JP4997714B2 - プラスチック容器のプラズマ処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチックボトルなどのプラスチック容器をプラズマ処理する方法及び装置に関するものであり、より詳細には、プラスチック容器の内面と外面とを同時にプラズマ殺菌することが可能なプラズマ処理方法及び装置に関するものである。
従来、各種基体の特性を改善するために、その表面にプラズマCVD法による蒸着膜を形成することが行われている。例えば、包装材料の分野では、容器などのプラスチック基材に対して、プラズマCVD法により蒸着膜を形成させて、ガス遮断性を向上させることが公知であり、またプラズマによりプラスチック容器の内面或いは外面を殺菌する技術も知られている。
例えば特許文献1には、真空容器の中におかれた容器中に電極を置き、その電極に高周波を印加することにより、容器内をプラズマ殺菌する方法が開示されている。
また、特許文献2には、プラスチック容器の処理方法であって、室内でプラズマ処理を行うことによって、プラズマが容器壁面に接触するようにし、真空を利用し、プラスチック容器を製作、処理、滅菌梱包するための方法が開示されており、プラスチック容器の内面と外面とを殺菌することが記載されている。
また、プラズマによる殺菌と蒸着膜の形成とを同時に行う技術も知られており、例えば特許文献3には、プラスチック製容器本体の内面の全面に、プラズマ処理による殺菌面を設け、更に、該殺菌面を含む全面に、ガスバリア性薄膜を設けたことを特徴とするプラスチック容器が開示されている。
特開平7−184618号公報 特表2003−506276号公報 特開2003−95273号公報
しかしながら、上記特許文献等に開示されている従来公知のプラズマ処理法は、何れもプラスチック容器の内面と外面とを同時に殺菌するものではない。例えば特許文献1及び3の技術では、プラズマ殺菌されるのは、プラスチック容器の内面のみであり、外面はプラズマ殺菌されない。また、特許文献2では、プラスチック容器の内面及び外面について殺菌が行われるものであるが、内面殺菌後に、ガス導入を外面に切り替えて外面殺菌を行うものであり、内外面の殺菌を同時に行うものではないため、短時間での殺菌が困難である。
このように、プラズマを利用しての蒸着膜の形成を考慮しても、プラスチック容器の内面と外面とを同時にプラズマ処理する技術は、従来、全く知られていない。
従って本発明の目的は、プラスチック容器の内外面を同時にプラズマ殺菌するプラズマ処理方法及び装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、プラスチック容器の内外面を同時にプラズマ殺菌すると共に、同時にプラスチック容器の内外面にプラズマによる蒸着膜を形成し得るプラズマ処理方法及び装置を提供することにある。
本発明によれば、排気口を備え且つ内部に高周波誘導コイルが配置されたプラズマ処理用チャンバーを使用し、
前記高周波誘導コイルにより取り囲まれ且つ前記排気口に底部が対面するようにプラスチック容器を前記プラズマ処理用チャンバー内に保持し、
前記チャンバー内に保持された前記プラスチック容器の内部にガス供給管を挿入し、該ガス供給管からプラズマ用ガスを供給しながら前記排気口から排気することにより、該プラズマ用ガスを該プラスチック容器の内面及び外面に沿って流しながら該チャンバー内を所定の真空度に保持し、
次いで、前記高周波誘導コイルに高周波を印加して該チャンバー内に高周波電界を導入し、該高周波電界によってプラスチック容器の内面及び外面付近に前記ガスのプラズマを形成することにより、プラスチック容器の内面及び外面を同時にプラズマ殺菌処理することを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
本発明によればまた、排気口を備えたチャンバー内に保持されたプラスチック容器について、該チャンバー内を所定の真空度に保持しながらガスを供給し、該ガスのプラズマを発生させることにより、該プラスチック容器のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
前記ガスを供給するためのガス供給管と、高周波電界によって前記ガスのプラズマを発生させるための高周波誘導コイルとを備えており、
前記高周波誘導コイルは、前記チャンバー内に保持された前記プラスチック容器を取り囲むように、該チャンバー内に配置されており、
