JP4984709B2 - 微小異物除去方法及び微小異物除去装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の方法は、洗浄以外の方法で数個以下のパーティクルを除去することを開示するものであり、具体的には走査プロープ顕微鏡の探針をパーティクルの側面に当てて押しつけ、探針に付着したパーティクルを移動させることを提案している。また、探針に電圧を印加して電荷を帯びたパーティクルを電磁気的作用により移動すること、化学反応により除去することなどが記載されている。
また、パターンの凹部を移動させる過程で、探針がパターンの凸部に接触し、パターン自体を損傷してしまうこともあった。
また、フォトマスク上の凹部に嵌り込んでしまったパーティクルが除去できないという点では特許文献1の方法と変わらない。
本発明は、このような従来の技術が抱える問題点に鑑みて創出されたものであり、対象物表面の凹部領域内の微小異物を効率的に除去すると共に、表面を損傷することのない微小異物除去技術の提供を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の微小異物除去方法は、弾性力を有する微細針状体を用いて所定の凹凸部を有する対象物表面から微小異物を除去するものである。
該方法には、対象物表面の少なくとも凹部領域にある微小異物を検出する微小異物検出工程、微細針状体により微小異物を側方から押圧して移動し、凹部領域側面に当接させる微小異物移動工程、微小異物が凹部領域側面に当接した状態で、微細針状体を凹部領域の側面に沿って凸方向に上昇させると共に、微細針状体の弾性により微小異物を掻き出す微小異物掻き出し工程の各工程を少なくとも有する。
これらの工程により、微小異物を対象物表面の凹部から掻き出し除去することを特徴とするものである。
本工程の後、請求項3記載の通りに洗浄工程を行ってもよい。
すなわち、請求項8に記載の発明は、弾性力を有する微細針状体を備えて所定の凹凸部を有する対象物表面から微小異物を除去する微小異物除去装置を提供する。
該装置には、対象物表面の少なくとも凹部領域にある微小異物を検出する微小異物検出手段と、微細針状体を凹部領域内で動作させ、微小異物を側方から押圧して凹部領域側面に当接するまで移動すると共に、微細針状体を該側面に沿って凸方向に上昇動作させ、微細針状体の弾性により微小異物を掻き出すための微細針状体動作手段とを少なくとも備える。
すなわち、弾性力を有する微細針状体を用い、かつ凹部領域の側面に沿って微小異物を凸方向に上昇させることにより、微小異物が該側面に沿って掻き出されるように凸部まで持ち上げられる。このとき、微細針状体の弾性力によって、多様な異物に対しても適当な力で掻き出すことができるため、力が弱すぎることによる異物の掻き出し損ないや、力が強すぎることによる凹凸部の損傷を防止することができる。
特に、請求項2のように微小針状体の上昇量を凹凸部の段差と略同一に制御することで、確実に対象物の損傷を防ぐことができる。
フォトマスクやシリコンウェハー上の微細なパターン上に微小な異物が付着した場合、原子間力顕微鏡(AFM)や走査プローブ顕微鏡(SPM)を用いてパターンを確認しながら探針により異物の除去を行うことは提案されている。このような探針は3次元方向に精密な制御動作が可能であり、パターンの剰余箇所、残存箇所などを削って整形する用途にも使われている。
あるいは適切なパターン画像と、取得した画像とを公知の画像処理方法によってコンピュータにより比較し、異物を自動検出するようにしてもよい。
従来、このような凹部が囲まれた領域にあり、しかも異物が凹部の側壁に接近して付着している場合、これを除去することが困難であった。
探針には異物よりも硬い材質のものを用いており、特にフォトマスク上に固着した異物を剥ぎ取ることができる。
また、電気的に付着させて取り出す方法も従来提案されていたが、異物の素材により可否があることと、フォトマスクと異物とが粘着している場合にはその程度の引力では除去できない問題があった。
異物(11)が側面(12b)に当接した状態で、カンチレバー(10)を上方向に変動させると共に側方への押圧を行うと、異物(11)は側面(12b)に沿って上方向に移動する。その際、カンチレバー(10)の弾性が重要な作用を行うことが分かった。
そして、図4で点線で示したように、異物(11)はパターン(12)の凸部領域(12c)上まで持ち上げられる。
従来はカンチレバーがパターンと接触してパターン自体を損傷してしまうケースがあったが、本発明のようにカンチレバーをパターンに合わせて上昇させることでパターンとカンチレバーが干渉することがない。
