JP5009601B2 - 硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

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本発明は、硬化性組成物および硬化物に関する。より詳しくは、架橋性官能基を1個有するビニル系重合体(A)および重合性官能基を有する反応性オリゴマー(B)を含有する硬化性組成物およびその硬化物に関する。
現在市販されている重合性官能基を有する反応性オリゴマーは、活性エネルギー線、加熱等により硬化させることができ、得られた硬化物は、電気・電子機器、半導体、検知機船舶、自動車、カメラ・事務機器、産業機械、建築、鉄道等の広い分野で使用されている。重合性官能基を有する反応性オリゴマーには、ウレタンクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート等がある(非特許文献)。
近年、このような上記重合性官能基を有する反応性オリゴマーを用いた硬化物に関しては、硬化性、耐薬品性に優れる反面、耐熱性、耐候性、柔軟性については改善の余地があり、問題点が指摘されている。
反応性オリゴマーの性質を改善する為に、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(イソシアヌレート環を有するもの)と水酸基含有アクリルモノマーおよび/又はメタクリルモノマー(4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび/又は4−ヒドロキシブチルメタクリレート)とを反応させることによって得られるウレタン系アクリルオリゴマーを用いる方法が提案されている(特許文献1)。このような反応性オリゴマーを使用することで、紫外線硬化速度が速く、可撓性、耐熱性、耐寒熱繰返し性、耐擦傷性等の塗膜物性が改善される硬化物が得られる。
特開平5−209038号公報 2004年光硬化型樹脂・製品市場の全貌((株)富士経済2004年3月29日発行)
従来、反応性オリゴマーを用いた硬化物において、耐熱性、耐候性、柔軟性を改善するために、反応性オリゴマーの成分を調整する方法はあったが、硬化時の常温条件下での型枠、金型への注入、レベリングが容易で貯蔵安定性にも優れた組成物の開発が望まれていた。
本発明の目的は、市販の反応性オリゴマーの耐熱性、耐油性、耐候性、柔軟性を改良した優れた硬化物とそのための硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示すように、重合性官能基を有する反応性オリゴマーに、特定の性質を有するビニル系重合体を必須成分として含有させることで、優れた性質を有する硬化物を生じさせることができる硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、硬化性樹脂成分として下記(A)および(B)のみを含有する:(A)一般式 −OC(O)C(R)=CH (1)(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わす)で表わされる基を平均して1分子あたり分子末端に1個以下有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体;(B)重合性官能基を平均して1個より多く有する反応性オリゴマー(ただし、重合性官能基を分子末端に有するビニル系重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満の重合体を除く)。
あるいは、本発明の硬化性組成物は、硬化性樹脂成分として下記(A)、(B)および(C)のみを含有する、硬化性組成物であって、(C)成分の含有量が、(A)100重量部に対して0.01〜50重量部である:(A)一般式 −OC(O)C(R)=CH (1)(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わす)で表わされる基を平均して1分子あたり分子末端に1個以下有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体;(B)重合性官能基を平均して1個より多く有する反応性オリゴマー(ただし、重合性官能基を分子末端に有するビニル系重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満の重合体を除く);(C)該一般式(1)で表される基を1分子あたり平均して1個より多く有し、分子末端に該一般式(1)で表わされる基を1個以上有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体。
上記(B)成分の含有量は、(A)+(B)の合計に対して、1〜99重量%であり得る。
上記(B)成分の重合性官能基は、ビニル基であり得る。
上記ビニル基は、(メタ)アクリロイル基であり得る。
本発明の硬化性組成物は、さらに(D)重合開始剤を含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、ISO 4662に準拠して23℃、55%RH条件下で測定した場合の反発弾性が50%以下の硬化物を生じさせ得るものであり得る。
上記(A)成分および/または(C)成分の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれる1または2以上のモノマーを主として重合して製造され得る。
上記(A)成分および/または(C)成分の主鎖は、(メタ)アクリル系重合体であり得る。
前記(A)成分および/または(C)成分の主鎖は、アクリル酸系重合体であり得る。
上記(A)成分および/または(C)成分の主鎖は、アクリル酸エステル系重合体であり得る。
上記(A)成分および/または(C)成分のビニル系重合体の主鎖は、リビングラジカル重合法により製造されたものであり得る。
上記(A)成分および/または(C)成分のビニル系重合体の主鎖は、原子移動ラジカル重合法により製造されたものであり得る。
上記(B)成分は、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、アクリルアクリレート樹脂、およびビニルエステル樹脂からなる群より選択される1または2種以上であり得る。
本発明の硬化物は、上記のような硬化性組成物を硬化させて得られる。
本発明を適用すれば、良好な耐油性、耐熱性、耐候性、および柔軟性を有する硬化物を作成し得る硬化性組成物が提供される。
以下に、本発明の硬化性組成物に含有する成分につき、詳述する。
本明細書において、「硬化性樹脂成分」という時は、組成物から硬化物が形成される際に、重合を起こして高分子の網目構造に組み込まれる成分をいう。
<<ビニル重合体>>
本発明の硬化性組成物に含まれる重合体(A)は、一般式 −OC(O)C(R)=CH (1)(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わす)で表わされる基を平均して1分子あたり分子末端に1個以下有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体である。ここで、「平均して1分子あたり分子末端に1個以下有する」とは、通常重合体の1分子中の両末端のどちらか一方の末端にのみ1個だけ存在することをいうが、分子末端に1個存在しない重合体が含まれていてもよいことを指す。好ましくは、平均して重合体1分子あたり上記の基が0.5個以上1個以下存在し、さらに好ましくは0.6個以上1個以下存在し、0.7個以上1個以下が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物に含まれる重合体(C)は、その成分含量が、重合体(A)を100重量部とした場合に、0.01〜50重量部、好ましくは、0.1〜45重量部、より好ましくは1〜40重量部であり、一般式 −OC(O)C(R)=CH (1)(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わす)で表わされる基を1分子あたり平均して1個より多く有し、分子末端に該一般式(1)で表わされる基を1個以上有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体である。好ましくは、一般式(1)で表わされる基は、1分子あたり2個以上存在し、1分子の両末端に式(1)の基が存在することがより好ましい。
<主鎖>
本発明のビニル系重合体(A)または(C)の主鎖は、独立して、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれる1または2以上のモノマーを主として重合して製造され得る。
本発明のビニル系重合体(A)または(C)の製造に用いられ得る(メタ)アクリル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
本発明のビニル系重合体(A)または(C)の製造に用いられ得るアクリロニトリル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロにトリル等が挙げられる。
本発明のビニル系重合体(A)または(C)の製造に用いられ得る芳香族ビニル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、、スチレン、α―メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられる。
本発明のビニル系重合体(A)または(C)の製造に用いられ得るフッ素含有ビニル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフルオロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジパーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチルパーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。
本発明のビニル系重合体(A)または(C)の製造に用いられ得るケイ素含有ビニル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン、アリロキシジメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、トリアセロキシビニルシラン等が挙げられる。
このうち、一般建築用等の用途においては配合物の低粘度、硬化物の低モジュラス、高伸び、耐候性、耐熱性等の物性が要求される点からは、アクリル酸ブチルモノマーが更に好ましい。一方、自動車用途等の耐油性等が要求される用途においては、アクリル酸エチルを主とした共重合体が更に好ましい。このアクリル酸エチルを主とした重合体は耐油性に優れるが低温特性(耐寒性)にやや劣る傾向があるため、その低温特性を向上させるために、アクリル酸エチルの一部をアクリル酸ブチルに置き換えることも可能である。ただし、アクリル酸ブチルの比率を増やすに伴いその良好な耐油性が損なわれていくので、耐油性を要求される用途にはその比率は、重合体全体に対して40モル%以下にするのが好ましく、更には30モル%以下にするのがより好ましい。また、耐油性を損なわずに低温特性等を改善するために側鎖のアルキル基に酸素が導入されたアクリル酸2−メトキシエチルやアクリル酸2−エトキシエチル等を用いるのも好ましい。ただし、側鎖にエーテル結合を持つアルコキシ基の導入により耐熱性が劣る傾向にあるので、耐熱性が要求されるときには、その比率は40モル%以下にするのが好ましい。各種用途や要求される目的に応じて、必要とされる耐油性や耐熱性、低温特性等の物性を考慮し、その比率を変化させ、適した重合体を得ることが可能である。例えば、限定はされないが耐油性や耐熱性、低温特性等の物性バランスに優れている例としては、アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−メトキシエチル(モル比で40〜50/20〜30/30〜20)の共重合体が挙げられる。
本発明のビニル系重合体(A)および(C)の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.8未満であり、好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、なお好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレン架橋ゲルカラム(shodex GPC K-804;昭和電工製)にておこない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明におけるビニル重合体の数平均分子量は特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合、ビニル系重合体(A)は、好ましくは500〜1000,000、より好ましくは3,000〜50,000、さらに好ましくは5,000〜30,000であり、ビニル系重合体(C)は、好ましくは500〜1000,000、より好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜50,000である。
