以下、本発明に係る湿式画像形成装置について、図1〜図4を参照して説明をする。本発明に係る湿式画像形成装置としてタンデム型カラー画像形成装置であるプリンタ100を一例に挙げて、最初に、これについて、図1、図2を参照して、その構造の概略を説明しつつ、画像形成工程を説明する。図1は、本実施形態のプリンタ100の概略構造の一例を模式的に示す垂直断面図である。図2は、図1中に示した画像形成手段5の一例を模式的に示す垂直断面図である。
図1のプリンタ100は、給紙部1、垂直搬送路2、レジストローラ対3、ベルト搬送部4、第1の画像形成手段5B、第2の画像形成手段5M、第3の画像形成手段5C、第4の画像形成手段5Y、2次転写部6、定着部7、排出搬送路8、排出トレイ9等から構成されている。
上記構成のプリンタ100は、次のような画像形成工程を行う。用紙Pは、給紙部1の給紙カセット1aより、ピックアップローラ1bにて、垂直搬送路2に搬送され、レジストローラ対3を介して2次転写部6へ搬送される。
画像形成部50では、中間転写ベルト43が、駆動ローラ41により、矢印の方向に送られ、画像形成手段5Y、5C、5M、5Bにおいて、像担持体としての各々の感光体ドラム51に形成されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー画像が順次転写され、中間転写ベルト43上に、カラー画像が形成される。
ここで形成されたカラー画像は、2次転写部6によって、中間転写ベルト43から、給紙カセット1aより搬送されてきた用紙Pに、2次転写されて、用紙P上にカラー画像が形成される。
この後、未定着のカラー画像が転写された用紙Pは、中間転写ベルト43から分離され、定着部7に搬送される。そして、定着ローラ7aと加圧ローラ7bの圧接により形成されるニップ部にて、用紙Pへの定着に必要な熱量が供給され、カラー画像の定着処理が行われる。そして、カラー画像の定着処理が完了した用紙Pは、排出搬送路8を経て排出トレイ9に排出される。なお、定着ローラ7aには、ヒータ(不図示)が内蔵され、このヒータは定着に必要な所定の温度を発生するように制御されている。
次に、上記プリンタ100の主要な構成要素である画像形成部50の構成について、詳細に説明を行う。画像形成部50は、ベルト搬送部4と、液体現像装置を含む第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yと、中間転写クリーニングユニット45と、から成る。
ベルト搬送部4は、駆動ローラ41と、従動ローラ42と、この2つのローラに亘って掛け渡された無端状の中間転写ベルト43と、から成る。中間転写ベルト43は、テンションローラ44により、適度なテンションに保たれている。この状態で、駆動ローラ41は、駆動モータ(不図示)からその駆動力を伝達され、各画像形成手段5B、5M、5C、5Yにおける感光体ドラム51の外周速度と、ベルト搬送部4の中間転写ベルト43の外周速度が、等速になるように駆動されるようになっている。
第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yは、ベルト搬送部4の下方に並んで配置されている。各画像形成手段5B、5M、5C、5Yの配置は、用紙搬送方向上流より順に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)用となっており、全て略同じ構成のユニット(画像形成手段5)である。よって、第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yにおいては、以下の説明の用いる画像形成手段5の構成と同一構成である部分については同一符号を付している。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「B」「M」「C」「Y」の識別記号は省略するものとする。
図2に示すように、画像形成手段5は、像担持体の感光体ドラム51、主帯電装置52、露光装置53、液体現像装置10、1次転写手段54、感光体ドラムクリーニング装置55、除電ランプ59から構成され、樹脂等からなる筐体に組み付けることにより1つのユニットとなり、装置本体(不図示)に取り付けられている。
