JP5004879B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
後者の場合、気液分離器において分離された液冷媒は蒸発器において蒸発した後、エジェクタに吸い込まれ、一方、分離されたガス冷媒は圧縮機に戻り、再度圧縮されるものである。このため、エジェクタは、膨張弁におけるエネルギロスを回収し、圧縮機の入口における冷媒圧力を上昇させるから、圧縮機の負担(圧縮比)が低減する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、回収率がまだ不充分であることから、更にGWPの低い冷媒へ規制される情勢にある。特に、EUではカ−エアコン用に関してはGWPの値が150以下の冷媒へ規制される情勢にあり、その候補冷媒として、二酸化炭素(CO2)などの自然冷媒以外に、ハイドロフルオロオレフィンなどの検討が開始されている。
特に、冷凍回路内にコンタミとして混入した空気や水分との反応によって冷媒の分解が懸念される。また、ハイドロフルオロオレフィンのなかでもテトラフルオロプロピレンは、沸点が−19℃と高い。このため、冬季の外気温度が低いときなど、冷凍サイクルの低圧側は負圧になる可能性が高く、冷凍回路内に空気や水分が混入するおそれが高い。すなわち、冷媒配管に欠陥部等がある場合、そこから混入した空気が冷媒と反応して、冷媒の分解が促進され、スラッジが生成されるリスクが高くなるという問題があった。
さらに、冷媒との相互溶解性に乏しく液冷媒より密度の低い冷凍機油を用いる場合にも、蒸発器への冷凍機油の循環率を低く抑えて機器の効率低下を防止することを目的とする。
該圧縮機において圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
該凝縮器において凝縮した冷媒を膨張させると共に、後記蒸発器において蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、
該エジェクタにおいて膨張された冷媒を気相部分と液相部分とに分離すると共に、冷凍機油を分離する油分離機構が設けられた気液分離器と、
該気液分離器において分離された液相部分を蒸発させる蒸発器と、を有し、
炭素2重結合を有する冷媒、または炭素2重結合を有する冷媒を含む混合冷媒が使用され、
前記油分離機構は、密閉容器と、該密閉容器の天面に近い側面に設置された前記エジェクタに連通する二相冷媒パイプと、前記密閉容器の天面に設置された前記圧縮機に連通するガスパイプと、前記密閉容器の底面に設置された前記蒸発器に連通する液パイプと、前記密閉容器の底面を貫通して前記密閉容器内に挿入され、前記底面から所定の高さに位置する油吸い込み口を具備し、前記圧縮機に連通する油戻しパイプと、該油戻しパイプに設けられた支点を中心に揺動自在に設置された揺動棒と、該揺動棒の一方に設置された液冷媒に対して浮くような浮力に設定されたフロートと、前記揺動棒の他方に設置された栓とを具備し、前記密閉容器内の液冷媒の量が少ないとき、前記栓は前記油吸い込み口を開放し、前記密閉容器内の液冷媒の量が多いとき、前記栓は前記油吸い込み口を閉塞するものであることを特徴とする。
図1〜図3は本発明の実施形態1に係る冷凍サイクル装置を説明するものであって、図1は構成を示す冷媒回路図、図2は構成部材の一部(エジェクタ)の特性を示す圧力分布図、図3は図1に示す回路構成図の各位置における冷媒状態を示すP−H線図(モリエル線図)である。
図1において、冷凍サイクル装置100は、中温低圧のガス冷媒を吸入圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する圧縮機1と、高温高圧のガス冷媒を冷却凝縮して中温高圧の液冷媒を吐出する凝縮器2と、凝縮器2の下流側(液配管中)に設置され、前記液冷媒中に水分が含まれていた場合に該水分を除く(または水分量を低減する)ドライヤ3と、ドライヤ3からの液冷媒を減圧(膨張)させると共に、蒸発器7を経由したガス冷媒を、吸い込んで混合するエジェクタ4と、エジェクタ4から出た二相状態の低温低圧冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離する気液分離器5と、気液分離器5から出た液冷媒を蒸発させる蒸発器7と、を有している。
なお、蒸発器7において蒸発して吐出される中温低圧のガス冷媒は、エジェクタ4に吸い込まれる。また、気液分離器5から出た低温低圧のガス冷媒は圧縮機1に吸引される。
