JP5006748B2 - 電気光学素子及び光ビーム偏向器 - Google Patents

電気光学素子及び光ビーム偏向器 Download PDF

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Description

本発明は、電気光学結晶材料を用いた電気光学素子及び光ビーム偏向器に係り、特にレーザプリンタ、レーザ走査顕微鏡、バーコードリーダー等のスキャナー部、光通信用スイッチ素子に用いられる電気光学素子及び光ビーム偏向器に関する。
入力信号に応じて光ビームを任意の角度に走査することが可能な電気光学素子は、様々な用途、例えばレーザプリンタ、プロジェクタおよびディスプレイ等の映像機器、光通信、光記録、光造形、各種センシングデバイス等を構成する際の基本素子である。
電気光学素子に求められる性能として、広角に走査可能であること、高速に走査可能であること、低消費電力あるいは低電圧の入力信号で動作可能であること、小型であること、耐衝撃性に優れること等が挙げられる。
これまでに様々な電気光学素子が提案されているが、上記の要求を全て満足させることはできていない。
以下に現在電気光学素子として用いられている代表的な従来技術を述べる。
光ビームを広角に走査可能な光偏向技術として、ポリゴンミラーやガルバノミラーを機械的に駆動する方法がある。
しかしながら、ミラーをモータ駆動により駆動させるため、動作速度が最大でも数百Hzと遅く、素子の小型化が困難であり、消費電力も大きいといった問題がある。
また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により形成されたミラーを用いると、素子の小型化および複数の素子の集積化は可能となるが、MHz以上の高速な駆動は困難であり、また機械的な強度に対する信頼性が低い。
機械的な駆動部を持たない方式として、音響光学効果(AO(Acousto-Optic )効果)を利用した光偏向素子がある。AO偏向器は数百kHz程度の比較的高速で動作し、また高い音響周波数により大きな偏向角を得ることができる。
しかしながら、AO偏向器は超音波発生部分を持つため、素子の小型化は困難であり、さらに数百MHzの弾性波励起信号を必要とするために駆動システムが複雑でかつ大きくなることが避けられない。
また高速に光ビームを走査することが可能な技術として、電気光学効果(EO(Electro- Optic)効果)による光学材料の屈折率変化を利用した光偏向素子がある。例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3:LN)やタンタル酸リチウム(LiTaO3:LT)等の電気光学結晶基板表面にプリズム形状の電極を形成、あるいは電気光学結晶にプリズム形状などの分極反転領域をパターニングし、電圧を印加することによって屈折率変化を起こすことでビームを偏向させる。
例えば特許文献1では、この原理を利用し、プリズム状電極を複数設けたマルチビーム対応の光スイッチ素子を報告している。
しかしながら、一般的に電気光学効果による屈折率変化量は極めて小さいため、大きな偏向角を得るためには素子のサイズも大きくする必要があり、さらには駆動電圧も大きくする必要がある。
以上の光偏向技術の他に、非特許文献1において、空間電荷制御電気伝導を利用したビーム偏向素子が報告されている。これは電気光学結晶への電子注入により、電気光学効果による屈折率変化に傾斜が生じ、広角な光偏向が生じる現象である。非特許文献1では、大きなEO効果を有するKTN結晶基板の上下面に金属電極を成膜し、電圧を印加することにより、基板の膜厚方向に全角10°程度の大きなビーム偏向を実現している。
以下にこの空間電荷制御電気伝導を利用したビーム偏向素子の動作原理を図22(a)〜(c)を参照して説明する。
図22(a)は従来の電気光学素子を横から見た様子を表す図であり、電気光学素子は電気光学結晶からなる基板の両面(図では上下の面)に電極となる金属薄膜を形成して構成される。
ここで、電極と結晶との接触をオーミック接触とすると、結晶内部に電子が注入される。空間電荷効果とは、結晶内部に注入された電子によって陽極から発する電界が終端される効果であり。この効果によって電極間の電界が不均一になる。光学結晶内部に電子が注入されたときの電界分布は式(1)で与えられる。
Figure 0005006748
ここでVは印加電圧を表し、dは結晶の厚さを表し、xは結晶の厚さ方向の座標を表す(0≦x≦d)。したがって、図22(a)に示した電気光学結晶内の電界分布は図22(b)に示すように、結晶の厚さ方向に異なる値をもつ。電気光学結晶がカー効果による屈折率変化を示す場合、結晶内部に電界が形成されたときの結晶の屈折率変化量Δnは式(2)で与えられる。
Figure 0005006748
0は結晶の屈折率であり、sijはカー定数である。式(1)および式(2)より、空間電荷効果によって生じる電気光学結晶内の屈折率変化量は図22(c)に示すような分布を持つ。すなわち、正の電圧を印加した電極付近が最も屈折率が低く、反対の電極付近の屈折率が最も高い。電圧を印加された結晶材料がカー効果によって屈折率変化する場合、結晶の厚さ方向で屈折率は線形に変化する。
ここで結晶の断面から光ビームを入力すると、光は屈折率の高い方向へ偏向しながら伝搬する。相互作用長、すなわち屈折率分布をもつ結晶内を伝搬する長さをLとすると、結晶内部での偏向角θiは次式(3)で与えられる。
Figure 0005006748
さらに結晶から出射するときの偏向角θは偏向角が小さい場合にはスネルの法則より、式(4)で与えられる。
Figure 0005006748
以上の原理から具体的に結晶内部における屈折率分布および、ビーム偏向角を計算した例を示す。
ここでは結晶の屈折率をn0=2.2とし、カー定数をsij=1.0×10-142/V2とし、結晶厚をd=500μmとし、相互作用長をL=5mmとした。
特開2007-114446号公報 K. Nakamura、 et.al.、 "Wide-angle low-voltage electro-optic beam deflection based on space-charge-controlled mode of electrical condition in KTa1-xNbxO3、" Applied Phys. Lett.、 89、 131115(2006)
ここで、電圧印加によって生じる結晶内の屈折率変化の分布を図23に示す。図23において横軸は屈折率差を示し、縦軸は変位を示す。
正の電圧印加によって負の屈折率変化が生じ、逆に負の電圧印加によって正の屈折率変化が生じる。また印加電圧を大きくすることにより、結晶内部の屈折変化量も増大する。
図24(a)は電気光学素子の断面を示し、図24(b)は図24(a)に示した電気光学素子の印加電圧に対する出射ビームの偏向角およびビーム偏向に伴う膜厚方向のビーム位置の変移量、すなわち光ビームの入射位置と出射位置の膜厚方向の差を示している。図24(b)において横軸は印加電圧を示し、左縦軸は偏向角度を示し、右縦軸は変位量を示す。
偏向角度は印加電圧の2乗に比例して増大し、理論的には±200Vの電圧印加により±10°以上のビーム偏向が可能になる。ただし光ビームを結晶の厚さ方向の中央から入射した場合、ビーム偏向に伴うビーム位置の変移量は、結晶厚の1/2以下、すなわちこの例では250μm以下であることが必要である。変移量が250μm以上になると、結晶内部を伝搬した光が出射端面に至るより前に結晶の上下面において光ビームが反射してしまう。