前記ガス供給管は、外部から前記チャンバーの壁を貫通して、前記チャンバー内に保持された前記プラスチック容器の内部にまで侵入するように設けられているとともに、
前記プラスチック容器は、前記排気口が該容器の底部に対面し、該容器の内部空間と外部空間とが連通し、且つ該容器の内部に前記ガス供給管を侵入せしめてプラズマ発生のためのガスを供給しながら前記排気口からの排気を行ったときに、供給されたガスが該容器の内面及び外面に沿って流れるように、前記チャンバー内に保持されることを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
本発明のプラズマ処理方法及び装置においては、プラスチック容器を取り囲むように配置された高周波誘導コイルを用いてグロー放電を生じさせる高周波電界が導入されるため、該容器の外面及び内面の近傍領域でグロー放電が生じ、しかも、容器の内面から外面にかけてガスを連続的に流しながら上記の高周波電界を導入するため、容器の内面及び外面近傍にグロー放電によるガスのプラズマが発生し、この結果、容器の内面と外面とを同時にプラズマ殺菌することができ、殺菌処理時間を大幅に短縮することができる。
また、本発明では、ガスの種類を選択することにより、殺菌と同時にプラズマCVDによる蒸着膜をも容器の内面及び外面に同時に形成することができ、容器のガスバリア性をも向上させることができる。
本発明においては、プラズマ処理のための前記プラズマ用ガスは、容器の内面に侵入しているガス供給管からチャンバー内に流されるが、このチャンバーに形成されている排気口を、該チャンバー内に保持されるプラスチック容器の底部に対面する位置に配置しておくことにより、該ガスを容器の内面から外面に沿ってスムーズに流すことができ、容器内面及び外面の殺菌や蒸着膜の形成を効率よく均一に行うことができる。
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて説明する。
図1は、本発明のプラズマ処理方法を好適に実施するためのプラズマ処理装置の概略構造を示す側断面図である。
図1において、この処理装置は、全体として1で示すチャンバーを備えており、このチャンバー1内には、プラズマ処理室3が形成され、この処理室3には、図示のごとく、倒立状態でプラスチックボトル5が保持されている。
尚、図1では省略されているが、プラスチックボトル5は、その口部が適当な形状の基台上に保持されており、該ボトル5の内部空間と外部空間とが連通するようになっている。
さらに、チャンバー1は、上部チャンバー1aと下部チャンバー1bとに分割されており、例えば上部チャンバー1aを移動することにより、処理室3を開放し、プラスチックボトル5を処理室3内に導入し、且つプラズマ処理後のボトル3を取り出すように構成されている。
また、上部チャンバー1aの上壁には排気口が形成されており、この排気口には、バルブ9を介して真空ポンプ11が接続されており、処理室3内を排気し得るようになっている。尚、図示されているように、排気口は、後述するプラズマ処理用のガスを、ボトル5の内面から外面に沿って流れて排気されるように、ボトル5の底部に対面するように位置している。
処理室3内に保持されているボトル5の内部には、下部チャンバー1bの底壁を貫通して外部から延びているガス供給管13が侵入している。このガス供給管13は、切り替えバルブ15を介してガス供給源17及び無菌エアー供給源19に接続されており、ガス供給源17からプラズマ処理用のガスを供給し、或いは無機エアー源19から無菌エアーを供給し得るようになっている。
このようなガス供給管13は、通常、パイプ状のものであり、その先端からガスが吹き出されるようになっており、さらにボトル5内に侵入している先端部分の側面にも多数の開口が形成され、その側面からもガスが吹き出されるようになっている。
さらに、図1から明らかなように、処理室3内に保持されているボトル5の全体と取り囲むように高周波誘導コイル21が配置されており、この高周波誘導コイル21は、インピーダンス整合のためのマッチングボックス23を介して、処理室3の外部に設けられている高周波発振機25に接続されており、例えば13.56MHzの高周波を誘導コイル21に印加し、高周波電界を発生させる。
上記のようなプラズマ処理装置を用いてのプラズマ殺菌は、以下のようにして行われる。
