JP5000186B2 - 段ボール貼合用接着剤及びそれを用いた段ボール - Google Patents

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Description

本発明は、段ボールのライナーと中芯との貼合に用いる段ボール貼合用接着剤及びそれを用いて製造される段ボールに関する。詳しくは、加圧、加熱等の処理によって、糊化に必要なエネルギーを減少させた改質澱粉を用いる初期接着強度に優れた段ボール貼合用接着剤、並びにそれを用いて製造される段ボールに関する。なお、ここでいう初期接着強度とは、接着剤が完全に乾燥して安定した接着強度を示す常態接着強度に対して、接着剤の乾燥が完全に完了していない段階での接着強度を指す。
段ボールの貼合に用いる接着剤の原料としては、安価なことから澱粉を使用することが多い。澱粉を使用する接着剤は、一般的に水、キャリアと呼ばれる糊化した澱粉、未糊化のメイン澱粉、アルカリ化合物、硼素化合物で構成される。
段ボール製造機械であるコルゲーター上で接着剤は、波形に成形された中芯の段頂に塗布された後、ライナー原紙を介して熱板より熱エネルギーが加えられる。コルゲーターの熱板から与えられた熱エネルギーによって、接着剤は液温の上昇、澱粉の糊化、接着剤液の濃縮・乾燥が行われ、初期接着強度を発現させる。これまで、段ボールの製造にあたっては、接着剤の初期接着強度が十分な強度となるよう、大量の熱エネルギーを与えることが必要とされてきた。
しかし近年の不況の影響から、大手段ボールメーカーを中心に、これまで複数の工場で行ってきた段ボールの製造を集約し、一工場で大量に段ボールの生産を行うケースが増えてきている。このような工場では、大型でかつ高速運転が可能なコルゲーターが導入され、高い生産性を実現するため、これまで以上の高速での貼合が求められている。しかし、このような大型コルゲーターで高速貼合を行うと、ライナー原紙とコルゲーターの熱板との接触時間が非常に短くなり、接着剤がコルゲーターから受けることのできる熱エネルギーは抑制されてしまう。このため、接着剤中の澱粉の糊化に必要なエネルギーを得ることができず、十分な初期接着強度が得られない場合が生じている。
また、それほど高速での貼合を必要としない中小の段ボールメーカーにおいても、高騰を続ける燃料コストの削減、二酸化炭素排出削減、シートのそり、罫割れ減少などの効果を期待して、コルゲーター熱板の温度を通常より低く下げた低温貼合を行う工場が多くなっている。このような低温貼合の場合においても、接着剤中の澱粉は糊化に必要なエネルギーが不足し、貼合不良の原因となるケースが生じている。
高速貼合や低温貼合などの場合、コルゲーターから受ける熱エネルギーが低く抑制されるため、接着剤中の澱粉が糊化に必要なだけのエネルギーを受けることができず、接着剤の初期接着強度が不十分となり、貼合不良を起こしやすい。貼合不良を回避するためには、コルゲーターの貼合速度を落とし、ライナーと熱板との接触時間を伸ばすことで、コルゲーターから受けるエネルギー量を確保しなければならないため、生産性悪化の原因となってしまう。従って、コルゲーターから受けるエネルギーが抑制される場合においても、生産性を下げる必要のない、初期接着強度の優れた接着剤が必要であり、その開発が望まれてきた。
段ボール貼合用接着剤の初期接着強度を向上させるために、これまで多くの発明が成されている。特許文献1には日本で最も広く使用されているコーン澱粉よりも、優れた初期接着強度を発現するタピオカ澱粉をコーン澱粉と混合して使用する発明が記載されている。その他にも多くの発明・研究が行われているが、どの発明も高速貼合や低温貼合を行うのに十分な初期接着強度を得るには至っておらず、更なる改良が求められている。
一方、澱粉は加圧、加熱等の物理処理を行うと、その結晶性が破壊されることで、非結晶、即ち糊化状態に近づいていき、最終的には完全に糊化した非結晶体に改質できることが広く知られている。
このような物理処理をした澱粉を接着剤として応用する例は、特許文献2にコンパクティング法によって加圧処理した改質澱粉を用いる発明が記載されている。しかし、特許文献2に開示されている用途は、繊維シート状物の層間接着剤のみであり、段ボール貼合用接着剤への応用例は見られない。また接着剤中の澱粉の糊化エネルギーに関しては全く言及していない。
特開2002−226809号公報 特開平11−116601号公報
本発明の課題は、澱粉の糊化に必要なエネルギーが不足する高速貼合や低温貼合の場合においても、生産性を下げずに段ボールを製造することができるよう、初期接着強度の優れた接着剤を提供することである。
