JP5002153B2 - 汚染土壌浄化設備および汚染土壌浄化方法 - Google Patents

汚染土壌浄化設備および汚染土壌浄化方法 Download PDF

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Description

本発明は、汚染土壌浄化設備と汚染土壌浄化方法に関し、特に汚染物質により汚染された汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が設けられた遮水区間と、遮水壁の設けられていない通水区間とが形成され、さらに、地下水が揚水される揚水井戸が被処理領域に複数箇所配されている汚染土壌処理設備ならびに汚染土壌処理設備を用いて汚染土壌の浄化を実施する汚染土壌浄化方法に関する。
従来、メッキ工場などで重金属やシアン化合物が多く取り扱われている。また、農薬や殺虫剤、殺鼠剤などの対生物薬品を製造する薬品工場などでは有機ハロゲン化物が多く取り扱われたりしている。これらの重金属、シアン化合物、ハロゲン化物などといった物質については、近年、その健康被害が大きな社会問題に取り上げられたりしている。そのため、近年、これら重金属、シアン化合物、ハロゲン化物についての土壌調査や地下水の水質調査が、工場、廃液処理施設、ごみ焼却施設の周辺などを中心に行われたりしている。
ところで、農薬や対生物薬品については、消費者が処分に困って地中に埋設するなどの不法投棄が行われたりして予測外の場所で高濃度の土壌汚染が観測された例も報告されている。さらには、地中に投棄された化学兵器による土壌の有機砒素汚染などについても報告されたりしている。
このようにして地中に埋設された汚染物質は、雨水の浸透や地下水の流通によって滞水層を伝って周囲の土壌に拡散してゆくことから、例えば、先述の投棄された化学兵器のように汚染源が埋設されて数十年の年月を経ている場合にはその汚染物質の汚染領域も広大なものとなっている。
ところで、この投棄された化学兵器のように滞水層が広く汚染されている場合に、例えば、透水性が良好で地盤沈下のおそれの低い地域においては、汚染土壌領域や汚染土壌領域の近傍において汚染物質を含有する地下水を汲み上げて除去したり、汲み上げた地下水中の汚染物質を除去して汚染物質が除去された地下水を再び戻したりして土壌中の汚染物濃度を低下させる方法が行われている。このような地下水を汲み上げる揚水井戸は、汚染土壌領域が広範囲となる場合は、汚染土壌領域内の複数箇所に形成され、しかも、1個所に複数の揚水井戸を配して揚水させることが行われている。このとき、通常、1個所に配される揚水井戸同士は10m以内の距離で離間されて列や群をなして配されている。
このような汚染土壌浄化方法では土壌中の汚染物質濃度を目標とする濃度(通常、環境基準値)以下に浄化するために、通常、数年以上もの期間を要する。このことからこのような汚染土壌の浄化においては浄化期間中に汚染物質がさらに拡散することを防止すべく、この汚染土壌領域を含んだ領域を遮水壁で囲ってこの被処理領域内外の地下水の流通を抑制させて実施されている。しかし、例えば、被処理領域の全周を遮水壁で囲って、被処理領域の地下水を揚水すると被処理領域内の地下水が減少して被処理領域を地盤沈下させるおそれがある。そのため、被処理領域の全周の内の一部には遮水壁を設けずに被処理領域内外の地下水を流通可能な通水区間が形成される。そして被処理領域内での地下水の揚水量に見合う地下水を被処理領域外からこの通水区間を通じて被処理領域内に流入させる方法が採用されたりしている(特許文献1参照)。さらにこのような汚染土壌浄化方法においては、通常、この遮水壁の設置に先立って、汚染土壌領域ならびにその周辺個所が合計百個所以上において試掘され、処理対象となる汚染物質が目標とする濃度以上に含有されている汚染土壌領域とこの汚染土壌領域における汚染物濃度の分布、さらには地下水の流通方向が観測されて遮水区間と通水区間の設置位置、揚水位置ならびに揚水量などが決定される。
このような汚染土壌の浄化方法においては、汚染土壌が短期間で確実に浄化されることが要望されていることから、この遮水区間と通水区間の設置位置、揚水位置ならびに揚水量などの条件についても汚染土壌を短期間で確実に浄化すべく決定される。しかし、これまでの汚染土壌の浄化方法においては、遮水区間と通水区間の設置位置、揚水位置ならびに揚水量などの条件について、汚染土壌を短期間で確実に浄化させる効果に優れた条件が見出されていない。
例えば、被処理領域における個々の揚水井戸の揚水量を増大させて汚染土壌の浄化を短期化させることも考え得るが、単に揚水量を増大させても地下水に含有される汚染物濃度が希薄であれば、処理する水量が多量となって多大な作業を要するばかりで土壌の浄化期間を短期化させることは困難である。また、例えば、揚水井戸を多数配して揚水させることも考え得るが、単に被処理領域内で揚水井戸を多数配しても、地下水が複雑な方向に流動するばかりで、例えば、この地下水の流動に汚染物質が同伴されて汚染物を高濃度に含んだ高濃度汚染土壌領域の位置が予想外の方面に移動したりしてかえって土壌の浄化期間を長期化させるおそれもある。すなわち、従来の汚染土壌浄化方法においては汚染土壌を短期間で確実に浄化させることが困難であるという問題を有している。
特開2003−94032号公報
本発明の課題は、汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得る汚染土壌浄化設備と汚染土壌浄化方法とを提供することにある。