結晶に印加可能な電圧量はこのビーム位置の変移量によって制限され、この例では±200V程度以下で素子を動作させることが必要になる。
非特許文献1では、電気光学結晶としてKTN(KTal-xNbx3)結晶を用い、オーミック接触を達成するために電極材料としてTiを採用している。さらに動作温度をキュリー温度に近づけることで大きな偏向角を得ている。また上記の空間電荷効果によるビーム偏向はKTN特有の現象ではなく、大きな電気光学効果を有する材料であれば同様のビーム偏向が可能である。例えばニオブ酸ストロンチウムバリウム(SrxBa1-xNbO3:SBN)結晶等は高い電気光学係数を持ち、空間電荷効果を利用した光偏向を構成するための電気光学材料として好適である。
図25はSBN(x=61)にTi電極を形成して電圧を印加し、ビーム偏向角を測定した結果である。同図において横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度を示す。
ここで結晶の厚さをd=500μmとし、相互作用長をL=7mmとした。また動作温度75℃および87℃としてそれぞれ印加電圧とビーム偏向角の関係をプロットした。
SBN(x=61)はキュリー温度が80℃であり、動作温度がキュリー温度以下の場合、電気光学結晶はポッケルス効果によってその屈折率が変化する。このとき、結晶内の電界量と屈折率変化量との間には式(5)の関係がある。
Figure 0005006748
ここでrijはポッケルス係数である。また、ポッケルス効果と空間電荷効果とを組み合わせた場合、電圧印加量に対してビーム偏向角はほぼ線形に変化することが理論的に導かれるが、図25に示したように75℃で動作させた場合の実験結果も印加電圧が±50V以下程度の範囲では印加電圧に対してビーム偏向角は線形に変化している。
またキュリー温度以上の動作温度ではビーム偏向角は電圧印加量の2乗に比例するが、キュリー温度以上である87℃で動作させた場合の測定結果もビーム偏向角は電圧印加量の2乗にほぼ比例していることがわかる。また、いずれの動作温度についてもキュリー温度に近い温度で動作させたため、±4°以上の大きなビーム偏向角が得られた。
空間電荷制御電気伝導を利用したビーム偏向素子は、機械的な駆動部を持たないため、ミラー駆動型およびMEMS(Micro Electro Mechanical System)型と比較すると耐衝撃性に優れ、高速動作が可能である。また固体光学結晶基板に電圧を印加するのみで動作可能であるため、AO偏向器と比較して駆動システムを簡素化でき、さらにデバイス長が数mm程度と小型であるにも係らず、偏向角を10°程度まで大きくできるといった特徴を有する。
ただし、空間電荷制御電気伝導を利用したビーム偏向素子を駆動するためには数100V程度の高電圧の印加を必要とする。理論的には駆動電圧は式(1)から分かるように電気光学結晶の厚さを薄くすることで低減できる。例として結晶の厚さを100μmとしたときの電圧印加量とビーム偏向角の関係を見積もってみる。
ここではカー効果と空間電荷とを組み合わせてビーム偏向が発生する場合を考え、結晶の屈折率をn0=2.2とし、カー定数をsij=1.0×10-142/V2とし、結晶厚をd=100μmとし、相互作用長をL=5mmと仮定する。
図26に上記パラメータにおける印加電圧と偏向角およびビーム偏向に伴う膜厚方向のビーム位置の変移量との関係を示す。同図において、横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度を示す。
結晶の厚さが500μmである図24の場合と比較して、8V程度の低電圧で±2°程度の偏向角が得られる。ただし、電圧印加量が8Vを超えると、ビームの出射位置が膜厚方向に50μm以上すなわち結晶厚さの1/2以上移動してしまう。したがって8V以上の電圧印加時は、出射端面に至るより前に結晶の上下面において光ビームが反射してしまう。結果的として、結晶の厚さを薄くすることによって、低電圧での駆動は可能になるが、結晶厚方向にビームの移動が生じるという理由により偏向角を大きなビーム偏向素子の実現が困難となる。
上述のように、空間電荷制御電気伝導を利用したビーム偏向素子において、低電圧駆動と広角でのビーム走査との両立を可能にすることは困難であった。
本発明では、これらの問題点を解決するためのものであり、低電圧で駆動可能でありかつ、広角に光ビームを走査できる小型の電気光学素子及び光ビーム偏向器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、電気光学結晶の板厚を変える前記屈折率が可変である構造は、前記基板の板厚を変えてなる構造であり、前記電気光学材料は、空間電荷効果によってその屈折率が変化させられることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、電気光学結晶の板厚を変える前記屈折率が可変である構造は、前記基板の板厚を変えてなる構造であり前記基板の板厚の変化率が漸次変化することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、前記電極領域が微小穴を有し、該微小穴の面密度が漸次変化することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項に記載の電気光学素子において、前記基板の板厚が階段状に変化することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記基板の密度を変えてなる構造であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記基板の分極反転領域の密度を変えてなる構造であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記電極領域の電気抵抗を変えてなる構造であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記電極領域が複数のストライプ形状の集合体から成り、該ストライプ形状の線幅が漸次変化することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の電気光学素子において、前記電極領域が少なくとも2種類の導電性材料からなり、前記導電性材料の仕事関数が互いに異なることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の電気光学素子において、前記電極領域が導電性材料と電気抵抗体材料との積層構造からなることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の電気光学素子において、前記電気抵抗体材料の厚さが漸次変化することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の電気光学素子において、前記電気抵抗体材料の厚さが階段状に変化することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか1項記載の電気光学素子を用いた光ビーム偏向器であることを特徴とする。
本発明によれば、電気光学効果をもつ光学材料基板の両面から電圧を印加することによって動作し、電気光学効果と空間電界効果との組み合わせにより光偏向が可能となる。結晶内部に発生する屈折率変化の分布を制御することにより基板幅方向に光ビームを走査させる。これにより低電圧で駆動し広角に光ビームを走査することが可能な、コンパクトな電気光学素子及び光ビーム偏向器の提供を実現できる。
