JP5008193B2 - 水溶性ガス捕集構造 - Google Patents

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本発明は、水蒸気、水溶性ガスおよび粒子を含む通過気体中に含まれるホルムアルデヒド、二酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)、アンモニア(NH)等の水溶性ガスを粒子から分離して捕集するための水溶性ガス捕集構造に関するものである。
特許文献1には、本願発明者らが発明した水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「先行捕集構造」という)が開示されている。先行捕集構造は、水溶性ガス捕集用の拡散スクラバーと、二酸化窒素捕集用の第1の吸着管と、一酸化窒素捕集用の第2の吸着管と、を含めて構成されている。拡散スクラバーは、多孔質中空管の外側に水を導入し、その多孔質中空管の内側を流れる水溶性ガスを吸収するように構成されている。特許文献1にいう水溶性ガスとは、塩酸、硝酸、アンモニア等のことをいい、二酸化窒素は含まれない。二酸化窒素は第1の吸着管により吸着される。第1の吸着管は、試料ガスが通過するガラス管を有し、ガラス管の内壁表面には、酸化チタン微粒子とガス吸着剤(ハイドロキシアパタイト)とがバインダーとともに塗布されている。また、第1の吸着管のガラス管内側には石英管が挿入され、石英管中心部には、紫外線ランプが配されている。ガラス管と石英管との間がガス流路となる。第1の吸着管は、上述したように、二酸化窒素を吸着するためのものであるが、そのとき紫外線ランプは点灯されない。すなわち、酸化チタンは紫外線を受けないので、その表面で酸化作用を生じない。すなわち、酸化チタンはガス吸着には寄与せず、二酸化窒素はもっぱらガス吸着剤によって吸着されることになる。第2の吸着管は、上述した第1の吸着管と同じ構造を備え、紫外線ランプ点灯により、酸化チタン表面の光触媒による酸化作用によって二酸化窒素はもちろん一酸化窒素も硝酸に酸化されてガス吸着剤によって吸着される。
特許3192342号公報(0012〜0015、0028、図2及び3参照)
上述した先行捕集構造は、水溶性ガス、二酸化窒素及び一酸化窒素を効率よく捕集できるものである一方、水溶性ガス捕集用のスクラバーとは別に二酸化窒素捕集用の吸着管を必要とする点で、より単純な構造によるより経済的かつ簡便な水溶性ガス捕集構造が求められていた。本発明が解決しようとする課題は、単純な構造であって経済的かつ簡便な水溶性ガス捕集構造を提供することにある。
上記課題を解決するために発明者は、上掲した第1の吸着管について詳細な検討を行った。その結果、ガラス管と石英管との間の狭いガス流路に臨む酸化チタン表面には、通過気体もしくは通過気体を通過させる前に当該通気路に存した気体のうち何れか一方または双方の中に含まれる水蒸気を吸着することによって吸着水の層(表面吸着水層)が形成されることを見出した。そして、酸化チタン表面の表面吸着水に基づく超親水性についてはよく知られているが、酸化チタン表面吸着水への水溶性ガスの溶解を利用することを検討した。さらに実験を重ねた発明者は、水溶性ガスが粒子よりも拡散係数が大きいことを利用すれば通過させた気体に含まれる水溶性ガスのみが粒子と分離して上記吸着水層に拡散溶解させられる、という結論に至った。本発明は、上記経緯に基づいてなされたものである。発明の詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項に係る発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において、発明のカテゴリーの違いや記載の前後等に関わらず、他の請求項に係る発明にも適用があるものとする。
〔請求項1記載の発明の特徴〕
請求項1記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項1の捕集構造」という)は、たとえば、大気(空気)のような水蒸気、水溶性ガスおよび粒子を含む通過気体から水溶性ガスを粒子から分離して捕集する捕集構造である。ここで、請求項1の捕集構造は、当該通過気体を通過させるための通気路を挟んで対向する両側壁と、当該両側壁の少なくとも一方の対向面の少なくとも一部に形成した酸化チタン層と、を含めて構成してある。酸化チタン層は、たとえば、酸化チタンをバインダーとともに側壁に塗布したり、側壁に練りこんだり、側壁に含浸させたりすることによって形成することができる。要するに、何らかの方法により、酸化チタンの表面が通過する気体と接触可能な状態が形成されていればよい。酸化チタン層は、両側壁の両方に形成することが酸化チタン層の総面積を大きくする上で好ましいが、何れか一方の側壁にのみ酸化チタン層を形成したり、一方の側壁にのみ形成する場合においてその側壁の一部にのみ形成したりすることを妨げない。さらに、双方の側壁に酸化チタン層を形成する場合に、各々の側壁の全部又は一部に形成することもできる。このようにして形成した酸化チタン層には、それを構成する酸化チタンの格子欠損により酸素と結合していないチタンが、通過気体もしくは通過気体を通過させる前に当該通気路に存した気体のうち何れか一方または双方に含まれる水分子中の酸素と結合し、その水分子がさらに他の水分子と水素結合することによる表面吸着水層が当該酸化チタン層表面に形成される。