JP5298326B2 - 電解水を利用したステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法 - Google Patents

電解水を利用したステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法 Download PDF

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Description

この発明は、ステンレス鋼のエンドミル切削加工技術に係り、ステンレス鋼のエンドミル切削加工の欠点として、ステンレス鋼は、工具刃先に凝着、ステンレス鋼表面における加工硬化等が生じやすく、工具刃先の欠損、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が生じ、工具寿命が短く、切削した加工面が粗い等、様々な問題がある。
また、ステンレス鋼のエンドミル切削加工において、高品質、高能率、低コストを目標に、エンドミル切削工具への冷却効果及び潤滑効果を目的として、工具刃先に多量の切削油剤が噴射されている。
切削油剤の種類によっては、環境悪化の要因となる塩素系化合物等が含有されているので、環境等の問題が生じている。さらに、使用後の切削油剤における最終的な廃液処理は、重油を混入して焼却処分されるため、焼却による二酸化炭素の膨大な排出が余儀なくされているのが現状である。あるいは、窒素化合物を含有する切削油剤は、廃液を焼却処理した場合、窒素酸化物(NOx)を生成する可能性があるので、大気汚染の問題が生じる場合があると考えられる。
環境問題への関心が高まり、それに伴う産業廃棄物の削減やリサイクル化の促進が謳われているので、使用後の切削油剤の大部分が産業廃棄物として処理されることが問題となっている。
そこで、多量の切削油剤を使用しない方法で、環境に負荷をかけない方法において、工具刃先の欠損、チッピング(工具刃先の微小な欠損)の発生を抑制し、なおかつ平滑な加工面を得るエンドミル切削加工装置及びその加工方法に関するものである。
ステンレス鋼は、工具刃先に凝着、ステンレス鋼表面における加工硬化等が生じやすく、工具刃先の欠損、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が生じるので、多量の切削油剤を単独で工具刃先に噴射しながら切削加工が行われている。
「難削材の切削加工技術」狩野 勝吉著 工業調査会 「ステンレス鋼便覧」長谷川正義監修 日刊工業新聞社
ステンレス鋼のエンドミル切削加工において、上記の多量な切削油剤の使用は、環境問題になる可能性がある。切削油剤を使用してもエンドミル切削工具の刃先における異常な摩耗、チッピング等が発生し、工具寿命が短く、平滑な切削加工面を得ることが困難である。
また、圧縮空気によって環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を霧状に噴霧して、切削加工を行う方法(ミスト)も一部試験的に行われている。しかし、ミスト単独によるエンドミル切削加工の予備試験の結果、過酷な切削加工条件、特に、切削速度
100m/minでは、工具摩耗が著しく、平滑な切削加工面を得るが困難であった。
さらに、水を使用した場合、被削材であるステンレス鋼は、水に対して耐食性があるが、工作機械、あるいは周辺機器への錆の発生が問題である。工作機械等の錆の発生は、切削加工精度が低下するので、切削加工性の向上において問題がある。
電解水は、環境に負荷をかけない、すなわち環境にやさしいことが指摘され、工作機械の防食効果等が期待されている。
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、環境問題になる可能性がある上記の切削油剤を使用せずに、環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤(ミスト)及び電解水を使用し、かつ環境にやさしい冷却方法及び潤滑方法で、工具刃先の異常な摩耗、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が発生せず、平滑な加工面を得ることができ、さらに、フライス盤等の工作機械の防錆が可能となるステンレス鋼のエンドミル切削加工装置及びその加工方法を提供することにある。
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れた容器中にステンレス鋼を電解水に浸漬する容器と、圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧するミスト用ノズルと、電解水を前述のエンドミル切削工具に噴射させるもう一つの冷給電解水用ノズルと、切り屑を除去するために電解水中におけるエンドミル切削工具に向けて切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込む圧縮空気用ノズルと、さらに、電解水中のエンドミル切削工具に向けて電解水を噴射させながら切り屑を除去するために電解水中に浸漬した噴流電解水用ノズルとから構成するステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