JP4994508B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等に開示された定着装置は、電磁誘導加熱方式のものである。電磁誘導加熱方式の定着装置は、支持部材としての支持ローラ(加熱ローラ)、定着補助ローラ(定着ローラ)、支持ローラと定着補助ローラとによって張架された定着部材としての定着ベルト、支持ローラに定着ベルトを介して対向する磁束発生手段としての誘導加熱部(誘導加熱手段)、定着補助ローラに定着ベルトを介して当接する加圧ローラ、等で構成される。誘導加熱部は、幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に延設されたコイル部(励磁コイル)や、コイル部に対向するコア部(励磁コイルコア)等で構成される。
そして、定着ベルトは、誘導加熱部との対向位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの位置に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、コイル部に高周波の交番電流を流すことで、コイル部の周囲に交番磁界が形成されて、支持ローラ表面近傍に渦電流が生じる。支持ローラに渦電流が生じると、支持ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、支持ローラに巻装された定着ベルトが加熱される。
一方、特許文献2等に開示された定着装置は、ヒーター等の熱源を用いた熱ローラ方式のものである。熱ローラ方式の定着装置は、支持部材としての支持ローラ(上ガイドローラ)、定着補助ローラ(加熱ローラ)、支持ローラと定着補助ローラとによって張架された定着部材としての定着ベルト、定着補助ローラに内設された熱源としてのヒーター(加熱手段)、定着ベルトに当接する加圧ベルト、等で構成される。
そして、定着ベルトは、定着補助ローラの位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着ベルトと加圧ベルトとの間に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。
他方、特許文献3等には、画像形成装置における記録媒体(用紙)の搬送経路中に除電ブラシを設置する技術が開示されている。これらの技術は、搬送経路中に除電ブラシを設置して、搬送経路を通過する記録媒体に蓄積される静電気を除去することで、記録媒体の搬送性を向上させるものである。
上述した従来の定着装置は、定着部材を支持する支持部材に電荷が蓄積されることによって、静電オフセットが生じる場合があった。
詳しくは、次の通りである。
特許文献1、特許文献2等において、金属材料で形成される支持ローラ(支持部材)は、その幅方両端部に樹脂材料からなるフランジが挿設されていて、ベアリングを介して支軸に回転自在に支持されている。したがって、支持ローラは、電気的にフロート状態になっていた。一方、支持ローラには定着ベルト(定着部材)が巻装されていて、支持ローラは、定着ベルトとの間に生じる摩擦抵抗によって支軸を中心にして所定方向に回転駆動される。したがって、定着装置が稼動されると、支持ローラはやがて帯電されてしまう。
そして、充分にアースがとられていない支持ローラに蓄積された電荷が定着ベルトに移動することで、定着ベルトと加圧ローラとのニップ部に送入される記録媒体上のトナーが、電荷を保持した定着ベルトによって静電気的に吸着又は散逸されて静電オフセットが生じてしまう。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、静電オフセットが生じにくい、信頼性の高い、定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を加熱して記録媒体に定着させる定着部材と、前記定着部材が巻装されたローラ部材と、前記定着部材及び前記ローラ部材のうち少なくとも1つを加熱する加熱手段と、前記ローラ部材に当接して当該ローラ部材を除電する除電ブラシと、前記除電ブラシの変形を規制する規制手段と、を備え、前記加熱手段は、磁束を発生させて前記定着部材及び前記ローラ部材のうち少なくとも1つを電磁誘導加熱する磁束発生手段であって、前記規制手段は、前記ローラ部材が可動したときに前記除電ブラシが湾曲する側に配設されるとともに、金属板にポリイミド、四フッ化−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂、四フッ化エチレン樹脂のいずれかの材料からなる表面層を形成した板状部材であるものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記板状部材は、前記ローラ部材に当接する方向に前記除電ブラシを付勢するものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記板状部材は、前記ローラ部材に当接する前記除電ブラシの当接圧が3g/mm以下になるように当該除電ブラシを付勢するものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記除電ブラシは、ステンレス又はチタン・ニッケル合金で形成されたものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記定着部材は、定着ベルトであって、前記ローラ部材を、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架して支持する支持ローラとしたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、定着部材が巻装されたローラ部材を除電する除電ブラシ設けているために、静電オフセットが生じにくい、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 図1の画像形成装置に設置される定着装置を示す断面図である。 