JP5002153B2 - 汚染土壌浄化設備および汚染土壌浄化方法 - Google Patents
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Description
ところで、農薬や対生物薬品については、消費者が処分に困って地中に埋設するなどの不法投棄が行われたりして予測外の場所で高濃度の土壌汚染が観測された例も報告されている。さらには、地中に投棄された化学兵器による土壌の有機砒素汚染などについても報告されたりしている。
このようにして地中に埋設された汚染物質は、雨水の浸透や地下水の流通によって滞水層を伝って周囲の土壌に拡散してゆくことから、例えば、先述の投棄された化学兵器のように汚染源が埋設されて数十年の年月を経ている場合にはその汚染物質の汚染領域も広大なものとなっている。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、汚染土壌浄化設備にかかる請求項1記載の発明は、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とが形成され、地下水が揚水される揚水井戸が前記被処理領域内の複数個所に配されている汚染土壌浄化設備であって、前記揚水井戸で揚水して被処理領域内に一方面側からのみ被処理領域外の地下水を流入させ得るように前記通水区間が被処理領域の一方面側に形成され他方面に前記遮水区間が形成され、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることを特徴としている。
また、本発明の汚染土壌浄化設備において前記第二揚水個所が被処理領域内の最下流部に設けられていることを特徴としている。
なお、この最下流部とは、被処理領域に地下水が流入される通水区間から、もっとも距離が離れている地点を意図している。
また、本発明の汚染土壌浄化設備において、前記第一揚水個所には複数の揚水井戸が配されており、しかも、該複数の井戸が前記地下水流入方向に直交する方向に配列されており、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施するように構成されたことを特徴としている。
S≦(r 1 +r 2 )
なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。
なお、前記第一揚水個所における被処理領域の断面積とは、前記第一揚水個所を通る垂直面に対する被処理領域の断面積を意図しており、通常、第一揚水個所を通り地下水流通方向に直交する方向に引いた直線が、該第一揚水個所を挟んで対向する位置に形成された二つの遮水区間に交差する交点間の距離と、この二つの遮水区間に埋設されている遮水壁の地中深さとを乗じて求められる面積を意図している。
また、最高汚染物濃度地点とは、全試掘中において最も高い汚染物濃度が観測された地点を意図している。
さらに、本明細書において、第一揚水個所や第二揚水個所に1以上の揚水井戸が配されているとは、第一揚水個所と第二揚水個所とにそれぞれ、単一の揚水井戸のみが配されている場合やいずれか一個所には複数の揚水井戸が列や群などをなして配されている状態を意図し、この一個所に複数の揚水井戸が配されているとは、個々の揚水井戸同士が10m以内の距離を保って列や群などをなしている状態を意図している。
また、本発明の汚染土壌浄化方法において前記第二揚水個所を被処理領域内の最下流部に設けて汚染土壌の浄化を実施することを特徴としている。
また、本発明の汚染土壌浄化方法において、前記第一揚水個所に複数の揚水井戸を配し、しかも、該複数の井戸を前記地下水流入方向に直交する方向に配列し、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施することを特徴としている。
S≦(r 1 +r 2 )
なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。
なお、前記第一揚水個所における被処理領域の断面積とは、前記第一揚水個所を通る垂直面に対する被処理領域の断面積を意図しており、通常、第一揚水個所を通り地下水流通方向に直交する方向に引いた直線が、該第一揚水個所を挟んで対向する位置に形成された二つの遮水区間に交差する交点間の距離と、この二つの遮水区間に埋設されている遮水壁の地中深さとを乗じて求められる面積を意図している。
さらに、最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることから最高汚染物濃度地点近傍の高濃度に汚染物質を含有する地下水を第一揚水個所でいち早く揚水させることもできる。したがって、汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得る。
また、このコの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸が配列されて被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所が設けられている場合には、前記最下流部で地下水の流通方向に直交する方向に広がりを持たせて第二揚水個所が設けられることとなり、揚水を広く分散させて実施させることができ、被処理領域内全体に良好な地下水の流通状態を形成させ得る。しかもコの字状の角部に地下水の滞留個所が形成されることも抑制させることができる。