<主鎖の合成法>
本発明における、ビニル系重合体(A)および(C)(以下、「ビニル系重合体」と称することもある)の合成法として、制御ラジカル重合が用いられ得る。制御ラジカル重合は、望ましい平均的な分子量の重合体を得るのに望ましい方法である。そのうち、好ましくはリビングラジカル重合が用いられ得る。特に好ましくは、原子移動ラジカル重合が用いられ得る。以下にこれらについて説明する。
制御ラジカル重合
ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなる。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られない場合もある。
「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面では問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られない場合もある。
「リビングラジカル重合法」においては、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモ
レキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開
平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などが挙げられる。
本発明において、どの方法を用いて重合体を製造するかの制限はないが、リビングラジカル重合、特に原子移動ラジカル重合法が好ましい。
以下に連鎖移動剤を用いた重合について説明する。
連鎖移動剤を用いた重合は、ビニル系重合体の製造に用いることができる制御ラジカル重合のうちの一つである。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
以下に、リビングラジカル重合について説明する。
そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
Macromolecules 1995,28,P.2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
Figure 0005009601
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、
溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合に
ついて用いるものと同様で構わない。
原子移動ラジカル重合
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法につ
いて説明する。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、C65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C65−C(X)(CH32(ただし、上の化学式中、C65はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)、R1−C(H)(X)−CO22、R1−C(CH3)(X)−CO22、R1−C(H)(X)−C(O)R2、R1−C(CH3)(X)−C(O)R2(式中、R1、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)、R1−C64−SO2X(式中、R1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合の生長末端構造を有する重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(2)に示す構造を有するものが例示される。
45C(X)−R6−R7−C(R3)=CH2 (2)(式中、R3は水素、またはメチル基、R4、R5は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、または他端において相互に連結したもの、R6は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R7は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良く、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)。置換基R4、R5の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R4とR5は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式(2)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
Figure 0005009601
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)
O(CH2nO(CH2mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(
CH2mCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m
H=CH2
Figure 0005009601
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜
20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−
64−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m,p
−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m,
p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2mCH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜
20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(
H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)
(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m
,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−C
H=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
2C=C(R3)−R7−C(R4)(X)−R8−R5 (3)
(式中、R3、R4、R5、R7、Xは上記に同じ、R8は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す) R7は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R8としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R7が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R8としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、CH2=CHC(H)(X)CH3
CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH32、CH2=C
HC(H)(X)C25、CH2=CHC(H)(X)CH(CH32、CH2=CHC(
H)(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH265、CH2=CHCH2C(H)
(X)−CO2R、CH2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH
23C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH28C(H)(X)−CO2R、CH2
=CHCH2C(H)(X)−C65、CH2=CH(CH22C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH23C(H)(X)−C65、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64−SO2X、o−,m−,p−CH2
=CH−(CH2n−O−C64−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)等である。 上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(4)に示す構造を有するものが例示される。
45C(X)−R6−R7−C(H)(R3)CH2−[Si(R92-b(Y)bO]m−S
i(R103-a(Y)a (4)
(式中、R3、R4、R5、R6、R7、Xは上記に同じ、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式(4)の化合物を具体的に例示するならば、XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33、(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33、XCH2C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32、(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)、
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(CH3)(OCH32、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H
)(X)−C64−(CH22Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X
)−C64−(CH22Si(OCH33、o,m,p−XCH2−C64−(CH23
Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH23Si(OC
33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33
、o,m,p−XCH2−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33、o,
m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(
OCH33、o,m,p−XCH2−C64−O−(CH23Si(OCH33、o,m
,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−
CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH23−Si(OCH33、o,m,p−
XCH2−C64−O−(CH22−O−(CH23−Si(OCH33、o,m,p−
CH3C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33、o
,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(
OCH33、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(5)で示される構造を有するものが例示される。
(R103-a(Y)aSi−[OSi(R92-b(Y)bm−CH2−C(H)(R3)−R
7−C(R4)(X)−R8−R5 (5)
(式中、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65、(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C65、(CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH22C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−C65、(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−C65、(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−C65、(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル
基、アリール基、アラルキル基)等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物とし
ては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