ちなみに、水蒸気は、たとえば大気中の飽和水蒸気圧は、17.5mHg(20℃)であり、ガスボンベに封入された乾燥空気(ドライエアー)中にも相対湿度で10%以内の水蒸気が含まれている。そして、水溶性ガスが粒子よりも拡散係数が大きいことを利用して通過させた気体に含まれる水溶性ガスのみ粒子と分離して当該表面吸着水層に拡散溶解させて捕集するようになっている。気体の通気路通過は、通気路入り口側からの送風、通気路出口側からの吸引の何れか一方又は双方によって行うことができる。なお、本明細書における表面吸着水層は、水溶性ガス捕集前に通気路を通過させた(通気路に存した)気体に含まれる水蒸気のみによって形成される場合と、水溶性ガス捕集時に通気路を通過させた(通気路に存した)気体に含まれる水蒸気のみよって形成される場合と水溶性ガス捕集前及び水溶性ガス捕集時に通気路を通過させた(通気路に存した)それぞれの気体に含まれる水蒸気によって形成される場合がある。
請求項1の捕集構造によれば、両側壁間に形成された通気路を通過気体が通過すると、酸化チタン層表面に形成された表面吸着水層に水溶性ガスが粒子から分離して拡散溶解する。水溶性ガスは粒子に比べて拡散係数が大きいため拡散して表面吸着水層に溶解する(捕集される)一方、粒子は拡散係数が小さいため通気路内を直進するので表面吸着水層に捕集されない。ここで、拡散スクラバー法とは、上述したような、拡散係数の大小の差を利用して気体中のガス成分を分離吸着する方法のことをいう。表面吸着水層に水溶性ガスを拡散吸着させる請求項1の捕集構造によれば、酸化チタン層を形成しておくだけで足りガス吸着剤を用いる必要がないから、単純な構造でありながら簡便に水溶性ガスのみ粒子から分離して捕集することができる。単純な構造であるために、コスト的に有利であって経済性にも優れている。後述するように発明者らが行った実験によれば、ホルムアルデヒド、二酸化硫黄(SO)、アンモニア(NH)等の水溶性ガスに加え、二酸化窒素(NO)も高効率で捕集することができた。酸化チタンの光触媒作用を利用する場合とは異なり、紫外線ランプのような光源を必要としない点も、単純構造を実現できた一因である。
〔請求項2記載の発明の特徴〕
請求項2記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項2の捕集構造」という)には、請求項1の捕集構造の基本構造を備えさせた上で、前記両側壁のうち一方が外管により、他方が当該外管内部に配した内管により、それぞれ構成してある。内管は軽量化のためには中空であることが好ましいが、通気路形成の目的のみに着目する限り中空である必要はない。もっとも、内管を中空管によって構成し、その中空管の内部にさらに中空管を配して中空管同士の間に別の通気路を形成することもできる。上述した2重管、3重管に限らず、4重管以上の多重管(多重通気路)としてもよい。外管や内管は、これらをガラス管によって構成することが一般的であるが、透光性を必要としないので、ガラス管以外の素材、たとえば、金属、合成樹脂さらにセラミックス等によって構成することもできる。酸化チタン層は、外管内面若しくは内管外面の何れか一方、又は、外管内面と内管外面の双方に酸化チタン(又は、酸化チタンを含む部材)を、塗布(付着)させることによって形成するとよい。
請求項2の捕集構造によれば、外管と内管との間に通気路が形成され、その通気路において請求項1の捕集構造の作用効果と同じ作用効果が生じる。また、捕集構造を構成する素材の入手を比較的容易に行うことができる。つまり、ガラス管にせよ金属管にせよ、さらに、他の素材管にせよ管部材は比較的入手が容易であるから、捕集構造を構成する素材形態として好適である。さらに、管という極めて単純な構造により構成することによって、捕集構造そのものの単純化を実現する。
〔請求項3記載の発明の特徴〕
請求項3記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項3の捕集構造」という)には、請求項1の捕集構造の基本構造を備えさせた上で、前記両側壁が、気体通過方向に長い複数のスペーサを介して対向するシート状部材を含めて構成してある。シート状部材は、これを、たとえば、合成樹脂製のフィルムや不織布により構成することができる。酸化チタン層は、一方のシート状部材の対向面若しくは他方のシート状部材の対向面の何れか一方、又は、同対向面双方に酸化チタン(又は、酸化チタンを含む部材)を、塗布(付着、含浸等)させることによって形成するとよい。各シート状部材は、平面状のものを用いることが一般的であるが、対向関係が形成されている(通気路が確保されている)限り、また、シート状部材が充分な柔軟性等を有する限り、たとえば、湾曲させて波状に形成したり、ジグザグ状態を形成したり、巻き上げてロール状に形成したり、することもできる。小型化を図りながら表面吸着水層の面積を拡大するために有効である。スペーサを気体通過方向に長く形成したのは、通気路を横切るスペーサを排除するためである。通気路を横切るスペーサは気体通過を妨げるからである。
