以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲内にあるものが含まれる。以下に説明するリサイクル燃料集合体格納用バスケットは、主として輸送、貯蔵用キャスクに使用するものであるが、これに限定されるものではない。例えば、貯蔵目的のコンクリートキャスク、あるいはキャニスタやリサイクル燃料集合体貯蔵プールのラックに使用できる。本発明は、PWR、BWR(Boiling Water Reactor)いずれに用いられるリサイクル燃料集合体に対しても適用できる。
(実施形態1)
実施形態1は、複数の板状部材の長辺側端部同士を当接させて積み重ねるとともに、積み重ねられた板状部材の側面に連結部材を取り付けて複数の板状部材を連結して板状部材連結体を形成し、さらに、対向して配置される板状部材連結体同士の間に、長手方向に貫通する孔を有し、かつ長手方向と直交する断面の内形状及び断面の外形状が四角形(本実施形態では断面の内形状が正方形)である角パイプを配置し、板状部材の側面から突出する連結部材に係合させて、リサイクル燃料集合体収納用バスケットを構成する。そして、角パイプの貫通孔にリサイクル燃料集合体を収納する点に特徴がある。実施形態1に係るリサイクル燃料集合体収納用バスケットについて説明する前に、リサイクル燃料集合体収納容器について説明する。なお、以下の説明では、リサイクル燃料集合体格納用バスケットを、必要に応じてバスケットと略称する。
図1は、リサイクル燃料集合体収納容器の一例であるキャスクの概要を示す断面図である。図2は、図1に示したキャスクのA−A断面図である。図1に示すように、キャスク200は、蓋200Tと胴200Bとから構成されて、胴200Bの内部にリサイクル燃料集合体を収納してから蓋200Tにより密封される。キャスク200の胴200Bは、図2に示すように、筒状の胴本体201と、胴本体201の外周に取り付けられる伝熱フィン207と、伝熱フィン207のもう一方の長辺側端部に取り付けられる外筒205と、胴200Bの外周と伝熱フィン207と外筒205とで構成される空間に充填される中性子遮蔽材209とで構成される。胴本体201は、γ線を遮蔽する機能を発揮させるため、十分な厚みを有する炭素鋼やステンレス鋼で製造される。なお、炭素鋼で胴本体201を製造する場合、十分なγ線遮蔽機能を発揮させるために、胴本体201の厚さは20〜30cmとしている。
胴本体201には、溶接によって筒状の胴本体201に底板を取り付けて構成することができる。また、胴本体201の外形に合わせた内部形状を持つコンテナ内に金属ビレットを装入し、胴本体201の内形に合わせた外形を持つ穿孔ポンチでこの金属ビレットを熱間成形することによって胴本体201と底板とを1体に成形してもよい。さらには、鋳造によって胴本体201を製造してもよい。
胴本体201の内部は、リサイクル燃料集合体を格納するバスケット1が収納されるキャビティ201Cとなる。このキャビティ201Cの軸(キャビティ軸Z)方向に垂直な断面内形状は円形であるが、キャスク200の仕様に応じて、八角形や四角形、略十字型、階段状等の断面内形状を持つキャビティも使用できる。本実施形態において、キャビティ201Cの断面内形状は円形であるため、外形が多角形のバスケット1を収納する際には、第1スペーサ202a〜第5スペーサ202eを、バスケット1とキャビティ201Cとの間に介在させて、バスケット1をキャビティ201C内へ位置決めする。なお、第1スペーサ202a〜第5スペーサ202eに、バスケット1を構成する板状部材が嵌め合わされる溝を設け、第1スペーサ202a〜第5スペーサ202eと前記板状部材とを焼き嵌めや冷やし嵌め等によって組み合わせてもよい。
ここで、バスケット1は、その外周面をキャビティ201Cの内壁と接するようにすることが好ましい。これによって、未臨界機能を確保しつつ、容器との熱の受け渡しが広い面で行なわれるので少ない温度差で伝熱ができる。これによって、B−Al材と比較して、伝熱性に劣るB−SUS材を使用した場合でも収納物の温度を低く保つことができ、また、B−Al材の場合は収納物の温度をより低く保つことができる。
キャビティ201C内にリサイクル燃料集合体を収納した後は、キャビティ201Cの内部から放射性物質が漏洩することを防止するため、一次蓋200T1、二次蓋200T2及び三次蓋T3(図1)を前記胴の開口部に取り付けて、キャビティ201Cを密封する。そして、密封性能を確保するため、一次蓋200T1及び二次蓋200T2と胴本体201との間には金属又はエラストマー、あるいは金属とエラストマーとからなるガスケットを設ける。三次蓋T3は、一次蓋T1や二次蓋T2をさらにバックアップする目的で用いるが、この蓋構造は要求される仕様によっては一次蓋や二次蓋迄のものであってもよい。
胴本体201の外周には、板状部材で作られた複数の伝熱フィン207が放射状に取り付けられている。この伝熱フィン207は、アルミニウム板、銅板等といった熱の良導体で作られており、胴本体201の外周に溶接その他の接合手段によって、熱がよく伝わるようにしている。また、伝熱フィン207の外側には、厚さ数cmの炭素鋼で作られた外筒205が、溶接その他の接合手段によって取り付けられている。キャビティ201C内に収納されたリサイクル燃料集合体は崩壊熱を発生する。この崩壊熱は、バスケット1及び胴本体201を伝わってから、伝熱フィン207を介して外筒205に伝導されて、外筒205の表面から大気中に放出される。
胴本体201と外筒205と二枚の伝熱フィン207とで囲まれる空間には、中性子を遮蔽するため、中性子遮蔽機能を有する材料(中性子遮蔽材209)が充填されている。このような機能を持つ材料としては、水素を多く含有する高分子材料であるレジン、ポリウレタン、又はシリコンその他の中性子遮蔽材料を使用することができる。この中性子遮蔽材料によって、リサイクル燃料集合体から放出される中性子を遮蔽し、キャスク200の外部へ漏洩する中性子を規制値よりも少なくする。
キャスク200は、リサイクル燃料集合体を収納した後、輸送及び貯蔵するために使用される。キャスクを輸送する場合には、図1に示すように、キャスクの軸、すなわちキャビティ軸Zの方向における両端部に緩衝体204を取り付けて、万一キャスク200の落下事故等が発生した場合でも、容器の十分な密封性能及び収納物の健全性を確保できるようにされる。次に、本実施形態に係るバスケットについて説明する。
図3は、実施形態1に係るバスケットを示す斜視図である。図4は、実施形態1に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分を示す断面図である。図5は、実施形態1に係るバスケットを示す一部拡大図である。図6−1は、実施形態1に係るバスケットを構成する板状部材の側面図である。図6−2は、実施形態1に係るバスケットを構成する板状部材の正面図である。図6−3〜図6−5は、実施形態1に係るバスケットを構成する板状部材の変形例を示す正面図である。図7は、実施形態1に係るバスケットを構成する板状部材の変形例を示す正面図である。図8−1は、実施形態1に係るバスケットを構成する角パイプの側面図である。図8−2は、実施形態1に係るバスケットを構成する角パイプの正面図である。図9−1は、実施形態1に係るバスケットを構成する連結部材の斜視図である。図9−2は、実施形態1に係るバスケットを構成する連結部材の断面図である。
