JP5002336B2 - データ記録装置、データ記録方法およびデータ記録のためのプログラム - Google Patents

データ記録装置、データ記録方法およびデータ記録のためのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、データ記録装置、データ記録方法およびデータ記録のためのプログラムに関する。
センサーとネットワークの進歩により大量のデータ収集が可能となったが、それらをすべて記録することは現実的でない。例えば、遠隔地から機器が正常に動作していることを監視するような場合、機器の数が増加するに連れて、すべてのデータを中央に収集するための通信コストは膨大なものになる。また、監視対象の消費電力、重量、サイズなどの制約から機器に大容量のデータ蓄積装置を持たせることが困難な場合が多い。したがって、通信量をある範囲以下に抑える、あるいは、限られた容量の記憶領域を有効に使うために、収集データを削減する技術が必要である。
米国特許第6947797号
機器が異常信号を出した際その前後に細かなサンプリング間隔でデータを収集する方法(特許文献1)や、一日のセンサー信号の変動率が20%以上といった事前に決められた基準に基づいて記録を行う方法が既に提案されている。しかしながらこれらの方法は、監視機器が異常となった場合の挙動を予め知っていなければ、機器から異常信号を出させたり、事前の基準を作ったり出来ないことは明らかである。
時系列信号を折れ線近似するに十分な程度に間引く方式も提案されているが、この方式では、直線近似できない振動波形などに対する近似能力が低い。
本発明は、ネットワークにおける通信量を低く抑えて各機器からのデータ収集を可能とするデータ記録装置、データ記録方法およびプログラムを提供する。
本発明の一態様としてのデータ記録装置は、
センサーにより観測された観測値を時系列に記録する観測データ記録部と、
時間軸と前記センサーの観測値を表す軸とで構成される平面座標系に前記観測データ記録部により記録された各観測値をプロットしたとき、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、前記平面座標系上であらかじめ設定した基準線に対し交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分と前記基準線との交差時刻を計算する交差処理部と、
前記交差処理部により計算された交差時刻を記録する交差データ記録部と、
前記観測データ記録部により記録された観測値を消去する消去部と、
を備える。
本発明の一態様としてのデータ記録装置は、
センサーにより観測された観測値を時系列に記録する観測データ記録部と、
時間軸と前記センサーの観測値を表す軸とで構成される平面座標系上に設定された基準線と、前記基準線の相反する側に前記基準線に沿って設けられた第1および第2の補助線とを記憶する基準線・補助線記憶部と、
前記観測データ記録部により記録された各観測値を前記平面座標系上にプロットしたとき、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、前記第1または第2の補助線と交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分を規定する2つの点のうち前記第1および第2の補助線によって囲まれる基準領域に属する方の点を取得する交差処理部と、
前記交差処理部により取得された前記点を記録する交差データ記録部と、
前記観測データ記録部により記録された観測値を消去する消去部と、
を備える。
本発明の一態様としてのデータ記録装置は、
複数のセンサーにより観測された観測値を含むデータを時系列に記録する観測データ記録部と、
時間軸と各センサーの観測値とを表す軸とで構成される空間座標系に前記観測データ記録部により記録された各データをプロットしたとき、連続する時刻のデータを結ぶ線分が、前記空間座標系上であらかじめ設定した基準面に対し交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分と前記基準面との交点を計算する交差処理部と、
前記交差処理部により計算された交点を記録する交差データ記録部と、
前記観測データ記録部により記録されたデータを消去する消去部と、
を備える。
本発明の一態様としてのデータ記録方法は、
センサーにより観測される観測値を時系列に記録する観測データ記録ステップと、
時間軸と前記センサーの観測値を表す軸とで構成される平面座標系に前記観測データ記録ステップにより記録された観測値をプロットしたとき、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、前記平面座標系上であらかじめ設定した基準線に対し交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分と前記基準線との交差時刻を計算する交差処理ステップと、
前記交差処理ステップにより計算された交差時刻を記録する交差データ記録ステップと、
前記観測データ記録ステップにより記録された観測値を消去する消去ステップと、
を備える。
本発明の一態様としてのデータ記録方法は、
センサーにより観測される観測値を時系列に記録する観測データ記録ステップと、
時間軸と前記センサーの観測値を表す軸とで構成される平面座標系上に基準線と、前記基準線の相反する側に前記基準線に沿った第1および第2の補助線とを設定する補助線設定ステップと、
前記観測データ記録ステップにより記録された観測値を前記平面座標系上にプロットしたとき、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、前記第1または第2の補助線と交差したとき前記線分を規定する2つの点のうち前記第1および第2の補助線によって囲まれる基準領域に属する方の点を取得する交差処理ステップと、
前記交差処理ステップにより取得された点を記録する交差データ記録ステップと、
前記観測データ記録ステップにより記録された観測値を消去する消去ステップと、
を備える。
本発明の一態様としてのデータ記録方法は、
複数のセンサーにより観測された観測値を含むデータを時系列に記録する観測データ記録ステップと、
時間軸と各センサーの観測値を表す軸とで構成される空間座標系に前記観測データ記録ステップにより記録されたデータをプロットしたとき、連続する時刻のデータを結ぶ線分が、前記空間座標系上であらかじめ設定した基準面に対し交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分と前記基準面との交点を計算する交差処理ステップと、
