JP4983403B6 - バリヤ性紙積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリヤ性および層間剥離の無い機械的特性に優れたバリヤ性紙積層体に関する。
従来、紙は単体として使用した時その通気性が良いことや各種包装機能に優れていることにより、広く包装材料として利用されている。一方、各種ガスバリア性を必要とする内容物を包装する場合は、基材となる紙にガスバリア性樹脂、特に塩化ビニリデン系樹脂をコーティングした紙包装材が使用されたが、近年の地球環境汚染の問題や循環型社会構築の為のリサイクルの推進に際し、前記ガスバリア層として塩素系化合物を使用したものは、内容物を包装後に廃棄され、焼却した場合に有害物質生成の原因になると言う問題があった。
また、紙にアルミニウム箔を貼り合わせたもの、あるいは各種プラスチックフイルムを貼り合わせたものなども多く利用されてきた。例えば、従来、液体飲料等を充填包装する紙容器用積層材料としては、外側から順に熱可塑性樹脂層、接着剤層、板紙からなる基材層、接着剤層、ガスバリア層、接着剤層、シーラント層を積層した多層構成のものが多く使用されており、前記構成中のガスバリア層としては、アルミニウム箔が多く使用されるが、アルミニウム箔や各種プラスチックフイルムを貼り合わせたものは、紙のリサイクル使用に際し、紙との分離工程などで種々の弊害が生ずるなどの問題を有していた。
これらの問題を改善するべく、ガスバリア性、リサイクル性等の機能を兼ね備えるものとして、前記ガスバリア層として、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に無機酸化物の蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を積層したガスバリアフィルムを使用した容器用積層材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、前記提案されている容器用積層材料は、液体用紙容器に使用され、製函された時に蒸着薄膜層に亀裂が発生し、極く小さいピンホールができて、ガスバリア性が低下してしまい、長期間の賞味期限の内容物を保存する容器への使用は難しかった。
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に無機酸化物の蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を積層したガスバリアフィルムを使用した容器用積層材料が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
ところが、最近では消費者の好みの多様化と、紙容器の内容物が、天然果汁、酒類にまで広がるにつれてポリエチレン樹脂よりも優れたヒートシール材が求められるようになってきた。その背景にポリエチレン樹脂が前述の特徴を有している反面、飲料の香料を吸着し、飲料の味や香りが変化したり、あるいはポリエチレン樹脂特有の臭気を発生するため、飲料本来の風味が失われるという欠点、すなわちガラス瓶、PETボトル等の容器に比べると、いわゆるフレーバー性が悪いという指摘があり、その改良を強く求められていることが挙げられる。
さらに包装材料として用いるためには、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
バリア性を有する高分子樹脂としては、比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂のフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルム等が良く用いられてきた。しかし、それらは温度・湿度などによるガスバリア性の影響が大きい。また、アルミニウム等の金属からなる金属箔等を用いたものは、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性を持つが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際金属探知器が使用できないなど多くの欠点を有し問題がある。
特開平8−216325号公報 特開2005−239230号公報
本発明は、前述の事情に鑑み、ガスバリヤ性および層間剥離の無い機械的特性に優れたバリヤ性紙積層体を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、本発明を完成するに到った。即ち、本発明のバリヤ性紙積層体は、少なくとも紙層とバリヤ層とからなるバリヤ性紙積層体であって、前記バリヤ層が、熱可塑性ポリエステル樹脂Aを含む基材樹脂成分と、熱可塑性樹脂Bを含む副樹脂成分とを、それぞれ別々の押出機で溶融し、溶融状態のまま基材樹脂成分および副樹脂成分をスタティックミキサ経由で成形して得た多層構造の層を主として含むバリヤ性ポリエステル層であることを特徴とするバリヤ性紙積層体である。
この場合において、前記熱可塑性樹脂Bの、フィルム厚み20μm換算値の酸素透過率が10ml/m・day.atm以下であることができる。
この場合において、前記熱可塑性樹脂Bが、部分芳香族ポリアミド樹脂、エチレンビニールアルコール共重合樹脂、ポリグリコール酸樹脂、共役二重結合を含有する樹脂から選ばれる一種以上であることができる。
この場合において、前記副樹脂成分が、遷移金属化合物を含有することができる。
この場合において、前記熱可塑性ポリエステル樹脂Aが、主としてエチレンテレフタレート単位を繰返し単位として含有する熱可塑性ポリエステルであることができる。
この場合において、前記熱可塑性ポリエステル樹脂Aのアルデヒド類の含有量が10ppm以下であることができる。
この場合において、前記熱可塑性ポリエステル樹脂Aを290℃の温度で60分間溶融したときの環状エステルオリゴマー増加量が0.40重量%以下であることができる。
この場合において、さらに最内層に熱可塑性ポリエステル樹脂Aを含む層をシーラント層として設けることができる。
本発明のバリヤ性紙積層体は、ガスバリヤ性および層間剥離がなく、また機械的特性に優れており、特に食品用容器として好適である。
以下、本発明のバリヤ性紙積層体の実施の形態を具体的に説明する。
(紙基材)