以下に本発明に係る電気光学素子を用いた光偏向器の実施の形態について説明する。
〔第一の実施の形態(楔型横方向偏向素子)〕
本発明の第一の実施形態を図1を用いて説明する。
図1(a)は本発明に係る電気光学素子を上面から見た図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。
電気光学素子は電気光学結晶基板0101の両面(図1(b)の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0102および下部電極0103を形成して成る。また、電気光学結晶基板0101の板厚は電気光学結晶基板0101の幅方向で漸次変化させる。
すなわち電気光学結晶基板0101は楔形状となっている。
ここで電気光学結晶の電気光学定数(EO係数)が大きいほど、電気光学素子内を伝搬した後のビーム偏向角を大きくすることができる。電極材料は結晶材料との接触がオーミック接触となるように選択される。具体的には、光学結晶材料としてKIN(KTa1-xNbx3)結晶やSBN(SrBa1-xNbO3)結晶等が好適であり、オーミック接触を実現するための電極材料としてTiやCr等が好適である。これらの電極材料はスパッタや蒸着等により結晶面上に薄膜として形成できる。
光学結晶材料を楔形状に加工することは例えば高精度な研磨加工技術等によって実現可能である。
図1(a)、(b)では上部電極0102及び下部電極0103の寸法を電気光学結晶0101よりやや小さく形成してある。これは上部電極0102―下部電極0103間に印加した電圧によって電気光学結晶0101の側面に表面電流が発生することを抑制する効果がある。
特に電気光学結晶0101の厚さが薄い時には上部電極0102と下電極0103とが短絡し易くなるため、両電極0102、0103の寸法を電気光学結晶0101より小さくしておくことが好ましい。
具体的には、それぞれ電気光学結晶0101の四方を両電極0102、0103の大きさより数百μm〜1mm程度広くすれば十分である。
上部電極0102および下部電極0103の間に電圧を印加することにより、電気光学結晶0101の内部に電子が注入される。空間電荷効果と電気光学効果とが組み合わさり、電圧印加により電気光学結晶0101の屈折率が変化する。
ここで正の電圧を電気光学結晶0101に印加することで、負の屈折率変化が生じる。上部電極0102と下部電極0103との間の距離が狭いほど電気光学結晶0101の内部に形成される電界が大きくなるため屈折率変化量も大きくなる。
電気光学結晶0101の厚さを図1(b)に示すように変化させ、楔型の断面形状となるようにすると、Ib−Ib線上で電気光学結晶0101の厚さが異なるから、電気光学結晶0101内に形成される屈折率変化量もIb−Ib線上で異なる。
図13(a)は図1(b)に示した電気光学素子をxy座標の第一象限に表示した図であり、図13(b)は図1(b)のVII−VII線における屈折率変化量を表した図である。図13(b)において横軸はy座標における位置を示し、縦軸は屈折率変化を示す。
ここで電気光学結晶0101の内部への電界形成によって生じる電気光学効果として2次のカー効果を想定し、カー定数sij=1.0×10-142/V2を仮定した。
以降では、電気光学結晶の厚さ方向にx軸をとり、電気光学結晶の幅方向にy軸をとり、光ビームの入射光軸に平行にz軸をとって説明する。
電気光学結晶の下面での座標をx=0とし、電気光学結晶に電界が形成される左端の座標をy=0とする。電気光学結晶の厚さが最も小さいところで100μm(dmin)、最も厚いところで500μm(dmax)とした。電気光学結晶の幅をw=500μmとし、y=0〜wの範囲においてdminとdmaxとの間は線形に変化するものとした。
図13はx=80μmの線上における屈折率変化量を示したものである。電圧印加量をパラメータとして5〜20Vまで変化させた。電圧印加量を大きくするほど屈折率変化量の絶対値も大きくなり、またy座標が小さいほど電気光学結晶の厚さが相対的に小さいため、屈折率変化量の絶対値も大きくなることがわかる。
図13のような屈折率分布を持つ媒質に光ビームを入力することを考える。y座標が大きくなるほど、屈折率が大きくなるから、y座標が小さいすなわち、電気光学結晶0101の厚さが薄いところに光ビームを入力すると、相対的に屈折率の大きい方向(y座標が大きくなる方向)に光ビームは偏向しながら伝搬する。すなわち電気光学結晶0101の基板の幅方向に水平な方向に光ビームが偏向する。Δnがy座標に依存して変化するとき、ビームの横方向への偏向角は式(6)で与えられる。
Figure 0005006748
式(6)においてLは相互作用長である。
従来の空間電荷効果を利用した偏向素子においては、光ビームは電気光学結晶基板の厚さ方向に偏向するため、電気光学結晶の厚さが制限され、低電圧駆動が難しい。これに対して、上述のような横方向のビーム偏向では電気光学結晶厚さに対する制限が緩和され、低電圧駆動が可能になる。
図14(a)は図1(a)に示した電気光学素子をzy座標の第一象限に表示した図であり、図14(b)は上記の構造パラメータについて、印加電圧量に対する素子からビームが出射する時の偏向角を表した図である。
また図14(a)には、偏向に伴うビーム位置の差Δyも合わせて示してある。
ここでビーム入射座標(xin、yin)は(80μm、0μm)、すなわちy軸上では光ビームは電界が印加される領域において最も結晶の厚さが薄いところから入射した。
また相互作用長Lは4mmとした。図14より、20V程度の比較的低い印加電圧によって8°程度の大きなビーム偏向角が得られることが分かる。またこのときビーム位置変移量Δyは200μmであり、基板の幅であるwより十分小さいことが確認できる。
光ビームの電気光学素子通過によるビーム偏向角をさらに大きくすることは、楔形の電気光学結晶の厚さの差、すなわちdmaxとdminとの差を大きくし、さらに電気光学結晶の幅wを小さくすることで可能となる。
そこでもう一つの電気光学素子の寸法の例として、dmax=500μm、dmin=40μm、w=500μm、L=2.5mmを仮定する。
図15は本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変位量を表す図である。
同図において横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度及び変位量を示す。
25V程度の電圧印加により20°程度の大きなビーム偏向が可能となる。また広角にビーム光を走査した時であってもビーム変移量は電気光学結晶の幅より十分小さい。
上記の例ではカー効果と空間電荷効果との組み合わせによるビーム偏向素子を示したが、ポッケルス効果と空間電荷効果とを組み合わせても同様に横方向(電気光学素子の両電極に平行な方向)に光ビームを走査する光偏向素子を実現することができる。
図16は本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変位量を表す図である。
ここで電気光学結晶基板の構造として、dmax=500μm、dmin=40μm、w=500μm、L=4.0mmを仮定した。また電気光学定数の値に関しては、図25における75℃での測定結果よりポッケルス係数rijは4000pm/V程度と見積もられるため、図16での計算でもrij=4000pm/Vを仮定した。図16より25V程度の電圧を印加することにより15°以上の広角のビーム走査が可能となることが分かる。またビーム位置の変移量も電気光学結晶の幅wより小さく出来ることも確認できる。
