JP4987553B2 - 複合光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材側光学素子とガラス光学素子とを接合して一体化させた複合光学素子及びその製造方法に関する。
この種の複合光学素子では、いずれかの光学機能面に非球面を形成すれば、全体として非球面レンズの性能を持たせることが可能である。複合光学素子には、単一の光学素子では得られない優れた性能を有するため、光学系を有するカメラ、顕微鏡、内視鏡等において重用されている。
従来、このような複合光学素子として、例えば特許文献1には、ガラスの基材レンズの一方の表面にガラスの成形素材を加圧被覆し、形成されるガラス層の成形レンズを基材レンズに融着させて一体化した複合レンズが提案されている。
この特許文献1では、主にレンズ外径がφ20mm以上の大口径のガラスレンズを対象としている。また、成形されるガラスレンズは、0.5〜2mmよりも薄い層状に形成され、光学機能面に非球面を形成することも可能である。
更に、この特許文献1には、成形レンズのガラスと基材レンズのガラスは、次の条件を満たすことが記載されている。
すなわち、成形レンズのガラスのガラス転移点は、基材レンズのガラスのガラス転移点よりも40℃以上低くする。また、成形レンズのガラスの平均熱線膨張係数は、基材レンズのガラスの平均熱線膨張係数よりも3×10-7〜8×10-7/℃小さくする。接合して一体化する材料はガラス同士である。
ところで、この基材側光学素子の材料として、例えば光学結晶材料あるいは透光性焼結体を用いることができれば、光学ガラスと比較して機械的特性(強度、硬さ等)、熱的特性(耐熱温度、熱伝導性等)、光学特性(透過率、透過波長範囲等)の面で優れた点が多く、高性能な複合光学素子を得ることができる。
反面、これら光学結晶材料あるいは透光性焼結体は加工性が悪く、研削、研磨加工においては、平面あるいは曲率半径の大きい球面加工に限定されている。
特許文献2には、硫化亜鉛(ZnS)又はシリコン(Si)からなる結晶性のレンズ基材に、赤外線透過ガラスのカルコゲナイドガラスを成形により一体化した赤外線用複合レンズ及びその製造方法が提案されている。
この硫化亜鉛(ZnS)又はシリコン(Si)は、赤外光領域で透過性の優れた材料である。カルコゲナイドガラスは、成形により薄肉レンズ層としてレンズ基材と一体化させている。また、薄肉ガラス層には、その表面に回折面や非球面を付与している。更に、赤外光領域において透過特性の優れた材料が用いられている。
特許第3763552号公報 特開2006−220705号公報
一般的に、撮影・観察装置は可視光領域での使用を前提としたものが多い。そして、可視光領域において使用可能な材料としては、光学ガラスに加え、光学結晶材料や透光性焼結体(透光性セラミックス)が知られている。
しかしながら、特許文献1では、接合一体化する組み合わせが光学ガラス同士に限定されている。このため、光学ガラスと比べて光学特性のすぐれた光学結晶材料あるいは透光性焼結体(透光性セラミックス)を用いることに関しては想定されていない。
また、特許文献2では、レンズ基材としてのシリコン(Si)及びカルコゲナイドガラスは、通常の光学ガラスと比較して可視光領域の透過特性が劣るものが多い。このため、複合レンズ全体として可視光領域での使用には適さない。
本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、可視光領域で良好な透過特性を有し、かつ、高性能化、高品質化に対応可能な複合光学素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
基材側光学素子と光学ガラスからなるガラス光学素子とで構成される複合光学素子において、
前記基材側光学素子と前記ガラス光学素子とは直接的に接合一体化されており、
前記基材側光学素子に用いられる基材側材料は、異方性を有する光学結晶材料で、かつ、可視光領域で透明であり、前記基材側材料は、融点をTcmp、結晶軸の各軸方向の中で熱線膨張係数の最小値をαcmin、熱線膨張係数の最大値をαcmaxとすると、
Tcmp≧750(℃)
αcmin≧2×10 −6 (/℃)
αcmax≦17×10 −6 (/℃)
を満足するものの中から選択し、前記ガラス光学素子を構成する成形素材は、熱線膨張係数をαgとすると、