感光体ドラム51は、図2の紙面の奥側に伸びる円柱状のアモルファス・シリコンドラムからなる。また、感光体ドラム51の表面は、現像位置での暗電位が所定の電位になるよう主帯電装置52により帯電される。この帯電した感光体ドラム51の表面に露光装置53が画像情報に応じた光を照射することにより感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。なお、露光装置53には、LPH(LED PRINT HEAD)、或いはLSU(レーザスキャニングユニット)を用いても良い。なお、感光体ドラム51の表面とは、円柱状の感光体ドラム51の側面である。
液体現像装置10は、後述で詳細に説明するが、トナーと絶縁性液体であるキャリアからなる液体現像剤としての現像液18が、現像液18中のトナーの濃度が約25%になるように撹拌混合して用いられる。そして、液体現像装置10は、この現像液18を、現像剤担持体としての現像ローラ12から、感光体ドラム51の光が照射された部分の静電潜像に、供給することにより、感光体ドラム51にトナー像を現像する。なお、トナー濃度が約25%の現像液18は、一般的に、高濃度の現像液であり、現像液18中のトナーの濃度は、約25%に限定されるものではない。
このとき、感光体ドラム51の暗電位が+300Vで、現像バイアスは+200V、露光後電位が+20Vとなるように設定されており、この現像バイアスと露光後電位の差がいわゆるコントラスト電位である。すなわち、暗電位は画像白部に相当し、露光後電位は画像黒部に相当する。上記のようにして形成された感光体ドラム51の表面上のトナー像は、感光体ドラム51の表面と1次転写手段54とが当接するニップ部において、感光体ドラム51の表面からベルト搬送部4の中間転写ベルト43に転写される。1次転写手段54は本実施形態では転写ローラを用いており、感光体ドラム51の表面電位とは逆極性の電圧が−100〜−1000Vの範囲に設定され、印加されるようになっている。
そして、感光体ドラム51の表面上に転写されなかったトナーが、感光体ドラムクリーニング装置55のゴムブレード57により掻き落とされ、感光体ドラム51の表面の残留電位を下げて均一にすべく除電ランプ59により感光体ドラム51の表面が除電されて、次の一連のプロセスに備える。なお、画像形成における電位設定は、感光体ドラム51の特性、トナーの特性、環境等に応じて、最適な値が選択できるものである。プリンタ100は、上述の画像形成手段5の方法に基づいて、第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yで、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローに対応する画像を、感光体ドラム51上に現像し、中間転写ベルト43上に順次繰り返し、ずれなく転写することで、1つのカラー画像の形成を行う。
図1に示すように、中間転写クリーニングユニット45は、中間転写クリーニングローラ45aと、中間転写クリーニングブレード45bと、を備えている。中間転写クリーニングローラ45aは、中間転写ベルト43に対して圧接されていて、中間転写ベルト43の回転方向と同方向に回転されている。中間転写クリーニングブレード45bは、中間転写ベルト43の移動方向における中間転写クリーニングローラ45aの位置から下流側にて、中間転写ベルト43に対してカウンタ当接することにより、中間転写ベルト43上に残留している転写残トナーを掻き落とす。この掻き落とされた転写残トナーは、廃液タンク46に回収される。
次に、上記構成に係るプリンタ100に搭載された液体現像装置10の構成を、図2を参照して説明する。
図2に示すように、本実施形態の液体現像装置10は、感光体ドラム51と平行に図2の紙面奥側に伸びて成り、現像液18を貯溜する現像液タンク11を備えている。更に、液体現像装置10は、その内部に、現像ローラ12と、アニロックスローラ13と、汲み上げローラ14と、ドクタブレード15と、一対の撹拌スクリュー16、17と、クリーニング手段30と、を備えている。現像ローラ12、アニロックスローラ13、汲み上げローラ14、撹拌スクリュー16、17は、歯車列等からなる駆動手段により回転駆動される。(図2の各ローラ中の矢印は回転方向を示す。)
現像ローラ12は、感光体ドラム51の回転軸と平行な回転軸を有し、図2の紙面奥側に伸びて成る円柱状のローラであり、現像ローラ12の側面(以下、ローラ面と呼ぶ)が、感光体ドラム51の表面に当接している。また、現像ローラ12は、現像液18をその側面に担持して感光体ドラム51の表面に供給する現像剤担持体である。