本発明者らは前記目的を達成するための手段として、加圧、加熱等の物理処理によって、糊化に必要なエネルギーを減少させた改質澱粉を調製し、これを段ボール貼合接着剤に用いることで、前記課題が解決できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)未改質の澱粉を物理処理することにより、示差走査熱量計(DSC)により測定された糊化に必要なエネルギーの値を0.3〜2.7J/gに減少させた改質澱粉を用いることを特徴とする段ボール貼合用接着剤。
(2)前記物理処理が加圧処理又は加熱処理である前記(1)に記載の段ボール貼合用接着剤。
(3)糊化に必要なエネルギーを減少させた改質澱粉及び未改質の澱粉を混合してなる混合澱粉であって、該混合澱粉の示差走査熱量計(DSC)により測定された糊化に必要なエネルギーの値が0.3〜2.7J/gである混合澱粉を用いることを特徴とする段ボール貼合用接着剤。
(4)前記改質澱粉の示差走査熱量計(DSC)により測定された糊化に必要なエネルギーの値が0.3〜2.7J/gである前記(3)に記載の段ボール貼合用接着剤。
(5)前記改質澱粉が、未改質の澱粉を加圧処理又は加熱処理することにより、前記エネルギーの値を0.3〜2.7J/gに減少させた改質澱粉である前記(3)に記載の段ボール貼合用接着剤。
(6)波形に成形された中芯と、澱粉系接着剤によって前記中芯の片面又は両面に貼合されたライナーとを有し、前記中芯及びライナーの貼合に、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の段ボール貼合用接着剤が用いられていることを特徴とする段ボール。
本発明によれば、澱粉の糊化に必要なエネルギーが不足する高速貼合や低温貼合の場合においても、生産性を下げずに段ボールを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の段ボール貼合用接着剤は、澱粉を主体とする接着剤であって、波形に成形された中芯原紙とライナー原紙を貼り合わせるために用いられるものである。
詳しくは、加圧、加熱等の物理処理によって、糊化に必要なエネルギーを減少させた改質澱粉を用いることを特徴とする段ボール貼合用接着剤に関するものである。
段ボールの製造工程では、コルゲーターの熱板から受けた熱エネルギーで接着剤は主に液温の上昇、澱粉の糊化、接着剤液の濃縮・乾燥が行われる。物理処理によって、糊化に必要なエネルギーを減少させた澱粉を用いることによって、この工程のひとつである澱粉の糊化に消費されるエネルギー量は少なくなり、接着剤液の濃縮・乾燥に用いられるエネルギー量が増える。これにより接着剤液の濃縮・乾燥が促進され、接着剤の初期接着強度の発現が早まり、初期接着強度が強くなるものと考えられる。
本発明で行う物理処理の方法については、加圧、加熱等の方法が考えられるが、特に限定されず、澱粉の糊化に必要なエネルギーを減少させることができる処理方法であればどのような方法を用いてもよい。また加圧方法としては、コンパクティング処理、ボールミル処理、振動ミル処理、加熱方法として、焙焼処理、湿熱処理、加温処理等の例が挙げられるが、いずれの方法でもよい。
改質に用いる澱粉は、いずれの澱粉でもよく、特に限定されるものではないが、例えばコーン澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、米澱粉、サゴ澱粉などの天然澱粉、それらをエーテル化、エステル化、カチオン化、酸化もしくは酸処理した加工澱粉、又はこれらの澱粉の混合物を用いることができる。
糊化に必要なエネルギーを減少させた改質澱粉の改質度合いは、示差走査熱量計(以下「DSC」という。)によって測定することができる。
本発明においては、DSCにより測定された糊化に必要なエネルギーの値が0.3〜2.7J/g、好ましくは1.5〜2.5J/gである改質澱粉、又は改質澱粉と未改質の澱粉との混合澱粉を用いる。前記混合澱粉に用いる改質澱粉のDSCにより測定された糊化に必要なエネルギーの値は、好ましくは0.3〜2.7J/g、更に好ましくは1.5〜2.5J/gである。
前記の改質澱粉又は混合澱粉のDSCにより測定された糊化に必要なエネルギーの値が2.7J/gを超えると、澱粉の改質度合いは不十分となり、初期接着強度の向上が図れず、また0.3J/g未満であると、調製する接着剤の粘度が高くなりすぎてしまい実用的ではない。
ここで、DSCによる測定方法は澱粉の糊化に必要なエネルギーの量を測定できる方法で、以下のように行う。