αcmax−3×10 −6 ≦αg≦αcmin+3×10 −6 (/℃)
を満足するものの中から選択する、ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、基材側光学素子と光学ガラスからなるガラス光学素子とで構成される複合光学素子の製造方法において、前記基材側光学素子に用いられる基材側材料は、異方性を有する光学結晶材料で、かつ、可視光領域で透明であり、
前記基材側材料は、融点をTcmp、結晶軸の各軸方向の中で熱線膨張係数の最小値をαcmin、熱線膨張係数の最大値をαcmaxとすると、
Tcmp≧750(℃)
αcmin≧2×10 −6 (/℃)
αcmax≦17×10 −6 (/℃)
を満足するものの中から選択されたものであって、
前記ガラス光学素子を構成する成形素材は、熱線膨張係数をαgとすると、
αcmax−3×10 −6 ≦αg≦αcmin+3×10 −6 (/℃)
を満足するものの中から選択されたものであって、
前記基材側光学素子の一方の光学機能面と金型の成形面との間に、前記ガラス光学素子
を形成する成形素材を載置した状態で、所定の成形温度に加熱して前記成形素材を加熱軟
化する工程と、前記成形素材を前記基材側光学素子と金型とで所定の圧力で挟持して前記ガラス光学素子を成形すると同時に、前記基材側光学素子と前記ガラス光学素子とを接合一体化する工程と、冷却した後に成形された複合光学素子を取り出す工程と、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、可視光領域で良好な透過特性を有し、かつ、高性能化、高品質化に対応可能な複合光学素子を得ることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
(材料等の諸条件)
最初に、基材側光学素子として使用可能な光学結晶材料及び透光性焼結体としての条件、及び、ガラス成形及び成形による接合一体化に関する諸条件を説明する。
本実施形態では、可視光領域において使用可能であることを前提としている。この点、市販の光学ガラスは可視光領域での透過特性が優れている点が特徴である。
また、光学結晶材料及び透光性焼結体も、可視光領域(波長400nm〜750nm)での透過特性が良好なことが求められる。
光学結晶材料として、Al23、MgO、SiO2、TiO2、ZrO2、ZnO、Gd3Ga512、LiNbO3、MgAl24、SrTiO3、Tb3Ga512、Y3Al512、YVO4、MgF2、LaF3、ZnS、からなる結晶材料が利用可能である。
また、透光性焼結体(透光性セラミックス)として、酸化物を1つ以上組み合わせた化合物からなる焼結体材料、例えば、透光性アルミナセラミックス、透光性マグネシアセラミックス、透光性セラミックスの「ルミセラ」(村田製作所製)、などが利用可能である。
成形素材としてのガラスを成形するには、ガラスが軟化する温度まで加熱させる必要がある。このときの加熱温度は、ガラス転移点Tgよりも数10度以上高い温度になる。
市販されている光学ガラスは、そのガラス転移点Tgが、Tg<740(℃)となっている。
成形時に基材側光学素子が変形しないためには、光学結晶材料及び透光性焼結体の融点Tcmpが
Tcmp≧750(℃) (式1)
となる必要がある。
さらに、基材側光学素子(基材レンズ28(図3等参照))とガラス光学素子(成形レンズ31(図3等参照))との成形による接合一体化で、引っ張り強度の劣るガラスに割れを生じさせないようにする必要がある。このため、熱線膨張係数のマッチングを行う。熱線膨張係数のマッチングには、ガラスのヤング率E(標準的なものは7×104MPa程度)と引張強度S(最大約90MPa)、成形温度Tm(平均的には500〜600℃)を考慮する。
概算値を算出するため、Δα≦S/(E×Tm)とおく。
この式に、前述したヤング率Eと成形温度Tmの数値を代入すると、Δα≦2.5×10-6/℃が得られる。
実用上は、もう少し範囲を広げることができ、Δα≦3×10-6-1程度に設定することができる。
ここで、基材側光学素子を構成する基材側材料の熱線膨張係数αcについて考える。
市販の光学ガラスの熱線膨張係数αgは、
4.7×10-6 ≦ αg ≦ 14.5×10-6 (/℃)
の範囲で存在している。
このため、基材側材料の熱線膨張係数αcは、Δαの値を考慮すると、