紙層に使用する紙としては、特に限定されず、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他等の各種の紙基材を使用することができる。また、本発明において、上記の紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することができる。なお、本発明において、上記の紙基材には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができるものである。
(熱可塑性ポリエステル樹脂A)
本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aは、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とから得られる熱可塑性ポリエステルであり、好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の70モル%以上含むポリエステルであり、好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の80モル%以上、より好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の90モル%以上含むポリエステルであり、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステルである。
特に、ジカルボン酸成分のうちの、70モル%以上が芳香族ジカルボン酸であり、グリコール成分のうちのエチレングリコールが50〜97モル%、ジエチレングリコール1〜30モル%である熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく、芳香族ジカルボン酸単位の酸成分が70モル%未満では樹脂のガラス転移温度が低下しそれに伴ってフレーバー性も低下する傾向にあり、またフィルム成形性も悪くなる傾向にある。
本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aを構成する芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸以外に、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられ、特にイソフタル酸が好ましい。
本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aにおいて、芳香族ジカルボン酸の占める割合が全酸成分の80モル%未満になると樹脂のガラス転移温度や比重が低下し、それにともなってフレーバー性が低下したり、フィルム成形性も悪くなるので好ましくない。芳香族ジカルボン酸のうちのテレフタル酸の占める割合が75モル%未満になるとフィルムの機械物性、特に耐衝撃性が低下する傾向が認められる。
本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aを構成する他のグリコール成分は50モル%以下の割合で共重合する事ができる。例えば、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。
また、本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aに3官能以上のポリカルボン酸、ポリオールを0.1モル%〜30モル%共重合することが好ましく、更に好ましくは0.1モル%〜20モル%共重合、最も好ましくは0.1モル%〜10モル%共重合することで成形性(押出加工性)が向上する傾向にあり、30モル%以上共重合すると重合性が低下(ゲル化)する傾向にある。
3官能以上のポリカルボン酸、ポリオールとしては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ポリグリセリン等が使用できる。
また、本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aにスルホン酸金属塩基を含むジカルボン酸やグリコールを10モル%以下の範囲で共重合することが好ましい。スルホン酸金属塩基を含むジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などの金属塩を挙げることができる。スルホン酸金属塩基を含むグリコールとしては2−スルホ1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオールなどの金属塩が挙げられる。金属塩としてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cu、Feなどの塩が挙げられる。
スルホン酸金属塩基を含むジカルボン酸やグリコールを共重合することで共重合することによって成形性(押出加工性)が向上する傾向にある。
更には公知の延長剤を用いることができる、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、無水カルボン酸化合物等あげられ、公知の延長剤を用いることで、成形性(押出加工性)が向上する傾向にある。
本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aは、基本的には従来公知の溶融重縮合法、あるいは、この方法で製造されたプレポリマーを固相重合する固相重合法によって製造することが出来る。溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。これらは回分式反応装置から構成されていてもよいし、また連続式反応装置から構成されていてもよい。また溶融重縮合工程と固相重合工程は連続的に運転してもよいし、分割して運転してもよい。
重縮合反応は、重縮合触媒を用いて行う。重縮合触媒としては、Ge、Sb、Ti、またはAlの化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が用いられることが好ましい。これらの化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコール溶液、エチレングリコールのスラリー等として反応系に添加される。