図6はバネ定数が小さすぎる場合を示している。バネ定数が小さいと異物の重さや粘着力に抗しきれずにカンチレバーが撓んでしまい、図のように異物を掻き出さずにカンチレバーが異物表面を通過してしまう。
また、バネ定数が大きすぎる場合には、異物自体は破壊されたり除去できることもあるが、異物及びパターンに与える応力が大きくなりすぎて、パターンを損傷してしまう。例えば、300N/mのバネ定数のカンチレバーを用いた場合、パターンの側面が損傷してしまった。
図8はこの工程を説明する図であり、凹部(20)が複雑に複数形成されたパターンでは、凸部に掻き出しても、洗浄時に再度凹部(20)に落下してしまうことがある。本発明ではこれを避けるため、凸部上においてその形状に沿って異物(21)を移動させる。
カンチレバーの移動には、手動操作によってもよいし、微小異物除去装置にカンチレバー制御手段を備えてパターン凸部上を自動移動させるようにしてもよい。
カンチレバーとしては単結晶シリコンで作製されたものを用い、第1のカンチレバーは単結晶シリコンだけのもの、第2のカンチレバーはダイヤモンドコーティングされたものである。第1のカンチレバーのバネ定数は3N/mであり、第2のカンチレバーのバネ定数は40N/mである。
カンチレバーの長さは100μm、針の長さは10μmである。一般に、カンチレバーの長さは100μm〜数百μm、針の長さは10μm〜数十μmである。
基板素材はQz(石英)である。
この2つのカンチレバーを用いて除去作業を行った結果、次の表1の結果が得られた。
一方、第2のカンチレバーでは、作業前の86.9%から13.7%の改善があり100.6%となった。ここで、異物のない凹部の透過率平均を100%としているため、100%を超える値となったが、転写には影響のない範囲内であり、除去は成功した。
Claims (8)
- 弾性力を有する微細針状体を用いて所定の凹凸部を有する対象物表面から微小異物を除去する微小異物除去方法であって、
該対象物表面の少なくとも凹部領域にある該微小異物を検出する微小異物検出工程、
該微細針状体により該微小異物を側方から押圧して移動し、凹部領域側面に当接させる微小異物移動工程、
該微細針状体による押圧で該微小異物を凹部領域側面に当接させた状態で、該微細針状体を該側面に沿って凸方向に上昇させることによって、該微小異物を該側面に沿って持ち上げ、該微細針状体の弾性により該微小異物を凹部領域の外へ掻き出す微小異物掻き出し工程、
の各工程を少なくとも有して微小異物を対象物表面の凹部から掻き出し除去することを特徴とする微小異物除去方法。 - 前記微細針状体の凸方向への上昇量を、前記所定の凹凸部の段差長と略同一長とする
請求項1に記載の微小異物除去方法。 - 前記微小異物掻き出し工程の後、
前記対象物表面の凸部上に掻き出された微小異物を洗浄除去する洗浄工程
を有する請求項1又は2に記載の微小異物除去方法。 - 前記微小異物掻き出し工程の後、
前記対象物表面の凸部上に掻き出された微小異物を、前記微細針状体を用いて該凸部の形状に従って凹部に落下しない経路で移動させる凸部上移動工程
を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の微小異物除去方法。 - 前記対象物がフォトマスクであり、前記凹凸部がフォトマスクに形成されたパターンである
請求項1ないし4のいずれかに記載の微小異物除去方法。 - 前記微細針状体が、原子間力顕微鏡のカンチレバーである
請求項1ないし5のいずれかに記載の微小異物除去方法。 - 前記微細針状体のバネ定数が5ないし100N/mである
請求項1ないし6のいずれかに記載の微小異物除去方法。 - 弾性力を有する微細針状体を備えて所定の凹凸部を有する対象物表面から微小異物を除去する微小異物除去装置であって、
該対象物表面の少なくとも凹部領域にある該微小異物を検出する微小異物検出手段と、
該微細針状体を凹部領域内で動作させ、該微小異物を側方から押圧して凹部領域側面に当接するまで移動させ、次いで、該微細針状体による押圧で該微細針状体を凹部領域側面に当接させた状態で、該微細針状体を該側面に沿って凸方向に上昇させることによって、該微小異物を該側面に沿って持ち上げ、該微細針状体の弾性により該微小異物を凹部領域の外へ掻き出すための微細針状体動作手段と
を少なくとも備えたことを特徴とする微小異物除去装置。
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