JP4999668B2 - 車載用の中継接続ユニット - Google Patents
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詳細には、中継接続ユニットは、該受信したメッセージのメッセージ識別子と中継送信する送信先のECUを接続した通信線との対応を記載したルーティングマップを備えている。中継接続ユニットはメッセージを受信してメッセージ識別子を読み込み、前記ルーティングマップを参照して該メッセージ識別子と対応する送信先の通信線を判別し、特定した送信先の通信線にメッセージを送信している。
カットスルー方式は、図7に示すように、中継接続ユニットが、通信線(受信元バス)からメッセージを受信し、メッセージのうちメッセージ識別子が書き込まれたアービトレーションフィールド(ID)までを受信した時点taで、ルーティングマップを参照して該メッセージ識別子に対応する中継先の通信線(送信先バス)を判別し、該通信線に送信を開始する方式である。メッセージを最後まで受信せずに通信線に送信を開始しているので、メッセージを最後まで受信してから送信を開始するストア&フォワード方式に比べて、メッセージの受信を開始してから送信を開始するまでの時間が短くなり、中継処理を高速化することができる。
このように送信すべきデータが無い状態が発生すると、中継接続ユニットはエラーとして中継処理を中断し、バス上にエラーが発生し、問題となる。
前記中継接続ユニットは、
前記第1CAN通信線および第2CAN通信線と接続した送受信部と、
前記送受信部と接続した中継処理部を備え、
前記中継処理部は、
前記第1CAN通信線から受信したメッセージのコントロールフィールドの受信が完了した時点で、前記メッセージの残りのビット数の受信を完了するために必要な受信時間TAと、前記メッセージの全ビット数を前記第2CAN通信線に送信するために必要な送信時間TBを求め、前記受信時間TAから送信時間TBを減算して送信待ち時間TC(TC=TA−TB)を演算し、前記送信待ち時間TCが正の値の場合には、前記メッセージのコントロールフィールドの受信完了時から前記送信待ち時間の時間経過後に前記第2CAN通信線に該メッセージの中継を開始する中継処理を行う設定としていることを特徴とする車載用の中継接続ユニットを提供している。
言い換えれば、中継接続ユニットが第1CAN通信線からメッセージの受信を完了した時点では、第2CAN通信線へのメッセージの送信は完了しないようにメッセージの中継開始のタイミングを遅らせている。
このため、中継接続ユニットは、第1CAN通信線から受信したメッセージを、第1CAN通信線よりも伝送速度の速い第2CAN通信線にカットスルー方式で中継するときに、送信すべきデータが無い状態が発生することを防ぐことができる。
このような場合には、第2CAN通信線へのメッセージの中継開始のタイミングを遅らせなくても、カットスルー方式でメッセージを中継するときに、送信すべきデータが無い状態は発生しないためである。
中継接続ユニットの中継処理部は、メッセージのコントロールフィールドを受信すると、データフィールドのデータ長を読み出す。また、中継処理部は、予め第1CAN通信線と第2CAN通信線の伝送速度から、前記第2CAN通信線と前記第1CAN通信線の伝送速度比を求めている。
さらに、中継処理部は、CANプロトコルにより定められているアービトレーションフィールドとコントロールフィールドのビット数と、コントロールフィールドから読み出したデータフィールドのデータ長から、メッセージの全ビット数を演算している。
即ち、第1CAN通信線の伝送速度で送信待ちビット数の経過時間である送信待ち時間後にメッセージの中継を開始する。
即ち、中継処理部は、コントロールフィールドの受信が完了した時点で、コントロールフィールドからデータ長を読み出すと共に、第2CAN通信線と前記第1CAN通信線の伝送速度から伝送速度比を求め、該データ長と伝送速度比から該テーブルを参照して送信待ちビット数を読み出すことができる。
