JP4985067B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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本発明は半導体発光素子に関し、更に詳しくは、発光層部を備えた化合物半導体層を、基板貼替え技術を用いて導電性支持基板によって支持した構造の半導体発光素子に関するものである。
近年、半導体発光素子である発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)は、GaN系やAlGaInP系の高品質結晶をMOVPE法で成長出来る様になったことから、青色、緑色、橙色、黄色、赤色の高輝度LEDが製作出来る様になった。そして、LEDの高輝度化に伴い、その用途は自動車のブレーキランプや液晶ディスプレイのバックライト等へと広がり、LEDの需要も年々増加している。
現在、MOVPE法によって高品質の結晶が成長可能となってから、特にAlGaInP系LEDの内部量子効率は理論的に限界値に近づきつつある。しかし、LED素子からの光取出し効率はまだまだ低く、光取出し効率を向上することが重要となっている。
例えば、高輝度赤色LEDは、AlGaInP系の材料で形成され、導電性のGaAs基板上に格子整合する組成のAlGaInP系の材料から成るn型AlGaInP層とp型AlGaInP層とそれらに挟まれたAlGaInP又はGaInPから成る発光層(活性層)を有するダブルヘテロ構造と成っている。しかしながら、GaAs基板のバンドギャップは発光層のバンドギャップよりも狭い為に、発光層からの光の多くがGaAs基板に吸収され、光取出し効率が著しく低下する。
こういった物理的な問題に対し、例えば特許文献1にあるように、発光層とGaAs基板との間に、屈折率の異なる半導体層を積層した多層反射膜構造を形成し、GaAs基板での光吸収を低減し、光取出し効率を向上させる方法がある。しかし、この方法では、発光層から多層反射膜構造へ向かう光の内、限定された小さな入射角の光しか反射することが出来ない。
そこで、例えば特許文献2にあるように、AlGaInP系の材料から成るダブルへテロ構造を反射率の高いAu系金属層(基板貼合わせの金属接合層でもある)を介してSi支持基板に貼り付け、その後、成長用に用いたGaAs基板を除去する方法が考案されている。この方法を用いた場合には、反射膜として金属層を用いている為、金属層への光の入射角を選ばずに高い反射率を得ることが可能となる。
金属層を介した貼合せ方法の場合、熱圧着接合、または共晶接合のいずれかの接合方式を採用するにしても、貼合せるエピタキシャル成長用基板および支持基板は、十分な接合強度を得るためなどの目的で、例えば150℃〜400℃程度の温度まで加熱する必要がある。しかし、成長用基板と支持基板との線膨張係数差があまりに大きい場合、基板を加熱接合する際に線膨張係数差に起因した大きな反りが発生し、基板が割れたり、クラックが発生したりする場合がある。したがって、支持基板の材料の選択にあっては、成長用基板(出発基板であり、主にGaAs基板)と支持基板との線膨張係数差が小さいことが、重要な選択理由となる。
つまり、貼合せる際の接合温度および成長用基板に対する支持基板の材料を適宜選択することは、貼合せ工程において基板に「割れ」や「クラック」を発生させないために極めて重要なパラメータとなっており、特許文献2において支持基板の材料にSi基板を用いる理由は、これらが要因になっている所が大きい。
しかし、上記の特許文献2の方法では、支持基板であるSi基板とAu系金属層との間に、AuSb(金・アンチモン合金)もしくはAuSn(金・錫合金)から成る基板側接合層が挿入されている。基板側接合層は、Si基板とのオーミック性接触を良好にするために設けられた層であり、Si基板との直列抵抗の低減に有効であるが、主成分がAuで構成されていることから、Siとの合金化反応を非常に起こし易い。このため、貼合せ工程において、Si基板とAu系の基板側接合層とのAu‐Si合金化反応は、反射層であるAu系金属層の合金化反応へと拡がって、Au系金属層の反射率の低下を招く。更に、LEDウェハの電極アロイ工程などにおいて、アロイ中にSi基板とAu系金属層との合金化反応によってAu‐Si合金がメルト化し、その上のエピタキシャル層が剥離しかかる現象が生じる。
そこで、反射層である上記Au系金属層の合金化反応を防止してAu系金属層の光反射率の低下を抑止するために、Au系金属層自体が純粋な状態に保てるように、特許文献3には、Au系金属層とSi支持基板に接合されたAu系の基板側接合層との間に、TiまたはNiを主成分とする拡散阻止用金属層を設ける方法が開示されている。
特開平7−66455号公報 特開2004−235581号公報 特開2004−235506号公報
上述した特許文献3の方法では、拡散阻止用金属層を設けることにより、Au系金属層へのSiの拡散を阻止・抑制することができる。しかしながら、Au系の基板側接合層のAu‐Si合金メルト化によって、エピタキシャル層が剥離しかかる現象までを抑えることは出来ない。何故ならば、この剥離現象は、Si支持基板とエピタキシャル層との間にメルト化層が発生することによってエピタキシャル層が応力などから物理的に解放されるために生じるからである。また、特許文献3には、拡散阻止用金属層にNiを用いる例が示されているが、NiもSiと合金化反応を起こし易い材料であり、上述したAuとSiとの合金化反応の問題と同様に懸念材料が増えることになり、好ましい材料とは言い難い。
本発明は、上記課題を解決し、良好な基板貼合せを実現でき、半導体発光素子の歩留りを向上できる高出力の半導体発光素子を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様は、発光層部を有する化合物半導体層と、前記化合物半導体層を支持する導電性支持基板と、前記化合物半導体層と前記導電性支持基板との間に設けられ、前記発光層部からの光を反射する金属光反射層と、前記化合物半導体層と前記金属光反射層との接合界面の一部に形成された、前記化合物半導体層と合金化した界面電極と、前記導電性支持基板の前記金属光反射層側の主表面に接して形成されたTi層と、前記Ti層の前記金属光反射層側の主表面に接して形成されたAuからなる金属接合層と、前記化合物半導体層の光取出し面となる第一主表面側に形成された表面電極と、前記導電性支持基板の前記Ti層とは反対側の主表面側に形成された裏面電極と、を備え、前記導電性支持基板がSi基板であり、前記界面電極が、前記化合物半導体層と前記金属光反射層との間に形成された誘電体層の開口部の内部にのみ、前記化合物半導体層の第二主表面と前記金属光反射層とを接続して形成された金属層であることを特徴とする半導体発光素子である。
本発明の第2の態様は、第1の態様の半導体発光素子において、前記導電性支持基板の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様の半導体発光素子において、前記Ti層の厚さが50nm以上2μm以下であることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかの半導体発光素子おいて、前記金属接合層の厚みが0.5μm以上3μm以下であることを特徴とする。
本発明の第の態様は、第1〜第の態様のいずれかの半導体発光素子において、前記化合物半導体層の第二主表面の表面積に対する、前記界面電極が前記化合物半導体層の第二主表面に接する面の表面積の割合が、30%以下であることを特徴とする。
本発明の第の態様は、第1〜第の態様のいずれかの半導体発光素子において、前記界面電極が、前記表面電極の直下の領域外に分散して形成されていることを特徴とする。
本発明の第の態様は、第〜第の態様のいずれかの半導体発光素子において、前記誘電体層の主成分がSiO2であることを特徴とする。
本発明によれば、Si等からなる導電性支持基板とAuからなる金属接合層との間に、Ti層のみを設ける構造としたことにより、Ti層はSi等からなる導電性支持基板と合金化反応をしないか或いは合金化反応を極めて起こし難いので、製造中の熱処理による合金メルト化を確実に防止でき、また、Si等からなる導電性支持基板とAuからなる金属接合層との合金化反応をTi層によって効果的に抑止できると共に、導電性支持基板との良好なオーミック性接触が可能となる。これにより、貼り替え型の半導体発光素子の歩留まりを著しく向上でき、更に高出力で低動作電圧の半導体発光素子が得られる。
以下、本発明の半導体発光素子の一実施形態に係る発光ダイオード(LED)を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態のLED素子の構造を示す断面図である。
図1に示すように、LED素子100は、発光層部を有する化合物半導体層14と、化合物半導体層14を支持する導電性支持基板(Si基板など)10と、化合物半導体層14と導電性支持基板10との間に設けられ、前記発光層部からの光を反射する金属光反射層9と、化合物半導体層14と金属光反射層9との接合界面の一部に形成された界面電極8と、導電性支持基板10の金属光反射層9側の主表面に接して形成されたTi層18と、Ti層18の金属光反射層9側の主表面に接して形成されたAuからなる金属接合層11(11a及び11b)と、化合物半導体層14の光取出し面となる第一主表面側に形成された表面電極12と、導電性支持基板10のTi層18とは反対側の主表面側に形成された裏面電極13とを備えている。
化合物半導体層14をエピタキシャル成長によって形成する為の成長用基板(出発基板)の材料に特に制限はない。成長用基板の材料としては、GaAsの他に、InP、Ge、サファイア等を用いてもよい。化合物半導体層14、界面電極8、金属光反射層9及び金属接合層11aを有する成長用基板は、Ti層18、金属接合層11bを有する導電性支持基板10に貼り合わされ、貼り合わせ基板から成長用基板がエッチング等により除去
された後、表面電極12,13が形成される。
化合物半導体層14の発光層部の材料としては、AlGaAs系化合物半導体、AlGaInP系化合物半導体の他に、GaN系化合物半導体、InGaAsP系化合物半導体等、を選択しても良い。但し、黄色帯〜赤色帯の高出力半導体発光素子を得る場合、成長用基板材料はGaAsが好適であり、化合物半導体層材料にはAlGaInP系材料が好適である。
図1の高輝度赤色LEDの場合には、発光層部は、導電性のn型GaAs基板上に格子整合する組成のn型AlGaInPクラッド層4と、p型AlGaInPクラッド層6と、それらに挟まれたAlGaInP活性層(発光層)5とのダブルヘテロ構造となっている。また、図1の化合物半導体層14では、n型AlGaInPクラッド層4と表面電極12との間にn型GaAsコンタクト層3が、またp型AlGaInPクラッド層6と界面電極8との間にp型GaPコンタクト層7がそれぞれ設けられている。
化合物半導体層14のエピタキシャル成長には、MOCVD装置を用いてMOVPE(有機金属気相成長)法による気相成長を行うのが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えばLPE法(液相成長)などの別の製造方法によって作製しても勿論よい。
界面電極8は、p型GaPコンタクト層7と金属光反射層9との間に形成された誘電体層15の開口部に、化合物半導体層14の第二主表面となるp型GaPコンタクト層7界面と金属光反射層9とを接続して形成された金属層である。誘電体層15の開口部、すなわち界面電極8は、表面電極12の直下の領域外に分散して形成するのが、光取出し効率の向上が図れるので好ましい。p型GaPコンタクト層7の第二主表面の表面積に対する、界面電極8のコンタクト層7に接する面の表面積の割合は、30%以下が好ましい。また、誘電体層15の主成分はSiOが好適である。
金属光反射層9とAu金属接合層11との間には、本実施形態では、Pt等からなる合金化バリア層16が設けられている。金属接合層11は、成長用基板側の金属接合層11aと、支持基板10側の金属接合層11bとからなる。成長用基板と支持基板10とを貼り合わせるときには、金属接合層11a面と金属接合層11b面とを密着させ圧力を加え保持した状態で加熱して接合する。金属接合層11の厚みは0.5μm以上3μm以下が
好適である。
また、導電性支持基板10に接触して形成されるTi層18は、酸化物基板、化合物半導体基板、金属基板の何れに対しても良好な密着性を有し、更にTi層18はほとんどの材料に対して低い接触抵抗で接合できる。従って、貼り合わせに用いる導電性支持基板10の材料は特に限定されるものでは無い。Ti層18の厚さは50nm以上2μm以下であるのが好ましい。
導電性支持基板10は、熱伝導や電気伝導を考慮すると、化合物や合金よりも単体が望ましく、例えば、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、チタン、モリブデン、タングステン等が挙げられる。しかし、支持基板10の材料は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、例えば、支持基板と成長用基板やエピタキシャル層との線膨張係数の差があまりにも大きくなると、エピタキシャル層や基板の割れ、クラックの問題が生じる為、これらを考慮すると、GaPやCu‐W合金、Cu‐Mo合金などの化合物や合金も、支持基板10材料の選択の範囲となる。
また、貼合せに用いる支持基板材料は、工業的に安価に入手でき、且つGaAsとの線膨張係数差が大きく離れていないSi基板が好適であると言える。Si基板の場合、その抵抗率は0.1Ω・cm以下が好ましい。また、支持基板材料に半導体を用いる場合にお
いては、Ti層18との直列抵抗を低減させる為、0.05Ω・cm以下の抵抗率を有す
る低抵抗基板を用いることが好ましい。
上述した実施形態の発光ダイオード構造を採用した根拠・理由などを、次に述べる。
第1に、導電性支持基板10がSiから成る場合、Si支持基板の抵抗率は少なくとも0.1Ω・cm以下であることが好ましい。その根拠は、Si支持基板の第一主表面、お
よび第二主表面に形成するTi層18、裏面電極13との接触抵抗を低く抑え、ひいてはLED素子の動作電圧を低く抑える為である。また、抵抗率を0.1Ω・cmよりも高く
してしまうと、電極13,18とのオーミック性接触が得られないばかりか、LEDを動作させる上での支持基板による直列抵抗があまりにも大きくなり過ぎる為、LEDの動作電圧が異常に高くなってしまう。
第2に、Si等からなる支持基板10の第一主表面上のTi層18の膜厚は、50nm以上2μm以下の範囲にあることが好ましい。Ti層18の膜厚の下限値50nmの根拠は次の様なことである。例えば、あまりにTi層18が薄くなり過ぎると、Ti層18とSi支持基板10との間でオーミック性接触が得られにくくなってくるばかりか、Si支持基板10のSiとAu金属接合層11のAuとのSi‐Au合金化反応をTi層18によって抑止する効果も低くなってしまう為である。
また、上限値2μmの根拠は次の様なことである。LED素子の特性上、Ti層18の膜厚は、例え5μmや10μmの厚さになっても特に問題は無いが、Ti層18の意図する所の合金化バリア効果、及びオーミック電極としての働きは、Ti層がもっと薄い膜厚であっても十分に得ることが出来る。したがって過剰にTi層を厚くすることは、AuやPtと比較すればTiは安価な材料ではあるが、原料使用量が増える他、真空蒸着に掛かるスループットの悪化など、コストを上げる要因にしかならない。また、Ti層をスパッタ法、真空蒸着法のいずれの方法で形成しても、Ti層を過剰に堆積することは装置内の温度が異常に熱くなる他、過剰堆積によるメンテナンス周期の短期化など、装置への負担が大きくなる。したがって、過剰に堆積しない好適な範囲としておよそ2μm程度が好ましいのである。上述した、オーミック性接触を得ること、AuとSiとの合金化反応を抑止することなどに対して更に好適であるTi層の膜厚範囲は、製造上のウェハ貼合せ時の加熱温度、電極アロイ時のアロイ温度にも依存するが、およそ100nm以上1μm以内であると言える。
第3に、金属接合層11の膜厚は、ウェハ同士の接合界面において0.5μm以上3.0μm以下の範囲にあることが好ましい。これは、金属接合層11の膜厚が貼合せにおける歩留りに対して極めて重要であるからである。基本的に金属接合層11の膜厚が厚ければ、例えば貼合せ界面において凸形状の異物が付着してあったとしても、その異物を柔らかく包含するように金属接合層11が緩衝層として働くことが出来る。つまり、金属接合層11が厚ければ異物などに起因するボイド(接合不良部)を無くすことが出来る、若しくは小さく抑えることが出来るようになるのである。即ち、貼り替え型LEDの製造において良好な貼合せ歩留りを得る為には、接合界面における金属接合層11の膜厚はおよそ0.5μm以上は必要なのである。それよりも薄い膜厚になると、極めて微小な異物であっ
ても大きなボイドを発生させ、更には貼合せを行う際の圧力印加の偏りが大きな影響となってボイドに反映されることが多くなってしまう。
金属接合層11の膜厚による貼合せ歩留りへの影響は、基本的に厚ければ厚い方が良好な結果を得ることが出来る。しかし、当然ながら歩留りには限界があり、金属接合層11の膜厚を増加させても歩留り向上の効果は徐々に飽和する傾向にある。この飽和状態に近づくほどに金属接合層11の膜厚を厚くすることは、LED素子の取得率を向上させることよりもLED製造に掛かる原料費用のデメリットの方が大きくなり、とても得策とは言い難い。したがって、金属接合層11の膜厚には上限があり、十分な接合歩留りを得られる範囲としては3.0μmが適当である。
更に、金属接合層11を構成する材料はAuが好適である。金属を接合層とした熱圧着による接合では、例えばAgやInなど、色々な材料を用いることが可能であるが、Au
は接合面が酸化し難く、且つ高融点であることから、Auは非常に金属接合層11に好適な材料と言える。しかもAuは、AgやAg合金などの金属接合層で接合した場合と比較し、強力な接合強度を有している。これも貼り替え型LEDを製造する上で非常に重要な要因の一つとなっている。金属接合層11の上限膜厚については先に述べた通りであるが、金属接合層の材料がAuであると、その原材料費は非常に高い為、尚更、上限値が重要となってくる。
第4に、界面電極8の占有面積率は30%以下であることが好適である。ちなみに界面電極の占有面積率とは、化合物半導体層の第二主表面における表面積に対して、界面電極の化合物半導体層の第二主表面に接する面における表面積の割合のことを指している。発光層5から放射された光の一部は化合物半導体層14の第一主表面から外部に放出されるが、それ以外の多くの光は化合物半導体層14の第二主表面側、即ち金属光反射層9、界面電極8の方向に向かっていく。LED素子の構成上、金属光反射層9の部分は発光層5から放射された光に対して良好な光反射率(およそ80%以上)を有する。図5には、波長400〜700nmの光に対する、Al,Ag,Au(金属光反射層9として用いられる)の反射率の測定結果を示す。
しかし、界面電極8の部分はそれとは異なり、非常に低い光反射率(およそ50%以下)を有している。これは、界面電極8が化合物半導体層14とオーミック性接触を得る為に設けられた金属電極であり、その為、一般的には化合物半導体層14と合金化した状態を形成する。半導体と合金化した金属の反射率が低下することは既知の通りであり、この為に界面電極8は光反射特性が期待出来ない領域となっているのである。つまりこれらの事から、化合物半導体層14の第二主表面における界面電極8の占有面積率が多くなり過ぎるとLED素子の出力低下が生じてしまうのである。図6には、界面電極の占有面積率(%)に対する、LED素子の発光出力(mW)及び動作電圧(V)の測定結果を示す。
以上の事から、良好な出力特性を有するLED素子の製造においては少なくとも界面電極8の占有面積率が30%以下であることが好ましく、更に好適には15%以下である事が好ましい。
第5に、化合物半導体層14と金属光反射層9との間に形成される誘電体層15の材料はSiOであることが好ましい。その理由は、SiOの成膜は、種々の誘電体膜の形成に対して、一般的且つ簡便であり、更に、化合物半導体による発光素子が放射する光に対し、極めて良好な透過特性、つまり吸収損失の低さを誇る為である。また、金属光反射層9に用いる材料、例えばAlなどとの密着性が非常に強く、接合界面におけるボイドなどが発生しにくい特徴も有する。以上の事から、誘電体層15に用いる材料にはSiOが好適であると言える。
なお、図1に示す上記実施形態では、AlGaInP活性層(発光層)5をアンドープのバルク層としたが、活性層(発光層)5を多重量子井戸構造または歪み多重量子井戸構造としてもよい。また、上記実施形態では、例えば出発基板に用いるGaAs基板の導電性をn型とし、GaPコンタクト層7の導電性をp型とし、貼り替え型LED用エピタキシャルウェハの完成時には、いわゆるnサイドアップの構造を採用したが、pサイドアップの構造を採る様に各層の導電性を逆にしても、同様な効果が得られる。
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例)
図1に示した上記実施形態と同じ断面構造を有し、発光波長が630nm付近の赤色LED素子を作製した。図2A及び図2Bに、本実施例のLED素子の製造工程の工程図を示す。
まず、図2A(a)に示す構造の発光波長630nm付近の赤色LED用エピタキシャルウェハを作製した。エピタキシャル成長方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル構造や電極形成方法、及びLED素子製作方法は、以下の通りである。
直径3インチのn型GaAs基板1上に、MOVPE法で、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pエッチングストップ層(Siドープ、膜厚200nm、キャリア濃度1×1018/cm)2、n型GaAsコンタクト層(Siドープ、膜厚l00nm、キャリア濃度1×1018/cm)3、n型(Alo.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層(Siドープ、膜厚2.0μm、キャリア濃度1×1018/cm)4、ア
ンドープ(Al0.1Ga0.90.5In0.5P活性層(膜厚500nm)5、p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層(Mgドープ、膜厚400nm、キャリア濃度1.2×1018/cm)6、p型GaPコンタクト層(Mgドープ、膜厚8
00nm、キャリア濃度1×1018/cm)7を、順次積層成長させ、出発基板であるGaAs基板1上に化合物半導体層14を作製した。なお、ここでいう「アンドープ(un-dope)」とは、ドーパントの積極的添加を行なわない、との意味であり、通常の製造
工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1013〜1016/cm程度を上限とする)をも排除するものではない。
ここで、上記した化合物半導体層14の成長パラメータ、使用原料などは次の様に定めた。まず、MOCVD装置を用いたMOVPE法による成長温度は650℃とし、成長圧力約6666Pa(50Torr)、各層の成長速度は0.3〜1.0nm/sec、V/III比は約200前後で行った。因みにここで言うV/III比とは、分母をTMGaやTMAlな
どのIII族原料のモル数とし、分子をAsH、PHなどのV族原料のモル数とした場
合の比率(商)を指す。MOVPE成長における原料としては、例えばトリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、又はトリメチルインジウム(TMIn)等の有機金属ガスや、アルシン(AsH)、ホスフィン(PH)等の水素化物ガスを用いた。n型半導体層の導電型決定不純物の添加物原料としては、ジシラン(Si)を用い、p型半導体層の導電型決定不純物の添加物原料としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いた。その他に、n型層の導電型決定不純物の添加物原料として、セレン化水素(HSe)、モノシラン(SiH)、ジエチルテルル(DETe)、ジメチルテルル(DMTe)を用いることもできる。その他に、p型層のp型添加物原料として、ジメチルジンク(DMZn)、ジエチルジンク(DEZn)などを用いる事も出来る。
次に、このLED用エピタキシャルウェハをMOCVD装置から搬出した後、p型GaPコンタクト層7の表面にp‐CVD(プラズマCVD)装置でSiO膜15を約110nm成膜した(図2A(b))。そして更に、レジストやマスクアライナなどの一般的なフォトリソグラフィー装置・技術を用いると共に、純水で希釈したフッ酸エッチング液を用いてSiO膜15に開口部を形成し、更にその開口部には真空蒸着法によって界面電極8を形成した(図2A(c))。界面電極8の材料にはAuZn合金(金・亜鉛合金、Au:95wt%、Zn:5wt%)を用いた。また、界面電極8は、後に形成される表面電極12の直下以外の領域に配置される様に適宜設計されている。界面電極8の配置は次の通りである。
図3には、本実施例のLED素子(ベアチップ)100の上面図を示す。図3に示すように、本実施例の表面電極12は、LED素子100の上面中央に位置する直径100μmのパッド電極12aと、当該パッド電極12aの4箇所(90度ずつに配置)から延伸された、長さ100μm、幅15μmの細線電極12bとから構成されている。界面電極8は断面が直径15μmの円形ドット形状であり、各界面電極8は、発光ダイオード100の上面から見て、表面電極12直下の領域と重ならない領域部分に分散して配置される
。LED素子100の第一主表面上から見て表面電極12と重なる部分に位置する界面電極は、フォトマスクの設計段階から予め除去して設計している。
界面電極8は、図3に示すように、隣接する界面電極8,8の中央間ピッチを40μmとし、六方最密充填構造状に配置されている。即ち、一辺40μmの正六角形を蜂の巣状に連続して平面上に描いたときの、各正六角形の頂点および中心に界面電極8が位置するように配置させた。
次に、上記界面電極8付きエピタキシャルウェハ(図2A(c))上に、真空蒸着法によって、金属光反射層9としてAl(アルミニウム)を400nm形成した。更に、金属光反射層9上に合金化バリア層16としてPt(白金)を50nm、金属接合層11aとしてAu(金)を500nmを順次形成した(図2A(d))。
そして一方では、導電性支持基板として用意した直径3インチの導電性p型Si支持基板10の第一主表面上に、真空蒸着法によって、オーミック電極兼合金化バリア層としてTi層18を250nm形成し、更にTi層18の上に膜厚500nmのAu金属接合層11bを形成した(図2B(e))。
上記の様にして作製したエピタキシャルウエハ(図2A(d))の金属接合層11aと、Si支持基板(図2B(e))の金属接合層11bとを熱圧着法によって貼合せる。貼合せは、圧力約1.33Pa(0.01Torr)の雰囲気でウェハに圧力を15Kgf/cm加えた状態で、温度350℃に加熱し、更にその状態で30分間加熱保持することによって貼合せウェハを得た(図2B(f))。
次に、支持基板10に貼合せたエピタキシャルウエハの基板材であるGaAs基板1をアンモニア水と過酸化水素水との混合エッチャントを用いてウェットエッチングにより除去し、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pエッチングストップ層2を露出させた。更に、当該エッチングストップ層2を塩酸を用いてウェットエッチングにて除去し、n型GaAsコンタクト層3を露出させた(図2B(g))。
次に、GaAsコンタクト層3表面にフォトリソグラフィー装置・技術を応用し、前述した形状の表面電極12を真空蒸着法にて形成した。表面電極12の構造は、AuGe(金・ゲルマニウム合金)、Ni(ニッケル)、Au(金)を、それぞれ100nm、20nm、600nmの膜厚で順次形成した。表面電極12形成後、硫酸と過酸化水素水と水との混合エッチャントを用いて、先に形成した表面電極12をマスク材とし、表面電極12直下以外のn型GaAsコンタクト層3をウェットエッチングにて除去し、この選択性エッチングによってn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層4を露出させた。更に、Si支持基板10の第二主表面には、全面に裏面電極13を同じく真空蒸着法によって形成した。裏面電極13は、AuSn(金・錫合金)、Pt(白金)、Au(金)を、それぞれ250nm、50nm、500nmの膜厚で順次形成し、その後、電極の合金化処理であるアロイ工程を、上下独立ヒータを備えたアロイ装置で行った。アロイ条件は窒素ガス雰囲気中にて400℃まで加熱し、その状態で5分間熱処理する事とした。ウェハはグラファイト製のトレー上に載せ、トレーを下部ヒータの組み込まれた下部プレート上に設置した。アロイ工程の後、上記の様にして形成された貼り替え型のLED用エピタキシャルウェハを表面電極12の円形パッド部が略中央に配置される様にダイシング装置を用いて切断し、チップサイズ300μm角の貼り替え型LED素子(ベアチップ)を作製した(図2B(h))。この時のLED素子100の光取り出し面側、つまり上面側から見た外観図を図3に示す。
更に、当該LED素子(ベアチップ)をTO‐18ステム20上にダイボンディング、ワイヤボンディングを行って実装し、LED素子に通電出来る状態にまで作製した(図2
B(i))。19はAuワイヤー、21はピンである。
上記の通りに作製されたLED素子の初期特性を評価した所、20mA通電時(評価時)の特性は表1に示した通りの結果となった。図4に、表1記載のLED素子特性の評価を行ったLED素子のLEDウェハ上の評価位置を示す。
Figure 0004985067
表1に示す通り、LEDウェハ面内のいずれのLED素子も、高発光出力、低動作電圧のものが得られた。また、本実施例では、LED素子作製の工程を経ても、ウェハ外周部には合金化反応、メルト化現象が生じなかった。
これは、Ti層18がSi支持基板10とは直接合金化反応をしないということと、Au金属接合層11bとSi支持基板10との間のAu‐Si合金化反応を抑止するバリア効果に優れるということと、Ti層18が密着性良くSi支持基板10上に形成出来、尚且つSi支持基板10と良好なオーミック性接触が得られるという点が重なって実現したものである。また、Ptなどの既知のバリア材料と異なり、AlやNiなどと同様に安価に入手する事が出来る。更にはSi支持基板10側の金属層の構造を極めて簡素に構成出来る為、製造が容易であると共に真空蒸着器などの装置も蒸発源などを少なく出来る為、安価な構成に抑えることが出来る。これらのことにより、総じて貼り替え型LEDの製造コストを低く抑えられる他、高い製造歩留まりでLEDを作製することが可能となった。
なお、上記実施例においては、発光波長630nmの赤色LED素子を作製したが、同じAlGaInP系の材料を用いて製作されるそれ以外のLED素子、例えば発光波長560nm〜660nmのLED素子においても、使用される各層の材料、キャリア濃度は同様であり、特にコンタクト層においては一切の変更点を持たない。従って、仮にLED素子の発光波長を上記実施例と異なる波長帯域としても同様の効果が得られるのは言うまでもない。
また、上記実施例においては、化合物半導体にて構成されるエピタキシャル層の構造を、AlGaInPエッチングストップ層2、GaAsコンタクト層3、AlGaInPクラッド層4,6、AlGaInP活性層5、GaPコンタクト層7で構成したが、特にこれらのみの構造に限定されるものではなく、これら以外に中間的な組成を有するいわゆる中間層が挿入されたり、別の材料によってコンタクト層が構成された構造に置き換わったり、DBR層(分布ブラッグ反射層)が挿入されていたりしても、特に本発明の特徴となる支持基板10、Ti層18、金属接合層11の関係に大きな相違が無い場合においては、同様な効果が得られると言える。
また、上記実施例においては、Si支持基板10の第一主表面上にTi層18を、その上にAu金属接合層11を形成した構造としたが、例えばTi層18とAu金属接合層11との間にPtなどのAuと合金化反応し難い材料をある程度の厚さで挿入した構造としてもよい。
(比較例1)
比較例1として、上記実施例と同様な構造の発光波長630nm付近の赤色LED素子を作製した。エピタキシャル成長の方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル層構造、界面電極、金属光反射層、Si支持基板への貼り替え方法、エッチング方法等のプロセス工程やLED素子製作方法は、基本的に上記実施例と同じとしたが、この比較例1では、Si支持基板10の第一主表面上に形成する金属膜の構造を次の様に構成した。
Si支持基板10の第一主表面上に、AuSn(金・錫合金)、Pt(白金)、Au(金)を、それぞれ250nm、50nm、500nmの膜厚で順次形成した。AuSn層がオーミックコンタクト金属層、Pt層が拡散防止バリア層、Au層が金属接合層となる。
上記の様な構造として作製されたLED素子の初期特性を上記実施例と同様に評価した所、表2に示した通りの結果となった。
Figure 0004985067
上記のLED素子作製の工程を経た所、直径3インチの貼り替え型LED用エピタキシャルウェハの大部分の領域において、金属接合層のAu若しくはオーミック電極として用いたAuSn層に含まれるAuと、Si支持基板のSiとの合金化反応、メルト化現象に起因するエピタキシャル層の浮き上がり現象が生じてしまった。この浮き上がり現象が生じた領域は、激しく合金化しているためにLED特性が大幅に悪化しており、更に、表面の観察状態が無合金化反応の領域とは大きく異なる為、画像認識機能を応用したウェハプローバなどの検査装置にて認識することが出来ない。即ち、上記浮き上がり現象が生じた領域はLED素子として工業的に不十分な特性を有する部分であり、この領域の面積分(直径3インテウェハのおよそ50〜80%程度のばらつきを有している)の歩留まりゼロであり、そのままロスとなった。
(比較例2)
比較例2として、上記実施例と同様な構造の発光波長630nm付近の赤色LED素子を作製した。エピタキシャル成長の方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル層構造、界面電極、金属光反射層、Si支持基板への貼り替え方法、エッチング方法等のプロセス工程やLED素子製作方法は、基本的に上記実施例と同じとしたが、この比較例2では、Si支持基板10の第一主表面上に形成する金属膜の構造を次の様に構成した。
Si支持基板10の第一主表面上に、Al(アルミニウム)、Pt(白金)、Au(金)を、それぞれ250nm、50nm、500nmの膜厚で順次形成した。ここで、Al層はSi支持基板10に対してオーミック電極の役割を果たしている。またPt層はSi支持基板10を構成するSiと金属接合層11であるAuとの合金化反応を抑止する効果も持つが、AlとAuとは非常に合金化し易い材料である為、Al‐Auの合金化反応を抑止する目的の方が強い。
上記の様な構造として作製されたLED素子の初期特性を上記実施例と同様に評価した所、表2に示した通りの結果となった。
Figure 0004985067
この比較例2の場合、上記比較例1とは異なり、LED素子作製の工程を経た時の合金化反応、メルト化現象はウェハの外周部のみに抑えられ、その領域はウェハ外周(エッジ部)からおよそ6mm程度に抑えられた。この領域はLED素子として工業的に不十分な特性を有する部分であり、この領域の面積分(直径3インチウェハのおよそ30%に相当)の歩留まりはゼロで、そのままロスとなった。ロスエリアの面積が上記比較例1よりも抑えられた理由としては、Si支持基板の第一主表面の直上に形成されたAl層がSiとメルト化反応を直接は起こさないことが大きな要因になっている。
しかしながら、それでもメルト化現象を起こし、エピタキシャル層の浮き上がりが生じてしまう理由は、Al層とAu金属接合層とが合金化反応を起こし、AuがAl層側、つまりSi支持基板側に近く拡散して来てしまった為に、AuとSiとの合金化反応が生じたものである。つまり、Pt合金化バリア層(膜厚50nm)はAl層とAu金属接合層との合金化反応を抑止するのに不十分であった。
また、上記比較例2に記載した貼り替え型LED素子の場合、Si支持基板の第一主表面側のAu金属接合層とAl層とが、エピタキシャルウェハとの貼合せ工程時の加熱温度によって合金化反応を起こしてしまう。AuとAlとのAu‐Al合金が生じると、Auの金属原子の拡散反応がスムーズに行われなくなり、Au同士の熱圧着金属接合に対して接合不良の悪影響を及ぼす。この為、本比較例2の貼り替え型LED用エピタキシャルウェハの場合、ウェハ外周部以外の領域においても、無秩序的に貼り合わせ不良の部分が発生した。貼合せ不良の部分は出発基板であるGaAsのウェットエッチングによる除去工程後に、支持基板側に転写されたエピタキシャル層が剥離し、浮き上がってボイドが生じた状態になっていた。このボイド部(貼合せ不良の部分)は、LED素子として取得する
事が出来ない為にLED素子製造の歩留まりを低下させている。
(比較例3)
比較例3として、上記実施例と同様な構造の発光波長630nm付近の赤色LED素子を作製した。エピタキシャル成長の方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル層構造、界面電極、金属光反射層、Si支持基板への貼り替え方法、エッチング方法等のプロセス工程やLED素子製作方法は、基本的に上記実施例と同じとしたが、この比較例3では、Si支持基板10の第一主表面上に形成する金属膜の構造を次の様に構成した。
Si支持基板10の第一主表面上に、Ni(ニッケル)、Au(金)を、それぞれ250nm、500nmの膜厚で順次形成した。ここで、Ni層はSi支持基板10に対してオーミック電極の役割を果たしているが、Ni層は合金化バリア層としての効果も有することは既知の通りである。また、その他方で一般的なバリア層であるPtとは原材料費の面で大きく異なり、Alなどと同じ様に安価に入手出来る材料でもある。即ち、Ni層はSi支持基板10の第一主表面上に形成され、Siとのオーミック性接触を得ると同時にAu金属接合層とSi支持基板との合金化反応を抑止する為に設けられたものである。
上記の様な構造として作製されたLED素子の初期特性を上記実施例と同様に評価した所、表4に示した通りの結果となった。
Figure 0004985067
この比較例3の場合、上記比較例1の場合よりも状態が悪く、LED素子作製の工程を経た時の合金化反応、メルト化現象はウェハのほぼ全面に生じてしまった。この領域はLED素子として工業的に不十分な特性を有し、この領域の面積分(直径3インチウェハのおよそ90%〜100%に相当)の歩留まりはゼロであり、そのままロスとなった。ロスエリアの面積が上記比較例1よりも大きくなった理由として、Si支持基板の第一主表面の直上に形成されたNiは、Siと激しく合金化する材料であり、その合金化した部分の
拡散力は非常に強く、Ni‐Siの合金化領域が一挙に金属光反射層の部分にまで到達してしまう。金属光反射層にまで合金化領域が侵食すると、金属光反射層の反射率が著しく低下し、ひいてはLED素子の発光出力が大幅に低下してしまうのである。
本発明の実施形態に係るLED素子の構造を示す断面図である。 本発明の実施例のLED素子の製造工程の一部を示す工程図である。 本発明の実施例のLED素子の製造工程の一部を示す工程図である。 本発明の実施例のLED素子の上面図である。 本発明の実施例及び従来例のLED素子に対して、その特性を評価したLEDウェハ上のLED素子の取得位置を示した図である。 金属光反射層に適用可能な種々の金属における光反射率の測定値を示す図である。 本発明の実施形態のLED素子における界面電極の占有面積率と、発光出力及び動作電圧との関係を測定した結果を示す図である。
符号の説明
1 n型GaAs基板(成長用基板)
2 n型AlGaInPエッチングストップ層
3 n型GaAsコンタクト層
4 n型AlGaInPクラッド層
5 AlGaInP活性層
6 p型AlGaInPクラッド層
7 p型GaPコンタクト層
8 界面電極
9 金属光反射層
10 Si支持基板(導電性支持基板)
11 Auからなる金属接合層
11a 成長用基板側の金属接合層
11b 支持基板側の金属接合層
12 表面電極
13 裏面電極
14 化合物半導体層
15 SiO膜(誘電体層)
16 合金化バリア層
18 Ti層
19 Auワイヤー
20 TO‐18ステム
100 LED素子

Claims (7)

  1. 発光層部を有する化合物半導体層と、
    前記化合物半導体層を支持する導電性支持基板と、
    前記化合物半導体層と前記導電性支持基板との間に設けられ、前記発光層部からの光を反射する金属光反射層と、
    前記化合物半導体層と前記金属光反射層との接合界面の一部に形成された、前記化合物半導体層と合金化した界面電極と、
    前記導電性支持基板の前記金属光反射層側の主表面に接して形成されたTi層と、
    前記Ti層の前記金属光反射層側の主表面に接して形成されたAuからなる金属接合層
    と、
    前記化合物半導体層の光取出し面となる第一主表面側に形成された表面電極と、
    前記導電性支持基板の前記Ti層とは反対側の主表面側に形成された裏面電極と、
    を備え、
    前記導電性支持基板がSi基板であり、
    前記界面電極が、前記化合物半導体層と前記金属光反射層との間に形成された誘電体層の開口部の内部にのみ、前記化合物半導体層の第二主表面と前記金属光反射層とを接続して形成された金属層であることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 請求項1に記載の半導体発光素子において、前記導電性支持基板の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
  3. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、前記Ti層の厚さが50nm以上2μm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記金属接合層の厚みが0.5μm以上3μm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記化合物半導体層の第二主表面の表面積に対する、前記界面電極が前記化合物半導体層の第二主表面に接する面の表面積の割合が、30%以下であることを特徴とする半導体発光素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記界面電極が、前記表面電極の直下の領域外に分散して形成されていることを特徴とする半導体発光素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記誘電体層の主成分がSiO2であることを特徴とする半導体発光素子。
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