前記交差処理ステップにより計算された交点を記録する交差データ記録ステップと、
前記観測データ記録ステップにより記録されたデータを消去するステップと、
を備える。
本発明の一態様によれば、上記データ記録方法における各ステップの実行を指示する命令コードを記述したデータ記録のためのプログラムが提供される。
本発明により、ネットワークにおける通信量を低く抑えて各機器からのデータ収集が可能となる。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態としてのデータ削減装置(データ記録装置)の構成を示すブロック図である。
このデータ削減装置は、あらかじめ基準線を用意し、センサーにより観測される時系列の観測データと、この基準線との交点(または交差時刻)を記録することを特徴とする。図2に、基準線をx=0.3とし、縦軸をx、横軸をt(時間)とした場合に、増減する観測信号から基準線との交点3点を抽出している例を示す。交点の代わりに交差時刻を記録してもよく、この場合xの値は、交差時刻と基準線とから計算可能である。以下このデータ削減装置について詳細に説明する。
図1における観測データ記録部11は、機器を観測するセンサーにより取得された観測値を時系列に記録する。すなわち観測データ記録部11は、時系列の観測データを記録する。
基準線記憶部12は、時系列の観測データとの交差判断に用いられる基準線を記憶する。
交差判断部13は、時系列の観測データの連続する時刻での観測値を結ぶ線分が、上記基準線と交差しているかどうかを判断する。
交差計算部14は、交差判断部13により交差ありと判断された場合に、上記線分と基準線との交点(または交差時刻)と、交点における傾きの符号(傾き情報)を算出する。傾き情報として、傾きの符号でなく、交点における傾き(増加・減少量)を算出してもよい。傾きは次式により計算可能である。(x1,t1)と(x2,t2)は連続する時刻の観測値である。
Figure 0005002336
データベース(交差データ記録部)15は、交差計算部14により算出された交点(または交差時刻)および傾き情報を記録する。
上述した交差判断部13と交差計算部14との組はたとえば交差処理部に相当する。図1のデータ削除装置は、不要になったデータ(たとえば交差処理部による処理を経た観測値)を削除するデータ削除部をさらに備えてもよい。また、このデータ削除装置は、データベース15に記録された交点(または交差時刻と基準線)および傾き情報を、ネットワークを介して送信するデータ送信部をさらに備えていてもよい。
図3は、図1のデータ削減装置により行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートに示される各ステップの実行を指示する命令コードを記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより本処理の実行が実現されてもよい。
S11では初期化処理を行う。1時刻前の観測値x1とその時の時刻t1へ最初の観測値を代入し、現時刻の観測値を表す変数x2とその時の時刻t2へその次の観測値を代入する。そしてonLineフラグ(オンラインフラグ)をリセットする。さらに (x1,t1)と(x2,t2)の2点が基準線上にあるかどうかを調べ、両方とも基準線上にあるときはS12へ、(x1,t1)のみ基準線上にあるときはS13へ、(x2,t2)だけ基準線上にあるときはS22へ、どちらも基準線上にないときはS24へ進む。
S12では、オンラインフラグをセットする。オンラインフラグは、現時刻の観測値(ここではここでは(x2,t2))が基準線(x=at+b)上に存在するか否かを示すものである。オンライフラグがセットされているときは基準線上に存在することを意味し、クリアされているときは基準線上に存在しないことを意味する。
S13では、(x1,t1)と傾き情報をデータベース15へ記録する。傾き情報はsign(x2-x1)によって求める。sign(x)は、x<0のとき−1(負)、x=0のとき0,x>0のとき1(正)を示す。データベース15への記録を行ったら、 (x2,t2)を(x1,t1)に代入する。
S14では、次の観測値を読み込み、(x2,t2)へ代入する。
(x2,t2)が基準線上になく(S15のNO)、オンラインフラグがセットされていないとき((x1,t1)が基準線上にないとき)は(S16のNO)、(x2,t2)と(x1,t1)とを結ぶ線分と、基準線とが交差するかどうかを判定する(S24)。交差の有無を判定する詳細フローを示したのが図4である。
基準線がx=at+bの場合、(at1+b-x1)(at2+b-x2)<0が満たされるかどうかを判定し(S31)、満たされるならば交差有りと判定し(S32)、満たされないならば交差無しと判定する(S33)。そして、判定結果(交差無しあるいは交差有り)を返す(S34)。
判定結果が交差有りのときは、線分と基準線との交点を求める交点計算を行い、交点および交点における傾き情報sign(x2-x1)をデータベース15へ記録する(S25)。交点を求める様子を示したのが図5である。交点における交差時刻は次式、
Figure 0005002336
により求めることができる。交点におけるx値は交差時刻と上記基準線とから計算可能である。データベース15への記録を行ったら、または、判定結果が交差無しのときは、(x2,t2)を(x1,t1)へ代入し(S23)、S20へ進む。
S20では、観測データがまだ存在するかどうかを調べ(S20)、存在するときは(S20のNO)、S14へ戻って次の観測値を読み込み、(x2,t2)へ代入する。
S15において(x2,t2)が基準線上にあると判断され(S15のYES)、オンラインフラグがセットされているとき((x1,t1)が基準線上にあるとき)(S21のYES)、特に何も行わずに、(x2,t2)を(x1,t1)へ代入する(S23)。これは、基準線上に連続して観測値がのった場合、最初にのった観測値と、最後にのった観測値との間の観測値(中間の観測値)の記録を省略し、最初の観測値と、最後の観測値のみを記録する処理の一環として、中間の観測値の記録を省略する処理に相当する。図6を用いて具体的に示す。観測値P4、P5、P6の3つが連続して基準線上にのっているが、このような場合、始点と終点との間の中間に位置するP5は記録しないことで、データ記憶量をできるだけ少なくする。図中、黒丸がデータベースに記録される交点を表す。