請求項3の捕集構造によれば、請求項1の捕集構造の作用効果に加え、対向するシート状部材の間に通気路が形成され、その通気路において請求項1の捕集構造の作用効果と同じ作用効果が生じる。シート状部材を用いて捕集構造を構成すると、表面吸着水層を形成するための酸化チタン層の面積を広く取ることができる。対向するシート状部材は、両者間に介したスペーサによって離間状態に保たれ、この離間によって通気路が形成される。極めて単純な構造であるが、表面吸着水層の面積を広く取ることができるので、高い捕集効率を期待することができる。
〔請求項4記載の発明の特徴〕
請求項4記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項4の捕集構造」という)には、請求項3の捕集構造の基本構造を備えさせた上で、前記シート状部材が、複数厚み方向に重ねてあり、各シート部材間に前記スペーサを配してある。つまり、複数のシート状部材を、各々の間にスペーサを介して離間配置することによって、1枚のシート状部材を挟んでその両側に通気路が形成される。
請求項4の捕集構造によれば、請求項3の捕集構造の作用効果に加え、複数の通気路を備えさせることによって、酸化チタンの表面吸着水層の総面積を実質的に広げることができる。複数のシート状部材をスペーサを介して幾重かに重ねるだけであるから、構造的が過度に複雑化することはない。
〔請求項5記載の発明の特徴〕
請求項5記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項5の捕集構造」という)には、請求項1乃至4何れかの捕集構造の基本構造を備えさせた上で、酸化チタン層の表面吸着水を洗浄するために前記通気路内に臨む洗浄水注入構造と、排水を当該通気路内から排出するための排水排出構造と、を含めて構成してある。
請求項5の捕集構造によれば、請求項1乃至4何れかの捕集構造の作用効果に加え、洗浄水注入構造から注入した洗浄水(たとえば、水、純水、超純水)によって酸化チタン層の表面吸着水を洗浄し、洗浄後の排水を排水構造から排出することによって表面吸着水を洗浄することができる。水溶性ガスが溶解した表面吸着水を洗浄排出することによって、酸化チタン層の表面吸着水層を綺麗な吸着水によって形成することができる。つまり、超親水性によって吸着された吸着水は、洗浄水によって容易に洗浄可能であるから、洗浄水の注入及び洗浄後の排水の排出を行うことによって綺麗な吸着水に置き換えることができる。つまり、単に水による洗浄のみで捕集構造の再使用を可能とする。捕集した水溶性ガスを排出して再利用を可能とすることによって、水溶性ガスの種類や捕集量の違いにもよるが、捕集構造を気体清浄装置の主要部分として使用することができる。また、排水を回収して化学成分を分析定量するための測定装置の主要部分としての使用も可能である。
〔請求項6記載の発明の特徴〕
請求項6記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項6の捕集構造」という)には、請求項5の捕集構造の基本構造を備えさせた上で、前記排水構造が、排水に含まれる化学成分(たとえば、化学イオン種濃度)を分析定量する分析定量装置に送水可能に構成してある。請求項6の捕集構造は、これを外付けの分析定量装置に接続して排水を送水できる構造に構成してあればよいが、これを分析定量装置に組み込んでおいてもよい。つまり、請求項6の捕集構造は、分析定量装置の付属装置又は内蔵装置として使用することができる。
請求項6の捕集構造によれば、請求項5の捕集構造の作用効果に加え、排水を分析定量装置に送水して排水に含まれる化学成分を分析定量することができる。分析定量装置による分析定量の結果を知ることによって気体に含まれていた水溶性ガスの化学成分を把握することができる。
〔請求項7記載の発明の特徴〕
請求項7記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項7の捕集構造」という)には、請求項5の捕集構造の基本構造を備えさせた上で、前記排水構造が、排水を処理する排水処理装置に送水可能に構成してある。請求項7の捕集構造は、これを外付けの排水処理装置に接続して排水を送水できる構造に構成してあればよいが、これを排水処理装置に組み込んでおいてもよい。つまり、請求項7の捕集構造は、排水装置の付属装置又は内蔵装置として使用することができる。排水処理の方法には、たとえば、排水に含まれている水溶性ガス成分を、たとえば、イオン交換樹脂を用いて除去したり、含まれている同成分を、たとえば、触媒法によって分解したりする方法がある。
請求項7の捕集構造によれば、請求項5の捕集構造の作用効果に加え、排水を排水処理装置に送水して処理することができる。
〔請求項8記載の発明の特徴〕
請求項8記載の発明に係る水溶性ガス捕集構造(以下、適宜「請求項8の捕集構造」という)は、水蒸気、水溶性ガスおよび粒子を含む通過気体から当該水溶性ガスを粒子から分離して捕集する水溶性ガス捕集構造である。請求項8の捕集構造は、通気路を内部に有する単管と、当該単管内面の少なくとも一部に形成した酸化チタン層と、を含めて構成してある。酸化チタン層には、それを構成する酸化チタンの格子欠損により酸素と結合していないチタンが、通過気体もしくは通過気体を通過させる前に当該通気路に存した気体のうち何れか一方または双方に含まれる水分子中の酸素と結合し、その水分子がさらに他の水分子と水素結合することによる表面吸着水層が当該酸化チタン層表面に形成される。そして、水溶性ガスが粒子よりも拡散係数が大きいことを利用して通過させた気体に含まれる水溶性ガスのみを当該表面吸着水層に拡散スクラバー法により粒子と分離して拡散溶解させるようになっている。