2N−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
Figure 0005009601
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
生長末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 0005009601
Figure 0005009601
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合は、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる金属錯体を触媒として使用することが好ましく、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。
更に好ましいものとして、1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。好ましい配位子は、含窒素化合物であり、より好ましい配位子は、キレート型含窒素化合物であり、さらに好ましい配位子は、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンである。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行なうことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。
また、限定はされないが、重合は0℃〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999,32,2872参照)。
<官能基>
架橋性官能基の数
本発明のビニル系重合体(A)および(C)は、
一般式(1):−OC(O)C(R)=CH (1)
で示す重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を少なくとも1個有し得る。組成物の硬化性、及び硬化物の物性の観点から、ビニル系重合体(A)は、式(1)の基を平均して1分子当たり分子末端に1個以下有する。好ましくは、平均して1分子あたり0.5個以上1個以下であり、さらに好ましくは0.6個以上1個以下であり、0.7個以上1個以下が特に好ましい。ビニル重合体(C)は、式(1)の基を1分子あたり平均して1個より多く有し、分子末端に(1)の基を1個以上有する。式(1)の基の1分子中の全体の個数としては、好ましくは、1.1個以上4.0以下、さらに好ましくは1.2個以上3.5個以下である。
架橋性官能基の位置
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性官能基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基を分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性官能基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
一般式(1);
−OC(O)C(Ra)=CH2 中、Raは、水素、または、炭素数1〜20の1価の有機基を表すが、ここで、Raは、特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられるが、好ましくは−H、−CH3である。
架橋性官能基の導入法
ビニル系重合体に重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を導入する方法としては、限定はされないが、以下のような方法が挙げられる。ここで、本発明の成分(A)に官能基を導入する場合は、片末端のみに導入し、本発明の成分(C)に導入する場合は、両末端に導入することが好ましい。
(1)ビニル系重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法。具体例としては、一般式(6)で表される構造を有するビニル系重合体と、一般式(7)で示される化合物との反応による方法。
−CR1213X (6)
(式中、R12、R13は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩
素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+-OC(O)C(R11)=CH2 (7)
(式中、R11はRaと同義であり、特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられるが、好ましくは−H、−CH3である。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
(2)水酸基を有するビニル重合体と、一般式(8)で示される化合物との反応による方法。
C(O)C(R11)=CH2 (8)
(式中、R11は上述の通りであり、Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
(3)水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(9)で示される化合物との反応による方法。
HO−R14−OC(O)C(R11)=CH2 (9)
(式中、R11は上述の通りであり、R14は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
以下にこれらの各方法について詳細に説明する。
上記1)の方法について説明する。
(1)一般式(6)で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式(7)で示される化合物との反応による方法。
−CR1213X (6)
(式中、R12、R13は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、上述の通りである。)
+-OC(O)C(R11)=CH2 (7)
(式中、R11は上述の通りであり、M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(6)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(7)で表される化合物としては特に限定されないが、R11の具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表
す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式(7)のオキシアニオンの使用量は、一般式(6)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
上記(2)の方法について説明する。
(2)水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(8)で示される化合物との反応による方法。
C(O)C(R11)=CH2 (8)
(式中、R11およびXは、上述の通りである。)
一般式(8)で表される化合物としては特に限定されないが、R11の具体例としては
、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表
す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
水酸基を、好ましくは末端に、有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。これらの方法により水酸基を有するビニル系重合体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法が例示される。
(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、下記一般式(10)等で表される一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
2C=C(R15)−R16−R17−OH (10)
(式中、R15は炭素数1〜20の有機基で水素またはメチル基が好ましく、互いに同一で
あっても異なっていてもよい。R16は−C(O)O−(エステル基)、またはo−,m−
もしくはp−フェニレン基を表す。R17は直接結合、または1個以上のエーテル結合を有
していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R16がエステル基のものは(メタ
)アクリレート系化合物、R16がフェニレン基のものはスチレン系の化合物である。)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時
期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定の
モノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(11)に示される化合物等が挙げられる。
2C=C(R15)−R18−OH (11)
(式中、R15は上述したものと同様である。R18は1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
上記一般式(11)に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
(c)特開平4−132706号公報などに開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合により得られる一般式(6)で表されるような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(6)で表されるような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(12)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
+-(R19)(R20)−R18−OH (12)
(式中、R18は上述したものと同様である。R19およびR20はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。R19およびR20の電子吸引基としては、−CO2R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基である。R19およびR20としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。)
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(6)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式(6)で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(13)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(14)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R18−O-+ (13)
(式中、R18およびM+は上述したものと同様である。)
HO−R18−C(O)O-+ (14)
(式中、R18およびM+は上述したものと同様である。)
本発明では(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易である点から(b)の方法がさらに好ましい。
また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
上記(3)の方法について説明する。
(3)水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(15)で示される化合物との反応による方法。
HO−R14−OC(O)C(R11)=CH2 (15)
(式中、R11およびR14は、上述の通りである。)
一般式(15)で表される化合物としては特に限定されないが、具体的な化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上記の通りである。
ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することもできる。またブロックイソシアネートを使用しても構わない。
よりすぐれた耐候性を生かすためには、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。(C)成分の含有量としては、(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは、0.1〜45重量部、より好ましくは1〜40重量部である。
<<反応性オリゴマー>>
