JP4993900B2 - 記憶障害抑制剤 - Google Patents

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メラトニン若しくはその誘導体、その薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を含む、記憶障害抑制剤に関する。
ショウジョウバエと哺乳類とは、Ca2+/cAMPシグナリングに関与する遺伝子や各種細胞接着因子をコードする遺伝子など多くの遺伝子が共通して学習記憶形成に関与していることが認められている。従って、ショウジョウバエと哺乳類は学習記憶過程に多くの共通した分子メカニズムを有することが示されている。
さらに、ショウジョウバエは寿命が約1ヶ月と短く、変異体での加齢性記憶障害の解析や、薬物摂取飼育下で薬物の加齢性記憶障害に対する効果を調べるのに関し、寿命が年単位の哺乳類モデルより適している。
ヒト同様にショウジョウバエでもみられる加齢性記憶障害の分子メカニズムの解明と、その改善法の開発は、きたる少子高齢化社会におけるQuality of Life (QOL)の向上に不可欠である。そこで、発明者らはショウジョウバエを用いて加齢性記憶障害の行動遺伝学的解析による、老人性痴呆症改善薬検索と哺乳類モデル開発のためのショウジョウバエモデルに関する研究を行っている。
記憶はそこに関わる遺伝子の違いと遺伝子変異体の示す記憶保持の特性から短期記憶、中期記憶、麻酔耐性記憶、長期記憶などの記憶成分に分類されている。ショウジョウバエを用いた、匂い条件付け学習による学習記憶行動の解析から、加齢性記憶障害の原因がこれら記憶過程の非特異的な障害ではなく、神経ペプチドをコードするamn遺伝子という遺伝子が関与する記憶過程(中期記憶)の、特異的な低下にあることが見出された。即ち野生型老齢体はamn変異体と同一の学習記憶障害を示し、中期記憶成分が障害された加齢体であり、amn変異体ではもはや加齢による記憶の更なる低下は起こらない(図2)。このことから、加齢体ではamnesiac (amn)変異体でみられる記憶障害と同様の記憶障害が起こることが見出された。
ところで、メラトニンは、血液脳関門を通過して脳神経細胞に作用する松果体ホルモンであり、生体リズムを調節するものとして、特に眠りのリズムに影響を与えることが知られているほか、抗酸化ストレス作用なども報告されている(特許文献1、2)。また、すでに栄養補助剤として米国では広く普及しているが、大きな副作用の報告もない。
しかしながら、メラトニンの加齢性記憶障害に関する知見は知られていない。
特開2002−128773号公報 特表2005−517654号公報
本発明は、メラトニン若しくはその誘導体又はそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含む、記憶障害抑制剤を提供する。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、メラトニンの摂取により加齢体での記憶障害が顕著に改善されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)メラトニン若しくはその誘導体、その薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を含む、記憶障害抑制剤。メラトニン又はその誘導体は、
次式I:

(I)

(式中、Xはハロゲン原子又は水素原子を表し;Rは水素原子、置換又は非置換のC1−6−アルキル基、置換又は非置換のC2−6−アルケニル基、置換又は非置換のC2−6−アルキニル基、置換又は非置換の芳香族基、置換又は非置換のアラルキル基、置換又は非置換のアシル基、置換又は非置換のアリールスルホニル基、置換又は非置換のC1−6−アルキルスルホニル基、置換又は非置換のC2−7−アルコキシカルボニル基、又は水酸基を表し;Rは置換又は非置換のC1−21−アルキル基を表し;R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子又はハロゲン原子を表し;Rは水素原子、又は置換又は非置換のC1−6−アルキル基を表す。)で示される化合物又はその塩で示されるものでもよい。さらに、上記記憶障害抑制剤は、加齢による記憶障害を抑制するためのものがあげられる。
本発明により、メラトニン若しくはその誘導体、その薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を含む、記憶障害抑制剤が提供される。本発明の抑制剤は、加齢に伴う記憶障害の予防又は改善に使用することができ、また、アルツハイマー病など老年性神経疾患の予防又は改善に使用することも期待できるため、極めて有用である。
本発明は、メラトニン若しくはその誘導体、その薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を含む、記憶障害抑制剤に関する。
加齢性記憶障害は少子高齢化社会における高齢者の社会参加の枠を制限する大きな要因となることが予想されているが、未だ有効かつ適当な用法の予防薬、改善薬は見つかっていない。インスリン様栄養因子が加齢性記憶障害の改善に有効であることが報告されているがこれは血液脳関門を通過せず、脳室内投与が前提となっているなどヒトに適用するには問題が残っているのみならず、副作用などの問題も解決されていない。
一方、メラトニンは血液脳関門を通過して脳神経細胞に作用する松果体ホルモンである。また、すでに栄養補助剤として米国では広く普及しており、大きな副作用の報告もない。これらのことから、メラトニンはヒトでの加齢性記憶障害の予防若しくは改善薬として極めて有望な物質である。メラトニンの作用を分子レベルで解明することにより加齢性記憶障害のメカニズムの解明も大きく進むことが期待される。
1.記憶障害
(1)記憶障害のメカニズム
記憶は、記銘、保持、追想(再認)という一連の精神的作用によって維持されており、この過程のどこかに異常が起これば記憶は障害される。さらに記憶はそこに関わる遺伝子の違いと遺伝子変異体の示す記憶保持の特性から、短期記憶(short-term memory)(STM)、中期記憶(middle-term memory)(MTM)、麻酔耐性記憶(longer-lasting anesthesia-resistant memory)(ARM)、長期記憶などの記憶成分に分類されている(図1b)。記憶障害には、老人性痴呆症として知られている加齢に伴う学習・記憶能力の低下、すなわち、加齢性記憶障害が知られている。加齢性記憶障害(age-related memory impairment)(AMI)は、多くの動物種において観察されている。AMIは、神経ペプチドをコードするamn遺伝子が関与する疾患であり、中期記憶の特異的な低下が原因であると考えられる。
本発明の抑制剤は、このような記憶障害のいずれにも適用が可能であり、加齢性記憶障害に対して好ましく適用することができる。
(2)モデル動物
記憶障害が抑制されたか否か、すなわち記憶障害が改善又は予防されたか否かを調べるための試験には、様々な動物モデルを用いることができるが、以下の点でショウジョウバエが好ましい。まず、ショウジョウバエと哺乳類は学習記憶過程に多くの共通した分子メカニズムを有しており、ショウジョウバエでもヒト同様に記憶障害が見られる。さらに、ショウジョウバエは寿命が約1ヶ月と短く、寿命が年単位の哺乳類モデルより適している。特に、加齢性の記憶障害等の解析には、寿命が短いショウジョウバエをモデルとして用いるのが好ましい。
(3)記憶障害の解析方法
記憶障害の抑制効果の有無は、学習記憶行動を解析することにより検討することができる。学習記憶行動を解析するには、例えば行動遺伝学的解析を行うこともできる。具体的には、匂い条件付けパラダイム(a single olfactory conditioning paradigm)の手法を採用することができるが本手法に限定されない。匂い条件付けパラダイムは、例えば、3-オクタノールと4-メチルサイクロヘキサノールという二種類物質のうち、いずれか1つの物質の匂いを、電気ショック(60V)を与えながら1分間嗅がせた後、他方の物質の匂いを今度は電気ショックなしで1分間嗅がせて、どちらの物質による匂いが危険であるかを弁別学習させることによる。この弁別学習後任意の時間に記憶テストを行う。記憶テストは、2種類の匂いを左右それぞれから流し、いずれか一方の匂いを選択させて(図1a)、2種類の匂いを電気ショックの有無で交互に組み合わせて1回の実験とする。多くの場合、ショウジョウバエは電気ショックを与えられながら嗅がせられた匂いを避け、もう一方の匂いを選択するが、学習してからの時間、遺伝子の変異などの様々な要因で選択を間違える場合がある。そのため、電気ショックと匂いの組み合わせを正しく覚えたショウジョウバエと、間違ったショウジョウバエの数を数え、記憶係数を算出し、記憶係数が高ければ高いほど記憶が良好であると判断できる。
このような匂い条件付け学習による加齢性記憶障害の行動遺伝学的解析により、加齢性記憶障害の原因は、記憶過程の非特異的な減衰ではなく、神経ペプチドをコードするamn遺伝子が関与する、中期記憶過程中期記憶の特異的な低下にあることが示される。
amn遺伝子は、ハエにおいて、哺乳類の脳下垂体アデニリルシクラーゼ活性化ポリペプチド(pituitary adenylyl cyclase activating peptide;PACAP)と成長ホルモン放出ホルモン(growth hormone releasing hormone;GHRH)に高い相同性を有する遺伝子産物をコードしている。PACAP、GHRHは、いずれもcAMP合成酵素であるアデニルシラーゼ(adenylyl cylase;AC)を活性化する。amn依存性のcAMP依存性プロテインキナーゼ AなどのcAMP情報伝達系がamn遺伝子シグナリングである。なお、amn遺伝子産物は、記憶過程以外に、cAMPシグナル伝達経路を介してエタノール感受性を制御し、ハエの脳において、嗅覚学習及び嗅覚記憶の神経の中心である、キノコ体(MB)の葉を神経支配するDPM細胞中で優位的に発現することから、嗅覚記憶形成の際にMBにおけるcAMPシグナル伝達を調節する。
2.メラトニン誘導体
メラトニンの誘導体は次式I:

(I)

(式中、Xはハロゲン原子又は水素原子を表し;Rは水素原子、置換又は非置換のC1−6−アルキル基、置換又は非置換のC2−6−アルケニル基、置換又は非置換のC2−6−アルキニル基、置換又は非置換の芳香族基、置換又は非置換のアラルキル基、置換又は非置換のアシル基、置換又は非置換のアリールスルホニル基、置換又は非置換のC1−6−アルキルスルホニル基、置換又は非置換のC2−7−アルコキシカルボニル基、又は水酸基を表し;Rは置換又は非置換のC1−21−アルキル基を表し;R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子又はハロゲン原子を表し;Rは水素原子、又は置換又は非置換のC1−6−アルキル基を表す。)で示される化合物又はその塩をいう。
本発明においては、式Iで表される化合物の任意の薬学的に許容可能な塩を使用することが可能である「薬学的に許容可能な塩」としては、特に限定されないが、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、ピロ硫酸、メタリン酸、ヨウ化水素酸等の各種無機酸付加塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸等の各種有機酸付加塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、等の各種アミノ酸との塩を挙げることができる。また、上記式で表されるメラトニン誘導体がフェノール性水酸基又はカルボキシル基を有する場合には、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩として用いることもできる。
本発明において式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、無水物であってもよく、水和物などの溶媒和物を形成していてもよい。溶媒和物は水和物、非水和物のいずれであってもよい。非水和物としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
式Iで表される化合物は、公知の化学合成により、あるいは市販品(Sigma社)としても得ることができる。
(2)メラトニン摂取
式Iで表される化合物、その薬学的に許容可能な塩又はこれらの溶媒和物(例えばメラトニン)を含む餌で飼育・加齢させた加齢体群(メラトニン摂取群とする)の記憶スコアは、対照となる通常の餌で飼育した加齢体群より顕著に高い(図3)。これは、例えば、以下のようなショウジョウバエを用いた実験手法により確認することができる。
メラトニン摂取群は、メラトニンを適当量のエタノールに溶解した後100μg/mlとなるよう餌に混入し、野生型ショウジョウバエに羽化後から摂取させるものである。対照群としては、メラトニンを含まない溶媒(エタノール)のみを同量餌に混入し摂取させる。このように飼育した各々の群のショウジョウバエについて、匂い学習記憶実験を行う。
対照群では、羽化後20日齢において、加齢性記憶障害の特徴である学習後1時間の記憶(1時間記憶)の大きな低下が顕著となる(記憶係数が約70から約40へ低下)。一方、メラトニン摂取群の野生型ショウジョウバエでは、羽化後20日齢における1時間記憶については、顕著な低下が見られない(記憶係数約60)。なお、amn変異体は、対照群と同様の結果を示す。
このように、メラトニンを摂取することにより、記憶障害を抑制又は予防することができる。そこで1)加齢性記憶障害の予防・改善薬としてのメラトニンの有効性をショウジョウバエ、哺乳類モデルで検証し、2)メラトニンの誘導体から加齢性記憶障害の改善により効果的なものを検索し予防・改善薬の開発を目指すことができる。
4.記憶障害抑制剤
本発明の記憶障害抑制剤は、メラトニン若しくはその誘導体、その薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を有効成分として含む。
本発明は、メラトニンを含む餌で飼育・加齢させた加齢体群での記憶スコアは、対照となる通常の餌で飼育した加齢体群より顕著に高いことから、メラトニンを摂取することにより、記憶障害を抑制又は予防することができるという知見に基づくものである。
本発明の記憶障害抑制剤は、哺乳動物や昆虫に投与することができる。投与の対象となる哺乳動物としては、例えばヒトのほか、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の家畜、イヌ、ネコ等の愛玩動物、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等の実験動物が挙げられるが、これらの動物に限定されるものではない。昆虫には、ショウジョウバエなどが含まれるがこれらに限定されるものではない。
本発明の記憶障害抑制剤の投与形態は、経口、非経口投与のいずれでも可能である。経口投与の場合は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又はシロップ剤等による投与が可能である。非経口投与の場合は、注射剤、座剤、点眼剤、経肺剤型(例えばネフライザーなどを用いたもの)、経鼻投与剤型、経皮投与剤型(例えば軟膏、クリーム剤)等が挙げられる。注射剤型の場合は、例えば点滴等の静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射等により全身又は局部的に投与することができる。これらの製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの医薬上許容される添加剤を用いて周知の方法で製造される。