(x2,t2)が基準線上にあるが(S15のYES)、オンラインフラグがセットされていないとき((x1,t1)が基準線上にないとき)(S21のNO)、(x2,t2)と傾き情報sign(x2-x1)とをデータベース15に記録する。これは基準線にちょうどのった観測値(x2,t2)を記録する処理(たとえば図6におけるP2を記録する処理)に相当する。この後、オンラインフラグをセットし(S22)、(x2,t2)を(x1,t1)へ代入する(S23)。そして、観測データがまだあるときは(S20のNO)、S14へ戻って次の観測値を読み込み、(x2,t2)へ代入する。
(x2,t2)が基準線上になく(S15のNO)、オンラインフラグがセットされているとき((x1,t1)が基準線上にあるとき)は(S16のYES)、(x1,t1)がデータベース15に登録済みであるかどうかを検査し(S17)、未登録の場合は(YES)、(x1,t1)と傾き情報sign(x2-x1)とを登録する(S18a)。これは、基準線上に連続して観測値がのった場合における最後の観測値((x1,t1)に相当)を記録する処理(図6におけるP6を記録する処理)に相当している。この後、オンラインフラグをクリアし(x1,t1)へ(x2,t2)を代入する(S19)。そして、観測データがまだあるときは(S20のNO)、S14へ戻って次の観測値を読み込み、(x2,t2)へ代入する。
一方、(x1,t1)が既に登録済みである場合は(S17のNO)、(x1,t1)の傾き情報がsign(x2-x1)で得られる傾き情報と異なるならば、(x1,t1)の傾き情報を0に書き換える(S18b)。これはたとえば図6のP13のように、観測値がある方向(たとえば基準線の下側)から基準線にちょうどのって同じ方向に戻るときは、基準線上にのった観測値の傾きを0にする処理に相当する。この後、オンラインフラグをクリアし(x1,t1)へ(x2,t2)を代入する(S19)。そして、観測データがまだあるときは(S20のNO)、S14へ戻って次の観測値を読み込み、(x2,t2)へ代入する。
S20において、観測データがもはや存在しないとき(S20のYES)、オンラインフラグがセットされているならば(S26のYES)、(x1,t1)をデータベース15へ記録して本処理を終了する。オンラインフラグがセットされていないならば(S26のNO)そのまま処理を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、基準線に対し交差するとき、線分と基準線との交点(または交差時刻)を計算し、計算した交点(または交差時刻)を記録する。このように記録した交差点(または交差時刻)のデータを、たとえば分析センター装置等に対し送信すれば、従来のように観測データを送信する場合に比べて、分析センター装置等との間のネットワークにおける通信量を小さく抑えることができる。また、データ量の少ない交点(または交差時刻)を記憶すればよいため、記憶容量を小さく抑えることができる。また後述する第7の実施形態に示されるように、時系列の観測データが波形信号を示す場合であっても高い精度での復元が可能となる。本実施形態の効果は後述する他の実施形態においても同様に発揮される。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態としてのデータ削減装置(データ記録装置)の構成を示すブロック図である。本データ削減装置は、図1のデータ削減装置に対し、観測データに基づき基準線の妥当性を判断する基準線判定部16と、基準線判定部16により基準線が妥当でないと判断された場合に観測データから新たな基準線を算出する基準線算出部17とを追加したことを特徴とする。
基準線判定部16は、予め決められた時間間隔、観測値数が所定数に達した場合など、あらかじめ定めた判定基準が満たされたとき、基準線の妥当性を判定する。そして、妥当でないと判断した場合、新たな基準線を算出することを決定する。たとえば、現在時刻tで観測されたデータx(t)と、基準線で算出されるat+bとの誤差が、後述する基準線算出処理で求めた残差誤差の標準偏差の定数倍以上離れている場合(|x(t)-(at+b)|>kσ、kは予め決められた定数)に妥当でないと判定する。または、上記予め決められた時間間隔、観測値数が所定数に達した場合、一律に基準線が妥当でないとみなし、新たな基準線を算出することを決定してもよい。
基準線算出部17は、基準線判定部16により基準性が妥当でないとの判定が下された場合、新たな基準線を算出する。基準線は、たとえば観測データの平均値と一致する時間軸に平行な直線とする(x=at+bにおいてa=0に固定することに相当)。あるいは、基準線を、時間軸に平行でない一般の直線x=at+bとしてもよい。一般の直線を用いる場合、基準線更新の前後で線分の端点が繋がるように係数bを決めても良い。たとえば更新前の線分がx=a1t+b1であったものを、時刻t0でx=at+bとなったとする。この場合、2直線のt=t0における値が同じとなるようにすれば線が繋がるので、新しい直線をx=at+(b1+a1t0-at0)として、パラメータaを最小自乗法で推定する。基準線算出部17は、データベース15に記録されるのが交差時刻のとき、交差時刻がどの基準線に対するものであるかが分かるように、基準線の更新履歴および更新時刻を内部またはデータベース15に記録する。図10に、基準線が基準線1→基準線2→基準線3と更新される様子を示す。各基準線上の黒丸がデータベースに記録される交点であり、基準線上で連続して観測される観測値は、第1の実施形態と同様に、始点と終点のみが記録される。
図8は、図7のデータ削減装置により行われる処理の流れの一例を説明するフローチャートである。本フローチャートに示される各ステップの実行を指示する命令コードを記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより本処理の実行が実現されてもよい。
本処理は、第1の実施形態の処理(図3)に対して、基準線を見直すか否か(基準線の妥当性を判断するか否か)の判断処理、見直すと判断された場合に基準線の妥当性を判定する処理、基準線が妥当でない場合に新たな基準線を算出する処理を追加したものであり、これらの処理以外については基本的に第1の実施形態と同等である。図中、点線で囲んだ処理が第1の実施形態の処理に相当する。したがって、以下では、第1の実施形態の処理との差分について説明する。
S101で基準線が妥当かどうかを判断し、妥当でなければ(NO)、基準線を新たに算出する。基準線の算出フローの例を図9に示す。
現時刻からN−1時刻前までの各観測値を観測データから取り出し(S121)、最小自乗法によりx=at+bの係数a,bおよび残差誤差σを推定する(S122)。推定したx=at+bを基準線として登録する(S123)。