本発明の硬化性組成物に含まれる反応性オリゴマー(B)反応性オリゴマーは、比較的低分子量の重合体であって、重合性官能基を平均して1個より多く有する重合体を指す。分子量としては、300から100000が好ましく、500から50000が特に好ましい。用いられうる反応性オリゴマーとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂、ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}を反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリロイル基を導入した樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、アクリル系重合体重合時、重合に必要なビニル基以外に重合反応性の若干緩やかなビニル基を有する多官能性モノマーを共重合して得られるアクリルアクリレート系樹脂等が挙げられる。これらの反応性オリゴマーの具体例として、例えば、エポキシアクリレートとしては、Ebecryl604、Ebecryl860、Ebecry1629、Ebecry3451、Ebecry3605、Ebecry3701、Ebecry3703、Ebecry3708、RDX63182、UVACURE1561等、ウレタンアクリレートとしてはEbecryl230、Ebecryl270、Ebecryl8402、Ebecryl8804等、ポリエステルアクリレートとしてはEbecryl770、Ebecryl830、Ebecryl524等(何れもダイセル・サイテック社製)が市販品として挙げられ、これらの市販品も使用することができる。配合量としては、反応性オリゴマー(B)は、(A)+(B)の合計量に対して1〜99重量%であり、2〜90重量%が好ましく、5〜80重量%が更に好ましい。
<<重合開始剤>>
本明細書において、「重合開始剤(D)」という時は、ビニル系重合体(A)および反応性オリゴマー(B)、またはビニル系重合体(A)、反応性オリゴマー(B)、およびビニル系重合体(C)成分の重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体をその重合性の炭素−炭素二重結合の重合反応により架橋させることができるような開始剤を指す。
このような開始剤としては特に限定はされず、公知の様々な開始剤を用い得る。
架橋の方法としては、活性エネルギー線で硬化するもの、あるいは、熱で硬化するもの
が挙げられる。活性エネルギー線硬化型においては、光重合開始剤である光ラジカル開始剤、あるいは光アニオン開始剤を使用することが好ましい。熱硬化型においては、熱重合開始剤である、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸物、及びレドックス開始剤からなる群より選択されるものを使用することが好ましい。使用する開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。
光硬化・活性エネルギー線による架橋系
本発明の硬化性組成物は、通常の光、UVや電子線などの活性エネルギー線によって架橋させることができる。活性エネルギー線より電子線で架橋させる場合開始剤を必要としない場合がある、UVで架橋させる場合には、光重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤としては特に制限はないが、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせたもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合わせたものが挙げられる。
なお、前記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコールなどのごとき重合禁止剤類を添加することもできる。
また、近赤外光重合開始剤として、近赤外光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官能化するだけでよいので、特に制限はないが、ビニル系重合体(A)、反応性オリゴマー(B)および/またはビニル系重合体(C)および/または他に添加されるモノマー合計100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。本発明の硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合開始剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
加熱架橋系
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体の架橋の方法としては、熱によることも好ましい。本発明の硬化性組成物を加熱硬化させる場合には、組成物に熱重合開始剤を含有させることが好ましい。
本発明に用いられる熱重合開始剤としては特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸塩、及びレドックス開始剤が含まれる。
適切なアゾ系開始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
適切な過酸化物開始剤としては、限定されるわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
適切な過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
適切なレドックス(酸化還元)開始剤としては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤のメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
他の開始剤としては、限定されるわけではないが、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオールのようなピナコール等が挙げられる。
好ましい熱ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物系開始剤からなる群から選ばれる。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、t−ブチルパーオキシピバレート、及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの混合物である。
本発明に用いられる熱開始剤は触媒的に有効な量で存在し、このような量は、限定はされないが、典型的には、本発明の少なくとも一つの末端に重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を有するビニル系重合体(A)および反応性オリゴマー(B)および/またはビニル系重合体(C)および/または他に添加されるモノマー混合物の合計量を100重量部とした場合に約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。開始剤の混合物が使用される場合には、開始剤の混合物の合計量は、あたかもただ1種の開始剤が使用されるかのような量である。
本発明の硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その温度は、使用する熱開始剤、ビニル系重合体(A)および反応性オリゴマー(B)および/またはビニル系重合体(C)及び添加される化合物等の種類により異なるが、通常50℃〜250℃の範囲内が好ましく、70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。硬化時間は、使用する重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物においては、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
ビニル系重合体(A)および反応性オリゴマー(B)を架橋させる場合、またはビニル系重合体(A)、反応性オリゴマー(B)、およびビニル系重合体(C)を架橋させる場合には、その目的に応じて、重合性のモノマー及各種添加剤を併用しても構わない。重合性のモノマーとしては、ラジカル重合性の基を持つモノマーあるいはアニオン重合性の基を持つモノマーが好ましい。ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリロイル基等のアクリル官能性基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、本発明の重合体と類似する(メタ)アクリロイル基を持つものが好ましい。アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基を持つものが好ましい。
上記のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーなどが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物などを挙げることができる。なお、下式において、nは、0〜20の整数を示す。
Figure 0005009601
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スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン等が、アクリルアミド系モ
ノマーとしてはアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が、共役ジエン系モ
ノマーとしてはブタジエン、イソプレン等が、ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビ
ニルケトン等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、ト
リメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ
アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトール
ポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリ
ヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2
−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチ
ル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4
,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリ
コールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロ
パンテトラアクリレート等が挙げられる。
これらのモノマーは、用いられる開始剤及び硬化条件により選択される。
また、アクリル官能性基を有するモノマーの数平均分子量は、300未満であることが好ましく、250以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
<接着性付与剤>
本発明の硬化性組成物には、シランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を添加することができる。接着付与剤を添加すると、外力により目地幅等が変動することによって、シーリング材がサイディングボード等の被着体から剥離する危険性をより低減することができる。また、場合によっては接着性向上の為に用いるプライマーの使用の必要性がなくなり、施工作業の簡略化が期待される。シランカップリング剤の具体例としては、例えば、アミノ基や、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等の官能基をもったシランカップリング剤が例示でき、その具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、ブロックイソシアネートシラン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、硬化性樹脂成分100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲で使用される。特に、0.5〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩化ビニル、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。
シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙
げられる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。特に限定はされないが、接着性、特にオイルパンなどの金属被着面に対する接着性を向上させるために、上記接着性付与剤の中でもシランカップリング剤を硬化性樹脂成分100重量部に対し、0.1〜20重量部、併用することが好ましい。
<可塑剤>