、容器中に電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れ、さらにステンレス鋼を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給電解水用ノズルから電解水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、電解水中に浸漬した噴流電解水用ノズルから電解水及び圧縮空気(気泡)と同時に電解水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去する電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工法よりなるものである。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、容器中にpH8〜pH12のアルカリ性電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れ、さらにステンレス鋼を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給電解水用ノズルから電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲で前述のエンドミル切削工具に噴射させ、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲で圧縮空気を送り込み、電解水中の浸漬した噴流電解水用ノズルから電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲において、圧縮空気(気泡)と同時に電解水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去する電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工法よりなるものである。
以上の記載より明らかなように、請求項1によれば、電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れた容器中にステンレス鋼を電解水に浸漬する容器と、圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧するミスト用ノズルと、電解水を前述のエンドミル切削工具に噴射させるもう一つの冷給電解水用ノズルと、切り屑を除去するために電解水中におけるエンドミル切削工具に向けて切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込む圧縮空気用ノズルと、さらに、電解水中のエンドミル切削工具に向けて電解水を噴射させながら切り屑を除去するために電解水中に浸漬した噴流電解水用ノズルとから構成するステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置によって、工作機械(フライス盤)が錆びることなく、エンドミル切削工具刃先の摩耗幅が小さく、良好な加工面粗さを得ることが可能である。
以上の記載より明らかなように、請求項2によれば、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、容器中に電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れ、さらにステンレス鋼を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給電解水用ノズルから電解水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、電解水中に浸漬した噴流電解水用ノズルから電解水及び圧縮空気(気泡)と同時に電解水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去する電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工法によって、工作機械(フライス盤)が錆びることなく、エンドミル切削工具刃先の摩耗幅が小さく、平滑な加工面粗さを得ることが可能である。
以上の記載より明らかなように、請求項3によれば、請求項1に記載した切削加工装置による加工において、容器中にpH8〜pH12のアルカリ性電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れ、さらにステンレス鋼を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給電解水用ノズルから電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲で前述のエンドミル切削工具に噴射させ、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲で圧縮空気を送り込み、電解水中の浸漬した噴流電解水用ノズルから電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲において、圧縮空気(気泡)と同時に電解水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去する電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工法によって、工作機械(フライス盤)が錆びることなく、エンドミル切削工具刃先の摩耗幅が小さく、平滑な加工面粗さを得ることが可能である。
