JP5006748B2 - 電気光学素子及び光ビーム偏向器 - Google Patents
電気光学素子及び光ビーム偏向器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5006748B2 JP5006748B2 JP2007264426A JP2007264426A JP5006748B2 JP 5006748 B2 JP5006748 B2 JP 5006748B2 JP 2007264426 A JP2007264426 A JP 2007264426A JP 2007264426 A JP2007264426 A JP 2007264426A JP 5006748 B2 JP5006748 B2 JP 5006748B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electro
- optic
- refractive index
- crystal
- thickness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
Description
これまでに様々な電気光学素子が提案されているが、上記の要求を全て満足させることはできていない。
以下に現在電気光学素子として用いられている代表的な従来技術を述べる。
しかしながら、ミラーをモータ駆動により駆動させるため、動作速度が最大でも数百Hzと遅く、素子の小型化が困難であり、消費電力も大きいといった問題がある。
また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により形成されたミラーを用いると、素子の小型化および複数の素子の集積化は可能となるが、MHz以上の高速な駆動は困難であり、また機械的な強度に対する信頼性が低い。
しかしながら、AO偏向器は超音波発生部分を持つため、素子の小型化は困難であり、さらに数百MHzの弾性波励起信号を必要とするために駆動システムが複雑でかつ大きくなることが避けられない。
例えば特許文献1では、この原理を利用し、プリズム状電極を複数設けたマルチビーム対応の光スイッチ素子を報告している。
しかしながら、一般的に電気光学効果による屈折率変化量は極めて小さいため、大きな偏向角を得るためには素子のサイズも大きくする必要があり、さらには駆動電圧も大きくする必要がある。
以下にこの空間電荷制御電気伝導を利用したビーム偏向素子の動作原理を図22(a)〜(c)を参照して説明する。
ここで、電極と結晶との接触をオーミック接触とすると、結晶内部に電子が注入される。空間電荷効果とは、結晶内部に注入された電子によって陽極から発する電界が終端される効果であり。この効果によって電極間の電界が不均一になる。光学結晶内部に電子が注入されたときの電界分布は式(1)で与えられる。
ここで結晶の断面から光ビームを入力すると、光は屈折率の高い方向へ偏向しながら伝搬する。相互作用長、すなわち屈折率分布をもつ結晶内を伝搬する長さをLとすると、結晶内部での偏向角θiは次式(3)で与えられる。
ここでは結晶の屈折率をn0=2.2とし、カー定数をsij=1.0×10-14m2/V2とし、結晶厚をd=500μmとし、相互作用長をL=5mmとした。
正の電圧印加によって負の屈折率変化が生じ、逆に負の電圧印加によって正の屈折率変化が生じる。また印加電圧を大きくすることにより、結晶内部の屈折変化量も増大する。
図24(a)は電気光学素子の断面を示し、図24(b)は図24(a)に示した電気光学素子の印加電圧に対する出射ビームの偏向角およびビーム偏向に伴う膜厚方向のビーム位置の変移量、すなわち光ビームの入射位置と出射位置の膜厚方向の差を示している。図24(b)において横軸は印加電圧を示し、左縦軸は偏向角度を示し、右縦軸は変位量を示す。
偏向角度は印加電圧の2乗に比例して増大し、理論的には±200Vの電圧印加により±10°以上のビーム偏向が可能になる。ただし光ビームを結晶の厚さ方向の中央から入射した場合、ビーム偏向に伴うビーム位置の変移量は、結晶厚の1/2以下、すなわちこの例では250μm以下であることが必要である。変移量が250μm以上になると、結晶内部を伝搬した光が出射端面に至るより前に結晶の上下面において光ビームが反射してしまう。
結晶に印加可能な電圧量はこのビーム位置の変移量によって制限され、この例では±200V程度以下で素子を動作させることが必要になる。
ここで結晶の厚さをd=500μmとし、相互作用長をL=7mmとした。また動作温度75℃および87℃としてそれぞれ印加電圧とビーム偏向角の関係をプロットした。
SBN(x=61)はキュリー温度が80℃であり、動作温度がキュリー温度以下の場合、電気光学結晶はポッケルス効果によってその屈折率が変化する。このとき、結晶内の電界量と屈折率変化量との間には式(5)の関係がある。
またキュリー温度以上の動作温度ではビーム偏向角は電圧印加量の2乗に比例するが、キュリー温度以上である87℃で動作させた場合の測定結果もビーム偏向角は電圧印加量の2乗にほぼ比例していることがわかる。また、いずれの動作温度についてもキュリー温度に近い温度で動作させたため、±4°以上の大きなビーム偏向角が得られた。
ここではカー効果と空間電荷とを組み合わせてビーム偏向が発生する場合を考え、結晶の屈折率をn0=2.2とし、カー定数をsij=1.0×10-14m2/V2とし、結晶厚をd=100μmとし、相互作用長をL=5mmと仮定する。