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤を必要に応じて用いても良い。可塑剤を後述する充填材と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填材を混合できたりするためより有利となる。しかし、必ずしも添加しなければならないものではない。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
なかでも数平均分子量500〜15000の重合体である高分子可塑剤は、添加することにより、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化物にアルキッド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できる。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000と記載したが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、また、アルキッド塗装性が改善できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系重合体(A)、(C)と相溶するものが好ましい。中でも相溶性および耐候性、耐熱性の点から(メタ)アクリル系重合体が好ましい。(メタ)アクリル系重合体の中でもアクリル系重合体がさらに好ましい。このアクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207、特公平5−58005、特開平1−313522、USP5010166)にて作製されるため本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なおこれら可塑剤は、ビニル系重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、硬化性樹脂成分100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
<充填材>
本発明の硬化性組成物には、各種充填材を必要に応じて用いても良い。充填材種によっても異なるが、一般的には特に80℃以上の高温領域の損失係数(瀬制振特性)の低下を改善できることから有用である。充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、シリカ(フュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸等)、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等のような繊維状充填材等が挙げられる。
これら充填材のうちでは沈降性シリカ、フュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。
特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加できる。なかでも、比表面積(BET吸着法による)が50m2/g以上、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末状のシリカが
好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノシクロポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
補強性の高いシリカ系充填材のより具体的な例としては、特に限定されないが、フュームドシリカの1つである日本アエロジル社のアエロジルや、沈降法シリカの1つである日本シリカ社工業のNipsil等が挙げられる。
また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果はより大きくなる。
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の組成物の作業性を改善し、該硬化性組成物の接着性と耐候接着性の改善効果がより向上すると考えられる。前記の表面処理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の各種カップリング剤が用いられている。具体例としては、以下に限定されるものではないが、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコール硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、またアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合、配合物のチクソ性や硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性等の改善効果を特に期待する場合には膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。
一方、重質炭酸カルシウムは配合物の低粘度化や増量、コストダウン等を目的として添加することがあるが、この重質炭酸カルシウムを用いる場合は必要に応じて下記のようなものを使用することができる。
重質炭酸カルシウムとは、天然のチョーク(白亜)、大理石、石灰石などを機械的に粉砕・加工したものである。粉砕方法については乾式法と湿式法があるが、湿式粉砕品は本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性を悪化させることが多いために好ましくないことが多い。重質炭酸カルシウムは、分級により、様々な平均粒子径を有する製品となる。特に限定されないが、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果を期待する場合には、比表面積の値が1.5m2/g以上50m2/g以下のものが好ましく、2m2/g以上50m2/g以下が更に好ましく、2.4m2/g以上50m2/g以下がより好ましく、3m2/g以上50m2/g以下が特に好ましい。比表面積が1.5m2/g未満の場合には、その改善効果が充分でないことがある。もちろん、単に粘度を低下させる場合や増量のみを目的とする場合などはこの限りではない。
なお、比表面積の値とは、測定方法としてJIS K 5101に準じて行なった空気透過法(粉体充填層に対する空気の透過性から比表面積を求める方法。)による測定値をいう。測定機器としては、島津製作所製の比表面積測定器SS−100型を用いるのが好ましい。
これらの充填材は目的や必要に応じて単独で併用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に限定はされないが、例えば、必要に応じて比表面積の値が1.5m2/g以上の重質炭酸カルシウムと膠質炭酸カルシウムを組み合わせると、配合物の粘度の上昇を程々に抑え、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が大いに期待できる。
充填材を用いる場合の添加量は、硬化性樹脂成分100重量部に対して、充填材を5〜1000重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、1000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。充填材は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
<微小中空粒子>
また、更に、物性の大きな低下を起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子をこれら補強性充填材に併用しても良い。
このような微少中空粒子(以下バルーンという)は、特に限定はされないが、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているように、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体が挙げられる。特に、真比重が1.0g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましい。
前記無機系バルーンとしては、例えば、珪酸系バルーンと非珪酸系バルーンが使用できる。珪酸系バルーンには、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン等が、非珪酸系バルーンには、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等が例示できる。これらの無機系バルーンの具体例として、シラスバルーンとしてイヂチ化成製のウインライト、三機工業製のサンキライト、ガラスバルーンとして日本板硝子製のカルーン、住友スリーエム製のセルスターZ−28、EMERSON&CUMING製のMICRO BALLOON、PITTSBURGE CORNING製のCELAMIC GLASSMODULES、3M製のGLASS BUBBLES、シリカバルーンとして旭硝子製のQ−CEL、太平洋セメント製のE−SPHERES、フライアッシュバルーンとして、PFAMARKETING製のCEROSPHERES、FILLITE U.S.A製のFILLITE、アルミナバルーンとして昭和電工製のBW、ジルコニアバルーンとしてZIRCOA製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEES、カーボンバルーンとして呉羽化学製クレカスフェア、GENERAL TECHNOLOGIES製カーボスフェアが市販されている。
前記有機系バルーンとして、熱硬化性樹脂のバルーンと熱可塑性樹脂のバルーンが例示でき、熱硬化性のバルーンにはフェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーンが、熱可塑性バルーンにはサランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンが例示できる。また、架橋した熱可塑性樹脂のバルーンも使用できる。ここでいうバルーンは、発泡後のバルーンでも良く、発泡剤を含むものを配合後に発泡させてバルーンとしても良い。
これらの有機系バルーンの具体例として、フェノールバルーンとしてユニオンカーバイド製のUCAR及びPHENOLIC MICROBALLOONS、エポキシバルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES、尿素バルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES VF−O、サランバルーンとしてDOW CHEMICAL製のSARAN MICROSPHERES、日本フィラメント製のエクスパンセル、松本油脂製薬製のマツモトマイクロスフェア、ポリスチレンバルーンとしてARCO POLYMERS製のDYLITE EXPANDABLE POLYSTYRENE、BASF WYANDOTE製の EXPANDABLE POLYSTYRENE BEADS、架橋型スチレン−アクリル酸バルーンには日本合成ゴム製のSX863(P)が、市販されている。
上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で分散性および配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる
。これらの、バルーンは配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性および伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
バルーンの含有量は、特に限定されないが硬化性樹脂成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.1〜30重量部の範囲で使用できる。この量が0.1重量部未満では軽量化の効果が小さく50重量部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。またバルーンの比重が0.1以上の場合は3〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部が好ましい。
<物性調整剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。
物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<シラノール含有化合物>
本発明の硬化性組成物には、硬化物の物性を変える等の必要に応じてシラノール含有化合物を添加しても良い。シラノール含有化合物とは、分子内に1個のシラノール基を有する化合物、及び/又は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物のことをいう。これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に用いてもよい。
シラノール含有化合物の一つである分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、特に限定されず、下記に示した化合物、