以下、この発明をより具体的に説明する。
ここで、図1は、電解水を利用したステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法の概略図である。
図1において、ステンレス鋼1を電解水中でエンドミル切削加工を行う場合におけるステンレス鋼1と電解水2、ドライアイス3及び発泡性洗浄剤4を入れる容器には、例えば純銅製容器5が使用される。純銅製容器5は、四側面及び底面部分が純銅で形成され、上面が開放された構造になっている。純銅製容器5は例えば、外寸が長さ230mmX幅120mmX高さ70mmの容器の内側に内寸が長さ210mmX幅100mmX深さ60mmの穴部を作製したものから構成されている。その内部にステンレス鋼1と電解水2、ドライアイス3及び発泡性洗浄剤4が入れられる。ステンレス鋼1は電解水2、ドライアイス3及び発泡性洗浄剤4の中に浸漬されている。
純銅製容器5の内部に入れられた電解水中のステンレス鋼1の側面部分を切削する円柱形状のエンドミル切削工具6が、純銅製容器5の開放された上方から下向きに取り付けられる。図面では、エンドミル切削工具6を装着する装置本体部分は省略している。
この下向きに取り付けられたエンドミル切削工具6を挟んでミスト用ノズル7と冷給電解水用ノズル8が取り付けられている。また図面では冷給電解水用ノズル8側の後方側にノズル先端が電解水2の中に浸漬された圧縮空気用ノズル9が取り付けられている。
このうちミスト用ノズル7は、圧縮空気によって霧状になった環境に優しい植物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具6に向けて噴霧するものである。ミスト用ノズル7のノズルの先端はエンドミル切削工具6に向けて取り付けられている。ミスト用ノズル7には極微量の油剤を圧縮空気によって霧状に送り出すタンク等に一端が接続される図示しないホースの他端側が接続されている。
冷給電解水用ノズル8は冷給電解水を回転しているエンドミル切削工具に向けて、電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲で噴射するものである。冷給電解水用ノズル8のノズルの先端はエンドミル切削工具6に向けて取り付けられている。冷給電解水用ノズル8には、電解水生成装置及び冷給電解水を溜めたタンク等に一端が接続される図示しないホースの他端側が接続されている。
圧縮空気用ノズル9は、エンドミル切削工具6によって切削加工が行われている電解水中のステンレス鋼1に向けて、圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲の圧縮空気を送り込んで、電解水中の気泡をエンドミル切削工具6に噴射させる機能を果たす。圧縮空気用ノズル9は圧縮空気を送り込む図示しないホースの一端が接続されている。
噴流電解水用ノズル10はエンドミル切削工具6によって切削加工が行われている電解水中のステンレス鋼1に向けて、電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲で噴射するものである。電解水中の噴流電解水を噴射させる機能を果たす。噴流電解水用ノズル10には、電解水生成装置及び冷給用電解水を溜めたタンク等に一端が接続される図示しないホースの他端側が接続されている。
電解水を利用したステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工は、以下のとおりである。
(1)ステンレス鋼1を純銅製容器5に固定する。
(2)純銅製容器5に電解水2、ドライアイス3及び発泡性洗浄剤4を入れる。純銅製容器5は、長さ230mmX幅120mmX高さ70mmの容器に長さ210mmX幅100mmX深さ60mmの穴部を作製したものから構成されている。
(3)エンドミル切削工具6を所定の回転数に上げ、所定の回転数になったエンドミル切削工具6に向けて、ミスト用ノズル7からミストを噴霧し、冷給電解水用ノズル8から電解水を噴射する。なお、ミスト用ノズル7及び圧縮空気用ノズル9の形状は、外径7mm、内径3mmである。冷給電解水用ノズル8、噴流電解水用ノズル10の形状は、外径8mm、内径4mmである。
(4)エンドミル切削工具6に電解水、圧縮空気、ミストを噴射あるいは噴霧を行いながら、ステンレス鋼1の側面において、エンドミル切削加工を行う。
(5)所定量のエンドミル切削加工が終了すれば、エンドミル切削工具の刃先における摩耗量(逃げ面摩耗幅)を測定し、顕微鏡で工具刃先の摩耗状況を観察した。さらに切削加工を行った加工面の凹凸(加工面の表面粗さ)を測定した。評価(表1)において、×印は、工具刃先の逃げ面摩耗幅が、10μm以上の場合、加工面の表面粗さ(最大高さRy)が、4μm以上の場合である。○印は、工具刃先の逃げ面摩耗幅が、10μmより小さく、かつ加工面の表面粗さ(最大高さRy)が、4μmより小さい場合である。