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。また、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等の化合物も用いることが出来る。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、より好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
Ti化合物としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のテトラアルキルチタネートおよびそれらの部分加水分解物、酢酸チタン、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン、チタンハロゲン化物の加水分解物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、チタンアセチルアセトナート、ヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸とのチタン錯体物、チタンおよびケイ素あるいはジルコニウムからなる複合酸化物、チタンアルコキサイドとリン化合物の反応物、チタンアルコキサイドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物にリン化合物を反応させて得た反応生成物等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマー中のTi残存量として0.1〜50ppm、好ましくは0.5〜10ppmの範囲になるように添加する。
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜300ppm、好ましくは50〜250ppm、好ましくは50〜200ppm,さらに好ましくは50〜180ppmの範囲になるように添加する。
Al化合物としては、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
また、本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aの製造においては、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を必要に応じて併用してもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
前記のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
さらにまた、本発明に係る熱可塑性ポリエステル樹脂Aは、ケイ素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、錫、ハフニウム、タリウム、タングステンからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属化合物を含有してもよい。これらの金属化合物としては、これら元素の酢酸塩等の飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸塩などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸塩などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸塩などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸塩などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、アルコキサイド、アセチルアセトナ−ト等とのキレ−ト化合物があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、エチレングリコ−ルのスラリー等として反応系に添加される。これらの金属化合物は、生成ポリマー1トン当りのこれらの金属化合物の元素の残存量として0.05〜3.0モルの範囲になるように添加する。これらの金属化合物は、前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物を使用するのが好ましい。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジエチルエステル、フェニールホスホン酸ジフェニールエステル等である。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマー中のP残存量として好ましくは2〜100ppmの範囲になるように添加する。
重縮合触媒としてAl化合物を用いる場合は、リン化合物と併用することが好ましく、アルミニウム化合物およびリン化合物が予め溶媒中で混合された溶液またはスラリーとして用いることが好ましい。Al化合物の場合、より好ましいリン化合物は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン化合物を用いることで触媒活性の向上効果が見られるとともに、ポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂Aの極限粘度は、0.45〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.50〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。このような特性を持つ熱可塑性ポリエステル樹脂は、ヒートシール性、保香性、機械的特性などに優れている。
本発明に用いられる前記の熱可塑性ポリエステル樹脂Aには、必要に応じてその他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、耐熱安定剤、耐侯安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、有機過酸化物、界面活性剤、防曇剤、流滴剤、核剤、顔料、染料、シリカ、タルク、マイカ、カーボン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属ステアレート、セルロースパウダー等の無機あるいは、有機の添加剤、充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しても良い。