基準線を用いて第1の実施形態と同等の処理を行い、観測データがまだ存在する(S20のNO)と判断されるごとに、同じ基準線を用いて規定時間以上の間データを記録したか否かを調べる(S103)。まだ規定時間以上同じ基準線を用いていない場合は(S103のNO)、基準線をまだ見直す必要はないと判断し、S14へ戻って次の観測値を読み込む。一方、規定時間以上の間同じ基準線を用いている場合は(S103のYES)、S101に戻って、基準線が妥当かどうかの判断を行う。
以上のように、本実施形態によれば、基準線の妥当性を適宜判断し、妥当でない場合には基準線を更新するようにしたことにより、センサーデータの復元の精度を高めることが可能となる。
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態としてのデータ削減装置(データ記録装置)の構成を示すブロック図である。
観測データ記録部31は、機器を観測するセンサーにより取得された観測値を時系列に記録する。
基準線・補助線記憶部32は、基準線と、基準線に平行な2本の補助線とを記憶する。2本の補助線は上側補助線と下側補助線とからなる。上側補助線の基準領域と反対側の領域を基準領域外上側、下側補助線の基準領域と反対側の領域を基準領域外下側、上側補助線と下側補助線とで囲まれる領域を基準領域とする。
交差判断部33は、連続する時刻での観測値を結ぶ線分が上記基準領域と交差したかどうかを判断する。具体的に、線分が、上側補助線または下側補助線と交差しているかどうか(すなわち基準領域に観測値が入ったか、または基準領域から観測値が抜けたか)を判定し、上側補助線または下側補助線と交差しているとき基準領域と交差したと判定する。
交差計算部34は、交差判断部13により基準領域と交差したと判断された場合に、そのときの上記線分と基準領域との交点(基準領域に入った直後の観測値、基準領域から抜ける直前の観測値)および交点における傾きの符号(傾き情報)を算出する。傾き情報として、傾きの符号でなく、傾き(増加・減少量)を計算してもよい。
データベース35は、交差計算部14により算出された交点および傾き情報を記録する。
交差判断部33と交差計算部34との組はたとえば交差処理部に相当する。図11のデータ削除装置は、不要になったデータ(たとえば交差処理部による処理を経た観測値)を削除するデータ削除部をさらに備えてもよい。また、このデータ削除装置は、データベース35に記録された交点および傾き情報を、ネットワークを介して送信するデータ送信部をさらに備えていてもよい。データ送信部は、さらに基準線、上側補助線、下側補助線のデータを送信してもよい。
本実施形態では、このように2つの補助線で囲まれる基準領域に観測値が入ったときまたは基準領域から抜けたときに、基準領域との交差があったと判断する(基準線と交差したとみなす)。このようにすることによって、基準線近傍で微小振動がある場合に、記憶すべきデータ量を大幅に削減できる。つまり、第1の実施形態の場合、図12の上段に示すように、基準線近傍で微小振動があると、基準線と交差する交点のデータが全て記録されるため、記憶すべきデータの記憶量が多くなってしまうが、本実施形態では、図12の下段に示すように、基準線の上下に補助線を設け、補助線に囲まれる基準領域と交差したか否か(基準領域に入ったかまたは基準領域から抜けたか)を基準にするため、基準線の近傍で微小振動があっても、記憶すべきデータ量を小さく抑えることが可能となる。
図13は、図11のデータ削減装置により行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートに示される各ステップの実行を指示する命令コードを記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより本処理の実行が実現されてもよい。
本処理では、基準領域に入った直後の観測値および傾き情報と、基準領域から出る直前の観測値および傾き情報とを記録し、また、基準領域外上側から基準領域外下側へあるいはこの逆に線分が貫通する場合は、線分と基準線との交点(または交差時刻)および傾き情報を記録する。以下本処理について詳細に説明する。
S201では初期化を行う。基準領域(補助線を含むものとする)に最初に入った観測値を(Tc,Xc)とする。ただし、基準領域を貫通した場合は、基準線との交点を(Tc,Xc)とする。 (Tc,Xc)の傾き情報は、(Tc,Xc)の直前の観測値との間の傾きの符号に一致させる。最初から観測値が基準領域内にあった場合は傾き情報は0とする。 (Tc,Xc)と傾き情報をデータベース35へ記録する。この後、(Tc,Xc)を(T1,X1)に代入し、Flagに0を代入する。Flagは1、0、−1の3通りの値を有し、1は基準領域外上側、0は基準領域内、−1は基準領域外下側に、観測値があることを意味する。
初期化が済んだら、S202において、次の時刻の観測値を(T2,X2)に入力する。そして、Flagが0であるか否かを判定する(S203)。
Flagが0であり(S203のYES)、(T1,X1)と(T2,X2)間の線分が上側補助線とも下側補助線とも交差しないときは(S204のNO、S206のNO)何も行わない。すなわち(T1,X1)と(T2,X2)間の推移は、基準領域内での推移であるためデータベース35への記録は行わない。観測データがまだある場合は(S221のNO)、(T2,X2)を(T1,X1)に入力し(S222)、S202に戻り、次の観測値を読み込む。
Flagが0であり(S203のYES)、(T1,X1)と(T2,X2)間の線分が上側補助線と交差する場合(S204のYES)、Flagに1を代入する((T2,X2)が基準領域外上側に存在するため)。一方、Flagが0であり(S203のYES)、(T1,X1)と(T2,X2)間の線分が下側補助線と交差する場合(S206のYES)、Flagに−1を代入する((T2,X2)が基準領域外下側に存在するため)。Flagに1または−1を代入したら、 (T1,X1)がまだ記録されていなければ(S208のNO)、(T1,X1)と傾き情報sign(x2-x1)をデータベース35へ記録する(S209)。(T1,X1)が既に記録されていれば(S208のYES)、記録済みの(T1,X1)の傾き情報と、sign(x2-x1)とが異なっている場合に限り、記録済みの(T1,X1)の傾き情報を0に書き換える。これは、第1の実施形態で示した図6のP13のように、観測値がある方向(たとえば基準領域外下側)から基準領域に入って基準領域外上側に抜けることなく同じ方向(基準領域外下側)に戻るときは、戻る直前の観測値の傾きを0にする処理に相当する。観測データがまだある場合は(S221のNO)、(T2,X2)を(T1,X1)に入力した後(S222)、S202に戻り、次の観測値を読み込む。