先ず、バルブ9を開いて、真空ポンプ11を作動させて排気を行い、処理室3内をグロー放電が発生し得る真空度、例えば数Torr以下、特に10−1乃至10−4Torr程度の真空度に減圧する。この排気により、このような真空度に保持しながら、切り替えバルブ15を介してガス供給源17側からプラズマ処理用のガスを流し、ガス供給管13からボトル5の内部にガスを供給する。これにより、図1に示されるように、ボトル5内に供給されたガスは、ボトル5の内面に沿ってボトル5の外部に流れ出し、ボトル5の外面に沿って排気口7から排気されることとなる。即ち、排気口7を、ボトル5の底部に対面するように配置しておくときには、ボトル5の内部に供給されたガスは、ボトル5の内面及び外面に沿ってスムーズに流れながら排気されることとなる。
次いで、高周波発振機25を作動させ、50乃至2000W程度の出力で高周波を誘導コイル21に印加する。これにより、ボトル5の壁を含む領域に高周波電界が導入される。しかるに、処理室3内は、所定の真空度に保持され、且つボトル5の内面及び外面に沿ってガスが流れているため、かかる高周波電界によりボトル5の内面及び外面近傍でグロー放電が生じ、ガスのプラズマが形成される。従って、ボトル5の内面と外面とを同時にプラズマ殺菌することが可能となるわけである。このようなプラズマ殺菌の処理時間は、ボトル5の容積などによっても異なるが、容積が2リットルの場合で、通常、1乃至20秒程度である。
上述したプラズマ殺菌の処理終了後は、供給源17からのプラズマ処理用ガスの供給を停止し、処理室3内のプラズマ処理用ガスを排気した後、バルブ9を閉じ、真空ポンプ11及び高周波発振機25の作動を停止した後、切り替えバルブ15を無菌エアー供給源19側に切り替えて、ガス供給管13から無菌エアーを供給し、処理室3内を大気圧に復帰させ、殺菌処理されたボトル5が処理室3内から取り出され、これにより、殺菌工程が終了する。殺菌処理されたボトル5には、例えば無菌条件下で内容物が充填される。
上述したプラズマ殺菌に用いるガスは、特に制限されるものではなく、任意のガスを使用することができる。但し、この処理を殺菌のみを目的として行う場合には、ボトル5の酸化等の変性を回避するために、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いることが好ましい。
さらに、本発明においては、上述した殺菌と同時に、プラズマCVDによって蒸着膜をボトル5の内外面に同時に形成することもできる。即ち、任意のガスのプラズマが殺菌効果を示すため、ガス供給源17から蒸着膜形成用の反応性ガスを供給した場合にも、蒸着膜の形成と同時に殺菌を行うことが可能となるからである。
尚、プラズマCVDとは、気体プラズマを利用して薄膜成長を行うものであり、基本的には、減圧下において原料ガスを含むガスを高電界による電気的エネルギーで放電させ、活性させ、生成する物質を気相中或いは基体上での化学反応を経て、基体上に堆積させるプロセスから成る。即ち、本発明においては、高周波電界によるグロー放電によって反応性ガスのプラズマが形成され、プラズマ反応物が蒸着膜として前述したボトル5の内面及び外面に同時に形成されるのである。
このようなプラズマCVDによる蒸着膜としては、炭素膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属炭化物膜が代表的であり、反応性ガス(プラズマ用ガス)の種類は、形成する蒸着膜の種類に応じて選択される。例えば、炭素膜を形成する場合は炭化水素ガスを使用し、機膜を形成する場合は有機金属化合物ガスを使用し、金属酸化物膜を形成する場合は有機金属化合物及び酸化性ガス、金属窒化物膜を形成する場合は有機金属化合物及び窒化性ガス、そして金属炭化物膜を形成する場合は有機金属化合物及び炭化水素ガスを反応ガスとして使用する。即ち、このような反応性ガスを使用することにより、炭素、金属酸化物、金属窒化物そして金属炭化物を含む蒸着膜がボトル5の内面及び外面に形成され、ボトル5のガスバリア性を向上することが可能となるのである。
尚、上記の炭化水素としては、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼンなどが使用されるが、特に炭素含有量が多いアセチレンやベンゼンなどが好適に使用される。