被削材のステンレス鋼は、SUS304を使用した。切削工具は、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具(外径8mm、3枚刃)を使用した。ステンレス鋼の形状は、長さ100mmX幅50mmX高さ45mmである。
ドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加した電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工試験では、図1に示すエンドミル切削工具にミスト、電解水を噴射させる。さらに、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズル及び噴流電解水用ノズルから圧縮空気による気泡と電解水をエンドミル切削工具に噴射させて、切り屑を除去しながら切削加工を行った。
エンドミル切削加工の試験条件は、「電解水を利用したニッケル合金の電解水中におけるエンドミル切削加工装置及びその加工方法(特願2007−063015)」における最適な試験条件である。上記の最適な試験条件は、ミスト用ノズル、冷給電解水用ノズル、噴流電解水用ノズル、圧縮空気用ノズルの試験条件は、ミストの油剤量(4cc/時間)、冷給電解水用ノズルの電解水量(40cc/s〜100cc/s)、噴流電解水用ノズルの電解水量(40cc/s〜100cc/s)、電解水中の圧縮空気量(10L/min)(泡の大きさ20mm〜30mm)である。
電解水のpH濃度は、pH8〜pH 12の範囲で行った。予備試験の結果、前述のpH濃度の範囲では、pH濃度の変化に伴う逃げ面摩耗幅、表面粗さの変化はなく、工作機械、周辺機器への著しい錆の発生はなかった。また、被削材にステンレス鋼において、上記のpH濃度範囲では、腐食等は観察されなかった。
予備試験の結果、pH12より高い値は装置上、制御することが困難であった。特に、pH13より高い場合、工作機械の主成分であるFeは、アルカリ腐食の範囲になる。pH8より小さい値の場合、工作機械、周辺機器等に錆が発生した。なお、予備試験の結果、電解水1000mlに対して、ドライアイスを250g添加した場合、pHが酸性側に移行する可能性があった。そこで、水溶液中で弱アルカリ性を示す発泡性洗浄剤を10g〜20g添加すれば、pH8〜pH12の範囲で制御することが可能であった。なお、エンドミル切削加工試験では、電解水をオーバーフローしながら、上記のドライアイスの添加量及び発泡性洗浄剤の添加量を調整しつつ、常に電解水のpH濃度をpH8〜pH12の範囲で制御した。
表1は、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具において、電解水中にドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加した場合における試験結果の一例である。表中の「(ドライアイス及び発泡性洗浄剤添加)電解水中」は、上記のエンドミル切削加工の試験結果であり、ミスト用ノズル、冷給電解水用ノズル、噴流電解水用ノズル、圧縮空気用ノズルの試験条件は、ミストの油剤量(4cc/時間)、冷給電解水用ノズルの電解水量(50cc/s)、噴流電解水用ノズルの電解水量(50cc/s)、電解水中の圧縮空気量(10L/min)(泡の大きさ20mm〜30mm)である。また、エンドミル切削工具の切削速度は、100m/min、切削距離は、約2mである。なお、比較のために、切削油剤、ミスト、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加していない電解水中、ドライアイスを添加した(発泡性洗浄剤を添加していない場合)電解水中での試験結果を表1に示す。表中の「切削油剤」は、1本の切削油剤用ノズル(外径8mm、内径4mm)で、切削油剤量が50cc/sにおいて、エンドミル切削加工を行った試験結果である。表中の「ミスト」は、1本のミスト用ノズル(外径7mm、内径3mm)で、ミストの油剤量が4cc/時間において、エンドミル切削加工を行った試験結果である。表中の「電解水中」は、電解水中にドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加していない場合の試験結果であり、ミスト用ノズル、冷給電解水用ノズル、噴流電解水用ノズル、圧縮空気用ノズルの試験条件は、上記の試験条件(ミストの油剤量(4cc/時間)、冷給電解水用ノズルの電解水量(50cc/s)、噴流電解水用ノズルの電解水量(50cc/s)、電解水中の圧縮空気量(10L/min)(泡の大きさ20mm〜30mm))と同一である。表中の「(ドライアイス添加)電解水中」は、電解水中にドライアイスのみを添加した(発泡性洗浄剤を添加していない場合)場合の試験結果であり、ミスト用ノズル、冷給電解水用ノズル、噴流電解水用ノズル、圧縮空気用ノズルの試験条件は、上記の試験条件と同一である。