結晶の厚さが500μmである図24の場合と比較して、8V程度の低電圧で±2°程度の偏向角が得られる。ただし、電圧印加量が8Vを超えると、ビームの出射位置が膜厚方向に50μm以上すなわち結晶厚さの1/2以上移動してしまう。したがって8V以上の電圧印加時は、出射端面に至るより前に結晶の上下面において光ビームが反射してしまう。結果的として、結晶の厚さを薄くすることによって、低電圧での駆動は可能になるが、結晶厚方向にビームの移動が生じるという理由により偏向角を大きなビーム偏向素子の実現が困難となる。
〔第一の実施の形態(楔型横方向偏向素子)〕
本発明の第一の実施形態を図1を用いて説明する。
図1(a)は本発明に係る電気光学素子を上面から見た図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。
電気光学素子は電気光学結晶基板0101の両面(図1(b)の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0102および下部電極0103を形成して成る。また、電気光学結晶基板0101の板厚は電気光学結晶基板0101の幅方向で漸次変化させる。
すなわち電気光学結晶基板0101は楔形状となっている。
光学結晶材料を楔形状に加工することは例えば高精度な研磨加工技術等によって実現可能である。
図1(a)、(b)では上部電極0102及び下部電極0103の寸法を電気光学結晶0101よりやや小さく形成してある。これは上部電極0102―下部電極0103間に印加した電圧によって電気光学結晶0101の側面に表面電流が発生することを抑制する効果がある。
特に電気光学結晶0101の厚さが薄い時には上部電極0102と下電極0103とが短絡し易くなるため、両電極0102、0103の寸法を電気光学結晶0101より小さくしておくことが好ましい。
具体的には、それぞれ電気光学結晶0101の四方を両電極0102、0103の大きさより数百μm〜1mm程度広くすれば十分である。
ここで正の電圧を電気光学結晶0101に印加することで、負の屈折率変化が生じる。上部電極0102と下部電極0103との間の距離が狭いほど電気光学結晶0101の内部に形成される電界が大きくなるため屈折率変化量も大きくなる。
図13(a)は図1(b)に示した電気光学素子をxy座標の第一象限に表示した図であり、図13(b)は図1(b)のVII−VII線における屈折率変化量を表した図である。図13(b)において横軸はy座標における位置を示し、縦軸は屈折率変化を示す。
ここで電気光学結晶0101の内部への電界形成によって生じる電気光学効果として2次のカー効果を想定し、カー定数sij=1.0×10-14m2/V2を仮定した。
電気光学結晶の下面での座標をx=0とし、電気光学結晶に電界が形成される左端の座標をy=0とする。電気光学結晶の厚さが最も小さいところで100μm(dmin)、最も厚いところで500μm(dmax)とした。電気光学結晶の幅をw=500μmとし、y=0〜wの範囲においてdminとdmaxとの間は線形に変化するものとした。
図13はx=80μmの線上における屈折率変化量を示したものである。電圧印加量をパラメータとして5〜20Vまで変化させた。電圧印加量を大きくするほど屈折率変化量の絶対値も大きくなり、またy座標が小さいほど電気光学結晶の厚さが相対的に小さいため、屈折率変化量の絶対値も大きくなることがわかる。
また図14(a)には、偏向に伴うビーム位置の差Δyも合わせて示してある。
ここでビーム入射座標(xin、yin)は(80μm、0μm)、すなわちy軸上では光ビームは電界が印加される領域において最も結晶の厚さが薄いところから入射した。
また相互作用長Lは4mmとした。図14より、20V程度の比較的低い印加電圧によって8°程度の大きなビーム偏向角が得られることが分かる。またこのときビーム位置変移量Δyは200μmであり、基板の幅であるwより十分小さいことが確認できる。
そこでもう一つの電気光学素子の寸法の例として、dmax=500μm、dmin=40μm、w=500μm、L=2.5mmを仮定する。
図15は本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変位量を表す図である。
同図において横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度及び変位量を示す。
25V程度の電圧印加により20°程度の大きなビーム偏向が可能となる。また広角にビーム光を走査した時であってもビーム変移量は電気光学結晶の幅より十分小さい。
図16は本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変位量を表す図である。
ここで電気光学結晶基板の構造として、dmax=500μm、dmin=40μm、w=500μm、L=4.0mmを仮定した。また電気光学定数の値に関しては、図25における75℃での測定結果よりポッケルス係数rijは4000pm/V程度と見積もられるため、図16での計算でもrij=4000pm/Vを仮定した。図16より25V程度の電圧を印加することにより15°以上の広角のビーム走査が可能となることが分かる。またビーム位置の変移量も電気光学結晶の幅wより小さく出来ることも確認できる。
図2を参照して本発明の第二の実施形態について述べる。
図2は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図であり、電気光学結晶0201の両面(図では上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0202および下部電極0203を形成して成ることは図1に示した第一の実施形態と同様である。
