JP5007870B2 - 共振器及び増幅器の統合システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にイオン注入装置に関し、より詳細には、改良されたイオン注入装置のリニア加速器の作動装置及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の製造において、イオン注入は、半導体に不純物を添加するのに使用される。高エネルギー(HE)イオン注入装置は、本発明の譲受人であるイートンコーポレーションに譲渡された米国特許第4,667,111号明細書に記載されており、その内容は、本明細書において、十分に説明する参考文献として包含される。
【0003】
このような高エネルギーイオン注入装置は、基板内に深く注入するために用いられ、例えば、レトログレード・ウエル(retrograde wells)を形成するために用いられる。この深い注入のためには、一般的に、1.5MeV(100万電子ボルト)の注入エネルギーが必要である。より低いエネルギーを用いることもできるが、このイオン注入装置は、300KeVから700KeVの間のエネルギーで注入を実行しなければならない。イートン社のGSD/HE,GSD/VHEイオン注入装置は、イオンビームを5MeVまでエネルギーレベルを高めることができる。
【0004】
図1aにおいて、一般的な高エネルギーイオン注入装置10が図示されており、この注入装置は、ターミナル12と、ビームラインアセンブリ14と、端部ステーション16とを有している。ターミナル12は、高電圧電源22によって電力供給されるイオン源20を有している。イオン源20は、ビームラインアセンブリ14に与えられるイオンビーム24を発生する。
【0005】
イオンビーム24は、次に、端部ステーション16のターゲットウエハ30に向けて導かれる。イオンビーム24は、質量分析磁石26及び無線周波(RF)リニア加速器(linac)28を含むビームラインアセンブリ14によって調整される。ライナック28は、一連の共振モジュール28a〜28nを含み、各共振モジュールは、更に、前のモジュールから到達したエネルギーを越えるようにイオンを加速する。この加速モジュールは、一般的に共振方法により発生する高RF電圧により個々に励起され、必要とされる適切な平均電力を維持する。質量分析磁石26は、適切な電荷対質量比のイオンのみをライナック28に通過させる。
【0006】
高エネルギーイオン注入装置10におけるリニア加速器モジュール28a〜28nは、それぞれ、図1bに概略的に図示するように、RF増幅器50、共振器52、及び電極54を含んでいる。共振器は、たとえば、米国特許第4,667,111号明細書に記載のように、約0〜150KVの電圧を用いて約3〜30MHzの範囲内の周波数で作動し、イオンビーム24のイオンを電荷状態ごとに1MeVを越えるエネルギーに加速する。
【0007】
RF増幅器50と共振器52との間の通常の電力結合は、増幅器50内に第1インピーダンスマッチング回路網56を含み、ソリッドステート又は真空管の機器からなるアクティブデバイス(出力装置)51を、インピーダンスが一般的に50Ωの伝送ライン58に適合させる。共振器52に供給される第2マッチング回路網60は、伝送ラインのインピーダンスを共振器の負荷インピーダンスに適合させる。このマッチング回路網56,60による電力損失は、ケーブル58と同様に、一般的に、全RF電力の2〜5%である。更に、このようなマッチング回路網と伝送ラインまたはケーブルは、費用がかかる。更に、ケーブル58の長さは、重要であり、マッチングのための最適なケーブル長さは、数mのケーブルとなるので、高エネルギーイオン注入装置における貴重な空間を占めることになる。
【0008】
(発明の開示)
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術に関連する種々の問題を取り除くまたは最小化する共振器及び無線周波(RF)増幅器の統合システム及びイオン加速器に用いるための装置を提供する。特に、本発明は、従来のマルチプルマッチング回路網を単一の回路網に結合し、これにより、共振器及びRF増幅器の統合システムとして、単純化しかつコストを低下させる。本発明は、さらに、RF増幅器を共振器に結合する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの構成によれば、増幅器に関連するRF出力が共振器に直接的に結合される共振器及び増幅器の統合システムが提供される。これにより、従来のシステム及び装置に関連した、1つまたはそれ以上のマッチング回路網及びケーブルにおけるコストが削減される。