本発明者らは、汚染土壌浄化設備ならびに汚染土壌浄化方法について鋭意検討を行った結果、地下水の流通方向を制御して被処理領域の所定の個所での揚水を実施することで汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得ることを見出し、本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、汚染土壌浄化設備にかかる請求項1記載の発明は、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とが形成され、地下水が揚水される揚水井戸が前記被処理領域内の複数個所に配されている汚染土壌浄化設備であって、前記揚水井戸で揚水して被処理領域内に一方面側からのみ被処理領域外の地下水を流入させ得るように前記通水区間が被処理領域の一方面側に形成され他方面に前記遮水区間が形成され、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることを特徴としている。
また、本発明の汚染土壌浄化設備において前記第二揚水個所が被処理領域内の最下流部に設けられていることを特徴としている。
なお、この最下流部とは、被処理領域に地下水が流入される通水区間から、もっとも距離が離れている地点を意図している。
また、本発明の汚染土壌浄化設備において、前記第一揚水個所には複数の揚水井戸が配されており、しかも、該複数の井戸が前記地下水流入方向に直交する方向に配列されており、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施するように構成されたことを特徴としている。
S≦(r 1 +r 2
なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。
なお、前記第一揚水個所における被処理領域の断面積とは、前記第一揚水個所を通る垂直面に対する被処理領域の断面積を意図しており、通常、第一揚水個所を通り地下水流通方向に直交する方向に引いた直線が、該第一揚水個所を挟んで対向する位置に形成された二つの遮水区間に交差する交点間の距離と、この二つの遮水区間に埋設されている遮水壁の地中深さとを乗じて求められる面積を意図している。
なお、本明細書中において汚染土壌領域とは、汚染物質を浄化目標濃度(通常、環境基準値)以上に含有している領域を意図している。
また、最高汚染物濃度地点とは、全試掘中において最も高い汚染物濃度が観測された地点を意図している。
さらに、本明細書において、第一揚水個所や第二揚水個所に1以上の揚水井戸が配されているとは、第一揚水個所と第二揚水個所とにそれぞれ、単一の揚水井戸のみが配されている場合やいずれか一個所には複数の揚水井戸が列や群などをなして配されている状態を意図し、この一個所に複数の揚水井戸が配されているとは、個々の揚水井戸同士が10m以内の距離を保って列や群などをなしている状態を意図している。
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の汚染土壌浄化設備において前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁が埋設されて前記遮水区間がコの字状に形成されている事を特徴とし、請求項3記載の発明は、請求項2に記載の汚染土壌浄化設備において前記コの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸が配列されて被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所が設けられていることを特徴とし、請求項4記載の発明は、請求項2または3に記載の汚染土壌浄化設備において前記コの字状を形成する三辺の内、互いに対向する二辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されていることを特徴としている。
さらに、汚染土壌浄化方法にかかる請求項5記載の発明は、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とを形成し、地下水を揚水する揚水井戸を前記被処理領域内の複数個所に配して汚染物質を含有する地下水を揚水して前記通水区間から被処理領域外の地下水を被処理領域内に流入させて被処理領域内の土壌の汚染物質濃度を低下させる汚染土壌浄化方法であって、前記被処理領域外から被処理領域内に一方面側からのみ地下水を流入させ得るように前記被処理領域の一方面側にのみ通水区間を形成して他方面に前記遮水区間を形成し、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて、前記第一揚水個所と前記第二揚水個所とにおいて揚水して汚染土壌の浄化を実施することを特徴としている。
また、本発明の汚染土壌浄化方法において前記第二揚水個所を被処理領域内の最下流部に設けて汚染土壌の浄化を実施することを特徴としている。
また、本発明の汚染土壌浄化方法において、前記第一揚水個所に複数の揚水井戸を配し、しかも、該複数の井戸を前記地下水流入方向に直交する方向に配列し、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施することを特徴としている。
S≦(r 1 +r 2
なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。
なお、前記第一揚水個所における被処理領域の断面積とは、前記第一揚水個所を通る垂直面に対する被処理領域の断面積を意図しており、通常、第一揚水個所を通り地下水流通方向に直交する方向に引いた直線が、該第一揚水個所を挟んで対向する位置に形成された二つの遮水区間に交差する交点間の距離と、この二つの遮水区間に埋設されている遮水壁の地中深さとを乗じて求められる面積を意図している。
また、請求項6記載の発明は、請求項5に記載の汚染土壌浄化方法において、前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁を埋設して前記遮水区間をコの字状に形成させて汚染土壌の浄化を実施することを特徴とし、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の汚染土壌浄化方法において、前記コの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸を配列して被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所を設けて汚染土壌の浄化を実施することを特徴とし、請求項8記載の発明は、請求項6または7に記載の汚染土壌浄化方法において、前記コの字状を形成する三辺の内、互いに対向する二辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されていることを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、請求項乃至のいずれか1項に記載の汚染土壌浄化方法において、前記被処理領域内の最下流部に設けられた第二揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度よりも前記第一揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度が低い値となる場合に前記第一揚水個所の揚水を停止させることを特徴としている。
本発明によれば、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とが形成され、地下水が揚水される揚水井戸が前記被処理領域内の複数個所に配されている汚染土壌浄化設備において、前記揚水井戸で揚水して被処理領域内に一方面側からのみ被処理領域外の地下水を流入させ得るように前記通水区間が被処理領域の一方面側に形成され他方面に前記遮水区間が形成され、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることから、この第一揚水個所と第二揚水個所とに配された揚水井戸で揚水することにより、地下水を汚染土壌領域に通水区間側から一方向に流通させることができる。
すなわち、被処理領域の地下水を通水区間側から順次被処理領域外の清浄な地下水に置き換えることができる。したがって、この第一揚水個所と第二揚水個所で汚染物を含有する地下水を確実に揚水させ得るとともに、揚水される地下水の汚染物濃度が被処理領域外の清浄な地下水により薄められることも抑制させることができる。すなわち、汚染物質濃度が希薄な多量の地下水を処理することを防止することができ、設備が多大なものとなることを抑制させることができる。
さらに、最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることから最高汚染物濃度地点近傍の高濃度に汚染物質を含有する地下水を第一揚水個所でいち早く揚水させることもできる。したがって、汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得る。
また、前記第二揚水個所が被処理領域内の最下流部に配されている場合には、通水区間が形成された側からこの第二揚水個所が形成された最下流部までの地下水をこの第二揚水個所の揚水井戸で確実に揚水させることができ被処理領域の略全域の地下水をより確実に被処理領域外の清浄な地下水に置き換えさせることができる。
また、前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁が埋設されて前記遮水区間がコの字状に形成されている場合には、このコの字状を形成する3辺の内、互いに対向する2辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されることとなり、地下水の流通状態を良好なものとすることができ、地下水の滞留個所が形成されたりすることが抑制された汚染土壌浄化設備とし得る。
また、このコの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸が配列されて被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所が設けられている場合には、前記最下流部で地下水の流通方向に直交する方向に広がりを持たせて第二揚水個所が設けられることとなり、揚水を広く分散させて実施させることができ、被処理領域内全体に良好な地下水の流通状態を形成させ得る。しかもコの字状の角部に地下水の滞留個所が形成されることも抑制させることができる。