まず、澱粉の重量比が20%となるように澱粉に純水を加え、澱粉分散液を調製する。この分散液10mgを専用の試料セルに採取し、DSC(SIIナノテクノロジー(株)製)にセットする。DSCは40℃から120℃まで、毎分10℃の速度で昇温させ、そのときに発現する吸熱ピークの面積から、澱粉の糊化に必要なエネルギーを算出する。
本発明において、改質澱粉の原料となる未改質の澱粉、及び改質澱粉と混合して用いる未改質の澱粉としては、DSCにより測定された糊化に必要なエネルギーの値が、通常2.7〜7.0J/g、好ましくは3.0〜5.0J/であるものを用いる。
このような未改質の澱粉から前記エネルギー値が0.3〜2.7J/gである改質澱粉を得る方法として、例えば、加熱処理又は加熱処理の条件を適宜調整する方法、具体的には、ローラーコンパクターによる加圧処理におけるロール圧縮力、振動ミルによる加圧処理における処理速度、焙焼の条件(温度、時間)、加温処理の条件(温度、時間)を適宜調整する方法が挙げられる。
また、前記エネルギー値が0.3〜2.7J/gである混合澱粉を得る方法として、例えば、改質澱粉と未改質の澱粉との組み合わせを適宜選択すること、改質澱粉と未改質の澱粉との混合比を適宜調整する方法が挙げられる。
本発明の段ボール貼合用接着剤においては、澱粉のほかに、水、アルカリ化合物が使用され、必要に応じ硼素化合物、金属酸化物、タンニン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の各種増粘剤、あるいは尿素樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂等の耐水化剤等も使用できる。使用される水については、澱粉重量に対し、1.8〜4.0倍重量加えることが望ましい。アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等、従来段ボール貼合用接着剤に使用されているものを使用でき、硼素化合物としては、例えば硼砂、硼酸、メタ硼酸ナトリウム等が使用できる。また本発明の段ボール貼合用接着剤の調製方法については、通常行われているツータンクもしくはワンタンクステインホール法、プレミックス法、ノーキャリア法などを用いることができる。
本発明の段ボールは、本発明の段ボール貼合用接着剤を用いて製造されたものであり、波形に成形された中芯と、段ボール貼合用接着剤によって前記中芯の片面又は両面に貼合されたライナーとを有し、前記中芯及びライナーの貼合に、前述した本発明の段ボール貼合用接着剤が用いられていることを特徴とする。
本発明の段ボールは、段ボールの製造で通常使用されるコルゲーターを用いて製造することができる。即ち、本発明の段ボールは、糊ロール及び糊ロールに段ボール貼合用接着剤を付着させる手段を少なくとも有するコルゲーターを用い、波形に成形された中芯の頂縁と糊ロールとを当接させて頂縁に段ボール貼合用接着剤を塗布する工程と、中芯の、段ボール貼合用接着剤が塗布された面側にライナーを貼り合わせる工程とを含む段ボールの製造方法において、前述した本発明の段ボール貼合用接着剤を用いることにより製造することができる。
本発明の段ボールは、中芯及びライナーの貼合に本発明の段ボール貼合用接着剤を用いるものであれば特に制限はなく、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール、複複両面段ボールのいずれをも包含する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また以下の実施例及び比較例において、(a)フォードカップ粘度(以下「FCV」という。)、(b)B型粘度、(c)糊化温度、(d)初期接着強度及び(e)澱粉の糊化に必要なエネルギーの測定は以下の方法で行った。
(a)FCV:東洋テスター工業(株)製のフォードカップ(水10秒)により測定した。
(b)B型粘度:東京計器(株)製の回転粘度計(型式:BM型)を用いて、60rpmで測定した。
(c)糊化温度:ブラベンダーアミログラフを用いて測定した。試料500gをブラベンダーカップにとり、カートリッジ750cm−g、回転数100rpm、昇温速度1.5℃/分の条件で測定し、測定中の最低粘度から、500BU上昇したときの温度を糊化温度とした。
(d)初期接着強度:50mm×85mmの大きさの片面段ボール(原紙構成:王子板紙:ONRK−280g/王子板紙:OMM−180g)に絶乾で5g/mの段ボール用接着剤を塗布し、ロードセルの付いたピンテスターにセットした。その上にライナー(王子板紙:ONRK−280g)を置き、自重1Kgの熱板(110℃)により、10秒間圧着した。圧着後、直ちにライナーと片面段ボールを剥がし、そのときの強度を初期接着強度として、ロードセルによって測定した。
