JP5008949B2 - 生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は変圧器、回転機、リアクトル等の鉄心材料として、工業的に最も一般的に用いられる軟磁性材料である方向性電磁鋼板に関するもので、特にその製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、物理学で用いられるミラー指数で<100>と表現される、結晶の格子を基準にした際の最も容易に磁化される方位を、各結晶粒毎に比較的揃えられており、従って多結晶鋼板でありながら単結晶鋼板であるかのごとく特定方向への磁化特性が優れた、工業製品として望ましい材料である。方向性電磁鋼板は、一般に二次再結晶と呼ばれる現象を活用して結晶の磁化容易軸を特定方向に揃えるのであるが、工業技術として公に開示された例はP.N.Gossによる、特許文献1(1934年)、田口と坂倉の特許文献2、今井と斎藤の特許文献3等である。
上述の技術に依れば、二次再結晶はシリコンを多く含んだ鋼に、インヒビターと通称される第二分散相としてMnS他、種々の化合物を析出させ、冷間圧延と焼鈍を組み合わせることで二次再結晶を発現させている。ところでこれらの製造方法の共通の特徴として、冷延後、仕上焼鈍に先立って、脱炭焼鈍を行うということがある。炭素は実は二次再結晶の進行それ自体には全く不要な元素であるが、田口と坂倉の方法では、MnSとAlNを適切に分布析出させるための成分、即ち二次再結晶の準備のための元素で二次再結晶のための焼鈍工程前に鋼中から除去しなければならない。
また、この方法では、熱延に先立って鋼塊またはスラブの加熱を1350℃以上という超高温で実施しなければならない。この負担を回避するために特許文献4に開示される新たな技術を発明し、そしてこの方法であれば炭素を予め鋼中に含有させる必要性が低下し脱炭焼鈍を省略する事も可能と考えられるが、しかし、この方法では冷間圧延から二次再結晶焼鈍に至るまでに鋼板外部から窒素を鋼中にドープする必要があり結果として精緻かつ高度な雰囲気制御を要する焼鈍工程の導入は避けられない。
結論的に言えば、従来技術においては、二次再結晶の冶金原理に鑑みて元来不要な脱炭焼鈍もしくは冷延と二次再結晶焼鈍に挟まれた独立工程としての焼鈍工程を、省略することが困難である。この課題については、例えば特許文献5が更なる検討対象と成りうる。彼らは旧来の方法を応用し、溶製段階で鋼中に炭素を含有させず、二次再結晶鋼板を得ることに成功した。しかし実際には二次再結晶焼鈍に先立つ冷延後の焼鈍を完全には省略できない。なぜなら、方向性電磁鋼板の製品要件である皮膜を形成するために、鋼板表面に僅かな酸化層を形成させて二次再結晶焼鈍に必要な焼鈍分離剤の一部と反応させなければ成らず、そのための湿潤雰囲気中焼鈍を導入する方が技術的に容易であったのである。さらにはやはり、熱延に先立つ鋼塊あるいはスラブの加熱温度が1350℃以上の超高温でなければならず大きな負担を強いられる技術であることに変わりはなかった。
これに対して、本発明は、鋼にTiなどのIVa、Va族金属とCを適量添加しTiC析出物などをインヒビターとして析出させて、冷延板を直接仕上焼鈍に供する事で方向性電磁鋼板を製造する事も可能である。この時、スラブ加熱温度は1250℃と普通鋼と同等であり、負担の少ない製造技術として成立しうる。
ところが、TiCインヒビターには、改善すべき点があった。インヒビターとして用いられる析出物は、最終製品の電磁鋼板としては、磁化過程における180°磁区の動きを著しく妨げる効果を持ち、従って最も重要な磁気特性である鉄損特性を発揮させるには、二次再結晶完了後に完全に除去されなければならない。即ち、いわゆる純化が行われなければならない。TiC以前に用いられていた、例えばMnSやAlNは、二次再結晶後、時として1200℃に及ぶような高温箱焼鈍で、乾水素を雰囲気に導入する事により、H2SやNH3の気体化反応を利用して完全に除去する事が可能であった。しかしながら、TiCの場合、水素化反応であるCH4生成反応はこの様な高温では不安定で、純化を完了させるには不十分である。鋼中に析出したTiCインヒビターが、乾水素中で高温長時間焼鈍する事で鋼板表面にTiC被膜を形成し、実質的に鋼板中に介在物が無くなる事もあるが、良好な磁性を得るためには膨大な熱エネルギーの消費を要する。