さらに、前記第一揚水個所には複数の揚水井戸が配されており、しかも、該複数の井戸が前記地下水流入方向に直交する方向に配列されている場合には、この第一揚水個所の上流側の最高汚染物濃度を示す地点およびその周囲の汚染物質を高濃度に含有する地下水をこの第一揚水個所でより確実に揚水させることができ、この汚染物質を高濃度に含有する地下水を第一揚水個所よりも下流側に流下させてしまうことを抑制させ得る。
また、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とを形成し、地下水を揚水する揚水井戸を前記被処理領域内の複数個所に配して汚染物質を含有する地下水を揚水して前記通水区間から被処理領域外の地下水を被処理領域内に流入させて被処理領域内の土壌の汚染物質濃度を低下させる汚染土壌浄化方法であって、前記被処理領域外から被処理領域内に一方面側からのみ地下水を流入させ得るように前記被処理領域の一方面側にのみ通水区間を形成して他方面に前記遮水区間を形成し、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて、前記第一揚水個所と前記第二揚水個所とにおいて揚水して汚染土壌の浄化を実施する場合には、非処理領域の地下水を通水区間側から順次被処理領域外の清浄な地下水に置き換えることができる。さらに、汚染物を含有する地下水を確実に揚水させ得るとともに、揚水される地下水の汚染物濃度が被処理領域外の清浄な地下水により薄められることも抑制させることができる。すなわち、汚染物質濃度が希薄な多量の地下水を処理することを防止することができ、汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得る。さらに、最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて揚水を行うことから、最高汚染物濃度地点近傍の高濃度に汚染物質を含有する地下水を第一揚水個所でいち早く揚水させることもできる。したがって、汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得る。
また、前記第二揚水個所を被処理領域内の最下流部に設けて汚染土壌の浄化を実施する場合には、通水区間が形成された側からこの第二揚水個所が設けられた最下流部までの地下水をこの第二揚水個所の揚水井戸で確実に揚水させることができ被処理領域の略全域の地下水をより確実に被処理領域外の清浄な地下水に置き換えさせることができる。
また、前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁を埋設して前記遮水区間をコの字状に形成させて汚染土壌の浄化を実施する場合には、地下水が一方向へのみ流れるので、汚染物質の拡散を低減することができる。
また、このコの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸を配列して被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所を設けて汚染土壌の浄化を実施する場合には、前記最下流部で地下水の流通方向に直交する方向に広がりを持たせて揚水を実施されることとなり、揚水を広く分散させて実施させることができ、被処理領域内全体に良好な地下水の流通状態を形成させ得る。しかもコの字状の角部に地下水の滞留個所が形成されることも抑制させることができる。
また、前記第一揚水個所に複数の揚水井戸を配し、しかも、該複数の井戸を前記地下水流入方向に直交する方向に配列して汚染土壌の浄化を実施する場合には、この第一揚水個所の上流側の最高汚染物濃度を示す地点およびその周囲の汚染物質を高濃度に含有する地下水をこの第一揚水個所でより確実に揚水させることができ、この汚染物質を高濃度に含有する地下水を第一揚水個所よりも下流側に流下させてしまうことを抑制させ得る。
さらに、この前記第一揚水個所に複数の揚水井戸を配し、しかも、該複数の井戸を前記地下水流入方向に直交する方向に配列し、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水することで、この第一揚水個所の上流側の最高汚染物濃度を示す地点およびその周囲の汚染物質を高濃度に含有する地下水が、この第一揚水個所の一揚水井戸と他揚水井戸との間を通って下流側に流下することをより確実に抑制させ得る。
S≦(r1+r2
〔なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r1は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r2は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr1は、仮想円の周長(2πr1)と一揚水井戸の地中深さD1(m)とを乗じた面積(m2)と一揚水井戸の揚水量V1(L/日)とによりV1/(2πr1D)として求められる揚水速度υ1(L/m2/日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m2)と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V0(L/日)とによりV0/Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ0(L/m2/日)とが同じ値(υ0=υ1)となる仮想円の半径であり、r1=(V1/V0)×(A/2πD1)で表される。r2も同様に他揚水井戸の揚水量V2と地中深さD2(m)とによりr2=(V2/V0)×(A/2πD2)で表される。〕