(e)澱粉の糊化に必要なエネルギー:まず、澱粉の重量比が20%となるように澱粉に純水を加え、澱粉分散液を調製した。この分散液10mgを専用の試料セルに採取し、SIIナノテクノロジー(株)製のDSC(型式:EXSTAR6200 DSC)にセットした。DSCは40℃から120℃まで、毎分10℃の速度で昇温させ、そのときに発現する吸熱ピークの面積から、澱粉の糊化に必要なエネルギーを算出した。
また以下の実施例及び比較例において、水酸化ナトリウム水溶液は、調製した接着剤の糊化温度が57±1℃の範囲になるように使用量を調節して用いた。
(比較例1)
3L容のステンレスジョッキに40℃に加温した水630gを取り、特殊機化工業(株)製攪拌機ロボミックスを用い、5500rpmの条件で、予め糊化に必要なエネルギーを測定しておいた未改質コーン澱粉62gを分散させた。これに25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液42gを加え、15分間撹拌してキャリア糊を調製した。このキャリア糊に40℃の水840g、前述の未改質コーン澱粉438g、硼砂10gを連続して加えた後、15分撹拌して、段ボール貼合用接着剤を得た。得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例1)
未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)を、ターボ工業(株)製ローラーコンパクター(WP−160型、ロール径162mm、ロール幅60mm)を用いて、ロール圧縮力0.64t/cmの圧力で加圧処理を行って、物理処理澱粉1を調製し、DSCの測定方法で糊化に必要なエネルギーを測定した。その後、未改質コーン澱粉を物理処理澱粉1に変え、加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を35gとする以外は、比較例1と同様の方法で段ボール貼合用接着剤を調製し、得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例2)
ローラーコンパクターのロール圧縮力を1.28t/cm、接着剤調製時に加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を30gとする以外は、実施例1と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例3)
未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)を中央化工機(株)製振動ミル(MC−15型、ボール径1インチ、ボール充填率80%)を用いて、毎分1000gの処理速度で加圧処理を行って、物理処理澱粉2を調製した。その後、物理処理澱粉1を物理処理澱粉2に変え、加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を25gとする以外は、実施例1と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(比較例2)
振動ミルの処理速度を毎分250g(この方法で得られた物理処理澱粉を物理処理澱粉3とする)、接着剤調製時に加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を30gとする以外は、実施例3と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例4)
未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)を流動層型焙焼機(大河原製作所(株)製)にて180℃の温度で、60分間焙焼し、物理処理澱粉4を得た。その後、物理処理澱粉1を物理処理澱粉4に変える以外は、実施例1と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(比較例3)
焙焼の条件を100℃の温度で5分間、接着剤調製時に加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を40gとする以外は、実施例4と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例5)