【0010】
この統合システムは、RF出力を有する増幅器と、この増幅器のRF出力に直接的に誘導結合されるタンク回路と、このタンク回路に接続された加速電極とを含み、
前記誘導結合は、前記タンク回路のコイルの低電圧端部の近くに前記コイルに対して配置されたインダクターを含み、このインダクターは、前記増幅器のRF出力に電気的に接続され、これにより、前記増幅器のRF出力を前記コイルに誘導結合することを特徴とする。
本発明は、コスト的な利点の他に、加速器モジュールのために必要とされる空間を減少させる。本発明は、さらに、削減された回路網およびケーブルに関連する電力損失を削除または減少させる。これにより、システム全体の効率を改善する。本発明に従ってRF構成部品の数を減少させることにより、システムの信頼性を改善する利点が生じる。
【0011】
本発明の他の構成によれば、イオン注入装置においてイオンを加速するための装置が提供される。この装置は、RF出力を有する増幅器と、この増幅器のRF出力に直接的に誘導結合されるコイルを有するタンク回路と、前記コイルに接続されて、イオンを加速するための電極とを含み、
前記誘導結合は、前記コイルの低電圧端部の近くに前記コイルに対して配置されたインダクターを含み、このインダクターは、前記増幅器のRF出力に電気的に接続され、これにより、前記増幅器のRF出力を前記コイルに誘導結合することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の構成によれば、イオン加速器においてRF増幅器を共振器に結合するための方法が提供される。この方法は、増幅器のRF出力をカプラーに結合し、そして、前記カプラーを前記コイルの近くに配置し、これにより、前記増幅器のRF出力を前記共振器のコイルに結合する、各ステップを有する。更に、前記カプラーは、インダクターを含んでおり、前記コイルに同軸配置されかつ前記コイルの低電圧端部の近くに配置されるステップを含み、前記増幅器のRF出力を前記コイルに誘導結合することを特徴とする。
【0013】
上述した及び関連する目的を達成するために、本発明は、以下に完全に説明されかつ特許請求の範囲において特別に指摘された特徴を含んでいる。以下の説明と添付図面とは、本発明の或る詳細な例示的構成を示している。しかし、これらの形態は、本発明の原理が採用され得るような種々の方式における幾つかを示しているだけである。本発明の他の目的、長所及び新規な特徴は、図面との関連で考えると本発明の次の詳細な説明から明らかになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1aは、本発明におけるRF増幅器及び共振器の統合システム及び方法に使用されるリニア加速器を有する一般的な高エネルギーのイオン注入装置を示す概略ブロック図である。図1bは、従来のリニア加速器モジュールを示す概略ブロック図である。図1cは、通常のリニア加速器モジュールを示す概略図である。図1dは、従来のリニア加速器モジュールを示す概略ブロック図である。
【0015】
図2aは、本発明の構成に従う容量結合を有するRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略図である。図2bは、本発明の他の構成に従うRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略ブロック図である。図2cは、本発明の他の構成に従う誘導結合を有するRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略ブロック図である。図2dは、本発明の他の構成に従う誘導結合を有する別のRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略ブロック図である。
【0016】
図3は、本発明に従うRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。図4は、図3の4−4線に沿う本発明に従うRF増幅器及び共振器の統合システムの側断面図である。図5は、本発明に従うRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。図6aは、本発明の他の構成に従う別のRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。図6bは、本発明の他の構成に従う別のRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。図6cは、図6bのRF増幅器及び共振器の統合システムを示す立面図である。図7は、RF増幅器の出力を共振器またはタンク回路に連結する方法を示す流れ図である。