(CH33SiOH、(CH3CH23SiOH、(CH3CH2CH23SiOH、(n−Bu)3SiOH、(sec−Bu)3SiOH、(t−Bu)3SiOH、(t−Bu)Si(CH32OH、(C5113SiOH、(C6133SiOH、(C653SiOH、(C652Si(CH3)OH、(C65)Si(CH32OH、(C652Si(C25)OH、C65Si(C252OH、C65CH2Si(C252OH、C107Si(CH32OH
(ただし、上記式中C65はフェニル基を、C107はナフチル基を示す。)
等のような(R”)3SiOH(ただし式中R”は同一または異種の置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基)で表わすことができる化合物、
Figure 0005009601
等のようなシラノール基を含有する環状ポリシロキサン化合物、
Figure 0005009601
(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜20の整数を示す。)等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサン化合物、
Figure 0005009601
(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜20の整数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 0005009601
(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜20の整数を示す。)
等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 0005009601
(式中、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素、酸素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合
物等が例示できる。このうち下記一般式(18)で表される化合物が好ましい。
(R233SiOH (18)
(式中、R23は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR23は同一であっても
よく又は異なっていてもよい。)
23は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
一般式(18)で表わされる化合物としては、入手が容易であり、効果の点から、分子量の小さい(CH33SiOH等が好ましい。
上記、分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を使用する場合に、架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
また本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、水分と反応して生成する分子内に1個のシラノール基を有する化合物(加水分解生成物)が、上記一般式(17)で表される化合物が好ましい。例えば、特に限定されるわけではないが、後述するような一般式(18)で表される化合物以外に下記の化合物を挙げることができる。
N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、(CH33SiNHSi(CH33、(CH33SiNSi(CH32
Figure 0005009601
等が好適に使用できるが加水分解生成物の含有シラノール基の量からは(CH33SiNHSi(CH33が特に好ましい。
さらには本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、上記化合物以外に下記一般式(18)で表される化合物が好ましい。
((R233SiO)n24 (19)
(式中、R23は上述したものと同様である。nは正数を、R24は活性水素含有化合物から一部あるいは全ての活性水素を除いた基を示す。)
23は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
(R233Si基は、3個のR23が全てメチル基であるトリメチルシリル基が特に好ましい。また、nは1〜5が好ましい。
上記R24の由来となる活性水素含有化合物としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ヒドロキノン等のフェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、イミダゾール等のアミン類;アセトアミド、ベンズアミド等の酸アミド類、尿素、N,N’−ジフェニル尿素等の尿素類;アセトン、アセチルアセトン、2,4−ヘプタジオン等のケトン類等が挙げられる。
上記一般式(19)で表される水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、例えば上述の活性水素含有化合物等に、トリメチルシリルクロリドやジメチル(t−ブチル)クロリド等のようなシリル化剤とも呼ばれる(R233Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反応し得る基を有する化合物を反応させることにより得ることができるが、これらに限定されるものではない(ただし、R23
は上述したものと同様である。)。
上記一般式(19)で表される化合物を具体的に例示すると、アリロキシトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、一般式(((R253SiO)(R26O)stZで表わすことができるような化
合物、CH3O(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33、CH2=CHCH2(CH2
H(CH3)O)5Si(CH33、(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)5Si(
CH33、(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)7Si(CH33
(式中、R25は同一または異種の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素原子、R26は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、s、tは正の整数で、sは1〜6、s×tは5以上、Zは1〜6価の有機基)等も好適に使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物の中では、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、加水分解後に生成する活性水素含有化合物はフェノール類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく、活性水素含有化合物が水酸基であるフェノール類およびアルコール類が更に好ましい。
上記の化合物の中では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物等が好ましい。
シラノール含有化合物の添加量は、硬化物の期待物性に応じて適宜調整可能である。シラノール含有化合物は、硬化性樹脂成分の合計100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部添加できる。0.1重量部未満では添加効果が現れず、50重量部を越えると架橋が不十分になり、硬化物の強度やゲル分率が低下しすぎる。
また、シラノール含有化合物をビニル系重合体(A)および反応性オリゴマー(B)および/またはビニル系重合体(C)に添加する時期は特に限定されず、ビニル系重合体(A)、(C)の製造時に添加してもよく、硬化性組成物の作製時に添加してもよい。
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。
また、垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<光硬化性物質>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光硬化性物質を添加しても良い。光硬化性物質とは、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。この光硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。この光硬化性物質は、光をあてることにより硬化し得る物質であるが、代表的な光硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に1日間、室温で静置することにより硬化させることができる物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くのものが知られており、その種類は特に限定されないが、例えば、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が挙げられる。
不飽和アクリル系化合物は、下記一般式(20)で表される不飽和基を有する単量体、
オリゴマーあるいはこれらの混合物である。
CH2=CHR27CO(O)− (20)
式中、R27は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭
素数7〜10のアラルキル基を示す。
不飽和アクリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコール等の低分子量アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA、イソシアヌル酸等の酸あるいは上記低分子量アルコール等をエチレンオキシドやプロピレンオキシドで変性したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA型やノボラック型等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレート等を反応させることにより得られる分子鎖中にウレタン結合および(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
ポリケイ皮酸ビニル類とは、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル系誘導体が挙げられる。
アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液のほか「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、93頁〜、106頁から、117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。
上記の光硬化性物質の中では、取り扱い易いという理由で不飽和アクリル系化合物が好ましい。
光硬化性物質は、硬化性樹脂成分の合計100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類等の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
<空気酸化硬化性物質>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて空気酸化硬化性物質を添加しても良い。空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化できる不飽和基を有する化合物である。この空気酸化硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。本発明における空気酸化硬化性物質は、空気と接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体的には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有するものである。代表的な空気酸化硬化性物質は、例えば空気中で室内に1日間静置することにより硬化させることができる。
空気酸化硬化性物質としては、、例えば、桐油、アマニ油等の乾性油;これら乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂;1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンを、C5〜C8ジエンの重合体や共重合体、更には該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが具体例として挙げられる。これらのうちでは桐油、ジエン系重合体のうちの液状物(液状ジエン系重合体)やその変性物が特に好ましい。
上記液状ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のジエン系化合物を重合又は共重合させて得られる液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させて得られるNBR,SBR等の重合体や更にはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら液状ジエン系化合物のうちでは液状ポリブタジエンが好ましい。