米国特許第1965559号公報 特公昭33−4710号公報 特公昭38−8214号公報 特開昭59−56522号公報 特開昭55−73818号公報
本発明は、方向性電磁鋼板の製造において、一般の鋼と比較した際の大きな工程負担を減ずる事の出来る、TiCなどIVa、Va族金属の炭化物をインヒビターとする方向性電磁鋼板の製造方法において、磁気特性発現のための最終工程である二次再結晶焼鈍工程の中で、二次再結晶完了後、湿潤雰囲気にて焼鈍を実施するかあるいは、二次再結晶焼鈍後、湿潤雰囲気で脱炭焼鈍を実施し、製造に際してのエネルギー消費を源ずる事である。
本発明者らは、湿潤雰囲気中での脱炭焼鈍によって、二次再結晶後にも鋼中に残留するインヒビター、すなわち磁気特性上は単なる磁壁移動の障害にしかならない微細分散介在物であるTiCを除去できないか試みた。そこで、極めて一般的な脱炭焼鈍条件である、水素50%、窒素50%の混合ガスを露点30℃に加湿した雰囲気中で、700℃で300秒の焼鈍を行った。このとき用いた供試材は、Si:2.5%、C:0.03%、Ti:0.3%、Al:0.03%、Mn:0.1%、S:0.01%、P:0.1%、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼であった。
溶製した鋼塊を、熱間圧延の後スケール除去して0.35mm厚さまで冷延し、焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻き取った後乾燥した水素雰囲気中で1000℃で3時間の焼鈍を施して二次再結晶を完遂させた。焼鈍分離剤を除去したのち鋼板表面に金属光沢があることを確認し、上記脱炭焼鈍を施した。鋼板表面の金属光沢が失われ、通常の方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍板の様に酸化膜が形成された事を確認し、鋼中C量を分析した。その結果の残C量は、0.029%と殆ど減量していなかった。
そこで、通常の電磁鋼板と何が異なるのかを調査するため、鋼板の成分分析や、析出物、酸化膜解析を実施した。その結果、通常の脱炭焼鈍板より酸素目付け量が極めて少ないことが判明した。具体的には、0.02%の増量に過ぎなかった。通常の方向性電磁鋼板の冷延板であれば0.1%程度の増量が確認されている条件である。さらに鋼中析出物や酸化皮膜の形態を解析した結果、析出物形態には殆ど変化がなく、また酸化皮膜が極めて薄く、0.3μm程度と、通常の脱炭焼鈍酸化膜の1/10の厚さであった。さらにグロー放電分光法によって、酸化膜組成を調べたところ、通常の脱炭酸化膜のような主成分がSiO2ではなく、Tiの酸化物が主成分であった。ここにおいて、TiCをインヒビターに用いた方向性電磁鋼板の純化すなわち脱炭焼鈍が何ゆえに困難であるかのモデルを考案するに至った。通常の脱炭焼鈍においては、酸化に預かる鋼成分は主にSiであり、これは鋼中含有量が十分多いために酸化膜が内層にまで発達しやすい。すなわち内部酸化層を形成しやすい。その結果、酸化物と地鉄の界面面積が大きくなり、Cが鋼の外部に放散するための経路が十分確保できると考えた。
一方、TiCをインヒビターとする鋼の場合、Siよりも酸素親和力の高いTiが鋼中に含まれるために、これが酸化膜を形成するのであるが、鋼中含有量が少ないがゆえに外部酸化膜の形態を取り、これがタイトでシール効果を発揮するために、脱炭が阻害されるものと考えた。よって、酸化に対して、Tiの酸化反応を抑制することが脱炭焼鈍を可能せしめる筈である。そこでまず、同じ冷延板を電解脱脂によって丁寧に洗浄し、軽酸洗によって地鉄組成を確実に鋼板表面に露出させた後、さらにスパッタ装置内でArイオンスパッタで鋼板表面を原子レベルで清浄化した後、99.999%純度のFeを約2μmコーティングした。これにより酸化膜成分であるTiが鋼板表面に露出しないのでTiO2酸化膜の形成が阻止できると考えたのである。
このように処置した鋼板を再度二次再結晶焼鈍に供し、鋼板表面の金属光沢が維持されていることを確認した後、同じ温度、時間、湿潤雰囲気での脱炭焼鈍を試みた。その結果、残C量は0.011%と、大幅に減量した。ここにおいて、TiCをインヒビターに用いる方向性電磁鋼板の脱炭困難性の機構が確認され、その解決法も明確になった。すなわち鋼中成分のうち、極めて酸素親和力の高いTiの鋼板表面への露出をあらかじめ防止しておくことで、鋼板表面にタイトな酸化層が形成される事によるシール効果が生じないようにすればよいことがわかる。新たに得られたこの技術思想にのっとり、本発明者らは更に実験を進めた。