バスケット1は、板状部材10と角パイプ20と連結部材30とを組み合わせて構成される。図6−1、図6−2に示すように、板状部材10は、側面視が矩形形状の部材であり、4つの端部を有する。側面視において板状部材10の長辺に相当する2つの端部が長辺側端部10LT1、10LT2であり、側面視において板状部材10の短辺に相当する2つの端部が短辺側端部10STである。長辺側端部10LT1には板状部材10の長手方向に向かう突起部(凸条)11が設けられ、長辺側端部10LT2には板状部材10の長手方向に向かう突起部11と嵌め合う溝部12が設けられる。
長辺側端部10LT2には、板状部材の長手方向に向かう2個の突起部である脚部15が設けられ、脚部15同士で囲まれた部分が溝部12となる。図3に示すように、板状部材の長辺側端部10LT1、10LT2同士を当接させて積み重ねる場合、長辺側端部10LT1の突起部11と長辺側端部10LT2の溝部12とが嵌め合わされる。このとき、長辺側端部10LT2の脚部15が、長辺側端部10LT1の肩部11aに当接する。
板状部材10の側面10Sには、連結部材30を板状部材10に取り付けるための締結手段であるボルト40によって連結部材30を取り付けるためのねじ孔10Hが設けられる。また、板状部材10は、長手方向に向かう貫通孔13を備える。本実施形態では、2個の貫通孔13が板状部材10に設けられる。2個の貫通孔13は、板状部材10の内部に設けられる仕切り部(リブ)14によって仕切られる。これによって、板状部材10は、板状部材10の厚さ方向、すなわち板状部材10の側面10Sと直交する方向の強度が向上する。また、貫通孔13は、中性子のフラックストラップとして機能する。
板状部材の変形例としては、図6−3に示す板状部材10Aのように、貫通孔13Aが1つのものや図6−4に示す板状部材10Bのように、貫通孔13Bが3つのものがある。この貫通孔13Bは、板状部材10Aを積み重ねる方向の高さhによって、板状部材10Aの側面10Sと直交する方向の強度が損なわれないように、貫通孔13Bの形状及び数を選択する。また、図6−5に示す板状部材10Cのように、両方の長辺側端部に溝部12Cを設けて、隣接する溝部12Cを埋めることのできる部材11Cを介して板状部材10Cを積上げてもよい。
図7に示すように、板状部材10の貫通孔13内に、補強部材50を配置してもよい。補強部材50は、板状部材10よりも剛性の高い材料で構成されており、補強部材50の長さ(補強部材50の長手方向における寸法)は貫通孔13の全長と略同じである。このように、板状部材10よりも剛性の高い補強部材50を貫通孔13内に配置することにより、板状部材10の曲げに対する強度をさらに向上させることができる。例えば、板状部材10に、後述する、ボロンを含むアルミニウム材料を用いる場合、補強部材50は、ステンレスを用いる。また、長手方向に貫通する貫通孔を備える中空状の補強部材50aを用い、フラックストラップ機能に配慮したものとしてもよい。さらに、一定の間隔、例えば、リサイクル燃料集合体の格子に接する位置にのみ、補強部材50や補強部材50aを挿入し、その他の部分は板状部材10のみとするとバスケット1の質量増加を抑制できる。
図8−1、図8−2に示すように、角パイプ20は、側面視が矩形形状の部材であり、長手方向に向かう貫通孔20Iを備える筒状の構造体である。この貫通孔20Iは、リサイクル燃料集合体を収納するセルとなる。角パイプ20は、その長手方向(すなわち、貫通孔20Iが角パイプ20を貫通する方向)と直交する断面の内形状が正方形であり、断面の外形状が長方形である。前記断面の外形状は長方形であり、側面20S1と側面20S2とが直交し、両者が直交する部分が角部20Cとなる。角パイプ20は、4個の角部20Cを有する。
図3に示す、板状部材10を複数段積み重ねるとともに、板状部材10が積み重ねられる方向に向かって延出する連結部材30で連結して、板状部材連結体(隔壁)100を構成する。このとき、板状部材10が積み重ねられる方向と直交する方向、すなわち板状部材10の長手方向には、複数の連結部材30が並べられ、配列される。すなわち、複数の板状部材10を積み重ねて構成させる板状部材連結体100は、複数の連結部材30で連結される。
このようにして構成された板状部材連結体(隔壁)100を対向して配置する。そして、それぞれの板状部材連結体100に取り付けられる連結部材30同士を対向させて配置した状態で、角パイプ20を板状部材連結体10の間に配置する。このとき、図5に示すように、板状部材10の側面10S、すなわち板状部材連結体100の側面と連結部材30とで形成される部分に、角パイプ20の角部20Cが接するように角パイプ20を配置する。そして、角パイプ20の側面20S1、20S2のうち、隣接する角パイプ20の側面20Sと対向しない側面20S1が、板状部材10の側面10Sと接する。これによって、角パイプ20と板状部材10との間の伝熱性が良好になるので、角パイプ20の貫通孔20Iに収納されたリサイクル燃料集合体からの熱を、板状部材10からバスケット1の外部へ放出しやすくなる。なお、側面20S2は、隣接する角パイプ20の側面20Sと対向する側面である。
この構造では、連結部材30を任意の位置に設けることができるので、従来の構造(例えば、特開2001−166089の図21〜図23)ではできなかった、異なる位置でのセルの積み重ねを実現できる。また、従来の構造(例えば、特開2001−166089の図21〜図23)では、バスケットの中心部から外周面まで多くの接合部が存在し、バスケットの中心部領域から外周部への伝熱を阻害するおそれがあるが、図3に示すバスケット1の構造では、板状部材10が、バスケット1の中心部から外周面まで、1本の板状部材で構成しているので、バスケット1の中心部領域から外周部への伝熱が容易になる。
さらに別の従来の構造(例えば、特開2004−069620号公報の図22)では、異なる位置でセルを積み重ねると、板状部材の接合面が小さくなり、バスケットの中心部領域から外周部への伝熱が容易ではない。また、板状部材を整列して積み重ねても、バスケットの中心部から外周面まで多くの接合部が存在し、バスケットの中心部領域から外周部への伝熱を阻害するおそれがある。図3に示すバスケット1の構造では、セルを構成する板状部材10が、バスケット1の中心部から外周面まで、1本の板状部材10で構成されるので、バスケット1の中心部領域から外周部への伝熱が容易になる。
また、さらに別の従来の構造(例えば、特開2004−020568号公報の図2)では、異なる位置でセルを積み重ねることはできるが、係合部分のために凹部をバスケットの構成要素に設けることで、板の厚みから凹部の深さを除くことになる。その結果、伝熱面積を小さくし、機械的な剛性も小さいものになるおそれがある。これに対して、図3に示すバスケット1の構造では、板状部材10や角パイプ20には大きい凹部(深い切欠や大きい切欠等)を設けないので、伝熱性能も機械的剛性も良好になる。
板状部材10及び角パイプ20は、未臨界機能の確保と軽量化のため、B10(ボロン)を含むAl(アルミニウム)材料(以下、ボロン−アルミニウム材という)によって製造される(以下同様)。Bは、B4C(炭化ボロン)のようなボロン化合物であってもよい。板状部材10及び角パイプ20は、例えば、粉末冶金により製造したボロンアルミのビレットを熱間圧延や熱間押出成形することによって製造できる。