〔第二の実施の形態(楔形結晶の膜厚変化を曲線状にする)〕
図2を参照して本発明の第二の実施形態について述べる。
図2は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図であり、電気光学結晶0201の両面(図では上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0202および下部電極0203を形成して成ることは図1に示した第一の実施形態と同様である。
ただし図1(b)においては電気光学結晶0101の厚さが直線状に変化しているのに対し、図2では電気光学結晶0201の厚さが曲線(例えば、指数関数曲線)状に変化させている点が異なる。言い換えると、本発明第一の実施形態では、電気光学結晶0101の厚さの変化率が一定であるのに対して、第二の実施形態では電気光学結晶0201の厚さの変化率が場所によって異なっていることに特徴がある。
本発明に係る第一の実施形態により、低電圧印加によって広角のビーム走査が可能であることを示したが、以下に示す課題も存在する。すなわち、光ビームの入射位置(y座標)が異なると、出射位置におけるビーム偏向角も異なるという問題点がある。
図17(a)は図2に示した電気光学素子の平面図をxy座標の第一象限に表示した図であり、図17(b)は光ビームの入射y座標を変化させたときの出射位置におけるビーム偏向角を比較した結果を示す図である。図17(b)において横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度を示す。
ここで光偏向素子の構造は図15の特性を得た際に用いた構造と同じであり、dmax=500μm、dmin=40μm、w=500μm、L=2.5mmである。ここで光ビームの入射y座標が0μm、10μm、20μmであるときの偏向角を比較すると入射y座標が大きいほど偏向角が小さい。すなわち素子の偏向性能が光ビームの入射位置に依存する。
この原因は以下の理由による。
ビームが出射する際の偏向角は、結晶内部に発生する屈折率変化量に依存する。より厳密には式(6)に示されるように、偏向角は屈折率変化量のy軸方向の微分の値に依存する。
ここで楔形光学結晶内部における屈折率変化を計算した結果である図13(b)を見ると、y座標が小さい領域での屈折率変化量が大きいことが分かる。したがって、ビーム偏向の多くはy座標の値が小さい領域を光が伝搬することによって発生する。すなわち、出来るだけy座標の小さい部分から光を入力することが、大きな偏向角を得るためには望ましい。
またy座標が小さい領域では屈折率変化量の微分量も座標に大きく依存するから、入射位置のずれに対して出射位置における偏向角の違いも大きくなる。
y軸方向の入射位置のずれに対してビーム偏向角が変化しないようにするためには、y方向の変化に対して屈折率変化量Δnが線形に変化する必要がある。すなわち、dΔn/dyが一定の値になればよい。
図2に示すように、電気光学結晶の厚さを曲線状に変化させることで、上記のようなΔnの変化率の制御が可能になる。
図18(a)、(b)はその一例を示したものである。
図18(a)は図2に示した電気光学結晶の側面図をxy座標の第一象限に表示した図であり、図18(b)はy軸方向すなわち電気光学結晶の幅方向の変化に対する電気光学結晶内部での屈折率変化量を示した図であり、印加電圧をパラメータにしてある。また図18(b)にはy軸方向の変化に対する電気光学結晶の厚さも示してある。図18(b)において横軸はy座標における位置を示し、縦軸は屈折率変化及び厚さを示す。
ここで電気光学結晶の厚さはy=0において最も薄い値(=dmin)をとり、y=wにおいて最も厚い値(=dmax)となるが、その間の厚さは式(7)の関係で変化させた。
Figure 0005006748
またここではカー効果と空間電荷効果とによって電気光学結晶内部に屈折変化が発した場合を考え、カー定数sij=1.0×10-142/V2を仮定した。その他の電気光学結晶の寸法はdmax=500μm、dmin=40μm、w=500μmを仮定した。また光ビームの入射x座標は20μmとした。
図18(b)より、印加電圧量の増加に対して屈折率変化量も増加し、またy軸方向の変化に対して電気光学結晶の屈折率も線形に変化していることがわかる。したがってこのときはy軸方向の入射位置のずれに対してビーム偏向角が変化せず、入射位置のトレランスが拡大することになる。
図19は本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変移量との関係を示す図であり、上記で仮定したパラメータの値に加えて相互作用長Lを6mmとした。図19において横軸は印加電圧を示し、縦軸は偏向角度を示す。
25V程度の電圧印加量で15°程度の広角なビーム走査が可能であり、そのときのビーム変移量Δyも結晶幅wと比べて小さくできる。この結果より本発明の第二の実施形態により、入射ビーム位置のずれに対してトレランスが広く、また低電圧駆動で広角にビーム走査が可能な光偏向素子が可能であることが示された。
また、図2では光学結晶の上面のみを曲線状にして結晶厚を変化させているが、結晶の下面のみや上下面両方に曲面を与えて結晶厚を変化させてもよい。
〔第三の実施の形態(楔形結晶の膜厚変化を階段状にする)〕
図3に本発明の第三の実施形態を示す。
図3は本発明に係る電気光学素子を用いた光偏向器の断面図を模式的に示したものである。
同図に示す光偏向器は、電気光学結晶0301の両面(図では上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0302および下部電極0303を形成して成る。さらに、光学結晶0301の厚さが電気光学結晶0301の幅方向に対して階段状に変化している。
図2に示した電気光学結晶0201の板厚を曲線状に変化させる構造を実現するためには高精度な加工技術が必要となる。そこでより加工を単純化するために、図3に示すような階段状に電気光学結晶0301の厚さを変化させることが有効である。
個々の段の幅を狭くすることで、局所的に見れば電気光学結晶0301は一定の厚さを持つものの、電気光学素子全体で見れば電気光学結晶0301の厚が曲線状に変化していることと等価になる。すなわち曲線状に電気光学結晶0301の厚さを変化させるのと同様の効果を得ることができる。
電気光学結晶0301の加工法の一例としては、基板厚が最も厚いところまでは、研磨等で一様に電気光学結晶を薄板化加工した後、ドライエッチング技術により所望の厚さまで電気光学結晶をエッチングする。エッチング時のマスクとして、フォトリソグラフィ等でパターニングを施したレジストを用いることができ、さらにレジストの厚さを段階的に変化させることでエッチング後の電気光学結晶0301の厚を変化させることができる。
〔第四の実施の形態(光学結晶の密度を変える(微小パターンを施す))〕
図4(a)、(b)に本発明の第四の実施形態を示す。
図4(a)は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示したものであり、図4(b)は図4(a)に示した第四の実施形態の変形例を示す断面図である。