賦形剤としては、例えば、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
滑沢剤(コーティング剤)としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。
結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾール等のフェエノール類が挙げられ、さらに、チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。
矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。
また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができる。
界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。
上記添加物等は、本発明の記憶障害抑制剤の剤型に応じて上記の中から単独で又は適宜組み合わせて選ばれる。例えば、注射用製剤として使用する場合、精製されたメラトニン若しくはその誘導体、その薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を溶剤(例えば生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液等)に溶解し、これにTween 80、Tween 20、ゼラチン、ヒト血清アルブミン等を加えたものを使用することができる。あるいは、使用前に溶解する剤形とするために凍結乾燥したものであってもよい。凍結乾燥用賦形剤としては、例えば、マンニトール、ブドウ糖等の糖アルコールや糖類を使用することができる。
本発明の記憶障害抑制剤の投与量は、年齢、性別、症状、投与経路、投与回数、剤型によって異なる。投与方法は、患者の年齢、症状により適宜選択する。有効投与量は、例えば(体重約1 mgのショウジョウバエが100μg/mlのメラトニンを含む餌を一日約5μl摂取することから類推して)一日につき体重1kgあたり約500μgである(500μg/kg)。但し、上記記憶障害抑制剤はこれらの投与量に制限されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
記憶障害抑制に対するメラトニンの効果
メラトニンは適当量のエタノールに溶解した後100μg/mlとなるよう餌に混入し、野生型ショウジョウバエに羽化後から摂取させた(メラトニン摂取群)。対照群ではメラトニンを含まない溶媒(エタノール)のみを同量餌に混入し摂取させた(対照群)。メラトニン摂取群、対照群は3〜4日ごとに新しいエサに変えながら20日間飼育した。記憶障害の抑制効果の有無は、学習記憶行動を解析することにより検討した。3-オクタノールと4-メチルサイクロヘキサノールという二種類物質のうち、いずれか1つの物質の匂いを、電気ショック(60V)を与えながら1分間嗅がせた後、他方の物質の匂いを今度は電気ショックなしで1分間嗅がせて、どちらの物質による匂いが危険であるかを弁別学習させる。学習後1時間で記憶テストを行い、いずれか一方の匂いを選択させた。
その結果、対照群ではamn変異体同様、加齢性記憶障害の特徴である学習後1時間の記憶(1時間記憶)の大きな低下が羽化後20日齢で既に顕著となっていた。一方、メラトニンを含む餌で飼育した野生型ショウジョウバエではこの1時間記憶の低下が顕著に抑制されていた(図3)。
メラトニンの効果と用法のショウジョウバエでの検討
羽化直後から加齢性記憶障害が顕著となる20日齢まで、任意の日齢からメラトニンメラトニン摂取を開始し、いつから摂取を始めれば加齢性記憶障害の改善効果が得られるか、メラトニン摂取群、対照群の20日齢で1時間記憶を比較した。
ショウジョウバエは羽化後、1日後から20日間飼育し学習記憶実験を行った。メラトニン接種群は学習記憶実験前の20、15、10または、5日間メラトニンを含むエサで飼育した。対照群はメラトニンを含まないエサで飼育した。記憶障害の抑制効果の有無は、学習記憶行動を解析することにより検討した。3-オクタノールと4-メチルサイクロヘキサノールという二種類物質のうち、いずれか1つの物質の匂いを、電気ショック(60V)を与えながら1分間嗅がせた後、他方の物質の匂いを今度は電気ショックなしで1分間嗅がせて、どちらの物質による匂いが危険であるかを弁別学習させる。学習後1時間で記憶テストを行い、いずれか一方の匂いを選択させた。
その結果、メラトニンを接種した時間が長いほど1時間記憶の低下が少なくなっていた。
記憶が短期記憶、中期記憶、麻酔耐性記憶、長期記憶などの記憶成分に分類されることを示す図である。 野生型老齢体はamn変異体と同一の学習記憶障害を示し、中期記憶成分が障害された加齢体、amn変異体ではもはや加齢による記憶の更なる低下は起こらないことを示す図である。 メラトニンの構造式および記憶障害抑制に対するメラトニンの効果を示す図である。

Claims (1)

  1. メラトニンその薬学的に許容可能な塩、又はこれらの溶媒和物を含む、加齢による記憶障害抑制剤。
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