨耗板10である。
図11に示すように、耐磨耗チップ30の広面30a側に設けられた貫通孔30cと溝板22に設けられた溝板貫通孔22aに金属串80を刺すことにより、耐磨耗チップ30を金属板20に縫い付けたような状態となり、金属板20に耐磨耗チップ30を強固に取り付けることができる。金属板20と耐磨耗チップ30が強固に一体化することにより耐磨耗板10の剛性が向上し、耐磨耗板10が大荷重や大衝撃を受けても割れにくくなる。溝板22と金属串80及び耐磨耗チップはロウ付け50するのがよい。これらのロウ付け50は耐磨耗チップ30と金属板20をロウ付けするときに同時に行うことができる。
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、耐磨耗チップ30の広面30aに貫通孔30cを有する複数の前記耐磨耗チップ30を積層し、前記貫通孔30cに前記金属串80を刺して一体化した耐磨耗チップセグメント33を形成し、該耐磨耗チップセグメント33を前記溝21に挿入してロウ付け50している耐磨耗板10である。
図12、図13に示すように、複数の耐磨耗チップ30を積層して、金属串80を刺して耐磨耗チップセグメント31を形成する。耐磨耗チップ30同士、あるいは耐磨耗チップ30と金属串80はロウ付けするのがよい。耐磨耗チップセグメント33をロウ付け50で一体化しておくことにより剛性が向上する。金属串80の直径は2〜6mmである。金属串80の材質は炭素鋼、SUS、Ti、AL、銅、銅合金などが使用できる。
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、ゴム板200に複数の溝210を設け、該溝210に複数の前記耐磨耗チップ30を挿入した耐磨耗ゴム板100において、前記耐磨耗チップ30の材質は超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなり、前記耐磨耗チップ30に銅メッキ41を施して、該耐磨耗チップ30の広面30aが前記溝210の側面210aに対向し、且つ溝板220の厚みBが前記耐磨耗チップ30の埋め込み深さDの1/2になるようにし、前記耐磨耗チップ30を前記溝210に接着剤接合又は加硫接合した耐磨耗ゴム板100である。
ゴム板200には天然ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴムがある。いずれも使用できる。加硫済みのゴム板200に溝210を形成して、銅メッキ41した耐磨耗チップ30を差し込んで接着剤で接合してもよいし、加硫接合してもよい。加硫接合には熱加硫と自然加硫がある。熱加硫は、未加硫のゴムシートに耐磨耗チップ30を加硫用接着剤で張り付け加硫金型にセットした後、これをホットプレスに挿入して140℃前後の温度で30分前後加熱保持して加硫成形する。ゴムは素練り、混練り、成形、加硫の工程を経てゴム板となるが、成形された段階の柔らかいゴムが未加硫ゴムであり、熱加硫はこの未加硫ゴムに耐磨耗チップを埋め込んで加硫する。自然加硫は熱を加えず接着剤とゴムを自然硬化させる方法である。接着剤には、エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤、ビニール系接着剤を使用できる。
耐磨耗チップ素材30である超硬合金、サーメット、セラミックスは地肌のままではゴムとの接合性が悪いので銅メッキ41する。加硫によってゴムに数%含まれるイオウと銅が強力なイオン結合を形成するのでゴムと耐磨耗チップ30を強力に接合できるからである。銅メッキ41にブラスメッキして加硫性能を高める方法もある。
図14に示すように溝板220に設けた溝板貫通孔220aと耐磨耗チップ30の貫通孔30cに金属串80を刺して連結することにより、耐磨耗チップ30がゴム板200から剥離しなくなる。
10:耐磨耗板
20:金属板
21:溝
21a:側面
21b:凹部
22:溝板
22a:溝板貫通孔
23:前エッジ
24:後ろエッジ
30:耐磨耗チップ
30a:広面
30b:狭面
30c:貫通孔
31:厚手耐磨耗チップ
32:薄手耐磨耗チップ
33:耐磨耗チップセグメント
40:メッキ
41:銅メッキ
50:ロウ付け
60:液体フラックス
70:原料
71:粉砕粒
80:金属串
100:耐磨耗ゴム板
200:ゴム板
210:溝
210a:側面
220:溝板
220a:溝板貫通孔
B:溝板の厚み
T:耐磨耗チップの厚み(溝幅)
T1:厚手耐磨耗チップの厚み
T2:薄手耐磨耗チップの厚み
D:埋め込み深さ
d:摩耗深さ

Claims (6)

  1. 金属板に複数の溝を設け、該溝に複数の耐磨耗チップを挿入した耐磨耗板において、前記耐磨耗チップの材質は超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなり、前記耐磨耗チップにメッキを施して、前記耐磨耗チップの広面が前記溝の側面に対向するように挿入して、前記溝にロウ付け固定したことを特徴とする耐磨耗板。
  2. 前記耐磨耗チップの前記メッキは第1層目が銅メッキであるとともに、前記耐磨耗チップと前記金属板の前記溝に、複数のフッ化物とホウ化物を溶媒に溶解して生成した液体フラックスを塗布し、前記耐磨耗チップを前記溝に挿入し、ロウ付けしたことを特徴とする請求項1記載の耐磨耗板。
  3. 前記溝と溝を仕切る溝板の厚みは前記耐磨耗チップの埋め込み深さの1/2以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の耐磨耗板。
  4. 前記溝に貫通孔を有する前記耐磨耗チップを配設し、前記溝板に溝板貫通孔を設け、該溝板貫通孔と前記耐磨耗チップの前記貫通孔に金串を刺してロウ付けしていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の耐磨耗板。
  5. 前記貫通孔を有する複数の前記耐磨耗チップを積層し、前記貫通孔に金属串を刺して一体化した耐磨耗チップセグメントを形成し、該耐磨耗チップセグメントを前記溝に挿入してロウ付けしていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の耐磨耗板。
  6. ゴム板に複数の溝を設け、該溝に複数の前記耐磨耗チップを挿入した耐磨耗ゴム板において、前記耐磨耗チップの材質は超硬合金もしくはサーメットもしくはセラミックスからなり、前記耐磨耗チップに銅メッキを施して、該耐磨耗チップの広面が前記溝の側面に対向し、且つ前記溝板の厚みが前記耐磨耗チップの埋め込み深さの1/2になるようにし、前記耐磨耗チップを前記溝に接着剤接合又は加硫接合したことを特徴とする耐磨耗ゴム板。
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