【0017】
本発明では、同一の参照番号は、全体にわたり同一の要素を言及するのに用いた図面を参照して説明する。本発明は、共振器及RF増幅器の統合システム及びイオン加速器に用いられる装置、さらに、イオン加速器において、RF増幅器を共振器に結合する方法を含んでいる。
【0018】
本発明は、高エネルギーイオン注入装置におけるリニア加速器内の個々の加速器モジュールに用いることができる。本発明の1つの構成は、RF出力を直接共振器回路に結合することを含む。この実質的な直接結合としては、たとえば、容量結合、誘導結合、及び変成器結合(電磁結合)等が含まれ、従来のマッチング回路網を単純化し、従来システムに関連する50Ωケーブルを削減する。この結果、効率、スペース利用率、コスト、及び信頼性を改善する。
【0019】
本発明の種々の面において、以後、高エネルギーイオン注入装置における構成部品を形成するリニア加速器モジュールを含む特定の応用に関して論じられる。しかし、他の応用における本発明の利点についてもその有効性を認めることができる。本発明の特徴に対する内容を提示するために、RF増幅器及び共振器に対する従来の相互接続についての簡単な解説をここで行う。
【0020】
図1cにおいて、抵抗RL及びキャパシタンスCsに並列接続した誘導コイルLを有する通常の共振回路100が図示されている。加速電極108は、インダクターLに接続され、イオンビーム110に関連するイオンを加速するのに役立つ。電極108は、2つの接地された電極112,114間に取り付けられ、そして、加速電極108と接地電極112,114は、イオンビームを加速するために「プッシュプル」動作で作用する。
【0021】
キャパシタンスCsは、共振回路の等価キャパシタンスを表しており、加速電極108、この電極用支柱、コイル、及び付加された調整キャパシタンスからの影響を受ける。抵抗RLは、インダクターLとキャパシタンスCsからなる共振回路に関連する損失を表す。このキャパシタンスCsと誘導コイルLの値は、低損失(Q値が高い)共振器又はタンク回路100を形成するために選択され、そこで、図1aで示す形式のリニア加速器システムにおける各加速器モジュールが、同一の周波数で共振する。無線周波(RF)信号は、ポイント116でのRFシステム(図示略)から供給され、キャパシタCcを介してコイルLの高電圧端に容量結合される。
【0022】
図1dにおいて、加速器モジュール28は、RF出力122を有するRF増幅器120を含み、この増幅器は、第1、第2のマッチング回路網124,126及びケーブル128を介して、図1cの共振回路100に接続されている。ケーブルは、一般的に従来の50Ω同軸ケーブルである。このケーブル128は、共振回路100のインピーダンスに対して増幅器出力122のインピーダンスに適切にマッチングさせるために、一般的に数mの長さを有する。
【0023】
マッチング回路網126は、共振回路100に連結され、結合キャパシタCcおよび/または他の要素を含んでいる。この結合キャパシタCcは、誘導コイルLから離間したプレートを有しており、共振回路のインピーダンスRL(一般的に1MΩ)が、RF増幅器120、マッチング回路網124、及びケーブル128(一般的に50Ω)を含むRF源のインピーダンスにマッチングするように調整可能である。同様に、共振器のキャパシタンスCsもコイルLから離間したプレートを有しており、共振回路100の共振周波数にチューニングするように調整することができる。このコイルLは、高電圧ブッシュ130を介して加速電極108に接続される。
【0024】
マッチング回路網124は、一般的に、ケーブル128に対して増幅器120の出力インピーダンスをマッチングさせるように形作られている。このマッチング回路網126は、ケーブル128、回路網124、及び増幅器120からなるインピーダンスを負荷のインピーダンス、即ち、図1dでは共振器100のインピーダンスにマッチングさせるように動作する。
【0025】
結合キャパシタCcは、共振回路100のインピーダンスに寄与し、そしてほぼ固定される。マッチング回路網124,126は、ケーブル128と同様に高価であり、メンテナンスが必要であり、また、ライナック28における貴重な空間を占有することになる。本発明は、これらの構成要素の単純化とケーブル128を削除することで、システムの費用、信頼性、空間利用率、及び性能を改善する。
【0026】