2×10-6 ≦ αc ≦ 17×10-6 (/℃)
を満足するものの中から選択する必要がある。
ガラス光学素子を構成する成形素材(光学ガラス)は、次の条件を満たすように選択される。
ここで、基材側光学素子を構成する光学結晶材料あるいは透光性焼結体の熱線膨張係数をαcとし、成形素材としての光学ガラスの熱線膨張係数をαgとする。
光学ガラスは、
αc−3×10-6 ≦ αg ≦ αc+3×10-6 (/℃) (式2)
を満足させるものから選択する。
また、接合しやすさの観点からは、複合光学素子のサイズは、接合している範囲が20mmよりも小さいほうが好ましい。
(第1の実施の形態)
図1は、加熱成形状態にある成形装置の部分概念図を示している。
成形装置10は、金型組立体20を挟んで対向配置された上側プレート12及び下側プレート14と、上側プレート12を下側プレート14に向けて(矢印A方向に)押圧する加圧装置21を有している。上側プレート12には、上側カートリッジヒータ16が内蔵されている。下側プレート14には、下側カートリッジヒータ18が内蔵されている。
金型組立体20は、加熱、成形、冷却の各工程が実行されて複合光学素子が得られる。成形工程では、金型組立体20は、上側プレート12と下側プレート14との間に挟持された状態で加圧装置21により押圧成形される。
図2は、基材側光学素子(基材レンズ28)に用いられる基材側材料と、ガラス光学素子(成形レンズ31)を構成する成形素材30との組み合わせ例、及び各材料ごとの物性を示す図である。
同図において、組み合わせ例(a)〜(c)は、基材側材料としての光学結晶a〜cと成形素材30としてのガラスa’〜c’の組み合わせを示している。また、他の組み合わせ例(d)は、基材側材料としての透光性焼結体dと成形素材30としてのガラスd’の組み合わせを示している。
図2によれば、光学結晶及び透光性焼結体は、ガラスに比べて、ヤング率、硬さ、融点の値が大きい数値を示している。また、図示していないが、一般的なガラスと比べて、可視光領域の透過率が高く、透過波長範囲が広いものが多い。
なお、図2中、ガラスにおけるガラス転移点、屈伏点、融点の欄の横線(−)の表示は、特性がないか又は製造元等での開示がないものである。
本実施形態では、基材側材料と成形素材の組み合わせ例のうち、図2における組み合わせ例(a)を用いている。
この組み合わせ例(a)では、基材側材料としての光学結晶aは、成形素材としてのガラスa’よりもヤング率Eが大きく、変形しにくい。また、基材レンズ28に用いる光学結晶aは、融点Tcmp(3250℃)が高く耐熱性に優れている。
更に、この組み合わせ例(a)は、(式1)、(式2)の関係を満足している。なお、組み合わせ例(a)のみでなく、それ以外の組み合わせを用いてもよい。特に、図示していない組み合わせであっても、(式1)と(式2)を満足するものであれば使用可能である。
次に、図3(a)〜(c)は、金型組立体20による複合光学素子の製造工程を示している。
すなわち、図3(a)は、金型組立体20の組み立て工程を示し、図3(b)は、金型組立体20による成形工程を示し、図3(c)は、成形された複合光学素子32を示している。なお、図1に示した上側プレート12と下側プレート14は図示を省略している。
図3(a)に示すように、金型組立体20は、対向配置された上型22と下型24とを有している。上型22及び下型24は、円筒状のスリーブ26に嵌挿されている。
上型22は成形面22aを有し、下型24は成形面24aを有している。これら成形面22aと成形面24aは、所定距離だけ離間して、かつ対向して配置されている。上型22の成形面22aは、対向側に突出した凸形状を有し、下型24の成形面24aは、対向側にへこんだ凹形状を有している。このため、成形される複合光学素子はメニスカスレンズとなる。
なお、上型22、下型24、スリーブ26の材料としては、例えば炭化タングステンなどの合金が使用されている。
成形に際しては、下型24の成形面24a上に、基材側光学素子としての基材レンズ28を載置する。また、この基材レンズ28の一方の光学機能面(成形面24aと非接触側の光学機能面)と上型22の成形面22aとの間に、ガラス光学素子を構成する成形素材30を配置する。