Flagが0でない場合(S203のNO)、すなわちFlagが1または−1の場合、(T2,X2)が基準領域内かどうかを検査する(S211)。
(T2,X2)が基準領域内の場合(S211のYES)、(T2,X2)は基準領域にちょうど入ったばかりの観測値であり、(T2,X2)および傾き情報をデータベース35へ記録する。この際、傾き情報は、−Flagとする。すなわち基準領域外上側から基準領域に入った場合は傾き情報は−1、基準領域外下側から基準領域に入った場合は傾き情報は1となる。もちろんsign(x2-x1)として傾き情報を計算してもよい。この後、Flagに0を代入し(S213)、観測データがまだある場合は(S221のNO)、(T2,X2)を(T1,X1)に入力し(S222)、S202に戻り、次の観測値を読み込む。
(T2,X2)が基準領域内でない場合(S211のNO)、Flagが1か−1かによって処理が異なる。
Flagが1のとき(S214のYES)、(T1,X1)と(T2,X2)間の線分が下側補助線と交差するかどうかを検査し(S215)、交差する場合(YES)、すなわち線分が基準領域外上側から基準領域外下側へ突き抜ける場合は、Flagに−1を代入し(S216)、線分と基準線との交点を(Tc,Xc)として計算し、データベース35へ記録する(S217)。線分が基準領域外下側と交差しない場合(S215のNO)、すなわち(T2,X2)が基準領域外上側に留まっている場合は、何も行わない(Flagは1のまま)。この後、観測データがまだある場合は(S221のNO)、(T2,X2)を(T1,X1)に入力した後(S222)、S202に戻り、次の観測値を読み込む。
Flagが−1のとき(S214のNO)、(T1,X1)と(T2,X2)間の線分が上側補助線と交差するかどうかを検査し(S218)、交差する場合(YES)、すなわち線分が基準領域外下側から基準領域外上側へ突き抜ける場合は、Flagに1を代入し(S219)、線分と基準線との交点を(Tc,Xc)として計算し、データベース35へ記録する(S220)。線分が上側補助線と交差しない場合(S218のNO)、すなわち(T2,X2)が基準領域外下側に留まっている場合は、何も行わない(Flagは−1のまま)。この後、観測データがまだある場合は(S221のNO)、(T2,X2)を(T1,X1)に入力し(S222)、S202に戻り、次の観測値を読み込む。
(第4の実施形態)
本実施形態は、第1〜第3の実施形態において、基準線を複数にしたことを特徴とする。たとえば、第1の実施形態では図14の上段のように1つの基準線を用意し、この1つの基準線との交点を求めたが、本実施形態では図14の下段のように、複数の基準線を用意し、各基準線についてそれぞれ交点を求める。
図15は、本実施形態に係わる処理の流れの一例示すフローチャートである。本フローチャートに示される各ステップの実行を指示する命令コードを記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより本処理の実行が実現されてもよい。本処理は、基本的に、第1の実施形態で述べた処理を、複数の各基準線それぞれについて行ったものに相当する。したがって、本処理の内容は、第1の実施形態での説明から明らかであるため、詳細な説明は省略する。
ここで、本実施形態における複数の基準線の与え方は観測データを予め決められた数(N個)収集し、それらのデータから最小自乗法によって求められた直線x=a t+ bをベースに決める。
例えば基準線が2本の場合、直線x= at+bに対するN個のデータの残差誤差の標準偏差σを用いて、
x = a t + b±σ、
の2本を基準線として採用してもよい。
基準線が3本の場合、上記2本に加え、
x = a t + b
を採用しても良い。
基準線が2m+1本の場合、
x = a t + b、x = a t + b±kσ (k=1,2,...,m)
を採用しても良い。
その他、N個のデータに対する交点の数を基準に基準線を選択しても良い。また複数の基準線は互いに平行でなくても良い。
(第5の実施形態)
本実施形態は、第1〜第4の実施形態において、観測データが複数のセンサーから取得される高次元データである場合に、基準面との交点を記録することを特徴とする。
以下、第2の実施形態を2個のセンサーがある場合に拡張して説明を行う。
図16は、本実施形態としてのデータ削減装置(データ記録装置)の構成を示すブロック図である。
本データ削減装置は、機器を観測するセンサー1、2により観測された観測値を時系列に記録する観測データ記録部41と、基準面を記憶する基準面記憶部42と、時系列の観測データの連続する時刻での観測値を結ぶ線分が、上記基準面と交差しているかどうかを判定する交差判断部43と、交差判断部43により交差ありと判断された場合に、上記線分と基準面との交点および傾き情報を算出する交差計算部44と、交差計算部44により算出された交点および傾き情報を記録するデータベース45と、観測データから基準面の妥当性を判断する基準面判定部46と、基準面判定部46が基準面は妥当でないと判断した場合に観測データから新たな基準面を算出する基準面算出部47とを備える。
交差判断部43と交差計算部44との組はたとえば交差処理部に相当する。図16のデータ削除装置は、データベース45から不要になったデータを削除するデータ削除部をさらに備えてもよい。また、このデータ削除装置は、データベース45に記録された交点および傾き情報を、ネットワークを介して送信するデータ送信部をさらに備えていてもよい。データ送信部は、さらに基準面のデータを送信してもよい。
以下、本データ削減装置についてさらに詳しく述べる。
まずデータベース45に記録する内容について説明する。
図17は2つのセンサー1,2と時間軸の3つの軸で構成される3次元空間上にデータがプロットされた状態を示す。データは3次元空間上で一般に「曲線」となる。第1〜第4実施形態では基準線をベースとして交差判断を行ったが、3次元空間上では基準面となる。基準面を境界として、時間的に連続する2点を結ぶ線分が基準面と共有点を持つとき、「交差があった」と判断する。
ところで、第1、第2、第4実施形態ではデータベースに記録する内容として交点の代わりに交差時刻のみでもよいと述べたが、本実施形態では、交差があった時刻Tのみを記録することにすると、Tと基準面とから復元できる情報は「t軸との切片がTであるt軸に垂直な平面」と基準面との交線となり、点にならない。したがって、センサーが2つの場合、交差時刻だけでなく、そのときのセンサー1、2の値も記録する必要がある。すなわち交点を記録する必要がある。●(黒丸)でプロットされている点が基準面との交点であり、この点 (センサー1の値、センサー2の値、時刻)を記録する。