電気光学素子は、電気光学結晶0401の両面(図の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極402および下部電極0403を形成して成る。また電気光学結晶0401の中に、電気光学結晶0401を厚さ方向に貫くように絶縁層0406を形成している。またここでは絶縁層0406の密度すなわち電気光学結晶0401の内部に含まれる絶縁層0406の割合は電気光学素子の断面の電圧源0404側(図の左側)ほど大きく、電圧源0404から離れるほど(図の右側に行くほど)小さくしている。
絶縁層0406は絶縁層0406の内部に電界を形成したときの屈折率変化量が電気光学結晶0401の屈折率変化量よりも小さい材料からなる。さらに絶縁層0406の屈折率は電気光学結晶0401と比較的近いことが好ましく、具体的には五酸化二タンタル(Ta25)を高濃度にドープした石英ガラスや、窒化シリコン(SiN)等の高屈折率ガラスや高屈折率ポリマー等が好適である。
図4(a)に示した構造において、上部電極0402−下部電極0403間に電圧源0404から電圧を印加すると、電気光学結晶0401には電荷が注入され電界が形成されることにより、屈折率変化が生じる。これに対して、絶縁層0406には電圧が印加されても屈折率変化は生じない。
この原因として、一つには電気光学結晶0401と比べて絶縁層0406の材料内部に電荷が注入されにくくなることが考えられる。さらには仮に電荷が注入され、絶縁層0406内部に電界が形成されたとしても、そのことによる屈折率変化量は電気光学結晶0401の屈折率変化量と比べて極端に小さい。このため電気光学素子に電圧を印加した際、絶縁層0406の割合が大きい領域では、絶縁層0406の割合が小さい領域に比べて相対的に屈折率変化量が小さい。
図4(a)では電気光学素子の電圧源0404から離れるほど(図の右側の領域ほど)絶縁層0406が多く含まれるから、電気光学結晶0401に負の屈折率変化を与えるように正の電圧を印加したときには、相対的に右側の領域の方が等価的な屈折率変化量の絶対値が小さい。
したがって電気光学素子の等価的な屈折率は図の左側の領域ほど小さく、図の右側に行くほど大きくなる。
ここで光ビームを等価的な屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的な屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
電気光学素子内部に作り出される屈折率分布は絶縁層0406の密度を調整することで制御可能である。したがって、本発明の第二の実施の形態に示したような、電気光学結晶の曲面に電圧を印加したときと同様な屈折率の分布も作り出すことができる。
図4(a)に示した構成を実現する製作プロセスの一例を以下に述べる。
始めに電気光学結晶0401の材料を研磨技術等により所望の厚さに加工する。低電圧での駆動のためには、電気光学結晶0401の材料を薄くすることが好ましく、具体的には数十μm程度の結晶厚が好適である。その後RIE(Reactive Ion Etching)、ICP(Inductivity Coupled Plasma)エッチング、NLD(Neutral Loop Discharge)プラズマエッチング、集束イオン(FIB(Focused Ion Beam))エッチング等のドライエッチング技術により結晶材料の一部を掘り抜く。次に掘り抜いた箇所を埋めるように絶縁層を成膜する。絶縁膜の成膜には、高屈折率ガラス材料の場合にはスパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition)等を用いることが好適であり、ポリマー材料の場合にディップコート等の成膜が簡便である。最後に光学結晶材料の表面に成膜された絶縁材料を取り除く。これば素子表面全体を研磨すればよい。以上のプロセスで製作した光学結晶と絶縁材料の混合基板の上下表面に電極を成膜する。
電気光学結晶0401の両面(図4(b)の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0402および下部電極0403を形成して成る。また、電気光学結晶0401の上表面から一定の厚さまで微細な孔を設けてあり、その孔を電極材料で埋め込む。ここで必ずしも孔の深さ全てを電極材料で埋め込む必要はなく、孔の表面を覆う程度の膜厚を成膜するのみでも十分である。電気光学結晶0401の材料に微細孔を施す方法は図4(a)の構造を製作する際と同様に、ドライエッチング技術により形成でき、電極材料の成膜には蒸着やスパッタ、電解めっき等の成膜技術を用いることができる。
図4(b)に示した電気光学素子に電圧を印加すると、微小孔を形成した部分においては、相対的に電気光学結晶0401の厚さが薄いため、形成される電界の強度が大きくなる。したがってその箇所の屈折率変化量は大きい。図4(b)では図の左側の領域ほど孔の密度を大きくしているため、電気光学結晶0401に負の屈折率変化を与えるように正の電圧を印加したときには、電気光学素子の等価的な屈折率は図の左側の領域ほど小さく、右側に行くほど大きくなる。
ここで光ビームを等価的な屈折率の低い電気光学素子断面の左側から入力すると、等価的な屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
電気光学素子内部に作り出される屈折率分布は絶縁層0406の密度を調整することで制御可能である。したがって、本発明の第二の実施形態に示したような、電気光学結晶の曲面に電圧を印加したときと同様な屈折率の分布も作り出すことができる。
図4(b)では電気光学結晶0401の上面にのみパターンを施してあるが、電気光学結晶0401の下面のみや上下面両方にパターンを施してもよい。
〔第五の実施の形態(光学結晶に分極反転パターンを施す)〕
図5に本発明の第五の実施形態を示す。
図5は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。
電気光学素子は、電気光学結晶0501の両面(図5の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極502および下部電極0503を形成して成る。また電気光学結晶0501の中に、電気光学結晶0501の分極の方向が他の領域の逆である分極反転領域0506が設けられている。また分極反転領域のデューティ比、すなわち電気光学結晶0501の内部に含まれる分極反転領域の割合は電気光学素子の断面の電圧源0504側(図の左側)ほど小さく、右側に行くほど大きい。
分極反転を施した領域では、電圧印加に対する屈折率変化の符号が逆転する。すなわち、正の電圧を印加したとき、通常は負の屈折率変化が生じるのに対して、分極反転領域においては正の屈折率変化が生じる。また印加電圧が等しい時、その屈折率変化量の絶対値は等しい。
したがって分極反転領域をデューティ比1:1で形成すると、正負の屈折率変化がキャンセルされるため等価的な屈折率変化量はゼロになる。図5に示した電気光学素子では、図の左側の領域では分極反転領域が少なく、したがって正の電圧印加に対して負の屈折率変化が生じる。これに対して図の右側の領域ほど、分極反転の領域が多いため、屈折率変化量は小さく、右端では等価的な屈折率変化量はゼロになる。
ここで光ビームを等価的な屈折率の低い電気光学素子断面の左側から入力すると、等価的な屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。電圧を印加したときの電気光学結晶0501の内部の等価的な屈折率は分極反転領域のデューティ比を調整することで制御でき、したがって複雑な電気光学結晶0501の曲面に電圧を印加したときと同様な屈折率の分布も作り出すことも可能である。
