JP4984994B2 - インクジェット用インクおよびインクジェット用インクの製造方法 - Google Patents

インクジェット用インクおよびインクジェット用インクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用インク、およびインクジェット用インクの製造方法に関するものである。
インクジェット記録方法は、インクの液滴を被転写紙に吐出、付着させて記録を行う印刷方法である。インクジェット記録用インクは、インクジェット記録ヘッドの微細なノズルから安定的に吐出されることが要求されることから、粘度が常に一定の範囲にあり、ノズル先端での乾燥固化等による目詰まりが発生しないことが必要となる。
このようなインクジェット記録方法に用いられるインクとしては、水性分散媒あるいは非極性分散媒中に顔料微粒子を分散してなる顔料インクが広く用いられている。
このような顔料インクは、色材が分散媒に不溶の顔料であるため、インクが被転写紙に吐出されると、顔料微粒子が被転写紙の表面に留まりやすい。その結果、被転写紙の種類によらず、印字品質を均一なものとすることができる。
しかしながら、このような顔料インクでは、水性分散媒あるいは非極性分散媒での顔料微粒子の分散安定性が悪く、顔料微粒子同士が凝集してしまい、インク吐出ヘッドのノズル部の目詰まりの原因になったり、インクの粘度変化により、安定した吐出ができないといった問題があった。
このような問題を解決するため、顔料インクとして、絶縁性液体中に顔料と樹脂とを分散させた顔料分散液を調製し、このような顔料分散液にせん断力を加え、顔料を再凝集させたものを用いる試みがある(例えば、特許文献1参照。)。
このような顔料インクは、顔料インク中に含まれる顔料微粒子が、顔料と樹脂とを有するものであり、顔料を分散媒に分散させただけの顔料インクに比べ、分散安定性が向上するものの、十分な分散安定性を有するものではなく、吐出安定性に劣るものであった。
特開平5−186724号公報
本発明の目的は、保存性に優れ、吐出安定性に優れたインクジェット用インクおよび前記インクジェット用インクを製造することができるインクジェット用インクの製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のインクジェット用インクは、着色樹脂微粒子と、当該着色樹脂微粒子を分散させる分散媒とを有し、
前記着色樹脂微粒子が、水系分散媒中に樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む分散質が分散した乳化液に電解質を添加することにより、前記分散質を合一させることにより製造されたものであることを特徴とする。
これにより、保存性に優れ、吐出安定性に優れたインクジェット用インクを提供することができる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記着色樹脂微粒子の粒度分布Dv/Dnが、1.00〜1.15であることが好ましい。
これにより、インクの保存性は特に優れたものとなるとともに、インク吐出ヘッド部での目詰まりがより確実に防止され、吐出安定性に特に優れたものとなる。また、記録媒体に付着したインクの耐久性は特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクでは、下記式(I)で表される前記着色樹脂微粒子の平均円形度Rが、0.98〜1であることが好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象の着色樹脂微粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象の着色樹脂微粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
これにより、インク吐出ヘッド部での目詰まりがより確実に防止され、インクの吐出安定性は特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記着色樹脂微粒子の平均粒径が、0.2〜10μmであることが好ましい。
これにより、記録媒体へのインク付着量が少なくても、より高濃度の印字を行うことができ、また、長期保存性に特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記分散媒は、脂肪族炭化水素系液体、シリコーンオイル、および脂肪酸エステルのうち、少なくも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、インクの保存性は特に優れたものとなるとともに、インクの吐出安定性は特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記着色樹脂微粒子、前記分散媒に加え、カチオン性の官能基またはアニオン性の官能基を有する高分子分散剤を含むことが好ましい。
これにより、インクの保存性は特に優れたものとなるとともに、インクの吐出安定性は特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記高分子分散剤の重量平均分子量Mwは、10000〜100000であることが好ましい。
これにより、インクの保存性は特に優れたものとなるとともに、インクの吐出安定性は特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクの製造方法は、樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む分散質が、水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、着色樹脂微粒子を得る脱溶剤工程と、
前記着色樹脂微粒子を分散媒に分散させる分散工程とを有し、
前記合一工程において電解質を添加することを特徴とする。
これにより、吐出安定性に優れたインクジェット用インクの製造方法を提供することができる。
本発明のインクジェット用インクの製造方法では、前記分散液は、樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む溶液中に水系液体を加えることによりW/O型の乳化液とし、さらに前記水系液体を加えることによりO/W型の乳化液とされたものであることが好ましい。
これにより、インクの保存性は特に優れたものとなるとともに、インク吐出ヘッド部での目詰まりがより確実に防止され、インクの吐出安定性は特に優れたものとなる。また、記録媒体に付着したインクの耐久性は特に優れたものとなる。
本発明のインクジェット用インクの製造方法では、前記合一工程を、カチオン性の官能基またはアニオン性の官能基を有する高分子分散剤の存在下で行うことが好ましい。
これにより、インクの保存性は特に優れたものとなるとともに、インクの吐出安定性は特に優れたものとなる
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
《インクジェット用インク》
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも樹脂と着色剤とを含む着色樹脂微粒子と、当該着色樹脂微粒子を分散させる分散媒とを有するものである。
<着色樹脂微粒子>
まず、着色樹脂微粒子について説明する。
このような着色樹脂微粒子は、樹脂と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
本発明では、インクジェット用インク(以下、単にインクともいう。)を構成する着色樹脂微粒子が、水系分散媒中に着色樹脂微粒子の構成成分である樹脂および着色剤と、有機溶剤とを含む分散質が分散した乳化液中において、分散質を合一することにより得られるものであることに特徴を有する。
ところで、水性分散媒あるいは非極性分散媒中に顔料微粒子を分散してなるインクは、被転写紙の種類によらず、印字品質を均一なものとすることができるという特徴を有している。ところが、このようなインクは、水性分散媒あるいは非極性分散媒中での顔料微粒子の分散安定性が悪く、顔料微粒子同士が凝集してしまい、インク吐出ヘッドのノズル部の目詰まりの原因になったり、インクの粘度変化により、安定した吐出ができないといった問題があった。また、顔料の代わりに、顔料と樹脂とで構成された着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させてなるインクを用いる試みがある。しかしながら、このようなインク中の着色樹脂微粒子は、粒度分布が広く、粗大粒子や微小粒子が混在するものであった。このようなインクは、顔料を分散媒に分散しただけのインクに比べて分散安定性が向上するものの、十分なものではなく、また、インク吐出ヘッド部での目詰まりを起こし易く、吐出安定性が十分なものではなかった。また、このようなインクを被転写紙に吐出させると、着色樹脂微粒子のうち、微小粒子が被転写紙内部に浸透してしまい、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなるといった不具合が生じ、安定した印字が困難であった。
これに対して、上述したような特徴を有する着色樹脂微粒子は、粗大粒子や微小粒子が混在しない、粒径が均一なものとなる。これにより、インクの分散安定性は優れたものとなり、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止され、吐出安定性に優れるとともに、保存性に優れたインクとなる。また、このような着色樹脂微粒子は十分に高い円形度を有するものである。このような着色樹脂微粒子が分散したインクでは、長期間保存した場合でも、着色樹脂微粒子同士の凝集が好適に抑制される。そのため、長期間に渡って優れた分散安定性を維持することができる。また、このように円形度が高い着色樹脂微粒子は、インク吐出ヘッドのノズル部をスムーズに通過することができる。このため、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止されるとともに、ヘッド部からインクを吐出する時に必要となる駆動エネルギーを低減させることができる。さらに、このような着色樹脂微粒子は、構成する各粒子の組成を均一なものとすることができる。このように、粒径が均一であり、各粒子間での組成(着色剤と樹脂との含有比率)も均一な着色樹脂微粒子が分散したインクを用いることにより、印字部の印字濃度を均一なものとすることができる。また、現在、広く用いられている顔料インクに含まれる顔料の粒径は、数十nm〜100nmほどのものであるが、後述するような製造方法を用いて製造される本発明のインク中に含まれる着色樹脂微粒子の粒径は、サブミクロンから数十ミクロンほどのものとなる。このように、本発明のインク中に含まれる着色樹脂微粒子は、比較的粒径が大きく、均一な粒径を有し、かつ、各粒子間での組成が均一であるという特徴を有する。このような着色樹脂微粒子が分散したインクは、保存性、吐出安定性に優れるとともに、被転写紙に吐出されたインク中の着色樹脂微粒子が、被転写紙内部に浸透するのが確実に抑制される。これにより、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなるといった不具合が防止され、印字部の解像度を優れたものとすることができる。また、被転写紙に吐出するインク量を低減させても、印字濃度を高いものとすることができる。さらに、被転写紙として、材質、表面粗さ等が異なるものを用いても、被転写紙の種類に依存せず、印字品質を均一なものとすることができる。
着色樹脂微粒子を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、後述する着色剤が有する色調を十分に表現することができる。したがって、樹脂としてポリエステル樹脂を用いた着色樹脂微粒子を構成成分として含むインクを用いることによって、被転写紙へのインク付着量を比較的少ないものとしても、高濃度の印字を行うことができる。
また、着色樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度Tgは、特に限定されないが、30〜100℃であるのが好ましく、55〜85℃であるのがより好ましい。着色樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度Tgが前記範囲内の温度であると、インク中における着色樹脂微粒子同士の凝集をより確実に防止することができる。これにより、インクの分散安定性は長期間に渡って優れたものとなり、保存性に優れるとともに、吐出安定性が長期間に渡って優れたインクとなる。
なお、着色樹脂微粒子が複数種の樹脂成分を含むものである場合、すなわち樹脂が複数種の樹脂成分を含むものである場合、上記ガラス転移温度Tg[℃]は、下記連立方程式の解として求められるTgの値を採用することができる。
100/T=w1/T1+w2/T2+・・・
Tg=T−273
ただし、上記式中、樹脂を構成する各樹脂成分(第1の成分、第2の成分、・・・)のガラス転移温度を、それぞれ、絶対温度表示でT1[K]、T2[K]、・・・とし、樹脂Aを構成する樹脂成分全体に占める各成分(第1の成分、第2の成分、・・・)の含有率を、それぞれ、w1[wt%]、w2[wt%]、・・・とする。
また、着色樹脂微粒子を構成する樹脂の軟化温度は、特に限定されないが、60〜220℃であるのが好ましく、80〜200℃であるのがより好ましい。着色樹脂微粒子を構成する樹脂の軟化温度T1/2が前記範囲内の温度であると、インク中における着色樹脂微粒子同士の凝集をより確実に防止することができる。これにより、インクの分散安定性は長期間に渡って優れたものとなり、保存性に優れるとともに、吐出安定性が長期間に渡って優れたインクとなる。なお、本明細書で、軟化温度T1/2とは、特に断りのない限り、定荷重押出し形細管式レオメータであるフローテスター(島津製作所製、CFT−500)を用いて、以下のようにして求められる値のことを指す。すなわち、図2(a)に示すようにノズル径Dが1.0mmでノズル長さ(深さ)Lが1.0mmのノズル6を有するシリンダ7に、試料8(重量1.5g)を充填し、ノズル6と反対の側から単位面積(cm)当たり10kgの荷重をかけ、その状態で毎分6℃の昇温速度で加熱したときの、荷重面9のストロークS(荷重面9の沈み値)を測定することにより、昇温した温度とストロークSとの関係を図2(b)に示すようにして求め、ノズル6からの試料8の流出が始まって急激にストロークSが大きくなり、カーブが立ち上がったときの温度をTfb[℃]とし、また、ノズル6からの試料8の流出がほぼ終了してカーブがねたときの温度をTend[℃]としたとき、TfbでのストロークSfbとTendでのストロークSendとの中間値となるS1/2での温度を、本明細書では軟化温度T1/2として採用している。
着色樹脂微粒子を構成する着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。
このような顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2,3,5,17,22,23,38,81,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,52:1,53:1,57:1,63:1,112,122,144,146,149,166,170,176,177,178,179,185,202,207,209,254,101,102,105,106,108,108:1、C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50、C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,80、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,55,73,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,129,138,139,150,151,153,154,168,184,185,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,157、C.I.ピグメントバイオレット1,3,19,23,50,14,16、C.I.ピグメントオレンジ5,13,16,36,43,20,20:1,104、C.I.ピグメントブラウン25,7,11,33等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、このような染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ソルベント カラー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色樹脂微粒子としては、上述したような顔料、染料を用いることができるが、顔料を用いた場合には、印字部の耐久性(耐光性、耐ガス性、耐水性)を優れたものとすることができ、印字部が色褪せるのを防止することができる。
また、インク中の着色樹脂微粒子として、上述したような染料を用いた場合には、染料を水性媒体中に溶解させた水性インクよりも、印字品質がより均一なインクとすることができる。また、水性インクは、被転写紙の種類によっては、染料が紙内部に浸透してしまい、滲みや、印字濃度が薄くなるといった問題点を有するものであるが、着色樹脂微粒子として染料を用いたインクは、印字品質の紙種依存性が少ないものとなる。
また、着色樹脂微粒子は、着色剤と樹脂とを含むものであって、後述するような製造方法を用いて得られるものである。この樹脂の組成および含有量を調整することにより、容易に、着色樹脂微粒子の比重を、後述する着色樹脂微粒子を分散させる分散媒の比重と等しくすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に優れたインクとなる。また、被転写紙に吐出するインク液滴量のばらつきを小さくすることができ、均一な印字濃度であるとともに、高解像度の印字を行うことができる。
また、着色樹脂微粒子には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、ベンジル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、含金属ビスアゾ染料、カッリクスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、トリメチルエタン系化合物、カテコールの金属塩、ニグロシン化合物、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、オニウム化合物、トニフェニルメタン系化合物、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、着色樹脂微粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩、ワックス等を用いてもよい。
上記のような着色樹脂微粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.2〜10μmであるのが好ましく、0.3〜3μmであるのがより好ましい。着色樹脂微粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、被転写紙にインク液滴を吐出した際、着色樹脂微粒子が被転写紙内部に浸透するのがより確実に抑制される。これにより、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなるといった不具合をより確実に防止することができるとともに、印字部の解像度を優れたものとすることができる。さらに、被転写紙に吐出するインク量を低減させても、印字濃度を高いものとすることができる。また、被転写紙として、材質、表面粗さ等が異なるものを用いても、被転写紙の種類に依存せず、印字品質を均一なものとすることができる。
また、下記式(I)で表される着色樹脂微粒子についての平均円形度Rは、0.98〜1.00であるのが好ましい。上記条件を満足する着色樹脂微粒子が分散したインクでは、長期間に渡ってより優れた分散安定性を維持することができ、保存性、吐出安定性が特に優れたインクとなる。また、このような着色樹脂微粒子は、インク吐出ヘッドのノズル部をよりスムーズに通過することができる。このため、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止されるとともに、ヘッド部からインクを吐出する時に必要となる駆動エネルギーをより低減させることができる。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象の着色樹脂微粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象の着色樹脂微粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、着色樹脂微粒子についての円形度の標準偏差は、0.04以下であるのが好ましい。
このように、円形度の標準偏差が十分に小さいと、上述した効果はより顕著なものとなる。
また、着色樹脂微粒子の粒径の標準偏差(σ(DT))を着色樹脂微粒子の平均粒径(DT)で除した数値(σ(DT)/DT)として表される着色樹脂微粒子の粒径についての変動係数は、0.30以下であるのが好ましく、0.20以下であるのがより好ましい。これにより、着色樹脂微粒子の粒度分布は特にシャープなものとなる。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、上記条件を満足する着色樹脂微粒子が分散したインクを、被転写紙に吐出すると、被転写紙の表面に着色樹脂微粒子が保持される。このような着色樹脂微粒子は、優れたパッキング性を有し、印字部の耐久性(耐擦過性)が特に優れたものとなる。
また、着色樹脂微粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたとき、Dv(50)/Dn(50)の値は、1.00〜1.15であるのが好ましく、1.00〜1.10であるのがより好ましい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、上記条件を満足する着色樹脂微粒子が分散したインクを、被転写紙に吐出すると、被転写紙の表面に着色樹脂微粒子が保持される。このような着色樹脂微粒子は、優れたパッキング性を有し、印字部の耐久性(耐擦過性)が特に優れたものとなる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)を用いた測定により求めることができる。
また、インク中における着色剤の含有率は、1〜15wt%であるのが好ましく、2〜10wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止され、吐出安定性が特に優れたインクとなる。
<分散媒>
次に、上述した着色樹脂微粒子を分散させる分散媒について説明する。
このような分散媒としては、特に限定されないが、水、各種アルコール等の極性液体、脂肪族炭化水素系液体、シリコーンオイル、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸エステル等の非極性液体が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、分散媒として脂肪族炭化水素系液体を用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、脂肪族炭化水素系液体は、化学的に安定であり、また吸湿の少ない液体である。このため、脂肪族炭化水素系液体を分散媒として用いたインクは、変性(劣化)するのが防止され、長期間に渡って一定の粘度を維持するものとなる。これにより、吐出安定性に優れるとともに、安定した印字品質を持続することができるインクとなる。また、脂肪族炭化水素系液体は、被転写紙に浸透しやすい性質を有する。したがって、インク吐出ヘッド部より被転写紙にこのようなインクを吐出すると、着色樹脂微粒子が被転写紙の表面に留まる一方で、脂肪族炭化水素系液体は、被転写紙へ速やかに浸透することができる。これにより、着色樹脂微粒子間に存在する脂肪族炭化水素系液体を少ないものとすることができ、印字部をより鮮明なものとすることができる。また、脂肪族炭化水素系液体は、上述したような着色樹脂微粒子との親和性が高い。したがって、インク中における着色樹脂微粒子の分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
分散媒に用いることのできる脂肪族炭化水素系液体としては、特に限定されないが、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、コスモホワイトP−60、コスモホワイトP−70、コスモホワイトP−120(コスモ石油ルブリカンツ社の商品名)、ダイナフレシアW−8、ダフニーオイルCP、ダフニーオイルKP、トランスフォーマオイルH、トランスフォーマオイルG、トランスフォーマオイルA、トランスフォーマオイルB、トランスフォーマオイルS(出光興産社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等が挙げられ、これらのうち、1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、このような脂肪族炭化水素系液体は、飽和炭化水素であることが好ましい。飽和炭化水素である脂肪族炭化水素系液体は、特に化学的に安定な液体となる。したがって、このような脂肪族炭化水素系液体を分散媒として用いたインクは、安定した印字品質をより長期間に渡って持続することができるものとなる。
また、このような脂肪族炭化水素系液体は、構成する脂肪族炭化水素が炭化水素基の分岐鎖を有することが好ましい。これにより、脂肪族炭化水素系液体は、化学的により安定なものとなる。したがって、このような脂肪族炭化水素系液体を分散媒として用いたインクは、安定した印字品質をより長期間に渡って持続することができるものとなる。これは、脂肪族炭化水素系液体を構成する脂肪族炭化水素の構造が、嵩高になることによって、化学反応を起こしにくい構造となるためであることが考えられる。
また、分散媒として、シリコーンオイルを用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、シリコーンオイルは、化学的に安定であり、また吸湿の少ない液体である。このため、脂肪族炭化水素系液体を分散媒として用いたインクは、変性(劣化)するのが防止され、長期間に渡って一定の粘度を維持するものとなる。これにより、吐出安定性に優れるとともに、安定した印字品質を持続することができるインクとなる。また、シリコーンオイルは、一般に、人体への影響が少ない物質であり、環境に優しい印字物(印字された被転写紙)を提供することができる。
分散媒に用いることのできるシリコーンオイルとしては、例えば、KF96、KF4701、KF965、KS602A、KS603、KS604、KF41、KF54、FA630(信越シリコーン社製)、TSF410、TFS433、TFS434、TFS451、TSF437、(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、SH200(東レ社製)等が挙げられ、これらのうち、1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、分散媒として、脂肪酸エステルを好適に用いることができる。このような脂肪酸エステルとしては、炭素数が4以上の高級脂肪酸とグリセリンとの間のトリエステルである脂肪酸トリグリセリドや、炭素数が4以上の高級脂肪酸と1価のアルコールとの間のモノエステルである脂肪酸モノエステルなどが挙げられる。このような脂肪酸エステルを分散媒として用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、このような脂肪酸エステルは、上述したような着色樹脂微粒子の構成成分である樹脂との親和性が高い。したがって、分散媒として脂肪酸エステルを用いたインク中における着色樹脂微粒子の分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、このような脂肪酸エステルは、自然界にも多く存在するものであり、環境に優しい成分である。したがって、分散媒としてこのような脂肪酸エステルを用いたインクは、環境に優しいものとなる。
分散媒に用いることのできる脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される不飽和脂肪酸のトリグリセリド、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等に代表される飽和脂肪酸トリグリセリド、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される不飽和脂肪酸のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)エステル、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等に代表される飽和脂肪酸のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)エステル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した脂肪酸エステルの中でも、脂肪酸トリグリセリドを分散媒として使用する場合には、上述したような着色樹脂微粒子を構成する樹脂材料と脂肪酸トリグリセリドとの親和性が特に高く、インクの保存性、吐出安定性が特に優れたものとなる。
また、上述した脂肪酸エステルの中でも、脂肪酸モノエステルを分散媒として用いた場合には、脂肪酸モノエステルが、着色樹脂微粒子に浸透し、可塑化効果を発現する。この可塑化効果により、被転写紙の表面付近の繊維内に着色樹脂微粒子がより確実に入り込み、保持される。これにより、印字部の耐久性(耐擦過性)が特に優れたものとなる。
また、このような脂肪酸エステルの中でも、脂肪酸成分が飽和脂肪酸である脂肪酸エステルは劣化が起こりづらい、化学的に特に安定なものとなる。このため、脂肪酸エステルを分散媒として用いたインクは、変性(劣化)するのが防止され、長期間に渡って一定の粘度を維持するものとなる。これにより、吐出安定性に優れるとともに、安定した印字品質を持続することができるインクとなる。
また、このような分散媒としては、上述した以外の成分を含むものであってもよい。例えば、グリセリン、脂肪酸等の脂肪酸トリグリセリドの分解物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、インクを構成する分散媒の25℃における粘度は、特に限定されないが、2〜30mPa・sであるのが好ましく、3〜15mPa・sであるのがより好ましい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなる。
<分散剤>
また、インクジェット用インク中には、分散剤が含まれていてもよい。これにより、着色樹脂微粒子の分散媒中への分散性を向上させ、インクの分散安定性をより優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の各種低分子、高分子分散剤が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、分散剤としては、カチオン性の官能基またはアニオン性官能基を有する高分子分散剤であることが好ましい。
このようなカチオン性またはアニオン性の高分子分散剤は、前述したような着色樹脂微粒子との親和性が高く、インク中での着色樹脂微粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、このような高分子分散剤の重量平均分子量Mwは、10000〜100000であるのが好ましく、30000〜80000であるのがより好ましい。上記条件を満足する高分子分散剤は、前述したような着色樹脂微粒子との親和性が高く、インク中での着色樹脂微粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、このような高分子分散剤は、前述したような分散媒に相溶するものであるのが好ましい。インク中にこのような高分子分散剤が含まれることにより、インクの粘度を下げることができるとともに、長期間に渡って一定の粘度を維持することができる。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、インクの25℃における粘度は、特に限定されないが、3〜40mPa・sであるのが好ましく、4〜30mPa・sであるのがより好ましい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、インク吐出ヘッド部での目詰まりがより確実に防止され、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、均一な大きさの液滴を安定的に吐出することができ、印字部の印字濃度をより均一なものとすることができる。
≪インクジェット用インクの製造方法≫
次に本発明のインクジェット用インクの製造方法について説明する。
本実施形態の着色樹脂微粒子の製造方法は、樹脂成分と有機溶剤とを含む材料で構成された分散質が水系分散媒に分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(乳化懸濁液(分散液)調製工程)と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る工程(合一工程)と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、着色樹脂微粒子を得る工程(脱溶剤工程)と、着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させる工程(分散工程)とを有する。これにより、粗大粒子や微小粒子が混在しない、粒径が均一(粒度分布が単分散)な着色樹脂微粒子を得ることができる。
以下、本実施形態の着色樹脂微粒子の製造方法について詳細に説明する。
[乳化懸濁液調製工程(分散液調製工程)]
まず、乳化懸濁液調製工程について説明する。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、樹脂と着色剤と有機溶剤(有機溶媒)とを含む液体である着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより調製することができる。
着色樹脂液を構成する樹脂成分としては、前述した着色樹脂微粒子の構成材料としての樹脂を用いることができる。
また、着色剤としては、前述した着色樹脂微粒子の構成材料として例示したものを用いることができる。
また、有機溶剤(有機溶媒)としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
有機溶剤としては、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、5〜45重量部であるのが好ましく、5〜40重量部であるのがより好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、樹脂成分(特に、ポリエステル系樹脂)の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤と有機溶剤と含む材料を、高速攪拌機等の攪拌機により混合することにより得ることができる。また、着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤とを含む組成物を予め混練しておき、混練により得られた混練物と、有機溶剤とを混合することにより、調製してもよい。着色樹脂液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼(プライミクス社製)等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、10〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、樹脂成分の有機溶剤への溶解、分散を効率良く行うことができるとともに、着色剤の着色樹脂液中における着色剤の分散状態をより均一なものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、樹脂成分、着色剤、有機溶剤の組成等によっては、着色樹脂液中における着色剤の微分散が不十分になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、有機溶剤の組成等によっては、剪断による発熱が大きくなり、有機溶剤の揮発等と相まって均一な攪拌が困難になる可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
得られる着色樹脂液中において、樹脂成分、着色剤は、有機溶剤に溶解または分散している。
着色樹脂液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する乳化懸濁液を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られる着色樹脂微粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、着色樹脂液は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。これにより、後に詳述する乳化懸濁液中における分散質の分散性を、容易に、特に優れたものとすることができる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。本発明において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的な着色樹脂微粒子中に乳化剤が残存した場合であっても、着色樹脂微粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的な着色樹脂微粒子中に乳化剤が残存した場合であっても、着色樹脂微粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
使用する乳化剤の量は、固形分含有量に対し0.1〜3.0wt%であるのが好ましく、0.3〜2.0wt%であるのがより好ましく、0.3〜1.5wt%であるのがさらに好ましい。使用する乳化剤の量が前記下限値未満であると、粗大粒子発生に対する防止効果が十分に得られない可能性がある。一方、使用する乳化剤の量が前記上限値を超えると、後述する合一工程において、分散質の合一が十分に進行せず、所定粒径より小さい微粒子が残存し、着色樹脂微粒子の収率が低下する可能性がある。
なお、着色樹脂液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
また、着色樹脂液の調製においては、調製すべき着色樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき着色樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。例えば、着色剤と樹脂成分とを混合(混練)し、着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、樹脂成分(追加樹脂)と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂液を、より確実に得ることができる。また、着色樹脂液の構成成分としてワックスを用いる場合、例えば、ワックスと、樹脂成分と、有機溶剤とを含む材料を混合し、ワックスマスターを得、このワックスマスターを、着色剤マスター、樹脂成分(追加樹脂)および有機溶剤と混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。また、ワックスマスターの調製においては、ワックスの粒子が水系分散媒中に分散したワックス分散液(いわゆる、ワックスエマルジョン)を用いてもよい。
上記のような着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより乳化懸濁液を調製する。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水性媒体は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。
また、乳化懸濁液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい。これにより、例えば、ポリエステル系樹脂が有する官能基(カルボキシル基)を中和することができ、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。また、中和剤を用いることにより、乳化剤の使用量を抑制したり、乳化剤等を用いなくても、分散質の分散性を十分に優れたものとすることができるため、乳化剤等を用いることによる不都合の発生を防止することができる。例えば、比較的多量の乳化剤等を用いた場合、乳化懸濁液の調製時において、比較的高い剪断力が必要となり、これにより、粗大粒子(粗大な分散質)の発生、分散質の粒度分布が広がる等の問題が発生し易いが、中和剤による中和を行うことにより、このような問題の発生を防止することができる。
中和剤は、例えば、着色樹脂液に添加されるものであってもよいし、水性媒体に添加されるものであってもよい。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、塩基性化合物の使用量は、ポリエステル系樹脂が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)が好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
本工程で得られた乳化懸濁液において水を滴下した後の水(乳化のために使用した水、ワックスマスターの調製に用いたワックス分散液(いわゆる、ワックスエマルジョン)からの水、中和塩基等を加えた水の全量)と有機溶媒との比率は、体積比で、50:50〜80:20であるのが好ましく、60:40〜80:20であるのがより好ましい。これにより、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
着色樹脂液と水性媒体との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により着色樹脂液に剪断を加えつつ、着色樹脂液中に水性媒体を徐々に添加(滴下)することにより行い、最終的に、水性媒体中に、着色樹脂液由来の分散質が分散した分散液を得るのが好ましい。これにより、例えば、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を、容易かつ確実に得ることができる。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、10〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化懸濁液を効率良く得ることができるとともに、乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、乳化懸濁液中における分散質の微分散を十分に達成することが困難になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、攪拌時に、着色樹脂液と水性媒体との混合液の飛散が激しくなり、不溶解物が混在する可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
[合一工程]
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
複数個の分散質を合一させる方法は、特に限定されないが、分散液中に、電解質を添加する方法が好ましい。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子(着色樹脂微粒子)の粒径を制御することができる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの着色樹脂微粒子(合一粒子)を得ることができるとともに、得られる着色樹脂微粒子(合一粒子)の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、電解質が添加される分散液の固形分100重量部に対し、0.1〜20重量部であるのが好ましく、0.2〜10重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
また、本工程において、分散液として前述したようなカチオン性の官能基またはアニオン性の官能基を有する高分子分散剤が含まれていてもよい。分散質を合一させる際に、分散液に前述したような高分子分散剤が含まれていると、最終的に形成される着色樹脂微粒子の表面付近に高分子分散剤を偏在させることができる。これにより、インクの分散安定性がさらに優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、最終的なインク組成物として、このような高分子分散剤をインクに含ませる場合、後述する分散工程で、分散媒とともに高分子分散剤を加えるよりも、上述した方法を用いて着色樹脂微粒子の表面付近に高分子分散剤を含ませた方が、インクの粘度を下げることができる。したがって、例えば、インク中の着色樹脂微粒子の含有量を増やしたい場合でも、インクの粘度を適度なものとすることができる。
また、このような高分子分散剤の重量平均分子量Mwは、10000〜100000であるのが好ましく、30000〜80000であるのがより好ましい。上記条件を満足する高分子分散剤は、分散液中の分散質により取り込まれやすくなる。これにより、得られる合一粒子の表面付近により確実に高分子分散剤を偏在させることができる。これにより、インクの分散安定性がさらに優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
本工程における処理温度は、特に限定されないが、10〜50℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記下限値未満であると、合一の進行が遅くなり、着色樹脂微粒子の生産性が低下する場合がある。一方、処理温度が前記上限値を超えると、不本意な凝集物や粗大粒子が発生し易くなる。
本工程は、分散液を攪拌した状態で行うのが好ましい。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
本工程では、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子(着色樹脂微粒子)が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、分散質をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、攪拌が不均一となり、必要以上に粗大化した粗大粒子が発生し易くなる。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、合一粒子の形成に寄与しない微粒子が残存し易くなる傾向がある。
合一粒子が所望の粒径に達したら、合一を停止させる。これにより、所望の粒径の合一粒子を確実に得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を上げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープ(単分散)な着色樹脂微粒子を確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加する水は、分散液中に含まれる有機溶剤100重量部に対して、分散液中に含まれる水の総量が、400重量部以上となるように加えるのが好ましく、500重量部以上となるように加えるのがより好ましい。
また、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、水の添加後(合一の停止後)に、固形分の含有率が18〜25wt%となるように、水を加えるのが好ましい。これにより、着色樹脂微粒子製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適な着色樹脂微粒子を製造することができる。
[脱溶剤(脱溶媒)工程]
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、着色樹脂微粒子が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、被膜を構成する樹脂成分(最終的に得られる着色樹脂微粒子でのシェル領域を構成する樹脂成分)のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水系媒体が除去されてもよい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られる着色樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
[洗浄工程]
次に、着色樹脂微粒子の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤、未反応原料(モノマー等)等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られる着色樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水性媒体からの分離)により着色樹脂微粒子を分離し、さらにその後、固形分(着色樹脂微粒子)の水中への再分散および固液分離(水性媒体からの着色樹脂微粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施すことにより、最終的な着色樹脂微粒子を得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
[分散工程]
次に、得られた着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させることにより、インクジェット用インクを得ることができる(分散工程)。
このような分散媒としては、前述した着色樹脂微粒子を分散させる分散媒として例示したものを用いることができる。
また、本工程において、分散媒中の着色樹脂微粒子の分散性を向上させるための分散剤を添加してもよい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に優れたインクを製造することができる。
着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させる方法は、例えば、着色樹脂微粒子と分散媒とを含む材料を、高速攪拌機等の攪拌機により混合することにより得ることができる。このような分散工程に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼(プライミクス社製)等が挙げられる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明のインクジェット用インクは、着色剤として顔料、染料を含むものとして説明したが、着色剤は、顔料または染料のどちらか一方を含むものであってもよいし、顔料と染料とを両方含むものであってもよい。
また、上述したインクジェット用インクの製造方法において、合一工程を高分子分散剤の存在下で行ってもよいものとして説明したが、合一工程では、このような高分子分散剤の一部を分散液中に含ませて合一を行い、残りの高分子分散剤を分散工程で加えてもよい。特に、合一工程で含ませる高分子分散剤の量を少なくすることにより、分散液の合一を好適なものとすることができるとともに、最終的なインクの分散安定性を特に優れたものとすることができる。
[1]着色樹脂微粒子の製造
インクジェット用インクの製造に先立ち、樹脂、および分散剤の合成を行った。さらに、合成された樹脂を用いて、着色剤マスター、ミルベースの調製を行った。
<樹脂R1の合成>
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた5リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 3.9重量部
イソフタル酸 9.06重量部
エチレングリコール 2.54重量部
ネオペンチルグリコール 4.26重量部
テトラブチルチタネート 0.1重量部
エピクロン830 0.3重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 0.1重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)60℃、軟化点(T1/2)が178℃、DSC法によるガラス転移温度(Tg)が58℃、GPC法による重量平均分子量(Mw)が250,000であるポリエステル樹脂(樹脂R1)を得た。また、重量平均分子量はGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5重量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。
<樹脂R2の合成>
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた5リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が95℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 7.97重量部
イソフタル酸 5.31重量部
エチレングリコール 2.86重量部
ネオペンチルグリコール 4.8重量部
テトラブチルチタネート 0.1重量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0、ガラス転移温度(Tg)55℃、軟化点(T1/2)が107℃であった。また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。結果として、重量平均分子量は7740であった。
<樹脂R3、R4の合成>
各原材料の使用量(使用比率)を表1に示すようにした以外は、前記樹脂R2の合成と同様にして反応を行い、2種類の樹脂R3、樹脂R4を得た。
上記のようにして合成した各樹脂についての合成条件、物性等を表1にまとめて示す。
Figure 0004984994
<分散剤P−1の合成>
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた5リットルの反応釜に、下記の組成のビニル単量体、重合開始剤、連鎖移動剤等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて70℃で12時間反応を行った。
ステアリルメタクリレート 48.0重量部
スチレン 50.0重量部
メタクリル酸 2.0重量部
ステアリルメルカプタン 1.0重量部
アゾビスイソブチロニトリル 1.0重量部
得られた重合体は、無色の固体であり、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXLを使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。結果として、重量平均分子量は30000であった。
<着色剤マスターCM−1Cの調製>
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111 C.I.Pigment B−15:3):2000重量部と、樹脂R1:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、回転速度:698rpmで2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて、前面ロールの回転速度:75rpm、背面ロールの回転速度:60rpmで、入り口側クリアランス0.1mm、出口側クリアランス0.3mm、吐出量5.0−5.5kg/hに設定して溶融混練し、着色剤マスターPM−1Cを得た。着色マスターPM−1Cの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−1Cをメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターCM−2Cの調製>
樹脂R1の代わりに樹脂R2を用いた以外はPM−1Cと同様にしてPM−2Cを調製した。
<着色剤マスターCM−3Cの調製>
樹脂R1の代わりに樹脂R3を用いた以外はPM−1Cと同様にしてPM−3Cを調製した。
<着色剤マスターCM−4Cの調製>
樹脂R1の代わりに樹脂R4を用いた以外はPM−1Cと同様にしてPM−4Cを調製した。
<ミルベースMB−1Cの調製>
ステンレス容器にメチルエチルケトン:35重量部、樹脂R1:45.5重量部、着色剤マスターCM−1C:19.5重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.25重量部が蒸留水:3.25重量部に溶解した水溶液を仕込み、攪拌機(アサダ鉄工所製ディスパー 翼径230mm)の回転数777min−1(翼先端速度:8.5m/sec)で2時間撹拌し、各成分の溶解、分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が65重量%になるようにメチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB−1Cを得た。なお、攪拌時における材料温度は30〜40℃に保持した。
<ミルベースMB−2C〜4Cの調製>
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量に従って、各ミルベースを調製した。
表2に、作製した各ミルベースを構成する材料の配合量を示す。
Figure 0004984994
(実施例1)
以下のようにして、インクジェット用インクを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
翼径230mmの攪拌翼を有する攪拌機(アサダ鉄工所製ディスパー)を備えた円筒形の容器にミルベースMB−1Cの46.15重量部を仕込み、次いで塩基性物質として、1Nアンモニア水:4重量部を加えて777min−1にて十分に攪拌した後、温度を30℃に調整した。
ついで、攪拌速度を1100min−1に変更して34重量部の蒸留水を1.0重量部/minの速度で滴下した。このときの攪拌翼の翼先端速度は13.2m/secであった。蒸留水を添加していくにつれて、系の粘度は上昇していったが、蒸留水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合を均一に行うことができた。また、蒸留水を26重量部滴下した段階で、系の粘度が急激に低下する転相点が観察された。この段階での分散液中におけるメチルエチルケトン(有機溶剤)の含有率は、29.0wt%であった。またこの分散液を光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。この分散液中において、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
《合一工程》
翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記の乳化懸濁液を移送した後、攪拌速度を85min−1に保持したまま、温度を25℃に調整した。その後回転数を120min−1に調整し、3.5重量%の硫酸ナトリウム水溶液:12重量部を1重量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min−1で5分間、65min−1で5分間攪拌し、47min−1で20分間攪拌を継続した。このときの攪拌翼の翼先端速度は0.47m/secであった。引き続き、回転数を120min−1に調整し、濃度5.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液を1g/minで2.5重量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85min−1で5分間、65min−1で5分間攪拌し、その後、47min−1で20分間攪拌した。ここで、この分散液について、観察を行った。その結果、分散質が、複数個合一した合一粒子(着色樹脂微粒子)が多数確認された。加えて、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。また、このようにして得られた合一粒子の粒径の測定を行い、50%体積粒径をDv(50)[μm]としたときのDv(50)が2.5μmであった。なお、粒径の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。
《脱溶剤工程》
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.006重量部を添加し、反応に用いた容器を密閉し、真空ポンプを取り付けた。次に、室温(25℃)にて、真空ポンプを用いて真空度2.7kPaの減圧度で30分間減圧を行い、脱溶剤を行った。次に、圧力を下げながら、反応に用いた容器を90分間かけて加温していき、内部の材料温度を4℃/hrの速度で減圧容器内の温度が21℃になるまで昇温した。90分後、内部の材料温度が21℃になったら、同じ温度を維持しつつ、引き続き同じ圧力で減圧を行った。減圧にて留去した液体が、用いたメチルエチルケトンの138vol%になるまで減圧留去を行い合一粒子のスラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。この時、最終的な減圧度は1.0kPaであった。
《脱分散媒工程》
上記のようにして得られたスラリーに対し、バスケット型遠心分離機を用いて、周速1250min−1にて、脱分散媒を行った。脱分散媒を行った後、引き続きバスケット型遠心分離機を同周速で回転させながら、スラリーにある固形分の6倍量(重量換算)の蒸留水を加え、簡易的に洗浄(以下、リンスという)を行い、水分を振り切って、合一粒子のウェットケーキ(着色樹脂微粒子ケーキ)を得た。
《洗浄、脱水工程》
攪拌相内に合一粒子のウェットケーキを入れた。攪拌槽にある混合物中の固形分含有量が15〜20重量%になるように蒸留水を加え、水温が30℃になるように温度調整を行った。この状態で、攪拌翼としてエッジドタービン翼を用い、攪拌翼の翼先端速度が8.2m/sとなるようにして、30分間攪拌を行い、再分散スラリーを得た。次に、再分散スラリーについて、脱分散媒工程と同様に脱水、リンスを行った。この時、リンスに用いる蒸留水は、再分散スラリーの固形分の3倍量(重量換算)とした。
この操作を計三回行い、洗浄された合一粒子のウェットケーキを得た。なお、簡易洗浄に用いた蒸留水は、再分散スラリーの固形分の6倍量(重量換算)とした。当該ウェットケーキの含水率は35重量%であった。
また、今回用いた攪拌槽K1の内径D[cm]と攪拌翼K2の翼径d[cm]との比d/Dは0.37であり、混合物1L当たりの攪拌エネルギーは0.25[Wh/L]であった。
《乾燥工程》
その後、真空乾燥機を用いて、ウェットケーキを乾燥することにより合一粒子を得た。得られた合一粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]とした時のDv(50)は2.5μm、Dv(50)/Dn(50)は1.10であった。また、合一粒子の平均円形度は0.990であった。なお、粒径、粒度分布の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、粒径、粒度分布の測定を行った。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、平均円形度を求めた。
≪分散工程≫
翼径230mmの攪拌翼を有する攪拌機(アサダ鉄工所製ディスパー)を備えた円筒形の容器に、分散剤P−1:40重量部がアイソパーH(エクソン化学社製):300重量部に溶解した溶液と、合一粒子:60重量部を仕込み、回転数777min−1で2時間撹拌分散した。このようにして得られた分散液を、遠心分離(相対遠心加速度:2000G、30分間)し、20重量%になった上澄み液を取り出し、この上澄み液:25重量部にアイソパーH:75重量部を加え、固形分が5wt%のインクジェット用インクを得た。
(実施例2〜8)
表3に示す、各実施例に対応するミルベース、分散媒を用いるとともに、合一工程での撹拌速度、撹拌時間を変更することにより表3に示すような円形度、粒度分布、粒径を有する着色樹脂微粒子を用いた以外は前記実施例1と同様にしてインクジェット用インクを得た。
(実施例9)
乳化懸濁液を実施例1と同様にして調製した。
次に、翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記の乳化懸濁液を移送した後、分散剤P−1:8.7重量部を上記円筒容器に加え、攪拌速度を85min−1に保持したまま、温度を25℃に調整した。その後回転数を120min−1に調整し、3.5重量%の硫酸ナトリウム水溶液:12重量部を1重量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min−1で5分間、65min−1で5分間攪拌し、47min−1で20分間攪拌を継続した。このときの攪拌翼の翼先端速度は0.47m/secであった。引き続き、回転数を120min−1に調整し、濃度5.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液を1g/minで2.5重量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85min−1で5分間、65min−1で5分間攪拌し、その後、47min−1で20分間攪拌した。ここで、この分散液について、観察を行った。その結果、分散質が、複数個合一した合一粒子(着色樹脂微粒子)が多数確認された。加えて、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。また、このようにして得られた合一粒子の粒径の測定を行い、50%体積粒径をDv(50)[μm]としたときのDv(50)が2.4μmであった。
その後、分散工程で分散剤を加えなかった以外は、脱溶剤工程以後の工程を実施例1と同様にして、インクジェット用インクを得た。
(実施例10)
乳化懸濁液を実施例1と同様にして調製した。
次に、翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記の乳化懸濁液を移送した後、分散剤P−1:1.0重量部を上記円筒容器に加え、攪拌速度を85min−1に保持したまま、温度を25℃に調整した。その後回転数を120min−1に調整し、3.5重量%の硫酸ナトリウム水溶液:12重量部を1重量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min−1で5分間、65min−1で5分間攪拌し、47min−1で20分間攪拌を継続した。このときの攪拌翼の翼先端速度は0.47m/secであった。引き続き、回転数を120min−1に調整し、濃度5.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液を1g/minで2.5重量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85min−1で5分間、65min−1で5分間攪拌し、その後、47min−1で20分間攪拌した。ここで、この分散液について、観察を行った。その結果、分散質が、複数個合一した合一粒子(着色樹脂微粒子)が多数確認された。加えて、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。また、このようにして得られた合一粒子の粒径の測定を行い、50%体積粒径をDv(50)[μm]としたときのDv(50)が2.4μmであった。
その後、分散工程でアイソパーHに溶解させる分散剤量を35重量部に変更した以外は、脱溶剤工程以後の工程を実施例1と同様にして、インクジェット用インクを得た。
(比較例1)
樹脂R−1:25.5重量部、シアン顔料(大日本インキ化学工業社製 KET.BLUE.111):4.5重量部、メチルエチルケトン:16重量部、蒸留水:54重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.1重量部を混合し、ダイノミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製 チタニアビーズφ0.3mm 充填率70% 周速10m/s)で分散した。
その後、脱溶剤工程以後の工程を、実施例1と同様にしてインクジェット用インクを得た。
(比較例2)
(工程1)
まず、エクソン石油化学社製のアイソパーL350.5重量部に市販のステアリルメタクリレート10重量部、アクリル酸6重量部及びビニルペピリジン6.0重量部を重合管にいれ、60℃に加熱し一昼夜攪拌して平均分子量(重量基準)16000のステアリルメタクリレートとアクリル酸の共重合体樹脂溶液を得た。
次に上記の工程で得られた溶液A中に実施例1のシアン顔料を20重量部添加し、溶液Aを良くシアン顔料に浸透させた後、超音波分散機(日本精機社製・・形式RUS−300)で一次粒径までシアン顔料を分散させる。次に前記の分散液を循環横置き型ミル M100(EIGER ENGINEERING LIMITED製ビーズミル)0.9mmビーズ、5000rpmで1時間分散し、顔料の平均粒径2μmの分散液Bを得た。
(工程2)
アイソパーL100重量部にステアリルメタクリレート2.5重量部、アクリル酸1.5重量部及びビニルペピリジン1.5重量部を添加し、60℃に加熱しながら一昼夜攪拌して平均分子量(重量基準)16000のステアリルメタクリレートとアクリル酸の共重合体樹脂溶液を得た。その後にソルビタントリオレエートを2重量部添加溶解し、溶液Cを得た。
次に工程1で得られた分散液Bを攪拌機 HI−15(東京理科器株式会社)で攪拌しながら、徐々に溶液Cを添加し、分散顔料に溶液C中のステアリルメタクリレートとアクリル酸の共重合体樹脂を完全に吸着させる。
以上の工程1及び工程2によりインクジェット用インクを得た。
以上の各実施例および各比較例のインクジェット用インクにおいて用いたミルベース、分散剤、分散媒、また、調製した着色樹脂微粒子の円形度、粒度分布Dv50/Dn50、粒径Dv50、また、インクジェット用インクの粘度等を表3に示す。
なお、表1中、アイソパーHをA、シリコーンオイルとしてのSH200FLUID100CS(東レダウコーニングシリコーン社製)をB、油脂としての大豆油(日清オイリオ社製)をC、脂肪酸モノエステルとしての大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製)をDで示した。
また、表1中の粘度は以下の3段階の基準に従い表記した。
<粘度>
◎ :4mPa・s以上30mPa・s以下。
○ :3mPa・s以上40mPa・s以下。(4mPa・s以上30mPa ・s以下は除く)
△ :3mPa・s未満、もしくは、40mPa・sより大きい。
Figure 0004984994
[2]評価
[2.1]吐出安定性
各実施例および各比較例で得られたインクジェット用インクを、インクジェットプリンターPM−G850(セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填してプリンターに装着し、2cm×2cmの正方形ベタを印字させ、目視により、以下の5段階の基準で評価した。
◎◎:印字部に乱れがまったく見られない。
◎:印字部に乱れがほとんど見られない。
○:印字部に乱れがわずかに見られるが、許容範囲である。
△:印字部に乱れがわずかに見られる。
×:印字部に乱れがはっきりと確認できる。
[2.2]印字濃度評価
各実施例および各比較例で得られたインクジェット用インクを、インクジェットプリンターPM−G850(セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填してプリンターに装着し、NPI上質紙(日本製紙社製)に2cm×2cmのベタを印字させ、その印字濃度を、反射濃度計RD−191(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)を用いて、以下の4段階の基準で評価した。
◎:0.9以上
○:0.8以上、0.9未満
△:0.7以上、0.8未満
×:0.7未満
[2.3]解像度評価
各実施例および各比較例で得られたインクジェット用インクを、インクジェットプリンターPM−G850(セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填してプリンターに装着し、NPI上質紙(日本製紙社製)に、5pixelピッチで線幅1pixelの細線束を印字し、細線間の白地のツブレを目視により、以下の4段階の基準で評価した。
◎:ツブレがまったく見られない。
○:ツブレがほとんど見られない。
△:ツブレがわずかに見られる。
×:ツブレがはっきりと確認できる。
[2.4]長期保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られたインクジェット用インクを、温度:35℃の環境下に、8ヵ月間静置した。その後、インクジェット用インクの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:インク中の着色樹脂微粒子の凝集がまったく認められない。
○:インク中の着色樹脂微粒子の凝集がほとんど認められない。
△:インク中の着色樹脂微粒子の凝集がわずかに認められる。
×:インク中の着色樹脂微粒子の凝集がはっきりと認められる。
各実施例、比較例の評価結果を表4に示した。
Figure 0004984994
表4から明らかなように、本発明のインクジェット用インクは、保存性に優れるとともに、吐出安定性に優れ、また、本発明のインクジェット用インクを用いて被転写紙に印字された印字部は、印字濃度が高く、高解像度であった。これに対し、比較例のインクジェット用インクでは、十分な結果を得られなかった。
また、着色顔料をシアン顔料の代わりにレッド顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent.Red P−F7RK)、グリーン顔料(クラリアントジャパン社製、Hostaperm.Green.GNX)、カーボンブラック(三菱化学製 MA−100R)を用いた以外は、上記と同様にトナーの製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。

Claims (10)

  1. 着色樹脂微粒子と、当該着色樹脂微粒子を分散させる分散媒とを有し、
    前記着色樹脂微粒子が、水系分散媒中に樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む分散質が分散した乳化液に電解質を添加することにより、前記分散質を合一させることにより製造されたものであることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記着色樹脂微粒子の粒度分布Dv/Dnが、1.00〜1.15である請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 下記式(I)で表される前記着色樹脂微粒子の平均円形度Rが、0.98〜1である請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
    R=L/L・・・(I)
    (ただし、式中、L[μm]は、測定対象の着色樹脂微粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象の着色樹脂微粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
  4. 前記着色樹脂微粒子の平均粒径が、0.2〜10μmである請求項1ないしのいずれかに記載のインクジェット用インク。
  5. 前記分散媒は、脂肪族炭化水素系液体、シリコーンオイル、および脂肪酸エステルのうち、少なくも1種を含むものである請求項1ないしのいずれかに記載のインクジェット用インク。
  6. 前記着色樹脂微粒子、前記分散媒に加え、カチオン性の官能基またはアニオン性の官能基を有する高分子分散剤を含む請求項1ないしのいずれかに記載のインクジェット用インク。
  7. 前記高分子分散剤の重量平均分子量Mwは、10000〜100000である請求項6に記載のインクジェット用インク。
  8. 樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む分散質が、水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
    複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
    前記合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、着色樹脂微粒子を得る脱溶剤工程と、
    前記着色樹脂微粒子を分散媒に分散させる分散工程とを有し、
    前記合一工程において電解質を添加することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
  9. 前記分散液は、樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む溶液中に水系液体を加えることによりW/O型の乳化液とし、さらに前記水系液体を加えることによりO/W型の乳化液とされたものである請求項8に記載のインクジェット用インクの製造方法。
  10. 前記合一工程を、カチオン性の官能基またはアニオン性の官能基を有する高分子分散剤の存在下で行う請求項8または9に記載のインクジェット用インクの製造方法。
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