未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)1000gを3000gの水に分散させ、この分散液を撹拌しながら、60℃の温水浴中で1時間加温処理をした後、分散液の脱水、乾燥を行って、物理処理澱粉5を得た。その後、物理処理澱粉1を物理処理澱粉5に変え、加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を30gとする以外は、実施例1と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1で得られた物理処理澱粉1と未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)を重量比で50:50の比率で混合し、混合澱粉1を得た。その後、物理処理澱粉1を混合澱粉1に変え、加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を40gとする以外は、実施例1と同様の操作を行い、澱粉(混合澱粉)の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(比較例4)
物理処理澱粉1と未改質コーン澱粉の混合比率を10:90とする以外は、実施例6と同様の操作を行い、澱粉(混合澱粉)の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例4で得られた物理処理澱粉4と未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)を重量比で30:70の比率で混合し、混合澱粉2を得た。その後、混合澱粉1を混合澱粉2に変える以外は、実施例6と同様の操作を行い、澱粉(混合澱粉)の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
(比較例5)
比較例2で得られた物理処理澱粉3と未改質コーン澱粉(糊化に必要なエネルギー値:3.06J/g)を重量比で95:5の比率で混合し、混合澱粉3を得た。その後、混合澱粉1を混合澱粉3に変え、加える25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液の量を10gとする以外は、実施例6と同様の操作を行い、澱粉の糊化に必要なエネルギー及び得られた接着剤のFCV、B型粘度、糊化温度、初期接着強度を測定した。その測定結果を表1に示す。
Figure 0005000186
表1より、糊化に必要なエネルギーの値が0.3〜2.7J/gである改質澱粉又は混合澱粉を用いた段ボール貼合用接着剤は、優れた初期接着強度を発現させることが分かる。

Claims (6)

  1. 糊化に必要なエネルギーを減少させた改質澱粉及び未改質の澱粉を混合してなる混合澱粉であって、前記改質澱粉が、未改質の澱粉を加圧処理又は加熱処理することにより、示差走査熱量計(DSC)により測定された糊化に必要なエネルギーの値を0.3〜2.7J/gに減少させた改質澱粉であり、前記混合澱粉の示差走査熱量計(DSC)により測定された糊化に必要なエネルギーの値が0.3〜2.7J/gである混合澱粉を用いることを特徴とする段ボール貼合用接着剤。
  2. 波形に成形された中芯と、澱粉系接着剤によって前記中芯の片面又は両面に貼合されたライナーとを有し、前記中芯及びライナーの貼合に、請求項1記載の段ボール貼合用接着剤が用いられていることを特徴とする段ボール。
  3. 未改質の澱粉を加圧処理することにより、示差走査熱量計(DSC)により測定された糊化に必要なエネルギーの値を0.3〜2.7J/gに減少させた改質澱粉を得、得られた改質澱粉を、未改質の澱粉と混合せずに、段ボール貼合用接着剤の製造に用いることを特徴とする、段ボール貼合用接着剤の製造方法。
  4. 加圧処理がコンパクティング処理、ボールミル処理又は振動ミル処理である請求項3記載の製造方法。
  5. 段ボール貼合用接着剤の調製方法がツータンクもしくはワンタンクステインホール法、プレミックス法又はノーキャリア法である請求項3又は4記載の製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の製造方法にしたがって段ボール貼合用接着剤を製造し、得られた段ボール貼合用接着剤を用いて、波形に成形された中芯の片面又は両面にライナーを貼合することを特徴とする、段ボールの製造方法。
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