具体的な分極反転領域の形成方法としては、LNやLTを用いた擬似位相整合デバイスにおいて広く適用されている電界印加法を応用し、電圧印加用の電極幅を微細化して電界を形成する方法の他、結晶表面に細く絞った電子ビームを直接照射することにより微細な電極を形成する必要なくマイクロドメイン反転が可能となる電子ビーム分極反転法や、フェムト秒レーザパルス照射によって局所的な分極反転領域を結晶に形成する方法等が考えられる。
〔変形例(電極材料の抵抗率が変化する)〕
上述した本発明の第一の実施の形態から第五の実施の形態までの例では、いずれも電気光学結晶基板に何らかの加工を施して、電気光学結晶内部に発生する屈折率変化を制御し、電圧源に近い方の領域(各図の左側の領域)では相対的に屈折率が低く、電圧源から遠い領域(右側の領域)では相対的に屈折率が大きい状態を作り出した。言い換えると電気光学結晶の板厚や等価的な電気光学効果を制御することで屈折率分布を生じさせていた。
ここで、電気光学結晶内部の屈折率分布を制御する方法として、上述の方法とは異なり、印加電圧を電気光学結晶の場所に応じて変化させることが考えられる。例えば、屈折率変化量を大きくしたい領域においては印加電圧を大きくし、逆に屈折率変化量を小さくしたい領域においては印加電圧の印加量を小さくすればよい。
図19は電気光学結晶の幅方向に対して電気光学結晶内部の屈折率変化量を計算した一例である。
横軸に基板の幅方向の座標をy座標としてとり、縦軸として電気光学結晶内部に引き起こされる屈折率変化量を左軸にとっている。また、右軸にはあるy座標における電圧印加量を電気光学結晶に印加される最大の電圧Vmaxで規格化して取っている。ここでy座標に依存して変化する印加電圧V(y)は式(8)とした。
Figure 0005006748
また、ここではカー効果と空間電荷効果とによって電気光学結晶内部に屈折変化が発した場合を考え、カー定数sij=1.0×10-142/V2を仮定した。その他の電気光学結晶の寸法は結晶厚をd=40μm、結晶幅w=500μmを仮定した。また光ビームの入射x座標は20μmとした。図19より、印加電圧量の増加に対して屈折率変化量も増加し、またy軸方向の変化に対して電気光学結晶の屈折率も線形に変化していることがわかる。したがってこのときはy軸方向の入射位置のずれに対してビーム偏向角が変化せず、入射位置のトレランスを拡大することができる。
図20は図2に示した電気光学素子の電気光学結晶の幅方向の屈折率変化及び印加電圧との関係を示す図である。図20において横軸はy座標の位置を示し、縦軸は屈折率変化及び印加電圧を示す。
最大印加電圧を10V、20V、30Vと変化させることにより屈折率の変化率が急峻になることが分かる。
図21は図2に示した電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変移量の関係を示す図であり、上記で仮定したパラメータの値に加えて相互作用長Lを8mmとした。20V程度の電圧印加量で15°程度の広角なビーム走査が可能であり、そのときのビーム変移量Δyも結晶幅wと比べて小さくできる。
以上のように、電圧印加量を電気光学結晶の幅方向で変化させることにより、入射ビーム位置のずれに対してトレランスが広く、また低電圧駆動で広角にビーム走査が可能な電気光学素子が可能であることが示された。
以下に、電気光学結晶内部に印加する電圧量を変化させる方法について述べる。
〔第六の実施の形態〕
図6に本発明の第六の実施形態を示す。
図6は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。
電気光学素子は、電気光学結晶0601の両面(図の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0602および下部電極0603を形成して成る。
ここで、上部電極0602を形成する電極材料はある程度の電気抵抗値を有し、かつその抵抗値が電気光学結晶0601の幅方向に変化している。電気抵抗の大きな部分では電極内部を電流が通過する際に電圧が降下するため、例えば図6に示した電気光学素子において、電圧源0604から離れた領域(より右側の領域)ほど電気抵抗が大きくなるような電極材料を形成すれば、電気光学結晶0601に印加される電圧はより右側の領域ほど小さくなる。電気光学結晶0601に正の電圧を印加した場合、負の屈折率変化が発生するから、このときは右側の領域ほど相対的に屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
電気抵抗の大小を制御する一例として、電極材料中に異種の材料をドープする方法がある。例えば、電気抵抗の小さい材料(抵抗率1Ωcm以下、例えば、銅)で電極を形成した後、高い電気抵抗値を有する材料(抵抗率1GΩcm以上、例えば、Si)を右側の領域ほど高濃度になるようにドープすることで、電極全体では右側の領域ほど電気抵抗が大きくなる。または電気抵抗値の大きさは同程度であっても、その温度依存性が異なる2種類の電極材料を組み合わせてもよい。例えば温度依存性の小さな材料で電極を形成した後、温度依存性の大きな材料を右側の領域ほど高濃度になるようにドープする。電気光学素子の動作時には電極を一定の温度に加熱あるいは冷却することにより、電極の電気抵抗に分布を持たせることが可能となる。
〔第七の実施の形態(電極に微細パターンを施して等価的な電界形成量を制御する)〕
電気抵抗が場所によって異なることと同様の状態は一種類の電極材料によっても作り出すことが可能である。
図7(a)〜(c)は本発明に係る電気光学素子の第七の実施形態を示したものである。図7(a)および図7(b)は電気光学素子を上面からみたときの様子を示し、図7(c)は図7(a)および図7(b)におけるVIIc−VIIc線での電気光学素子断面の様子を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶0701の両面(図7(c)の上表面および下表面)にそれぞれ上部電極0702および下部電極0703を形成して成る。
ここで上部電極0702には微細なパターンが形成され、そのパターンにおいては電気光学結晶0701の表面に電極材料が存在しない。また微細パターンにおいて電気光学結晶0701の表面に電極材料が存在しない領域の密度は電圧源0704から離れるほど(図の右側の領域になるほど)大きい。この密度を変化させる例として、図7(a)では微細な円孔パターンの配置密度を変化させ、図7(b)ではパターンを形成する孔の径を変化させている。図7(a)および図7(b)では円孔パターンの例を示したが、電気光学素子の領域に応じて電極材料が存在する領域の面密度が変化する限りにおいてパターンの形状は任意である。
ビーム偏向が発生する原因は、電極から電気光学結晶0701の内部に電荷が注入されることである。したがって、電気光学結晶0701の表面に電極が存在しない微細パターンにおいては電荷が注入されず、そのような領域では同じ電圧を印加した場合であっても電気光学結晶0701の内部に形成される電界強度は小さくなる。
したがって図7に示した電気光学素子においてはより右側の領域になるほど電荷の注入量が減少し、電圧印加によって引き起こされる屈折率変化量は小さくなる。正の電圧を印加した場合、負の屈折率変化が発生するから、右側の領域ほど相対的に屈折率が大きくなり、ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
