JP4993217B2 - 伝動装置 - Google Patents

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本発明は、装飾性を向上してなる伝動装置に関する。
装飾に利用される伝動装置は、見た目の面白さが重要とされる。例えば特許文献1乃至3には、透明板に指針を設けた時計であって、その指針を駆動する機構が見た目からは解らないように構成されたものが開示されている。つまり、時計を見る者にとっては、なぜ指針が動くのかと興味をそそる不思議なものとなっている。
特開2006−284256号公報 特開2006−126029号公報 特開2005−54822号公報
さて、この種の伝動装置 については、その趣向を凝らすとともに、被駆動部の駆動効率の向上、耐久性の向上等が重要な課題とされており、特許文献1乃至3のような時計についても、これらの諸条件を考慮しつつ更なる構造的工夫が求められている。
例えば、所定の透明板を上下方向に公転させると、その透明板の自重により、駆動手段には負荷の変化が生じる。すなわち、駆動手段の負荷は、透明板の上昇時には大きくなり、下降時には小さくなる。故に、被駆動部をより安定的に駆動させるためには、こうした負荷の変化に対処するための構成が必要とされる。特に、被駆動部が時計の指針である場合には、時刻表示の精度に大きく影響するため、これが非常に重要な課題となる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装飾性に優れ且つ合理的に構成された伝動装置を提供することである。
本願第1請求項に記載した発明は、被駆動部に動力を伝達する装置であり、前記被駆動部を駆動可能に装着した第1透明板と、前記第1透明板と向かい合うとともに前記被駆動部と係合した第2透明板と、前記第2透明板を前記第1透明板に対して公転させる駆動手段とを備え、前記被駆動部が前記第2透明板の公転に連動して駆動する伝動装置において、前記被駆動部は、時計の指針を回転する指針駆動機構であり、更に、前記第2透明板と向かい合う第3透明板を備え、前記駆動手段は、前記第2透明板及び前記第3透明板を対称に公転させるものとし、前記第3透明板を公転させることにより、前記第2透明板の自重による当該駆動手段の負荷の変化を低減した構成の伝動装置である。
本発明によれば、装飾性に優れ且つ合理的に構成された伝動装置を得ることができる。
以下に、本発明の実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。これらの図に示す本例の伝動装置1は、被駆動部たる指針駆動機構200に動力を伝達するものである。指針駆動機構200は、時針210及び分針220をそれぞれ所定の速度で回転する輪列機構となっている。
そして、指針駆動機構200を配置した時刻表示部100は透明となっており、伝動装置1の手前側からは奥側、奥側からは手前側が透けて見える構成となっている。指針駆動機構200には歯車等が連結されていないことが一目で解る。つまり、伝動装置1を見る者にとっては、なぜ指針が動くのかと興味をそそる不思議なものとなっている。
この伝動装置1は、被駆動部たる指針駆動機構200と、指針駆動機構200を駆動可能に装着した第1透明板310と、第1透明板310と向かい合うとともに指針駆動機構200と係合した第2透明板320と、第2透明板320を第1透明板310に対して公転させる駆動手段400とを備え、指針駆動機構200が第2透明板320の公転に連動して駆動するものである。
また本例の場合、その特徴として、第2透明板320と向かい合う第3透明板330を備え、駆動手段400は、第2透明板320及び第3透明板330を対称に公転させるものとし、第3透明板330を公転させることにより、第2透明板320の自重による当該駆動手段400の負荷の変化を低減した構成となっている。
第2透明板320のみを公転させる構成であると、駆動手段400の負荷は、第2透明板320の上昇時には大きくなり、下降時には小さくなる。そこで、重量が等しい同型の第3透明板330を、第2透明板320と同時に公転させることにより、駆動手段400の負荷の変化を低減し、被駆動部200の駆動の安定化を達成している。
図中の500は、第2透明板320及び第3透明板330の縁部の移動領域を覆う枠体500である。第2透明板320及び第3透明板330の公転は、外部から認識することができないようになっている。
第2透明板320及び第3透明板330は、第4透明板340を挟んで向い合っている。また、枠体500の正面には第5透明板350、背面には第6透明板360が設けられている。第1透明板310、第4透明板340、第5透明板350、及び第6透明板360は、それらの縁部を枠体500にそれぞれ支持されている。
第2透明板320は、第1透明板310と第4透明板340との間に配置され、第3透明板330は、第4透明板340と第6透明板360との間に配置されている。第1透明板310及び第4透明板340には、第2透明板320との間隔を規制するスペーサ311,341が適宜間隔で設けられている。また、第4透明板340及び第6透明板360には、第3透明板330との間隔を規制するスペーサ342,362が適宜間隔で設けられている。各スペーサ311,341,342,362は、枠体500に覆われており、外部から見えることはない。
各透明板310,320,330,340,350,360は、ガラス製又は樹脂製の透明又は半透明のプレートである。
時刻表示部100は、枠体500で囲まれた部位である。第1透明板310、第4透明板340、第5透明板350、及び第6透明板360のいずれかには、時刻の指標部101が設けられている。
枠体500は、台座600の上部に装着されている。駆動手段400は、台座600の内部に収納されている。