なお、前記「低温、中温、高温、低圧、高圧」とは、説明上の便宜であって、高温高圧と中温高圧とが、必ずしも同じ圧力を意味するものではなく、中温高圧と中温低圧とが、必ずしも同じ温度を意味するものではない。
冷凍サイクル装置100には冷媒として、GWPの値が小さい冷媒(以下、「低GWP冷媒」と称す)が使用されている。たとえば、低GWP冷媒として、分子構造中に炭素2重結合を有し可燃性である「2、3、3、3−テトラフルオロプロピレン(異性体を含む)」が使用される。
2、3、3、3−テトラフルオロプロピレンは可燃下限値(LFL)が、「6.5%」であって、可燃性を有し、大気圧下25℃における沸点は「−29℃」である。すなわち、R410A冷媒の大気圧下25℃における沸点は「−40℃」であるから、これに比べて高い沸点を有している。
また、2、3、3、3−テトラフルオロプロピレンの25℃における液密度は「1094kg/m∧3」である。
圧縮機1内には、2、3、3、3−テトラフルオロプロピレンとの相互溶解性に乏しく、且つ、2、3、3、3−テトラフルオロプロピレンより液密度の小さいアルキルベンゼン油が封入されている。アルキルベンゼン油の密度は「900〜990kg/m∧3」であるので、前記液冷媒より密度が小さい。
次に、冷凍サイクル装置100における動作について、図1〜図3に基づいて説明する。なお、図1における位置「A、B、C・・・」における冷媒の状態が、図3における状態「A、B、C・・・」に対応している。
まず、圧縮機1 から吐出された高温高圧のガス冷媒(状態A)は、凝縮器2において被加熱媒体である空気等に放熱し、冷媒は凝縮され中温高圧の液冷媒となる(状態B)。そして、該液冷媒に水分が含まれている場合にはドライヤ3において水分を除去(水分量を減少)された後 、該液冷媒はエジェクタ4に流入する。
分離されたガス冷媒は、圧縮機1に導かれる(状態H)。一方、分離された液冷媒は、蒸発器7に流入し、蒸発器7内で圧力損失を受けながら蒸発し(状態G)、エジェクタ4 のエジェクタ吸引部4eに吸引される。
また、気液分離器5内では、二相冷媒に含まれた冷凍機油が分離され、油戻しパイプ6を介して圧縮機1に戻される。
したがって、冷凍サイクル装置100において、最も低圧となる範囲(状態E、状態D、状態Hより低圧となる範囲)は、エジェクタ4内部に限定されている。すなわち、ドライヤ3を通過した液冷媒が減圧される部位である「エジェクタノズル部4a」と、蒸発器7を通過したガス冷媒が流れる「エジェクタ吸引部4e(状態G)からエジェクタ混合部4cの範囲」とが、最も低圧となる。
つまり、エジェクタの昇圧効果によって低圧が上昇するため、高沸点冷媒を用いても低圧側が負圧になる可能性のある範囲を、エジェクタ内部に限定することができる。よって、空気や水等が冷凍サイクル内に混入するリスクを低減することができると共に、外気温度が低いときに、蒸発温度の下限値を伸ばすことが可能となるから、温度の制御幅が広いくなっている(拡大されている)。
さらに、圧縮機1が吸引するガス冷媒の圧力が上がるから、圧縮比が低減され、圧縮機1の入力が低減される。また、これによって圧縮機構部の漏れ損失も減少するから、機器の効率が向上するという効果も得られる。
なお、冷凍サイクル装置100よりドライヤ3を撤去してもよい。冷媒自体あるいは機器への影響がない場合には、循環する冷媒中に含まれる僅かな量の水分は許容されるからである。
以上、冷媒として2、3、3、3−テトラフルオロプロピレンを使用するものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、炭素2重結合を有する冷媒であれば何れであってもよい。すなわち、エジェクタの昇圧効果によって空気や水等の混入が防止されるため、空気による炭素2重結合が分解するリスクが軽減されるからである。
また、冷媒は、炭素2重結合を有する冷媒と他の冷媒とが混合された混合冷媒であってもよい。たとえば、混合される他の冷媒として、HFC系冷媒(R134a、R32、R410A、R407C等)、HC系冷媒(イソブタン、プロパン等)、自然冷媒(二酸化炭素(CO2)等)などがある。
さらに、2、3、3、3−テトラフルオロプロピレン冷媒が使用される場合、または、2、3、3、3−テトラフルオロプロピレンに替えて「炭素2重結合を有し且つ可燃性を有する冷媒」が使用される場合、凍機油としてアルキルベンゼンに替えて、当該冷媒に対して相互溶解性に乏しいもの、たとえば、PAG等、を用いてもよい。すなわち、かかる特性によって冷媒充填量を減らす効果が得られるからである。
