JP5007387B2 - ニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法 - Google Patents

ニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法 Download PDF

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Description

この発明は、ニッケル合金のエンドミル切削加工技術に係り、ニッケル合金のエンドミル切削加工の欠点として、ニッケルは、熱伝導が小さく、化学的に活性のため、工具刃先の異常な摩耗、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が生じ、工具寿命が短く、切削した加工面が粗い等、様々な問題がある。
また、ニッケル合金のエンドミル切削加工において、高品質、高能率、低コストを目標に、エンドミル切削工具への冷却効果及び潤滑効果を目的として、工具刃先に多量の切削油剤が噴射されている。(不溶性及び水溶性)切削油剤は、環境悪化の要因となる塩素系化合物、乳化剤等が含有されているので、環境等の問題が生じている。
さらに、使用後の切削油剤における最終的な廃液処理は、重油を混入して焼却処分されるため、焼却による二酸化炭素の膨大な排出が余儀なくされているのが現状である。あるいは、窒素化合物を含有する切削油剤は、廃液を焼却処理した場合、窒素酸化物(NOx)を生成する可能性があるので、大気汚染の問題が生じる場合があると考えられる。
環境問題への関心が高まり、それに伴う産業廃棄物の削減やリサイクル化の促進が謳われているので、使用後の切削油剤の大部分が産業廃棄物として処理されることが問題となっている。
そこで、多量の(不溶性及び水溶性)切削油剤を使用しない方法で、環境に負荷をかけない方法において、工具刃先の異常な摩耗、チッピング(工具刃先の微小な欠損)の発生を抑制し、なおかつきれいな加工面を得るエンドミル切削加工装置及びその加工方法に関するものである。
ニッケルは、材料的に非常に活性で、ドライ(乾式)切削加工では、工具刃先に被削材のニッケルが付着したりする場合があるので、多量の不溶性あるいは水溶性切削油剤を単独で工具刃先に噴射しながら切削加工が行われている。
「難削材の切削加工技術」狩野 勝吉著 工業調査会
ニッケル合金のエンドミル切削加工において、上記の多量な(不溶性及び水溶性)切削油剤の使用は、環境問題になる可能性がある。切削油剤を使用してもエンドミル切削工具の刃先における異常な摩耗、チッピング等が発生し、工具寿命が短く、きれいな切削加工面を得ることが困難である。
また、圧縮空気によって環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を霧状に噴霧して、切削加工を行う方法(ミスト)も一部試験的に行われている。しかし、ミストによるエンドミル切削加工の予備試験の結果、過酷な切削加工条件、特に、切削速度100m/min以上では、工具寿命が非常に短く、良好な切削加工面を得るが困難であった。
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、環境問題になる可能性がある上記の切削油剤を使用せずに、環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤(ミスト)及び水溶液を使用し、かつ環境にやさしい冷却方法及び潤滑方法で、工具刃先の異常な摩耗、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が発生せず、良好な加工面を得ることができるニッケル合金のエンドミル切削加工装置及びその加工方法を提供することにある。
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、水溶液を入れた容器中にニッケル合金を水溶液に浸漬する容器と、圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧するミスト用ノズルと、水溶液を前述のエンドミル切削工具に噴射させるもう一つの冷給水用ノズルと、水溶液中におけるエンドミル切削工具に向けて切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込む圧縮空気用ノズルと、さらに、水溶液中のエンドミル切削工具に向けて水溶液を噴射させながら切り屑を除去するために水溶液中に浸漬した噴流水用ノズルとから構成するニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、使用する水溶液として水の場合、水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水及び気泡の圧縮空気と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去するニッケル合金の水中におけるエンドミル切削加工法よりなるものである。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、使用する水溶液として水の場合、水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水を40cc/s〜100cc/sの範囲において、気泡の圧縮空気と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去するニッケル合金の水中におけるエンドミル切削加工法よりなるものである。