現像液タンク11には、現像液18が貯溜されており、撹拌スクリュー16、17は、該現像液18に浸漬するように設けられている。汲み上げローラ14は、現像液タンク11内において、該ローラの一部が現像液18に浸漬するように設けられており、この上方に、アニロックスローラ13が設けられている。そして、アニロックスローラ13の上方には、現像ローラ12が設けられている。
ドクタブレード15は、アニロックスローラ13の横側に、アニロックスローラ13の軸線方向について、その一端が当接しており、アニロックスローラ13のローラ面に供給された現像液18を薄層化せしめている。また、感光体ドラム51は、液体現像装置10の外側にあって、現像ローラ12のローラ面に当接している。
クリーニング手段30は、後述で詳細に説明するが、感光体ドラム51と現像ローラ12とが当接するニップ部を起点として、現像ローラ12の回転方向の下流側に配置されている。
次に、液体現像装置10の動作工程について説明する。図2において、現像液18は、キャリアとしてのシリコンオイル等からなる非極性の絶縁性液体中に、正電荷を有する微細な樹脂からなるトナー粒子(粒径:約1μm)を分散混濁させたものである。現像液タンク11に貯溜された現像液18は、撹拌スクリュー16、17により攪拌されて、トナーが液中で均一になるように分散せしめられる。
現像液18は、この現像液18に一部浸漬している汲み上げローラ14が反時計回りに回転することにより、その浸漬したローラ表面に順次付着して、汲み上げられる。そして、アニロックスローラ13と汲み上げローラ14とのニップ部を通して、汲み上げローラ14と同期して回転するアニロックスローラ13のローラ面に順次塗布されていく。
アニロックスローラ13に塗布された現像液18は、ドクタブレード15にて均一な薄膜層にされて、アニロックスローラ13に当接して、同期回転する現像ローラ12のローラ面に薄膜層として塗布される。その後、静電潜像が形成された感光体ドラム51に供給されて、感光体ドラム51の表面上にトナー画像が現像される。現像後、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18は、クリーニング手段30により現像ローラ12のローラ面から除去される。そして、除去された現像液は、後述で詳細に説明するが、クリーニングブレード33を介して、トナー回収タンク31に回収され、現像液タンク11に戻される。
次に、トナー液18a、キャリア液18bの補給を行うトナー液補給手段、キャリア液補給手段、および現像液18の回収・廃棄の流れについて、図3を参照して説明する。図3は、トナー液補給手段、キャリア液補給手段、および現像液の回収・廃棄の流れを説明するための管路の構成を示す模式的な図である。図3中の矢印は、現像液等の流れ方向を示す。
なお、第1〜第4のトナーコンテナ21B、21M、21C、21Yによるトナー液補給の流れは、いずれも同様の工程であるので、トナー液補給手段の説明において、トナーコンテナを用いて説明する場合は、便宜上、これを代表して第1のトナーコンテナ21Bを用いる。また、各トナー液補給手段、キャリア液補給手段を構成する部材は、同一構成である部分については同一符号を付している。
トナー液補給手段およびキャリア液補給手段の構成の概略は以下の通りである。図3に示すように、4つのトナーコンテナ21B、21M、21C、21Yおよびキャリアタンク22には、夫々トナー液18a、キャリア液18bが貯溜されており、トナー液18aは管路23、キャリア液18bは、管路28、29を通じて、第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yの各液体現像装置10に必要に応じて補給される。
各画像形成手段5の感光体ドラムクリーニング装置55で回収された転写残現像液は、還流管路24を通じて夫々対応する現像液タンク11に回収される。また、中間転写クリーニングユニット45で回収された転写残トナーは、管路25を通して廃液タンク46に送られ、廃棄される。
なお、トナー液18aとは、濃縮された現像液18、キャリア液18bとは、シリコンオイル等の電気的中性の非極性の溶媒であり、トナー液18aとキャリア液18bを混合して濃度調整することにより、現像に使用する現像液18となるものである。