ただし図1(b)においては電気光学結晶0101の厚さが直線状に変化しているのに対し、図2では電気光学結晶0201の厚さが曲線(例えば、指数関数曲線)状に変化させている点が異なる。言い換えると、本発明第一の実施形態では、電気光学結晶0101の厚さの変化率が一定であるのに対して、第二の実施形態では電気光学結晶0201の厚さの変化率が場所によって異なっていることに特徴がある。
図17(a)は図2に示した電気光学素子の平面図をxy座標の第一象限に表示した図であり、図17(b)は光ビームの入射y座標を変化させたときの出射位置におけるビーム偏向角を比較した結果を示す図である。図17(b)において横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度を示す。
ビームが出射する際の偏向角は、結晶内部に発生する屈折率変化量に依存する。より厳密には式(6)に示されるように、偏向角は屈折率変化量のy軸方向の微分の値に依存する。
またy座標が小さい領域では屈折率変化量の微分量も座標に大きく依存するから、入射位置のずれに対して出射位置における偏向角の違いも大きくなる。
図2に示すように、電気光学結晶の厚さを曲線状に変化させることで、上記のようなΔnの変化率の制御が可能になる。
図18(a)、(b)はその一例を示したものである。
図18(a)は図2に示した電気光学結晶の側面図をxy座標の第一象限に表示した図であり、図18(b)はy軸方向すなわち電気光学結晶の幅方向の変化に対する電気光学結晶内部での屈折率変化量を示した図であり、印加電圧をパラメータにしてある。また図18(b)にはy軸方向の変化に対する電気光学結晶の厚さも示してある。図18(b)において横軸はy座標における位置を示し、縦軸は屈折率変化及び厚さを示す。
ここで電気光学結晶の厚さはy=0において最も薄い値(=dmin)をとり、y=wにおいて最も厚い値(=dmax)となるが、その間の厚さは式(7)の関係で変化させた。
図18(b)より、印加電圧量の増加に対して屈折率変化量も増加し、またy軸方向の変化に対して電気光学結晶の屈折率も線形に変化していることがわかる。したがってこのときはy軸方向の入射位置のずれに対してビーム偏向角が変化せず、入射位置のトレランスが拡大することになる。
25V程度の電圧印加量で15°程度の広角なビーム走査が可能であり、そのときのビーム変移量Δyも結晶幅wと比べて小さくできる。この結果より本発明の第二の実施形態により、入射ビーム位置のずれに対してトレランスが広く、また低電圧駆動で広角にビーム走査が可能な光偏向素子が可能であることが示された。
また、図2では光学結晶の上面のみを曲線状にして結晶厚を変化させているが、結晶の下面のみや上下面両方に曲面を与えて結晶厚を変化させてもよい。
図3に本発明の第三の実施形態を示す。
図3は本発明に係る電気光学素子を用いた光偏向器の断面図を模式的に示したものである。
同図に示す光偏向器は、電気光学結晶0301の両面(図では上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0302および下部電極0303を形成して成る。さらに、光学結晶0301の厚さが電気光学結晶0301の幅方向に対して階段状に変化している。
個々の段の幅を狭くすることで、局所的に見れば電気光学結晶0301は一定の厚さを持つものの、電気光学素子全体で見れば電気光学結晶0301の厚が曲線状に変化していることと等価になる。すなわち曲線状に電気光学結晶0301の厚さを変化させるのと同様の効果を得ることができる。
図4(a)、(b)に本発明の第四の実施形態を示す。
図4(a)は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示したものであり、図4(b)は図4(a)に示した第四の実施形態の変形例を示す断面図である。
電気光学素子は、電気光学結晶0401の両面(図の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極402および下部電極0403を形成して成る。また電気光学結晶0401の中に、電気光学結晶0401を厚さ方向に貫くように絶縁層0406を形成している。またここでは絶縁層0406の密度すなわち電気光学結晶0401の内部に含まれる絶縁層0406の割合は電気光学素子の断面の電圧源0404側(図の左側)ほど大きく、電圧源0404から離れるほど(図の右側に行くほど)小さくしている。
この原因として、一つには電気光学結晶0401と比べて絶縁層0406の材料内部に電荷が注入されにくくなることが考えられる。さらには仮に電荷が注入され、絶縁層0406内部に電界が形成されたとしても、そのことによる屈折率変化量は電気光学結晶0401の屈折率変化量と比べて極端に小さい。このため電気光学素子に電圧を印加した際、絶縁層0406の割合が大きい領域では、絶縁層0406の割合が小さい領域に比べて相対的に屈折率変化量が小さい。
したがって電気光学素子の等価的な屈折率は図の左側の領域ほど小さく、図の右側に行くほど大きくなる。
ここで光ビームを等価的な屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的な屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