すなわち、Tiが表面になければよいとの発想から、熱延板表層を十分平滑に研磨し、さらに不純物含有量が0.1%以下であるFe−3%Si−0.03%Al−0.005%Ti合金の0.5mm厚み薄板を両面に圧着させ、冷延および引き続く二次再結晶焼鈍で完全に接合させた後、脱炭焼鈍を施した。今回は通常の方向性電磁鋼板における脱炭酸化膜と同様の鋼板表面状態が得られ、また処理後の残C量も0.018%と顕著に減少した。なおこの残量は、方向性電磁鋼板の製品としては極度に高い量である。その理由は、方向性電磁鋼板を鉄心に組み上げて励磁コイルを巻き、実用に供する場合、発生した鉄損が鋼板を200℃程度まで加熱するのであるが、その結果鋼中Cの拡散が容易になり、励磁に伴う磁区変化すなわち磁壁移動に引き摺られるようになって磁壁に慣性を与え、磁化を困難化してしまうからである。もちろん鋼中に含まれるTiがCをTiC析出物の形で固定し、この様な現象を阻止することもありうるが、この場合は鋼中介在物が新たに発生した状態でもあり、磁壁が移動する際のピン止め力を発現してしまって、やはり磁気特性を劣化させる要因となってしまう。
そこで、今回見出した新たな手法をさらに向上させるべく様々な改善手法を試行した。例えば、より長時間の焼鈍を施すことで脱炭を促進したり、脱炭力を高めるために雰囲気露点を高めたり、また拡散速度を高めるために焼鈍温度を高めたりした。その結果、例えば、H2:N2=3:1の混合ガスで露点を70℃とした雰囲気中(湿潤雰囲気)において、焼鈍温度と時間を変化させると残C量が図1の様になり、方向性電磁鋼板の脱炭量として十分少ない量にまで十分到達出来る事が判明した。
本発明において、湿潤雰囲気とは、雰囲気中の水蒸気分圧PH2Oと、酸素を乖離した後の水素の分圧PH2比を取って酸素ポテンシャルPH2O/PH2を定義し、その値として0.03以上の場合を言う。
即ち、今回発明の対象とした技術が現実に成立しうる事が実証されたのであり、この結果を元にさらに様々な鋼板表面条件、焼鈍条件、また二次再結晶を発現させるための地鉄鋼板組成などの詳細条件の検討実験を実施し、さらにこの技術をTi以外のZr、V、Nb、Hf、Taなどにも適用して、本発明を完成させた。
本発明の第1の特徴である、溶鋼に、Ti、Zr、V、Nb、Hf、Taのうち1種または2種以上を0.1%〜0.5%添加する理由は、TiC、ZrC、VC、NbC、HfC、TaCなどのインヒビターを形成するのが目的である。
さらに第2の特徴である酸化スケール除去後、冷間圧延前、冷間圧延後、若しくは二次再結晶焼鈍前に、鋼板表層に、純鉄、もしくは質量%で、Si:4.5%以下、Al:0.05%以下、およびTi、Zr、V、Nb、Hf、Taを合計で0.01%以下、を含む鉄合金をめっきする理由は、例えば、TiCなどのインヒビターが分解してTiが鋼板表面に拡散して酸素と結びついてTiO2の参加被膜を形成し、この被膜は緻密であるのでCが鋼板表面から抜け出る(脱炭)のを阻害する大きな要因となるので、あらかじめ、純鉄、もしくは質量%でSi:4.5%以下、Al:0.05%以下、およびTi、Zr、V、Nb、Hf、Taを合計で0.01%以下、を含む鉄合金をめっきすることにより、鋼板表層において酸素と結びつきやすいTi、Zr、V、Nb、Hf、Taの濃度を低めて、それらの酸化膜の形成を抑制し脱炭を促進させることが目的である。
即ち、本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)質量%で、Si:2.0%〜4.5%、C:0.03〜0.15%、およびTi、を0.1%〜0.5%含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製し、鋳造し、熱間圧延し、酸化スケール層を除去した後冷間圧延し、前記酸化スケール除去後、冷間圧延前、冷間圧延後、若しくは二次再結晶焼鈍前に、鋼板表層に、純鉄、もしくは質量%で、Si:4.5%以下、Al:0.05%以下、およびTi、Zr、V、Nb、Hf、Taを合計で0.01%以下、を含む鉄合金をめっきを施し、二次再結晶焼鈍工程内で、二次再結晶完了後、湿潤雰囲気にて焼鈍するかまたは、二次再結晶焼鈍後、湿潤雰囲気で脱炭焼鈍を実施することにより鋼中Cを脱炭することを特徴とする生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