具体的には、データフィールドのデータ長、メッセージの全ビット数、各通信線の伝送速度から、(データフィールドのデータ長/第1CAN通信線の伝送速度)を演算して、前記メッセージの残りのビット数の受信を完了するために必要な受信時間とする。また、(メッセージの全ビット数/第2CAN通信線の伝送速度)を演算して、メッセージの全ビット数を前記第2CAN通信線に送信するために必要な送信時間とする。さらに、前記受信時間から送信時間を減算した送信待ち時間を求め、コントロールフィールドの受信が完了した時点から該送信待ち時間後にメッセージの中継を開始する。
一般的に、CANプロトコルで用いられる伝送速度は125kbps、250kbps、500kbps、1Mbpsである。中継接続ユニットの中継処理部は第1CAN通信線及び第2CAN通信線の伝送速度から伝送速度比を求めている。
図1乃至図4に本発明の第1実施形態を示す。
本発明の車載用の中継接続ユニット10は、電子制御ユニット(ECU)30を接続した通信線31間に介在させ、異なる通信線31に属する前記ECU30間で送受信するメッセージmを中継するものである。
本実施形態では、中継接続ユニット10を第1通信線31A、第2通信線31Bの間に介在させていると共に、第1通信線31AにECU30A、第2通信線31BにECU30Bを接続して通信システム20を構成している。通信プロトコルはCAN(Controller Area Network)である。第1通信線31Aの伝送速度は第2通信線31Bよりも遅い速度とし、中継接続ユニット10は、第1通信線31Aに接続されたECU30Aが送信したメッセージmを、第1通信線31Aよりも伝送速度が速い第2通信線31Bに接続されたECU30Bに中継している。
中継処理部11は、送受信部12A、12Bと接続すると共に記憶部13と接続しており、第1通信線31Aに接続されたECU30Aからのメッセージmを受信すると、メッセージmのアービトレーションフィールド42から識別子(ID)を読み出している。さらに、該IDからルーティングマップを用いて該メッセージmの中継送信先である第2通信線31Bを判別し、該通信線にメッセージmを中継している。
このとき、中継はカットスルー方式で行っている。
即ち、第1通信線31Aの伝送速度で送信待ちビット数Xが経過した送信待ち時間TC後に、第2通信線31Bへメッセージmの送信を開始している。
また、記憶部13は中継処理部11の中継処理のためのルーティングマップを記憶している。
メッセージmはCANプロトコルに準拠しており、標準フォーマットである。従って、アービトレーションフィールド42は12ビット、コントロールフィールド43は6ビット、SOFフィールド41は1ビットと定められており、データフィールド44のデータ長はメッセージm毎に異なる。コントロールフィールド43にはデータフィールド44のデータ長がバイト単位で格納されている。
送信待ちビット数Xとは、図3に示すように、中継接続ユニット10が第1通信線31Aからメッセージmを受信し、コントロールフィールド43の受信の完了時t1から、第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始するまでのビット数Xであり、中継処理部11は第1通信線31Aから受信するメッセージのビット数を数えることで、該送信待ちビット数Xを数えている。
例えば、送信待ちビット数Xが10ビットの場合、図3に示すように中継処理部11はコントロールフィールド43の受信の完了時t1から、第1通信線31Aから受信するメッセージを10ビット分数えたのち、第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始している。
第1通信線31Aの伝送速度において送信待ちビット数Xが経過する時間を送信待ち時間TCとする。
第1通信線31Aからのメッセージmのコントロールフィールド43の受信の完了時t1においては、中継接続ユニット10はアービトレーションフィールド42及びコントロールフィールド43の受信を完了しており、データフィールド44を続けて受信する。
中継処理部11は、コントロールフィールド43の受信の完了時t1から、第1通信線31Aの伝送速度において送信待ちビット数Xが経過した時点、即ち送信待ち時間TCの経過後から、第2通信線31Bにメッセージmの送信を開始する。
従って、(データフィールド44を受信するために必要な時間TA)が、(送信待ち時間TC+メッセージmの全ビット数を第2通信線31Bに送信するために必要な時間TB)よりも小さければよい。