これらの有機系あるいは無機系の添加剤や充填剤を添加する方法としては、公知な種々の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー及びバンバリーミキサー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する方法か、もしくは事前に溶融混練せずにドライブレンド品又はオートフィーダーによるブレンド方法を用いることができる。
(熱可塑性樹脂B)
バリヤ性紙積層体の熱可塑性樹脂Bとしては、フィルム厚み20μm換算値の酸素透過率が10ml/m・day.atm以下である熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、特に、部分芳香族ポリアミド樹脂、エチレンビニールアルコール共重合樹脂、ポリグリコール酸樹脂から選択することができる。このように酸素透過率が10ml/m・day.atm以下の熱可塑性樹脂Bを用いて得られたバリヤ性紙積層体は、酸素により酸化され易い内容物を充填したバリヤ性紙積層体として有益である。
本発明に係る部分芳香族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとから誘導される単位を主構成単位とするポリアミド、または芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから誘導される単位を主構成単位とするポリアミドである。
本発明に係る部分芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
本発明に係る部分芳香族ポリアミドを構成する脂肪族ジカルボン酸成分としては、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、さらに炭素数4〜12のアルキレン基を有する直鎖状脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。このような直鎖状脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸およびこれらの機能的誘導体などを挙げることができる。
本発明に係る部分芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジアミン成分としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンなどが挙げられる。
本発明に係る部分芳香族ポリアミドを構成する脂肪族ジアミン成分としては、炭素数2〜12の脂肪族ジアミンあるいはその機能的誘導体である。脂肪族ジアミンは直鎖状の脂肪族ジアミンであっても分岐を有する鎖状の脂肪族ジアミンであってもよい。このような直鎖状の脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
また本発明に係る部分芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分として、上記のような芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸以外に脂環族ジカルボン酸を使用することもできる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
また本発明に係る部分芳香族ポリアミドを構成するジアミン成分として、上記のような芳香族ジアミンや脂肪族ジアミン以外に脂環族ジアミンを使用することもできる。脂環族ジアミンとしては、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノヘキシル)メタン等の脂環族ジアミンが挙げられる。
前記のジアミン及び、ジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等も共重合成分として使用できる。とりわけ、ε−カプロラクタムの使用が望ましい。
本発明に係る部分芳香族ポリアミドの好ましい例としては、メタキシリレンジアミン、もしくはメタキシリレンジアミンと全量の30%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される構成単位を分子鎖中に少なくとも20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上含有するメタキシリレン基含有ポリアミドである。このようなポリアミド樹脂をメタキシリレン基含有ポリアミド樹脂と言うことがある。
また本発明に係る部分芳香族ポリアミドは、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3塩基以上の多価カルボン酸から誘導される構成単位を実質的に線状である範囲内で含有していてもよい。
これらポリアミドの例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラミド等のような単独重合体、及びメタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピペラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸/ε−カプロラクタム共重合体、メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸/ω―アミノカプロン酸共重合体等が挙げられる。
また本発明に係る部分芳香族ポリアミドの好ましいその他の例としては、脂肪族ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸から選ばれた少なくとも一種の酸とから誘導される構成単位を分子鎖中に少なくとも20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上含有するポリアミドである。
これらポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/イソフタル酸共重合体、ポリノナメチレンテレフタルアミド、ポリノナメチレンイソフタルアミド、ノナメチレンジアミン/テレフタル酸/イソフタル酸共重合体、ノナメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸共重合体等が挙げられる。
また本発明に係る部分芳香族ポリアミドの好ましいその他の例としては、脂肪族ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸から選ばれた少なくとも一種の酸以外に、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等を共重合成分として使用して得た、脂肪族ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸から選ばれた少なくとも一種の酸とから誘導される構成単位を分子鎖中に少なくとも20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上含有するポリアミドである。
これらポリアミドの例としては、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム共重合体、ヘキサメチレンジアミン/イソフタル酸/ε−カプロラクタム共重合体、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸/ε−カプロラクタム共重合体等が挙げられる。
本発明に係るエチレンビニールアルコール共重合樹脂は、エチレンとビニルエステルからなる共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステルも使用できる。また、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えば、プロピレン、ブチレン、あるいは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエステル、およびN−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドン、ビニルシラン化合物を共重合することも出来る。
本発明に係るエチレンビニールアルコール共重合樹脂のエチレン含量は20〜60モル%であり、好適には25〜55モル%、より好適には25〜50モル%である。エチレン含量が20モル%未満では、高湿度下でのガスバリヤ性が低下し溶融成形性も悪化する。また60モル%を超えると十分なガスバリヤ性が得られない。
また、本発明に係るエチレンビニールアルコール共重合樹脂のビニルエステル成分のケン化度は90%以上であり、好適には95%以上、より好適には98%以上である。ケン化度が90%未満では、高湿度時のガスバリヤ性が低下するだけでなく、エチレンビニールアルコール共重合樹脂の熱安定性が悪化し、成形物にゲルが発生しやすくなる。
本発明に係るポリグリコール酸樹脂は、下記式(1)
Figure 0004983403
で表わされる繰り返し単位を含有する熱可塑性樹脂である。
ポリグリコール酸樹脂中の式(1)で表わされる繰り返し単位の含有割合は、60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、その上限は、100重量%である。式(1)で表わされる繰り返し単位の含有割合が少なすぎると、ガスバリヤ性や耐熱性などが損なわれる。
また、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えば、シュウ酸エチレン(すなわち、1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、βーメチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサンなどの環状モノマー、乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物、またはこれらの2種以上を共重合することもできる。
本発明に用いる部分芳香族ポリアミド樹脂の250℃、剪断速度100/秒の条件で測定した溶融粘度は、100〜10000Pa・sであることが本発明のバリヤ性紙積層体が多層構造を保持するためには必要な条件である。100Pa・s未満では部分芳香族ポリアミド樹脂が層状にならないのでバリヤ性紙積層体のバリヤ性が向上しない。また、10000Pa・sを超えると、溶融粘度が高くなりすぎ成形時に充分な流動性が得られず高速成形性に劣り、バリヤ性紙積層体の色調や外観も悪くなり問題である。
また、本発明に用いるエチレンビニールアルコール共重合樹脂の210℃、剪断速度100/秒の条件で測定した溶融粘度は、100〜10000Pa・sであることが本発明のバリヤ性紙積層体が多層構造を保持するためには必要な条件である。100Pa・s未満ではエチレンビニールアルコール共重合樹脂が層状にならないのでバリヤ性紙積層体のバリヤ性が向上しない。また、10000Pa・sを超えると、溶融粘度が高くなりすぎ成形時に充分な流動性が得られず高速成形性に劣り、バリヤ性紙積層体の色調や外観も悪くなり問題である。
また、本発明に用いられるポリグリコール酸樹脂は、の240℃、剪断速度100/秒の条件で測定した溶融粘度は、100〜5000Pa・sであることが本発明のバリヤ性紙積層体が多層構造を保持するためには必要な条件である。100Pa・s未満ではポリグリコール酸樹脂が層状にならないのでバリヤ性紙積層体のバリヤ性が向上しない。また、5000Pa・sを超えると、溶融粘度が高くなりすぎ成形時に充分な流動性が得られず高速成形性に劣り、バリヤ性紙積層体の色調や外観も悪くなり問題である。
また、本発明に係る共役二重結合を含有する樹脂としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役二重結合を持つポリオレフィン樹脂、ポリブタジエンオリゴマーなどの酸素吸収性の低分子量ポリオレフィンオリゴマーを共重合させたポリエステル樹脂、芳香族ビニル化合物とジエン化合物とからの共重合樹脂が挙げられる。