空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また空気酸化硬化性物質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果を高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩やアミン化合物等が例示される。
空気酸化硬化性物質は、硬化性樹脂成分100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。
<酸化防止剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
例えば、MARK PEP−36、MARK AO−23等のチオエーテル系(以上いずれもアデカア−ガス化学製)、Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上いずれも日本チバガイギー製)等のようなリン系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、MARK AO−30、MARK AO−40、MARK AO−50、MARK AO−60、MARK AO−616、MARK AO−635、MARK AO−658、MARK AO−80、MARK AO−15、MARK AO−18、MARK 328、MARK AO−37(以上いずれもアデカアーガス化学製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上いずれも日本チバガイギー製)、SumilizerGM、SumilizerGA−80(以上いずれも住友化学製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
酸化防止剤は後述する光安定剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に
発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止剤と光安定剤
を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)
などを使用しても良い。
酸化防止剤の使用量は、硬化性樹脂成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
<光安定剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光安定剤を添加しても良い。光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
特に限定はされないが、光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物の具体的には、限定はされないが、(コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリディニル)エステル等が挙げられる。
商品名で言えば、チヌビン622LD、チヌビン144、CHIMASSORB944LD、CHIMASSORB119FL、Irgafos168、(以上いずれも日本チバガイギー製)、MARK LA−52、MARK LA−57、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−82、MARK LA−87、(以上いずれもアデカア−ガス化学製)、サノールLS−770、サノールLS−765、サノールLS−292、サノールLS−2626、サノールLS−1114、サノールLS−744、サノールLS−440(以上いずれも三共製)などが例示できるがこれらに限定されるものではない。
更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組合せはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。 光安定剤は前述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)などを使用しても良い。
光安定剤の使用量は、硬化性樹脂成分100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
<離型剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて離型剤(金属石鹸)をさらに含有させることができる。金属石鹸としては、特に制限はなく、任意のものが使用できる。金属石鹸とは、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を一分子中に合わせて持っていれば使用できる。長鎖脂肪酸としては、例えば炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中では、入手性の点から炭素数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、離型性の効果の点から炭素数6〜18の飽和脂肪酸が特に好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム)、亜鉛、鉛、コバルト、アルミニウム、マンガン、ストロンチウム等が挙げられる。
金属石鹸として、より具体的には、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム、2−エチルヘキサン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸マンガン等が例示される。これらの金属石鹸の中では、入手性、安全性の点からステアリン酸金属塩類が好ましく、特に経済性の点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛からなる群から選択される1つ以上のものが最も好ましい。
この金属石鹸の添加量としては特に制限はないが、通常硬化性樹脂成分の合計100重量部に対して0.025〜5重量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜4重量部使用するのがより好ましい。配合量が5重量部より多いと硬化物の物性が低下する傾向があり、0.025重量部より少ないと金型離型性が得られにくい傾向がある。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
本発明の硬化性組成物の調製法としては、特に限定されるわけではないが、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製しても良く、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整しても良い。2成分型にすると、2成分の混合時に着色剤を添加することができ、着色剤は、例えば顔料と可塑剤、場合によっては充填材を混合しペースト化したものを用いると作業し易い。また、更に2成分の混合時に遅延剤を添加することにより硬化速度を作業現場にて微調整することができる。
<<硬化物>>
本発明の硬化性組成物は、硬化により得られるゴム状物質の反発弾性率が50%以下である。得られる硬化物(ゴム状物質)の反発弾性率が50%以上であると、硬化物の柔軟性が十分確保できず、硬化物を折り曲性が劣ったり、耐チッピング性が不十分となったりする傾向にある。反発弾性率を求める標準条件としては、ISO4662に従う。
反発弾性率としては、好ましくは40%以下、さらに好ましくは10%以下である。
ここで、ゴム状物質とは、一般的に常温(23℃)以上の温度領域で弾性変形(ゴム弾性)を示す物質を言う。また通常のゴム状物質の場合、Tg(ガラス転移温度)が常温以下のことが多い。
さらに、本発明の硬化物は、引っ張り物性の伸びがよく、150℃で25%圧縮時の耐熱性も良好である。このような硬化物は、高耐熱、高耐油性、柔軟性等の高性能化が供給される各種材料に好適である。
<<用途>>
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング剤、サイディングボード用シーリング剤、複層ガラス用シーリング剤、車両用シーリング剤等建築用および工業用のシーリング剤、太陽電池裏面封止剤などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、コンタクト接着剤、タイル用接着剤、反応性ホットメルト接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、缶蓋等のシール材、放熱シート、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、マリンデッキコーキング、注型材料、各種成形材料、人工大理石、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車や船舶、家電等に使用される防振・制振・防音・免震材料、自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤、防水剤等の様々な用途に利用可能である。
更に、本発明の硬化性組成物から得られたゴム弾性を示す成形体は、耐熱、耐油性が必要なガスケット、パッキン類を中心に広く使用することができる。例えば自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。建築分野では、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。スポ―ツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。コーティング分野では、車両用、建築用のトップコート、防水用中塗材等の弾性コート材、ソフトコート、ハードコート、ファイバーコート、床用のリノリウム、シーラー等にも使用できる。さらに、各種成型材料、注型材料分野では、各種型取り材、歯科用の印象材、造詣材等に使用できる。なかでも、本発明の硬化性組成物は、シーリング材や接着剤として特に有用であり、特に耐候性や耐熱性、柔軟性が要求される用途や透明性が必要な用途にも有用である。また、本発明の硬化性組成物は耐候性と接着性に優れるので、目地埋めなしでの外壁タイル接着用工法に使用できる。更には、線膨張係数の異なる材料の接着や、ヒートサイクルにより繰り返し変位を受けるような部材の接着に用いる弾性接着剤の用途や、透明性を活かして、下地が見える用途でのコーティング剤等の用途、ガラスやポリカ、メタクリル樹脂等の透明材料の貼り合わせに用いる接着剤用途等にも有用である。さらには、電気絶縁コーティング材、電気絶縁シール材、電気絶縁接着剤用途にも有用である。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。また、本実施例において「トリアミン」とは、ペンタメチルジエチレントリアミンをいう。
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
製造例1(アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)の合成)
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモル数で25/46/29の比率で重合し、数平均分子量16500、分子量分布1.13の末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)を得た。
この重合体400gをN,N−ジメチルアセトアミド(400mL)に溶解させ、アクリル酸カリウム10.7gを加え、窒素雰囲気下、70℃で6時間加熱攪拌し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)(以下、重合体〔P1〕という)の混合物を得た。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣にトルエンを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液のトルエンを減圧留去して、重合体〔P1〕を精製した。
精製後のアクリロイル基両末端重合体〔P1〕の数平均分子量は16900、分子量分布は1.14、平均末端アクリロイル基数は1.8(すなわち、末端へのアクリロイル基の導入率は90%)であった。
製造例2(アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)の合成)
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、2−ブロモブチル酸エチルを開始剤として、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモル数で25/46/29の比率で重合し、数平均分子量3700、分子量分布1.14の片末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)を得た。
