以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の遊技機の一例を示す正面図であり、図2は、当該遊技機の部分拡大図である。遊技機1は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(図3における符号292を参照)を備える操作ハンドル113が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a、102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、図示を省略する複数の釘が設けられ、遊技球を各種の方向に向けて落下させるとともに、落下途中の位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や、入球口が配設されている。
遊技盤101の遊技領域103の中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104としては、例えば液晶表示器(LCD)が用いられる。図柄表示部104の下方には、遊技領域103に向けて打ち込まれた遊技球を受入れ可能な第1始動口105が配置されている。第1始動口105の下方には、図2に示すように、一対の可動片120aを有する第2始動口120が配置されている。第2始動口120は、図2(a)に示すように、一対の可動片120aが閉状態であるときは遊技球を受入れることが不可能または受入れ困難となっており、図2(b)に示すように、この一対の可動片120aが開状態であるときは、第1始動口105よりも遊技球の受入れが容易となる。上記一対の可動片120aは、通常遊技状態においては第1始動口105よりも遊技球が入球しにくい第1の状態に制御される機会が多く、時短状態等の特別遊技状態においては第1始動口105よりも遊技球が入球しやすい第2の状態に制御される機会が多くなる。なお、本実施形態における時短状態とは、上記第2始動口120が頻繁に第2の状態に制御される遊技状態をいう。
また、図柄表示部104の左側には入賞ゲート106が配設されている。
入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、第2始動口120を一定時間だけ開放させる普通図柄の抽選を行うために設けられる。図柄表示部104の側部や下方等には普通入賞口107が配設されている。普通入賞口107に遊技球が入球すると、所定の賞球数(例えば10個)の払い出しが行われる。遊技領域103の最下部には、どの入球口にも入球しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
図柄表示部104の右下には、後述する第1特別図柄抽選手段300による抽選結果を表示する第1特別図柄表示器84と、第2特別図柄抽選手段320による抽選結果を表示する第2特別図柄表示器86とが設けられている。これら両表示器84、86においては、特別図柄が変動表示された後、最終的に抽選結果が表示される。そして、この特別図柄の変動表示中に第1始動口105あるいは第2始動口120に遊技球が入球すると、当該入球によって得られる特別図柄の変動表示の権利、いわゆる保留球が留保される。この留保された保留球の数は、第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄保留表示器90に表示される。なお、上記第1特別図柄表示器84と第2特別図柄表示器86とによって、本発明の特別図柄変動表示手段を構成している。
また、上記と同様に、入賞ゲート106に遊技球が入球すると、普通図柄抽選手段360による抽選が行われるが、この抽選結果を表示する普通図柄表示器82が設けられている。そして、普通図柄の変動表示中に入賞ゲート106に遊技球が入球することによって得られる普通図柄の変動表示の権利、すなわち保留球の数が、普通図柄保留表示器92に表示される。
これらの各表示器82、84、86、88、90、92は、例えばLEDで構成されており、このLEDの点灯態様によって、第1特別図柄抽選手段300による抽選結果、第2特別図柄抽選手段320による抽選結果、普通図柄抽選手段360による抽選結果、第1始動口105に入球して得られた保留球の数、第2始動口120に入球して得られた保留球の数、および入賞ゲート106に入球して得られた保留球の数が報知される。
上述した図柄表示部104は、第1始動口105または第2始動口120に遊技球が入球したときに、複数の装飾図柄の変動表示を開始し、所定時間後に当該装飾図柄の変動を停止させる。この停止時に特定図柄(例えば「777」)が揃ったとき、大当たり状態となる。大当たり状態のとき、下方に位置する大入賞口開閉装置109における大入賞口開閉扉109aを一定の期間開放する動作を所定回数(例えば15回)繰り返し、入球した遊技球に対応した数の賞球を払い出す。また、図柄表示部104は、第1始動口105に遊技球が入球したことにより、当該第1始動口105の入球に係る装飾図柄を変動表示し、第2始動口120に遊技球が入球したことにより、当該第2始動口120の入球に係る装飾図柄を変動表示する。本実施形態においては、第1始動口105あるいは第2始動口120に遊技球が入球した場合、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86において特別図柄が変動表示され、この特別図柄の変動表示中に、図柄表示部104において、装飾図柄が変動表示される。そして、第1始動口105と第2始動口120との双方に、変動表示の権利いわゆる保留球がある場合には、第2始動口120への入球によって得られた保留球が優先して消化される。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材110は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。これにより、本実施形態の遊技機を、枠部材110を備えていない他機種の遊技機よりも目立たせることができる。遊技機を目立たせることにより、遊技機の稼働率の向上を図るとともに、遊技機に対する不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110において、遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト111(ランプユニット)が設けられている。演出ライト111は、それぞれ、複数のライト112を備えている。各ライト112は、遊技機の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、光の照射方向を上下方向に変更することができる。各ライト112は、演出ライト111に設けられたモータ(図示せず)によって、光の照射方向を上下方向に変更するように駆動される。
また、各ライト112は、遊技機の周囲を照射し、その照射位置が遊技機を基準にして円をなすように、光の照射方向を回転させることができる。各ライト112は、演出ライト111に設けられたモータによって、光の照射方向を回転させるように駆動される。各ライト112から光の照射方向を回転させるように駆動するモータは、各ライト112からの光の照射方向を上下方向に変更するモータとは別のモータである。
演出ライト111は、各ライト112から照射される光の照射方向を、上下方向に変更しながら回転させることにより、演出ライト111全体から照射する光の照射方向を3次元に変更することができる。
光の照射方向は、たとえば、大当たり状態となった場合に変更させる。これにより、遊技者および遊技機の周囲を順次照射して、遊技機が大当たり状態となっていることを周囲に知らしめることができ、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができる。
したがって、遊技者に対して、注目されていることによる高揚感を与え、本実施形態の遊技機を継続あるいは繰り返して利用させ、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
また、光の照射方向あるいは照射パターンは、例えば、遊技機に対する不正行為がおこなわれた場合など、通常の遊技時とは異なる異常事態が発生した場合に異ならせるようにしてもよい。これにより、不正行為などの異常事態を迅速に発見するとともに、遊技機に対する次回以降の不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技球が供給される受け皿ユニット119が設けられている。この受け皿ユニット119には、図示しない貸し玉装置から貸し出される遊技球が供給される。
枠部材110の下部位置には、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル113は、上記の枠部材110と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。
操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。公知の技術であるため説明を省略するが、操作ハンドル113には、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。
図柄表示部104の上側および側方(図1においては紙面右側)には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)115、116が設けられている。本実施形態の遊技機における演出役物115、116は、日本刀の一部(鍔の周辺)を模式的にあらわしている。演出役物115、116は、鞘から刀身を抜き、抜いた刀身を再び鞘に戻すかの如くに、演出役物115、116の長手方向に沿って移動可能に設けられている。
演出役物115は、ソレノイドによって駆動され、演出役物116は、モータによって駆動される。同様の演出役物115、116を異なる種類の駆動源によって駆動することにより、演出役物115、116それぞれに独自の動きをおこなわせることができ、これによって演出効果を増大させることができる。