この場合、基材レンズ28は光学結晶aからなり、外形φ10mmの平凸形状を有している。その光学機能面は、研削、研磨加工により、鏡面に仕上げられている。この基材レンズ28は可視光領域で透明な材料である。また、成形素材30は光学ガラスa’からなり、外形φ8mmの平行平板形状である。
なお、成形素材30の形状は、平行平板形状以外にも、近似形状あるいはボール形状としてもよい。また、寸法サイズや形状は、ここに記載したものに限定されない。
次いで、成形素材30を所定の成形温度まで加熱して軟化させる。
この場合、金型組立体20の内部では、成形素材30が成形温度Tm(420℃)に加熱されて軟化状態になる。但し、基材レンズ28を構成する光学結晶aは融点Tcmpが成形温度Tmよりも高いため、軟化しない。
次に、図3(b)に示すように、成形素材30を、基材レンズ28と上型22の成形面22aとの間で加圧する。上型22を下型24に接近移動させることで、上型22と基材レンズ28で挟まれた成形素材30が押し潰され、成形が進行する。このとき、成形素材30の変形量を制御することで、ガラス光学素子としての成形レンズ31の厚みを調整することが可能である。成形レンズ31は、ガラスゆえ、単体では強度が不足して加工時の応力で割れてしまうような薄さでも、基材レンズ28と接合させることで強度を増加させることができる。つまり、成形レンズ31をより薄肉化することができる。
このとき、成形素材30は、変形しながら、上型22の成形面22aが転写されて成形レンズ31に成形される(図3(c)参照)。これと同時に、成形素材30は基材レンズ28との境界面で接合される。
こうして、図3(c)に示すように、成形後に、金型組立体20を冷却して離型すれば、成形レンズ31と基材レンズ28とが接合一体化された複合光学素子32が得られる。
成形された複合光学素子32は、基材レンズ28と成形レンズ31とが直接的に(接着剤等なしで)接合面29を介して一体化されている。また、成形レンズ31と接合一体化される基材レンズ28の接合面29は、基材レンズ28の熱線線膨張係数が等方になる面で形成されている。
このように、成形素材30を成形することにより成形レンズ31が得られる。そして、成形手段により製造するため、成形レンズ31の成形面には比較的曲率半径の小さい凹形状の球面を形成することが可能である。また、ここで得られる複合光学素子32はメニスカスレンズである。
なお、基材レンズ28の形状と成形レンズ31の形状を変更すれば、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどを成形することができる。
また、図示していないが、必要に応じて、複合光学素子32の屈折率差により接合界面で発生する反射光を抑制するため、接合面29に光学薄膜を介在させることが可能である。この場合は、成形前に基材レンズ28の接合面29側に蒸着処理で光学薄膜を付着させる。
光学薄膜は、光学ガラスの原料となり得るもののうち、比較的取り扱いが容易な化合物から材料を選ぶ。また、基材レンズ28と成形レンズ31の各材料の組み合わせから膜厚を設定する。これにより、光学薄膜は可視光領域で透明であり、かつ、基材レンズ28と成形レンズ31の直接的な接合作用を確保することができる。
本実施形態によれば、複合光学素子32は、光学ガラスa’よりも機械的特性、熱的特性あるいは光学的特性の面で優れた光学結晶aを利用することができる。このため、光学ガラス同士で構成された複合光学素子よりも特性を向上させることができる。
また、各材料の組み合わせを、式(1)または式(2)を満足するように選択するため、接合後に良好な品質を確保することができる。
さらに、基材レンズ28に使用する光学結晶a、及び成形レンズ31に使用する光学ガラスa’は、可視光領域で透過特性が良好であるため、複合光学素子32として可視光領域の透光性を確保することができる。
また、複合光学素子32を構成する成形レンズ31は、基材レンズ28と接合することにより、より薄肉にすることができる。よって、複合光学素子32の薄型化を図ることができる。また、複合光学素子32の接合面29に、反射防止機能を有する光学薄膜を介在させると、接合境界面での光の反射を低減することができる。
また、本実施形態では、成形手段による製造であるため、光学結晶aを使用しても形状加工の自由度を確保することができる。また、ガラス成形で接合一体化するため、接着剤による接着工程を省略することができ、工程が簡略化されコストダウンを図ることができる。