支持ローラの幅方向端部を示す断面図である。 除電ブラシを示す斜視図である。 除電ブラシを示す側面図である。 除電ブラシが支持ローラに当接した状態を示す概略図である。 この発明の実施の形態2における定着装置に設置される除電ブラシを示す概略図である。 この発明の実施の形態3における定着装置を示す断面図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置を示す。
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、露光部3(書込部)から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。なお、複数の給紙部11、12には、それぞれ、異なるサイズの記録媒体Pや、搬送方向の異なる同一サイズの記録媒体Pが、収納されている。
そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部に送入されて、定着ベルトから受ける熱と加圧ローラから受ける圧力とによってトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、ニップ部から送出された後に、出力画像として画像形成装置本体1から排出されて、排紙トレイ10上に載置される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、定着補助ローラ21、定着ベルト22(定着部材)、支持ローラ23(支持部材)、加熱手段としての誘導加熱部24(磁束発生手段)、加圧ローラ30、除電ブラシ41、オイル塗布ローラ34、ガイド板35、分離板36、等で構成される。
ここで、定着補助ローラ21は、その表面にシリコーンゴム等の弾性層が形成されていて、不図示の駆動部によって図2の反時計方向に回転駆動される。
支持部材としての支持ローラ23は、主として、鉄、コバルト、ニッケル、又は、それらの合金等の磁性金属材料からなる円筒部23a(図3を参照できる。)で構成されていて、定着ベルト22との摩擦抵抗によって図2の反時計方向に回転する。支持ローラ23は、熱容量が低く、昇温性に優れている。
なお、支持ローラを非磁性金属材料で構成して、支持ローラ23の内部にフェライト等の強磁性材料からなる内部コアと、銅等からなる磁束遮蔽部材と、を設置してもよい。その場合、この内部コア及び磁束遮蔽部材の回転は、支持ローラ23の回転とは別々におこなわれることになる。
定着部材としての定着ベルト22は、支持ローラ23と定着補助ローラ21とに張架・支持されている。定着ベルト22は、ポリイミド樹脂等からなるベース層や、銀やニッケルや鉄等からなる発熱層や、フッ素化合物等からなる離型層(表面層)等からなる多層構造のエンドレスベルトである。定着ベルト22の離型層によって、トナーTに対する離型性が担保されている。
磁束発生手段としての誘導加熱部24は、コイル部25、センターコア26a及びサイドコア26bを有するコア部26、コイルガイド27、等で構成される。
ここで、コイル部25は、支持ローラ23に巻装された定着ベルト22の一部を覆うように、細線を束ねたリッツ線を幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コイルガイド27は、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、コイル部25及びコア部26を保持する。コア部26は、フェライト等の透磁性の高い材料からなる。コア部26は、幅方向に延設されたコイル部25に対向するように設置されている。サイドコア26bは、コイル部25の端部に設置されている。センターコア26aは、コイル部25の中央に設置されている。
また、加圧ローラ30は、芯金上にフッ素ゴムやシリコーンゴム等の弾性層が形成されたものであり、定着ベルト22を介して定着補助ローラ21に圧接している。そして、定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部(ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
定着ベルト22と加圧ローラ30とのニップ部の入口側には、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板35が配設されている。
定着ベルト22と加圧ローラ30とのニップ部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
定着ベルト22の外周面の一部には、オイル塗布ローラ34が当接している。オイル塗布ローラ34は、定着ベルト22上にシリコーンオイル等のオイルを供給する。これにより、定着ベルト22上におけるトナー離型性がさらに担保される。なお、オイル塗布ローラ34には、その表面上の汚れを除去するクリーニングローラ33が当接されている。
図示は省略するが、支持ローラ23の外周面の一部(幅方向中央部である。)には、サーモスタットが当接されている。サーモスタットで検知した支持ローラ23の温度が所定の温度を超えた場合には、サーモスタットによって誘導加熱部24への通電が切断される。
また、図示は省略するが、定着ベルト22上の幅方向中央部にはサーミスタ(又は、サーモパイル)が設置されていて、定着ベルト22上の表面温度(定着温度)を検知して定着温度の制御をおこなっている。
また、支持ローラ23の外周面には、除電ブラシ41が当接されている。これにより、支持ローラ23への電荷の蓄積が抑止されて、静電オフセットの発生が防止される。除電ブラシ41については図4〜図6を用いて後で詳しく説明する。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も定着ベルト22との摩擦抵抗によって反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、誘導加熱部24との対向位置で加熱される。詳しくは、コイル部25に高周波の交番電流を流すことで、定着ベルト22が巻装された支持ローラ23に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、支持ローラ23表面に渦電流が生じて、支持ローラ23自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、支持ローラ23に巻装された定着ベルト22が加熱される。なお、本実施の形態1では、定着ベルト22自身も発熱層を有するために、定着ベルト22は支持ローラ23によって加熱される他に、定着ベルト22自身でも誘導加熱部24によって電磁誘導加熱されることになる。
その後、誘導加熱部24によって発熱した定着ベルト22表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像Tを加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
その後、定着位置を通過した定着ベルト22表面は、再び誘導加熱部24との対向位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
図3にて、支持ローラ23の構成・動作について、詳しく説明する。
図3は、定着ベルト22が巻装された支持ローラ23の幅方向端部の構成を詳細に示す断面図である。図3中の上方がセンターコア26aの位置になる。
図3に示すように、支持ローラ23は、磁性材料からなる円筒部23a(電磁誘導加熱される支持部材の主部である。)、円筒部23aの両端部に圧入されたフランジ23b(キャップ)、フランジ23bに挿設されたベアリング32、等で構成される。
支持ローラ23(円筒部23a)は、ベアリング32を介して支軸28に回転自在に支持されている。支持ローラ23は、当接する定着ベルト22との摩擦抵抗によって、定着ベルト22の走行に従動して所定方向に回転することになる。
なお、支軸28は、軸受37を介して本体側板38(定着装置本体を構成する板金である。)に支持されている。
定着ベルト22の内周面であって幅方向両端部には、ゴム材料からなる突起部22a(寄り止め部)が設けられている。そして、支持ローラ23のフランジ23bには、定着ベルト2の突起部22aが当接する係合部が設けられている。これにより、定着ベルト22が一方の幅方向端部側に位置ずれ(図3の左側への移動である。)しそうになっても、他方の幅方向端部(図3に示す幅方向端部である。)に設けられた突起部22aが、ストッパとして機能する支持ローラ23の係合部に当接することで、定着ベルトの幅方向の移動が抑止される。
ここで、フランジ23bは、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セラミックのうちいずれかの材料で形成されている。これによって、フランジ23bの熱伝導性が低くなって、支持ローラ23の熱が放熱されて昇温効率が低下するのを抑止することができる。
ここで、図3に示すように、支持ローラ23の外周面には、除電ブラシ41が当接されている。除電ブラシ41はアース経路に接続されていて、支持ローラ23が除電されることになる。これにより、支持ローラ23に蓄積された電荷が定着ベルト22に移動することによって生じる静電オフセットを未然に抑止することができる。
なお、本実施の形態1では、支持ローラ23の支軸28にも、除電ブラシ41が当接されている。これにより、支軸28が除電されて、支軸28(支持ローラ23)に蓄積された電荷が定着ベルト22に移動することによって生じる静電オフセットを未然に抑止することができる。
以下、図4〜図6を用いて、本実施の形態1において特徴的な除電ブラシ41の構成・動作について詳述する。
図4は除電ブラシ41を示す斜視図であって、図5は除電ブラシ41を示す側面図である。また、図6は、除電ブラシ41が支持ローラ23に当接した状態を示す概略図である。
図4及び図5を参照して、除電ブラシ41は、主として、ブラシ本体42、保持部43、規制手段としての板状部材44、で構成される。
ブラシ本体42(除電ブラシ)は、ステンレス又はチタン・ニッケル合金で形成されたブラシ状部材であって、高い耐熱性と安定した除電機能を有している。特に、ブラシ本体42を形状記憶材料であるチタン・ニッケル合金で形成した場合には、高温環境下でも高い弾性力を有するとともに経時でも安定した形状保持性を有することになる。
このブラシ本体42は、板状部材44とともに保持部43にカシメられている。
規制手段としての板状部材44は、PI(ポリイミド)、PFA(四フッ化−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂)、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)のいずれかの材料で形成された耐熱性及び耐摩耗性を有する薄い樹脂板である。
板状部材44は、図6を参照して、支持ローラ23(支持部材)が回転(可動)したときにブラシ本体42(除電ブラシ)が湾曲する側(支持ローラ23の回転方向下流側である。)に配設されている。これにより、板状部材44は、ブラシ本体42(除電ブラシ)の変形を規制する規制手段として機能するとともに、支持ローラ23に当接する方向にブラシ本体42(除電ブラシ)を付勢する付勢手段としても機能することになる。
規制手段としての板状部材44を設置することで、経時に支持ローラ23の回転にならってブラシ本体42が塑性変形して支持ローラ23との当接状態が不充分になって除電機能が低下してしまうのを防止することができる。すなわち、規制手段としての板状部材44を設置することで、除電ブラシ41の変形を規制して、除電ブラシ41と支持ローラ23との当接状態が経時においても良好で安定した除電機能を維持することができる。
ここで、付勢手段としても機能する板状部材44は、支持ローラ23に当接するブラシ本体42(除電ブラシ)の当接圧が3g/mm以下になるようにブラシ本体42を付勢することが好ましい。
これは、本願発明者が、支持ローラ23に対する除電ブラシの当接圧(1mm当たりの線圧である。)と、支持ローラ23の加熱部材としての性能変化と、の関係を実験的に確認した結果によるものである。具体的に、ブラシ本体42の当接圧が1g/mm、2g/mmであるときには、定着装置の寿命に対して支持ローラ23の磨耗は生じたものの加熱部材としての性能低下はなかった。また、ブラシ本体42の当接圧が3g/mmであるときには、定着装置の寿命に対して支持ローラ23の磨耗は生じたものの加熱部材としての性能低下はほとんど問題にならない程度のものであった。これに対して、ブラシ本体42の当接圧が4g/mmであるときには、定着装置の寿命に対して支持ローラ23の磨耗が大きく生じるとともに加熱部材としての性能低下も大きかった。以上の実験結果から、ブラシ本体42(除電ブラシ)の当接圧を3g/mm以下にすることが好ましいことがわかった。そして、これにより、除電ブラシ41と支持ローラ23との当接状態が経時においても良好で、安定した除電機能を維持することができる。
なお、本実施の形態1では、板状部材44として樹脂板を用いたが、変形に対する機械的強度を向上させるために、板状部材44として金属板を用いることもできる。その場合、板状部材44は、金属板にPI(ポリイミド)、PFA(四フッ化−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂)、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)のいずれかの材料からなる表面層を形成したものとすることが好ましい。これにより、板状部材44は、耐熱性及び耐久性に加えて、耐摩耗性に優れたものになる。ここで、金属板上に樹脂材からなる表面層を形成する方法としては、粘着剤を有するフィルム状の樹脂材で金属板を挟み込む方法であってもよいし、金属板上に樹脂材を吹き付け焼成してコーティングする方法であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態1では、定着ベルト22(定着部材)が巻装された支持ローラ23(ローラ部材)を除電する除電ブラシ41設けているために、静電オフセットが生じにくい、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
なお、本実施の形態1では、支持ローラ23を電磁誘導加熱される加熱部材として用いるとともに、定着ベルト22に発熱層を形成して定着ベルト22を定着部材及び加熱部材として用いた。これに対して、定着ベルト22に発熱層を形成しないで定着ベルト22を定着部材としてのみ用いるとともに、支持ローラ23のみを加熱部材として用いることもできる。その場合も、規制手段としての板状部材44を設けることで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、除電ブラシ41を支持ローラ23の外周面に当接させたが、除電ブラシ41を支持ローラ23の内周面に当接させてもよい。
また、本実施の形態1における除電ブラシ41は、定着装置や画像形成装置での使用に限定されることなく、除電ブラシ41を変形させて用いるすべての装置(除電対象物)に対して使用可能である。その場合には、規制手段44を設けることで除電ブラシ41の変形が規制されて経時においても安定した除電機能を維持することができる。
実施の形態2.
図7にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置20に設置される除電ブラシ41を示す概略図であって、前記実施の形態1における図5に相当する図である。本実施の形態2は、規制手段としての板状部材44の設置位置が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図7に示すように、本実施の形態2における除電ブラシ41は、ブラシ本体42がカシメられた保持部43上に、締結部材(ねじ)45によって板状部材44が保持されている。このような構成により、除電ブラシ41が支持ローラ23に当接していない状態では、ブラシ本体42と板状部材44とが離間した状態になる。しかし、除電ブラシ41が支持ローラ23に当接した状態では、ブラシ本体42が回転方向下流側に湾曲して板状部材44によってその変形量が規制される状態になる。さらには、板状部材44によって、ブラシ本体44が支持ローラ23側に付勢される状態になる。
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、定着ベルト22(定着部材)が巻装された支持ローラ23(ローラ部材)を除電する除電ブラシ41設けているために、静電オフセットが生じにくい、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
実施の形態3.
図8にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図8は、実施の形態3における定着装置20を示す断面図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態3は、熱ローラ方式の定着装置を用いている点が、電磁誘導加熱方式の定着装置を用いた前記各実施の形態のものとは相違する。
図8に示すように、定着装置20は、定着補助ローラ21、定着ベルト22(定着部材)、支持ローラ23(支持部材)、加熱手段としてのヒーター(熱源)29、加圧ローラ30、除電ブラシ41、等で構成される。
本実施の形態3では、熱源としてのヒーター29から発せられる輻射熱によって支持ローラ23が直接的に加熱されて、加熱された支持ローラ23から受熱して定着ベルト22が加熱されることになる。本実施の形態3における定着装置20の構成・動作は、加熱手段が異なる以外は、前記各実施の形態のものとほぼ同様なのでその説明は省略する。
ここで、本実施の形態3でも、前記各実施の形態のものと同様に、支持ローラ23の外周面に当接する除電ブラシ41が設置されている。さらに、除電ブラシ41の変形を規制する板状部材44が、除電ブラシ41に一体化され設置されている。
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、定着ベルト22(定着部材)が巻装された支持ローラ23(ローラ部材)を除電する除電ブラシ41設けているために、静電オフセットが生じにくい、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(定着部材)、
23 支持ローラ(支持部材)、
23a 円筒部、 23b フランジ(軸受部)、
24 誘導加熱部(磁束発生手段、加熱手段)、
25 コイル部、 26 コア部、
26a センターコア、 26b サイドコア、 27 コイルガイド、
28 支軸、 29 ヒーター(熱源、加熱手段)、
30 加圧ローラ、 32 ベアリング、
37 軸受、 38 本体側板(定着装置本体)、
41 除電ブラシ、 42 ブラシ本体、 43 保持部、
44 板状部材(規制手段)、 45 締結部材。
特開2005−70376号公報 特開2004−206079号公報 特開平10−125490号公報

Claims (6)

  1. トナー像を加熱して記録媒体に定着させる定着部材と、
    前記定着部材が巻装されたローラ部材と、
    前記定着部材及び前記ローラ部材のうち少なくとも1つを加熱する加熱手段と、
    前記ローラ部材に当接して当該ローラ部材を除電する除電ブラシと、
    前記除電ブラシの変形を規制する規制手段と、
    を備え、
    前記加熱手段は、磁束を発生させて前記定着部材及び前記ローラ部材のうち少なくとも1つを電磁誘導加熱する磁束発生手段であって、
    前記規制手段は、前記ローラ部材が可動したときに前記除電ブラシが湾曲する側に配設されるとともに、金属板にポリイミド、四フッ化−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂、四フッ化エチレン樹脂のいずれかの材料からなる表面層を形成した板状部材であることを特徴とする定着装置。
  2. 前記板状部材は、前記ローラ部材に当接する方向に前記除電ブラシを付勢することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記板状部材は、前記ローラ部材に当接する前記除電ブラシの当接圧が3g/mm以下になるように当該除電ブラシを付勢することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記除電ブラシは、ステンレス又はチタン・ニッケル合金で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記定着部材は、定着ベルトであって、
    前記ローラ部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架して支持する支持ローラであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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