この重合体1050gをN,N−ジメチルアセトアミド(1050g)に溶解させ、アクリル酸カリウム56.2gを加え、窒素雰囲気下、70℃で4時間加熱攪拌し、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)(以下、重合体〔2〕という)の混合物を得た。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣にトルエンを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液のトルエンを減圧留去して、重合体〔P2〕を精製した。
精製後のアクリロイル基片末端重合体〔P2〕の数平均分子量は3800、分子量分布は1.15、平均末端アクリロイル基数は1.0(すなわち、末端へのアクリロイル基の導入率はほぼ100%)であった。
(製造例3)
(アクリロイル基片末端ポリアクリル酸n−ブチルの合成)
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、2−ブロモブチル酸エチルを開始剤として、アクリル酸n−ブチルを重合し、数平均分子量3700、分子量分布1.14の片末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル)を得た。
この重合体1050gをN,N−ジメチルアセトアミド(1050g)に溶解させ、アクリル酸カリウム56.2gを加え、窒素雰囲気下、70℃で4時間加熱攪拌し、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(以下、重合体[P3]という)の混合物を得た。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣にトルエンを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液のトルエンを減圧留去して、重合体[P3]を精製した。精製後のアクリロイル基片末端重合体[P3]の数平均分子量は3800、分子量分布は1.15、平均末端アクリロイル基数は1.0(すなわち、末端へのアクリロイル基の導入率はほぼ100%)であった。
<物性評価方法>
実施例及び比較例で作製された硬化物(試験片)の各物性測定は、以下の方法、条件に従って実施した。
(引張り物性)
JIS K 6251に従い、硬化物シートより(1/3)号サイズのダンベルを切り出し、引張り速度200mm/分、23℃×55%R.H条件下で測定(測定機器:島津製オートグラフ)した。
(DuroA硬度)
JIS K 6253に従い、23℃×55%RH条件下で測定(測定機器:CL−150(CONSTANT DOADER DUROMETER)ASKER製およびDUROMETER A 島津製)した。
(圧縮永久歪)
JIS K 6262に従い、150℃×70時間、25%圧縮後の歪みを測定(測定機器:圧縮永久歪試験装置、高分子計器製)した。また、試験時のサンプルの状態を以下の基準で評価した。
○;破壊は見られない。△;試験中の破壊が見られる。×;試験前の圧縮時点でサンプルが破壊。
(反発弾性率)
反発弾性率試験機(EPH−50型、高分子計器社製)を用い、ISO 4662条件に準拠して23℃×55%RH条件下で反発弾性率を測定した。サンプルのサイズは、JIS K 6262の試験で使用したものと同じサイズ(大形試験片;直径29.0±0.5mm、厚さ12.5±0.5mmの円筒形状)である。
(実施例1)
製造例2で得られた重合体[P2]50部およびEBECRYL230(脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセルサイテック製)50部にフェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名IRGANOX1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1部、光ラジカル開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DAROCURE1173;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.2部、ビス(2、4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE819;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.1部を加え、十分に溶解・混合後、60℃で1時間加熱脱泡を行った。さらに型枠に流し込んでUV照射装置に(LH−6;フュージョン・ジャパン社製)ランプエネルギー=184W/cm、照射距離54mm、1m/分の速度で1回通して(積算光量=3030mJ/cm)硬化させて2mmの厚のシートを得た。得られた硬化物を用いて、引張り物性を測定した。また、同様の条件で通す回数を4回にして12mm厚の硬化物を得た。得られた硬化物を用いてDuroA硬度、圧縮永久歪、反発弾性率を測定した。サンプルのサイズは、JIS K 6262の試験で使用したものと同じサイズである。結果を表1に示す。なお、表1中、M50およびM100は、それぞれ、50%モジュラス、100%モジュラスを示し、TBおよびEBは、それぞれ、試験片破断時の強度および試験片破断時の伸びを示す。
(実施例2)
重合体[P2]を70部およびEBECRYL230を30部とした以外は、実施例1と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
重合体[P2]を重合体[P3]に変更した以外は、実施例1と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
重合体[P2]を重合体[P3]に変更した以外は、実施例2と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
EBECRYL230をEBECRYL270(脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセルサイテック製)に変更した以外は実施例2と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
重合体[P1]20部、重合体[P2]50部、UVACURE1561(部分アクリル化ビスフェノールタイプエポキシアクリレート、ダイセルサイテック製)30部にフェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名IRGANOX1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1部、光ラジカル開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DAROCURE1173;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)ビス(2、4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE819;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.5部を加え、十分に溶解・混合後、60℃で1時間加熱脱泡を行った。実施例1と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
EBECRYL230 100部にフェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名IRGANOX1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1部、光ラジカル開始剤として、2,2−ジエトキシアセトフェノン0.5部を加え、十分に溶解・混合後、60℃で1時間加熱脱泡を行った。実施例1と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
EBECRYL230をEBECRYL270に変更した以外は、比較例1と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
EBECRYL230をUVACURE1561に変更した以外は、比較例1と同様に硬化物の作製、測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005009601
表1に示す様に、実施例1〜6では、反発弾性率が50%以下であることから優れた衝撃吸収性を示すことが分かる。また、低硬度、引っ張り特性のEB値から明らかであるように、低い伸びしか示せない反応性オリゴマー単独硬化物の比較例に対し、実施例は良好な伸びを実現できる。さらに、実施例の圧縮永久歪は、比較例よりも向上している。よって、反応性オリゴマー(B)にビニル系重合体(A)またはビニル系重合体(A)およびビニル系重合体(C)をブレンドし、硬化させることで、得られる硬化物は、耐油、耐熱性、柔軟性に優れ、広範な温度領域で使用可能な優れた衝撃吸収性を改善することができると言える。

Claims (12)

  1. 硬化性樹脂成分として下記(A)、(B)および(C)のみを含有する、硬化性組成物であって、(B)成分の含有量が、(A)+(B)の合計に対して、1〜99重量%であり、(C)成分の含有量が、(A)100重量部に対して0.01〜50重量部である、硬化性組成物:
    (A)一般式 −OC(O)C(R)=CH (1)
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表わす)
    で表わされる基を平均して1分子あたり分子末端に1個以下有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体;
    (B)重合性官能基を平均して1個より多く有する反応性オリゴマー(ただし、重合性官能基を分子末端に有するビニル系重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満の重合体を除く)
    (C)該一般式(1)で表される基を1分子あたり平均して1個より多く有し、分子末端に該一般式(1)で表わされる基を1個以上有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体。
  2. 前記(B)成分の重合性官能基がビニル基である、請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記ビニル基が、(メタ)アクリロイル基である、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. さらに(D)重合開始剤を含む、請求項1から3までのいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 前記(A)成分および/または(C)成分の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれる1または2以上のモノマーを主として重合して製造される、請求項1から4までのいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 前記(A)成分および/または(C)成分の主鎖が、(メタ)アクリル系重合体である、請求項1から5までのいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. 前記(A)成分および/または(C)成分の主鎖が、アクリル酸系重合体である、請求項1から6までのいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 前記(A)成分および/または(C)成分の主鎖が、アクリル酸エステル系重合体である、請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 前記(A)成分および/または(C)成分のビニル系重合体の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものである、請求項1から8までのいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 前記(A)成分および/または(C)成分のビニル系重合体の主鎖が原子移動ラジカル重合法により製造されたものである、請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. 前記(B)成分が、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、およびアクリルアクリレート樹脂からなる群より選択される1または2種以上である、請求項1から10までのいずれかに記載の硬化性組成物。
  12. 請求項1から11までのいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。
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