始めに電気光学結晶0401の材料を研磨技術等により所望の厚さに加工する。低電圧での駆動のためには、電気光学結晶0401の材料を薄くすることが好ましく、具体的には数十μm程度の結晶厚が好適である。その後RIE(Reactive Ion Etching)、ICP(Inductivity Coupled Plasma)エッチング、NLD(Neutral Loop Discharge)プラズマエッチング、集束イオン(FIB(Focused Ion Beam))エッチング等のドライエッチング技術により結晶材料の一部を掘り抜く。次に掘り抜いた箇所を埋めるように絶縁層を成膜する。絶縁膜の成膜には、高屈折率ガラス材料の場合にはスパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition)等を用いることが好適であり、ポリマー材料の場合にディップコート等の成膜が簡便である。最後に光学結晶材料の表面に成膜された絶縁材料を取り除く。これば素子表面全体を研磨すればよい。以上のプロセスで製作した光学結晶と絶縁材料の混合基板の上下表面に電極を成膜する。
ここで光ビームを等価的な屈折率の低い電気光学素子断面の左側から入力すると、等価的な屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
図4(b)では電気光学結晶0401の上面にのみパターンを施してあるが、電気光学結晶0401の下面のみや上下面両方にパターンを施してもよい。
図5に本発明の第五の実施形態を示す。
図5は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。
電気光学素子は、電気光学結晶0501の両面(図5の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極502および下部電極0503を形成して成る。また電気光学結晶0501の中に、電気光学結晶0501の分極の方向が他の領域の逆である分極反転領域0506が設けられている。また分極反転領域のデューティ比、すなわち電気光学結晶0501の内部に含まれる分極反転領域の割合は電気光学素子の断面の電圧源0504側(図の左側)ほど小さく、右側に行くほど大きい。
したがって分極反転領域をデューティ比1:1で形成すると、正負の屈折率変化がキャンセルされるため等価的な屈折率変化量はゼロになる。図5に示した電気光学素子では、図の左側の領域では分極反転領域が少なく、したがって正の電圧印加に対して負の屈折率変化が生じる。これに対して図の右側の領域ほど、分極反転の領域が多いため、屈折率変化量は小さく、右端では等価的な屈折率変化量はゼロになる。
上述した本発明の第一の実施の形態から第五の実施の形態までの例では、いずれも電気光学結晶基板に何らかの加工を施して、電気光学結晶内部に発生する屈折率変化を制御し、電圧源に近い方の領域(各図の左側の領域)では相対的に屈折率が低く、電圧源から遠い領域(右側の領域)では相対的に屈折率が大きい状態を作り出した。言い換えると電気光学結晶の板厚や等価的な電気光学効果を制御することで屈折率分布を生じさせていた。
ここで、電気光学結晶内部の屈折率分布を制御する方法として、上述の方法とは異なり、印加電圧を電気光学結晶の場所に応じて変化させることが考えられる。例えば、屈折率変化量を大きくしたい領域においては印加電圧を大きくし、逆に屈折率変化量を小さくしたい領域においては印加電圧の印加量を小さくすればよい。
横軸に基板の幅方向の座標をy座標としてとり、縦軸として電気光学結晶内部に引き起こされる屈折率変化量を左軸にとっている。また、右軸にはあるy座標における電圧印加量を電気光学結晶に印加される最大の電圧Vmaxで規格化して取っている。ここでy座標に依存して変化する印加電圧V(y)は式(8)とした。
最大印加電圧を10V、20V、30Vと変化させることにより屈折率の変化率が急峻になることが分かる。
以上のように、電圧印加量を電気光学結晶の幅方向で変化させることにより、入射ビーム位置のずれに対してトレランスが広く、また低電圧駆動で広角にビーム走査が可能な電気光学素子が可能であることが示された。
以下に、電気光学結晶内部に印加する電圧量を変化させる方法について述べる。
図6に本発明の第六の実施形態を示す。
図6は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。
電気光学素子は、電気光学結晶0601の両面(図の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0602および下部電極0603を形成して成る。
ここで、上部電極0602を形成する電極材料はある程度の電気抵抗値を有し、かつその抵抗値が電気光学結晶0601の幅方向に変化している。電気抵抗の大きな部分では電極内部を電流が通過する際に電圧が降下するため、例えば図6に示した電気光学素子において、電圧源0604から離れた領域(より右側の領域)ほど電気抵抗が大きくなるような電極材料を形成すれば、電気光学結晶0601に印加される電圧はより右側の領域ほど小さくなる。電気光学結晶0601に正の電圧を印加した場合、負の屈折率変化が発生するから、このときは右側の領域ほど相対的に屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
電気抵抗が場所によって異なることと同様の状態は一種類の電極材料によっても作り出すことが可能である。
図7(a)〜(c)は本発明に係る電気光学素子の第七の実施形態を示したものである。図7(a)および図7(b)は電気光学素子を上面からみたときの様子を示し、図7(c)は図7(a)および図7(b)におけるVIIc−VIIc線での電気光学素子断面の様子を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶0701の両面(図7(c)の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0702および下部電極0703を形成して成る。