以上から、本実施形態の複合光学素子32は、可視光領域で良好な光透過特性を有し、かつ、高性能化、高品質化に対応することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、その基本的な部分は第1の実施の形態と同一であるため、以下に主として相違点を記載する。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、基材側材料と成形側材料の組み合わせ例のうち、図2における組み合わせ例(d)を用いている。
この組み合わせ例(d)では、基材側材料としての透光性焼結体dは、成形素材としての光学ガラスd’よりも融点が高く、耐熱性に優れている。
更に、この組み合わせ例(d)は、(式1)、(式2)の関係を満足している。なお、図2の組み合わせ例(d)以外の組み合わせでも、(式1)と(式2)を満足するものであれば使用可能である。
図4(a)〜(c)は、金型組立体20による複合光学素子の製造工程を示している。
すなわち、図4(a)は、金型組立体20の組み立て工程を示し、図4(b)は、金型組立体20による成形工程を示し、図4(c)は、成形された複合光学素子32を示している。なお、図1に示した上側プレート12と下側プレート14は図示を省略している。
図4(a)に示すように、金型組立体20は、対向配置された上型22と下型24とを有している。上型22及び下型24は、円筒状のスリーブ26に嵌挿されている。
上型22の成形面22aは、対向側に突出した凸形状を有し、下型24の成形面24aは、対向側にへこんだ凹形状を有している。
基材レンズ(透光性焼結体d)28はメニスカスレンズの形状を有している。この基材レンズ28の光学面は、研削、研磨加工により、鏡面に仕上げられている。成形素材(光学ガラスd’)30はボール形状を有している。
成形に際しては、下型24の成形面24a上に、基材レンズ28を載置する。また、この基材レンズ28の一方の光学機能面(成形面24aと非接触側の光学機能面)と上型22の成形面22aとの間に、成形素材30を配置する。この状態で、成形素材30を所定の成形温度まで加熱して軟化させる。
次に、図4(b)に示すように、成形素材30を、基材レンズ28と上型22の成形面22aとの間で加圧する。上型22を下型24に接近移動させることで、上型22と基材レンズ28で挟まれた成形素材30が押し潰され、成形が進行する。こうして、成形素材30は、変形しながら、上型22の成形面22aが転写されて成形レンズ31が成形される。
次に、図4(c)に示すように、成形後に、金型組立体20を冷却して離型すれば、成形レンズ31と基材レンズ28とが接合一体化された複合光学素子32が得られる。
成形された複合光学素子32は、基材レンズ28と成形素材30とが直接的に接合面29を介して一体化されている。また、成形レンズ31と接合一体化される基材レンズ28の接合面29は、基材レンズ28の熱線線膨張係数が等方になる面で形成されている。
本実施形態によれば、基材レンズ28に透光性焼結体dを使用しても、第1の実施の形態と同様に、可視光領域で良好な透過特性を有し、かつ、高性能化、高品質化に対応可能な複合光学素子32を得ることができる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、その基本的な部分は第1の実施の形態と同一であるため、以下に主として相違点を記載する。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、基材側材料と成形素材の組み合わせ例のうち、図2における組み合わせ例(c)を用いている。
この組み合わせ例(c)では、基材側材料としての光学結晶cと、成形素材としての光学ガラスc’を用い、これらを接合一体化したものである。この光学結晶cは異方性を有するものを使用する。
光学結晶cは可視域で透明であり、光学ガラスc’よりも変形しにくさ、硬さ、耐熱性が優れている。
基材レンズ(光学結晶c)28は平行平板レンズの形状を有している。この基材レンズ28の光学機能面は、研削、研磨加工により、鏡面に仕上げられている。また、成形素材30は光学ガラスc’で、平行平板形状を有している。
光学結晶として異方性のある材料を使用する場合、基材レンズ28の接合面の設定方法あるいは各材料の組み合わせ条件を工夫する必要がある。
本実施形態では、最初に、基材レンズ28の接合面の設定方法を工夫する例を説明する。