以上の記載より明らかなように、請求項1によれば、水溶液を入れた容器中にニッケル合金を水溶液に浸漬する容器と、圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧するミスト用ノズルと、水溶液を前述のエンドミル切削工具に噴射させるもう一つの冷給水用ノズルと、水溶液中におけるエンドミル切削工具に向けて切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込む圧縮空気用ノズルと、さらに、水溶液中のエンドミル切削工具に向けて水溶液を噴射させながら切り屑を除去するために水溶液中に浸漬した噴流水用ノズルとから構成するニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置によって、エンドミル切削工具刃先の摩耗幅が小さく、良好な加工面粗さを得ることが可能である。
以上の記載より明らかなように、請求項2によれば、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、使用する水溶液として水の場合、水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水及び気泡の圧縮空気と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去するニッケル合金の水中におけるエンドミル切削加工法によって、エンドミル切削工具刃先の摩耗幅が小さく、良好な加工面粗さを得ることが可能である。
以上の記載より明らかなように、請求項3によれば、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、使用する水溶液として水の場合、水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水を40cc/s〜100cc/sの範囲において、気泡の圧縮空気と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去するニッケル合金の水中におけるエンドミル切削加工法によって、エンドミル切削工具刃先の摩耗幅が小さく、良好な加工面粗さを得ることが可能である。
以下、この発明をより具体的に説明する。
ここで、図1は、ニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法の概略図である。
図1において、ニッケル合金1を水溶液中でエンドミル切削加工を行う場合におけるニッケル合金1と水溶液2(水あるいは環境に優しい水溶性防錆剤を含む水)を入れる容器には例えば純銅製容器3が使用される。純銅製容器3は、四側面及び底面部分が純銅で形成され、上面が開放された構造になっている。純銅製容器3は例えば、外寸が長さ230mm×幅120mm×高さ70mmの容器の内側に内寸が長さ210mm×幅100mm×深さ60mmの穴部を作製したものから構成されている。その内部にニッケル合金1と水溶液2が入れられる。ニッケル合金1は水溶液2の中に浸漬されている。
純銅製容器3の内部に入れられた水溶液中のニッケル合金1の側面部分を切削する円柱形状のエンドミル切削工具4が、純銅製容器3の開放された上方から下向きに取り付けられる。図面では、エンドミル切削工具4を装着する装置本体部分は省略している。
この下向きに取り付けられたエンドミル切削工具4を挟んでミスト用ノズル5と冷給水用ノズル6が取り付けられている。また図面では冷給水用ノズル6側の後方側にノズル先端が水溶液2の中に浸漬された圧縮空気用ノズル7及び噴流水用ノズル8が取り付けられている。
このうちミスト用ノズル5は、圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具4に向けて噴霧するものである。ミスト用ノズル5のノズルの先端はエンドミル切削工具4に向けて取り付けられている。ミスト用ノズル5には極微量の油剤を圧縮空気によって霧状に送り出すタンク等に一端が接続される図示しないホースの他端側が接続されている。
冷給水用ノズル6は冷給水を回転しているエンドミル切削工具に向けて、水溶液を40cc/s〜100cc/sの範囲で噴射するものである。冷給水用ノズル6のノズルの先端はエンドミル切削工具4に向けて取り付けられている。冷給水用ノズル6には冷給水を溜めたタンク等に一端が接続される図示しないホースの他端側が接続されている。