また、このコの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸を配列して被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所を設けて汚染土壌の浄化を実施する場合には、前記最下流部で地下水の流通方向に直交する方向に広がりを持たせて揚水を実施されることとなり、揚水を広く分散させて実施させることができ、被処理領域内全体に良好な地下水の流通状態を形成させ得る。しかもコの字状の角部に地下水の滞留個所が形成されることも抑制させることができる。
S≦(r1+r2)
〔なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r1は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r2は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr1は、仮想円の周長(2πr1)と一揚水井戸の地中深さD1(m)とを乗じた面積(m2)と一揚水井戸の揚水量V1(L/日)とによりV1/(2πr1D)として求められる揚水速度υ1(L/m2/日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m2)と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V0(L/日)とによりV0/Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ0(L/m2/日)とが同じ値(υ0=υ1)となる仮想円の半径であり、r1=(V1/V0)×(A/2πD1)で表される。r2も同様に他揚水井戸の揚水量V2と地中深さD2(m)とによりr2=(V2/V0)×(A/2πD2)で表される。〕
まず、汚染土壌領域ならびにその周辺個所を例えば数百個所試掘して、試掘場所(試掘井戸)から採取した地下水中の有機砒素濃度を測定することにより、地中の有機砒素の汚染土壌領域を調査するとともに地下水流の流通方向を調査した結果、図1に示すように、直径100mの円形範囲で地表から地下30mの不透水層までの範囲全体に環境基準値である砒素換算で地下水中に1mg/L以上の濃度で有機砒素が観測された汚染土壌領域1が形成され、この汚染土壌領域の中心部において汚染物濃度が最も高い最高汚染物濃度地点が観測された場合を例に説明する。しかも、この汚染土壌領域1に西から東に向けての地下水の流通Fが確認され、しかもこの汚染土壌領域1の地表から地下15mまでの範囲で幅25m、長さ100mの東西に帯状に広がった範囲では汚染土壌領域中の最高汚染物濃度の50%以上の有機砒素濃度が観測された高濃度領域2が形成されている場合を例に説明する。
すなわち、この正方形の北側、東側、南側の三方に遮水壁4を設けて、コの字状に連続した遮水区間12を設けて、汚染土壌領域1に対して地下水の流入方向上流側にあたる西側の一方面のみに通水区間11を形成させる。
そして、この汚染土壌領域1中の有機砒素濃度が最も高く観測された最高汚染物濃度地点(図示せず)の僅かに下流側に第一揚水個所を設ける。この第一揚水個所には揚水を実施させる深さ約15mの第一揚水井戸21を一台配し、さらにこの第一揚水井戸21よりも下流となる東側において第二揚水個所を設ける。
この第二揚水個所には、深さ約25mの第二揚水井戸22が三台配されている。この三台の第二揚水井戸22は、被処理領域の最下流部となる東側遮水壁近傍において南北にそれぞれ約10m離間して東側遮水壁に沿って設けられている。
このとき、第一揚水個所における被処理領域3の断面積は、深さ30m×長さ100m=3000m2となることから、例えば、第二揚水個所の揚水井戸のみで200m3/日の揚水を実施させたとすると、被処理領域3の断面における地下水の平均流速を計算により求めると、200m3/日÷3000m2=約0.067m/日となる。
したがって、第一揚水井戸で50m3/日、第二揚水井戸で残りの150m3/日を揚水することで、この第一揚水井戸の上流側に他よりも早い流速の水流を形成させることができ第一揚水井戸の少なくとも上流側16m幅の領域の地下水を第一揚水個所の揚水井戸で揚水させることができる。
まず、揚水前の被処理領域断面の様子を図2a)に示す。
この被処理領域には、先述のように地下15mまでの範囲に汚染土壌領域中の最高汚染物濃度の50%以上の有機砒素濃度が観測された高濃度領域が形成されており、この地下15m地点からさらに地下30mの不透水層までの部分も有機砒素により汚染されている。なお、ここでは、この最高汚染物濃度の50%未満で有機砒素濃度を含む領域を低濃度領域と呼ぶこととする。
この第一揚水個所の有機砒素濃度が、第二揚水個所の有機砒素濃度よりも低下した場合に第一揚水個所での揚水を停止させることが好ましいのは、第一揚水個所での揚水を継続させると、第一揚水個所の上流側の土壌は、いち早く浄化される一方で、第一揚水個所の下流側の土壌の浄化に利用可能な地下水がこの第一揚水個所で揚水されることとなるためであり、このように第一揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度が、第二揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度よりも低下した場合にはこの第一揚水個所での揚水を停止することで被処理領域全体の浄化に要する期間をより短縮させ得る。