さらに、前記被処理領域内の最下流部に設けられた第二揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度よりも前記第一揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度が低い値となる場合に前記第一揚水個所の揚水を停止させることで、この第一揚水個所で揚水される地下水を第一揚水個所と第二揚水個所との間の土壌の浄化に利用でき、第一揚水個所での揚水を継続させる場合に比べて汚染土壌の浄化処理期間をより短縮させ得る。
以下に、本発明の好ましい第一実施形態について投棄された化学兵器による有機砒素汚染された土壌の処理を例に説明する。
まず、汚染土壌領域ならびにその周辺個所を例えば数百個所試掘して、試掘場所(試掘井戸)から採取した地下水中の有機砒素濃度を測定することにより、地中の有機砒素の汚染土壌領域を調査するとともに地下水流の流通方向を調査した結果、図1に示すように、直径100mの円形範囲で地表から地下30mの不透水層までの範囲全体に環境基準値である砒素換算で地下水中に1mg/L以上の濃度で有機砒素が観測された汚染土壌領域1が形成され、この汚染土壌領域の中心部において汚染物濃度が最も高い最高汚染物濃度地点が観測された場合を例に説明する。しかも、この汚染土壌領域1に西から東に向けての地下水の流通Fが確認され、しかもこの汚染土壌領域1の地表から地下15mまでの範囲で幅25m、長さ100mの東西に帯状に広がった範囲では汚染土壌領域中の最高汚染物濃度の50%以上の有機砒素濃度が観測された高濃度領域2が形成されている場合を例に説明する。
この汚染土壌領域を浄化する汚染土壌処理設備としては、遮水壁と揚水井戸とが備えられている。この汚染土壌領域1に外接する正方形の領域、すなわち、一辺が100mの正方形の領域を被処理領域3として区画し、この正方形の辺に沿って遮水壁4を埋設してこの被処理領域3内外の地下水の流通を制限させる。このとき、正方形の四辺が汚染土壌領域1の東西南北の四方に位置するように被処理領域3を区画し、且つ、汚染土壌領域1の西側にあたる部分には遮水壁を設けない通水区間11を形成させる。
すなわち、この正方形の北側、東側、南側の三方に遮水壁4を設けて、コの字状に連続した遮水区間12を設けて、汚染土壌領域1に対して地下水の流入方向上流側にあたる西側の一方面のみに通水区間11を形成させる。
この遮水壁4は、矢板を用いて形成することができ、通常、前記不透水層に到る深さまで到達させて形成される。
そして、この汚染土壌領域1中の有機砒素濃度が最も高く観測された最高汚染物濃度地点(図示せず)の僅かに下流側に第一揚水個所を設ける。この第一揚水個所には揚水を実施させる深さ約15mの第一揚水井戸21を一台配し、さらにこの第一揚水井戸21よりも下流となる東側において第二揚水個所を設ける。
この第二揚水個所には、深さ約25mの第二揚水井戸22が三台配されている。この三台の第二揚水井戸22は、被処理領域の最下流部となる東側遮水壁近傍において南北にそれぞれ約10m離間して東側遮水壁に沿って設けられている。
前記第一揚水井戸21と第二揚水井戸22には、揚水ポンプなどが備えられており、この揚水ポンプにより有機砒素を含有する地下水を地上へと汲み上げさせて別途浄化処理させる。
このとき、第一揚水個所における被処理領域3の断面積は、深さ30m×長さ100m=3000m2となることから、例えば、第二揚水個所の揚水井戸のみで200m3/日の揚水を実施させたとすると、被処理領域3の断面における地下水の平均流速を計算により求めると、200m3/日÷3000m2=約0.067m/日となる。
ここで、第一揚水個所の揚水井戸で、例えば、50m3/日の揚水を実施した場合、この第一揚水井戸の揚水により約0.067m/日の水流が形成される範囲を計算により求めると、50m3/日÷0.067m/日=750m2となる。この第一揚水井戸深さは前述の通り15mであるから、第一揚水井戸を中心とした周長50mの円内の領域、すなわち第一揚水井戸を中心とした直径約16m、長さ15mの円柱状の領域内では、この第一揚水井戸へ向かって0.067m/日の水流が形成されることとなる。
したがって、第一揚水井戸で50m3/日、第二揚水井戸で残りの150m3/日を揚水することで、この第一揚水井戸の上流側に他よりも早い流速の水流を形成させることができ第一揚水井戸の少なくとも上流側16m幅の領域の地下水を第一揚水個所の揚水井戸で揚水させることができる。
このように第一揚水個所と第二揚水個所とで揚水する場合を図2の概略図を参照しつつ説明する。図2は、図1に示した被処理領域を東西方向すなわち地下水の流通方向と平行に切断した断面を表している。
まず、揚水前の被処理領域断面の様子を図2a)に示す。
この被処理領域には、先述のように地下15mまでの範囲に汚染土壌領域中の最高汚染物濃度の50%以上の有機砒素濃度が観測された高濃度領域が形成されており、この地下15m地点からさらに地下30mの不透水層までの部分も有機砒素により汚染されている。なお、ここでは、この最高汚染物濃度の50%未満で有機砒素濃度を含む領域を低濃度領域と呼ぶこととする。