請求項8の捕集構造によれば、単管が内部に有する通気路を気体が通過すると、酸化チタン層の表面に形成された表面吸着水層に水溶性ガスのみ分子と分離して拡散溶解する。水溶性ガスは粒子に比べて拡散係数が大きいため拡散して表面吸着水層に溶解する(捕集される)一方、粒子は拡散係数が小さいため通気路内を直進するので表面吸着水層に捕集されない。すなわち、拡散スクラバー法によって気体中のガス成分のみが表面吸着水層に分子と分離して吸着される。表面吸着水層に水溶性ガスを拡散吸着させる請求項8の捕集構造によれば、酸化チタン層を形成しておくだけで足りガス吸着剤を用いる必要がないから、単純な構造でありながら簡便に水溶性ガスを捕集することができる。単純な構造であるために、コスト的に有利であって経済性にも優れている。後述するように発明者らが行った実験によれば、ホルムアルデヒド、二酸化硫黄(SO)アンモニア(NH)等の水溶性ガスに加え、二酸化窒素(NO)も高効率で捕集することができた。酸化チタンの光触媒作用を利用する場合とは異なり、紫外線ランプのような光源を必要としない点も、単純構造を実現できた一因である。
本発明によれば、単純な構造をであって経済的かつ簡便な水溶性ガス捕集構造を提供することができる。
次に、各図を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。以下において、「水溶性ガス捕集構造」のことを特に断らない限り「捕集構造」と略称する。図1は、本実施形態に係る捕集構造の適応例である水溶性ガス捕集システムの概略正面図である。図2は、図1に示す捕集構造のA−A断面図である。図3は、図1に示す捕集構造のB−B断面図である。図4は、表面吸着水層が形成される原理を示す図である。図5は、拡散スクラバー法の原理を説明するための図である。図6は、本実施形態の第1変形例を示す図である。図7及び8は、本実施形態の第2変形例を示す図である。図9は、拡散スクラバーの理論捕集効率を求めるための捕集管の斜視図である。図10乃至12は水溶性ガスの捕集実験の結果を示す図表である。
〔捕集装置の適用例〕
図1乃至3を参照しながら、本実施形態に係る捕集構造の適用例について説明する。図1に示す符号21は、捕集構造を示す。捕集構造21は、符号1で示す水溶性ガス捕集システム1(以下、適宜「捕集システム1」という)の主要構造である。捕集システム1は、上述した捕集構造21と、気体注入用の気体注入バルブ3と、ガス吸引ポンプ5と、フィルター7と、洗浄水タンク11と、洗浄水排水ポンプ13と、定量分析装置15と、から概略構成してある。以下、順に説明する。
〔水溶性ガス捕集構造〕
図1乃至3に示すように、捕集構造21は、ガラス管からなる外管23と、内管25と、外管23の両端を閉鎖する閉鎖部材29,31と、により外観構成してある。外管23をガラス管によって構成したのは、その汎用性及び加工容易性の高さと、価格の低さに着目したからであって、ガラス管以外の部材によって構成することを妨げない。たとえば、合成樹脂や金属のほか、セラミックス等も外管23の素材として使用することができる。閉鎖部材29,31は、何れも、たとえば、合成樹脂やアルミニウム等の金属によって構成してあり、図3に示すように、短尺中空のリング部29c(31c)と、リング部29c(31c)の一端(外管23から離れた一端)を閉鎖する閉鎖板部29d(31d)とから概略構成してある。リング部29c(31c)の内面には雄ネジ部(図示を省略)を形成してあり、外管23両端の外面に形成した雌ネジ部と螺合させて外管23(通気路27)内外を気密閉鎖可能に構成してある。リング部29cには、半径方向に突き出すガス注入管29a及び洗浄水注入管29bを固定してある。ガス注入管29aは、外部から通気路27に汚染ガスを注入するための部材である。洗浄水注入管29bは、通気路27に洗浄水を注入するための洗浄水注入構造の一部を構成する。閉鎖部材31のリング部31cには、半径方向に突き出すガス排出管31a及び洗浄水排出管31bを固定してある。ガス排出管31aは、通気路27にあるガスを排出するための部材である。洗浄水排出管31bは、通気路27から洗浄水を排出するための構造の一部を構成する。
外管23の内部には、外管23と同じ長さで外管23内径より小さい外径の内管25を配してあり、外管23(の内壁)と内管25(の外壁)との間に所定幅の通気路27を形成してある。すなわち、通気路27は、外管23(内管25)の半径方向に所定幅を持ち、外管23(内管25)の長さ方向全長に沿った中空空間を形成する。内管25も外管23と同様にガラス管によって構成してある。閉鎖部材29,31には、外管(側壁)23と内管(側壁)25との間に突き出るスペーサ部(図示を省略)を形成してあり、これらのスペーサ部が通気路27内に突き出てこれを挟む外管23と内管25とを対向させる。図2及び3に示すように、外管23の内壁(対向面)のほぼ全域には、酸化チタン層33aを形成してある。酸化チタン層33aは、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PPTFE)のようなバインダー樹脂に酸化チタン(TiO)微粒子をブレンド体を有機溶媒中で均一混合して得られるエマルジョン組成物を塗布してから成膜化することで形成するとよい。