図2a及び図2bにおいて、本発明の1つの構成が図示され、それは、共振器とRF増幅器の統合システムからなり、イオン加速器において使用される。図示されたシステムは、低損失を達成するために、RF増幅器120と、Qの高い共振回路100とを直接的に結合することにより、従来のシステムのマッチング回路網を単純化しかつケーブルを削除する。
【0027】
本発明は、高エネルギー(HE)イオン注入装置用のライナック段階を形成するリニア加速器モジュールにおいて、有効に使用することができる。このシステムは、RF出力122を有する増幅器120を有し、この増幅器は、結合キャパシタ150を介して共振回路100に直接的に結合され、この結合キャパシタは、共振回路の誘導コイルLの高電圧端に接続されている。
【0028】
実質的に直接的な結合は、一連のキャパシタンス(たとえば、図2bにおけるキャパシタ150)を介するような容量結合、また、誘導ループまたはコイル(たとえば、図2c及びそれ以下の図面に示すような結合コイル170)を介するような誘導結合、或いは同様の結合から構成される。ここで用いられる直接的な結合は、マルチプルマッチング回路網及び従来のシステムに関連するケーブルを含まないが、その代わり増幅器のRF出力のインピーダンスと共振回路のインピーダンスとをマッチングさせることができる単一の結合回路網を意図している。
【0029】
コイルLは、キャパシタンスCsを有する共振器、即ちタンク回路を形成し、このキャパシタンスは、タンク回路の共振周波数の同調をとるために調整可能である。図2a及び図2bに示すように、本発明では、付加的なマッチング回路網又は50Ωのケーブルを必要としない。出力122でのRF増幅器120のインピーダンスは、キャパシタンス150によって共振器のインピーダンスとマッチングされる。このキャパシタンスの値は、調整可能である。しかし、キャパシタンスの調整は、一般的に、共振回路100のインピーダンスにしたがって決まる。さらなる調整は、共振回路100の負荷が動作中に大きく変化しないので、一般的に必要としない。本発明のシステムの効率、信頼性、及び費用は、インピーダンスマッチング用の構成部品の削減、及びそれに関連する電力損失をなくすことにより、従来のシステムにおけるものよりも向上している。
【0030】
図2cにおいて、共振器及びRF増幅器の統合システムは、従来技術の付加的なマッチング回路網及びケーブルをなくして、RF増幅器120とQの高い共振回路260との間の直接的結合を与えることが示されている。この統合システムは、結合コイル170を介して共振回路260に直接的に結合されるRF出力122を有する増幅器120を有する。コイル170は、共振回路の誘導コイルLを用いるRF出力122の誘導結合を与える。この誘導結合は、増幅器120の出力122と共振回路260の間のインピーダンスマッチングを構成する。図2aの共振回路と同様に、共振回路260は、コイルLとキャパシタンスCsを含み、これらの素子は、タンク回路の共振周波数の同調を調整可能にする。結合コイル170と共振コイルLとの間の誘導結合は、調整可能であり、出力122でのRF増幅器120のインピーダンスと共振回路260のインピーダンスをマッチングさせることができる。
【0031】
図2dは、RF増幅器120とQが高い共振回路260との間の直流電流結合(direct galvanic coupling)の別の応用を示す。結合キャパシタンスCBの一端が共振回路260の可変インダクターLのタップ点180に接続され、電力FET(Q1)からインダクターLに増幅されたRF信号(図示略)を与える。RFチョーク182は、Q1の電源と正の供給電圧源(+Vs)との間に接続され、また、RFゲート信号184は、Q1のゲートに供給される。適当なタップ点180を選択することにより、必要なインピーダンスレベルを達成することができ、数オームの程度のインピーダンスに下がる。
【0032】
これは、非常に低い出力インピーダンス(たとえば、FET Q1)を有する高電力ソリッドステート増幅器に接続する場合、特に有益である。この結合キャパシタンスCBは、図2dの増幅器/共振器の統合システムにおいて、インピーダンス変換機能を有しておらず、その代わりインダクターLによってQ1の直流トランジスタ電圧が短絡しないように、十分高いキャパシタンスを有する。付加的なインピーダンスマッチング構成部品が共振回路260以外に必要としないことがわかる。インダクターLの値は、フィールド変位チューナ186を用いて調整され、このチューナは、インダクターコイルLに関して方向190に移動可能なプランジャー188を有している。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態を示す詳細な上面図であり、この実施形態において、共振器とRF増幅器の統合システム200は、共振インダクターコイル202を備え、イオンビーム210を加速するための円筒加速電極208を有する。この加速電極は、接地電極212,214の間に配置されている。加速電極208と接地電極212,214は、プッシュプル形式で作動し、イオンビーム210内の荷電粒子がシステム200内を通過するとき、この荷電粒子の束を加速する。