第1〜第4のトナーコンテナ21B、21M、21C、21Y、およびキャリアタンク22は、ベルト搬送部4の上方に配置されている。第1〜第4のトナーコンテナ21B、21M、21C、21Yは、夫々第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yに対応したブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色のトナー液18aを貯溜しており、第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yと同様の順序で配列されている。キャリアタンク22は、図3の紙面正面から見た場合に、第1のトナーコンテナ21Bの左側に配置されている。
以下、第1〜第4のトナーコンテナ21B、21M、21C、21Yおよびキャリアタンク22から現像液タンク18へのトナー液18a、キャリア液18bの補給を行うトナー液補給手段、キャリア液補給手段の具体的な補給の流れと、その構成について説明する。
図3に示すように、第1のトナーコンテナ21Bにおけるトナー液補給手段は、第1のトナーコンテナ21Bと、撹拌手段27と、現像液タンク11間に接続された管路23と、管路23の上流に設けられたトナーポンプ26から構成されている。
キャリア液補給手段においては、キャリアタンク22は、第1〜第4の画像形成手段5B、5M、5C、5Yの各現像液タンク11にキャリア液18bを補給するために、キャリアタンクからの管路28は、上流で4本に分岐され、分岐後の管路29は、キャリアポンプ30を介して、夫々の現像液タンク11に接続される。
現像液タンク11内のトナー濃度は、図2に示すトナー濃度センサ19により検知されている。例えば、トナー濃度低下を検知したとき、トナーポンプ26が駆動され、第1のトナーコンテナ21Bから、補充用のトナー液18aが、管路23に圧送され、現像液タンク11に補給される。また、必要に応じてキャリアポンプ30を駆動してキャリアタンク22からキャリア液18bも、管路28、29を介して補給されて、現像液タンク11内の現像液18と混合されて適正な濃度に調整・維持される。
また、トナーコンテナ21Bに貯溜されたトナー液18aは、トナー液18aに浸漬した撹拌手段27よって撹拌され、分散せしめられている。
また、現像液タンク11中の現像液18の液位は、図2に示す液位センサ20により検知されており、液位の低下を検知すると、トナーポンプ26およびキャリアポンプ30が駆動され、管路23および管路28、29を介してトナー液18aとキャリア液18bが現像液タンク11に補給され、現像液タンク11内の現像液18と混合・濃度調整されて、現像液18の補充が行われる。
各画像形成手段5の感光体ドラムクリーニング装置55は、画像形成手段5の現像液タンク11と管路24で接続されており、感光体ドラムクリーニング装置55において感光体ドラム51から掻き取られた転写残現像液は、該管路24を通じて現像液タンク11に還流される。また、各液体現像装置10の現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18は、後述で詳細に説明するが、クリーニング手段30により現像ローラ12のローラ面から除去される。そして、除去された残留現像液は、クリーニング手段30のクリーニングブレード33を介して、トナー回収タンク31に回収されて、現像液タンク11に戻される。
中間転写クリーニングユニット45は、廃液タンク46と管路25で接続されており、中間転写クリーニングブレード45bにより掻き取られた中間転写ベルト43上の転写残トナーは、該管路25を通じて廃液タンク46に送られる。
次に、本発明の特徴部分である、液体現像装置10における現像ローラ12のクリーニング手段30について、図2に加えて、図4を参照して詳細に説明を行う。図4は、現像ローラ12、及びクリーニング手段30のスイープローラ32及びクリーニングブレード33を模式的に示す垂直断面図である。また、図4(a)及び図4(b)のそれぞれは、スイープローラ32の側面が現像ローラ12のローラ面に最近接した場合、及び現像ローラ12のローラ面に最近接していたスイープローラ32の側面が現像ローラ12のローラ面の近傍から離れた場合を示す図である。
本実施形態のプリンタ100において、クリーニング手段30は、図2及び図3に示すように、トナー回収タンク31と、スイープローラ32と、クリーニングブレード33と、スイープローラブレード34と、から成る。