次いで、第一揚水個所と第二揚水個所とで揚水を実施すると図2b)に示すように、西側の領域から、被処理領域内の地下水が、被処理領域外の清浄な地下水に置き換えられ土壌が浄化される。このとき、第一揚水個所の上流側では、他よりも早い流速の水流が形成される。したがって、第一揚水個所の上流側の高濃度領域の地下水を他の領域に比べてすばやく第一揚水個所に揚水させることができ、高濃度領域はその範囲をすばやく狭められることとなる。
さらに揚水を継続させると、図2c)に示すように第一揚水個所の上流側には、高濃度領域が消失する。このように、第一揚水個所の上流側の有機砒素濃度が低下し、第一揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度が、第二揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度よりも低下した場合にはこの第一揚水個所での揚水を停止し、以降は第二揚水個所のみで揚水させることが好ましい。
この第一揚水個所の有機砒素濃度が、第二揚水個所の有機砒素濃度よりも低下した場合に第一揚水個所での揚水を停止させることが好ましいのは、第一揚水個所での揚水を継続させると、第一揚水個所の上流側の土壌は、いち早く浄化される一方で、第一揚水個所の下流側の土壌の浄化に利用可能な地下水がこの第一揚水個所で揚水されることとなるためであり、このように第一揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度が、第二揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度よりも低下した場合にはこの第一揚水個所での揚水を停止することで被処理領域全体の浄化に要する期間をより短縮させ得る。
このように揚水された有機砒素を含有する地下水は、一般的な浄化方法により処理させることができる。
例えば、有機砒素含有地下水に凝集剤を加えて有機砒素を凝集沈殿させて除去した後にさらに逆浸透膜分離により透過水と有機砒素を含有する濃縮液とに分離するなどして有機砒素含有地下水を環境基準値以下の砒素濃度に浄化させることができる。このとき、要すれば、透過水を吸着剤中を通過させて、透過水に環境基準値以下の砒素濃度で含有されている有機砒素をさらに除去するようにしてもよい。
また、凝集沈殿により除去された有機砒素および膜分離により除去された有機砒素は酸化剤を用いて無機化するなどして処理すればよい。なお、有機砒素含有地下水に高濃度に有機砒素が含有されている場合には、この高濃度に有機砒素が含有されている地下水に酸化剤を加えて直接無機化するなどしてもよい。
次いで、図3ならびにこの図3の要部(図3A)を拡大した上面図である図4を参照しつつ第二実施形態について説明する。
この第二実施形態では、第一揚水個所には3台の揚水井戸が配されており、しかも、この3台の揚水井戸が地下水流通方向に直交する方向に直線的に互いに5mの間隔を保って配されている点を除けば第一実施形態と同様の汚染土壌浄化設備が用いられる。
また、この汚染土壌浄化設備による汚染土壌の浄化においては、前記第一揚水個所の3台の揚水井戸の揚水量を次のようにして決定されることが好ましい。
まず、第一揚水個所の揚水量の定めるために、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m2)と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V0(L/日)とにより第一揚水個所を通過する地下水流速υ0(L/m2/日)=V0/Aを求める。
そして、このυ0と同じ流速で揚水可能となる仮想円が互いに接触するように第一揚水個所における個々の揚水井戸の揚水量V(L/日)を定める。
この互いの仮想円が接触するかどうかは、一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離S(m)とよりも一揚水井戸を中心とした仮想円の半径r1(m)と他揚水井戸を中心とした仮想円の半径r2(m)との和の方が大きな値となることで確認できる。
なお、この仮想円の半径については揚水井戸の地中深さD(m)より、υ0=V/(2πr1D)、および、υ0=V/(2πr2D)を計算することで求めることができる。
このようにして、3台の揚水井戸により揚水することで、全体の地下水流速よりも早い流速が形成される領域を地下水の流通方向に直交する方向に横断させて形成させることができ、この第一揚水個所の上流側の最高汚染物濃度を示す地点およびその周囲の汚染物質を高濃度に含有する地下水をこの第一揚水個所でより確実に揚水させることができ、この汚染物質を高濃度に含有する地下水を第一揚水個所よりも下流側に流下させてしまうことを抑制させ得る。
なお、本実施形態においては、汚染物質が有機砒素の場合を例に説明したが、本発明においては、汚染物質を有機砒素に限定するものではない。
また、本実施形態においては、汚染土壌浄化設備ならびに汚染土壌浄化方法を上記のような設備を上記のように用いる場合を例に説明したが、本発明においては、汚染土壌浄化設備ならびに汚染土壌浄化方法を上記のような設備ならびに方法に限定するものではない。
例えば、本実施形態においては、遮水壁を矢板を用いて形成することを例示したが、本発明においては、遮水壁を矢板が用いられたものに限定するものではない。また、本実施形態においては、遮水壁を用いて遮水区間をコの字状に形成する場合を例に説明したが本発明においては遮水区間を他の形状に形成させることも可能である。