例えば、ポリブタジエンは、ブタジエンの重合により得られる重合体であるが、重合体鎖中に、下記式
Figure 0004983403
で示される1,2−ブタジエン単位を含有しており、上記以外の単位として、下記式
Figure 0004983403
で示される1,4−ブタジエン単位とを有している場合もある。
また、酸素吸収性の低分子量ポリオレフィンオリゴマーを共重合させたポリエステル樹脂としては、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル)−1−ペンテンおよびポリブタジエンなどのポリオレフィノリゴマーセグメントとポリエチレンテレフタレートセグメントとからなる共重合ポリエステル樹脂であり、例えば、特許3657275号公報などに説明されている。
(熱可塑性樹脂Bを含む副樹脂成分)
本発明に係る副樹脂成分は、前記の熱可塑性樹脂Bを主として含むが、本発明の作用効果が阻害されない範囲内で各種の熱可塑性樹脂や添加剤を含有させてもよい。
本発明において使用される遷移金属化合物としては、周期律表第VIII族の遷移金属(Fe,Co,Ni)の化合物が好適であるが、Cu,Ag等の第I族金属、Sn,Ti,Zrなどの第IV族金属、V等の第V族金属、Cr等の第VI族金属、Mn等の第VII族金属の化合物であってもよい。これらの中でも酸素吸収性促進効果の点でCoの化合物が最適である。
これらの金属化合物は、前記金属の有機酸塩、塩化物、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、硫酸塩、アルキルリン酸塩、あるいはフタロシアニン錯体などの形で使用され、単独またはこれらの混合物でもよい。
有機酸塩としては、例えば酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸などC2〜C22の脂肪族アルキル酸の塩、あるいはマロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘキサハイドロフタル酸、など2塩基酸の塩、ブタンテトラカルボン酸の塩、安息香酸、トルイック酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸など芳香族カルボン酸塩、あるいはポリアクリル酸、エチレン/アクリル酸共重合体など高分子カルボン酸の塩の単独、若しくは混合物が挙げられる。
金属の錯体としては、β―ジケトンまたはβ―ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。
これらの遷移金属化合物の配合量は、金属原子の含有量として1〜5000ppm、好ましくは10〜3000ppm、特に好ましくは100〜1000ppmである。
熱可塑性樹脂Bが共役二重結合を含有する樹脂の場合は、前記の遷移金属化合物の配合は必須である。
本発明に用いられる前記の副樹脂成分には、例えば、熱安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂などを本発明の目的が阻害されない範囲で使用することができる。添加方法としては前記熱可塑性ポリエステル樹脂Aで記載した方法を用いることが出来る。
(バリヤ層)
本発明に係るバリヤ層は、基材樹脂である熱可塑性ポリエステル樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを含む副樹脂成分を厚み方向に少なくとも3層以上積層された多層構造を有するバリヤ層である。
バリヤ層の厚み方向の層数は、好ましくは10層以上、さらに好ましくは100層以上であることを特徴とするバリヤ性紙積層体である。層数の上限値は100万層であり、これを超える層数にしても酸素透過率などの特性の向上は出来ない。
また、バリヤ層中の熱可塑性ポリエステル樹脂Aの含有量は用いる熱可塑性ポリエステル樹脂Aの種類により異なるが、価格、バリヤ特性、機械的特性などを考慮して、99〜53重量%、好ましくは95〜55重量%、さらに好ましくは90〜58重量%、80〜60重量%である。熱可塑性ポリエステル樹脂Aの含有量が99重量%を超えるとバリヤ層の酸素透過量が基材樹脂の酸素透過量とあまり変わらなくなり効果がなくなる。また、53重量%未満ではバリヤ層の機械的強度の悪化や価格の高騰などになり実用性に乏しくなるので好ましくない。
以下には、例として溶融押出成形法によるバリヤ層の製法を説明する。
基材樹脂である熱可塑性ポリエステル樹脂A(以下、樹脂成分Aと略称する)および副樹脂である熱可塑性樹脂B(以下、樹脂成分Bと略称する)を、それぞれ異なる押出機A1およびB1に投入し、溶融する。溶融温度は、各樹脂成分にとって劣化や変質を起こさないものであれば構わない。ひとつの指標として、結晶性を示す樹脂成分の場合は、融点+(5℃〜30℃)、非晶性の樹脂成分の場合は軟化温度+(20℃〜150℃)である。
溶融した樹脂成分Aおよび樹脂成分Bは、溶融状態のまま、スタティックミキサに導かれ、樹脂成分Aを含有するX層と樹脂成分Bを含有するY層の積層体が形成される。溶融した樹脂成分Aおよび樹脂成分Bのスタティックミキサへの投入を容易にするために、スタティックミキサの前にフィードブロックを設置し、フィードブロックで一度樹脂成分Aおよび樹脂成分Bを合流させてから、スタティックミキサに導いてもよい。
本発明におけるスタティックミキサとは、配管内に、横長の長方形の板をその短辺同士のなす角(捩り角)が45度〜270度となるように捩じ曲げた形状のエレメントを、隣接するエレメントの短辺同士が交差するように交互に配列させた配管内混合装置のことである。1つのエレメントを溶融樹脂が通過する時、樹脂が2層に分割されると共に、各樹脂層に、エレメントの旋回方向とは逆方向への捩れが生じる。さらに、次のエレメントを通過すると、同様に樹脂の分割と捩れが生じ、4層に分割される。従って、樹脂成分Aと樹脂成分Bとを1層ずつ積層した状態で、スタティックミキサに導入すると、理論上は、最初のエレメントの短辺が積層面に水平であれば、n個のエレメントを通過すると2n層に、最初のエレメントの短辺が積層面に垂直であれば2n+1層になるが、実際には、流路径と長さ、エレメントの捩り角、捩り勾配、樹脂の吐出量、各樹脂の粘度や表面張力などの溶融特性の影響で変化することもあり、連続した層にはならない場合がある。出来るだけ連続した層を多くするには使用する樹脂の溶融粘度や押出条件を適正化することが好ましい。