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。チャンスボタン117の操作は、例えば、遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
加えて、枠部材110には、演出効果音、または不正を知らしめる音声を出力するスピーカ(図3における符号277を参照)が組み込まれている。このスピーカ277は高音・中音・低音の領域を出力できるタイプのもので、通常演出時は高音・中音・低音をバランス良く出力するが、後述する特別演出時または不正等があった場合には、周りに良く聞こえるように高音領域を高く出力するように制御されている。
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技機1の制御手段の内部構成を示すブロック図である。制御手段200は、複数の制御基板により構成されている。図示の例では、主制御基板201と、副制御基板202と、賞球制御基板203と、ランプ制御基板206とで構成されている。
主制御基板201は遊技機1の遊技にかかる基本動作を制御し、ROM201bに記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU201aと、CPU201aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM201c等を備えて構成される。
この主制御基板201では遊技に係る大当たりの抽選を行っており、また、この抽選結果に基づき、ROM201bに記録されている演出のコマンドの選択を行っている。このROM201bに格納されている演出実行コマンドは120種類程度あり、後に詳しく説明する各リーチ演出実行コマンドではそれぞれ演出時間が決定されている。
この主制御基板201の入力側には、第1始動口105に入球した遊技球を検出する第1始動口検出部221と、第2始動口120に入球した遊技球を検出する第2始動口検出部225と、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入球した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口開閉装置109に入球した遊技球を検出する大入賞口検出部224と、が接続されている。
また、この主制御基板201の出力側には、大入賞口開閉部231が接続され、大入賞口開閉装置109の開閉を制御する。大入賞口開閉部231は、大当たり時に大入賞口開閉装置109を一定期間開放する機能であり、大入賞口開閉ソレノイド109b(詳細な図示はしない)等のソレノイドを用いて構成される。この大当たりは、生成した乱数に基づき所定の確率で発生するよう予めプログラムされている。
副制御基板202の入力側には、上記のチャンスボタン117が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。
この副制御基板202は、主に遊技中における演出の制御をおこなうもので、主制御基板201より送信される演出コマンドに基づき、演出の抽選及び演出処理を実行するCPU202aと、プログラム及び過去の演出パターンを記憶するROM202bと、CPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM202c等を備えている。
この副制御基板202は、主制御基板201より送信される遊技演出の一部を構成する演出コマンドを受信し、この演出コマンドに基づきCPU202aにて抽選を行い、演出背景パターン、リーチ演出パターン、登場キャラクタ等の演出を確定し、この演出確定コマンドを送信して遊技における副制御を行う。
なお、このCPU202aは、所定回数変動の過去の演出パターンと比較して、主制御基板201より送信される演出コマンドの範中で連続して同一の演出パターンを発生させないように制御する機能を備えてなるものであってもよい。
副制御基板202の出力側には、図柄表示部104が接続されており、副制御基板202は、上述した演出確定コマンドに基づく演出処理を実行する機能も有する。すなわち、副制御基板202におけるCPU202aは、演出確定コマンドに基づき演出処理を実行し、ROM202bは背景画像、図柄画像、キャラクタ画像など各種画像データを記憶し、RAM202cはCPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。そして、副制御基板202は、図柄表示部104に表示させる画像データを書き込むVRAM202dをさらに備えて構成される。
そして通常、CPU202aがROM202bに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示及び変動処理、キャラクタ画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM202bから読み出してVRAM202dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクタ画像は、表示画面上において図柄表示部104に重畳表示される。すなわち、図柄画像やキャラクタ画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM202dに記憶させる。
また副制御基板202の出力側には、スピーカ277が接続されており、副制御基板202は、上述した演出確定コマンドに基づく演出処理として音声を出力制御する機能も有する。すなわち、副制御基板202における、CPU202aは演出確定コマンドに基づき音声処理を実行し、ROM202bは各種音声データを記憶し、RAM202cはCPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。そして、各種演出が実行される際に、演出確定コマンドに基づき、CPU202aがROM202bに記憶されたプログラムを読み込んで、演出効果音処理などの各種音声出力処理を実行しスピーカ277より音声出力を行う。
また副制御基板202の出力側には、ランプ262、演出ライト111及び役物部254を制御するランプ制御基板206を備えている。
ランプ制御基板206は、副制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき演出処理を実行するCPU206aと、各種演出パターンデータを記憶するROM206bと、CPU206aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM206c等を備えて構成される。
ランプ制御基板206は、副制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行い、また、演出ライト111における複数のライト112に対する点灯制御等を行い、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータに対する駆動制御等を行う。
また、ランプ制御基板206は、副制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき、役物部254に対しては、演出役物115を動作させるソレノイドに対する駆動制御等を行い、演出役物116を動作させるモータに対する駆動制御等を行う。
また、上記主制御基板201には賞球制御基板203が双方向にて送信可能に接続されている。賞球制御基板203は、ROM203aに記憶されたプログラムに基づき、賞球制御を行う。この賞球制御基板203は、賞球制御の処理を実行するCPU203aと、CPU203aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM203c等を備えて構成される。
賞球制御基板203は、接続される払出部291に対して入球時の賞球数を払い出す制御を行う。また、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
賞球制御基板203は、この払出部291に対して、各入球口(第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、大入賞口開閉装置109)に入球した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサ(図示しない)と、遊技球を発射させるソレノイド等(図示しない)を備える。賞球制御基板203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
(主制御基板および副制御基板の機能的な構成について)
図4は、遊技の進行を制御する制御手段200の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図4に示すように、主制御基板201のROM201bは、主に第1始動口105に遊技球が入球したときに機能する手段として、第1特別図柄抽選手段300、第1特別図柄表示制御手段301、第1特別図柄変動制御手段302、第1乱数判定手段303を備えている。
また、ROM201bは、主に第2始動口120に遊技球が入球したときに機能する手段として、第2特別図柄抽選手段320、第2特別図柄表示制御手段321、第2特別図柄変動制御手段322、第2乱数判定手段323を備えている。
また、ROM201bは、遊技を進行制御する手段として、大当たり遊技制御手段340、確変遊技制御手段341、時短遊技制御手段342、通常遊技制御手段343、事前判定手段330、および抽選結果判定手段310を備えている。
さらに、ROM201bは、入賞ゲート106に遊技球が入球したときに機能する手段として、普通図柄抽選手段360、普通図柄表示制御手段361、普通図柄変動制御手段362、普通図柄抽選結果判定手段363を備えている。