例えば、有機砒素含有地下水に凝集剤を加えて有機砒素を凝集沈殿させて除去した後にさらに逆浸透膜分離により透過水と有機砒素を含有する濃縮液とに分離するなどして有機砒素含有地下水を環境基準値以下の砒素濃度に浄化させることができる。このとき、要すれば、透過水を吸着剤中を通過させて、透過水に環境基準値以下の砒素濃度で含有されている有機砒素をさらに除去するようにしてもよい。
また、凝集沈殿により除去された有機砒素および膜分離により除去された有機砒素は酸化剤を用いて無機化するなどして処理すればよい。なお、有機砒素含有地下水に高濃度に有機砒素が含有されている場合には、この高濃度に有機砒素が含有されている地下水に酸化剤を加えて直接無機化するなどしてもよい。
この第二実施形態では、第一揚水個所には3台の揚水井戸が配されており、しかも、この3台の揚水井戸が地下水流通方向に直交する方向に直線的に互いに5mの間隔を保って配されている点を除けば第一実施形態と同様の汚染土壌浄化設備が用いられる。
また、この汚染土壌浄化設備による汚染土壌の浄化においては、前記第一揚水個所の3台の揚水井戸の揚水量を次のようにして決定されることが好ましい。
そして、このυ0と同じ流速で揚水可能となる仮想円が互いに接触するように第一揚水個所における個々の揚水井戸の揚水量V(L/日)を定める。
この互いの仮想円が接触するかどうかは、一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離S(m)とよりも一揚水井戸を中心とした仮想円の半径r1(m)と他揚水井戸を中心とした仮想円の半径r2(m)との和の方が大きな値となることで確認できる。
なお、この仮想円の半径については揚水井戸の地中深さD(m)より、υ0=V/(2πr1D)、および、υ0=V/(2πr2D)を計算することで求めることができる。
また、本実施形態においては、汚染土壌浄化設備ならびに汚染土壌浄化方法を上記のような設備を上記のように用いる場合を例に説明したが、本発明においては、汚染土壌浄化設備ならびに汚染土壌浄化方法を上記のような設備ならびに方法に限定するものではない。
例えば、本実施形態においては、遮水壁を矢板を用いて形成することを例示したが、本発明においては、遮水壁を矢板が用いられたものに限定するものではない。また、本実施形態においては、遮水壁を用いて遮水区間をコの字状に形成する場合を例に説明したが本発明においては遮水区間を他の形状に形成させることも可能である。
(被処理領域ならびに汚染状況)
直径100mの円形範囲で地表から地下30mの不透水層までの範囲全体に環境基準値である砒素換算で地下水中に1mg/L以上の濃度で有機砒素(ジフェニールアルシン酸)が観測された汚染土壌領域が形成され、この汚染土壌領域の中心部において汚染物濃度が最も高い最高汚染物濃度(砒素換算で地下水中に34mg/L)が観測されている。しかも、汚染土壌領域の地表から地下15mまでの範囲で幅25m、長さ100mの東西に帯状に広がった範囲では最高汚染物濃度の半分以上の有機砒素を含有する高濃度領域が形成され、他の領域が砒素換算で地下水中に1mg/Lの有機砒素を含有している。
この汚染土壌領域に西から東に向けての地下水の流通が確認されている。
この汚染土壌領域に外接する正方形の辺に沿って遮水壁を埋設した遮水区間と、遮水壁を埋設しない通水区間を形成する。すなわち、この汚染土壌領域に地下水が流入してくる方向、すなわち、西側を通水区間とし、東、南、北の三方を遮水区間とした。
第一揚水個所を最高汚染物濃度地点の下流側で最高汚染物濃度地点直近の位置に形成。
第二揚水個所を地下水流通方向の最下流部、すなわち、東側遮水壁内側で東側遮水壁直近の位置に形成する。
この第一揚水個所には、表1に示すように、深さ15mの揚水井戸を3台配置した。なお、配置は、地下水の流通方向に直交する方向(南北方向)に直列させた。また、それぞれの揚水井戸の間隔は10mとした。
第二揚水個所には、表1に示すように、深さ29mの揚水井戸を10台配置した。なお、配置は、東側遮水壁に沿って南北方向に直列させた。また、それぞれの揚水井戸の間隔は10mとした。
浄化期間中の揚水量を200m3/日とし、第一揚水個所を設けずに第二揚水個所のみで被処理領域の有機砒素濃度を砒素換算で0.001mg/Lまで浄化させるのに必要な期間を算定した結果を表2の事例1として示す。
また、前述のように第一揚水個所を設け第一揚水個所と第二揚水個所とで合計揚水量が200m3/日となるようにした場合を表2の事例2〜4として示す。
なお、この事例2では、第一揚水個所と第二揚水個所との揚水量比率を0.25:0.75すなわち50mm3/日:150m3/日とし、事例3では、0.5:0.5、事例4では0.75:0.25とした。
また、この事例2〜4では、6ヶ月の浄化処理後には、いずれの事例においても第一揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度が第二揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度よりも低下することから、それ以降は、第二揚水個所で200m3/日の揚水を実施させることとした。
この事例1〜4のシミュレーション結果を表2に示す。