隣接する角パイプ20の側面20S2、20S2と、対向する連結部材30、30とで囲まれる空間は、リサイクル燃料集合体からの高速中性子を減速させるためのフラックストラップFLとなる。本実施形態では、角パイプ20の板状部材10と接する側面20S1を有する側部の厚さはtであり、角パイプ20の板状部材10と接しない側面20S2を有する側部の厚さは2tである。また、角パイプ20と接する側における板状部材10の厚さはtである。角パイプ20の板状部材10と接する側面20S1を有する側部の厚さと、角パイプ20と接する側における板状部材10の厚さとの和は2tであり、角パイプ20の板状部材10と接しない側面20S2を有する側部の厚さに等しくなる。これによって、リサイクル燃料集合体が角パイプ20の貫通孔20I(セル)に収納されると、リサイクル燃料集合体の周囲に配置されるボロン−アルミニウム材の厚さを略等しくできる。
図9−1、図9−2に示すように、連結部材30は、互いに平行な第1側面30A、第2側面30Bを有しており、長手方向に直交する断面が矩形形状である。第1側面30Aと第2側面30Bとは、互に対向する面である。連結部材30の第2側面30Bが、図3、図6−1等に示す板状部材10の側面10Sと接する。第1側面30Aには、ボルト40が貫通するボルト貫通孔31が形成される。ボルト貫通孔31は長孔であり、かつ座ぐり加工が施される。これによって、図4に示すように、ボルト40をボルト貫通孔31に貫通させて連結部材30を板状部材10に締結して取り付けると、ボルト40の頭部がボルト貫通孔31に隠れ、連結部材30の第1側面30Aからボルト40の頭部が突出することを回避できる。
また、このボルト貫通孔31の深さは、ボルト40が正規のトルクで締め付けられると、ボルト40の頭部が連結部材30の第1側面30Aの表面から見えなくなる、あるいは、ボルト40の頭部が僅かに突出する程度の深さとすることで、ボルト40の有無と第1側面30Aの表面からの突出の有無とを確認するだけで、ボルト40を締結する作業の健全性を確認できる。これにより、本来ならば、容易ではないボルト40を締結する作業の確認作業を確実、かつ、短時間で済ませることができるので、バスケット1の組立作業を短時間で終えることができる。
また、ボルト貫通孔31を長孔にすることにより、ボルト40に対して連結部材30がずれる余地が残されるので、連結部材30と板状部材10との相対的な移動が許容される。その結果、連結部材30の材料と板状部材10の材料とが異なる場合の熱伸びの違いに起因して発生する熱応力を緩和できる。ボルト40を取り付ける孔の特定の一個を長孔とはせずに、単純な円孔として、板状部材10と、連結部材30との位置を定めてもよい。この場合、ボルト40を取り付ける単純な円孔の位置を、連結部材30の全長の約半分の位置にすることで、板状部材10の熱伸びに起因して連結部材30に発生する熱応力をすべての孔を長孔とした場合よりも小さくできる。
図10−1、図10−2、図10−3は、板状部材を積み重ねて連結部材で連結した板状部材連結体を示す説明図である。図10―4は、板状部材連結体の他の構成例を示す説明図である。板状部材連結体100は、複数の板状部材10を、その長辺側端部同士を当接させて積み重ねるとともに、連結部材30を板状部材10の側面に取り付けて、複数の板状部材10を連結して一体化することにより構成される。このとき、図1や図5に示すように、連結部材30は、板状部材10の側面10Sから突出する。また、複数の連結部材30が、板状部材10の長手方向に向かって所定の間隔で取り付けられる。これによって、板状部材連結体100間に配置される角パイプ20は、前記所定の間隔で配置される。なお、複数の板状部材10が積み重ねられる方向は、キャビティ軸Zの方向である。
図10−1に示す板状部材連結体100は、連結部材30の長手方向の寸法は、板状部材10が積み重ねられる方向の全長と略等しい。これによって、一本の連結部材30によって、板状部材10が複数段積み重ねられて構成される板状部材連結体100の前段を連結する。
なお、この構成のバスケット1の組み立は、床面から天に向かうバスケット1を直立させる姿勢に限定されるものではなく、バスケット1を構成する板状部材10や角パイプ20の取扱いを考慮して、床面と平行な姿勢で組み立てると、バスケット1への作業員のアクセスも容易である。また、床面に対してやや傾けて、セル内に異物が残留しにくい姿勢でバスケット1を組立ると、セル内に異物の残留を回避するのに有効である。
図10−2に示す板状部材連結体100は、連結部材30の長手方向の寸法は、板状部材10が積み重ねられる方向の全長よりも短い。すなわち、連結部材30は、板状部材10が積み重ねられる方向の異なる位置で分割されている。これは、複数段積み重ねられる板状部材10の異なる段で連結部材30を分割するということである。例えば、図10−2のAの位置における連結部材30は、(2)段目と(3)段目との間で分割されており、Bの位置における連結部材30は、(3)段目と(4)段目との間で分割されており、Cの位置における連結部材30は、(4)段目と(5)段目との間で分割されている。このように、板状部材10が積み重ねられる方向の異なる位置で連結部材30を分割する、すなわち、連結部材30の長手方向の異なる位置で連結部材30を分割することにより、連結部材30の全長、すなわち長手方向の寸法を短くできるので、連結部材30の材料と板状部材10の材料とが異なることに起因する熱伸びの違いによる影響を緩和できる。連結部材30を分割するのは、部材の共通化も考慮して、板状部材10を2段、3段、4段をつなぐ長さ程度に集約すると、部品点数を少なくできるが、板状部材10と連結部材30との熱伸びの差が少ない場合は、前記の段数をそれぞれ多く(例えば、4段を6段に)してもよい。また、図10−3に示すように、連結部材30の分割位置を、キャビティ軸Z方向における板状部材10の中央にすれば、すべての連結部材30が、板状部材10の結合に寄与できるのでより好ましい。
図10−4に示すように、キャビティ201C(図1、図2)の底部Bに対して板状部材10の長辺側端部を傾斜させて連結部材30で連結して、板状部材連結体100aを構成してもよい。この場合、板状部材連結体100aと底部Bとの間には、傾斜面を有するスペーサSを配置する。このようにすれば、板状部材10の内部に形成される貫通孔13(図6−2参照)からの排水が容易になるので好ましい。
図3に示すバスケット1は、例えば、次の手順で組み立てられ、製造される。まず、複数の板状部材10を、その長辺側端部10LT1の突起部11と、10LT2の溝部12と突起部11とを嵌め合わせて積み重ねる。次に、複数の板状部材10を、板状部材10の側面10Sに連結部材30を取り付けて連結して、板状部材連結体100(隔壁)を複数構成する。このとき、連結部材30は、板状部材10の側面10Sから突出する。連結部材30は、図3、図4に示すように、ボルト40で板状部材10に取り付けられる。
次に、複数の板状部材連結体100の側面同士を向かい合わせ、かつ連結部材30同士を対向させて配置する。そして、対向する板状部材連結体100の間に角パイプ20を配置する。このような手順によって、バスケット1が組み立てられる。そして、角パイプ20の貫通孔20Iが、リサイクル燃料集合体が収納されるセルとなる。このようにして組み立てられたバスケット1は、板状部材10の側面10Sにねじ孔10Hのみが設けられるものであって、溝加工を施して他の板状部材を差し込むものではない。したがって、板状部材10の剛性が損なわれるおそれを極めて小さくできる。これによって、バスケット1の健全性が十分に担保される。