また、主制御基板201のRAM201cは、第1特別図柄保留記憶手段401、第2特別図柄保留記憶手段402、普通図柄保留記憶手段403、遊技状態記憶手段404を備えている。
一方、副制御基板202のROM202bには、演出抽選手段501および演出制御手段502を備えている。
また、副制御基板202のRAM202cには、第1演出データ保留記憶手段510、および第2演出データ保留記憶手段511を備えている。
なお、上記第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320によって、本発明の遊技データ抽選手段を構成している。
また、上記第1特別図柄保留記憶手段401によって、本発明の第1変動表示保留手段を構成し、上記第2特別図柄保留記憶手段402によって、本発明の第2変動表示保留手段を構成している。
上記大当たり遊技制御手段340、確変遊技制御手段341、時短遊技制御手段342および通常遊技制御手段343、は、いずれも各遊技状態において遊技の進行を制御するプログラムである。
大当たり遊技制御手段340は、後述する第1特別図柄抽選手段300または第2特別図柄抽選手段320による大当たり抽選の結果、大当たりに当選し、通常遊技から大当たり遊技へと移行したときに、当該大当たり遊技の進行を制御する。具体的には、大当たり遊技制御手段340は、大入賞口開閉装置109の開閉動作を計15ラウンドにわたって行う長当たり遊技と、大入賞口開閉装置109の開閉動作を2ラウンドにわたって行う短当たり遊技とを制御する。なお、本実施形態においては、「長当たりおよび短当たり」を「大当たり」と総称し、「長当たり遊技および短当たり遊技」を「大当たり遊技」と総称する。
上記のように、長当たり遊技が実行されるときは、大入賞口開閉装置109の開閉動作が、短当たり遊技のときの大入賞口開閉装置109の開閉動作よりも多く実行されるようにしている。この大入賞口開閉装置109の開閉動作は、大入賞口開閉部231によって大入賞口開閉ソレノイド109bを作動させることによって行われる。具体的には、大当たり遊技制御手段340が、長当たり遊技状態では1ラウンドから15ラウンドまで、短当たり遊技状態では2ラウンドだけ、大入賞口開閉ソレノイド109bを作動させて、大入賞口開閉扉109aを開閉させる。そして、大入賞口開閉装置109に遊技球が入球すると、大入賞口検出部224によって入球数がカウントされる。また、大入賞口開閉装置109に遊技球が入球したことが、大入賞口検出部224に検出されると、払出部291によって賞球として遊技球が払い出される。
ここで、「ラウンド」とは、長当たり遊技および短当たり遊技が実行されている場合において、所定時間(例えば、30秒)経過することおよび所定数(例えば9球)の遊技球が入球することのいずれかの条件を満たすことによって大入賞口開閉装置109が開閉動作する単位を意味する。本実施形態においては、短当たり遊技における1ラウンド当たりの大入賞口開閉装置109の開放時間は、長当たり遊技における1ラウンド当たりの大入賞口開閉装置109の開放時間よりも極めて短い時間(例えば、1秒)に設定している。
確変遊技制御手段341は、長当たり遊技または短当たり遊技が実行されたのちの遊技において、第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320が抽選を行う際に、大当たりへの当選確率を高める確変遊技状態を制御する。詳しくは後述するが、第1特別図柄抽選手段300による当否判定を第1特別図柄確変時当たり判定用テーブルに基づいて行い、第2特別図柄抽選手段320による当否判定を第2特別図柄確変時当たり判定用テーブルに基づいて行う。
本実施形態において、「確変遊技」とは、第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320による当否判定が、それぞれ、第1特別図柄確変時当たり判定用テーブルおよび第2特別図柄確変時当たり判定用テーブルに基づいて行われる遊技を意味する。また、確変遊技が行われている遊技状態を「確変遊技状態」と称する。ここで、特別図柄確変時当たり判定用テーブル(第1特別図柄確変時当たり判定用テーブルおよび第2特別図柄確変時当たり判定用テーブル)は、特別図柄通常時当たり判定用テーブルよりも長当たりおよび短当たりへの当選確率が高く設定されている(例えば、通常時に比べて約10倍程度当選確率が高く設定される。詳細は後述する)。
なお、本実施形態においては、第1特別図柄抽選手段300によって抽選された乱数が、長当たりと判定された場合には、長当たり遊技が実行されたのちに例えば2分1の確率で確変遊技状態となり、短当たりと判定された場合には、短当たり遊技が実行されたのちに例えば2分の1の確率で確変遊技状態となる。また、第2特別図柄抽選手段320によって長当たりと判定された場合には、長当たり遊技が実行されたのち2分の1の確率で確変遊技状態となり、短当たりと判定された場合には、短当たり遊技が実行されたのちほぼ100%の確率で確変遊技状態となる。一方、第2特別図柄抽選手段320によって抽選された乱数が、長当たりと判定された場合には、長当たり遊技が実行されたのちに例えば60%の確率で確変遊技状態となる。ただし、短当たりと判定された場合には、上記と同様に、短当たり遊技が実行されたのちにほぼ100%の確率で確変遊技状態となる。
また、上記の短当たりと略同様の態様であるものの、当該短当たり遊技が実行されたのちに確変遊技状態とならずに時短遊技状態となる通常短当たりや、確変遊技状態および時短遊技状態のいずれともならずに通常遊技状態となる小当たり等を適宜組み合わせてもよい。
時短遊技制御手段342は、普通図柄抽選手段360による抽選において抽選時間を短くする時短遊技を制御する。なお、確変遊技状態のときには、確変遊技制御手段341による確変遊技と併せて、時短遊技制御手段341による時短遊技が行われる。
本実施形態において、「時短遊技状態」とは、後述する普通図柄抽選手段360による抽選が、普通図柄時短時当たり判定用テーブルに基づいて行われる遊技状態を意味する。つまり、普通図柄抽選手段360は、通常遊技状態においては、普通図柄通常時当たり判定用テーブルに基づいて抽選を行うが、時短遊技状態においては、普通図柄時短時当たり判定用テーブルに基づいて抽選が行われる。普通図柄時短時当たり判定用テーブルは、普通図柄通常時当たり判定用テーブルよりも抽選時間が短く設定されている。
なお、普通図柄抽選手段360による抽選の結果、当たりが当選すると、一対の可動片120aが一定時間開放し、遊技球が第2始動口120に入球しやすくなる。そして、普通図柄時短時当たり判定用テーブルは、当選確率が例えば90%と高く設定されている。したがって、時短遊技状態においては、第2始動口120への入球による賞球を多く獲得することが可能となり、遊技球を極力減らすことなく遊技を進行することができる。
また、上記確変遊技および時短遊技のように、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技価値が付与された状態で行われる遊技を特別遊技という。
そして、通常遊技制御手段343は、上記大当たり遊技、特別遊技のいずれにも該当しない遊技、すなわち通常遊技を進行制御する。上記のように、遊技状態によって、大当たり遊技制御手段340、確変遊技制御手段341、時短遊技制御手段342、および通常遊技制御手段343のいずれかが遊技の進行を制御することとなるが、これら各制御手段340〜343が進行している遊技状態は、RAM201cの遊技状態記憶手段404に書き込まれるようにしている。
次に、遊技球が入賞ゲート106を通過することによって制御を開始する普通図柄抽選手段360、普通図柄表示制御手段361、普通図柄変動制御手段362、普通図柄抽選結果判定手段363、および普通図柄保留記憶手段403について説明する。
普通図柄抽選手段360は、遊技球が入賞ゲート106を通過してゲート検出部222により検出されると、予め用意された乱数値(例えば、0〜250)から乱数を抽出する。普通図柄抽選手段360によって乱数値が抽出されると、普通図柄抽選結果判定手段363が、ROM201bに記憶されたテーブルに基づいて当たりか否かの判定を行う。このとき、通常遊技状態であれば普通図柄通常時当たり判定用テーブルに基づいて当たりが判定され、時短遊技状態時(確変遊技状態時も含む)であれば普通図柄時短時当たり判定用テーブルに基づいて当たりが判定される。
普通図柄抽選結果判定手段363による判定の結果、当たりである場合には、第2始動口開閉ソレノイド120bを作動させて可動片120aを所定時間、あるいは所定個数の遊技球の入球があるまで開放し、ハズレであった場合には第2始動口開閉ソレノイド120bを作動させることなく制御を終了する。したがって、普通図柄抽選結果判定手段363による判定の結果がハズレであった場合には、第2始動口120が開放されることなく、閉状態が維持されることとなる。そして、普通図柄抽選結果判定手段363による判定の結果は、普通図柄表示制御手段361によって普通図柄表示器82に表示される。
なお、入賞ゲート106を遊技球が通過してから、判定結果が普通図柄表示器82に表示されるまでには所定時間を要する。この間に、さらに遊技球が入賞ゲート106を通過した場合には、普通図柄抽選手段360による抽選の権利が、普通図柄保留記憶手段403に留保される。この抽選の権利の留保は最大4つであり、普通図柄表示制御手段361によって普通図柄保留表示器92に表示される。
次に、遊技球が第1始動口105または第2始動口120に入球した際の制御について説明する。
第1始動口105に遊技球が入球したことを第1始動口検出部221が検出すると、当該検出信号が主制御基板201に送信される。当該信号を受信すると、第1特別図柄抽選手段300が、予め用意された乱数値(例えば、0〜600)の中からいずれかの乱数値を抽出する。ここで抽出した乱数値には、当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数が含まれている。当たり乱数とは、大当たりか否かを判別するための乱数であり、図柄乱数とは、当たりの種類(長当たり、短当たり)を決定するための乱数である。そして、リーチ乱数とは、リーチ演出(後述する関連演出を含む)をするか否かを決定するための乱数である。