ここで上部電極0702には微細なパターンが形成され、そのパターンにおいては電気光学結晶0701の表面に電極材料が存在しない。また微細パターンにおいて電気光学結晶0701の表面に電極材料が存在しない領域の密度は電圧源0704から離れるほど(図の右側の領域になるほど)大きい。この密度を変化させる例として、図7(a)では微細な円孔パターンの配置密度を変化させ、図7(b)ではパターンを形成する孔の径を変化させている。図7(a)および図7(b)では円孔パターンの例を示したが、電気光学素子の領域に応じて電極材料が存在する領域の面密度が変化する限りにおいてパターンの形状は任意である。
したがって図7に示した電気光学素子においてはより右側の領域になるほど電荷の注入量が減少し、電圧印加によって引き起こされる屈折率変化量は小さくなる。正の電圧を印加した場合、負の屈折率変化が発生するから、右側の領域ほど相対的に屈折率が大きくなり、ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
図8は本発明に係る電気光学素子の第八の実施形態を示したものである。
図8は電気光学素子を上面からみた様子を模式的に表した図である。また、ここでは図示しないが、電気光学素子の断面構造は図7(c)に等しい。図7(a)〜(c)に示した第七の実施形態では電極に微細なパターンを付与したが、電極のパターンとして図8に示すようなストライプ形状のものも有効である。このとき電極の幅が広いほど電荷の注入量が多くなり、結果として電圧印加によって生じる屈折率変化量が大きくなる。
したがって図8に示すように、ストライプ線幅の狭い右側の領域ほど屈折率変化量が小さくなるため、正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面のストライプ間隔の短い側(図の左側)から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
図9(a)、(b)は本発明の第九の実施形態を示す。
本発明に係る電気光学素子を上面からみた様子を図9(a)に表し、またIXb−Ixb線における断面構造を図9(b)に模式的に表す。
電気光学素子は電気光学結晶0901の一方の面(図9(a)の上表面)に第1の上部電極0902および第2の上部電極0904が形成され、また電気光学結晶0901の他方の面(図9(a)の下表面)に下部電極0905が形成されて成る。
ここで第1の上部電極0902には微細なパターンが施され、さらに電気光学結晶0901と第1の上部電極0902とを同時に覆うように第2の上部電極層0903が形成される。
したがって正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
電気光学結晶の幅方向に異なる電圧量を印加する方法として、上部電極及び下部電極の材料と電気光学結晶との間に電気抵抗体層を挿入することも有効である。
図10は本発明の第十の実施形態を示したものである。
図10は本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶1001の一方の面(図の下表面)に下部電極1003が形成され、電気光学素子1001の他方の面(図の上表面)には電気抵抗体1006および上部電極1002が順次積層されて成る。
ここで電気抵抗体1006は電気光学結晶1001の幅方向(図の横方向)にその電気抵抗値が変化するものである。
例えば図10において、電圧源1004から離れるほど(図の右側の領域ほど)電気抵抗が大きいとすると、右側の領域ほど電気光学結晶1001に印加される電圧は低くなる。すなわち電気光学結晶1001の内部に形成される電界は小さくなる。したがって電気光学素子の右側の領域ほど相対的に電荷の注入量が小さいため屈折率変化量が小さくなる。したがって電気光学素子に正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
電気抵抗体を構成する材料が全ての領域で同一の抵抗率を有している場合でも上記と同様の効果を得ることは可能である。
図11は本発明の第十一の実施形態を示す。
図11は本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶1101の一方の面(図の下表面)に下部電極1103が形成され、電気光学結晶1101の他方の面(図の上表面)には電気抵抗体1106および上部電極1102が順次積層されて成る。
ここで電気抵抗体1106は電気光学結晶1101の幅方向(図の横方向)にその膜厚が変化する。
図12は本発明の第十二の実施形態を示したものである。
図12は本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶1201の一方の面(図の下表面)に下部電極1203が形成され、電気光学結晶1201の他方の面(図の上表面)には電気抵抗体1206および上部電極1202が順次積層されて成る。
ここで電気抵抗体1206は電気光学結晶1201の幅方向(図の横方向)にその膜厚が階段状に変化する。
例えば、上述した実施の形態では電気光学素子の場合について説明したが、電気光学素子に光ビームを出射する光源(例えば、レーザ)を設けた光ビーム偏向器に適用してもよい。
0102 上部電極