図3に示すバスケット1は、板状部材10と角パイプ20とを、中性子吸収能を有するボロン−アルミニウム材で構成されるが、例えば、板状部材10と角パイプ20とを、中性子吸収能を有さない通常のアルミニウム合金やステンレス鋼で構成してもよい。この場合、別途中性子吸収能を有する材料(ボロン板やボロンを含むステンレス鋼の板等)をセルの内面、かつ対向するそれぞれの板状部材の側面に配置する。
図11−1、図11−2は、実施形態1に係るバスケットの平面図である。図11−1に示すバスケット1は、24本の角パイプ20を備える。すなわち、バスケット1は、リサイクル燃料集合体を収納する24個のセルを備える。#1〜#24がセルを示す。このバスケット1は、板状部材10の長手方向に向かって複数の角パイプ20が配列されてセル列を構成する。そして、隣接するセル列同士のずれはない。
図11−2に示すバスケット1’は、26本の角パイプ20を備える。すなわち、バスケット1’は、リサイクル燃料集合体を収納する26個のセルを備える。#1〜#26がセルを示す。このバスケット1’は、板状部材10の長手方向に向かって複数の角パイプ20が配列されてセル列を構成する。そして、中心部から外側へ向かって隣接するセル列同士は、セルの配列ピッチの半分だけずれて配列される。上述した特許文献1に開示されたバスケットでは、このようなセル配置は不可能であるが、本実施形態では、板状部材10と角パイプ20とを組み合わせてバスケット1’を構成するので、このようなセル配置も可能である。このようなセル配置とすれば、バスケット1の外径Daとバスケット1’の外径Dbとが同じであっても、セルの数を多くすることができる。図11−2に示すバスケット1’は隣接するセル列が、それぞれずれた位置に配置されるので、ズレを許容できないバスケットと比べた場合、リサイクル燃料集合体を多く収納できるケースで、この構造の利点を生かせる。
例えば、図1、図2に示すキャスク200がY方向に落下した場合、セルに収納されるリサイクル燃料集合体からの荷重は角パイプ20に伝達された後、連結部材30からボルト40を介して板状部材10へ伝達される。このとき、1本の角パイプ20及び一対の連結部材30は、1体のリサイクル燃料集合体からの荷重を受けるのみでよいので、バスケット1の健全性を担保しやすくなる。また、図11−2に示すバスケット1’がY方向に落下した場合、板状部材10には、部材の半分にもなる大きい切欠部がないので(特許文献1の板状部材を参照)、板状部材10の本来の強度と剛性とを保持しているので、板状部材の変位量も小さくでき、また容易に組み立てられる。仮に、本実施形態に係る板状部材10を特許文献1の板状部材と同じ大きさ、同じ厚みとしても、板状部材の半分にもなる大きい切欠部がないので、板状部材10は、特許文献1の板状部材に対して約2倍の強度を有し、前記荷重に対応することができる。
また、図11−2に示すバスケット1’がX方向に落下した場合は、板状部材10の側面に入力される角パイプ20からの荷重が問題となるが、板状部材10には、部材の半分にもなる大きい切欠部がないので(特許文献1の板状部材を参照)、板状部材10を撓ませようとする荷重(角パイプ20やリサイクル燃料集合体からの荷重)に十分耐えることができる。これによって、前記荷重を効果的に分散させることができる。
仮に、本実施形態に係る板状部材10を特許文献1の板状部材と同じ大きさ、同じ厚みとしても、部材の半分にもなる大きい切欠部がないので、板状部材10は、特許文献1の板状部材に対して約2倍の強度を有し、前記X方向の荷重に対応することができる。これにより、バスケット1の健全性を担保できる。また、必要に応じて、図7に示すように、板状部材10の貫通孔13内に、補強部材50を配置することにより、板状部材10全体としての強度を向上できるので、より確実にバスケット1の健全性を担保できる。
バスケット1を構成する板状部材10は、バスケット1、1’の径方向(図2に示すキャビティ200Cの径方向)と平行な方向を横断するように配置されているので、伝熱性は非常に良好である。このため、バスケット1、1’全体の伝熱性は十分に確保できる。また、角パイプ20と連結部材30との間や、角パイプ20と板状部材10との間に、熱伝導率の高い材料、例えば、銀ペーストや銅ペースト等の金属ペーストやカーボンペースト等による伝熱促進層を設けてもよい。これによって、角パイプ20と板状部材10との間の伝熱性能が向上するので、バスケット1、1’全体の伝熱性をさらに向上させることができる。この銀ペーストや銅ペースト等の金属ペーストやカーボンペースト等の伝熱促進層は、角パイプ20をバスケット1に組み立てる際に生じる、かじりによる材料の欠損が発生するおそれを排除することができる。したがって、このような伝熱促進層を形成することが望ましい。
図11−3は、連結部材と板状部材との取付構造の変形例を示す説明図である。この取付構造は、図7に示す、板状部材10の貫通孔13に補強部材50を配置した場合における連結部材30と板状部材10との取付構造である。この取付構造においては、補強部材50にボルト40がねじ込まれるねじ孔50Hを形成する。そして、連結部材30のボルト貫通孔31を貫通させたボルト40をねじ孔50Hにねじ込むことにより、連結部材30を板状部材10に取り付ける。この取付構造によれば、ボルト40と結合させるナットが不要になるので、板状部材10の貫通孔13の奥深い位置で、ナットを保持してボルトと結合させる煩雑な手間も不要になり、部品点数を削減できる。なお、図11−3では、補強部材50のねじ孔は、ボルト40を利用して表現しているが、ねじ孔50Hは補強部材50を貫通させた方が、ねじ加工は容易であり、図11−2のように、隣接するセル列とはずれた位置にセル列を設ける場合は、ねじ孔50Hは補強部材50を貫通しないものでもよい。
以上、本実施形態では、複数の板状部材の長辺側端部同士を当接させて積み重ねるとともに、積み重ねられた板状部材の側面に連結部材を取り付けて複数の板状部材を連結し、板状部材連結体を構成する。そして、対向して配置した板状部材連結体の間に角パイプを配置して、バスケットを構成する。これによって、例えば、押出成型によってバスケットを構成する板状部材及び角パイプ及び連結部材を製造した後は、これらに対して穿孔加工程度の簡単な加工を施して、バスケットを組み立てることができる。その結果、バスケットを構成する部材の切削加工を大幅に低減できる。その結果、バスケットを構成する部材をボロン−アルミニウム材のような難削材で構成した場合でも、比較的容易にバスケットを製造できるとともに、切削加工による材料の無駄も抑制できる。これによって、加工費を低減できる。
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1と略同様の構成であるが、締結手段と連結部材との間及び締結手段と板状部材との間には、角パイプからの荷重、すなわち、連結部材の長手方向に直交する方向の荷重を支持する荷重支持手段を設ける点が異なる。他の構成は、実施形態1と同様である。
図12は、実施形態2に係るバスケットを示す斜視図である。図13は、実施形態2に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分を示す断面図である。図14は、実施形態2に係るバスケットを構成する連結部材を示す斜視図である。図12、図13に示すように、締結手段であるボルト40と連結部材30との間、及びボルト40と板状部材10との間には、荷重支持手段である荷重支持キー41が設けられる。荷重支持キー41は、筒状の部材であって、長手方向に貫通する貫通孔41Hを有している。そして、貫通孔41Hの両端部には、ボルト40がねじ込まれるねじが形成されている。このように、荷重支持キー41は、ボルト40の外径よりも外径が大きい。ここで、荷重支持キー41は、連結部材30と同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。本実施形態では、荷重支持キー41は、連結部材30と同じ材料であるステンレス鋼を用いるが、連結部材30には、少ない面積で大きい荷重を受け止めることのできる高強度の素材であればステンレス鋼に限定されることなく適用でき、実施形態2の効果を得ることができる。