RAM201cには、遊技状態記憶手段404が設けられており、この遊技状態記憶手段404が、現在の遊技状態が通常遊技状態であるのか、特別遊技状態(確変遊技状態、時短遊技状態)であるのかを記憶している。そして、第1特別図柄抽選手段300が乱数値を抽出した際には、遊技状態記憶手段404に記憶された遊技状態に基づいて、第1乱数判定手段303が上記乱数値を判定する。
具体的には、通常遊技状態であれば、抽出された乱数値を特別図柄通常時当たり判定テーブルに基づいて判定し、確変遊技状態であれば特別図柄確変時当たり判定テーブルに基づいて判定する。そして、特別図柄通常時当たり判定テーブルには、第1特別図柄通常時当たり判定テーブル、第2特別図柄通常時当たり判定テーブルが用意されており、特別図柄確変時当たり判定テーブルにも、第1特別図柄確変時当たり判定テーブル、第2特別図柄確変時当たり判定テーブルが用意されている。これら各判定テーブルは、ROM201bに格納されており、遊技状態や入球した始動口に基づいて、それぞれ異なるテーブルが参照されるようにしている。
第1特別図柄抽選手段300によって抽出される乱数値は、図5に示すとおりである。図5(a)は、大当たりの当選確率および当たり乱数を示すテーブルの一例である。図5(b)は、図柄乱数すなわち大当たりに当選した場合における大当たり遊技の種類(ラウンド数、確変、通常)を決定するためのテーブル(第1特別図柄乱数判定テーブル)である。図5(c)は、リーチ演出もしくは後述の関連演出を行うか否か決定するためのテーブル(第1特別図柄リーチ乱数判定テーブル)である。
図5(a)に示すとおり、当たり乱数は0〜600までの601個の乱数値から一つ抽出される。そして、通常遊技状態で参照される特別図柄通常時当たり判定テーブルには、7および317が大当たり乱数として記憶されており、確変遊技状態で参照される特別図柄確変時当たり判定テーブルには、7、37、67、97、127、157、187、217、247、277、317、337、367、397、427、457、487、517、547、577が大当たりの乱数として記憶されている。
第1始動口105に遊技球が入球すると、第1特別図柄抽選手段300が上記当たり乱数を抽出する。このとき、通常遊技状態においては、第1乱数判定手段303が、特別図柄通常時当たり判定テーブルに基づいて、当該当たり乱数の当たりもしくはハズレを判定する。つまり、第1始動口105の入球によって抽選された当たり乱数が、7または317である場合には当たりと判定し、その他の乱数であった場合にはハズレと判定する。また、確変遊技状態においては、特別図柄確変時当たり判定テーブルに基づいて、当たりであるか否かを判定する。
上記当たり乱数の判定の結果、当該当たり乱数が大当たり乱数であると判定された場合には、第1特別図柄抽選手段300が、さらに図柄乱数の抽出を行うとともに、第1乱数判定手段303が、当該抽出された図柄乱数を図5(b)に示すテーブルに基づいて判定し、大当たりの種類を決定する。ここで決定する大当たりの種類には、大当たり遊技の時間が長く、多量の遊技球の払い出しが期待できる「長当たり」と、大当たり遊技の時間が短い「短当たり」とがある。さらに、長当たりには、大当たり遊技の終了後に確変遊技状態および時短遊技状態の両方が発生する「確変時短付長当たり」、および大当たり遊技の終了後に時短遊技状態のみが発生する(確変遊技状態は発生しない)「通常長当たり」がある。また、短当たりには、大当たり遊技の終了後に時短遊技状態のみが発生する(確変遊技状態は発生しない)「通常短当たり」、および大当たり遊技の終了後に確変遊技状態および時短遊技状態の両方が発生する「確変時短付短当たり」がある。
さらに、第1特別図柄抽選手段300は、当たり乱数の抽出とともに、リーチ乱数を取得する。そして、第1乱数判定手段303が上記当たり乱数を判定した結果、ハズレであると判定した場合には、当該第1乱数判定手段303は、取得したリーチ乱数を図5(c−1)に基づいて判定する。一方、上記当たり乱数が大当たりであると判定された場合には、第1乱数判定手段303は、取得したリーチ乱数を図5(c−2)に基づいて判定する。
なお、大当たりに当選した場合には、ほとんどの確率で、抽出されたリーチ乱数が、関連演出有りもしくはリーチ有りと判定される。つまり、大当たりに当選した場合には、ほとんど100%に近い確率で関連演出かリーチ演出が実行されることとなる。一方、上記当たり乱数が大当たりに当選せずにハズレと判定された場合には、8割以上の確率でいわゆるハズレ演出(リーチがかからない演出)が実行されるものの、関連演出、リーチ演出が実行される可能性も残される。これにより、いわゆるガセ演出、ガセリーチ演出が実行されることとなる。
なお、第2始動口120に遊技球が入球すると、第2特別図柄抽選手段320が上記当たり乱数を抽出する。このとき、通常遊技状態においては、第2乱数判定手段323が、特別図柄通常時当たり判定テーブルに基づいて、当該当たり乱数の当たりもしくはハズレを判定する。つまり、第2始動口120の入球によって抽選された当たり乱数が、7または317である場合には当たりと判定し、その他の乱数であった場合にはハズレと判定する。また、確変遊技状態においては、特別図柄確変時当たり判定テーブルに基づいて、当たりであるか否かを判定する。
図6(a)は、第2始動口120に遊技球が入球した際の、大当たりの当選確率および当たり乱数を示すテーブルである。図6(b)は、図柄乱数および大当たりに当選した場合における大当たり遊技の種類を決定するためのテーブル(第2特別図柄乱数判定テーブル)である。図6(c)は、リーチ演出もしくは後述の関連演出を行うか否か決定するためのテーブル(第2特別図柄リーチ乱数判定テーブル)である。
図6(a)に示すとおり、当たり乱数は0〜600までの601個の乱数値から一つ抽出されるが、この点は上記と同様である。また、抽出された乱数値が大当たりに当選しているか否かが、図6(a)に基づいて判定されるが、この乱数テーブルについても上記図5(a)に示したものと同様である。
そして、抽出した乱数が大当たり乱数であると判定されると、図6(b)に基づいて、大当たりの種類が決定されるが、この大当たりの種類の抽選確率が、上記図5(b)に示す乱数テーブルと異なっている。
つまり、第1始動口105に遊技球が入球した場合と、第2始動口120に遊技球が入球した場合とでは、図柄乱数判定テーブルが異なる。具体的には、第2始動口120に入球した場合には、第1始動口105に入球した場合に比べて、確変時短付き長当たりに当選する割合が高くなっている。すなわち、第2始動口120に遊技球が入球すると確変時短付き長当たりに当選する期待度が増すこととなる。このように、遊技球が入球した始動口によって、大当たりに対する期待度を変えることにより、遊技性を高めることができる。
なお、図6(c−1)および図6(c−2)からも明らかなように、第2始動口120に遊技球が入球した場合も、上記第1始動口105に遊技球が入球した場合と同じ確率で関連演出、リーチ演出、およびいわゆるハズレ演出が決定される。
上記のようにして、第1乱数判定手段303が、抽出された乱数値を判定したら、第1特別図柄変動制御手段302が、当該乱数値に基づいて特別図柄を変動するとともに、第1特別図柄表示制御手段301が、当該抽選結果を第1特別図柄表示器84に変動表示する。なお、第2乱数判定手段323が乱数値を判定した場合にも、上記と同様の制御が、第2特別図柄表示制御手段321および第2特別図柄変動制御手段322によってなされる。
一方、第1始動口105に遊技球が入球した際に、それ以前の遊技球の入球に基づく変動表示が実行中であった場合には、抽出された乱数値が、RAM201cの第1特別図柄保留記憶手段401に記憶される。この第1特別図柄保留記憶手段401は、図7(a)に示すように構成されている。
すなわち、図7は、保留順に拘わる記憶領域の一例を示す図であるが、この図からも明らかなように、第1特別図柄保留記憶手段401は、遊技球が第1始動口検出部221に検出されたことに基づいて取得した乱数値(当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数)を、遊技球が検出された順番と対応付けて保留球として記憶する。言い換えれば、第1始動口105に遊技球が入球すると、特別図柄の変動表示の権利が、第1特別図柄保留記憶手段401に、いわゆる保留球として記憶される。そして、当該記憶手段401に留保された保留球は、当該記憶手段401内で、記憶された順に消化、処理がなされる。
具体的には、第1特別図柄保留記憶手段401は、第1記憶領域401aから第4記憶領域401dまで4つの記憶領域を備えており、第1始動口105に遊技球が入球するたびに、第1記憶領域401aから順番に上記保留球が留保されていく。つまり、第1記憶領域401aに保留球が留保された状態で、さらに第1始動口105に遊技球が入球すると、今度は第2記憶領域401bに保留球が留保される。このようにして、第1特別図柄保留記憶手段401には、最大4つまで保留球が留保される。一方、第1記憶領域401aから第4記憶領域401dまでの全てに保留球が留保された状態で、さらに第1始動口105に遊技球が入球した場合には、保留球として上記変動表示の権利は留保されない。言い換えれば、第1特別図柄保留記憶手段401の上限保留個数まで保留球が留保されている場合には、第1始動口105に遊技球が入球したとしても、当該入球による大当たりの抽選は行われない。ただし、この場合でも、第1始動口105への遊技球の入球に対する賞球は所定数払い出される。