0103 下部電極
0104 電圧源
0105 光ビーム
Claims (13)
- 電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、
前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、電気光学結晶の板厚を変える前記屈折率が可変である構造は、前記基板の板厚を変えてなる構造であり、前記電気光学材料は、空間電荷効果によってその屈折率が変化させられることを特徴とする電気光学素子。 - 電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、
前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、電気光学結晶の板厚を変える前記屈折率が可変である構造は、前記基板の板厚を変えてなる構造であり、前記基板の板厚の変化率が漸次変化することを特徴とする電気光学素子。 - 電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、
前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、前記電極領域が微小穴を有し、該微小穴の面密度が漸次変化することを特徴とする電気光学素子。 - 請求項1に記載の電気光学素子において、前記基板の板厚が階段状に変化することを特徴とする電気光学素子。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記基板の密度を変えてなる構造であることを特徴とする電気光学素子。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記基板の分極反転領域の密度を変えてなる構造であることを特徴とする電気光学素子。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記電極領域の電気抵抗を変えてなる構造であることを特徴とする電気光学素子。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記電極領域が複数のストライプ形状の集合体から成り、該ストライプ形状の線幅が漸次変化することを特徴とする電気光学素子。
- 請求項7または8に記載の電気光学素子において、前記電極領域が少なくとも2種類の導電性材料からなり、前記導電性材料の仕事関数が互いに異なることを特徴とする電気光学素子。
- 請求項7に記載の電気光学素子において、前記電極領域が導電性材料と電気抵抗体材料との積層構造からなることを特徴とする電気光学素子。
- 請求項10に記載の電気光学素子において、前記電気抵抗体材料の厚さが漸次変化することを特徴とする電気光学素子。
- 請求項10に記載の電気光学素子において、前記電気抵抗体材料の厚さが階段状に変化することを特徴とする電気光学素子。
- 請求項1から12のいずれか1項記載の電気光学素子を用いたことを特徴とする光ビーム偏向器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007264426A JP5006748B2 (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 電気光学素子及び光ビーム偏向器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007264426A JP5006748B2 (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 電気光学素子及び光ビーム偏向器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009092995A JP2009092995A (ja) | 2009-04-30 |
JP5006748B2 true JP5006748B2 (ja) | 2012-08-22 |
Family
ID=40665028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007264426A Expired - Fee Related JP5006748B2 (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 電気光学素子及び光ビーム偏向器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5006748B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010098227A1 (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-02 | 国立大学法人長岡技術科学大学 | 光変調材料およびその製造方法 |
JP5871578B2 (ja) * | 2011-11-17 | 2016-03-01 | 三菱電機株式会社 | スクリュー圧縮機 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS626230A (ja) * | 1985-07-02 | 1987-01-13 | Brother Ind Ltd | 光偏向装置 |
JPH01293324A (ja) * | 1988-05-20 | 1989-11-27 | Minolta Camera Co Ltd | 光変調器 |