スタティックミキサのエレメントのL/D(配管長/配管の内径)比は、1.0〜3.0の範囲が好ましく、1.4〜2.0の範囲がより好ましい。L/D比が1.0より小さいと樹脂の分割効率が悪くなり、3.0を超えるとミキサ内を通過する樹脂の滞留時間が長くなるため実用的ではない。
スタティックミキサのエレメントの捩り角は、45度以上とする。捩り角が45度未満では樹脂層のねじりが不充分となるからである。捩り角は、90度以上がより好ましく、135度以上がさらに好ましい。捩り角の上限は315度がよい。315度を超えると過度のねじりによって、均一な積層構造が得られない。捩り角は270度以下が好ましく、215度以下がより好ましい。なお、均一な積層構造が得られないというのは、樹脂成分Bが球状や楕円状などの層状でない状態に分散された構造になることをいう。
また、スタティックミキサの配管側面を樹脂の進行方向に切断して展開した場合の、配管内壁とエレメントとのつなぎ目をたどる直線と、樹脂の進行方向とがなす角度、つまりエレメントの捩り勾配は、27度以上が好ましい。この捩り勾配が27度未満では樹脂層の捩り効果が少なく、樹脂に充分なねじりを与えるためにはL/D比を大きくしなければならないため、実用的ではない。捩り勾配は38度以上がより好ましく、42度以上がさらに好ましい。一方、捩り勾配が65度を超える場合は、樹脂の乱流が激しくなるため、積層構造が乱れるため好ましくない。捩り勾配は54度以下がより好ましく、50度以下がさらに好ましい。
スタティックミキサのエレメントの好ましい形状は、樹脂の吐出量や溶融特性に応じて適宜選択することができ、また、スタティックミキサを通過する樹脂の溶融特性の変化に対応して、形状の異なる複数のエレメントを組み合わせて用いることもできる。最も好ましいエレメントは、L/D=1.5、捩り角180度、捩り勾配46度のものである。
スタティックミキサのエレメントの配列は、エレメントの捩れ方向が、右旋回、左旋回、右旋回となるように、交互に方向を変えることが好ましい。均一な積層構造が得られるためである。また、隣接するエレメントを直角に交わるように配列することも、均一な積層構造が得られるためには好ましい。
スタティックミキサのエレメント数は、4以上が好ましく、より好ましくは6以上であり、さらに好ましくは8以上である。一方、当該エレメント数が大きくなりすぎると、積層構造の乱れが生じ、球状構造になりやすくなるため、当該エレメント数を24以下とすることが好ましく、18以下とすることがより好ましく、14以下とすることがさらに好ましい。
上記で説明したスタティックミキサの構造は1つの典型であり、本発明の目的を逸脱しない範囲で形状や配置を変更したり、また、スタティックミキサの前後や、そのエレメント間に別の装置を配置することも、もちろん可能である。例えば、樹脂配管よりも小径のスタティックミキサを配管内に2列以上並列させてもよい。樹脂成分Aと樹脂成分Bとをスタティックミキサを通過させて積層した積層樹脂に、さらに、別の樹脂を合流させて積層させることもできる。
また、フィードブロックを複数用いて、3層以上に積層した積層樹脂を、スタティックミキサに導いてさらに多層化することもできる。この場合には、フィードブロックでの積層数の分だけ、スタティックミキサのエレメント数を少なくすることができ、フィードブロックによる積層数は10層以内とすることが好ましい。
スタティックミキサの温度としては、樹脂成分が結晶性を示す場合には、融点+(5℃〜30℃)、非晶性を示す場合には、軟化温度+(20℃〜150℃)に設定するのがよく、最も好ましくは、溶融温度として採用した温度と同じ温度に設定する。
バリヤ層をシート状物として単独で得る場合は、この積層体をT−ダイより押出し、表面温度が10〜40℃の冷却ロールに密着させることにより、積層体の未延伸シート状物を得る。この未延伸シートは、そのままで紙基材層に下記のような方法によって積層させるか、あるいは、少なくとも一方向に延伸後同様にして積層させる。
また、バリヤ層を書きの方法によって直接紙基材層に積層させることもできる。
(バリヤ性紙積層体)
バリヤ性紙積層体は、前記のバリヤ層と紙基材を積層した紙積層体である。
バリヤ性紙積層体の作製方法について具体的に説明すると、例えば、紙基材層と前記バリヤ層とを、ラミネート用接着剤による接着剤層を介して積層するドライラミネーション法、溶融押出接着性ポリエステル樹脂による溶融押出樹脂層を介して積層する溶融押出ラミネーション法により積層させる方法が挙げられる。また、熱可塑性ポリエステル樹脂Aを含む基材樹脂成分と、熱可塑性樹脂Bを含む副樹脂成分とを前記のようにスタティックミキサ経由で積層された溶融体とし、これを紙基材層にダイスを経由して積層する直接溶融押出ラミネーション法などで行うこともできる。
また、前記積層構造において、最外層は、X層またはY層のいずれであってもよい。
また、内容物と接触し、かつ、シーラント層となる最内層が主として熱可塑性ポリエステル樹脂Aからなる層であってもよい。
本発明のバリヤ性紙積層体の内容物の香味保持性が問題になる場合には、最内層のバリヤ層のアセトアルデヒド含有量は50ppm以下、好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。アセトアルデヒド含有量が50ppmを超える場合には、紙積層体の香味保持性が悪くなる。また、紙積層体中のアセトアルデヒド含有量の下限値は3ppmであり、これ以下に低減するには経済性の点で問題である。
本発明の紙積層体を得る場合、アルデヒド低減剤としてポリアミド、ポリエステルアミド、低分子量のアミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、ヒンダートフェニール系化合物、ヒンダートアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ポリフェノール系化合物、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アルカリ金属塩を熱可塑性ポリエステル樹脂Aに配合することができ、好ましくはポリアミド、ベンゾフェノン系化合物、ポリエステルアミド、リン系安定剤、低分子量のアミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダートフェニール系化合物、ヒンダートアミン系化合物をバリヤ層に配合することができる。