〔第八の実施の形態(電極にストライプパターンを施して等価的な電界形成量を制御する)〕
図8は本発明に係る電気光学素子の第八の実施形態を示したものである。
図8は電気光学素子を上面からみた様子を模式的に表した図である。また、ここでは図示しないが、電気光学素子の断面構造は図7(c)に等しい。図7(a)〜(c)に示した第七の実施形態では電極に微細なパターンを付与したが、電極のパターンとして図8に示すようなストライプ形状のものも有効である。このとき電極の幅が広いほど電荷の注入量が多くなり、結果として電圧印加によって生じる屈折率変化量が大きくなる。
したがって図8に示すように、ストライプ線幅の狭い右側の領域ほど屈折率変化量が小さくなるため、正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面のストライプ間隔の短い側(図の左側)から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
〔第九の実施の形態(電極材料が2種類以上の材料から成る)〕
図9(a)、(b)は本発明の第九の実施形態を示す。
本発明に係る電気光学素子を上面からみた様子を図9(a)に表し、またIXb−Ixb線における断面構造を図9(b)に模式的に表す。
電気光学素子は電気光学結晶0901の一方の面(図9(a)の上表面)に第1の上部電極0902および第2の上部電極0904が形成され、また電気光学結晶0901の他方の面(図9(a)の下表面)に下部電極0905が形成されて成る。
ここで第1の上部電極0902には微細なパターンが施され、さらに電気光学結晶0901と第1の上部電極0902とを同時に覆うように第2の上部電極層0903が形成される。
第七の実施形態で示したように、電極に微細なパターンを形成することにより、電気光学結晶0901の内部に形成される電界の制御が可能となるが、微細パターンの形状によっては電極パターン同士が分断されてしまい、互いに等しい電圧を印加することが困難となる場合がある。例えば、微細パターンが円孔ではなく、円ドットとなる場合などが考えられる。この場合、微細パターンを第2の上部電極0903で埋め込むことで、第2の上部電極0903に電圧を印加すれば第1の上部電極0902を形成する微細パターン全体に等しい電圧を印加させることができる。
空間電荷効果を発生させるためには、電気光学結晶0901と電極材料とがオーミック接触により接触していることが必要である。そのため、第1の上部電極0902と第2の上部電極0903とで互いの仕事関数が異なるような電極材料を選択すれば、オーミック接触となる領域がより多くの電荷が注入され、結果的にその領域の屈折率変化量が大きくなる。例えば、図9(a)、(b)において、第1の上部電極0902の材料として、電気光学結晶0901とのオーミック接触を実現するようにTiやCrなどの仕事関数の大きな電極材料を用い、かつ第2の上部電極0903の材料としてAuやPt等の仕事関数の小さな電極材料を用いる。このとき第2の上部電極0902の材料と電気光学結晶0901とが接触する部分の大きな領域(図9(b)の右側の領域)は、相対的に電荷の注入量が小さいため屈折率変化量が小さくなる。
したがって正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
以上に示した図6から図9(a)、(b)では全て上部電極にのみパターンを施してあるが、下部電極のみや上部電極及び下部電極の両電極にパターンを施してもよい。
〔第十の実施の形態(電極と光学結晶の間に抵抗体を挿入する)〕
電気光学結晶の幅方向に異なる電圧量を印加する方法として、上部電極及び下部電極の材料と電気光学結晶との間に電気抵抗体層を挿入することも有効である。
図10は本発明の第十の実施形態を示したものである。
図10は本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶1001の一方の面(図の下表面)に下部電極1003が形成され、電気光学素子1001の他方の面(図の上表面)には電気抵抗体1006および上部電極1002が順次積層されて成る。
ここで電気抵抗体1006は電気光学結晶1001の幅方向(図の横方向)にその電気抵抗値が変化するものである。
上部電極1002−下部電極1003間に電圧を印加したとき、電気光学結晶1001には電気抵抗体1006を介して電圧が印加されるが、電気抵抗体1006を電流が流れる際にその抵抗値に応じた電圧低下が生じる。
例えば図10において、電圧源1004から離れるほど(図の右側の領域ほど)電気抵抗が大きいとすると、右側の領域ほど電気光学結晶1001に印加される電圧は低くなる。すなわち電気光学結晶1001の内部に形成される電界は小さくなる。したがって電気光学素子の右側の領域ほど相対的に電荷の注入量が小さいため屈折率変化量が小さくなる。したがって電気光学素子に正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。
ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
〔第十一の実施の形態(電極と光学結晶の間に挿入した抵抗体の厚さを変化させる。)〕
電気抵抗体を構成する材料が全ての領域で同一の抵抗率を有している場合でも上記と同様の効果を得ることは可能である。
図11は本発明の第十一の実施形態を示す。
図11は本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶1101の一方の面(図の下表面)に下部電極1103が形成され、電気光学結晶1101の他方の面(図の上表面)には電気抵抗体1106および上部電極1102が順次積層されて成る。
ここで電気抵抗体1106は電気光学結晶1101の幅方向(図の横方向)にその膜厚が変化する。
電気抵抗体1106の材料の電気抵抗率が一定であれば、その厚さが厚い部分ほど電気抵抗が大きくなり、したがって電気光学結晶1101に印加される電圧は低くなり、電気光学結晶1101内部に形成される電界は小さくなる。図11では電圧源1104から離れるほど(右側の領域ほど)電気抵抗体1106の層の厚さが厚くなっているため、右側の領域ほど相対的に電荷の注入量が小さいため屈折率変化量が小さくなる。したがって、電気光学素子に正の電圧を印加したとき、右側の領域ほど屈折率が大きくなる。ここで光ビームを等価的に屈折率の低い電気光学素子の断面の左側から入力すると、等価的に屈折率の大きい右側の領域に向かって偏向しながら伝搬する。
〔第十二の実施の形態(電極と光学結晶の間に挿入した抵抗体の厚さを階段状に変化させる。)〕
図12は本発明の第十二の実施形態を示したものである。
図12は本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。
電気光学素子は電気光学結晶1201の一方の面(図の下表面)に下部電極1203が形成され、電気光学結晶1201の他方の面(図の上表面)には電気抵抗体1206および上部電極1202が順次積層されて成る。
ここで電気抵抗体1206は電気光学結晶1201の幅方向(図の横方向)にその膜厚が階段状に変化する。
第十一の実施形態において、電気光学結晶内部に形成される電界分布を高精度に制御するためには、電気抵抗体1206の膜厚を、図11に示すような線形にではなく、より複雑な曲線状に変化させることが必要になる。図12に示すように電気抵抗体1206の層の膜厚を細かく段階的に変化させることにより、等価的に曲線状に膜厚が変化する電気抵抗体1106と同様の効果が期待できる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