【0034】
コイル202の高電圧端は、ブッシュ230を介して外側ハウジング壁228を貫通している。コイル202は二股に別れており、冷却水236が入口240から出口242に排出するようにコイル内を循環して流れる。入口240と出口242は、コイル202の低電圧端側に配置され、コイル202に対して出力222の調整可能な容量結合を与える。また、システム200には、図3では省略したが、図4で図示されかつ以下で説明される調整可能な同調キャパシタンス270が共に設けられている。システム200は、図2bに示されたライナックモジュール28を実装している。たとえば、インダクターコイルLは、コイル202に相当し、結合キャパシタ250は、キャパシタ150等に相当する。
【0035】
調整可能なキャパシタ250は、システムハウジング232の内壁256に設けた高電圧ブッシュ254に摺動可能に係合するロッド252を含み、このロッドはコイル202と関係して矢印258で示す方向に直線往復運動する。ロッド252は、アルミニウムで作ることができ、かつRF増幅器220の出力222に電気的に接続される。キャパシタ250は、更にコイル202から離間した導電プレート260(たとえば、アルミニウム)を含んでいる。このプレート260と、プレート260とコイル202間のギャップ261は、RF出力222をコイル202に容量結合するキャパシタ250を形成する。RF出力を調整可能なキャパシタを介してコイル202に直接的に結合することにより、従来システムに関連するマッチング回路網の1つとケーブルとを削除することを可能にする。
【0036】
図3において、キャパシタ250は、更にモータまたはソレノイド等のリニアアクチュエータ262を含み、ロッド252と、ここではプレート260とを矢印の方向に往復運動させる。調整可能なキャパシタ250は、プレート260及びコイル202の間の調整可能なギャップ261を有することが示されているが、調整キャパシタの多くの異なる形式では、RF出力222をコイル202に結合するために使用することができ、これは、本発明の範囲内にあると考える。
【0037】
リニアアクチュエータ262は、コイル202と増幅器出力222の間の容量結合を調整するために設けられている。キャパシタ250の調整は、制御システムまたは他の計装(図示略)との組合せで手動または自動とすることができる。しかし、このシステムは、増幅器出力222と共振回路インピーダンスとの間の最適なマッチングを選択するための値を有する固定のキャパシタンス250を設けることもでき、この場合、リニアアクチュエータ262は不要であり、また、アルミニウムロッド252即ちプレート260を設けて往復運動させることも不要である。
【0038】
図4は、図3のシステムの側方立面図を示し、更に、キャパシタ270とインダクターコイル202によって形成される共振回路の共振周波数の制御可能な調整、即ち、同調用の同調キャパシタ270を有する。このキャパシタ270は、ブッシュ276を介してハウジング壁274を貫通する導電ロッド272を含み、このロッドは、ブッシュに摺動可能に係合し、リニアアクチュエータ280を介して矢印278で示される方向に往復直線運動する。さらに、同調キャパシタ270は、インダクターコイル202から離間し、このコイルの高電圧端の近くに導電プレート282を含んでいる。ギャップ263は、プレート282及びコイル202の間に形成され、これによって、インダクターコイル202に平行に接地されたキャパシタを形成する。タンク回路の共振周波数は、望ましいリニアアクチュエータ280を介して自動的、または手動的に調整可能である。図3および図4の実施形態では、同調キャパシタ270とともに結合キャパシタ250は、インダクターコイル202と、このコイルの高電圧端の近くで容量結合する。
【0039】
図3及び図4のシステム200は、本発明のいくつかの利点を示している。増幅器のRF出力222をキャパシタ250に接続する直接的な結合は、従来のシステムにおいて必要とされた付加的な高価なマッチング回路網及びケーブルの入用をなくす。本システムの信頼性が向上し、かつRF構成部品が少なくなるので、そのためのコストが低下する。本システムは、また、過去において用いられた付加的なマッチング回路網および数mのケーブルを取り除くので、システムをコンパクトに構成できる。さらに、本発明のシステムは、マッチング回路網及びケーブルに関連した電力損失を避けるので、より効率的になる。
【0040】
図5を参照すると、共振器と増幅器の統合システム300を構成する本発明の他の実施形態が示されている。このシステムは、出力端322a、322bを有するRF増幅器320を備え、また、円筒加速電極308を有する共振器のインダクターコイル302を備えている。コイル302の高電圧端は、ブッシュ330を介してハウジング332の端部壁328を貫通している。これにより、加速電極308は、接地電極312,314と共にプッシュプル形式で動作し、ビーム310を形成するイオンを加速する。この実施形態では、第2のインダクターコイルすなわちループ390が、コイル302の低電圧端を有する増幅器320の出力322に誘導結合されている。
【0041】
図3及び図4に示した容量結合と同様に、図5におけるループ390を介する直接的な誘導結合は、従来システムに関連する付加的なマッチング回路網及びケーブルをなくす。ループ390は、好ましくはコイル302と同軸配置され、かつ矢印391の方向に移動でき、これにより、コイル302に対するRF増幅器出力322の誘導結合を調整する。これは、またシステム300における調整可能なインピーダンスマッチングを与える。
【0042】
同調キャパシタ370は、導電端部プレート380を有する導電ロッド372を有し、このロッドは、内部のハウジング壁356を貫通するブッシュ376に摺動可能に係合している。矢印378によって示された方向におけるロッド372の往復直線運動は、リニアアクチュエータ380により与えられる。ロッド372とプレート382は、電気的に接地されており、プレート382は、コイル302の高電圧端から離間し、その間にギャップ373を形成するように配置されている。キャパシタ370の値は、タンク回路の共振周波数に同調するためにリニアアクチュエータ380を介して手動または自動的に調整することができる。
【0043】
誘導ループ390を介してRF出力322をインダクターコイル302に直接的に結合することにより、従来のシステムにおいて必要とされた付加的なマッチング回路網及びケーブルを除去することによってコスト、信頼性、空間の節減、及び効率における多くの利点を備える。
【0044】
図6aにおいて、共振器及び増幅器の統合システム400を含む本発明の別の構成が示されている。このシステムは、出力422を有するRF増幅器420と、円筒加速電極408を有する共振器インダクターコイル402とを有する。コイル402の高電圧端は、ブッシュ430を介してハウジング432の端部壁428を貫通し、これにより、加速電極408は、ビーム410を形成するイオンを加速するために、接地された電極412,414と共にプッシュプル形式で動作する。増幅器420の出力422は、コネクタパッド424を介してコイル402の低電圧端に接続される。
【0045】
増幅器420からのRF電源と共振器コイル402との直流電流結合は、増幅器出力のインピーダンスと共振回路のインピーダンスとのインピーダンスマッチングを与える。パッド424は、種々の位置においてコイル402上に配置することができ、この位置の1つが、図6aに想像線で示されている。コイル402上のパッド424の位置は、共振回路と増幅器420とのインピーダンスをマッチングさせるために調整することができる。再配置可能なコネクタパッド424を用いて、付加的なマッチング構成部品を必要とすることなく、インピーダンスのマッチングを行える。
【0046】
プランジャー188を有するフィールド変位チューナ186が設けられ、このプランジャーは、ブッシュ476を介して壁456を貫通し、かつ誘導コイル402に対して方向190の方に移動可能である。プランジャー472の直線往復運動は、リニアアクチュエータ480により容易に行うことができる。誘導コイル402の値は、リニアアクチュエータ480によって手動または自動的に調整することができ、コイル402を貫通するフラックスの量を変更することにより、タンク回路の共振周波数を同調させることができる。
【0047】
図6bおよび図6cは、本発明における別の構成からなる共振器及び増幅器の統合システム400を示しており、このシステムは、ハウジング432の壁456の外側に取り付けたハイブリッド形式の統合電力ステージ490と、誘導コイル402に関して方向190の方に移動可能なプランジャー188を有するフィールド変位チューナとを備えている。電力ステージ490は、コネクターパッド42を介して共振コイル402に接続されるRF出力を有し、システム400に関連したRF増幅器と他の制御回路を含むこともできる。
【0048】
コイル402上のコネクタパッド424の位置は、電力ステージ490の増幅器とコイル402との間のインピーダンスマッチングを与える。さらに、コイル402に対するプランジャー188の位置は、共振回路の同調を与える。それゆえ、図6b及び図6cに示すシステムは、付加的なマッチング構成部品または回路を必要としないでRF出力を共振器に直接的に結合させることができる。
【0049】
図7を参照すると、イオン加速器においてRF増幅器を共振器に連結するための方法500が図示されている。この方法500は、ほぼ直接RF出力を共振器またはタンク回路に接続することを含んでいる。ステップ502において、増幅器のRF出力は、カプラー(たとえば、キャパシタまたはインダクタ)に接続される。ステップ504において、カプラーは、共振回路のコイルに近接して配置され、これにより、増幅器のRF出力が共振器またはタンク回路に接続される。電力伝送は、ステップ506において、テストされ、そして、インピーダンスマッチングが増幅器から負荷への電力伝送を十分可能にするならば、その結合は、ステップ508で完了する。さもなければ、この結合は、電力伝送を改善するために、ステップ510で変更される。
【0050】
ステップ510において、調整は、たとえば、図3、図4における結合キャパシタ250の調整、または図5における結合インダクタ390の調整を介して遂行される。この調整は、受入可能な電力伝送が達成されるまでステップ506及び510を介して行われ、この方法は、ステップ508で終了する。十分な電力伝送は、ステップ506でテストされ、たとえば、RF増幅器によって発生した電力によって負荷に伝達される電力量を分割し、この一部分が最少の受入可能な閾値を越えるかどうかを決定する。
【0051】
ここに図示された方法は、通常の方法を越える利益をもたらす。この方法は、マッチング回路網とケーブルを設け、かつこれらを連結し、さらに、増幅器出力と共振器コイルとの間のインピーダンスをマッチングさせるためにマッチング回路網を調整するステップを含んでいる。
【0052】
本発明は、特定の実施形態に関して開示しかつ記載してきたが、本発明は、等価な変更及び修正は、本明細書及び図面を読みかつ理解した者である他の当業者であれば考えられるものである。特に、上述した構成部品(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、このような構成部品を記載するために用いる用語(参考として「手段」を含む)は、たとえ、本発明の例示された実施形態における機能を実行する開示された構成と構造的に等価でなくても、対応するものと考えられ、さもなければ、記載された構成部品(たとえば、機能的に等価である)の特定された機能を実行する構成部品を示している。
【0053】
この点において、本発明は、コンピュータを用いる読取媒体を含み、本発明の種々の方法のステップを実行するためのコンピュータの典型的な命令を有していることがわかるであろう。さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの具体例の1つについて説明してきたが、このような特徴は、所定のまたは特定の利用に対して望ましくかつ利点を有する他の実施形態の1つまたはそれ以上の特徴を組み合わせることもできる。さらに、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」等の言葉、及びその変形例は、特許請求の範囲または発明の詳細な記載のいずれかにおいて使用される。これらの言葉は、「構成される」という言葉と同一内容を意図するものである。
【0054】
(産業上の利用可能性)
本装置及びこれに関連する方法は、イオン注入装置においてイオンを加速させるために半導体製造の分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1a】図1aは、本発明におけるRF増幅器及び共振器の統合システム及び方法に使用されるリニア加速器を有する一般的な高エネルギーのイオン注入装置を示す概略ブロック図である。
【図1b】図1bは、従来のリニア加速器モジュールを示す概略ブロック図である。
【図1c】図1cは、通常のリニア加速器モジュールを示す概略図である。
【図1d】図1dは、従来のリニア加速器モジュールを示す概略ブロック図である。