また有機金属化合物としては、有機ケイ素化合物が好適に使用されるが、酸化性ガスと反応して金属酸化物を形成するものであれば、有機ケイ素化合物に限定されるものではなく、例えばトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、その他、有機チタン化合物など、種々のものを使用することができる。有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメチルシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等の有機シラン化合物、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等の有機シロキサン化合物等が使用される。また、これらの材料以外にも、アミノシラン、シラザンなどを用いることもできる。これらの有機金属化合物は、単独でも或いは2種以上の組合せでも用いることができる。また、上述した有機ケイ素化合物とともに、シラン(SiH)や四塩化ケイ素を併用することができる。
酸化物の膜を形成する場合に使用される酸化性ガスとしては、酸素やNOを挙げることができ、窒化物の膜を形成する場合に使用される窒化性ガスとしては、窒素やアンモニアなどが使用される。また炭化物の膜を形成する場合は炭化水素の内炭素含有量の多いアセチレンやベンゼンなどが使用される。
またArやHeなどの不活性ガスをプラズマ助剤やキャリアーガスとして、上記の反応性ガス(プラズマ用ガス)と併用することもできる。
尚、上記のような有機金属化合物と酸化性ガスとを含む反応性ガスを用いて、プラズマ殺菌と蒸着膜との形成を行った場合において、形成される蒸着膜は、無機的な結合が多い膜ほどガスバリア性が高いが、プラスチックに対する密着性が低く、例えばボトル5の膨張などにより、剥離やクラックなどが発生し易いという欠点があることが知られている。また、無機的な結合が少なく、有機的な結合が多いほど、ガスバリア性は低いが、プラスチックに対する密着性が高いという性質を有している。従って、上述した反応性ガスを用いてのプラズマ処理によって殺菌と同時に蒸着膜を形成する場合には、始めに有機的な結合を多く含んだ膜(密着性の高い膜)を形成し、次いでその上に、無機的な結合を多く含んだガスバリア性に富んだ膜を形成することが好適である。
上記のような蒸着膜の組成の調整は、反応性ガスの組成やグロー放電の出力調整によって行うことができる。
例えば、有機金属化合物に比して、酸化性ガスの供給量が少ない場合には、有機金属化合物の酸化反応のレベルが低く、有機的な結合を多く含んだ重合物が形成される。この結果、密着性の高い膜を形成することができる。また、有機金属化合物に比して、酸化性ガスの供給量を多くすることにより、有機金属化合物の酸化反応が高いレベルにまで進行するため、ほぼ完全な金属酸化物が形成される。即ち、有機的な結合が少なく、酸化度の高いガスバリア性に優れた膜を形成することができる。従って、反応初期では、酸化性ガスの供給量を少なくし、ある程度反応が進行してある程度の厚みの蒸着膜が形成された段階で、酸化性ガスの供給量を増大させればよい。
また、グロー放電の出力が低い場合には、プラズマ反応の進行が抑制され、酸化度が低く、有機的な結合を多く含んだ密着性の高い膜が形成され、グロー放電の出力が高い場合には、プラズマ反応が速やかに進行し、有機金属化合物の酸化反応が高いレベルにまで進行するため、ガスバリア性の高い膜が形成される。従って、反応初期には、グロー放電が生じる範囲内において、低出力で高周波を印加して成膜を行い、ある程度反応が進行してある程度の厚みの蒸着膜が形成された段階で、高出力で高周波を印加して成膜を行うことによっても上記のような組成分布を有する蒸着膜を形成することができる。
上記のような反応性ガスを用い、プラズマ殺菌と同時に蒸着膜の形成を行う場合のプラズマ処理の時間(成膜時間)は、処理すべきボトルの内表面積、形成させる薄膜の厚さ及び処理用ガスの種類等によっても相違し、一概に規定できないが、2リットルのプラスチックボトルでは、1個当たり、1秒以上がプラズマ処理の安定性から必要であり、コスト面から短時間化が要求されるが、必要であれば分のオーダーでも良い。
また、上述した例では、処理に用いる容器としてボトルを示したが、勿論ボトルに限定されるものではなく、例えば広口のカップ状容器に上述した処理を適用することも可能である。さらに、容器を形成する材料も制限されるものではなく、任意の熱可塑性樹脂で形成されたプラスチック容器に本発明を適用することができる。