次に、基準面算出部47による基準面の求め方について説明する。
観測データがN個あるとする。すなわち、(ti,x1(ti),x2(ti))の組がi=1〜Nあるとする。これらのデータと距離の自乗誤差が最小となる平面Bを最小自乗法で求めることができる。観測データは3次元空間上で同時刻に1点しかないことから平面Bは
b0+t+b1x1+b2x2=0 と表すことができる。
ここでx1はセンサー1の値、x2はセンサー2の値、tは時刻を表し、b0,b1,b2は係数である。基準面は例えばこの平面Bと直交するように選ぶことが考えられる。平面Bの法線ベクトルは平面Bと直交する。基準面を決めるためには基準面と平行な2つの独立ベクトルと、基準面が通過する空間上の1点を与えればよい。基準面を観測データの平均値
Figure 0005002336
を通るようにしても構わない。
基準面を規定するためのもう一つのベクトルは、観測データを直線近似した際の直線の傾きで求めることができる。2つのセンサーと時間軸で構成される3次元空間上の直線は
Figure 0005002336
と表すことができる。ベクトル(a1,a2,a3)は直線に平行なベクトルである。上式を変形し、
Figure 0005002336
とする。観測データからそれぞれに最小自乗法を適用することでa1/a2とa1/a3を求めることができる。
a1:a2:a3=1:a2/a1:a3/a1からa1,a2,a3の比が求まるので直線に平行なベクトルの方向が決定する。ベクトルの長さが1となるようにすることでベクトルが一意に定まる。こうして観測データから求めた直線に平行な単位ベクトルを
Q=(q1,q2,q3)とする。
以上から、平面Bの単位法線ベクトル
Figure 0005002336
と、直線に平行なベクトルq、そして平均値
Figure 0005002336
を用いると、基準面上の点xは2つの媒介変数s1,s2を用いて次式で記述できる。
Figure 0005002336
媒介変数を含まない形で表すと次式となる。
Figure 0005002336
次に、基準面判定部45による、基準面の妥当性の判定について説明する。
これについては第2の実施形態で記した方法を適用できる。ただし、誤差の計算は基準面の元になった平面Bを用いて行うことができる。平面B式の左辺:b0+t+b1x1+b2x2に観測値を代入したときの値が平面Bとの誤差となる。
図16のデータ削減装置により行われる処理は、基本的に、第1〜第4の実施形態で述べた処理で用いられた基準線を基準面としたものに相当し、それ以外の点については第1〜第4実施形態と同等である。したがって、本実施形態の処理は、第1〜第4の実施形態での説明から明白であるため、詳細な説明は省略する。
(第6の実施形態)
図18は、本発明に係わるデータ削減装置を機器の遠隔監視に適用した例を示す。遠隔にある機器1〜Mに設置されたセンサーにより観測された観測データを分析センターの装置54に集め、分析センター装置54で監視する。機器1〜Mには、それぞれ本発明に係わるデータ削減装置51〜5Mが設けられ、データ削減装置51〜5Mは、センサーにより観測されたデータを削減する。データ削減装置51〜5Mは、削減されたデータを、機器1〜Mを介して、通信ネットワーク55経由で、分析センター装置54に送信する。
図19は、本発明に係わるデータ削減装置の他の適用例を示す。機器55に設置されたセンサーにより観測されたデータを本発明に係わるデータ削減装置57で削減する。削減したデータを、機器55に備え付けられた小容量のデータベース56に記録する。
(第7の実施形態)
本実施形態では、各実施形態で記録されたデータからの復元方法の一形態を、第1または第4の実施形態で記憶されたデータ(1つまたは複数の基準線との交点(または交差時刻)および傾き情報(傾きまたは符号))を例として用いて説明する。他の実施形態で記憶されたデータからの復元も同様の考え方により可能であることは明白である。また、本実施形態では復元のために傾き情報を利用するが、復元の方法によっては、多少復元精度は犠牲になるが、傾き情報を用いず交点のみ(または交差時刻と基準線のみ)からの復元も可能である。以下、本実施形態について詳細に説明する。
図20は、スプライン曲線を用いることで、与えられた点列を曲線で滑らかに繋ぐことを示す。スプライン曲線の詳細は参考文献(Les Piegl, On Nurbs:A Survey,IEEE Computer Graphics & Applications,p.55-71,January 1991)に記されている。点列の繋ぎ方としていろいろな方法が提案されているが、その中に図20に示すように、線分を外側にはみ出さずに曲線で点を繋ぐ方法がある。
すなわち、図20(a)は、3点P1、Q、P2をP1,P2を通過し、かつ線分P1-QおよびQ-P2の外側にはみ出さないように曲線を描いたものであり、図20(b)は、 P1,P2は通過するが、3つの線分の外側にはみ出さないように曲線を描いたものである(具体的な描画方法は上記参考文献を参照のこと)。この描画方法では途中の点を通過しない代わりに、線分の外側に曲線がはみださない。すなわち、各点の並び方が横軸に対して前後することなく順番に並んでいれば、曲線は横軸を後戻りすることがない。よって、横軸が「時間」であった場合、曲線が時間を後戻りすることのないグラフを描くことができる。図20(c)のように単調に増加(あるいは減少)する点を通過するように描く場合にも横軸に後戻りがないように描画できる。また、図20(a)においてピークQを通過する曲線を描きたい場合には、Qの両側に横軸方向前後にずらした2点(図20(b)におけるQ1、Q2参照)を仮定することで可能である。
以下、交点における傾きが分かっているか、交点における符号(方向)だけ分かっているか、基準線が1本か複数本かで、場合分けをしながら復元方法を説明する。
図21は、基準線が1本で、交点での傾きの符号(すなわち「基準線を下から上」、「上から下」へ通過したという情報)しか分かっていない場合の復元方法の例を示す。