なお、本発明における遮水壁とは、漏水までをも防止し得る完全防水状態に形成されたものを意図するものではなく、被処理領域に流入する地下水の殆どを通水区間から流入させ得るように実質的に通水区間以外からの地下水の流入を遮断し得るべく形成されているものを意図している。
以下に、有機砒素汚染土壌の浄化方法をシミュレーションした計算事例を示す。
(シミュレーション条件)
(被処理領域ならびに汚染状況)
直径100mの円形範囲で地表から地下30mの不透水層までの範囲全体に環境基準値である砒素換算で地下水中に1mg/L以上の濃度で有機砒素(ジフェニールアルシン酸)が観測された汚染土壌領域が形成され、この汚染土壌領域の中心部において汚染物濃度が最も高い最高汚染物濃度(砒素換算で地下水中に34mg/L)が観測されている。しかも、汚染土壌領域の地表から地下15mまでの範囲で幅25m、長さ100mの東西に帯状に広がった範囲では最高汚染物濃度の半分以上の有機砒素を含有する高濃度領域が形成され、他の領域が砒素換算で地下水中に1mg/Lの有機砒素を含有している。
(地下水流通方向)
この汚染土壌領域に西から東に向けての地下水の流通が確認されている。
(遮水壁の形成)
この汚染土壌領域に外接する正方形の辺に沿って遮水壁を埋設した遮水区間と、遮水壁を埋設しない通水区間を形成する。すなわち、この汚染土壌領域に地下水が流入してくる方向、すなわち、西側を通水区間とし、東、南、北の三方を遮水区間とした。
(揚水個所ならびに揚水井戸の配置)
第一揚水個所を最高汚染物濃度地点の下流側で最高汚染物濃度地点直近の位置に形成。
第二揚水個所を地下水流通方向の最下流部、すなわち、東側遮水壁内側で東側遮水壁直近の位置に形成する。
この第一揚水個所には、表1に示すように、深さ15mの揚水井戸を3台配置した。なお、配置は、地下水の流通方向に直交する方向(南北方向)に直列させた。また、それぞれの揚水井戸の間隔は10mとした。
第二揚水個所には、表1に示すように、深さ29mの揚水井戸を10台配置した。なお、配置は、東側遮水壁に沿って南北方向に直列させた。また、それぞれの揚水井戸の間隔は10mとした。
Figure 0005002153
(揚水量と浄化に必要な期間)
浄化期間中の揚水量を200m3/日とし、第一揚水個所を設けずに第二揚水個所のみで被処理領域の有機砒素濃度を砒素換算で0.001mg/Lまで浄化させるのに必要な期間を算定した結果を表2の事例1として示す。
また、前述のように第一揚水個所を設け第一揚水個所と第二揚水個所とで合計揚水量が200m3/日となるようにした場合を表2の事例2〜4として示す。
なお、この事例2では、第一揚水個所と第二揚水個所との揚水量比率を0.25:0.75すなわち50mm3/日:150m3/日とし、事例3では、0.5:0.5、事例4では0.75:0.25とした。
また、この事例2〜4では、6ヶ月の浄化処理後には、いずれの事例においても第一揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度が第二揚水個所で揚水される地下水中の有機砒素濃度よりも低下することから、それ以降は、第二揚水個所で200m3/日の揚水を実施させることとした。
この事例1〜4のシミュレーション結果を表2に示す。
Figure 0005002153
この表2の結果からもわかるように、第一揚水個所を設けていない事例1では、浄化処理期間が36ヶ月以上にも及び、揚水量すなわち処理を必要とする地下水量が219,000m3以上にも及ぶのに対して、事例2〜4では、浄化処理期間ならびに揚水量が事例1の半分以下ですむことがわかる。
また、汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とを形成し、地下水を揚水する揚水井戸を前記被処理領域内の複数個所に配して汚染物質を含有する地下水を揚水して前記通水区間から被処理領域外の地下水を被処理領域内に流入させて被処理領域内の土壌の汚染物質濃度を低下させる汚染土壌浄化方法において、前記被処理領域外から被処理領域内に一方面側からのみ地下水を流入させ得るように前記被処理領域の一方面側にのみ通水区間を形成して他方面に前記遮水区間を形成し、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて、前記第一揚水個所と前記第二揚水個所とにおいて揚水して汚染土壌の浄化を実施することにより汚染土壌を短期間で確実に浄化させ得ることがわかる。
一実施形態の汚染土壌浄化設備を示す概略上面図。 一実施形態の汚染土壌浄化方法を示す被処理領域概略断面図。 他実施形態の汚染土壌浄化設備を示す概略上面図。 図3のA部拡大概略図。
符号の説明
1:汚染土壌領域、2:高濃度領域、3:被処理領域、4:遮水壁、11:通水区間、12:遮水区間、21:第一揚水井戸(第一揚水個所)、22:第二揚水井戸(第二揚水個所)、F:地下水の流入方向

Claims (9)

  1. 汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とが形成され、地下水が揚水される揚水井戸が前記被処理領域内の複数個所に配されている汚染土壌浄化設備であって、