図4は本発明の実施形態2に係る冷凍サイクル装置の一部(気液分離器)を模式的に示す側面視の断面図である。なお、冷凍サイクル装置200の冷媒回路の構成や、構成部材の一部(エジェクタ)の特性は冷凍サイクル装置100(実施の形態1)に同じであるから、冷凍サイクル装置200は前記冷凍サイクル装置100と同様の作用効果を奏する。 以下、冷凍サイクル装置100にない冷凍サイクル装置200の構成と、かかる構成による作用効果について説明する。
冷凍サイクル装置200は、冷媒として2、3、3、3−テトラフルオロプロピレン(25℃における液密度は1094kg/m∧3)が使用され、該冷媒よりも液密度が低く、且つ、該冷媒との溶解性に乏しいアルキルベンゼン油(25℃における液密度は900〜990kg/m∧3)が、冷凍機油として封入されている。したがって、気液分離器50において、液冷媒が沈み、液冷媒の上に冷凍機油が常に浮かんでいる。
また、油戻しパイプ6が底面を貫通して密閉容器50a内に挿入され、その先端である油吸い込み口6aが底面から所定の高さに位置している。
また、油戻しパイプ6の先端に近い側面には支点腕50bが設置され、支点腕50bの支点50cには、これを中心にして揺動自在(シソー状の運動に同じ)な揺動棒50dが設置されている。そして、揺動棒50dの一方の端部にはフロート8が、他方の端部には栓9が、それぞれ設置されている。
すなわち、液冷媒の量が少ないとき、フロート8は低い位置にあるから、栓9は持ち上げられる。一方、液冷媒の量が増すと、フロート8は上昇するから、栓9は下降し、やがて、栓9は油吸い込み口6aを閉塞する。そして、液冷媒の量がさらに増したとしても、栓9は油吸い込み口6aを閉塞したままで、フロート8がさらに上昇することはない。
一方、液冷媒の貯留量が増えて、液冷媒の液面が油戻しパイプ6の上端である油吸い込み口6aにまで達すると、フロート8が上昇して栓9は下降するから、油吸い込み口6aは閉じられる。したがって、油戻しパイプ6に冷凍機油や液冷媒等が流入することが無く、液冷媒が圧縮機1に吸入されることが無いため、液圧縮による圧縮機1の故障を防ぐ効果もある。
このとき、複数のパイプの挿入深さを相違させておけば、複数の異なる高さに油吸い込み口6aが形成されることになる。そうすると、貯留される液冷媒の液面高さが低い場合には、低い位置にある油吸い込み口6aから圧縮機1に冷凍機油が戻り、一方、貯留される液冷媒の液面高さが高い場合には、低い位置にある油吸い込み口6aが閉塞され、高い位置にある油吸い込み口6aから圧縮機1に冷凍機油が戻ることになる。
なお、前記形態は、1本の油戻しパイプ6が密閉容器50aに挿入された状態で、密閉容器50a内で複数のパイプに分岐されてもよいし、密閉容器50aの外で複数のパイプに分岐され、複数のパイプが密閉容器50aに挿入されるようにしてもよい。また、それぞれのパイプの形状(内径、断面形状等)や材質は限定するものではない。
Claims (4)
- 後記気液分離器において分離された気相部分の冷媒を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機において圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
該凝縮器において凝縮した冷媒を膨張させると共に、後記蒸発器において蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、
該エジェクタにおいて膨張された冷媒を気相部分と液相部分とに分離すると共に、冷凍機油を分離する油分離機構が設けられた気液分離器と、
該気液分離器において分離された液相部分を蒸発させる蒸発器と、を有し、
炭素2重結合を有する冷媒、または炭素2重結合を有する冷媒を含む混合冷媒が使用され、
前記油分離機構は、密閉容器と、該密閉容器の天面に近い側面に設置された前記エジェクタに連通する二相冷媒パイプと、前記密閉容器の天面に設置された前記圧縮機に連通するガスパイプと、前記密閉容器の底面に設置された前記蒸発器に連通する液パイプと、前記密閉容器の底面を貫通して前記密閉容器内に挿入され、前記底面から所定の高さに位置する油吸い込み口を具備し、前記圧縮機に連通する油戻しパイプと、該油戻しパイプに設けられた支点を中心に揺動自在に設置された揺動棒と、該揺動棒の一方に設置された液冷媒に対して浮くような浮力に設定されたフロートと、前記揺動棒の他方に設置された栓とを具備し、前記密閉容器内の液冷媒の量が少ないとき、前記栓は前記油吸い込み口を開放し、前記密閉容器内の液冷媒の量が多いとき、前記栓は前記油吸い込み口を閉塞するものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 後記気液分離器において分離された気相部分の冷媒を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機において圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