本発明の優れた効果を次の実験例で説明する。
[プラズマ処理ボトルの作製]
図1に示した処理装置(高周波発振機の周波数;13.56MHz)を使用し、この装置内に、被検体であるプラスチックボトル(PETボトル、内容積:500ミリリットル)を、図1に示されているように配置した。
次いで、バルブ15を閉じ、バルブ9を開けて真空ポンプ11を作動させ、処理室3内の真空度を10−5Torrまで真空に引いた。さらに、バルブ9を開けたまま、切り替えバルブ15をガス供給源17側に接続し、反応性ガスとして、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)/酸素(O)の比(体積比)が1:10の混合ガスを、処理室3内の真空度が10−3Torrになるまで、ガス供給管13から供給した。次に高周波発振機25を作動させ、マッチングボックス23を介して高周波誘導コイル21より処理室3内に高周波電界を導入し、ボトル内外にプラズマを形成し、ボトル内外表面にSiOx膜を形成すると同時に、ボトル内外表面を、反応性ガスのプラズマにより殺菌した(処理時間:10秒)。
上記成膜及び殺菌終了後、バルブ9を閉じ、切り替えバルブ15を無菌エアー側に接続し、処理室3内が大気圧になるまで、処理室3内に無菌エアーを導入し、次いで処理ボトルを無菌的に取り出した。
[胞子付着プラスチックボトルの作製]
供試菌として、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis (IFO 13721))を、ソイビーン−カゼイン ダイジェスト寒天培地(商品名:SCD寒天培地(日本製薬))で、37℃、3週間培養し、成熟胞子を形成させ、菌体を遠心分離法で濃縮し、85℃、15分の熱処理を施して、10個(胞子数/ml)の胞子液を作製した。この胞子液を、噴霧器で一定量を、プラスチックボトルに噴霧し、それぞれ、ボトル当たり10個の胞子を付着させ、12時間乾燥させて、胞子付着ボトルとした。胞子液の噴霧によって、ボトル内表面に胞子を付着させたAグループ、ボトル外表面に胞子を付着させたBグループ、ボトル内外表面に胞子を付着させたCグループを作製し、評価試験、比較評価試験を行った。各ボトルについて、生残胞子数を以下の方法で計数して、殺菌効果を評価した。
<評価試験1>
プラズマ処理後のAグループボトルに、ボトル容量1/3の量の滅菌水をボトルに注入し、滅菌済みプラスチックキャップで密封して、50回激しく振盪してボトル内表面に付着させた胞子を滅菌水中に遊離させ、この抽出液の全量をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)で濾過した。同操作を合計3回行い、同一メンブレンフィルター上に生残胞子を濾過集菌した。予めソイビーン−カゼイン ダイジェスト培地(商品名:SCD培地(日本製薬))をしみ込ませておいたペトリディッシュのパッド上にこのフィルターを載せ、37℃、2日間培養し、コロニーを計数して生残胞子数を求めた。その結果を表1に示す。
<評価試験2>
プラズマ処理後のBグループボトルに滅菌シリコン栓をし、滅菌済み大型レトルトパウチに入れ、滅菌水500mlを注入してヒートシール密封後、50回激しく振盪してボトル外表面の胞子を滅菌水中に遊離させ、この抽出液の全量をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)で濾過集菌した。再度、滅菌水500mlを注入して上記操作を繰り返し、同一フィルター上に濾過集菌し、評価試験1と同様に生残胞子数を求め、その結果を表1に示した。
<評価試験3>
プラズマ処理後のCグループボトルに滅菌シリコン栓をし、滅菌済み大型レトルトパウチに入れ、<評価試験2>と同様の操作をして、濾過集菌したフィルターC_outを得た。更に、同ボトルを大型レトルトパウチから取り出し、シリコン栓を外し、ボトル容量1/3の量の滅菌水をボトルに注入し、滅菌済みプラスチックキャップで密封する<評価試験1>と同様の操作をして、濾過集菌したフィルターC_inを得た。これらをそれぞれ<評価試験1>と同様にコロニーを計数し、フィルターC_outとフィルターC_inのコロニーを合計して生残胞子数を求め、その結果を表1に示した。
<比較評価試験1>