圧縮空気用ノズル7は、エンドミル切削工具4によって切削加工が行われている水溶液中のニッケル合金1に向けて、圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲の圧縮空気を送り込んで、水溶液中の気泡をエンドミル切削工具4に噴射させる機能を果たす。圧縮空気用ノズル7は圧縮空気を送り込む図示しないホースの一端が接続されている。
噴流水用ノズル8は、エンドミル切削工具4によって切削加工が行われている水溶液中のニッケル合金1に向けて、水溶液を40cc/s〜100cc/sの範囲で噴射するものである。水溶液中の噴流水をエンドミル切削工具4に噴射させる機能を果たす。噴流水用ノズル8には冷給水を溜めたタンク等に一端が接続される図示しないホースの他端側が接続されている。
ニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工は、以下のとおりである。
(1)ニッケル合金1を純銅製容器3に固定する。
(2)純銅製容器3中に水溶液2を入れる。純銅製容器3は、長さ230mm×幅120mm×高さ70mmの容器に長さ210mm×幅100mm×深さ60mmの穴部を作製したものから構成されている。
(3)エンドミル切削工具4を所定の回転数に上げ、所定の回転数になったエンドミル切削工具4に向けて、ミスト用ノズル5からミストを噴霧し、冷給水用ノズル6から水溶液を噴射し、圧縮空気用ノズル7から圧縮空気を送り込む。噴流水用ノズル8から水溶液を噴射する。なお、ミスト用ノズル5及び圧縮空気用ノズル7の形状は、外径7mm、内径3mm、冷給水用ノズル6、噴流水用ノズル8の形状は、外径8mm、内径4mmである。
(4)上記のエンドミル切削工具4に水溶液、圧縮空気、ミストを噴射あるいは噴霧を行いながら、ニッケル合金1の側面をエンドミル切削加工を行う。
(5)所定量のエンドミル切削加工が終了すれば、エンドミル切削工具の刃先における摩耗量(逃げ面摩耗幅)を測定し、顕微鏡で工具刃先の摩耗状況を観察した。さらに切削加工を行った加工面の凹凸(加工面の表面粗さ)を測定した。評価については、×は、工具刃先の逃げ面摩耗幅が、20μm以上、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が発生した場合、加工面の表面粗さ(最大高さRy)が、3μm以上の場合である。○は、工具刃先の逃げ面摩耗幅が、20μmより小さく、加工面の表面粗さ(最大高さRy)が、3μmより小さい場合である。
ニッケル合金のエンドミル切削加工の実施例
被削材のニッケル合金は、インコネル600(Ni−16%Cr−9%Fe合金、ショア硬さ(HS24〜30))を使用した。切削工具は、超硬エンドミル切削工具(外径8mm、3枚刃)、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具(外径8mm、3枚刃)を使用した。インコネル600の形状は、長さ100mm×幅50mm×高さ45mmである。
チタン合金の水中におけるエンドミル切削加工法(特願2004−348262)は、水中において、1本の圧縮空気用ノズルから気泡を切削工具に吹き付けることによって、チタン合金の切り屑の除去を行った。しかし、ニッケル合金のエンドミル切削加工は、チタン合金のエンドミル切削加工に比べて、上記の刃先へのニッケル合金の溶着、ニッケル合金の切り屑の除去が困難であることが予想される。
ニッケル合金のエンドミル切削加工試験では、図1に示す水溶液(水あるいは環境に優しい水溶性防錆剤を含む水)中より上部付近のエンドミル切削工具にミスト及び水溶液を噴射させる。さらに、水溶液中に浸漬した噴流水用ノズルから水溶液を噴射させ、圧縮空気用ノズルから圧縮空気による気泡と同時にエンドミル切削工具に噴射させて、切り屑を除去しながら切削加工を行った。エンドミル切削工具の切削速度は、100m/min、切削距離は、約1mである。
超硬エンドミル切削工具を使用した試験結果は、表1〜表3である。TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具を使用した試験結果は、表4〜表6である。
ニッケル合金のエンドミル切削加工試験において、ミスト用ノズル及び圧縮空気用ノズルの試験条件は、ミストの油剤量(4cc/時間)、水中の圧縮空気量(10L/min)(泡の大きさ20mm〜30mm)である。なお、上記の試験条件は、チタン合金の水中におけるエンドミル切削加工法(特願2004−348262)において、最適な試験条件であったので、ニッケル合金のエンドミル切削加工試験においても、同一の試験条件で行った。