クリーニング手段30は、感光体ドラム51と現像ローラ12が当接するニップ部を起点として、現像ローラ12の回転方向下流側に設けられており、現像ローラ12の回転方向上流側から、スイープローラ32、クリーニングブレード33、トナー回収タンク31の順に配置されている。また、スイープローラブレード34は、スイープローラ32の側面(すなわち、ローラ面)の上方に接するように配置されている。
クリーニングブレード33は、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18を現像ローラ12のローラ面から除去するためのものである。また、クリーニングブレード33は、直方体の形状からなり、その長手方向が現像ローラ12の回転軸と平行に配置されている。また、クリーニングブレード33は、図4に示すように、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18を現像ローラ12のローラ面から除去する除去面33aを有して成る。また、クリーニングブレード33において、その除去面33aと現像ローラ12と対向する面33cとが成す角部33bが現像ローラ12のローラ面にカウンタ当接している。また、クリーニングブレード33は、図2に示すように、現像ローラ12のローラ面上から除去した現像液18が、トナー回収タンク31に回収されやすいように、下方に傾斜して配置されている。そして、このように配置されたクリーニングブレード33は、現像ローラ12のローラ面とカウンタ当接しているため、現像ローラ12が回転すると、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18を現像ローラ12のローラ面から除去する。
スイープローラ32は、図2の紙面奥側に向かって伸びる現像ローラ12の回転軸と平行な回転軸を有し、その回転軸と直交する平面について楕円形状の断面を有する楕円柱のローラである。また、スイープローラ32は、クリーニングブレード33により現像ローラ12のローラ面から除去された現像液18をクリーニングブレード33の方向に移動させ、更に、クリーニングブレード33の上面33dを移動させてトナー回収タンク31に回収するために設けられている。なお、スイープローラ32の楕円形状の断面は、図4に示すように、長半径及び短半径をそれぞれLR、SRとしたとき、(LR−SR)>トナー粒子径となるようにされている。
また、スイープローラ32は、図2及び図4(a)に示すように、モータ等(不図示)の駆動手段によって、楕円の中心点を回転中心として現像ローラ12と逆方向に回転するが、回転時に、スイープローラ32のローラ面が現像ローラ12のローラ面に定期的に接触せず、スイープローラ32のローラ面が、現像ローラ12のローラ面に最も接近したときに、以下の最近接距離Hsとなるように配置されている。すなわち、スイープローラ32の回転時に、スイープローラ32における楕円面の長軸の両端部が成す両線分である長軸両線分が、現像ローラ12のローラ面に定期的に接触せず、スイープローラ32の長軸両線分が、現像ローラ12のローラ面に最も接近したときに、以下の最近接距離Hsとなるように配置されている。
スイープローラ32が回転する際に、スイープローラ32のローラ面が現像ローラ12のローラ面に最も近接する最近接距離Hsは、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18の厚さHt以上、クリーニングブレード33における除去面33aの高さHbの10倍以下に設定されている。本実施形態のプリンタ100では、一例として、最近接距離Hsは、1.5mmと設定されており、このとき、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18の厚さHtは、5μm、現像ローラ12の線速度は、116mm/sec、となるように設定されている。なお、最近接距離Hs、現像ローラ12のローラ面上に残留した現像液18の厚さHt、及び現像ローラ12の線速度の各値は、これらに限定さえるものではない。
なお、最近接距離Hsは、現像ローラ12のローラ面上に残留した現像液18の厚さHt以上、クリーニングブレード33によって除去された現像液18が、クリーニングブレード33の近傍に溜まった液体現像液溜まりの高さHr(すなわち、液体現像液溜まりの現像ローラ12のローラ面からその径方向への高さHr)以下に設定されてもよい。
そして、このようなスイープローラ32は、180度回転するごとに、スイープローラ32の長軸両線分の一方側が、現像ローラ12のローラ面に最近接距離Hsで最近接する。