また、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とを形成し、地下水を揚水する揚水井戸を前記被処理領域内の複数個所に配して汚染物質を含有する地下水を揚水して前記通水区間から被処理領域外の地下水を被処理領域内に流入させて被処理領域内の土壌の汚染物質濃度を低下させる汚染土壌浄化方法において、前記被処理領域外から被処理領域内に一方面側からのみ地下水を流入させ得るように前記被処理領域の一方面側にのみ通水区間を形成して他方面に前記遮水区間を形成し、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて、前記第一揚水個所と前記第二揚水個所とにおいて揚水して汚染土壌の浄化を実施することにより汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得ることがわかる。
Claims (9)
- 汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とが形成され、地下水が揚水される揚水井戸が前記被処理領域内の複数個所に配されている汚染土壌浄化設備であって、
前記揚水井戸で揚水して被処理領域内に一方面側からのみ被処理領域外の地下水を流入させ得るように前記通水区間が被処理領域の一方面側に形成され他方面に前記遮水区間が形成され、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることを特徴とし、
前記第二揚水個所が被処理領域内の最下流部に設けられており、
前記第一揚水個所には複数の揚水井戸が配されており、しかも、該複数の井戸が前記地下水流入方向に直交する方向に配列されており、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施するように構成された汚染土壌浄化設備。
S≦(r 1 +r 2 )
〔なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。〕 - 前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁が埋設されて前記遮水区間がコの字状に形成されている請求項1に記載の汚染土壌浄化設備。
- 前記コの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸が配列されて被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所が設けられている請求項2に記載の汚染土壌浄化設備。
- 前記コの字状を形成する三辺の内、互いに対向する二辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されている請求項2または3に記載の汚染土壌浄化設備。
- 汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とを形成し、地下水を揚水する揚水井戸を前記被処理領域内の複数個所に配して汚染物質を含有する地下水を揚水して前記通水区間から被処理領域外の地下水を被処理領域内に流入させて被処理領域内の土壌の汚染物質濃度を低下させる汚染土壌浄化方法であって、
前記被処理領域外から被処理領域内に一方面側からのみ地下水を流入させ得るように前記被処理領域の一方面側にのみ通水区間を形成して他方面に前記遮水区間を形成し、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて、前記第一揚水個所と前記第二揚水個所とにおいて揚水して汚染土壌の浄化を実施することを特徴とし、
前記第二揚水個所を被処理領域内の最下流部に設けて汚染土壌の浄化を実施し、
前記第一揚水個所に複数の揚水井戸を配し、しかも、該複数の井戸を前記地下水流入方向に直交する方向に配列し、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施する汚染土壌浄化方法。
S≦(r 1 +r 2 )
〔なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。〕 - 前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁を埋設して前記遮水区間をコの字状に形成させて汚染土壌の浄化を実施する請求項5に記載の汚染土壌浄化方法。
- 前記コの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸を配列して被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所を設けて汚染土壌の浄化を実施する請求項6に記載の汚染土壌浄化方法。
- 前記コの字状を形成する三辺の内、互いに対向する二辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されている請求項6または7に記載の汚染土壌浄化方法。
- 前記被処理領域内の最下流部に設けられた第二揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度よりも前記第一揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度が低い値となる場合に前記第一揚水個所の揚水を停止させる請求項5乃至8のいずれか1項に記載の汚染土壌浄化方法。
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