該凝縮器において凝縮した冷媒を膨張させると共に、後記蒸発器において蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、
該エジェクタにおいて膨張された冷媒を気相部分と液相部分とに分離すると共に、冷凍機油を分離する油分離機構が設けられた気液分離器と、
該気液分離器において分離された液相部分を蒸発させる蒸発器と、を有し、
炭素2重結合を有する可燃性冷媒、または炭素2重結合を有する可燃性冷媒を含む混合冷媒が使用され、該使用された冷媒との相互溶解性に乏しい冷凍機油が用いられて、
前記油分離機構は、密閉容器と、該密閉容器の天面に近い側面に設置された前記エジェクタに連通する二相冷媒パイプと、前記密閉容器の天面に設置された前記圧縮機に連通するガスパイプと、前記密閉容器の底面に設置された前記蒸発器に連通する液パイプと、前記密閉容器の底面を貫通して前記密閉容器内に挿入され、前記底面から所定の高さに位置する油吸い込み口を具備し、前記圧縮機に連通する油戻しパイプと、該油戻しパイプに設けられた支点を中心に揺動自在に設置された揺動棒と、該揺動棒の一方に設置された液冷媒に対して浮くような浮力に設定されたフロートと、前記揺動棒の他方に設置された栓とを具備し、前記密閉容器内の液冷媒の量が少ないとき、前記栓は前記油吸い込み口を開放し、前記密閉容器内の液冷媒の量が多いとき、前記栓は前記油吸い込み口を閉塞するものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 後記気液分離器において分離された気相部分の冷媒を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機において圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
該凝縮器において凝縮した冷媒を膨張させると共に、後記蒸発器において蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、
該エジェクタにおいて膨張された冷媒を気相部分と液相部分とに分離すると共に、冷凍機油を分離する油分離機構が設けられた気液分離器と、
該気液分離器において分離された液相部分を蒸発させる蒸発器と、を有し、
2、3、3、3−テトラフルオロプロペン冷媒が使用され、且つ、アルキルベンゼン系冷凍機油が用いられ、
前記油分離機構は、密閉容器と、該密閉容器の天面に近い側面に設置された前記エジェクタに連通する二相冷媒パイプと、前記密閉容器の天面に設置された前記圧縮機に連通するガスパイプと、前記密閉容器の底面に設置された前記蒸発器に連通する液パイプと、前記密閉容器の底面を貫通して前記密閉容器内に挿入され、前記底面から所定の高さに位置する油吸い込み口を具備し、前記圧縮機に連通する油戻しパイプと、該油戻しパイプに設けられた支点を中心に揺動自在に設置された揺動棒と、該揺動棒の一方に設置された液冷媒に対して浮くような浮力に設定されたフロートと、前記揺動棒の他方に設置された栓とを具備し、前記密閉容器内の液冷媒の量が少ないとき、前記栓は前記油吸い込み口を開放し、前記密閉容器内の液冷媒の量が多いとき、前記栓は前記油吸い込み口を閉塞するものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記凝縮器の下流に、該凝縮器において凝縮した冷媒に含まれる水分の一部または全部を除去する水分除去手段が設置され、
前記エジェクタが、前記凝縮器において凝縮した冷媒を膨張させると共に、前記蒸発器において蒸発した冷媒を吸引するのに替えて、前記水分除去手段を通過した冷媒を膨張させると共に、前記蒸発器において蒸発した冷媒を吸引することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の冷凍サイクル装置。
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