なお、このように配置されたスイープローラ32は、スイープローラ32のローラ面が現像ローラ12のローラ面に定期的に接触するように配置された場合と比較して以下のような効果がある。楕円柱のスイープローラ32のローラ面(すなわち、長軸両線分)が現像ローラ12のローラ面に定期的に接触するように配置される場合には、「(1)それらの回転時にスイープローラのローラ面が現像ローラに食い込むことなく、現像ローラのローラ面に楕円柱のスイープローラのローラ面が定期的に接触するようにセットすることは非常に難しい。(2)仮に現像ローラの振れ等によりスイープローラが現像ローラに食い込んでしまった場合、現像ローラに対し負荷を与えてしまう虞がある。(3)現像ローラのローラ面とスイープローラのローラ面が互いに接触するため、現像ローラのローラ面にスイープローラのローラ面が食い込まないようにスムーズに回転させるために、現像ローラのローラ面の速度とスイープローラの長軸両線分の速度は、等速でなければならない。(4)スイープローラのローラ面が現像ローラ12のローラ面に定期的に接触するため、現像ローラのローラ面に残留した現像液18の若干の固化が発生する可能性がある。」などの懸念事項が考えられるが、本実施形態におけるスイープローラ32の配置であれば、このような懸念事項が発生しない。よって、現像ローラ12とスイープローラ32の配置を容易に設定することが可能となる。また、本実施形態では、現像ローラ12の回転速度とスイープローラ32の回転速度に対して、上記(3)のような精密な制御が必要でないという効果がある。
また、スイープローラ32のローラ面は、現像液18よりも表面自由エネルギーが低い(例えば、現像液18の表面自由エネルギーは、30〜50mN/m)フッ素系のコーティング、または、PFAチューブが被覆されており、現像液18の離型性を高めている。なお、スイープローラ32のローラ面の材質自体を現像液18よりも表面自由エネルギーが低いフッ素系樹脂としてもよい。
スイープローラブレード34は、柔軟で屈曲性の高い、薄いフィルム或いはシート状のブレードであり、図2に示すように、その一端がスイープローラ32の右側上方で、液体現像装置10の内壁等に固定されており、その他端がスイープローラ32のクリーニングブレード33に対向するローラ面に、常にカウンタ当接するように配置されている。したがって、スイープローラブレード34は、スイープローラ32の回転に伴い、スイープローラ32のローラ面とスイープローラブレード34の当接部である端部との距離が変化しても、スイープローラ32との距離や当接部の形状等に合わせて撓み、常にスイープローラ32との当接を保つ。
次に、本実施形態のプリンタ100において、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18の除去・回収工程におけるクリーニング手段の動作について説明を行う。現像液タンク11に貯留された現像液18は、汲み上げローラ14、アニロックスローラ13を介して現像ローラ12のローラ面に均一に塗布される。そして、現像ローラ12に塗布された現像液は、静電潜像が形成された感光体ドラム51に供給されて現像される。
このとき、現像に使用されなかった現像液18は、現像ローラ12のローラ面に付着したままになる。また、通常、画像非形成時においても、装置安定化のために現像ローラ12のローラ面への現像液18の供給は継続して行われ、現像ローラ12のローラ面に現像液18が塗布され続ける。
このような感光体ドラム51に供給されない現像ローラ12のローラ面の現像液18が、クリーニング手段30によって、以下のように、現像ローラ12から除去され、トナー回収タンク31に回収されることになる。
現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18の除去・回収工程では、まず、現像ローラ12が回転すると、図4(a)に示すように、クリーニングブレード33の角部33bが現像ローラ12のローラ面に当接しているので、現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18が、クリーニングブレード33の除去面33aにより現像ローラ12から除去される。そして、その除去された現像液18は、クリーニングブレード33の除去面33aに堰き止められ、更に、現像液18の粘度が高いため、クリーニングブレード33の除去面33aから現像ローラ12の回転方向上流側に押し戻されつつ盛り上がって溜まる。やがて、図4(a)に示すように、回転しているスイープローラ32の長軸両線分の一方側が現像ローラ12のローラ面に最近接距離Hsまで近づく。そして、スイープローラ32の長軸両線分の一方側が、現像ローラ12のローラ面から離れて行く際に、スイープローラ32のローラ面によってその現像液18が押されて、クリーニングブレード33の上面33dに移動する。