【図2a】図2aは、本発明の構成に従う容量結合を有するRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略図である。
【図2b】図2bは、本発明の他の構成に従うRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略ブロック図である。
【図2c】図2cは、本発明の他の構成に従う誘導結合を有するRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略ブロック図である。
【図2d】図2dは、本発明の他の構成に従う誘導結合を有する別のRF増幅器及び共振器の統合システムを示す概略ブロック図である。
【図3】図3は、本発明に従うRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線に沿う本発明に従うRF増幅器及び共振器の統合システムの断面における側部立面図である。
【図5】図5は、本発明の構成に従うRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。
【図6a】図6aは、本発明の他の構成に従う別のRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。
【図6b】図6bは、本発明の他の構成に従う別のRF増幅器及び共振器の統合システムを示す部分平面図である。
【図6c】図6cは、図6bのRF増幅器及び共振器の統合システムを示す立面図である。
【図7】図7は、RF増幅器の出力を共振器またはタンク回路に連結するための方法を示す流れ図である。
Claims (4)
- イオン加速器に使用するための共振器及びRF増幅器の統合システムであって、
RF出力(322a,322b)を有する増幅器(320)と、
この増幅器(320)の前記RF出力(322a,322b)に直接的に誘導結合されるタンク回路と、
このタンク回路に接続された加速電極(308)とを含み、
前記誘導結合は、前記タンク回路のコイル(302)の低電圧端部の近くに前記コイル(302)に対して配置されたインダクター(390)を含み、このインダクター(390)は、前記増幅器(320)のRF出力(322a,322b)に電気的に接続され、これにより、前記増幅器(320)のRF出力(322a,322b)を前記コイル(302)に誘導結合することを特徴とする統合システム。 - イオン注入装置においてイオンを加速するための装置であって、
RF出力(322a,322b)を有する増幅器(320)と、
この増幅器(320)のRF出力(322a,322b)に連結されるコイル(302)を有するタンク回路と、
前記コイル(302)に接続されて、イオンを加速するための電極(308)とを含み、
前記タンク回路は、前記増幅器(320)のRF出力(322a,322b)に直接的に誘導結合しており、この誘導結合は、前記コイル(302)の低電圧端部の近くに前記コイル(302)に対して配置されたインダクター(390)を含み、このインダクター(390)は、前記増幅器(320)のRF出力(322a,322b)に電気的に接続され、これにより、前記増幅器(320)のRF出力(322a,322b)を前記コイル(302)に誘導結合することを特徴とするイオン加速装置。 - イオン加速器においてRF増幅器を共振器に結合するための方法であって、
RF出力(122)を有する増幅器(120)を設け、
イオンを加速するための電極(108)を有するコイル(L)と、キャパシタンス(Cs)とを有する共振器(100)を設け、
前記増幅器(120)のRF出力(122)を調整可能なカプラーに結合し、
この調整可能なカプラーを前記コイル(L)の近くに配置し、これにより、前記増幅器(120)のRF出力(122)を前記共振器のコイル(L)に結合する、各ステップを有し、
前記カプラーは、インダクターを含んでおり、さらに、このインダクターが、前記コイル(L)に同軸配置されかつ前記コイル(L)の低電圧端部の近くに配置されるステップを含み、これにより、前記増幅器(120)のRF出力(122)を前記コイル(L)に誘導結合することを特徴とする方法。 - 前記インダクターの位置を変えるステップをさらに含み、これにより、前記インダクターと前記コイルとの位置的関係を調整し、前記増幅器(120)のRF出力(122)を前記共振器のコイル(L)への結合し、その結合を相互の電力伝送に従って調整することを特徴とする請求項3記載の方法。
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