本例の駆動手段400は、モータ410と、第4透明板340の下部に設けられるとともににモータ410の出力ギア411に連結された輪列420と、第4透明板340に回転可能に装着されるとともに輪列420に従動する複数(図例では2つ)の回転出力部430とを備えている。各回転出力部430がそれぞれ第2透明板320及び第3透明板330を枢支しており、モータ410の動力が輪列420を介して回転出力部430に伝わり、回転出力部430が第2透明板320及び第3透明板330を操作して、それらを対称に公転させる構成となっている。尚、枠体500及び台座600は、外部から駆動手段400が見えないように構成されている。
複数の回転出力部430は、輪列420により所定の速度で同期回転する。これらの回転出力部430には、第2透明板320を枢支する第1のピン431と第3透明板330を枢支する第2のピン432がそれぞれ設けられており、これらのピン431,432は、回転半径が等しいものとなっている。また、第1のピン431と第2のピン432は、回転出力部430の回転軸に対して位相が180°ずれている。
つまり、第2透明板320と第3透明板330は、公転周期が等しく且つ1/2ずれており、互いに180°の回転対称となっている。それらの上昇下降及び左右移動のタイミングは、常に反対となる。図3は、第2透明板320が上昇から下降に転じる際、すなわち第3透明板330が下降から上昇に転じる際のそれらの位置関係を示している。図4は、図3の状態から第2透明板320が下降した際、すなわち第3透明板330が上昇した際のそれらの位置関係を示している。
指針駆動機構200は、第1透明板310に対して回転可能に設けられるとともに第2透明板320を枢支する第3のピン231を設けた回転入力部230を備えている。第3のピン231は、第1のピン431及び第2のピン432と回転半径が等しいものとなっている。
指針駆動機構200の具体的な構成は、特に限定はしないが、本例の場合、分針220を支持するとともに回転入力部230と同期回転する分針パイプと、指針パイプの回転を減速する日ノ裏車と、時針210を支持するとともに日ノ裏車と噛合するギアを備えた時針パイプとを備えたものである。第2透明板320及び第3透明板330の公転周期は1時間であり、分針220の回転周期も1時間である。また、時針210の回転周期は12時間である。
第1のピン431、第2のピン432、第3のピン231、及び各スペーサ311,341,342,362の位置関係は、第2透明板320及び第3透明板330の公転がきしむことがないように設定している。
以上説明した本例の伝動装置1によると、第2透明板320の自重と第3透明板330の自重が相殺されるので、駆動手段400の負荷の変化が確実に低減される。このように本例の伝動装置1は、装飾性に優れ且つ合理的に構成されたものであり、時計の指針210,220を駆動する装置として好適に利用することができる。
尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。例えば、枠体500及び各透明板310,320,330,340,350,360の形状については、矩形に限らず様々な形態が考えられる。
また、本例の駆動手段400は、2枚の透明板を互いに180°の回転対称となるように公転させるものであるが、或は、3枚の透明板を公転させるよう構成することも可能である。その場合は、それらが互いに120°の回転対称となるように公転させる。
更に、本例の伝動装置1は、時針210及び分針220を駆動するものであるが、第2透明板320を1分間で1回転させる等して、更に秒針を駆動するように構成することも可能である。
また、本例の構成は、標準時刻電波等の時刻情報を受信するとともに指針による表示時刻をその時刻情報に基づいて自動修正する自動修正時計に応用することも可能である。自動修正時計の場合は、時刻情報を受信する受信手段や、モータ410を制御する所定のプログラムを格納したマイコン等を設ける。
更に、被駆動部としては、指針駆動機構200の他、装飾用の飾り等を駆動するように構成することも可能である。更に、第1透明板310に複数の被駆動部を設けるとともに各被駆動部をそれぞれ第2透明板320に係合し、複数の被駆動部を駆動するように構成することも可能である。
また、第1透明板310の前後にそれぞれ第2透明板320及び第3透明板330を設け、1つ又は複数の被駆動部を複数の第2透明板320にて駆動するように構成することも可能である。かかる場合は、各第2透明板320の公転速度や公転の大きさがそれぞれ異なるように設定することにより、より複雑な被駆動部の駆動形態を得ることが可能となる。
本発明の伝動装置は、時計の指針を駆動する装置として好適に利用することが可能である。
本発明の実施例に係り、伝動装置を示す正面図である。 本発明の実施例に係り、伝動装置を示す側面断面図である。 本発明の実施例に係り、伝動装置の要部を示す説明図である。 本発明の実施例に係り、伝動装置の要部を示す説明図である。
符号の説明
1 伝動装置
100 時刻表示部
101 指標部
200 指針駆動機構(被駆動部)
210 時針
220 分針
230 回転入力部
231 第3のピン
310 第1透明板
311 スペーサ
320 第2透明板
330 第3透明板
340 第4透明板
341 スペーサ
342 スペーサ
350 第5透明板
360 第6透明板
362 スペーサ
400 駆動手段
410 モータ
411 出力ギア
420 輪列
430 回転出力部
431 第1のピン
432 第2のピン
500 枠体
600 台座

Claims (1)

  1. 被駆動部に動力を伝達する装置であり、前記被駆動部を駆動可能に装着した第1透明板と、前記第1透明板と向かい合うとともに前記被駆動部と係合した第2透明板と、前記第2透明板を前記第1透明板に対して公転させる駆動手段とを備え、前記被駆動部が前記第2透明板の公転に連動して駆動する伝動装置において、
    前記被駆動部は、時計の指針を回転する指針駆動機構であり、
    更に、前記第2透明板と向かい合う第3透明板を備え、
    前記駆動手段は、前記第2透明板及び前記第3透明板を対称に公転させるものとし、前記第3透明板を公転させることにより、前記第2透明板の自重による当該駆動手段の負荷の変化を低減したことを特徴とする伝動装置。
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