塗布を容易にするために外管23の内壁を予めフッ酸処理して表面に凹凸を形成しておいてもよい。酸化チタン層33aは、酸化チタンを含む層が形成できればよいので、その範囲内において、上述したバインダー以外のバインダーを使用することはもちろん、たとえば、外管自体を合成樹脂製としその合成樹脂に酸化チタンを混合させておくこともできる。一方、内管25の外壁(対向面)のほぼ全域にも、酸化チタン層33bを形成してある。酸化チタン層33aと酸化チタン層33bは、いずれか一方のみとすること、さらに、一方又は双方に限らず全域の代わりに一部の領域のみとすること、を妨げるものではないが、酸化チタン層33a(33b)に吸着された表面吸着水層(後述)と空気との接触領域をなるべく広くする(捕集効率を高める)ために双方を形成することが好ましい。なお、以後の記載において、酸化チタン層33aと酸化チタン層33bを総称するときに、酸化チタン層33という場合がある。なお、捕集構造21は2重管構成としたが、3重管以上の多重管構成とすることもできる。
ガス注入管29aには、気体注入バルブ3を介して気体が注入できるように構成してあり、ガス吸引ポンプ5の吸引作用によって注入された気体は通気路27を抜け、やがて、ガス排出管31aから外部へ吸引排出されるようになっている。吸引排出された気体は、フィルター7によって粒子が取り除かれて浄化気体となる。
〔洗浄水の注入構造と排出構造〕
図1に示すように、捕集構造21の注入側には、先に述べた洗浄水注入管29bと、純水を貯留した洗浄水タンク11とにより構成した洗浄水注入構造41を設けてある。また、同じく排出側には、先に述べた洗浄水排出管31bと、洗浄水排出管31bに接続した洗浄水排水ポンプ13と、により構成した洗浄水排出構造43を設けてある。洗浄水注入構造41と洗浄水排出構造43とを設けるか設けないかは、捕集構造21の用途に応じて選択すればよい。ただ、設けることによって、後述する吸着水層を洗浄することができるので、捕集構造21を繰り返して使用する場合に、特に都合よい。洗浄水排水ポンプ13を駆動させると、洗浄水タンク11内にある純水を洗浄水注入管29b経由で通気路27内に吸引し、洗浄後の洗浄水を洗浄水排出管31bから捕集構造21外部へ排出するようになっている。なお、図1において符号15は、定量分析装置を示す。定量分析装置15は、洗浄水排出構造43から送水された洗浄水に含まれる化学成分を定量分析する定量分析する装置である。定量分析装置15は、これを排出された洗浄水を浄化等の処理をするための排水処理装置に代えることもできる。なお、洗浄水タンク11に貯留した洗浄水は純水であることを先に述べたが、これは、洗浄水に含まれる化学成分を定量分析する関係上、不純物を混入させないようにするためである。一方、定量分析装置15の代わりに排水処理装置を用いた場合であって不純物混入が問題とならないのであれば、水道水等を洗浄水として用いることもできる。
〔本実施形態の作用効果〕
図1乃至5を参照しながら、本実施形態の作用効果を説明する。捕集構造21によれば、気体注入バルブ3(ガス注入管29a)を介して注入された気体Aが外管23と内管25との間に形成された通気路27を通過すると、気体Aに含まれる水蒸気が酸化チタン層33a(33b)表面に吸着されて表面吸着水層35a(35b)を形成する(表面吸着水層35aと表面吸着水層35bとを総称する場合には、表面吸着水層35という)。気体Aの通過は、ガス吸引ポンプ5の吸引作用によって行われる。表面吸着水層35の形成は、図4に示すように、酸化チタン層33の酸化チタンの格子欠損に由来する。すなわち、酸化チタンの格子欠損により酸素と結合していないチタンが気体中の水分子中の酸素と結合し、その水分子がさらに他の水分子と水素結合することによって酸化チタン表面に水分子が積層される結果、酸化チタン層33の表面に表面吸着水層35が形成されるのである。酸化チタン表面の超親水性は、この表面吸着水によるものである。このようにして形成された表面吸着水層35に水溶性ガス(図5に矢印gで示す)のみ粒子pから分離して拡散溶解する。図5に示すように、水溶性ガスgは粒子pに比べて拡散係数が大きいため拡散して表面吸着水層35に溶解する(捕集される)。その一方、粒子pは水溶性ガスgに比べて拡散係数が小さいため通気路内を直進する。このため、粒子pは、表面吸着水層35に捕集されない。すなわち、拡散スクラバー法によって水溶性ガスgと粒子pとが分離される。気体Aに残る粒子pは、フィルター7によって捕集除去される。
次は、表面吸着水層35の洗浄である。ガス吸引ポンプ5の駆動を停止すると気体Aの注入が停止する。ここで、洗浄水排水ポンプ13を駆動する。洗浄水排水ポンプ13は、洗浄水注入管29bを介して洗浄水タンク11内の純水(洗浄水)を通気路27内に流し、洗浄水を外に排出する。このとき、純水は、酸化チタン層33の表面吸着水層35を洗い流す。すなわち、純粋で洗浄することで洗浄水には表面吸着水層35に拡散溶解していた水溶性ガスgが回収される。排水は、これを定量分析装置15に送水して含まれる化学成分を定量分析する。定量分析によって、気体Aに含まれていた水溶性ガスgの種類や量などを知ることができる。定量分析装置の代わりに排水処理装置を用いた場合は、排水処理によって気体Aに含まれていた水溶性ガスgの分離処理が完了する。
〔本実施形態の第1変形例〕
図6を参照しながら、本実施形態の第1変形例(以下、適宜「第1変形例」という)について説明する。第1変形例に係る捕集構造45が、前掲した本実施形態に係る捕集構造21と基本的に異なる点は、捕集構造21が多重管構造であるのに対し、捕集構造45は単管構造である点にある。より具体的には、捕集構造21から内管25を取り去り、外管23の中空部全体を通気路とした構造と同じ構造を捕集構造45が有している。閉鎖部材については、両捕集構造において異ならない。このため、以下においては、捕集構造21と異なる捕集構造45の特有の点についてだけ説明を行い、両者共通する部材については、図1で用いた符号と同じ符号を図6に使用するにとめ、共通する部材の説明は理解に必要なときにだけ行うことにする。
すなわち、捕集構造45は、中空の単管46と、閉鎖部材29及び閉鎖部材31と、により外観構成してある。単管46は、ガラス管によって構成してあり、内部に通気路49を有している。単管46の内面の全域(一部領域でもよい)には、酸化チタンを主成分とする酸化チタン層47を形成してある。酸化チタン層47は、通気路49を通過する気体に含まれる水蒸気を吸着させて表面吸着水層48を形成可能に構成してある。この表面吸着水層48が形成されることによって、水溶性ガスは粒子よりも拡散係数が大きいことを利用して通気路49内を通過させた気体に含まれる水溶性ガスを表面吸着水層48に拡散溶解させる。気体に含まれる粒子は、拡散溶解せずに通気路49を通過するので、水溶性ガスと粒子との分離が行われる。なお、単管46は断面形状が円形の丸管であるが、円形以外の断面形状(たとえば、楕円形、多角形)を持つ単管によって構成することもできる。
〔本実施形態の第2変形例〕
図7及び8を参照しながら、本実施形態の第2変形例(以下、適宜「第2変形例」という)について説明する。第2変形例に係る捕集構造51が、先に説明した本実施形態に係る捕集構造21と主として異なる点は、捕集構造21が二重のガラス管の間に通気路を形成してあるのに対し、捕集構造51の通気路はスペーサを挟んだシート状部材の間に形成してある点である。以下は、その異なる点を中心に説明する。
図7及び8に示すように、捕集構造51は、厚み方向に重ねた複数のシート状部材53,・・と、シート状部材53と隣接する他のシート状部材53との間に配した複数のスペーサ55,・・と、から概ね構成してある。スペーサ55,・・を挟んで対向するシート状部材53と他のシート状部材53との間に通気路57が形成される。シート状部材53は、図7及び8では理解を容易にするために誇張して描いてあるが、たとえば、0.5mm程度の厚さを持った不織布や合成樹脂板によって構成することができる。シート状部材53各々の一方又は両方の面には、酸化チタンを含む水分吸着層(図示を省略)を塗布又は含浸等により形成してある。スペーサ55の各々を構成する部材として好適なのは、合成樹脂製の棒材である。軽量であり、かつ、加工が簡単だからである。スペーサ55は、各シート状部材53に対する気体の通過方向(図8に矢印で示す方法)に沿って複数本(少なくとも2本)配するようにする。気体の通過方向に沿ってスペーサ55,・・を配するのは、スペーサ55,・・が通気路57を横切ると気体の通過を妨げてしまうからである。
シート状部材53を充分な柔軟性を持った素材で構成するとともに、隣接するスペーサ55,・・間の距離を適切に選択することにより、捕集構造51を、たとえば、通気路57を閉鎖しない方向に湾曲させて波状に形成したり、ジグザグ状態を形成したり、巻き上げてロール状に形成したり、することもできる。小型化を図りながら水分吸着層の面積を拡大するために有効である。なお、シート状部材53は、少なくとも2枚あれば、対向する両者間に通気路57を形成することができるから、その枚数は、捕集構造51の使用目的、用途、設置スペースの大小、通気流量等に応じて適宜選択することができる。
〔拡散スクラバーの理論捕集効率〕
直管捕集構造による理論捕集効率は、Gormley−Kennedy(Gormley P.,Kennedy M. Proceedings of Royal Irish Academy, Vol.52A, 163−169(1949))の式によって導かれた下記の式(1)によって算出することができる。
Figure 0005008193
すなわち、除去パラメータである(μ)を式(1)に代入して、捕集効率(f)を求める。除去パラメータ(μ)は、水溶性ガス成分の拡散係数(D)と、図1に示す気体Aが通過する通気路の有効長(L)と、水溶性ガスgの通気流量(Q)と、に依存する。除去パラメータ(μ)が大きくなればなるほど捕集効率(f)がよくなる。除去パラメータ(μ)は、拡散係数(D)と有効長(L)に比例して大きくなり、通気流量(Q)に反比例して小さくなり、直管の管径(d)の二乗に反比例する。従って、有効長(L)をより長くし、通気流量(Q)をより少なくし、直管の管径(d)を小さくすれば、その分だけ除去パラメータ(μ)が大きくなり捕集効率(f)がよくなる。Gormley−Kennedyの式を用いて算出した大気汚染ガスである二酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)、アンモニア(NH)、ホルムアルデヒド(HCHO)の理論捕集効率を表1に示す。この理論捕集効率は、図9に示す単管の捕集管101を用いて算出した。捕集管101の全長(L)は10cm、内径(d)は0.6cm及び外径(O)は0.8cmである。捕集管101の内壁全域に渡って酸化チタンを塗布してある。
Figure 0005008193
表1が示すように、捕集管101による理論捕集効率は、通気流量が0.1L/minのときであれば、二酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)、アンモニア(NH)、ホルムアルデヒド(HCHO)をほぼ100%である。一方、通気流量を増加させるに従い捕集効率は徐々に低下し1.0L/minまで増加させると80%を割るまで低下する。
〔実験1〕
捕集管101を用いて行ったNO捕集実験について説明する。約100ppbvのNO標準ガスを通気流量0.1L/minで捕集管101を通過させ、捕集管101の入り口と出口のNO濃度を化学発光法によるNO自動連続測定装置で測定した。測定結果を表2に示す。表2に示すように、NO捕集効率は97.7±1.4%(n=5)となり、ほぼ100%に近い捕集効率が得られた。
Figure 0005008193
〔実験2〕
次に、捕集管101を用いてNOの捕集容量を測定した。4.16ppmvのNO標準ガスを通気流量0.1L/minで5時間、捕集管101を通過させ、捕集管101の入り口と出口のNO濃度を化学発光法によるNO自動連続測定装置で測定することによりNO捕集容量を求めた。その結果、12.8±3.1μmol(n=4)であった。NO濃度100ppbvの大気を通気流量0.1L/minで24時間、捕集管101を通過させた場合のNO量は0.6μmolであることから、捕集管101の捕集容量は、環境大気中のNOを充分捕集できるものであることが判った。
〔実験3〕
次に、大気中NOの濃度測定の是非について実験した。室内空気を通気流量0.1L/minで24時間通過させNO捕集した捕集管101を用意する。ここで、両端をキャップ(図示を省略)で閉じた捕集管101の中に純水を入れ振とう装置で10分間振とうすることを3回繰り返し、捕集管101から取り出した抽出溶液(洗浄水)をイオンクロマトグラフで分析した。この分析方法を、適宜「本法」という。本法による分析結果と公定法である化学発光法によるNO自動連続測定装置による測定結果とを比較した。比較結果を表3に示す。表3が示すように、本法と化学発光法との間の大気中NO濃度の平均値の比は1.05(n=4)となり、両法は良好な一致を見せた。よって、本法を用いて大気中NO濃度を充分精度よく測定できることが判った。
Figure 0005008193
実施例2について説明する。実施例2で用いる捕集構造は、図1乃至3に示す捕集構造21と同じ二重管構造であり、外管及び内管は、いずれもガラス管で構成した。したがって、実施例2で用いる捕集構造及びそれを構成する各部材には、本実施形態で用いた部材番号と同じ部材番号を用いる。すなわち、実施例2に係る捕集構造21は、外管23(内管25)の寸法は、図1及び2に示す全長L=30cm、外管の内径d=2.1cm、内管の外径d=1.95cmとした。酸化チタン層33は、外管23内壁にのみ塗布した。また、外管23内壁に塗布した酸化チタン層の有効長は25cmである。
〔二重管拡散スクラバーの理論捕集効率〕
二重管構造を持った捕集構造の理論捕集効率は、直管構造のGormley−Kennedy(Gormley P.,Kennedy M.)の式(1)に変形した除去パラメーターの式(4)を代入することによって算出することができる。除去パラメーターの式(4)は、二重管構造を持った捕集構造の外管の内壁部分のみを酸化チタンを塗布した場合を例として表わした。
Figure 0005008193
すなわち、除去パラメーターである(μ)を式(1)に代入して、捕集効率(f)を求める。除去パラメーター(μ)は、対象とするガスの拡散係数(D)と、通気路27の有効長(L)と、外管23の内径(d)と、内管の外径(d)と、水溶性ガスgの通気流量(Q)と、に依存する。除去パラメーター(μ)が大きくなればなるほど捕集効率(f)がよくなる。特に、外管23の内径dの二乗に比例することから、外管23の内径(d)が大きければ大きいほど除去パラメーター(μ)を大きくすることに貢献する。一方、式(4)の分母に着目すると、外管の内径(d)と内管の外径(d)との差が小さければ小さいほど(通気路27の隙間が狭ければ狭いほど)除去パラメーター(μ)を大きくできることが判る。式(1)と式(4)に基づいて算出した大気汚染気体(NO、SO、NH、HCHO)の理論捕集効率を表4に示す。表4が示すように、捕集構造21に通気流量1L/minで汚染気体を通過させれば、各汚染気体がほぼ100%の効率で除去できることが判った。この結果から、実施例1で示した単管でなく、実施例2で示す二重管構造をとることで、同じ高い捕集効率で大きな通気流量を得ることが可能となる。
Figure 0005008193
〔実験1〕
捕集構造21を用いてNO、SO、NHの除去実験を行った。ガスボンベから取り出した除去対象となる各標準ガスをマニホルドで乾燥空気を用いて希釈し、約100ppbv程度の濃度に調整した。このガスを捕集構造21に通気流量1L/minで流した。捕集構造21の入口と出口とにおけるガス濃度を測定して、その濃度差から除去効率を算出した。除去結果は、図10(NO)、図11(SO)及び図12(NH)に示すとおりである。図10乃至12が示すように、何れのガスもほぼ100%除去できることが判った。
〔実験2〕
捕集構造21を1本用いた大気汚染ガスの除去量を算出したところ、NO、SO、NH、について、それぞれ2.53mol、5.76mol及び18.5molとなった。特に、このNHの除去量は、1ppmのNHを通気流量1L/minで除去するとしたときに約300日間連続して除去できる容量に匹敵する。
本実施形態に係る捕集構造の適応例である水溶性ガス捕集システムの概略正面図である。 図1に示す捕集構造のA−A断面図である。 図1に示す捕集構造のB−B断面図である。 表面吸着水層が形成される原理を示す図である。 拡散スクラバー法の原理を説明するための図である。 本実施形態の第1変形例を示す断面図である。 本実施形態の第2変形例を示す平面図である。 本実施形態の第2変形例を示す斜視図である。 拡散スクラバーの理論捕集効率を求めるための捕集管の斜視図である。 水溶性ガス(N0)の捕集実験の結果を示す図表である。 水溶性ガス(SO)の捕集実験の結果を示す図表である。 水溶性ガス(NH)の捕集実験の結果を示す図表である。
符号の説明
1 水溶性ガス捕集システム
3 気体注入バルブ
5 ガス吸引ポンプ
7 フィルター
11 洗浄水タンク
13 洗浄水排水ポンプ
15 定量分析装置
21 捕集構造
23 外管(側壁)
25 内管(側壁)
27 通気路
29,31 閉鎖部材
33 酸化チタン層
33a 酸化チタン層
33b 酸化チタン層
35 表面吸着水層
35a 表面吸着水層
35b 表面吸着水層
41 洗浄水注入構造
43 洗浄水排出構造
45 捕集構造
46 単管
47 酸化チタン層
48 表面吸着水層
49 通気路
51 捕集構造
53 シート状部材(側壁)
55 スペーサ
57 通気路
101 捕集管

Claims (8)

  1. 水蒸気、水溶性ガスおよび粒子を含む通過気体から当該水溶性ガスを粒子から分離して捕集する水溶性ガス捕集構造であって、
    当該通過気体を通過させるための通気路を挟んで対向する両側壁と、
    当該両側壁の少なくとも一方の対向面の少なくとも一部に形成した酸化チタン層と、を含めて構成してあり、
    当該酸化チタン層を構成する酸化チタンの格子欠損により酸素と結合していないチタンが、通過気体もしくは通過気体を通過させる前に当該通気路に存した気体のうち何れか一方または双方に含まれる水分子中の酸素と結合し、その水分子がさらに他の水分子と水素結合することによって当該酸化チタン層表面に形成される表面吸着水層に、水溶性ガスは粒子よりも拡散係数が大きいことを利用して気体中のガス成分のみ粒子と分離して吸着する拡散スクラバー法により当該通過気体に含まれる水溶性ガスを当該表面吸着水層に拡散溶解させて捕集するように構成してある
    ことを特徴とする水溶性ガス捕集構造。
  2. 前記両側壁のうち一方が外管により、他方が当該外管内部に配した内管により、それぞれ構成してある
    ことを特徴とする請求項1記載の水溶性ガス捕集構造。
  3. 前記両側壁が、気体通過方向に長い複数のスペーサを介して対向するシート状部材を含めて構成してある
    ことを特徴とする請求項1記載の水溶性ガス捕集構造。
  4. 前記シート状部材が、複数厚み方向に重ねてあり、各シート部材間に前記スペーサを配してある
    ことを特徴とする請求項3記載の水溶性ガス捕集構造。
  5. 表面吸着水を洗浄するために前記通気路内に臨む洗浄水注入構造と、排水を当該通気路内から排出するための排水排出構造と、を含めて構成してある
    ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の水溶性ガス捕集構造。
  6. 前記排水構造が、排水に含まれる化学成分を分析定量する分析定量装置に送水可能に構成してある
    ことを特徴とする請求項5記載の水溶性ガス捕集構造。
  7. 前記排水構造が、排水を処理する排水処理装置に送水可能に構成してある
    ことを特徴とする請求項5記載の水溶性ガス捕集構造。
  8. 水蒸気、水溶性ガスおよび粒子を含む通過気体から水溶性ガスを粒子から分離して捕集する水溶性ガス捕集構造であって、
    通気路を内部に有する単管と、
    当該単管内面の少なくとも一部に形成した酸化チタン層と、を含めて構成してあり、
    当該酸化チタン層を構成する酸化チタンの格子欠損により酸素と結合していないチタンが、通過気体もしくは通過気体を通過させる前に当該通気路に存した気体のうち何れか一方または双方に含まれる水分子中の酸素と結合し、その水分子がさらに他の水分子と水素結合することによって当該酸化チタン層表面に形成される表面吸着水層に、水溶性ガスは粒子よりも拡散係数が大きいことを利用して気体中のガス成分のみ粒子と分離して吸着する拡散スクラバー法により当該通過気体に含まれる水溶性ガスを当該表面吸着水層に拡散溶解させて捕集するように構成してある
    ことを特徴とする水溶性ガス捕集構造。
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