JPH10282531A (ja) * | 1997-04-08 | 1998-10-23 | Tdk Corp | 光学偏向器 |
JP2002365676A (ja) * | 2001-06-11 | 2002-12-18 | Mitsui Chemicals Inc | 光偏向素子 |
JP3935810B2 (ja) * | 2002-09-27 | 2007-06-27 | シャープ株式会社 | 光路変換デバイス |
JP2004258169A (ja) * | 2003-02-25 | 2004-09-16 | Alps Electric Co Ltd | 光偏向素子及びそれを用いた光スイッチ |
JP5073150B2 (ja) * | 2003-06-30 | 2012-11-14 | 旭硝子株式会社 | 光偏向器および光走査装置 |
JP2006267906A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Ricoh Co Ltd | 光偏向素子・画像表示装置 |
CA2829445C (en) * | 2005-06-20 | 2016-05-03 | Nippon Telegraph And Telephone Corporation | Electrooptic device |
-
2007
- 2007-10-10 JP JP2007264426A patent/JP5006748B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009092995A (ja) | 2009-04-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101363125B1 (ko) | 전기 광학 소자 | |
CN102385176B (zh) | 电光器件 | |
JP5130810B2 (ja) | 光偏向器 | |
US8483523B2 (en) | Optical waveguide electro-optic device and process of manufacturing optical waveguide electro-optic device | |
KR100730253B1 (ko) | 광 편향 소자 및 광 스위치 | |
JP2010026079A (ja) | 光デバイス | |
US7976717B2 (en) | Method of forming polarization reversal area, apparatus thereof and device using it | |
JP2013140328A (ja) | 光学装置、光偏向装置及び光変調装置 | |
JP2007108515A (ja) | 光学素子及びその製造方法 | |
JP5006748B2 (ja) | 電気光学素子及び光ビーム偏向器 | |
US8400703B2 (en) | Optical switch | |
JP6300209B2 (ja) | 光偏向素子及び光偏向装置 | |
US20090022446A1 (en) | Optical modulation element and optical modulation device having the same | |
JP2012159584A (ja) | 電気光学素子 | |
JP2013044762A (ja) | 電気光学素子及びその製造方法、並びに、電気光学素子を用いた光偏向装置 | |
KR20060059148A (ko) | 광학 소자 및 광 스위치 | |
Chiu et al. | Electro‐optic beam scanner in KTiOPO4 | |
CN114185186A (zh) | 包括光调制器的光器件及光收发器 | |
JP5416022B2 (ja) | 周波数無依存光偏向器 | |
JP4663604B2 (ja) | 電気光学素子 | |
JPH10307307A (ja) | 光学偏向器 | |
WO2010071105A1 (ja) | 光スイッチ、画像表示装置、画像形成装置、及び光スイッチの製造方法 | |
JP2012155045A (ja) | 電気光学素子及びその製造方法 | |
EP4116766A1 (en) | Fast active beam-steering device and apparatus operating in transmission mode | |
US20230236470A1 (en) | Electro-Optical Device |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100803 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111004 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120522 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120525 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150601 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5006748 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |