JP4994185B2 - めっき電流遮蔽体、めっき用治具、めっき装置、めっき基板の製造方法 - Google Patents
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Description
一つは導体配線パターンと逆パターンの場所にめっきレジストを形成し、めっきレジストが施されていない個所、つまり導体配線パターン部分に選択的に電気めっきを行い導体配線を形成する方法である。もう一つは基板の全面に電気めっきを行い、次に導体配線パターンとなる個所にエッチングレジストを形成し、次にエッチング液と接触させてエッチングレジストで被覆されていない部分、つまり金属が露出している領域を除去して所望の導体配線を形成する方法である。
いずれの方法でも、基板の面内におけるめっき膜厚のばらつきが少ないことが微細な配線形成に重要である。また基板の両面に導体配線を形成する場合には、基板の表裏でのめっき膜厚のばらつきが小さいことが重要である。そこで従来から基板の電気めっき膜厚を均一にする工夫が行われている。例えば特許文献1では基板の固定用治具に電流密度を均一にする遮蔽構造を設け電気めっきの膜厚を一定にする方法が開示されている。
図13(a)、(b)の例では、枠状の基板昇降用治具105(以下、治具、と略称する場合がある)の内側に基板104を保持し、治具105を昇降させることで、めっき液101の基板104の浸潰、めっき液101に浸潰されている基板104の引き上げがなされる。そして、基板104を保持した治具105を、基板104がめっき液101の液面に垂直の向きを保ったまま、めっき液101にその上方から下降させて、基板104をめっき液101に浸潰するときに、治具105の基板104の下側に配置されている部分(下枠部105a)によって、予めめっき液101の液面付近に浮設しておいた遮蔽体103を押圧して下方に移動する(押し下げる)。そして、遮蔽体103が、その浮力によって治具105下端部(下枠部105a)に押し付けられた状態で電気めっきを行う。
この技術についても、基板104がめっき液101中を上昇する気泡流中に配置された状態で電気めっきを行う場合に、遮蔽体103が気泡流(図中、符号106が気泡流を形成する気泡)の乱流の原因となり、基板表面近傍におけるめっき液の攪拌均一性に影響を与える。また、気泡流によって遮蔽体103が揺動して、前記乱流の問題が大きくなったり、基板の両面でのめっき液の攪拌強度の差が大きくなり、基板の面内におけるめっき膜厚の均一性が低下したり、基板の両面でのめっき膜厚の差が大きくなるといった問題がある。
第1の発明は、基板をめっき液中に懸垂させ電気めっきを行う際に、前記基板の両面又は片面の電流密度をそれぞれ均一化させるために、前記基板の下端部に設けられるめっき電流遮蔽体であって、前記基板の下端部に沿ってその下側に延在配置される細長部材であり、その下部あるいは全体の断面形状が、下方に凸の山形とされ、この断面山形部分が、前記めっき液中を上昇する気泡流を前記基板の両側に振り分ける気泡振り分け部として機能することを特徴とするめっき電流遮蔽体を提供する。
第2の発明は、前記気泡振り分け部は、その下端頂部から前記基板側の上端部に向かって延在する両側の側面が対称形に形成されていることを特徴とする第1の発明のめっき電流遮蔽体を提供する。
第3の発明は、めっき液中での浮力発生用の気体が封入されてなる浮力発生部を具備しており、前記めっき液に浮設されることを特徴とする第2の発明のめっき電流遮蔽体を提供する。
第4の発明は、めっき液中に懸垂させて電気めっきを行う基板を保持して昇降され、前記基板とともに前記めっき液中に浸潰されるめっき用治具であって、前記基板の外周を囲繞する枠状の治具本体の下部に、第1又は第2のめっき電流遮蔽体を具備することを特徴とするめっき用治具を提供する。
第5の発明は、基板をめっき液中に懸垂させて電気めっきを行うためのめっき装置であって、前記めっき液を貯留するめっき槽に、前記めっき液に浮設した第3の発明のめっき電流遮蔽体と、この電流遮蔽体のめっき液中での昇降を案内する昇降案内部材と、前記めっき槽の底部に設置され前記めっき液中に気泡を放出する散気部とが設けられていることを特徴とするめっき装置を提供する。
第6の発明は、基板をめっき液中に懸垂させて、その両面に電気めっきを行うめっき基板の製造方法において、前記基板を懸垂して、その下側に第1〜3のいずれかの発明のめっき電流遮蔽体が設けられた状態で、前記めっき液中に浸潰し、前記めっき液中を上昇する気泡流中にてめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法を提供する。
第7の発明は、第3の発明のめっき電流遮蔽体を用いる第6の発明のめっき基板の製造方法であって、前記基板を懸垂させてめっき液に浸漬する時に、前記基板の下端部あるいは前記基板を囲繞する枠状の基板昇降用治具の下端部によって、めっき液に浮設しておいた前記めっき電流遮蔽体を押圧して下方へ移動し、前記めっき電流遮蔽体が、該めっき電流遮蔽体自体の浮力によって、前記基板もしくは前記基板昇降用治具に接触した状態でめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法を提供する。
なお、ここでは、電気めっきによって、基板の両面(両側の主面1a、1b)に、めっき層として導体金属膜を形成する場合について説明する。
図2は、めっき用治具の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面矢視図、図3は別態様のめっき用治具の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は図3(a)のB−B線断面矢視図である。但し、図2(b)、図3(b)では、基板1の断面を示すハッチングの図示を省略している。
なお、図1〜図3(a)、(b)において、図中、上側を上、下側を下として説明する。
このめっき装置10は、めっき液11を貯留するめっき槽12を具備する。
めっき槽12内には、一対のアノード電極14と、散気部15とが設けられている。
なお、散気部15としては、例えば、めっき槽12の底壁に形成した散気孔から散気してめっき液11に気泡を供給するもの等であっても良い。
この基板1は、めっき用治具20(以下、治具、と略称する場合がある)に取り付けて、例えば、めっき装置10に設けられた昇降装置13等によって前記めっき用治具20を昇降させることで、めっき槽12内のめっき液11への挿入、めっき液11からの引き上げがなされる。
めっき用治具20は、基板1を昇降させるための基板昇降用治具として機能する。
また、この治具20は、前記治具本体21の内側に配置された基板1を、治具本体21に設けられたクリップ等の基板保持具(図示略)によって着脱可能に保持する構成になっている。
四角枠状の治具本体21は、基板1の上下に配置される両横枠材(上横枠材21a,下横枠材21b)と、一対の縦枠材21cとで構成されている。長方形シート状の基板1は、外周の四辺の内、互いに平行な一対の辺(ここでは、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)に示す基板1の上端部、下端部に対応する一対の辺)を、治具本体21の上下の横枠材21a、21bに沿わせるようにして、治具本体21に取り付けられる。
遮蔽体30は、治具20の治具本体21の下横枠材21bに沿って、その下側に固定して、治具20の下部、治具本体21の下側に延在配置された細長部材である。
この遮蔽体30は、治具20に保持された基板1の下端部近傍に配置されることで、基板下端部の電流集中を抑制するものであり、一部又は全体が、例えば、プラスチック等の電気絶縁性の材料、電気絶縁性の絶縁被覆を施した金属部材などによって形成される。
また、この遮蔽体30は、その下部あるいは全体が、治具本体21から下方に凸の断面山形に形成されており、この断面山形の部分(例えば、後述の遮蔽体310、気泡振り分け部322)が、図1(b)に示すように、基板1をめっき槽12内のめっき液11中に懸垂させて電気めっきを行うときに、めっき液11中を上昇する気泡流を基板1の両側(一方の主面の側1aと、他方の主面の側1b)に振り分ける気泡振り分け部として機能する。
図示例の遮蔽体310は、具体的には、断面二等辺三角形の細長部材になっている。
また、図2(b)では、両側の側面312が、仮想延長面1Sに対して傾斜する平坦面(平坦な傾斜面)になっている構成を例示したが、両側の側面312は、図4(b)に示すように湾曲面(図4(b)中、符号312aを付す)に形成することも可能である。図4(b)の遮蔽体310に符号310Bを付す。
治具本体21の構成部材としては、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属部材に絶縁被覆を施したもの、プラスチック等の樹脂製のもの、などを採用できる。治具本体21を、導電性金属部材に絶縁被覆を施したものを使用して構成した場合は、導電性金属部分を、基板1の通電用回路として活用することも可能である。
遮蔽板321及び気泡振り分け部322は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属部材に絶縁被覆を施したもの、プラスチック等の樹脂製のもの、など電気絶縁性の部材によって構成されている。
治具20Bにおいて、前記気泡振り分け部322は、その下端頂部323(下端の頂稜部)が、前記仮想延長面1S上となる(仮想延長面1Sに重なる)ように位置決めされており、さらに、前記頂部323から上端部(治具本体21側の端部)に向かって延在する両側の側面324が前記仮想延長面1Sを介して対称形になっている。気泡振り分け部322は、遮蔽板321の底板部321aの下面全体を覆うように設けられている。
図示例の気泡振り分け部322は、具体的には、遮蔽板321の底板部321aの下側に固定された断面二等辺三角形の細長部材になっている。
この気泡振り分け部322も、電気めっき時の基板下端部への電流集中の抑制に寄与する。
この遮蔽体320は、いわば、遮蔽板321の下側に、図2(a)、(b)に例示した遮蔽体310と同様の断面形状の気泡振り分け部322を設けた構成になっている。気泡振り分け部322としては、遮蔽体310と同様に、例えば図4(a)、(b)に例示した断面構造のもの等、遮蔽体310が採用し得る断面構造のものを採用できる。
また、図3(a)、(b)に示すめっき用治具20Bでは、治具本体21の上端部(上横枠材21a)の上側に、遮蔽体320の遮蔽板321と同様の構造(遮蔽体320から気泡振り分け部322を省略した構造)の遮蔽板325を取り付けている。
既述の通り、気泡振り分け部は、治具本体21から下方に凸の断面山形に形成されており、その両側の側面(遮蔽体30においては側面312)が、仮想延長面1Sに対して傾斜する傾斜面となっているため、気泡振り分け部によって気泡16の上昇が阻害されることはなく、気泡16は上昇を継続する。このため、気泡振り分け部による気泡流の振り分けが、乱流を発生させることなく、円滑に実現される。
この結果、基板1の面内のめっき膜厚の均一化を図ることができる。
図5(a)の治具20Cは、図2(a)、(b)を参照して説明した遮蔽体310と同様の構成の細長部材を下横枠材21bとして用いた例、図5(b)の治具20Dは、図3(a)、(b)を参照して説明した遮蔽体320と同様の構成の細長部材を下横枠材21bとして用いた例を示す。
この場合も、遮蔽体(下横枠材21b)は、気泡振り分け部の下端頂部が、治具20に保持された基板1の仮想延長面1S上に位置するように設けられることは言うまでも無い。
次に、図6(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、めっき槽12のめっき液11中に浮設される浮き子方式のめっき電流遮蔽体30(以下、遮蔽体、とも言う。また、区別のため、以下、符号330を付す。)を用いる実施形態を説明する。
なお、図6(a)、(b)、図8(a)、(b)において、上側を上、下側を下として説明する。
この遮蔽体330は、めっき液11中での浮力発生用の気体が封入されてなる浮力発生部333を具備しており、この浮力発生部333が発生する浮力によって、気泡振り分け部332が遮蔽板331の下側となる向きで、めっき液11に浮設される。
図6(a)、(b)、図7に例示した昇降案内部材17は、めっき槽12内において上下方向に延在するレール状部材である。図7に示すように、この昇降案内部材17は、めっき槽12内において、一対のアノード電極14の間に位置する領域を介して両側に設けられ、細長形状の遮蔽体330の長手方向両端の昇降を案内する。
また、めっき槽12としては、例えば、めっき槽12の側壁内面に遮蔽体330の昇降案内用の案内溝を形成し、この案内溝を形成した側壁自体を昇降案内部材として機能させた構成等も採用可能である。
図8(a)、(b)に示すように、この遮蔽板331は、具体的には、底板部331aと、この底板部331aの幅方向(図8(a)、(b)左右)両側の端部上にそれぞれ突設された側壁部331bとを具備している。両側壁部331bは、底板部331aを介して、気泡振り分け部332とは反対の側に突設されている。
なお、浮力発生部333の設置位置は、これに限定されず、例えば、遮蔽板331と気泡振り分け部332との間、気泡振り分け部332の内部等であっても良い。
この気泡振り分け部332は、その下端頂部332a(下端の頂稜部)が、遮蔽板331の幅方向(図8(a)、(b)左右方向)中央部、具体的には底板部331aの幅方向中央部に対応するように、遮蔽板331に対して位置決めして設けられている。気泡振り分け部332は、遮蔽板331の底板部331aの、前記押圧面331c(具体的には、両側の側壁部331bの間に位置する底板部331a上面)とは反対の側に、その下端頂部332aが、底板部331aの幅方向中央部を通り前記押圧面331cに直交する仮想垂直面330S上となる(仮想垂直面330Sと重なる)ように設けられている。
図示例の気泡振り分け部332は、具体的には、遮蔽板331の底板部331aの下側に固定された断面二等辺三角形の細長部材になっている。
この気泡振り分け部332も、電気めっき時の基板下端部への電流集中の抑制に寄与する。
なお、図示例の遮蔽体330は、遮蔽板331に、該遮蔽板331とは別体の部材である気泡振り分け部332を設けた構成を例示しているが、これに限定されず、遮蔽体としては、遮蔽板331と気泡振り分け部332とが一体に形成された1部品からなる構成であっても良い。
治具40は、例えば、めっき装置10Aに設けた昇降装置13によって昇降することで、仮想延長面1Sが遮蔽体330の仮想垂直面330Sに一致するように昇降させることができる。
このため、気泡振り分け部332による基板1の両側への気泡16の振り分けは均等かつ乱流を発生させること無く円滑になされ、基板1の両側で、気泡16によるめっき液の攪拌強度を均等にすることができる。その結果、基板1の両側の各面内におけるめっき膜厚の均一化を図ることができ、基板1の両面に形成されるめっき膜厚を揃える(同一あるいはほぼ同一にする)ことも容易に実現できる。
また、仮想垂直面330Sを中心とする対称形に形成された気泡振り分け部332を具備する遮蔽体330は、気泡16を基板1の両側へ均等に振り分けることから、めっき液11中を上昇する気泡流に接触された状態にあっても揺動しにくい。
これらの構成により、遮蔽体30は、めっき液11中の気泡流内に配置された状態であっても揺動しにくく、仮想垂直面330Sが基板1の仮想延長面1Sと一致した状態を安定に維持でき、気泡16を基板1の両側へ均等に振り分ける機能を安定に維持できる。
このとき、基板1としては、例えば、厚手のプリント配線板、半導体ウェハ等、遮蔽体330の浮力によって遮蔽体330から与えられる押圧力によって変形しない程度の強度を有するものであることが好ましい。
遮蔽体103は、遮蔽体330の場合と同様に、めっき槽12の昇降案内部材17によって、めっき液11中での揺動を許容して、その昇降が案内されるように設置する。
Claims (7)
- 基板(1)をめっき液(11)中に懸垂させ電気めっきを行う際に、前記基板の両面又は片面の電流密度をそれぞれ均一化させるために、前記基板の下端部に設けられるめっき電流遮蔽体であって、
前記基板の下端部に沿ってその下側に延在配置される細長部材であり、その下部あるいは全体の断面形状が、下方に凸の山形とされ、
この断面山形部分が、前記めっき液中を上昇する気泡流を前記基板の両側に振り分ける気泡振り分け部(310、322、332)として機能することを特徴とするめっき電流遮蔽体(30、310、310A、310B、320、330)。 - 前記気泡振り分け部は、その下端頂部(311、323、332a)から前記基板側の上端部に向かって延在する両側の側面(312、324、332b)が対称形に形成されていることを特徴とする請求項1記載のめっき電流遮蔽体。
- めっき液中での浮力発生用の気体が封入されてなる浮力発生部(333)を具備しており、前記めっき液に浮設されることを特徴とする請求項2記載のめっき電流遮蔽体。
- めっき液中に懸垂させて電気めっきを行う基板を保持して昇降され、前記基板とともに前記めっき液中に浸潰されるめっき用治具であって、
前記基板の外周を囲繞する枠状の治具本体(21)の下部に、請求項1又は2記載のめっき電流遮蔽体を具備することを特徴とするめっき用治具(20、20A、20B、20C、20D)。 - 基板(1)をめっき液(11)中に懸垂させて電気めっきを行うためのめっき装置であって、
前記めっき液を貯留するめっき槽(12)に、前記めっき液に浮設した請求項3記載のめっき電流遮蔽体と、この電流遮蔽体のめっき液中での昇降を案内する昇降案内部材(17)と、前記めっき槽の底部に設置され前記めっき液中に気泡を放出する散気部(15)とが設けられていることを特徴とするめっき装置(10A)。 - 基板(1)をめっき液(11)中に懸垂させて、その両面に電気めっきを行うめっき基板の製造方法において、
前記基板を懸垂して、その下側に請求項1〜3のいずれかに記載のめっき電流遮蔽体が設けられた状態で、前記めっき液中に浸潰し、
前記めっき液中を上昇する気泡流中にてめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法。 - 請求項3記載のめっき電流遮蔽体を用いる請求項6記載のめっき基板の製造方法であって、
前記基板を懸垂させてめっき液に浸漬する時に、前記基板の下端部あるいは前記基板を囲繞する枠状の基板昇降用治具(40)の下端部によって、めっき液に浮設しておいた前記めっき電流遮蔽体を押圧して下方へ移動し、前記めっき電流遮蔽体が、該めっき電流遮蔽体自体の浮力によって、前記基板もしくは前記基板昇降用治具に接触した状態でめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法。
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