送信待ち時間TCは、第1通信線31Aの伝送速度を基準として考えると、送信待ちビット数X/第1通信線31Aの伝送速度で求められる。
メッセージmの全ビット数を第2通信線31Bに送信するために必要な時間TBは、メッセージmの全ビット数/第2通信線31Bの伝送速度で求められる。
上記より、送信待ちビット数Xを求めると、(データフィールド44のビット数−メッセージmの全ビット数/伝送速度比R)となる。ここで、伝送速度比Rとは第2通信線31Bの伝送速度/第1通信線31Aの伝送速度である。
メッセージmの全ビット数は、SOFフィールド41、アービトレーション(ID)フィールド42、コントロール(DLC)フィールド43、データフィールド44のビット数の和である。前述したようにアービトレーションフィールド42は12ビット、コントロールフィールド43は6ビット、SOFは1ビットと定められているため、計19ビットとなり、データフィールド44のデータ長は8×nビットである。従って、メッセージmの全ビット数は(19+8×n)ビットとなる。
なお、アービトレーションフィールド42、コントロールフィールド43にもスタッフビットは挿入される。しかし、メッセージmの全ビット数が長くなる場合には、第2通信線31Bに送信されるメッセージmの全ビット数が大きくなり、中継接続ユニット10の第2通信線31Bへのメッセージmの送信完了時t3がさらに遅くなる。本発明では、第1通信線31Aから受信するメッセージmの受信完了時t2が、第2通信線31Bに送信するメッセージmの送信完了時t3よりも早くなるように設定しており、メッセージmの全ビット数が長くなる場合には、送信待ちビット数Xの演算には影響を与えない。そこで、本実施形態では、データフィールド44に挿入されるスタッフビットのみを考慮している。
中継接続ユニット10は、コントロールフィールド43の受信が完了した時点t1から、第1通信線31Aから受信するメッセージmを送信待ちビット数X分数えた後に第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始する。
なお、式(1)により送信待ちビット数Xが「0」または負の値の場合には、送信待ちビット数Xを「0」と考え、コントロールフィールド43の受信が完了した時点t1後、ただちに第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始する。また、式(1)から得られた少数点は切り上げして整数値のXを求めている。
(数1)
X=(8×n×S)−(19+8×n×S)/R(式1)
このため、伝送速度比Rとデータフィールド44のデータ長のバイト数から送信待ちビット数Xを演算すると、図4に示すテーブルTとなる。例えば、第1通信線31Aの伝送速度が250kbps、第2通信線31Bの伝送速度が500kbps、データフィールド44のバイト数nが4バイトの場合、伝送速度比Rは500/250=2なので、前記式(1)から9.7が得られるが、切り上げして送信待ちビット数Xは図4に示すように10ビットとなる。従って、中継接続ユニット10は第1通信線31Aからメッセージmを受信し、コントロールフィールド43の受信が完了した時点t1から、図3に示すように、第1通信線31Aから受信するメッセージmを10ビット分数えた後、即ち第1通信線31Aの伝送速度250kbpsで10ビット分経過した時間(送信待ち時間TC)後、第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始する。
テーブルTは予め算出して記憶部13に記憶される。
中継接続ユニット10は、第1通信線31Aからメッセージmを受信する。該メッセージmのアービトレーションフィールド42を受信すると、中継処理部11はメッセージmのIDを読み出し、記憶部13のルーティングマップを参照して中継送信先の通信線を判別する。ここでは、第2通信線31Bを送信先とする。
次に、受信元である第1通信線31Aの伝送速度と、送信先の第2通信線31Bの伝送速度から伝送速度比Rを求める。該伝送速度比Rは予め記憶させておいてもよいし、各通信線の伝送速度を記憶しておき、メッセージmの受信毎に演算してもよい。
さらに、中継処理部11は記憶部13のテーブルTを参照して、データフィールド44のバイト数と伝送速度比Rから送信待ちビット数Xを読み出す。