例えば、上述した実施の形態では電気光学素子の場合について説明したが、電気光学素子に光ビームを出射する光源(例えば、レーザ)を設けた光ビーム偏向器に適用してもよい。
(a)は本発明に係る電気光学素子を上面から見た図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。 本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。 本発明に係る電気光学素子を用いた光偏向器の断面図を模式的に示したものである。 (a)は本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示したものであり、(b)は(a)に示した第四の実施形態の変形例を示す断面図である。 本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。 本発明に係る電気光学素子の断面図を模式的に示した図である。 (a)および(b)は電気光学素子を上面からみたときの様子を示し、(c)は(a)および(b)におけるVIIc−VIIc線での電気光学素子断面の様子を模式的に表した図である。 電気光学素子を上面からみた様子を模式的に表した図である。 (a)は電気光学素子を上面からみた様子を表した図であり、(b)は(a)のIXb−Ixb線における断面構造を模式的に表す図である。 本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。 本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。 本発明に係る電気光学素子の断面構造を模式的に表した図である。 (a)は図1(b)に示した電気光学素子をxy座標の第一象限に表示した図であり、(b)は図1(b)のVII−VII線における屈折率変化量を表した図である。 (a)は図1(a)に示した電気光学素子をzy座標の第一象限に表示した図であり、図(b)は上記の構造パラメータについて、印加電圧量に対する素子からビームが出射する時の偏向角を表した図である。 本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変移量を表す図である。 本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変位量を表す図である。 (a)は図2に示した電気光学素子の平面図をxy座標の第一象限に表示した図であり、(b)は光ビームの入射y座標を変化させたときの出射位置におけるビーム偏向角を比較した結果を示す図である。 (a)は図2に示した電気光学結晶の側面図をxy座標の第一象限に表示した図であり、(b)は電気光学結晶の幅方向の変化に対する電気光学結晶内部での屈折率変化量を示した図である。 本発明に係る電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変移量との関係を示す図である。 図2に示した電気光学素子の電気光学結晶の幅方向の屈折率変化及び印加電圧との関係を示す図である。 図2に示した電気光学素子の印加電圧とビーム偏向角およびビーム位置の変移量の関係を示す図である。 (a)は従来の電気光学素子を横から見た様子を表しており、(b)は(a)の電気光学結晶内の電界分布を示す図であり、(c)は(a)の電気光学結晶内の屈折率変化量の分布を示す図である。 電圧印加によって生じる結晶内の屈折率変化の分布図である。 (a)は電気光学素子の断面を示し(b)は(a)に示した電気光学素子の印加電圧に対する出射ビームの偏向角およびビーム偏向に伴う膜厚方向のビーム位置の変移量を示す図である。 SBN(x=61)にTi電極を形成して電圧を印加し、ビーム偏向角を測定した結果を示す図である。 印加電圧と偏向角およびビーム偏向に伴う膜厚方向のビーム位置の変移量との関係を示す図である。
符号の説明
0101 電気光学結晶
0102 上部電極
0103 下部電極
0104 電圧源
0105 光ビーム

Claims (13)

  1. 電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、
    前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、電気光学結晶の板厚を変える前記屈折率が可変である構造は、前記基板の板厚を変えてなる構造であり、前記電気光学材料は、空間電荷効果によってその屈折率が変化させられることを特徴とする電気光学素子。
  2. 電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、
    前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、電気光学結晶の板厚を変える前記屈折率が可変である構造は、前記基板の板厚を変えてなる構造であり、前記基板の板厚の変化率が漸次変化することを特徴とする電気光学素子。
  3. 電気光学材料からなる基板と、該基板の両面に電極領域を形成し、該各電極領域間の電気光学材料中を光が伝搬する電気光学素子において、
    前記光伝搬領域の屈折率が可変であり、前記電極領域が微小穴を有し、該微小穴の面密度が漸次変化することを特徴とする電気光学素子。
  4. 請求項に記載の電気光学素子において、前記基板の板厚が階段状に変化することを特徴とする電気光学素子。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記基板の密度を変えてなる構造であることを特徴とする電気光学素子。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記基板の分極反転領域の密度を変えてなる構造であることを特徴とする電気光学素子。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記屈折率が可変である構造は、前記電極領域の電気抵抗を変えてなる構造であることを特徴とする電気光学素子。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の電気光学素子において、前記電極領域が複数のストライプ形状の集合体から成り、該ストライプ形状の線幅が漸次変化することを特徴とする電気光学素子。
  9. 請求項またはに記載の電気光学素子において、前記電極領域が少なくとも2種類の導電性材料からなり、前記導電性材料の仕事関数が互いに異なることを特徴とする電気光学素子。
  10. 請求項7に記載の電気光学素子において、前記電極領域が導電性材料と電気抵抗体材料との積層構造からなることを特徴とする電気光学素子。
  11. 請求項10に記載の電気光学素子において、前記電気抵抗体材料の厚さが漸次変化することを特徴とする電気光学素子。
  12. 請求項10に記載の電気光学素子において、前記電気抵抗体材料の厚さが階段状に変化することを特徴とする電気光学素子。
  13. 請求項1から12のいずれか1項記載の電気光学素子を用いたことを特徴とする光ビーム偏向器。
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