また、第1特別図柄保留記憶手段401に留保された保留球は、第1特別図柄変動制御手段302によって、常に第1記憶領域401aから消化(処理)される。第1記憶領域401aに記憶された保留球が消化されると、第2記憶領域401bから第4記憶領域401dまでに留保された保留球が、当該記憶領域から一つ前の領域に移行する。つまり、第1記憶領域401aに留保された保留球が消化されると、第2記憶領域401bに留保された保留球は第1記憶領域401aに移行する。同様に、第3記憶領域401cに留保された保留球は第2記憶領域401bに移行し、第4記憶領域401dに留保された保留球は第3記憶領域401cに移行する。したがって、第4記憶領域401dは、再び保留球の受け入れ、すなわち留保が可能となる。なお、各記憶領域401a〜401dに留保された保留球のシフト処理は、制御手段200の図示しない保留シフト手段によってなされる。
一方、第2始動口120に遊技球が入球した際に、それ以前の遊技球の入球に基づく変動表示が実行中であった場合には、遊技球が第2始動口検出部225に検出されたことに基づいて取得した乱数値(当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数)が、遊技球が検出された順番と対応付けて、保留球として第2特別図柄保留記憶手段402に記憶される。すなわち、第2始動口120に遊技球が入球すると、特別図柄の変動表示の権利、すなわち大当たりの抽選の権利が、第2特別図柄保留記憶手段402に保留球として記憶される。そして、当該記憶領域402に留保された特別図柄の変動表示の権利は、当該記憶領域402内で、第2特別図柄変動制御手段322によって、記憶された順に消化、処理がなされる。
具体的には、第2特別図柄保留記憶手段402は、第5記憶領域402aから第8記憶領域402dまで4つの記憶領域を備えており、第2始動口120に遊技球が入球するたびに、第5記憶領域402aから順番に上記保留球が留保されていく。つまり、第5記憶領域402aに留保された状態で、さらに第2始動口120に遊技球が入球すると、今度は第6記憶領域402bに保留球が留保される。このようにして、第2特別図柄保留記憶手段402には、最大4つまで保留球が留保される。一方、第5記憶領域402aから第8記憶領域402dまでの全てに保留球が留保された状態で、さらに第2始動口120に遊技球が入球した場合には、保留球として上記変動表示の権利は留保されない。言い換えれば、第2特別図柄保留記憶手段402の上限保留個数まで保留球が留保されている場合には、第2始動口120に遊技球が入球したとしても、当該入球による大当たりの抽選は行われない。ただし、この場合でも第2始動口120への遊技球の入球に対する賞球は所定数払い出される。
また、第2特別図柄保留記憶手段402に複数の保留球が留保された場合には、第5記憶領域402aから保留球が消化されることとなるが、第5記憶領域402aに記憶された保留球が消化されると、第6記憶領域402bから第8記憶領域402dまで留保された保留球が、当該記憶領域から一つ前の領域に移行する。つまり、第5記憶領域402aに留保された保留球が消化されると、第6記憶領域402bに留保された保留球は第5記憶領域402aに移行する。同様に、第7記憶領域402cに留保された保留球は第6記憶領域402bに移行し、第8記憶領域402dに留保された保留球は第7記憶領域402cに移行する。したがって、第8記憶領域402dは、再び保留球の受け入れ、すなわち留保が可能となる。なお、各記憶領域402a〜402dに留保された保留球のシフト処理は、制御手段200の図示しない保留シフト手段によってなされる。
このように、本実施形態においては、遊技球が入球した始動口ごとに記憶領域を分けて保留球が留保されるので、これら保留球に係る乱数値と、遊技球が入球した始動口とが対応付けて記憶されることとなる。ただし、上記したように、2つの記憶手段401、402において別々に保留球を記憶せずに、他の方法によって保留球を記憶させても、本発明の目的を達成することが可能である。例えば、遊技球が始動口に入球した順に、保留球を1つの記憶手段に留保していく。このとき、遊技球がいずれの始動口に入球したのかを関連づけるフラグを保留球に対応付けて記憶させ、所定のフラグが付された保留球を優先処理するようにしても、本実施形態に係る遊技機と同様の効果を得ることができる。
なお、上記第1記憶領域401aから第8記憶領域402dまでの8つの各記憶領域は、図7(c)に示すように、いずれも、当たり乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域およびリーチ乱数記憶領域を有している。当たり乱数記憶領域は、大当たり遊技を開始させるか否かの判定に用いる当たり乱数を記憶する領域である。また、図柄乱数記憶領域は、大当たりの場合において、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86の停止図柄の態様を確変図柄とするか否かの判定(ラウンド数を15ラウンドとするか否かも含む)に用いる図柄乱数を記憶する領域である。リーチ乱数記憶領域は、リーチ演出を行うか否かの判定に用いるリーチ乱数を記憶する領域である。
そして、上記したように、第1特別図柄保留記憶手段401に保留球が留保されると、第1特別図柄表示制御手段301が、留保されている保留球の数を、第1特別図柄保留表示器88に表示する。
なお、第2始動口120に遊技球が入球し、第2始動口検出部225による遊技球の検出があった場合にも、第2特別図柄抽選手段320、第2特別図柄表示制御手段321、第2特別図柄変動制御手段322、第2乱数判定手段323によって、上記と同様の処理がなされる。ただし、抽出された乱数値は、第5記憶領域402a〜第8記憶領域402dのいずれかに記憶される。そして、上記特別図柄保留記憶手段401、402に保留球が複数留保された場合には、次のような順番で保留球を消化するようにしている。
図8は、本実施形態において特別図柄保留記憶手段401、402の双方に保留球が留保された場合に保留球を消化する順番を説明するための図である。図8(a)に示すように、第1および第2の特別図柄保留記憶手段401、402に保留球が記憶されると、第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄保留表示器90に表示される。
例えば、図8(b)に示すように、第1特別図柄保留記憶手段401の第1記憶領域401a〜第3記憶領域401cに保留球が留保され、第2特別図柄保留記憶手段402の第5記憶領域402aおよび第6記憶領域402bに保留球が留保されているとする。
また、第1始動口105および第2始動口120に対して、遊技球が入球した順番は、図示のとおり、第1始動口105→第2始動口120→第1始動口105→第2始動口120→第1始動口105であったとする。なお、図8において各領域に記載されている数字は、各始動口に入球した順番を示している。
本実施形態においては、第2始動口120が優先始動口であるため、この場合には、第5記憶領域402aの保留球が優先して処理され、図8(c)に示す矢印の順に保留球が消化されていく。
このことからも明らかなように、両記憶手段401、402において、非優先処理がなされる第1特別図柄保留記憶手段401に複数の保留球が留保された場合には、優先処理がなされる第5記憶領域402aに保留球が留保されることによって、割り込み処理がなされる可能性が高い。言い換えれば、第1始動口105に遊技球が入球して複数の保留球が留保された場合には、第2始動口120に遊技球が入球することによって割り込み処理がなされる可能性が高い。このことは、第1特別図柄保留記憶手段401に複数の保留球が留保された場合において、これら各保留球が連続して消化される可能性が低いことを意味している。一方、優先始動口である第2始動口120に遊技球が入球して、複数の保留球が留保された場合には、割り込み処理がなされることがなく、これら複数の保留球は必ず連続して消化される。
上記のようにして保留球は順次消化されていくが、この保留球の消化を制御しているのが、CPU201aであり、ROM201bの第1特別図柄変動表示制御手段302および第2特別図柄変動表示制御手段322である。これら両変動表示制御手段302、322は、いずれの保留球を処理するのかを監視しており、第1記憶領域401aもしくは第5記憶領域402aに記憶された処理すべき保留球の乱数に基づいて上記した変動表示を開始している。
上記のようにして変動表示が開始されたら、第1特別図柄表示制御手段301および第2特別図柄表示制御手段321が、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86に当該判定結果を変動表示する。
そして、特別図柄の変動表示中には、図柄表示部104による装飾図柄演出、ランプ112(ランプ262)によるランプ演出、スピーカ277による音声演出、あるいは演出役物115、116(役物部254)による役物演出が行われ、大当たりの抽選結果が、さまざまな趣向を凝らした演出とともに遊技者に報知される。この演出をより効果的なものとするために、主制御基板201には、事前判定手段330が設けられている。この事前判定手段330の制御について、図9を用いて説明する。
(ステップS101)
まず、第1始動口105もしくは第2始動口120に遊技球が入球したことを、第1始動口検出部221もしくは第2始動口検出部225が検出する。
(ステップS102)
すると、主制御基板201の図示しない変動検出手段が、特別図柄の変動表示中であるか否かを検出する。
(ステップS103)
上記ステップS102において、変動中と判定された場合には、第1特別図柄保留記憶手段401もしくは第2特別図柄保留記憶手段402が、第4記憶領域401dもしくは第8記憶領域402dに乱数が記憶されているかを検出する。具体的には、第1始動口検出部221から入球信号を受信した場合には、第1特別図柄保留記憶手段401における保留球の留保個数が4未満であるかを判断し、第2始動口検出部225から入球信号を受信した場合には、第2特別図柄保留記憶手段402における保留球の留保個数が4未満であるかを判断する。
上記ステップS103において、保留球が4つあると判断された場合には、当該遊技球の入球によっては、特別図柄の変動表示すなわち大当たりの抽選が行われることはないため、賞球制御基板203が所定の賞球を払い出して制御を終了する。
(ステップS104)
一方、上記ステップS103において、保留球の留保個数が4未満すなわち保留球を留保すると判断された場合には、当該保留球に係る遊技データ(上記した各種の乱数値)が取得され、第1記憶領域401a〜第4記憶領域401dもしくは第5記憶領域402a〜第8記憶領域402dに保留球(乱数値)が記憶される。
(ステップS105)
このように、第1特別図柄保留記憶手段401もしくは第2特別図柄保留記憶手段402に乱数値が記憶される場合には、事前判定手段330が、当該乱数値に基づいて、「大当たりであるか」「当たりの種類(確変当たり、通常当たり等)」「リーチの有無」「関連演出の有無」を判定(事前判定)する。つまり、事前判定手段330は、抽出された乱数値から演出に係る遊技データを判定し、判定結果に基づく演出コマンドを決定する。
なお、事前判定手段330による遊技データの判定は、第1特別図柄保留記憶手段401もしくは第2特別図柄保留記憶手段402を参照して乱数値を判定してもよいし、事前判定用の処理領域をもたせて、当該記憶領域に抽出した乱数値を直接書き込んで判定してもよい。ただし、上記事前判定は、リーチ乱数が抽出されて即座に行わなければならないものではなく、少なくても当該リーチ乱数に基づく演出が制御される前であって、かつ、関連演出が可能なタイミングであれば、いつ行われるようにしても構わない。
(ステップS106)
ステップS106においてCPU201aは、上記ステップS105において決定された演出コマンドを、RAM201cの所定の記憶領域に記憶する。このようにして、事前判定手段330が、抽出された乱数値に基づいて演出コマンドを決定したら、当該演出コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS107)
CPU201aは、事前判定手段330により判定された遊技データの判定結果を、RAM201cの所定の記憶領域に記憶する処理を行い、事前判定に係る処理を終了する。
また、本実施形態においては、保留球が留保されていない状態で始動口に遊技球が入球した場合には、事前判定手段330による事前判定がなされないようにしている。言い換えれば、事前判定手段330は、保留球が留保されている場合にのみ事前判定を行う。これは、事前判定手段330が行う「事前判定」の主たる目的とするところが、複数の特別図柄の変動表示にわたる関連演出を行うか否かを判定することにあるからである。本発明における関連演出とは、次のような演出のことをいう。
(関連演出の説明)
すなわち、遊技球が第1始動口105あるいは第2始動口120のいずれかに入球すると、既に説明したとおり、大当たりの抽選が行われる。この大当たりの抽選は、通常遊技状態よりも多くの賞球を獲得可能な大当たり遊技の権利を獲得できるか否かの抽選である。この抽選結果は、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86において表示されるが、これら表示器84、86において、LEDを点灯あるいは点滅させて、あたかも現在抽選中であるかのような特別図柄の変動表示が所定時間なされる。
この特別図柄の変動表示は、1つの保留球につき1回行われるが、この1回の特別図柄の変動表示中に、図柄表示部104、スピーカ277、ランプ112および演出役物115、116において、さまざまな演出がなされる。リーチ演出を含め、通常の演出は、1回の特別図柄の変動表示に対して、1つの演出がなされ、この1つの演出の範囲でストーリー等が完結する内容である。
これに対して関連演出というのは、複数の特別図柄の変動表示にわたって、1つのストーリーが完結したり、あるいは、複数の演出内容が互いに関連づけられたりしている。言い換えれば、複数回の演出が何らかのかたちで関連付けられた内容に設定されている。図10に、図柄表示部104を用いた関連演出の一例を示す。
例えば、1回目の変動表示時(1個目の保留記憶が消化されるとき)には、図10(a)に示すように、図柄表示部104において装飾図柄500aが変動表示中に、ランナーを模した1人のキャラクタ500b1が画面の右端から左端に向けて画面上を疾走する演出画像が表示され、当該キャラクタ500b1が画面の左端から消え去ると、図柄表示部104の装飾図柄500aにおいては、一列に配置された3つの数字が所定時間スクロールした後、最終的に同一の数字(図柄)が3つ揃わない状態(例えば、「747」等)で停止し、遊技者に当該抽選結果(変動表示の結果)はハズレであったことを報知する。
続く2回目の変動表示時(2個目の保留記憶が消化されるとき)には、図10(b)に示すように、図柄表示部104において装飾図柄500aが変動表示中に、ランナーを模した2人のキャラクタ500b2が画面の右端から左端に向けて画面上を疾走する演出画像が表示され、当該キャラクタ500b2が画面の左端から消え去る。ただし、この2回目の変動表示時にも、図柄表示部104の装飾図柄500aにおいては、一列に配置された3つの数字が所定時間スクロールした後、最終的に同一の数字(図柄)が3つ揃わない状態(例えば、「757」等)で停止し、遊技者に当該抽選結果(変動表示の結果)はハズレであったことを報知する。
そして、3回目の変動表示時(3個目の保留記憶が消化されるとき)には、図10(c)に示すように、図柄表示部104において装飾図柄500aが変動表示中に、ランナーを模した3人のキャラクタ500b3が画面の右端から左端に向けて画面上を疾走する演出画像が表示され、当該キャラクタ500b3が画面の左端から消え去る。ただし、この3回目の変動表示時にも、図柄表示部104の装飾図柄500aにおいては、一列に配置された3つの数字が所定時間スクロールした後、最終的に同一の数字(図柄)が3つ揃わない状態(例えば、「767」等)で停止し、遊技者に当該抽選結果(変動表示の結果)はハズレであったことを報知する。
4回目の変動表示時(4個目の保留球が消化されるとき)には、図10(d)に示すように、図柄表示部104において装飾図柄500aが変動表示中に、ランナーを模した多数のキャラクタ500b4が画面の右端から左端に向けて画面上を、装飾図柄500aの変動表示が視認不能に近い状態で覆うように疾走する演出画像が表示され、当該多数のランナーを模したキャラクタ500b4が画面の左端から消え去る。そして、この4回目の変動表示時には、図柄表示部104の装飾図柄500aにおいては、一列に配置された3つの数字が所定時間スクロールした後、図10(d)に示すように最終的に同一の数字(図柄)が3つ揃った状態(例えば、「777」等)で停止し、バンザイをするキャラクタ500b5等を表示することにより、遊技者に当該抽選結果(変動表示の結果)が大当たりであることを報知する。
このように、関連演出では、複数の変動にわたって連続性や関連性を有する演出が行われる。例えば、図10に示す例では、図柄表示部104に表示されるランナーを模したキャラクタの数が、変動表示の回数を経るに従って1人500b1、2人500b2、3人500b3と増えてゆき、最終的には数え切れないほどのランナーを模したキャラクタ500b4が出現することによって大当たりの期待感を徐々に高めている。また、装飾図柄500aの変動後の停止態様も、「747」→「757」→「767」→「777」(大当たり確定)と徐々に大当たりに近づくように変化させることにより、大当たりへの期待感を高めている。したがって、遊技者は、連続的になされる演出を見るたびに、言い換えれば、関連演出が進むにつれて、次の変動表示において当たりが当選するのではないかという大きな期待を抱くようになる。
なお、ここでは図柄表示部104を用いた関連演出について説明したが、関連演出は、図柄表示部104、演出役物部254、スピーカ277、ランプ262、111のいずれか1つのみで行ってもよいし、これらを適宜組み合わせて行うものであってもよい。
上記のように、複数の変動表示にわたってなされる関連演出を実施するために、事前判定手段330は、乱数値を当該変動表示が開始する前に判定し、副制御基板202に送信するのである。そして、事前判定手段330から送信された演出コマンドに基づいて、副制御基板202が関連演出を制御することとなるが、副制御基板202に送信された演出コマンドを、副制御基板202の第1演出データ保留記憶手段510または第2演出データ保留記憶手段511に記憶する手順について以下に説明する。
図11に示すように、副制御基板202のRAM202cには、第1演出デー1タ保留記憶手段510と、第2演出データ保留記憶手段511とが備えられている。上記第1演出データ保留記憶手段510は、第1記憶領域510aから第4記憶領域510dまで4つの記憶領域を備えており、また、上記第2演出データ保留記憶手段511は、第5記憶領域511aから第8記憶領域511dまで4つの記憶領域を備えている。
そして、上記事前判定手段330が演出コマンドを決定するたびに、当該演出コマンドがCPU201aによって副制御基板2020に送信され、第1記憶領域510aから第8記憶領域511dまでのいずれかに記憶される。服せ魚基板202のCPU202aは、演出コマンドの記憶の際に、当該演出コマンドを記憶する記憶領域に対応する信号を対応付ける。具体的には、主制御基板201のCPU201aが演出コマンドを確定する際に、基となる乱数値が記憶される記憶領域(第1特別図柄保留記憶手段401の第1記憶領域401a〜第4記憶領域401dもしくは第2特別図柄保留手段402の第1記憶領域402a〜第4記憶領域402d)が、いずれであるのかを識別する信号を演出コマンドに付する。
これにより、例えば、主制御基板201における、第1特別図柄保留記憶手段401の第1記憶領域401aに記憶された乱数値を記憶する場合には、第1演出データ保留記憶手段510に記憶される演出コマンドが、第1演出データ保留記憶手段510の第1記憶領域510aに記憶されるようにしている。
