JP4985333B2 - ポンプ流体機械 - Google Patents
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Description
図2は一般的な流体機械の部分断面図である。
図3は羽根が存在するハブ表面の正面図である。
図2に示すような羽根1を有するポンプには、ボス5を取り囲むようにハブ2の表面に複数個のバランスホール6が設けられている。このバランスホール6はハブ表側3からハブ裏側4に貫通して形成されている。7はハブ2のハブ表側3に形成されたバランスホール6の開口部である。8はハブ2のハブ裏側4に形成されたバランスホール6の開口部である。
図3は上述のようにポンプのインペラを吸込み側から見た正面図である。
図3に示すように、羽根1はインペラ回転方向の矢印のように反時計方向に回転するため、曲線12は羽根1の圧力面がハブ表側3の面と交わる圧力曲線となる。曲線13は羽根の負圧面がハブ表側の面と交わる負圧曲線となる。羽根1の圧力面は圧力が高く、負圧面は圧力が低くなっている。
図1において、BPREは羽根の圧力面前縁のハブ面での位置、BSUCは羽根の負圧面前縁のハブ面での位置を表す。15は回転軸中心とBPREを結ぶ直線及び圧力曲線12を表しており、16は回転軸中心とBSUCを結ぶ直線及び負圧曲線13を表している。rはバランスホール開口部中心の半径である。半径rの円と直線及び曲線15、直線及び曲線16の交点がそれぞれPPRE,PSUCである。θPREはバランスホール開口部中心のPPREからの角度、θSUCはバランスホール開口部中心のPSUCからの角度を表している。
ができる。
図4はポンプのインパラを吸込み側から見た図である。
図4において、rLEは回転軸中心とBSUCの距離、θBは羽根1ピッチ間の角度である。θはバランスホール開口部中心のPSUCからの角度である。バランスホール開口部中心の半径rをr=0.99rLEとし、θ=0.26θB,0.36θB,0.46θB,0.56θB,0.67θB,0.79θB、とした条件において三次元流体解析を行い、インペラに作用する軸スラストを予測した。図5がその予測した結果であり、バランスホール開口部中心を直線及び曲線16に近づけることにより軸スラストが低減できるのがわかる。
図6において、ポンプ大流量域運転時においては羽根圧力面の前縁付近において、流れの剥離による圧力の低い領域が発生し、この領域でキャビテーションが発生するという問題がある。また図6に示すようにバランスホール開口部から漏れる液体は圧力が低いため、この液体が羽根圧力面と干渉してポンプ大流量域運転時のキャビテーション発生を促進する場合がある。本例はバランスホール開口部を圧力面から遠ざけるものであり、よって軸スラストを低減しつつ更にポンプ大流量域運転時のキャビテーションの問題を改善するという効果が得られる。
図8はバランスホール開口部中心の直線及び曲線16からの角度と軸スラストの関係を示す。
参考例1で記載のようにバランスホール開口部中心を直線及び曲線16に近づけるほど軸スラストが下がる様子を表している。ここでポンプの仕様点流量付近においては、角度θと軸スラスト分布を示す直線17及び軸スラスト分布を示す破線18で示されるようにほぼ線形の関係となっている。軸スラストが最大となる低流量域運転においては羽根の前縁において大きな剥離が発生する。
図10は羽根1が回転軸方向に複数組み込まれた多段ポンプを表している。このようなポンプにおいても軸スラストを低減するためにバランスホールを設置する。しかしバランスホールを設置すると漏れ流れ損失が増大してポンプ効率が低下するという問題が発生する。参考例1に記載の方法を用いてバランスホールを加工することにより、バランスホールによる軸スラスト低減効果が大きいため、図10に示すバランスホールの加工をある段においては省略することができる。図10は羽根1aが存在する段のバランスホールの加工を省略した例である。このような方法により多段ポンプの軸スラストを低減しつつ更にポンプ効率の上昇を得ることができる。
図11に本発明の参考例を示す。
本例の特徴はハブ裏面上のバランスホール開口部8らハブ表側のハブ面上のバランスホール開口部7にかけて、バランスホールの断面積が縮小するように形成されていることである。バランスホールをこのように形成することにより、図11に示すようにハブ裏側の領域10からハブ裏側のハブ面上のバランスホール開口部8へと液体が流れ込むときにバランスホール開口部8での圧力損失が小さくなるため、ハブ裏側での圧力Pbが低くなって軸スラストを低減することができる。図11に示すバランスホールではバランスホールの断面積が円錐形状で縮小されている。断面積を縮小させるためのバランスホールの形状については任意とする。
ハブ裏側の領域10からハブ裏側のハブ面上のバランスホール開口部8に流れ込む液体は、図13に示す半径方向速度21と軸方向速度22の速度成分の他にインペラが回転していることによって周方向の速度成分を持つ。
2 ハブ
3 ハブ表側
4 ハブ裏側
5 ボス
6 バランスホール
7 ハブ表側面上のバランスホール開口部
8 ハブ裏側面上のバランスホール開口部
9 吸い込み領域
10 ハブ裏側の領域
11 吸い込み側の方向
12 圧力曲線
13 負圧曲線
14,23,24 矢印
15 回転軸中心と羽根圧力面側の前縁のハブ面上での位置を結ぶ直線及び羽根圧力面の位置を示す曲線
16 回転軸中心と羽根負圧面側の前縁のハブ面上での位置を結ぶ直線及び羽根負圧面の位置を示す曲線
17,19 軸スラスト分布を示す直線
18 軸スラスト分布を示す破線
20 ハブ面上の低圧力領域
21 半径方向速度
22 軸方向速度
Claims (2)
- 羽根がポンプの回転軸方向に複数個組み合わされたポンプ流体機械において、
前記羽根の1ピッチ間であって、
前記ハブの表側面でのバランスホール開口部の中心位置と前記羽根の圧力面との交線である圧力曲線との距離と、前記バランスホール開口部の中心位置と前記圧力曲線上の前縁点と回転軸中心を結ぶ直線との距離とのうち、短い方の距離を第1の距離とし、
前記バランスホール開口部の中心位置と前記羽根の負圧面との交線である負圧曲線との距離と、前記バランスホール開口部の中心位置と前記負圧曲線上の前縁点と回転軸中心を結ぶ直線との距離とのうち、短い方の距離を第2の距離としたとき、
前記第1の距離より前記第2の距離の方が短くなるように前記バランスホールを設置し、かつ複数段ある羽根のうちの一部の段に前記バランスホールの加工を省略することを特徴とするポンプ流体機械。 - 請求項1記載のポンプ流体機械において、
前記ハブ内部をハブ裏側面上の前記バランスホール開口部から、前記ハブ表側面上の前記バランスホール開口部にかけてバランスホールが貫通する方向を、前記ハブ裏側の領域から前記ハブ裏側面上の前記バランスホール開口部に流れ込む液体が持つ速度方向に合わせたことを特徴とするポンプ流体機械。
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