プラズマ処理を行わない無処理のAグループボトルを用いて、<評価試験1>と同様の操作を一回行い、ボトル内表面に付着させた胞子を滅菌水中に遊離させた。この抽出液の一定量を採り、滅菌水で適宜希釈した溶液を作り、各希釈段階の溶液をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)で濾過し、<評価試験1>と同様に生残胞子数を求め、その結果を表1に示した。
<比較評価試験2>
プラズマ処理を行わない無処理のBグループボトルを用いて、<評価試験2>と同様の操作を一回行い、ボトル外表面の胞子を滅菌水中に遊離させ、<比較評価試験1>と同様に生残胞子数を求め、その結果を表1に示した。
プラズマ処理を行わない無処理のCグループボトルを用いて、<比較評価試験2>と同様にボトル外表面生残胞子数を求め、更に、同ボトルを大型レトルトパウチから取り出し、<比較評価試験1>と同様にボトル内面生残胞子数を求め、<評価試験3>と同様に生残胞子数を求め、その結果を表1に示した。
Figure 0004997714
以上の評価試験の結果から、本発明によれば、容器の内外面が同時に有効に殺菌されていることが理解される。
本発明のプラズマ処理方法を好適に実施するためのプラズマ処理装置の概略構造を示す側断面図。
符号の説明
1:チャンバー
3:プラズマ処理室(チャンバー内)
5:プラスチックボトル
7:排気口
11:真空ポンプ
13:ガス供給管
17:プラズマ処理用のガス供給源
21:高周波誘導コイル
25:高周波発振機

Claims (4)

  1. 排気口を備え且つ内部に高周波誘導コイルが配置されたプラズマ処理用チャンバーを使用し、
    前記高周波誘導コイルにより取り囲まれ且つ前記排気口に底部が対面するようにプラスチック容器を前記プラズマ処理用チャンバー内に保持し、
    前記チャンバー内に保持された前記プラスチック容器の内部にガス供給管を挿入し、該ガス供給管からプラズマ用ガスを供給しながら前記排気口から排気することにより、該プラズマ用ガスを該プラスチック容器の内面及び外面に沿って流しながら該チャンバー内を所定の真空度に保持し、
    次いで、前記高周波誘導コイルに高周波を印加して該チャンバー内に高周波電界を導入し、該高周波電界によってプラスチック容器の内面及び外面付近に前記ガスのプラズマを形成することにより、プラスチック容器の内面及び外面を同時にプラズマ殺菌処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 前記プラズマ用ガスとして、炭化水素ガスもしくは有機金属化合物ガス、または少なくとも有機金属化合物ガスを含み且つ酸化性ガス、窒化性ガス及び炭化水素ガスの少なくとも1種を含む混合ガスを使用し、プラズマ殺菌処理と同時にプラスチック容器の内面及び外面に蒸着膜を形成する請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 前記有機金属化合物として有機ケイ素化合物を使用し、プラズマ殺菌処理と同時にプラスチック容器の内面及び外面にケイ素酸化物成分を含む蒸着膜を形成する請求項2に記載のプラズマ処理方法。
  4. 排気口を備えたチャンバー内に保持されたプラスチック容器について、該チャンバー内を所定の真空度に保持しながらガスを供給し、該ガスのプラズマを発生させることにより、該プラスチック容器のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
    前記ガスを供給するためのガス供給管と、高周波電界によって前記ガスのプラズマを発生させるための高周波誘導コイルとを備えており、
    前記高周波誘導コイルは、前記チャンバー内に保持された前記プラスチック容器を取り囲むように、該チャンバー内に配置されており、
    前記ガス供給管は、外部から前記チャンバーの壁を貫通して、前記チャンバー内に保持された前記プラスチック容器の内部にまで侵入するように設けられているとともに、
    前記プラスチック容器は、前記排気口が該容器の底部に対面し、該容器の内部空間と外部空間とが連通し、且つ該容器の内部に前記ガス供給管を侵入せしめてプラズマ発生のためのガスを供給しながら前記排気口からの排気を行ったときに、供給されたガスが該容器の内面及び外面に沿って流れるように、前記チャンバー内に保持されることを特徴とするプラズマ処理装置。
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