噴流水用ノズル及び冷給水用ノズルから同時に水溶液を噴射する量は、それぞれ1本のノズルにおいて最大100cc/sである。水溶液(水)を使用した場合におけるニッケル合金の切削加工の予備試験の結果、上記の2本のノズル(噴流水用ノズル及び冷給水用ノズル)において、2本のノズルが同時に水を噴射した場合、それぞれ1本のノズルの水量が40cc/sより少ない場合、工具刃先の摩耗幅(逃げ面摩耗幅)、表面粗さにおいて、良好な結果が得られなかった。2本のノズルが同時に水を噴射した場合、それぞれ1本のノズルの水量の範囲が、40cc/s〜100cc/sの場合、工具刃先の摩耗幅(逃げ面摩耗幅)、表面粗さにおいて、良好な結果が得られた。さらに、水量が40cc/s〜100cc/sの範囲において、逃げ面摩耗幅、表面粗さに著しい変化はなかった。表1〜表6は、2本のノズル(噴流水用ノズル及び冷給水用ノズル)において、それぞれ1本のノズルが同時に水溶液(水あるいは水溶性防錆剤を含む水)量が、50cc/sで切削加工試験を行った結果を示す。
(1)超硬エンドミル切削工具による切削加工試験結果
表1は、超硬エンドミル切削工具における切削油剤の使用した場合の切削加工試験結果及び水溶液(水)中における切削加工試験結果を示す。表1に示す切削油剤は、水溶性切削油剤の結果、水は、水溶性防錆剤を含まない水の結果である。ニッケル合金のエンドミル切削加工において、水溶性切削油剤を使用している場合が多いので、水溶性切削油剤を使用して切削加工試験を行った。
表1より、水中におけるニッケル合金のエンドミル切削加工法は、切削油剤を使用した場合よりも逃げ面摩耗幅、表面粗さが良好な結果が得られた。
表2は、水中における圧縮空気用ノズルのみ(合計1本)の場合と水中の圧縮空気用ノズル及び噴流水用ノズル(合計2本)との比較を行った結果を示す。なお、表2に示す水は、水溶性防錆剤を含まない水の結果である。
表2より、水中のノズル1本(圧縮空気のみ)よりも水中のノズル2本(圧縮空気+噴流水)を使用した方が、著しく表面粗さが改善された。
水中のノズル1本(圧縮空気のみ)の場合、工具刃先への冷却効果があったので、逃げ面摩耗幅が良好な結果となったと推測される。しかし、圧縮空気のみでは、水中における切り屑の排出が容易でないため、表面粗さが良好な結果が得られなかったと推測される。
また、水を使用した場合、フライス盤において、錆が発生する可能性がある。上記の切削加工装置及びその加工方法(加工条件)において、水溶性(水希釈型)防錆剤を添加した水を使用して切削加工試験を行った。なお、水溶性(水希釈型)防錆剤の防錆効果として、10倍〜50倍希釈である。予備試験の結果、10倍〜50倍希釈において、濃度変化に伴う逃げ面摩耗幅、表面粗さの著しい変化はなかった。表3の試験結果は水溶性防錆剤(10倍希釈)の結果である。今回使用した水溶性防錆剤は、環境への負荷が極めて低い防錆剤を使用した。また、10倍〜50倍希釈において、環境に悪影響を及ぼさない範囲で切削加工試験を行った。
表3より、水溶性防錆剤を使用しても、水溶性防錆剤を使用しない場合と同様に逃げ面摩耗幅、表面粗さは良好な結果を得られた。なお、表3に示す水溶性防錆剤を含まない水の結果は、表2に示す水中のノズル2本の結果である。
(2)TiAlNコーテッド超硬切削工具による切削加工試験結果
表4は、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具における切削油剤の使用した場合の切削加工試験結果及び水溶液(水)中における切削加工試験結果を示す。表4に示す切削油剤は、水溶性切削油剤の結果、水は、水溶性防錆剤を含まない水の結果である。ニッケル合金のエンドミル切削加工において、水溶性切削油剤を使用している場合が多いので、水溶性切削油剤を使用して切削加工試験を行った。
表4より、水中におけるニッケル合金の切削加工法は、切削油剤を使用した場合よりも逃げ面摩耗幅、表面粗さが良好な結果が得られた。また、切削油剤を使用した場合、工具刃先にチッピングが発生したが、水中切削加工では、チッピングは発生しなかった。
表5は、水中における圧縮空気用ノズルのみ(合計1本)の場合と水中の圧縮空気用ノズル及び噴流水用ノズル(合計2本)との比較を行った結果を示す。なお、表5に示す水は、水溶性防錆剤を含まない水の結果である。
表5より、水中のノズル1本(圧縮空気のみ)よりも水中のノズル2本(圧縮空気+噴流水)を使用した方が、著しく逃げ面摩耗幅、表面粗さが改善された。
水中のノズル1本(圧縮空気のみ)の場合、切り屑の排出等の効果が少ないと考えられる。
また、水を使用した場合、フライス盤において、錆が発生する可能性がある。上記の切削加工装置及びその加工方法(加工条件)において、水溶性(水希釈型)防錆剤を添加した水を使用して切削加工試験を行った。なお、水溶性(水希釈型)防錆剤の防錆効果として、10倍〜50倍希釈である。予備試験の結果、10倍〜50倍希釈において、濃度変化に伴う逃げ面摩耗幅、表面粗さの著しい変化はなかった。表6の試験結果は水溶性防錆剤(10倍希釈)の結果である。今回使用した水溶性防錆剤は、環境への負荷が極めて低い防錆剤を使用した。また、10倍〜50倍希釈において、環境に悪影響を及ぼさない範囲で切削加工試験を行った。