)前記酸化スケール除去前に、熱延板焼鈍を施すことを特徴とする(1)に記載の生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
)前記冷間圧延後、前記二次再結晶焼鈍前に、一次再結晶焼鈍を施すことを特徴とする(1)または(2)に記載の生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明は、鋼にTiなどのIVa、Va族金属とCを適量添加しTiC析出物などをインヒビターとして析出させて、さらにTiは酸素と結びつきやすいので鋼板表面にTiO2の酸化被膜ができ、Cが鋼板表面から抜け出すのを阻害するので、鋼板表層に、純鉄、もしくは質量%でSi:4.5%以下、Al:0.05%以下、およびTi、Zr、V、Nb、Hf、Taを合計で0.01%以下、を含む鉄合金をめっきし、あらかじめ鋼板表面にTiなどの酸素と結びつきやすい元素を低減した領域をもうけてやることにより、冷延板を直接仕上焼鈍に供する事で方向性電磁鋼板を製造する事も可能である。この時、スラブ加熱温度は1250℃と普通鋼と同等であり、負担の少ない製造技術として成立しうる。
まず、溶製鋼の成分であるが、Si量が2.0%より少ないと、鋼の電気抵抗が十分高まらず、交流下で発生する渦電流に起因する鉄損を抑制できないので、2.0%以上とした。4.5%より高いと、鋼が脆くなり通常の鉄鋼生産工程である、鋳造、圧延などの工程を通せなくなり、生産コストが増大するので、4.5%以下とした。
C量は、0.03%より少ないと二次再結晶が不安定化して、所定の磁気特性が得られないので0.03%以上とした。0.15%を超えると、最終の脱炭工程で残C量を十分低くすることが困難となるので、0.15%以下とした。
Ti量は0.1%を下回ると、二次再結晶が不安定化して、所定の磁気特性が得られないので、0.1%以上とした。0.5%を上回ると、二次再結晶が全く発現しない状況に陥るので、0.5%以下とした。この理由は、Ti量を増やすにつれ、スラブ加熱温度を高めたほうが二次再結晶が良好になる傾向が実験から認められている。例えば、Ti:0.2%なら、1200℃、0.3%なら1300℃程度である。現在の超高温加熱技術を用いれば、1400℃超まで加熱可能であるが、Ti:0.5%を超える場合1500℃を超える加熱が必要であり、この温度では、Siを2%以上含んだ鋼は溶融してしまう。即ち、Tiを0.5%以上含有する場合は、現実工程が設定できなくなってしまうからである。また、Zr、V、Nb、Hf、Taの元素についてもTiと同様の理由で、下限0.1%以上、上限を0.5%以下とした。
次に、脱炭焼鈍に先立って鋼板表面に形成される低Ti成分層についてであるが、Tiについては当初の目的どおり、湿潤雰囲気中焼鈍で緻密な酸化膜が形成されない条件として、0.01%以下とした。また、Zr、V、Nb、Hf、Taの元素についてもTiと同様の理由で、上限を0.01%以下とした。
Alは、鋼の精錬における脱酸剤として一般的な元素であり、0.02〜0.03%程度含まれるのが一般的である。これに対して、Tiと同じくAlも酸素親和力が高く、あまり多量に含有すると、脱炭焼鈍に際して薄くて緻密な酸化膜を形成し、脱Cを阻害する。この様な障害が発生しない上限が0.05%であったので、Al含有量を0.05%以下とした。さらに、好ましくはAl含有量は、質量%で0.01%〜0.03%である。
なお、一貫工程において、熱延板焼鈍や、一次再結晶焼鈍を施すことは、二次再結晶起点としての一次再結晶Goss方位粒を確実に形成させ、かつ被蚕食粒でありかつ冷延安定方位といわれるRD//<011>組織からの再結晶組織である<411>{148}近傍方位粒を多量に形成させるために積極的な効果を持つので、好ましい方法である。よって、熱延板焼鈍工程、あるいは、一次再結晶焼鈍工程を一連の工程のなかに、追加した工程も取り入れた。
脱炭焼鈍に先立つ、低Ti層の鋼板表面への付着方法であるが、前述したスパッタ法のほかに、メッキ法、クラッド圧延法などが有効であった。但し、付着に際して接合界面に異物相が容易に形成され易く、これらが存在するとたとえ鋼板表面に異物層がなくともCが鋼外に抜け出る際の障害になり、発明技術の効果が十分発揮されない。従って、接合に先んじて鋼板表面を清浄にしておく必要があり、そのための手段として、気相スパッタリング、酸洗、などが有効である