隣接する交点の垂直2等分線上にピークの点を仮定し、図20(a)の方法で交点(A1、A2、A3、A4)を通り、交点とピークを結ぶ線分をはみ出さないスプライン曲線を描画する。最初のピーク(B1あるいはC1)の高さを決定すれば、以後のピークの位置はピークと交点の延長線と2等分線の交点で決まるので、すべてのピークが一意に定まる。すなわち最初のピークがB1であれば残りのピークはB2、B3となり、最初のピークがC1であれば残りのピークはC2、C3となる。ピークの高さの決定は、例えば、復元したい範囲のピークの中で最大と最小が描画範囲に収まるように決めてもよい。
図22は、図21において基準線が傾いている場合の復元方法の例を示す。この場合、基準線に対して垂直2等分線を描くとピークが横軸に対して2つの交点の外側になってしまう場合があるので、縦軸に平行な2等分線でピークを決定する。
図23は、基準線1本で、交点での傾きが分かっている場合の復元方法の例を示す。
交点での傾きが分かれば交点を通る直線を描くことができるので、その交点をピークとすればよい。あとは図20(a)の方法で曲線を描けばよい。基準線が図22のように傾いていても同様にして描くことができる。
図24は、基準線が平行に複数ある場合の復元方法を示す。
基準線A上での交点A1〜A5、基準線B上での交点B1〜B4、そして基準線C上での交点C1〜C2を時間軸に順番に並べるとA1,B1,C1,C2,B2,A2,A3,A4,A5,B3,B4であり、傾き0の接点でない限り、同一基準線上の交点が2点連続して出現するとき、その間にピークがあることがわかる。図示の例ではC1-C2,A2-A3,A3-A4,A4-A5,B3-B4に計5点のピークがある。
ピーク点の算出は、たとえば、(i)ピーク点前後の交点での傾きから求める(例えば図24においてC1,C2での傾きが分かっている場合には、図23 のようにピーク点を求める)、(ii)ピーク点前後の2点ずつから交点を求める(例えば図24において直線B1C1と直線C2B2の交点をピーク点とする)、(iii)一方の交点を通る直線と、交点間の2等分線の交点をもってピーク点とする(例えば、図24においてP(A2,A3)は直線B2A2とA2A3の2等分線の交点で決めている)などにより計算する。
図25は算出されたピーク点と交点情報との間に矛盾がある場合の処理例を説明する図である。
図25(A)の例では、基準線A上にA1,A2の2交点、基準線B上にB1,B2の2交点があるが、基準線Cには交点がないにも関わらず、前述(ii)の方法で交点を求めると基準線Cよりも上側にピーク点P1が算出される。この場合、直線A1B1、直線B2A2と基準線Cとの2つの交点P2,P3を算出し、図20(b)の方法で曲線を描画すればよい。
図25(B)の例では、基準線A上に傾きが既知の交点A1,A2があり、算出されたピーク点P1が、交点がないはずの基準線Bの外側となってしまう。このときも基準線Bとの交点P2,P3から図20(b)の方法で曲線を描画すればよい。
図26は、3本の基準線とその上の交点とからスプライン曲線描画に必要なピーク点を算出する手順例を示す。
1. 直線B1C1と直線C2B2との交点からピーク点P(C1,C2)が決まる
2. 直線C2B2と直線B3C3との交点は基準線Aに矛盾するためP1(B2,B3)、P2(B2,B3)を基準線Aとの交点で決める(台形)。
3. 直線B3C3と直線C4B4との交点からピーク点P(C3,C4)が決まる。
4. 直線C4B4は決まるが、交点B5を通る直線が決まらないため、B4とB5の垂直2等分線と直線C4B4との交点でピークを決める。しかし、ピークは基準線Aと矛盾するので「台形」でP1(B4,B5)、P2(B4,B5)を決める。
5. ピーク点P(B5,B6)は交点B6を通る直線が決まらないため交点B5と交点B6の2等分線と直線P2(B4,B5)B5の交点で決める。
6. ピーク点P(B6,B7)は直線P(B5,B6)B6と直線B7C5との交点で決める。
7. 交点C6を通る直線が決まらないので、C5とC6の垂直2等分線と直線B7C5の交点でP(C5,C6)を決める。
このようにしてスプライン曲線描画に必要なピーク点を算出したら、基準線上の交点(A1、B1〜B7、C1〜C6)を通過し、算出されたピーク点(P、P1、P2)の前後では線分(たとえばP-C1,P-C2)からはみ出さないよう、図20(a)〜図20(c)のようにしてスプライン曲線を描画する。
以下、削減されたデータからスプライン曲線を用いてグラフを復元する手順を説明する。
第1または第4の実施形態で示したデータ削減により、例えば図27に示すようなデータベースが生成されたとする。図示の観測データは時々刻々、時刻と共にセンサーから得られる観測値である。この観測データを元に、第1または第4の実施形態により、基準線との交差時刻、どの基準線との交点かを示す基準線名、交点における傾きあるいは傾き符号を、交点データベースに記録し、基準線と基準線名とを対応づけた基準線データベースをあらかじめ記憶しておく。基準線が1本のみの場合には、交点データベースに基準線名を含めなくてもよい。交点データベースは交差時刻の古い順番にデータが並べられているとする。
図28は、図27のようなデータベースに基づいて復元を行う手順フローを示すフローチャートである。本フローチャートに示される各ステップの実行を指示する命令コードを記述したプログラムをコンピュータに実行させることにより本処理の実行が実現されてもよい。この復元は、本手順フローに従った処理を行う復元処理部をたとえば図18の分析センター装置に設け、分析センター装置において行うことが考えられる。
S501では、初期処理(初期端点処理)を行う。より詳しくは、初期時刻t1よりも過去の時刻t0を仮想的に用意し、時刻t0における交点は時刻t1における交点と同じとし、s1とする。時刻t1、t2での交点を交点データベースから読み出し、s2、s3とする。
s2とs3との間にピークがある可能性があるかどうかを検査する。具体的に、「l2=l3かつd2×d3<0」または「l2=l3かつd2=0かつd3≠0」または「l2=l3かつd3=0かつd2≠0」が満たされるとき、ピークがある可能性があると判断する。ピークがある可能性がある場合は(YES)、図29に処理フローを示すピーク点算出ルーチンを行い(S506)、s2,s3を通り、算出されたピーク点とs2,s3それぞれを結ぶ線分からはみ出さない曲線を描画する(S507)。
ピークがある可能性がない場合は(S502のNO)、s1,s2,s3の3点を通過するスプライン曲線を描く。
s2をs1へ代入し、s3をs2に代入し、新たな交点を読み出しこれをs3とする(S504)。
S504でs3が読み出されたら、すなわち交点データベースにまだ読み出していないデータが存在するときは(S505のNO)S502に戻り、それでない場合は(S505のYES)、処理を終了する。
図29は、ピーク点算出ルーチンの流れを示すフローチャートである。