例えば、光学結晶が正方晶系又は六方晶系の場合、特定軸方向のみに異方性が表れる。この場合、基材レンズ28の接合面内で特性を等方にすることが可能になる。このため、光学結晶で熱線膨張係数の等方になる面が基材レンズ28の接合面になるように、向きを設定して加工する。
また、基材レンズ28で等方性を確保した接合面内の熱線膨張係数をαgとする。
光学ガラスは、前述した(式2)の熱線膨張係数αcを使い、これを満足するものから選択して使用することが可能である。
基材側材料と成形側材料の組み合わせとして、図2の組み合わせ例(c)を用いた場合、αc=5×10-6(/℃)、αg=5.4×10-6(/℃)となり、(式2)の関係を満足している。
次に、基材側材料と成形側材料の組み合わせ条件を工夫する例を説明する。
光学結晶において、最小の熱線膨張係数をαcmin、最大の熱線膨張係数をαcmaxとする。
また、光学ガラスの熱線膨張係数をαgとし、(式2)の条件を考慮すると、
αcmin−3×10-6 ≦ αg ≦ αcmin+3×10-6 (/℃)
αcmax−3×10-6 ≦ αg ≦ αcmax+3×10-6 (/℃)
の両方の式を満足させる必要がある。
上記の両方の式が重複する領域に着目すると、
αcmax−3×10-6 ≦ αg ≦ αcmin+3×10-6 (/℃)
(式2’)
の条件が得られる。
本実施形態のように、基材レンズ28が異方性を有する光学結晶cの場合、光学ガラスc’は(式1)および(式2’)を満足するものの中から選択して使用することが可能である。
基材側材料と成形側材料の組み合わせとして、図2の組み合わせ例(c)を用いた場合、αcmin=5×10-6(/℃)、αcmax=6.7×10-6(/℃)、αg=5.4×10-6(/℃)となり、(式2’)の関係を満足している。
次に、成形工程について簡単に説明する。
図5(a)〜(c)は、金型組立体20による複合光学素子の製造工程を示している。
すなわち、図5(a)は、金型組立体20の組み立て工程を示し、図5(b)は、金型組立体20による成形工程を示し、図5(c)は、成形された複合光学素子32を示している。なお、図1に示した上側プレート12と下側プレート14は図示を省略している。
図5(a)に示すように、金型組立体20は、対向配置された上型22と下型24とを有している。上型22及び下型24は、円筒状のスリーブ26に嵌挿されている。
上型22の成形面22aは、対向側に突出した非球面が形成され、下型24の成形面24aは、対向側に平行な平面形状を有している。
そして、成形と同時に基材レンズ28と成形素材30とを接合一体化することで、複合光学素子32の成形面を非球面化することが可能である。なお、図示していないが、上型22の成形面22aに回折レンズ面形状を形成してもよい。
成形に際しては、下型24の成形面24a上に、基材レンズ28を載置する。また、この基材レンズ28の一方の光学機能面(成形面24aと非接触側の光学機能面)と上型22の成形面22aとの間に、成形素材30を配置する。この状態で、成形素材30を所定の成形温度まで加熱して軟化させる。
次に、図4(b)に示すように、成形素材30を、基材レンズ28と上型22の成形面22aとの間で加圧する。上型22を下型24に接近移動させることで、上型22と基材レンズ28で挟まれた成形素材30が押し潰され、成形が進行する。こうして、成形素材30は、変形しながら、上型22の成形面22aが転写されて成形レンズ31が成形される。
次に、図5(c)に示すように、成形後に、金型組立体20を冷却して離型すれば、成形レンズ31と基材レンズ28とが接合一体化した複合光学素子32が得られる。
成形された複合光学素子32は、基材レンズ28と成形素材30とが直接的に接合面29を介して一体化されている。
本実施形態によれば、基材レンズ28に異方性を有する光学結晶cを使用しても、第1の実施の形態と同様に、可視光領域で良好な透過特性を有し、かつ、高性能化、高品質化に対応可能な複合光学素子32を得ることができる。また、複合光学素子32の光学面を非球面化あるいは回折レンズ面化することで、収差補正能力を向上させることができる。
この複合光学素子32は、光学ガラスc’よりも機械的特性、熱的特性、あるいは光学的特性の面で優れた光学結晶cを用いているため、光学ガラス同士で構成された複合光学素子32よりも特性を向上させることができる。