次に、中継処理部11は、コントロールフィールド43の受信が完了した時点から第1通信線31Aから受信するメッセージmを送信待ちビット数X分数えた後、第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始する。
また、本実施形態では、第1通信線31Aのメッセージを送信待ちビット数X分数え、送信待ちビット数Xの経過時間TC後に第2通信線31Bにメッセージmの中継を開始させているが、第2通信線31Bの伝送速度を基準として送信待ちビット数Xの経過時間TCを演算してもよい。この場合、経過時間TCは、TC=8×n×S×Ta1bit−(19+8×n×S)×Tb1bitで求められる。ただし、Ta1bitは第1通信線31Aの伝送速度で1ビット送信する時間であり、Tb1bitは第2通信線31Bの伝送速度で1ビット送信する時間である。
中継接続ユニット10が送受信するメッセージmのフォーマットとして拡張フォーマットを用いており、第1実施形態とは異なっている。
メッセージmの拡張フォーマットは、図5に示すように、アービトレーションフィールド42は32ビット、コントロールフィールド43は6ビット、SOFフィールドは1ビットと定められている。
メッセージmの全ビット数は、SOFフィールド41、アービトレーションフィールド42、コントロールフィールド43、データフィールド44のビット数の和である。データフィールド44のデータ長は8×nビットであり、メッセージmの全ビット数は(39+8×n)ビットとなる。
拡張フォーマットの場合に、伝送速度比Rとデータフィールド44のバイト数から送信待ちビット数Xを演算すると、図6に示すテーブルTとなる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
11 中継処理部
12 送受信部
13 記憶部
30 電子制御ユニット(ECU)
31A 第1通信線
31B 第2通信線
42 アービトレーションフィールド
43 コントロールフィールド
X 送信待ちビット数
TC 送信待ち時間
T テーブル
R 伝送速度比
m メッセージ
Claims (4)
- 第1CAN通信線に接続された電子制御ユニットから受信したメッセージを、前記第1CAN通信線よりも伝送速度の速い第2CAN通信線に接続された電子制御ユニットにカットスルー方式で中継する車載用の中継接続ユニットであって、
前記中継接続ユニットは、
前記第1CAN通信線および第2CAN通信線と接続した送受信部と、
前記送受信部と接続した中継処理部を備え、
前記中継処理部は、
前記第1CAN通信線から受信したメッセージのコントロールフィールドの受信が完了した時点で、前記メッセージの残りのビット数の受信を完了するために必要な受信時間TAと、前記メッセージの全ビット数を前記第2CAN通信線に送信するために必要な送信時間TBを求め、前記受信時間TAから送信時間TBを減算して送信待ち時間TC(TC=TA−TB)を演算し、前記送信待ち時間TCが正の値の場合には、前記メッセージのコントロールフィールドの受信完了時から前記送信待ち時間の時間経過後に前記第2CAN通信線に該メッセージの中継を開始する中継処理を行う設定としていることを特徴とする車載用の中継接続ユニット。 - 送信待ち時間TCが負またはゼロの値の場合には、前記メッセージのコントロールフィールドの受信完了後、ただちに前記第2CAN通信線に該メッセージの中継を開始する請求項1に記載の車載用の中継接続ユニット。
- 前記コントロールフィールドに格納されたデータフィールドのデータ長と、前記第2CAN通信線と前記第1CAN通信線の伝送速度比(データフィールドのデータ長−メッセージの全ビット数/伝送速度比)から送信待ちビット数を求め、第1CAN通信線の伝送速度で送信待ちビット数の経過時間を前記送信待ち時間としている請求項1または請求項2に記載の車載用の中継接続ユニット。
- 前記第1CAN通信線または第2CAN通信線の伝送速度は、125kbps、250kbps、500kbps、1Mbpsであり、前記伝送速度比は、2、4、8のいずれかである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用の中継接続ユニット。
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