なお、第1特別図柄保留記憶手段401の第1記憶領域401a〜第4記憶領域401dと、第1演出データ保留記憶手段510の第1記憶領域510a〜第4記憶領域510dとが対応する。また、第2特別図柄保留記憶手段402の第5記憶領域402a〜第8記憶領域402dと、第2演出データ保留記憶手段511の第5記憶領域511a〜第8記憶領域511dとが対応する。そして、変動表示が開始されて、第1記憶領域401aもしくは第5記憶領域402aに留保された保留球が消化されると、各記憶領域に記憶された乱数値もしくは演出コマンドが、どちらも1つ前の記憶領域にシフトする。
第1演出データ保留記憶手段510の第1記憶領域510a〜第4記憶領域510d、または、第2演出データ保留記憶手段511の第5記憶領域511a〜第8記憶領域511dに演出コマンドが記憶される際の制御手順を、図12を用いて説明する。
(ステップS201)
事前判定手段330が演出コマンドを決定し副制御基板202に送信されると、副制御基板202のCPU202aは、当該演出コマンドに付された識別信号を参照して、上記したいずれの記憶領域510a〜510d、511a〜511dにコマンドを記憶するかを確認する。
(ステップS202)
次に、CPU202aは、当該演出コマンドが、関連演出を行うコマンドであるか否かを判定する処理を行う。
(ステップS203)
上記ステップS202において、関連演出を行うコマンドであると判定した場合には、CPU202aが、関連演出フラグを演出コマンドに付加する。このとき、関連演出フラグは、「1」、「2」、「3」、「4」のいずれかが付されるが、これは、当該演出コマンドが、演出データ保留記憶手段における何番目の領域に記憶されるかによって決定される。
具体的には、関連演出を行うコマンドが、第1記憶領域510aまたは第5記憶領域510aに記憶される場合には、各演出データ保留記憶手段510または511内において当該保留球よりも前に処理される保留球の記憶がないので、関連演出を行うコマンドは無視され、第1記憶領域510aまたは第5記憶領域511aには関連演出のフラグは記憶されない。
関連演出を行うコマンドが、第2記憶領域510bまたは第6記憶領域511bに記憶される場合には、当該第2記憶領域510bまたは第6記憶領域511bに関連演出のフラグ「2」が付されるとともに、その前に処理される第1記憶領域510aまたは第5記憶領域511aに関連演出のフラグ「1」が付される。
関連演出を行うコマンドが、第3記憶領域510cまたは第7記憶領域511cに記憶される場合には、当該第3記憶領域510cまたは第7記憶領域511cに関連演出のフラグ「3」が付されるとともに、その前に処理される第1記憶領域510aまたは第5記憶領域511aに関連演出のフラグ「1」が付され、第2記憶領域510bまたは第6記憶領域511bに関連演出のフラグ「2」が付される。
関連演出を行うコマンドが、第4記憶領域510dまたは第8記憶領域511dに記憶される場合には、当該第4記憶領域510dまたは第8記憶領域511dに関連演出のフラグ「4」が付されるとともに、その前に処理される第1記憶領域510aまたは第5記憶領域511aに関連演出のフラグ「1」が付され、第2記憶領域510bまたは第6記憶領域511bに関連演出のフラグ「2」が付され、第3記憶領域510cまたは第7記憶領域511cに関連演出のフラグ「3」が付される。
ただし、同一の演出データ保留記憶手段510、511内において、当該演出コマンドよりも前に処理がなされる他の演出コマンドに、大当たりの演出コマンドが含まれていた場合には、次のように関連演出フラグが付される。例えば、第8記憶領域511dに記憶する演出コマンドが関連演出に係るコマンドであった場合には、当該演出コマンドには、本来、フラグ「4」が付され、第5記憶領域に511aにはフラグ「1」が、第6記憶領域511bにはフラグ「2」が、そして第7記憶領域511cにはフラグ「3」が付される。このとき、仮に第5記憶領域511aに大当たりの演出コマンドが記憶されている場合には、第8記憶領域511dにフラグ「3」が付されるとともに、第6記憶領域511bにはフラグ「1」が、そして第7記憶領域511cにはフラグ「2」が付される。同様に、第6記憶領域511bに大当たりの演出コマンドが記憶されている場合には、第8記憶領域511dにフラグ「2」が付されるとともに、第7記憶領域511cにはフラグ「1」が付される。第7記憶領域511cに大当たりの演出コマンドが記憶されている場合には、第8記憶領域511dには関連演出のフラグは付されず、関連演出を行うコマンドは無視される。これは、既に大当たりが当選している演出に対して、後から記憶された関連演出の影響を及ぼさないようにするためである。
これにより、「関連演出あり」の演出コマンドが送信された場合には、当該演出コマンドが記憶される記憶手段内において、最初に処理がなされる演出コマンドから当該演出コマンドまで、連続した一連の関連演出フラグが付されることとなる。
(ステップS204)
上記のようにして、各演出コマンドに関連演出フラグが付されたら、当該演出コマンドを所定の記憶領域510a〜510d、511a〜511bに記憶する。
また、上記ステップS202において、「関連演出なし」と判定された場合には、上記ステップS203の処理が不要であるため、当該演出コマンドがそのまま所定の記憶領域に記憶される。
上記した手順によって副制御基板202の第1演出データ保留記憶手段510、第2演出データ保留記憶手段511に演出コマンドおよび関連演出フラグ、その他のデータが記憶される。
次に、本発明の特徴である、非優先始動口(本実施形態においては、第1始動口105)に係る関連演出の実行中に、優先始動口(本実施形態においては、第2始動口120)に遊技球が入球したときの演出制御手段502による図柄表示部104の制御について、図13ないし図15を参照して説明する。
図13は、演出制御手段502が備える各手段(サブプログラム)を説明するための図である。図14は、演出制御手段502による図柄表示部104の処理の流れを示すフローチャートである。図15は、演出制御手段502の制御により図柄表示部104に表示される演出画像の一例を示す図である。
演出制御手段502は、図13に示すように、少なくとも関連演出制御手段502a、画面分割制御手段502b、継続報知制御手段502c等のサブプログラムを備えて構成されている。
関連演出制御手段502aは、主制御基板201の事前判定手段330により、新たな保留球に係る遊技データが「関連演出あり」と判定されたときに、当該保留球および既存の保留球に関連演出フラグを記憶する処理、複数回にわたる装飾図柄等による関連演出を実行する処理等を行うためのプログラムである。
画面分割制御手段502bは、本実施形態において非優先始動口である第1始動口105への入球に係る保留球によって関連演出が実行されているときに、優先始動口である第2始動口120への入球による装飾図柄の変動表示が割り込んだとき、図柄表示部104の表示領域を分割して、分割された一方の表示領域に第2始動口120への入球による装飾図柄の変動表示を表示させる処理を行うプログラムである。
継続報知制御手段502cは、上記画面分割制御手段502bにより図柄表示部104の画面が分割表示されているときに、他方の表示領域に第1始動口105への入球に係る保留球による関連演出が継続中であることを遊技者に報知する演出画像を表示させるためのプログラムである。
続いて、図14および図15を参照して、演出制御手段502の処理の流れを図柄表示部104に表示される演出画像の表示例とともに説明する。
(ステップS301)
主制御基板201の事前判定手段330により非優先始動口である第1始動口105に係る保留球が「関連演出あり」と判定され、第1演出データ保留記憶手段510の第1記憶領域510aに記憶され関連演出フラグ「1」が記憶された保留球による変動表示が開始され関連演出の1回目が実行される。なお、以下の説明においては、第1演出データ保留記憶手段510の第4記憶領域510dに関連演出フラグ「4」が記憶され、第1記憶領域510a〜第4記憶領域510dに記憶された保留球による4回の変動表示にわたる関連演出が実行されるものとする。
(ステップS302)
ステップS301の処理により、第1始動口105の保留球による関連演出が開始されると、CPU202aは、当該図柄の変動表示中に第2始動口120への遊技球の入球が検出されたか否かを判定する処理を行い、第2始動口120への入球が検出された場合、演出制御手段502の処理はステップS303に進み、第2始動口120への入球が検出されない場合はステップS312に進む。
(ステップS312)
上記ステップS302において、第1始動口の保留球の図柄変動処理中に第2始動口120への入球が検出されないとき、関連演出制御手段502bは、当該第1始動口105の保留球による関連演出の1回目の図柄変動処理が終了したか否かを判定する処理を行い、第1回目の図柄変動処理が終了したときはステップS310に進み、第1回目の変動表示処理が終了していない場合はステップS302に戻り、第2始動口120に遊技球が入球するか、または、第1回目の変動表示処理が終了するまでステップS302とステップS312の処理を繰り返す。
(ステップS303)
上記ステップS302において第2始動口120への入球を検出すると、演出制御手段502は、上記したステップS312と同様に第1始動口105の保留球による関連演出の1回目の図柄変動処理が終了したか否かを判定する処理を行う。ステップS303においては、当該図柄変動処理が終了するまでこの処理が繰り返され、当該図柄変動処理が終了するとステップS304に進む。
(ステップS304)
ステップS304において演出制御手段502は、ステップS302において検出された第2始動口120への入球による保留球に係る図柄変動処理が行われるので、画面分割制御手段502bを作動させて、図柄表示部104の表示領域を図15(d)に示すように分割して表示する処理を行う。
(ステップS305)(ステップS306)
上記ステップS304の処理に続いて、演出制御手段502は、図柄表示部104の一方の分割された表示領域に上記ステップS302で検出された第2始動口120への入球による保留球に係る図柄変動表示処理を行う(ステップS305)とともに、継続報知制御手段502cにより、図柄表示部104の分割された他方の表示領域に第1始動口105への入球による保留球に係る関連演出が継続中である(中断されていない)ことを遊技者に報知する報知演出表示処理を行う(ステップS306)。
なお、このステップS305とステップS306の処理の順序は逆であってもよいし、上記ステップS304の処理を含めて同時並列的に処理するように構成してもよい。
(ステップS307)
ステップS307において演出制御手段502は、上記した図柄表示部104の分割された一方の表示領域で図柄変動表示処理が行われている第2始動口120への入球による保留球に係る装飾図柄等の変動表示の終了待ちの状態となる。そして、第2始動口120への入球による保留球に係る装飾図柄等の変動表示が終了すると、ステップS308の処理に進む。
(ステップS308)
ステップS308において演出制御手段502は、第2演出データ保留記憶手段511の第5記憶領域511aにさらに保留球の記憶があるか否かを判定する処理を行う。この判定処理により第5記憶領域511aに保留球の記憶がある場合は、ステップS305に戻ってステップS305〜ステップS307の処理を行う。このとき、上記したようにステップS304〜ステップS306の処理を同時並列的に行うようように構成した場合は、ステップS304へ戻る。
ステップS308の判定処理において、第2演出データ保留記憶手段511の第5記憶領域511aに保留球の記憶がないと判定された場合は、ステップS309に進む。
(ステップS309)
ステップS309において演出制御手段502は、画面分割制御手段502bにより、図柄表示部104の画面分割表示を解除する処理を行い、ステップS310に進む。
(ステップS310)
演出制御手段502は、関連演出制御手段502aを作動させて、図柄表示部104に、第1始動口105への入球による保留球に係る関連演出を継続する図柄変動表示処理(関連演出の2回目以降)を行い、ステップS311に進む。
(ステップS311)
ステップS311において演出制御手段502は、第1始動口105への入球による保留球に係る関連演出が終了したか否かの判定を行い、終了したと判定された場合は処理を終了し、終了していないと判定された場合はステップS302に戻って上記した処理を繰り返す。上記したように、関連演出が4回の図柄変動表示処理によって終了する場合、ステップS311からステップS302への戻りが2回必要になる。但し、上記ステップS307で第2始動口120への入球に係る保留球の当たり判定に「大当たり」の判定があったときには、その時点で、図14に示すフローチャートに係る処理は終了する。
図15は、上記した図14のフローチャートに基づいて図柄表示部104に表示される関連演出の一例を示す図である。なお、図15に示す関連演出の内容(ストーリー)は、図10で説明したものと同様であるので、一部詳細な説明を省略する。
主制御基板201の事前判定手段330により、非優先始動口である第1始動口105への入球による保留球に係る4回の図柄変動表示にわたる関連演出が実行されることが決定し、優先始動口である第2始動口120への入球による保留球の図柄変動表示処理が全て終了すると、図15(a)に示すように第1始動口105の保留球に係る関連演出の1回目が開始される(ステップS301)。
その後、第2始動口120への入球がなく(ステップS302においてNO判定)、1回目の図柄変動表示処理が終了すると(ステップS312においてYES判定)、図15(b)に示すように、第1始動口105の保留球に係る2回目の関連演出が実行される(ステップS310)。この2回目の関連演出の図柄変動表示が終了しても、第1始動口105の保留球に係る関連演出は終了しない(ステップS311においてNO判定)ので、図14のフローチャートにおいて、演出制御手段502の処理はステップS302に戻る。
その後も第2始動口120への入球がなく(ステップS302においてNO判定)、2回目の図柄変動表示処理が終了すると(ステップS312においてYES判定)、図15(c)に示すように、第1始動口105の保留球に係る3回目の関連演出が実行される(ステップS310)。この3回目の関連演出の図柄変動表示が終了しても、第1始動口105の保留球に係る関連演出は終了しない(ステップS311においてNO判定)ので、図14のフローチャートにおいて、演出制御手段502の処理はステップS302に戻る。
次に、上記3回目の関連演出の図柄変動処理中に、第2始動口120への入球が1個あったとき(ステップS302においてYES判定)、当該3回目の図柄変動処理終了時(ステップS303においてYES判定)、画面分割制御手段502bにより、図15(d)に示すように、水平な画面分割線500cにより、図柄表示部104の表示領域が上下に2分割され(ステップS304)、分割された下方の表示領域500a2に上記第2始動口120への入球による保留球に係る図柄変動処理が表示される(ステップS305)一方、分割された上方の表示領域500a1には、第1始動口105の保留球に係る関連演出がまだ終了していないことを遊技者に報知する報知演出画像(図示の例では「ひと休み」の文字画像)が表示される(ステップS306)。
続いて、第2始動口120の保留球に係る図柄変動表示処理が終了すると(ステップS307においてYES判定)、CPU202aは、さらに第2始動口による保留球の記憶があるか否か、すなわち、第2演出データ保留記憶手段511の第5記憶領域511aに保留球の記憶があるか否かを判定し、第5記憶領域511aに保留球の記憶がなければ(ステップS308においてNO判定)、画面分割制御手段502bにより図柄表示部104の画面分割を解除する処理を行い(ステップS309)、図15(e)に示すように、第1始動口105の保留球に係る4回目(最後)の関連演出表示を図柄表示部104に表示する(ステップS310)。ここで、上記した第2始動口120の保留球に係る図柄変動表示処理が終了したときに(ステップS307においてYES判定)、第2演出データ保留記憶手段511の第5記憶領域511aに保留球の記憶がある場合は(ステップS308においてYES判定)、演出制御手段502の処理は図14のステップS305(または、ステップS304)に戻り、図15(d)に示す画像と同様の分割画面表示がなされる(ステップS304〜ステップS306)。
第1始動口105の保留球に係る4回目、すなわち、最後の関連演出の図柄変動表示処理が終了すると、図15(f)に示すように、図柄表示部104には当該最後の関連演出の変動処理結果が表示される。図15に示す例においては、第1始動口105の保留球に係る4回の図柄変動表示にわたる結果が大当たりとなっている。
なお、関連演出が終了したときの結果は、一般のリーチ演出等の後の結果に比して高い確率で大当たりとなるように設定されているが、必ずしも、大当たりが確定するものではない。
また、上記実施形態においては、図15(d)に示すように、非優先始動口の保留球に係る関連演出が実行されているときに優先始動口の保留球にかかる単独演出が割り込んだ場合、図柄表示部104の表示領域を画面分割線500cにて略均等な面積に上下に2分割する例を示しているが、画面分割の態様は、例えば、垂直な画面分割線500cによって左右に分割するものでもよく、斜めの画面分割線500cにより非対称的な形状の表示領域に分割するような態様でもよいし、分割後の各表示領域の面積を異ならせるようにしてもよい。
また、画面分割線500cの形状も、直線状に限らず、円弧状、波形状、鋸歯状、帯状、その他任意の形状とすることができる。
また、図15(d)に示す実施形態において、分割された上方の表示領域500a1に表示される、第1始動口105の保留球に係る関連演出がまだ終了していないことを遊技者に報知する報知演出画像として「ひと休み」の文字画像を表示する例を示したが、本発明はこれに限ることなく、例えば、ランナーを模した1人〜3人のキャラクタ500b1〜500b3がベンチに座って水分を補給しているようなキャラクタ画像を表示したり、木陰で昼寝をしているようなキャラクタ画像を表示したりしてもよい。また、「チャンス継続中」等の文字画像と上記したようなキャラクタ画像の双方を組み合わせた画像を表示するようにすることもできる。
また、図15(c)に示す3回目の関連演出の図柄変動表示中に第2始動口120へ遊技球が入球したとき、当該3回目の関連演出の図柄変動の終了を待たずに画面分割制御手段502bにより図柄表示部104の表示領域を分割し、図15(d)に示す上側の表示領域500a1に3回目の関連演出の図柄変動を表示しつつ、下側の表示領域500a2に第2始動口120への入球に係る図柄変動表示を並行して行うように構成してもよい。
なお、上記実施形態によれば、第1始動口105を非優先始動口とし、第2始動口120を優先始動口とした例を示したが、両始動口105、120の優先/非優先を逆の構成にしても構わないし、遊技盤上に配置される位置関係も全く別々の場所に設けるようにしても構わない。
以上説明したように本発明に係る遊技機によれば、非優先始動口(第1始動口105)への遊技球の入球による保留球に係る関連演出の実行中に、優先始動口(第2始動口120)への遊技球の入球による保留球に係る特別図柄の変動表示があったとき、図柄表示手段(図柄表示部104)の表示領域を分割して、分割された一方の表示領域に優先始動口への遊技球の入球による特別図柄の変動表示に対応する装飾図柄の演出画像を表示するとともに、分割された他方の表示領域に非優先始動口への入球による保留球に係る前記関連演出が継続中であることを報知する演出画像を表示するように構成されるので、非優先始動口である第1始動口105への入球による特別図柄の変動表示の権利(保留球)による関連演出の実行中に、優先始動口である第2始動口120への入球による保留球の処理が割り込んだとき、演出制御手段(画面分割制御手段502b)が図柄表示手段の表示領域を分割して、分割されたいずれか一方の表示領域(500a1)において、既に実行中の関連演出が継続中であることを遊技者に報知することができるので、実行中の関連演出が不用意に中断されたかのような違和感を覚えさせることがなく遊技者に大当たりへの期待感を維持させることができ、効果的な関連演出を実行することができる。