また、各材料の組み合わせを(式1)又は(式2)(あるいは(式2’))を満足するように選択するため、接合後に良好な品質の複合光学素子32を得ることができる。
また、基材レンズ28に使用する光学結晶c及び成形レンズ31に使用する光学ガラスc’は、可視光領域で透過特性が良好であるため、複合光学素子32として可視光領域での透光性を確保することができる。
更に、複合光学素子32を構成する成形レンズ31は、基材レンズ28と接合させることでより薄肉にでき、これにより、複合光学素子32の薄型化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、成形手段による製造方法を用いたため、光学結晶aを使用しても形状加工の自由度を確保することができる。また、ガラス成形で接合一体化するため、接着剤による接着工程を省略することができ、工程が簡略化されてコストダウンを図ることができる。
加熱成形状態にある成形装置の部分概念を示す図である。 複合光学素子を構成する基材側材料と成形側材料との組み合わせ例、及び各材料ごとの物性を示す図である。 第1の実施の形態の金型組立体による複合光学素子の製造工程を示す図である。 第2の実施の形態の金型組立体による複合光学素子の製造工程を示す図である。 第3の実施の形態の金型組立体による複合光学素子の製造工程を示す図である。
符号の説明
10 成形装置
12 上側プレート
14 下側プレート
16 上側カートリッジヒータ
18 下側カートリッジヒータ
20 金型組立体
21 加圧装置
22 上型
22a 成形面
24 下型
24a 成形面
26 スリーブ
28 基材レンズ(基材側光学素子)
29 接合面
30 成形素材
31 成形レンズ(ガラス光学素子)
32 複合光学素子

Claims (2)

  1. 基材側光学素子と光学ガラスからなるガラス光学素子とで構成される複合光学素子において、
    前記基材側光学素子と前記ガラス光学素子とは直接的に接合一体化されており、
    前記基材側光学素子に用いられる基材側材料は、異方性を有する光学結晶材料で、かつ、可視光領域で透明であり、
    前記基材側材料は、融点をTcmp、結晶軸の各軸方向の中で熱線膨張係数の最小値をαcmin、熱線膨張係数の最大値をαcmaxとすると、
    Tcmp≧750(℃)
    αcmin≧2×10 −6 (/℃)
    αcmax≦17×10 −6 (/℃)
    を満足するものの中から選択し、
    前記ガラス光学素子を構成する成形素材は、熱線膨張係数をαgとすると、
    αcmax−3×10 −6 ≦αg≦αcmin+3×10 −6 (/℃)
    を満足するものの中から選択する、
    ことを特徴とする複合光学素子。
  2. 基材側光学素子と光学ガラスからなるガラス光学素子とで構成される複合光学素子の製造方法において、
    前記基材側光学素子に用いられる基材側材料は、異方性を有する光学結晶材料で、かつ、可視光領域で透明であり、
    前記基材側材料は、融点をTcmp、結晶軸の各軸方向の中で熱線膨張係数の最小値をαcmin、熱線膨張係数の最大値をαcmaxとすると、
    Tcmp≧750(℃)
    αcmin≧2×10 −6 (/℃)
    αcmax≦17×10 −6 (/℃)
    を満足するものの中から選択されたものであって、
    前記ガラス光学素子を構成する成形素材は、熱線膨張係数をαgとすると、
    αcmax−3×10 −6 ≦αg≦αcmin+3×10 −6 (/℃)
    を満足するものの中から選択されたものであって、
    前記基材側光学素子の一方の光学機能面と金型の成形面との間に、前記ガラス光学素子
    を形成する成形素材を載置した状態で、所定の成形温度に加熱して前記成形素材を加熱軟
    化する工程と、
    前記成形素材を前記基材側光学素子と金型とで所定の圧力で挟持して前記ガラス光学素
    子を成形すると同時に、前記基材側光学素子と前記ガラス光学素子とを接合一体化する工
    程と、
    冷却した後に成形された複合光学素子を取り出す工程と、を有する、
    ことを特徴とする複合光学素子の製造方法。
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