<実施例1>
表1に質量%で示す組成の鋼を、溶製し、熱間圧延によって板厚3.0mmとした後、塩酸浴にて脱スケール処理を行い、引き続き冷間圧延によって板厚を0.35mmとした。これをアルカリ脱脂によって冷延油を除去した後、10%硝酸水溶液中で軽く酸洗し、さらに硫酸鉄水溶液に硫酸を加えてpHを4程度にしためっき液中で99.999%の純鉄層を鋼板表層両面に0.05mm程度めっきした。次いで、十分水洗、乾燥した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリーの状態で塗布し、乾燥させてタイトコイル状に巻き取り、乾水素中1000℃で2時間の二次再結晶焼鈍に供した。その後、コイルを巻きほぐして焼鈍分離剤を水洗除去し、オープンコイルのまま露点70℃(湿潤雰囲気)、水素90%、Ar:10%の雰囲気中で、1050℃、15分間の脱炭連続焼鈍を行った。その後、リン酸塩とコロイダルシリカの混合相からなる絶縁皮膜を塗布し、平坦化焼鈍に供した。これらの製品をエプスタイン法によって磁性評価した結果を表1に併せて示す。本発明と記したものは、いずれも従来から汎用方向性電磁鋼板として実用に供される鋼と同等の特性が得られた。
Figure 0005008949
<実施例2>
表1の「ロ」に示す組成の鋼を、転炉溶製し、連続鋳造して厚み200mmのスラブとした後、誘導加熱によって1400℃で60分の加熱を行い、熱間圧延によって板厚2.0mmとした後、1100℃で熱延板焼鈍し、塩酸浴にて脱スケール処理を行い、引き続き冷間圧延によって板厚を0.23mmとした。これをアルカリ脱脂によって冷延油を除去した後、乾水素中で800℃、1分のオープンコイル一次再結晶焼鈍を行った。その後、実施例1と同じく10%硝酸水溶液中で軽く酸洗し、さらに硫酸鉄水溶液に硫酸を加えてpHを4程度にしためっき液中で99.999%の純鉄に表に示す合金成分を含む組成の合金層を鋼板表層両面に0.05mm程度めっきした。さらにこのコイルを、前段露点−10℃、後段露点550℃に設定したオープンコイル状多段雰囲気炉において水素100%の雰囲気で、1100℃の二次再結晶焼鈍を行った。前段の焼鈍時間は10分、後段の焼鈍時間は5分、後段の雰囲気は露点60℃(湿潤雰囲気)、水素70%、Ar:30%であった。その後、リン酸塩とコロイダルシリカの混合相からなる絶縁皮膜を塗布し、平坦化焼鈍に供した。この製品をエプスタイン法によって磁性評価したところ、表2に示す結果を得た。従来から高級方向性電磁鋼板として実用に供される鋼と同等の特性が得られた。
Figure 0005008949
湿潤雰囲気中での脱炭挙動の焼鈍温度と焼鈍時間依存を示す図である

Claims (3)

  1. 質量%で、Si:2.0%〜4.5%、C:0.03〜0.15%、およびTiを0.1%〜0.5%含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製し、鋳造し、熱間圧延し、酸化スケール層を除去した後冷間圧延し、前記酸化スケール除去後、冷間圧延前、冷間圧延後、若しくは二次再結晶焼鈍前に、鋼板表層に、純鉄、もしくは質量%で、Si:4.5%以下、Al:0.05%以下、およびTi、Zr、V、Nb、Hf、Taを合計で0.01%以下、を含む鉄合金をめっきを施し、二次再結晶焼鈍工程内で、二次再結晶完了後、湿潤雰囲気にて焼鈍するか、または、二次再結晶焼鈍後、湿潤雰囲気で脱炭焼鈍を実施することにより鋼中Cを脱炭することを特徴とする生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記酸化スケール除去前に、熱延板焼鈍を施すことを特徴とする請求項1に記載の生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記冷間圧延後、前記二次再結晶焼鈍前に、一次再結晶焼鈍を施すことを特徴とする請
    求項1または2に記載の生産性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
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