    前記揚水井戸で揚水して被処理領域内に一方面側からのみ被処理領域外の地下水を流入させ得るように前記通水区間が被処理領域の一方面側に形成され他方面に前記遮水区間が形成され、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所が設けられ、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所が設けられていることを特徴とし、
    前記第二揚水個所が被処理領域内の最下流部に設けられており、
    前記第一揚水個所には複数の揚水井戸が配されており、しかも、該複数の井戸が前記地下水流入方向に直交する方向に配列されており、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施するように構成された汚染土壌浄化設備。
    S≦(r 1 +r 2
    〔なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。〕
  2. 前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁が埋設されて前記遮水区間がコの字状に形成されている請求項1に記載の汚染土壌浄化設備。
  3. 前記コの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸が配列されて被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所が設けられている請求項2に記載の汚染土壌浄化設備。
  4. 前記コの字状を形成する三辺の内、互いに対向する二辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されている請求項2または3に記載の汚染土壌浄化設備。
  5. 汚染物質により汚染されている汚染土壌領域を含む被処理領域の周囲に、遮水壁が埋設されて該遮水壁により被処理領域外から被処理領域内への地下水の流入が抑制されている遮水区間と、遮水壁が埋設されていない通水区間とを形成し、地下水を揚水する揚水井戸を前記被処理領域内の複数個所に配して汚染物質を含有する地下水を揚水して前記通水区間から被処理領域外の地下水を被処理領域内に流入させて被処理領域内の土壌の汚染物質濃度を低下させる汚染土壌浄化方法であって、
    前記被処理領域外から被処理領域内に一方面側からのみ地下水を流入させ得るように前記被処理領域の一方面側にのみ通水区間を形成して他方面に前記遮水区間を形成し、前記被処理領域の最高汚染物濃度を示す地点よりも地下水流入方向下流側の汚染土壌領域内に1以上の揚水井戸が配された第一揚水個所を設け、該第一揚水個所よりもさらに下流側に1以上の揚水井戸が配された第二揚水個所を設けて、前記第一揚水個所と前記第二揚水個所とにおいて揚水して汚染土壌の浄化を実施することを特徴とし、
    前記第二揚水個所を被処理領域内の最下流部に設けて汚染土壌の浄化を実施し、
    前記第一揚水個所に複数の揚水井戸を配し、しかも、該複数の井戸を前記地下水流入方向に直交する方向に配列し、第一揚水個所の一揚水井戸と、該一揚水井戸に最も近接する位置に配された他揚水井戸とを下記式を満足させるように揚水して汚染土壌の浄化を実施する汚染土壌浄化方法。
    S≦(r 1 +r 2
    〔なお、Sは一揚水井戸と他揚水井戸の中心間距離(m)である。また、r 1 は、一揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)で、r 2 は、他揚水井戸を中心とした仮想円の半径(m)である。しかも、このr 1 は、仮想円の周長(2πr 1 )と一揚水井戸の地中深さD 1 (m)とを乗じた面積(m 2 )と一揚水井戸の揚水量V 1 (L/日)とによりV 1 /(2πr 1 D)として求められる揚水速度υ 1 (L/m 2 /日)と、第一揚水個所における被処理領域の断面積A(m 2 )と第一揚水個所以降のすべての揚水井戸の揚水量V 0 (L/日)とによりV 0 /Aとして求められる第一揚水個所を通過する地下水流速υ 0 (L/m 2 /日)とが同じ値(υ 0 =υ 1 )となる仮想円の半径であり、r 1 =(V 1 /V 0 )×(A/2πD 1 )で表される。r 2 も同様に他揚水井戸の揚水量V 2 と地中深さD 2 (m)とによりr 2 =(V 2 /V 0 )×(A/2πD 2 )で表される。〕
  6. 前記被処理領域の周囲三方に前記遮水壁を埋設して前記遮水区間をコの字状に形成させて汚染土壌の浄化を実施する請求項5に記載の汚染土壌浄化方法。
  7. 前記コの字状を形成する三辺の内、通水区間と対向する辺の遮水区間に埋設されている遮水壁内側に前記遮水区間に沿って複数の揚水井戸を配列して被処理領域内の前記最下流部に前記第二揚水個所を設けて汚染土壌の浄化を実施する請求項6に記載の汚染土壌浄化方法。
  8. 前記コの字状を形成する三辺の内、互いに対向する二辺が、揚水による被処理領域内の地下水の流通方向に平行に形成されている請求項6または7に記載の汚染土壌浄化方法。
  9. 前記被処理領域内の最下流部に設けられた第二揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度よりも前記第一揚水個所で揚水される地下水の汚染物濃度が低い値となる場合に前記第一揚水個所の揚水を停止させる請求項5乃至のいずれか1項に記載の汚染土壌浄化方法。
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