表1の結果より、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加した電解水中のステンレス鋼におけるエンドミル切削加工方法は、切削油剤、ミスト、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加していない電解水中、ドライアイスを添加した(発泡性洗浄剤を添加していない場合)電解水中のエンドミル切削加工方法よりも逃げ面摩耗幅、表面粗さが良好な結果が得られた。
表1の結果より、ドライアイスの温度(約-78℃)が極めて低温であるので、ドライアイスの添加により、電解水中に発生する泡が、冷却効果があったため、工具刃先の冷却に有効であり、工具の刃先における逃げ面摩耗幅が抑制されたと考えられる。さらに、発泡性洗浄剤の添加により、電解水中に発生する微少な泡(約5mm以下)が、工具刃先に付着する切り屑の除去に有効であったため、逃げ面摩耗幅が抑制され、表面粗さの値が低下した結果になったと推測される。
さらに、上記の電解水中にドライアイス及び発泡性洗浄剤を添加した場合におけるエンドミル切削加工方法は、ミスト用ノズルから発射されるミスト、冷給電解水用ノズル及び噴流電解水用ノズルから発射される電解水、圧縮空気用ノズルから発射される圧縮空気(気泡)における効果(工具摩耗の抑制等)だけでなく、ドライアイスが発生する冷却効果のある泡及び発泡性洗浄剤が発生する微少な泡が、工具刃先の摩耗防止、切り屑の除去において、相乗効果として作用し、逃げ面摩耗幅、表面粗さが極めて良好な結果を得ることができたと考えられる。
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものでなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。


この発明を実施するための最良の形態を示す電解水を利用したステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置の模式図である。 表1は、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具による切削加工試験結果である。
符号の説明
1 ステンレス鋼
2 電解水
3 ドライアイス
4 発泡性洗浄剤
5 純銅製容器
6 エンドミル切削工具
7 ミスト用ノズル
8 冷給電解水用ノズル(電解水生成装置に接続)
9 圧縮空気用ノズル
10 噴流電解水用ノズル(電解水生成装置に接続)

Claims (3)

  1. 電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れた容器中にステンレス鋼を電解水に浸漬する容器と、圧縮空気によって霧状になった物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧するミスト用ノズルと、電解水を前述のエンドミル切削工具に噴射させるもう一つの冷給電解水用ノズルと、切り屑を除去するために電解水中におけるエンドミル切削工具に向けて切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込む圧縮空気用ノズルと、さらに、電解水中のエンドミル切削工具に向けて電解水を噴射させながら切り屑を除去するために電解水中に浸漬した噴流電解水用ノズルとから構成するステンレス鋼の電解水中におけるエンドミル切削加工装置。
  2. 請求項1に記載した切削加工装置による加工において、容器中に電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れ、さらにステンレス鋼を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給電解水用ノズルから電解水を前述のエンドミル切削工具に噴射させ、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に気泡で圧縮空気を送り込み、電解水中に浸漬した噴流電解水用ノズルから電解水及び圧縮空気(気泡)と同時に電解水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去する電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工法。
  3. 請求項1に記載した切削加工装置による加工において、容器中にpH8〜pH12のアルカリ性電解水、ドライアイス及び発泡性洗浄剤を入れ、さらにステンレス鋼を浸漬し、固定した後、ミスト用ノズルから圧縮空気によって霧状になった物油をベースにした極微量の油剤を回転しているエンドミル切削工具に噴霧し、もう一つの冷給電解水用ノズルから電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲で前述のエンドミル切削工具に噴射させ、電解水中に浸漬した圧縮空気用ノズルから、切削加工を行う方向に圧縮空気量が10L/min、気泡の大きさが20mm〜30mmの範囲で圧縮空気を送り込み、電解水中の浸漬した噴流電解水用ノズルから電解水を40cc/s〜100cc/sの範囲において、圧縮空気(気泡)と同時に電解水中のエンドミル切削工具に噴射させながら切り屑を除去する電解水中におけるステンレス鋼のエンドミル切削加工法。
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