表6より、水溶性防錆剤を使用しても、水溶性防錆剤を使用しない場合と同様に工具摩耗幅、表面粗さは良好な結果を得られた。なお、表6に示す水溶性防錆剤を含まない水の結果は、表5に示す水中のノズル2本の結果である。
超硬エンドミル切削工具、TiAlNコーテッド超硬切削工具を使用した場合、上記のエンドミル切削加工装置による切削加工において、水溶性防錆剤を含まない水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を上記のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水及び圧縮空気(気泡)と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去することによって、切り屑の排出、工具刃先の摩耗の抑制等の効果は大きく、逃げ面摩耗幅、表面粗さが良好な結果を得ることができたと推測される。水溶性防錆剤を含む水を使用しても、同様に切り屑の排出、工具刃先の摩耗の抑制等の効果は大きく、逃げ面摩耗幅、表面粗さが良好な結果を得ることができたと推測される。
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものでなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
この発明を実施するための最良の形態を示すニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置の模式図である。 表1は、 超硬エンドミル切削工具における切削油剤を使用した場合の切削加工試験結果及び水溶液(水)中における切削加工試験結果である。 表2は、水中におけるノズル1本(圧縮空気のみ)の場合における試験結果及び水中におけるノズル2本(圧縮空気と噴流水)の場合における試験結果である。 表3は、水溶性防錆剤を含む水中切削加工の試験結果及び水溶性防錆剤を含まない水中切削加工の試験結果である。 表4は、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具における切削油剤を使用した場合の切削加工試験結果及び水溶液(水)中における切削加工試験結果である。 表5は、水中におけるノズル1本(圧縮空気のみ)の場合における試験結果及び水中におけるノズル2本(圧縮空気と噴流水)の場合における試験結果である。 表6は、水溶性防錆剤を含む水中切削加工の試験結果及び水溶性防錆剤を含まない水中切削加工の試験結果である。
符号の説明
1 ニッケル合金
2 水溶液
3 純銅製容器
4 エンドミル切削工具
5 ミスト用ノズル
6 冷給水用ノズル
7 圧縮空気用ノズル
8 噴流水用ノズル


Claims (3)

  1. 水溶液を入れた容器中にニッケル合金を水溶液に浸漬する容器と、圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧するミスト用ノズルと、水溶液を前述のエンドミル切削工具に噴射させるもう一つの冷給水用ノズルと、水溶液中におけるエンドミル切削工具に向けて切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込む圧縮空気用ノズルと、さらに、水溶液中のエンドミル切削工具に向けて水溶液を噴射させながら切り屑を除去するために水溶液中に浸漬した噴流水用ノズルとから構成するニッケル合金の水溶液中におけるエンドミル切削加工装置。
  2. 請求項1に記載した切削加工装置による加工において、使用する水溶液として水の場合、水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水及び気泡の圧縮空気と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去するニッケル合金の水中におけるエンドミル切削加工法。
  3. 請求項1に記載した切削加工装置による加工において、使用する水溶液として水の場合、水を入れた容器中にニッケル合金を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった植物油をベースにした極微量で塩素系化合物、乳化剤、窒素化合物を含まない油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給水用ノズルから水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲で圧縮空気を送り込み、水中に浸漬した噴流水用ノズルから水を40cc/s〜100cc/sの範囲において、気泡の圧縮空気と同時に水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去するニッケル合金の水中におけるエンドミル切削加工法。
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