図14に示すように、連結部材30の第2側面30Bには、荷重支持キー41がはめ込まれるキー受入凹部32が設けられている。キー受入凹部32の荷重支持キー41がはめ込まれる部分は、荷重支持キー41の外形に合わせた形状となっている。本実施形態では、荷重支持キー41を円筒形状とする。すなわち、荷重支持キー41の長手方向に垂直な断面外側形状は円形なので、キー受入凹部32の内側形状を円形としてある。なお、荷重支持キー41の長手方向に垂直な断面外側形状を矩形とした場合、キー受入凹部32の内側形状は矩形となる。このようにすることで、ボルト40をねじ込む際に荷重支持キー41の回転が抑制されて作業が容易になるとともに、連結部材30を介して伝達される角パイプ20からの荷重を、確実に荷重支持キー41へ伝達する。
板状部材10には、荷重支持キー41が貫通するキー貫通孔10H2が形成される。キー貫通孔10H2は、荷重支持キー41の外形に合わせた形状となっている。本実施形態では、荷重支持キー41の長手方向に垂直な断面外側形状は円形なので、キー貫通孔10H2の内側形状を円形としてある。なお、荷重支持キー41の長手方向に垂直な断面外側形状を矩形とした場合、キー貫通孔10H2の内側形状は矩形となる。このようにすることで、荷重支持キー41へ伝達された板状部材20からの荷重を、確実に板状部材10へ伝達する。
連結部材30を板状部材10の側面10Sへ取り付けるにあたっては、まず、荷重支持キー41を板状部材10に形成されるキー貫通孔10H2へ挿入して、荷重支持キー41と板状部材10とを嵌合させる。そして、板状部材10の側面10Sから突出する荷重支持キー41の端部に連結部材30のキー受入凹部32をはめ込み、連結部材30と荷重支持キー41とを嵌合させる。その後、ボルト40を荷重支持キー41の両端部に形成されたねじにねじ込んで、ボルト40によって連結部材30を板状部材10の側面10Sに取り付ける。この荷重支持キー41に形成されたねじは両端部にのみ形成してもよいし、片面から貫通ねじに加工すると片面からの加工で済むので、バスケットを組み立てる際の作業性を改善できる。また、荷重支持キー41に形成されたねじに異物が付着していないことを確認する場合にも、貫通ねじに加工するとねじを見通せるので、異物の有無を目視でも容易に確認できるので、バスケットを組み立てる際の作業性を改善できる。
連結部材30をボルト40のみによって板状部材10に取り付ける場合、角パイプ20からの荷重をすべてボルト40で受け止める必要があり、ボルト40の直径を大きくする必要がある。しかし、連結部材30の幅、すなわち、連結部材30の長手方向に直交する方向の寸法は、角パイプ20の厚さよりも小さくする必要があるので、ボルト40の直径を大きくするには限界がある。この場合、ボルト40の本数を多くすることで前記荷重を受ける手法があるが、この手法では多数のボルト40に対してねじ孔を形成する作業や、多数のボルト40をねじ込む作業が増加する。
第2実施形態に係るバスケット1aは、ボルト40よりも外径の大きい荷重支持キー41によって角パイプ20からの荷重を受けるので、前記荷重を受ける面積を大きくできる。これによって、荷重支持キー41の個数を少なくしても、前記荷重を確実に受けることができる。そして、ボルト40の本数を低減できるので、ボルト40に対するねじ孔を形成する作業や、多数のボルト40をねじ込む作業を軽減できる。
図15、図16は、実施形態2に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分の他の構造を示す断面図である。図17は、図16に示す構造で用いる板状部材を示す斜視図である。図15に示す構造では、筒状の荷重支持キー42にボルト40aが貫通するボルト貫通孔42Hを設ける。そして、1枚の板状部材10の両側面に取り付けられる連結部材30の一方にはボルト貫通孔31を設け、他方にはボルト用ねじ孔33を設ける。ボルト40aは、一方の連結部材30から板状部材10を貫通して他方の連結部材30まで到達する長さとする。
このボルト40aの長さは、ボルト40aが、正規のトルクで締め付けられると、ボルト40aの先端が連結部材30の第1側面30Aの表面から僅かに突出する程度の長さとすることで、ボルト40aの有無及び第1側面30Aの表面からのボルト40aの先端部の突出の有無を確認するだけで、ボルト締結作業の健全性を確認できる。このため、本来ならば容易ではないボルト締結作業の確認作業を、確実、かつ短時間で済ませることができるので、バスケット1aの組立作業を短時間で終えることができる。
連結部材30を板状部材10へ取り付けるにあたっては、まず、荷重支持キー42を板状部材10に形成されるキー貫通孔10H2へ挿入して、荷重支持キー42と板状部材10とを嵌合させる。そして、板状部材10の側面から突出する荷重支持キー42の端部に連結部材30のキー受入凹部32をはめ込み、連結部材30と荷重支持キー42とを嵌合させる。その後、ボルト40aを一方の連結部材30に設けられるボルト貫通孔31に通してから荷重支持キー42のボルト貫通孔42Hへ挿入し、他方の連結部材30に設けられるボルト用ねじ孔33にねじ込んで、ボルト40aによって連結部材30を板状部材10に取り付ける。この構造では、荷重支持キー42の両端部にねじ孔を形成する必要がないので、その分ねじ孔を形成する加工が低減できる。
図16に示す構造は、図15に示す構造と同様であるが、ボルト40aを通すボルト貫通孔43Hが形成された板状の荷重支持キー43を用いる点が異なる。荷重支持キー43は、板状部材10を貫通せず、板状部材10の側面10S、すなわち連結部材30側に形成されるキー受入凹部10H1(図16、図17参照)にはめ込まれ、板状部材10と嵌合する。この例において、荷重支持キー43は、円盤状、より具体的にはドーナツ状であるが、荷重支持キー43がキー受入凹部32に納まる形状であれば、楕円板状のような非円形状としてもよい。また、荷重支持キー43を矩形板状として、荷重を受けるために必要な面積を確保するようにしてもよい。
連結部材30を板状部材10へ取り付けるにあたっては、まず、荷重支持キー43を板状部材10に形成されるキー受入凹部10H1へはめ込み、荷重支持キー43と板状部材10とを嵌合させる。そして、板状部材10の側面から突出する荷重支持キー43の端部に連結部材30のキー受入凹部32をはめ込み、連結部材30と荷重支持キー42とを嵌合させる。その後、ボルト40aを一方の連結部材30に設けられるボルト貫通孔31に通してから一方の荷重支持キー43のボルト貫通孔43Hへ挿入する。そして、ボルト40aを、板状部材10に設けられるボルト貫通孔10H4に通してから他方の荷重支持キー43のボルト貫通孔43Hへ挿入して、他方の連結部材30に設けられるボルト用ねじ孔33にねじ込む。これによって、ボルト40aを用いて連結部材30を板状部材10に取り付ける。この構造では、板状部材10に大径の荷重支持キーを貫通させるための孔が不要になるので、板状部材10の伝熱性能の低下を抑制できる。