そして、図4(b)に示すように、スイープローラ32の長軸両線分の一方側が現像ローラ12のローラ面から離れ、スイープローラ32の長軸両線分の他方側が現像ローラ12のローラ面に近くまでに、回転している現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18が、前述と同様に、新たに除去され、クリーニングブレード33の除去面33aから現像ローラ12の回転方向上流側に押し戻されつつ盛り上がって溜まる。やがて、スイープローラ32の長軸両線分の他方側が現像ローラ12のローラ面に最近接距離Hsまで近づく。そして、スイープローラ32の長軸両線分の他方側が、現像ローラ12のローラ面から離れて行く際に、スイープローラ32のローラ面によってその現像液18が押されて、クリーニングブレード33の上面33dに移動する。そして、このような動作が繰り返されることによって、クリーニングブレード33の上面33dに移動した現像液18がクリーニングブレード33の上面33dを押し流されて(すなわち、現像液18がクリーニングブレード33の上面33dを移動して)トナー回収タンク31に回収される。
このとき、スイープローラ32の長軸両線分が現像ローラ12のローラ面に全く接触しないため、現像液18には僅かな圧力しかかからない。よって、現像ローラ12から回収される現像液18は、凝集、固化、トナー粒子の劣化が殆ど無い。
また、スイープローラ32は、間欠的に現像ローラ12に最近接するので、非近接時には現像ローラ12のローラ面に残量した現像液18は、必ず現像ローラ12の回転方向下流に運ばれる。すなわち、スイープローラ32のローラ面と現像ローラ12のローラ面との最近接部よりも回転方向上流側に現像液18が溜まることはなく、現像液18が回転方向上流側に押し戻されてトナー漏れ、トナー汚染を生じることがない。よって、本実施形態のプリンタ100によって形成される画像は常に高品質に保たれる。
また、スイープローラ32のローラ面は、フッ素系のコーティングをしているので、現像液18よりも表面自由エネルギーが小さくなっている。したがって、除去・回収工程で接触した現像液18の多くは、スイープローラ32のローラ面に殆ど付着することが無い。スイープローラ32のローラ面に付着した現像液18は、スイープローラ32の除去・回収工程において不要な圧力や変位を受けないことと、スイープローラ32のローラ面のコーティング効果により、付着力は弱く、フィルム状等のスイープローラブレード34の当接部分で僅かな力で簡単に剥離される。そして、下方のクリーニングブレード33またはトナー回収タンク31上に落下し、トナー回収タンク31に回収される。
このとき、現像液18には、現像液18には僅かな圧力しかかからない。よって、現像ローラ12のローラ面から回収される現像液18は、凝集、固化、トナー粒子の劣化が殆ど無い。また、スイープローラ32による現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18の回収に加えて、スイープローラ32のローラ面に付着した現像液18も回収できるので、現像液18の回収効率が更に高まる。
このような除去・回収工程を繰り返し行うことで、常に現像ローラ12のローラ面に残留した現像液18は、凝集・固化及びトナー粒子の劣化等を最小限に抑えて、除去され、高い回収効率でトナー回収タンク31に回収される。こうして回収された現像液18は、劣化が少ないので再利用性が高く、濃度調整などの簡単な工程で再利用でき、印字コストの低減並びに高画質維持に寄与する。
そして、トナー回収タンク31に回収された現像液18は、現像液タンク11に送られ、濃度調整されて、現像液18として再利用される。
なお、本発明に係るクリーニング手段の構成は、汲み上げローラ14、アニロックスローラ13、感光体ドラム51及び中間転写ベルト43等の現像液を担持するローラやベルト等に付着する残留現像液18の除去・回収にも用いることができ、本実施例と同様の作用・効果を奏することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。