s2,s3の傾きが記憶されているかどうかを検査し(S601)、記憶されている場合は、傾きからs2を通る直線と、s3を通る直線との交点Pを求める。記憶されていない場合は、s3の次の時刻の交点s4を読み出し、s1とs2とを結ぶ直線と、s3とs4とを結ぶ直線とから交点を求めることができるかどうかを検査する(S604)。できる場合はその交点をPとし、できない場合は、t2にもっとも近い過去のピーク点とs2を通る直線と、s2とs3を2等分する縦軸に平行な直線との交点をPとする(S603)。
交点Pが基準線と矛盾しないかどうか(図25、図26参照)を検査し(S606)、矛盾していない場合は交点Pをピーク点として返し、矛盾している場合は、s2と交点Pとを結ぶ直線と矛盾が見つかった基準線との交点P1、s3と交点Pとを結ぶ直線と矛盾が見つかった基準線との交点P2を算出し、交点P1、P2の2つの点をピーク点として返す(S607)。
本発明の第1の実施形態としてのデータ削減装置の構成を示すブロック図。 増減する観測信号から基準線との交点3点を抽出している例を示す図。 図1のデータ削減装置により行われる処理の流れの一例を示すフローチャート。 交差の有無を判定する詳細フローを示したフローチャート。 線分と基準線との交点を求める様子を示した図。 基準線上の観測点の取り扱いを説明する図。 本発明の第2の実施形態としてのデータ削減装置の構成を示すブロック図。 図7のデータ削減装置により行われる処理の流れの一例を説明するフローチャート。 基準線の算出フローの例を示すフローチャート。 基準線が更新された場合に記録される交点を示す図。 本発明の第3の実施形態としてのデータ削減装置の構成を示すブロック図。 第3の実施形態の主題を説明する図。 図11のデータ削減装置により行われる処理の流れの一例を示すフローチャート。 第4の実施形態の主題を説明する図。 第4の実施形態に係わる処理の流れの一例示すフローチャート。 第5の実施形態としてのデータ削減装置の構成を示すブロック図。 2つのセンサーと時間軸の3つの軸で構成される3次元空間上にデータがプロットされた状態を示す図。 本発明に係わるデータ削減装置を機器の遠隔監視に適用した例を示す図。 本発明に係わるデータ削減装置の他の適用例を示す図。 スプライン曲線を用いることで、与えられた点列を曲線で滑らかに繋ぐことを示す図。 基準線が1本で、交点での傾きの符号しか分かっていない場合の復元方法の例を示す図。 図21において基準線が傾いている場合の復元方法の例を示す図。 基準線1本で、交点での傾きが分かっている場合の復元方法の例を示す図。 基準線が平行に複数ある場合の復元方法を示す図。 算出されたピーク点と交点情報に矛盾がある場合の処理例を説明する図。 3本の基準線とその上の交点とからスプライン曲線描画に必要なピーク点を算出する手順例を示す図。 第1または第4の実施形態で示したデータ削減により生成されたデータベースの一例を示す図。 復元の手順フローを示すフローチャート。 ピーク点算出ルーチンの流れを示すフローチャート。
符号の説明
11、31、41:観測データ記録部
12:基準線記憶部
13、33、43:交差判断部(交差処理部)
14、34、44:交差計算部(交差処理部)
15、35、45:データベース(交差データ記録部)
16:基準線判定部
17:基準線算出部
32:基準線・補助線記憶部
42:基準面記憶部
46:基準面判定部
47:基準面算出部
51〜5M、57:データ削減装置
54:分析センター装置
56:データベース

Claims (5)

  1. センサーにより観測された観測値を時系列に記録する観測データ記録部と、
    時間軸と前記センサーの観測値を表す軸とで構成される平面座標系に前記観測データ記録部により記録された各観測値をプロットしたとき、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、前記平面座標系上であらかじめ設定した基準線に対し交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分と前記基準線との交差時刻を計算する交差処理部と、
    前記交差処理部により計算された交差時刻、および前記線分の傾きまたは傾きの符号を記録する交差データ記録部と、
    前記観測データ記録部により記録された観測値を消去する消去部と、
    を備えたデータ記録装置。
  2. センサーにより観測された観測値を時系列に記録する観測データ記録部と、
    時間軸と前記センサーの観測値を表す軸とで構成される平面座標系上に設定された基準線と、前記基準線の相反する側に前記基準線に沿って設けられた第1および第2の補助線とを記憶する基準線・補助線記憶部と、
    前記観測データ記録部により記録された各観測値を前記平面座標系上にプロットしたとき、連続する時刻の各観測値を結ぶ線分が、前記第1または第2の補助線と交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分を規定する2つの点のうち前記第1および第2の補助線によって囲まれる基準領域に属する方の点を取得する交差処理部と、
    前記交差処理部により取得された前記点を記録する交差データ記録部と、
    前記観測データ記録部により記録された観測値を消去する消去部と、
    を備えたデータ記録装置。
  3. 前記交差処理部は、前記線分が前記基準領域を貫通したとき、前記線分と前記基準線との交差時刻を計算し、
    前記交差データ記録部は、前記交差処理部により計算された交差時刻を記録することを特徴とする請求項2に記載のデータ記録装置。
  4. 前記交差データ記録部は、さらに、前記線分の傾きまたは傾きの符号を記録することを特徴とする請求項2または3に記載のデータ記録装置。
  5. 複数のセンサーにより観測された観測値を含むデータを時系列に記録する観測データ記録部と、
    時間軸と各センサーの観測値とを表す軸とで構成される空間座標系に前記観測データ記録部により記録された各データをプロットしたとき、連続する時刻のデータを結ぶ線分が、前記空間座標系上であらかじめ設定した基準面に対し交差するかどうかを判定し、交差すると判定したとき前記線分と前記基準面との交点を計算する交差処理部と、
    前記交差処理部により計算された交点、および前記線分の傾きまたは傾きの符号を記録する交差データ記録部と、
    前記観測データ記録部により記録されたデータを消去する消去部と、
    を備えたデータ記録装置。
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