また、板状部材10のキー受入凹部32に予め熱伝導率の高い材料、例えば、銀ペーストや銅ペースト等の金属ペーストやカーボンペースト等による伝熱促進層を設けてもよい。さらに、前記ペーストの付着力を利用して、荷重支持キー43を保持させれば、連結部材30との接合がさらに容易になる効果を得ることができる。また、連結部材30との接合により、キー受入凹部32と荷重支持キー43との合わせ面から、余剰となる前記ペーストが合わせ面以外の接合部の隙間に押しやられて、荷重支持キー43の組立上必要な隙間を埋めるので、板状部材10の伝熱性能を改善できる。
図18、図19は、実施形態2に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分の他の構造を示す断面図である。図20は、実施形態2に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分の他の構成例を示す正面図である。これらの構造では、荷重支持手段であるキー41、43と板状部材10との間、キー41、43と連結部材30との間の少なくとも一方には、キー41、43の回転を抑制する回転抑制部材である固定キー44が設けられる。図18に示す構造は、図13に示す構造に固定キー44を設けたものであり、図19に示す構造は、図16に示す構造に固定キー44を設けたものである。固定キー44の形状は、図20に図示する矩形の他に、円形でも回転を抑制できる。
図18、図19、図20に示すように、板状部材10には、キー貫通孔10H2あるいはキー受入凹部10H1の一部に設けた切り欠きが、固定キー溝10H3となる。そして、固定キー溝10H3と、荷重支持キー41あるいは荷重支持キー43の外周部に設けた切り欠きとによって構成される空間に四角柱状の固定キー44を挿入して、例えば、図19では、荷重支持キー41の回転を抑制する。あるいは図19では、荷重支持キー43の組立中の脱落を防止する。本実施形態では、板状部材10と荷重支持キー41との間、あるいは板状部材10と荷重支持キー43との間に固定キー44を設けるが、連結部材30と荷重支持キー41あるいは連結部材30と荷重支持キー43との間に固定キー44を設けてもよい。
荷重支持キー41や荷重支持キー43の長手方向に直交する断面の形状を非円形としてこれらの回り止めとしてもよいが、このような加工は多大な手間を要する。このため、上述した構造のように、固定キー44を用いれば、簡単な加工で荷重支持キー41等の回り止め機能や組立途中での荷重支持キー41の脱落防止機能を持たせることができる。図12に示すバスケット1aを組み立てる際には、予め荷重支持キー41等に固定キー44を取り付けて、これらを板状部材10に固定しておくことにより、バスケット1aの組み立てが容易になる。なお、固定キー44は、荷重支持キー41等の回転を抑制できるものであればよく、上述したものに限定されるものではない。
以上、本実施形態では、上述した実施形態1で開示した構成に加え、締結手段と連結部材との間及び締結手段と板状部材との間には、角パイプからの荷重、すなわち、連結部材の長手方向に直交する方向の荷重を支持する荷重支持手段を設ける。これによって、上述した実施形態1と同様の作用・効果の他、荷重支持手段によって角パイプからの荷重を受けるが、Y方向の荷重はX方向の荷重と比べると締結手段には大きい負荷を生じないので、ここでは、X方向の荷重に対して、本実施形態と、ボルトによる締結手段のみを用いる実施形態1とを比較した場合、前記X方向の荷重を受ける面積を大きくできる。これによって、荷重支持手段(例えばボルト)の個数を少なくしても、前記荷重を確実に受けることができる。その結果、締結手段の数を低減できるので、締結手段としてボルトを用いた場合には、ボルトに対するねじ孔を形成する作業や、多数のボルトをねじ込む作業を軽減できる。
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1の構成に加え、板状部材の側面には、複数の板状部材を積み重ねる方向(図1のキャビティ軸Zと平行な方向)に向かう溝が形成されるとともに、連結部材がこの溝にはめ込まれる点が異なる。他の構成は、実施形態1と同様である。
図21は、実施形態3に係るバスケットを示す斜視図である。図22は、実施形態3に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分を示す断面図である。本実施形態に係るバスケット1bを構成する板状部材10bは、側面10Sbに溝(以下連結部材取付溝という)16が形成される。連結部材取付溝16は、複数の板状部材10bを積み重ねる方向に向かって形成される。板状部材10bの連結部材取付溝16は、連結部材30bと広い範囲で係合するので、X方向の荷重により連結部材取付溝16に生じるせん断荷重は、実施の形態1や実施の形態2よりも格段に広い範囲で受け止めることができる。また、係合できる程度の浅い溝深さで、X方向の荷重により連結部材取付溝16に生じるせん断荷重を受け止めることができる。これらの作用により、板状部材10bの強度低下は最小限に抑えられる。ここで、連結部材30bは、図9−1、図9−2に示す連結部材30と同様の構成である。
連結部材取付溝16には、連結部材30が取り付けられ、ボルト40で板状部材10bに締結され、取り付けられる。図22、図23に示すように、連結部材30bは、長手方向に直交する断面が矩形である。そして、連結部材30bの板状部材10bと対向する側には、ボルト40が貫通するボルト貫通孔31が形成される。ボルト貫通孔31は、図9−1、図9−2に示す板状部材30のボルト貫通孔31と同様の構成である。すなわち、ボルト貫通孔31は長孔であり、かつ座ぐり加工が施される。これによって、図22に示すように、ボルト40をボルト貫通孔31に貫通させて連結部材30bを板状部材10bに締結して取り付けると、ボルト40の頭部がボルト貫通孔31に隠れ、連結部材30bの側面30Aからボルト40の頭部が突出することを回避できる。
また、連結部材取付溝16と、連結部材取付溝16に嵌め合わされる連結部材30との間に、熱伝導率の高い材料、例えば、銀ペーストや銅ペースト等の金属ペーストやカーボンペースト等による伝熱促進層を設けてもよい。これによって、角パイプ20bと板状部材10bとの間の伝熱性能が向上するので、バスケット全体の伝熱性をさらに向上させることができる。このため、このような伝熱促進層を形成することが望ましい。
板状部材10bの側面10Sbに形成される連結部材取付溝16には、ねじ孔10Hが形成される。連結部材30が連結部材取付溝16にはめ込まれた後、ボルト40を連結部材30のボルト貫通孔31に貫通させて板状部材10bのねじ孔10Hへねじ込んで、連結部材30を連結部材取付溝16に締結し、取り付ける。そして、両方の長辺側端部に連結部材10bと嵌め合わされる凹部が形成された角パイプ20bの前記凹部を、対向して配置される連結部材30に嵌め合わせて、バスケット1bが構成される。
このバスケット1bは、板状部材10bの側面10Sbに形成された連結部材取付溝16に連結部材30を嵌め合わせ、角パイプ20bからの荷重、すなわち連結部材30の長手方向と直交する方向の荷重を連結部材30と連結部材取付溝16とで受ける。これによって、前記荷重を受ける面積を大きくできるので、ボルト40にはほとんど前記荷重が作用しなくなる。これによって、ボルト40に小径のものを用いたり、ボルト40の本数を低減したりできるので、ボルト40に対するねじ孔を形成する作業や、多数のボルト40をねじ込む作業を軽減できる。また、ボルト40に小径のものを用いることができ、また、ボルト40の本数を低減できるので、バスケット1bの製造コストを抑制できる。
図23は、実施形態3に係るバスケットにおいて連結部材を板状部材に取り付ける部分の他の構造を示す断面図である。この構造では、板状部材20bにボルト40aが貫通するボルト貫通孔10H4を設ける。そして、1枚の板状部材10bの両側面に取り付けられる連結部材30の一方にはボルト貫通孔31を設け、他方にはボルト用ねじ孔35を設ける。ボルト40aは、一方の連結部材30から板状部材10bを貫通して他方の連結部材30まで到達する長さとする。
連結部材30を板状部材10bへ取り付けるにあたっては、まず、連結部材30を連結部材取付溝16にはめ込んで、連結部材30と板状部材10bとを嵌合させる。そして、ボルト40aを一方の連結部材30に設けられるボルト貫通孔31に通してから板状部材10bのボルト貫通孔10H4へ挿入し、他方の連結部材30に設けられるボルト用ねじ孔35にねじ込んで、ボルト40aによって連結部材30を板状部材10bに取り付ける。この構造では、板状部材10bの両側面にねじ孔を形成する必要がないので、その分ねじ孔を形成する加工が低減できる。
以上、本実施形態では、上述した実施形態1で開示した構成に加え、板状部材の側面に、複数の板状部材を積み重ねる方向に向かう連結部材取付溝を形成するとともに、連結部材を連結部材取付溝にはめ込んで取り付ける。そして、複数の板状部材を積み重ねて構成される板状部材連結体を対向して配置した間に、角パイプを配置する。これによって、上述した実施形態1と同様の作用・効果の他、連結部材及び連結部材取付溝によって角パイプからのX方向の荷重を受けるので、締結手段(例えばボルト)には、前記X方向の荷重はほとんど作用しない。これによって、荷重支持手段の個数を少なくしても、前記X方向の荷重を確実に受けることができる。その結果、締結手段の数を低減できるので、締結手段としてボルトを用いた場合には、ボルトに小径のものを用いることができ、また、ボルトに対するねじ孔を形成する作業や、多数のボルトをねじ込む作業を軽減できるので、バスケットの製造コストを低減できる。
(実施形態4)
実施形態4は、実施形態1〜3と同様であるが、角パイプの外側における角部に切り欠き部を形成し、連結部材と噛み合わせる点が異なる。他の構成は、実施形態1〜3と同様である。
図24−1は、実施形態4に係るバスケットを示す平面図である。図24−2は、実施形態4に係るバスケットを構成する角パイプを示す平面図である。図25−1〜図25−3は、実施形態4に係るバスケットを構成する連結部材を示す説明図である。バスケット1cを構成する角パイプ20cは、4個の外側角部に、切り欠き部21が形成されている。切り欠き部21は、角パイプ20cの長手方向にわたって形成される溝である。本実施形態において、切り欠き部21は、角パイプ20cの長手方向全域にわたって形成される。この溝(切り欠き部21)は、角パイプ20cの外側角部に角パイプ20cの内側の壁面と平行な面を残す位置に設けてもよく、溝の形状は、図24-1及び図24-2に図示される形状に限定されるものではなく、バスケット1cを構成する角パイプ20cと板状部材10を連結した板状部材連結体とのずれが抑制されるものであればよい。
板状部材10を連結する連結部材30cは、その長手方向と直交する断面の形状が台形形状である。そして、連結部材30cは、前記断面における上底側(短辺側)が板状部材10の側面に取り付けられる。連結部材30cは、上述した実施形態1〜3で説明した構造により、板状部材10に取り付けられる。連結部材30cの前記断面における上底側の面と下底側(長辺側)の面とは互いに対向し、かつ平行に配置される。また、連結部材30cの前記断面にける上底側の面と下底側の面とは傾斜面で連結されて、凸部36が形成される。連結部材30cが板状部材10の側面に取り付けられると、連結部材30cの凸部36は、連結部材30cの板状部材10の側面に取り付けられる部分よりも、連結部材30cの長手方向に対して直交する方向に向かって張り出す。このように、凸部36は、連結部材30cの張り出し部となる。
バスケット1cは、板状部材10を複数段積み重ねて連結部材30cで連結して構成された板状部材連結体を対向して配置し、板状部材連結体の間に角パイプ20cを配置する。隣接する角パイプ20c同士の間に形成される空間は、リサイクル燃料集合体からの高速中性子を減速させるためのフラックストラップFLとなる。この空間は、対向する角パイプ20cと、対向する連結部材30cとで囲まれて形成される。
板状部材連結体の間に角パイプ20cを配置するにあたり、角パイプ20cの切り欠き部21を連結部材30cの凸部36に差し込み、角パイプ20cの切り欠き部21と、連結部材30cの凸部36(張り出し部)とを噛み合わせる。これによって、角パイプ20cと板状部材連結体とのずれが抑制されるので、バスケット1cの組み立てが容易になる。また、バスケット1cに衝撃荷重が作用した場合にも、角パイプ20cと板状部材連結体とのずれが抑制されるので、バスケット1cの健全性が確保される。
図25−1に示すように、板状部材10に、上述した実施形態3に係るバスケット1b(図21参照)のように、連結部材取付溝16を形成し、連結部材30c1を連結部材取付溝16にはめ込んでもよい。また、図25−2に示すように、板状部材10にあり溝形状に加工された連結部材取付溝16aを形成し、連結部材取付溝16a及び角パイプ20cの切り欠き部と噛み合わされる板状部材10と角パイプ20cとを連結してもよい。このようにすれば、角パイプ20bからの荷重、すなわち連結部材30c1、30c2の長手方向と直交する方向の荷重を、連結部材30c1、30c2と連結部材取付溝16、16aとで受けるので、前記荷重を受ける面積を大きくできる。その結果、連結部材30c1、30c2を板状部材10へ取り付けるためのボルトに作用する前記荷重を低減できる。
さらに、図25−3に示すように、板状部材10に、上述した実施形態3に係るバスケット1b(図21参照)のように、連結部材取付溝16を形成し、連結部材30c3を連結部材取付溝16にはめ込んでもよい。そして、角パイプ20eの切り欠き部20eと、連結部材30cの凸部36c(張り出し部)とを噛み合わせてもよい。ここで、連結部材30cの凸部36cは、断面が矩形形状に形成された切り欠き部と噛み合うように構成される。
連結部材取付溝16、16aと連結部材30c1、30c2との間には、熱伝導率の高い材料、例えば、銀ペーストや銅ペースト等の金属ペーストやカーボンペースト等による伝熱促進層を設けてもよい。これによって、連結部材30c1、30c2と板状部材10cとの間の伝熱性能が向上するので、バスケット1c全体の伝熱性をさらに向上させることができる。また、銀ペーストや銅ペースト等の金属ペーストやカーボンペースト等の伝熱促進層は、板状部材10cに連結部材30c1、30c2を取り付ける際に生じる、かじりによる材料の欠損が発生するおそれを排除することができる。したがって、伝熱促進層を形成することが望ましい。
以上、本実施形態では、上述した実施形態1〜3で開示した構成に加え、角パイプの外側における角部に切り欠き部を形成し、連結部材と噛み合わせる。これによって、上述した実施形態1〜3と同様の作用・効果の他、角パイプと板状部材連結体とのずれが抑制されるので、バスケットの組み立てが容易になるという効果が得られる。また、バスケットに衝撃荷重が作用した場合にも、角パイプと板状部材連結体とのずれが抑制されるので、バスケットの健全性が確保されるという効果も得られる。
(実施形態5)
実施形態5は、長手方向に直交する断面の外形状が、4個の直角の角部を有する四角形である第1の角パイプと、対向する側壁に突起部が設けられた第2の角パイプとを一列に組み合わせて、角パイプに設けたボルト貫通孔と、板状部材に設けたねじ部とを締結部材(例えばボルト)で締結する点に特徴がある。
図26は、実施形態5に係るバスケットを示す平面図である。バスケット1dは、第1の角パイプ20と第2の角パイプ20dとを一列に組み合わせて配置した間に、板状部材10を逐次結合して積み重ねた板状部材連結体を対向配置することにより構成される。第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dには、板状部材10に設けるねじ孔10Hdの位置に合わせて貫通孔(ボルト孔)23が設けられ、ボルト40dの頭部はセル空間に突出しないように実施の形態1と同様のボルト貫通孔を設ける。
実施の形態5では、このボルト貫通孔23の位置を第1の角パイプ20と第2の角パイプ20dと間のフラックストラップFLとなる位置に限定されず、セル内に配置することができるのが他の実施の形態と大きく異なる点である。また、このボルト貫通孔23の深さは、他の実施の形態と同様の形状とし、ボルト40dが正規のトルクで締め付けられると、ボルト40dの頭部が第1の角パイプ20や第2の角パイプ20dの内面から見えなくなる深さとすることで、ボルト40dの有無と、ボルト40dを締結する作業の健全性とを確認できる。したがって、本来ならば容易ではないボルト40dを締結する作業の確認作業を、確実、かつ短時間で済ませることができるので、バスケット1dの組立作業を短時間で終えることができる。
第1の角パイプ20は、長手方向に直交する断面の外形状が、4個の直角の角部を有する四角形、例えば、長方形や正方形である。また、前記断面の内形状は正方形である。第2の角パイプ20dは、長手方向に直交する断面の内形状が正方形である。図26に示すように、第1の角パイプ20と第2の角パイプ20dとは、同種の角パイプ同士が隣接しないように一列に配列されて、対向して配置される板状部材連結体の間に配置される。第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dは、いずれも長手方向に貫通する貫通孔20I、20Idを備えており、この貫通孔20I、20Idが、リサイクル燃料集合体を収納するセルとなる。このように、第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dが一列に配列される方向に向かって、リサイクル燃料集合体を収納するセルのセル列が形成される。
第2の角パイプ20dは、板状部材10と接する側の側面と直交するそれぞれの側面20Sdから、板状部材10と接する側の側面と平行な方向に突出する突起部22を備える。すなわち、突起部22は、一列に配列される第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dの配列方向に向かって突出する。第2の角パイプ20dに設けられる突起部22は、第2の角パイプ20dの長手方向全域にわたって形成される。また、突起部の端部22tは、板状部材10と接する側の側面と直交する側面20Sdと平行に形成されて、第1の角パイプ20の側面20Sと当接する。第1の角パイプ20の側面20Sと、第2の角パイプの側面20Sdと、2個の突起部22とで囲まれる空間は、リサイクル燃料集合体からの高速中性子を減速させるためのフラックストラップFLとなる。
以上、本実施形態では、板状部材と、第1の角パイプと、第2の角パイプ2とを組み合わせてバスケットを構成するので、例えば、押出成型によってバスケットを構成する板状部材及び第1の角パイプ及び第2の角パイプを製造した後は、これらに対して穿孔加工程度の簡単な加工を施して、バスケットを組み立てることができる。その結果、バスケットを構成する部材の切削加工を大幅に低減できる。その結果、バスケットを構成する部材をボロン−アルミニウム材のような難削材で構成した場合でも、比較的容易にバスケットを製造できるとともに、切削加工による材料の無駄も抑制できる。これによって、加工費を低減できる。
(実施形態6)
実施形態6は、長手方向に直交する断面の外形状が、4個の直角の角部を有する四角形である第1の角パイプと、対向する側壁に突起部が設けられた第2の角パイプとを一列に組み合わせて、対向して配置される板状部材連結体の間に配置する点に特徴がある。
図27は、実施形態6に係るバスケットを示す平面図である。バスケット1eは、板状部材10を積み重ねて構成した板状部材連結体を対向配置した間に、第1の角パイプ20と、第2の角パイプ20dとを一列に組み合わせて配置することにより構成される。板状部材10には、その積み重ね方向に貫通する貫通孔17を形成し、積み重ねた板状部材10の貫通孔17に締結ボルト18を通してナット19で締結することにより、板状部材連結体を構成する。
第1の角パイプ20は、長手方向に直交する断面の外形状が、4個の直角の角部を有する四角形、例えば、長方形や正方形である。また、前記断面の内形状は正方形である。第2の角パイプ20dは、長手方向に直交する断面の内形状が正方形である。図27に示すように、第1の角パイプ20と第2の角パイプ20dとは、同種の角パイプ同士が隣接しないように一列に配列されて、対向して配置される板状部材連結体の間に配置される。第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dは、いずれも長手方向に貫通する貫通孔20I、20Idを備えており、この貫通孔20I、20Idが、リサイクル燃料集合体を収納するセルとなる。このように、第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dが一列に配列される方向に向かって、リサイクル燃料集合体を収納するセルのセル列が形成される。
第2の角パイプ20dは、板状部材10と接する側の側面と直交するそれぞれの側面20Sdから、板状部材10と接する側の側面と平行な方向に突出する突起部22を備える。すなわち、突起部22は、一列に配列される第1の角パイプ20及び第2の角パイプ20dの配列方向に向かって突出する。第2の角パイプ20dに設けられる突起部22は、第2の角パイプ20dの長手方向全域にわたって形成される。また、突起部の端部22tは、板状部材10と接する側の側面と直交する側面20Sdと平行に形成されて、第1の角パイプ20の側面20Sと当接する。第1の角パイプ20の側面20Sと、第2の角パイプの側面20Sdと、2個の突起部22とで囲まれる空間は、リサイクル燃料集合体からの高速中性子を減速させるためのフラックストラップFLとなる。
以上、本実施形態では、板状部材と、第1の角パイプと、第2の角パイプ2とを組み合わせてバスケットを構成するので、例えば、押出成型によってバスケットを構成する板状部材及び第1の角パイプ及び第2の角パイプを製造した後は、これらに対して穿孔加工程度の簡単な加工を施して、バスケットを組み立てることができる。その結果、バスケットを構成する部材の切削加工を大幅に低減できる。その結果、バスケットを構成する部材をボロン−アルミニウム材のような難削材で構成した場合でも、比較的容易にバスケットを製造できるとともに、切削加工による材料の無駄も抑制できる。これによって、加工費を低減できる。