これらのポリアミド化合物、低分子量アミノ基含有化合物、あるいは水酸基含有化合物などのアルデヒド低減剤は、単独で用いても良いし、適当な割合で混合して用いても良い。
前記アルデヒド低減剤は、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部用いることができる。
前記アルデヒド低減剤は、熱可塑性ポリエステルの低重合度オリゴマーの製造からポリエステルポリマーの製造の任意の反応段階に於いて所定量のアルデヒド低減剤を添加することによって配合することができる。例えば、前記のアルデヒド低減剤を細粒、粉状、溶融体など適当な形としてエステル化反応器や重縮合反応器などの反応器に添加したり、前記の反応器から次工程の反応器への前記ポリエステルの反応物の輸送配管中に前記アルデヒド低減剤またはこれと前記ポリエステルとの混合物を溶融状態で導入したりして配合できる。さらには必要に応じて得られたチップを高真空下または不活性ガス雰囲気下で固相重合することも可能である。
また、従来公知の方法により熱可塑性ポリエステル樹脂とアルデヒド低減剤を混合する方法などによって得ることもできる。例えば、ポリアミドチップとポリエステルチップとをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドしたもの、さらにドライブレンドした混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で1回以上溶融混合したもの、さらには必要に応じて溶融混合物からのチップを高真空下または不活性ガス雰囲気下で固相重合したものなどが挙げられる。
さらに、前記ポリアミドなどをヘキサフロロイソプロパノールなどの溶剤に溶解させた溶液をポリエステルのチップの表面に付着させる方法、前記ポリアミド製の部材が存在する空間内で、前記ポリエステルを前記部材に衝突接触させて前記ポリエステルチップ表面に前記ポリアミドを付着させる方法などが挙げられる。
本発明のバリヤ性紙積層体は、各種の内容物を充填した包装容器用のバリヤ性多層容器として用いることにより、清涼飲料(炭酸飲料、果汁飲料、スポーツ飲料等)、アルコール飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ミネラルウォーター、ドレッシング、焼き肉等用タレ、調味用ソース、マヨネーズ、サラダ油及びゴマ油等の食料及び飲料、医薬品、農薬等及び酸素の存在によって品質が悪化しやすい内容物の長期保存に効果がある。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、主な特性値の測定法を以下に説明する。ポリエステルの組成や各特性は、チップを冷凍粉砕して十分に混合した後、測定する。
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。ポリエステル組成物のIVは構成するポリエステルのIVから計算した加重平均値とした。
(2)ガラス転移温度
セイコー電子工業株式会社製DSC220型で、20℃/minの昇温速度で測定した。
(3)押し出し加工性
ポリエステル樹脂(A)を、40mmφ抽出機、ダイスリット幅200mm×ダイギャップ0.8mm、エアギャップ100mm、温度280℃で製膜し、ダイ幅と得られたフィルム幅の差をネックイン幅とした。
ネックイン幅が広いほど押し出し加工性が良好を示し、 200mm〜180mmを○、180mm〜160mmを△〜○、160mm未満を×とした。
(4)多層成形体の層数
バリヤ層の層数は、透過型電子顕微鏡を用いて観察して求めた。まず、ほぼ中央から断面が全て含まれるように切片を切り取り、これをエポキシ樹脂中に包埋した。用いたエポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)をそれぞれ100:89:3の割合で良く混合したものを用いた。次に、サンプルを上述の混合樹脂中に包埋後、温度60℃に調整したオーブン中で16時間放置し、樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いて多層成形体の観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした切片はメッシュ上に回収した後、室温で四酸化ルテニウム蒸気中に30分間静置して染色し、薄くカーボン蒸着を施した。
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を加速電圧200kV、4万倍の条件で実施した。得られた像はイメージングプレート(フジ写真フィルム製FDL UR−V)上に記録した。イメージングプレート上に記録した信号をデジタルルミノグラフィー(日本電子製PixsysTEM)を用いて読み出し、ウインドウズ(登録商標)パソコン上にデジタルの画像情報として記録し、確認される層の数を数えた。なお、層数は、多層成形体からの超薄膜切片の電子顕微鏡写真の中央の100μm幅の視野中に存在する層状に存在する層の数を数え、これを層数とした。この操作を10回繰り返し、層数の平均値を求めた。
(5)保香性試験 (d−リモネン吸着)
製膜した厚さ50μmのポリエステル樹脂A(シール材)をサンプル瓶に入れ、果汁飲料の香料成分の一つであるd−リモネンを加え、25℃及び40℃で2週間放置した。浸漬前後のシール材の重量差を求めることによりd−リモネンの吸着量を求め、低密度ポリエチレンの吸着量を100としたときの相対値を得た。
相対値 : 21以上を× 、10〜20を○ 、10未満を ◎ とした。
(6)落袋試験
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを保護層として用い、製膜した厚さ50μmのポリエステル樹脂A(シール材)を10cm×10cmの大きさに熱接着して袋を作り、その中に水100mlを入れてサンプルとした。これを5mの高さより落下させて、袋を目視にて観察し、以下のように評価した。
○ : 変化なし
△ : 若干剥離が見られた
× : 層間剥離が発生
(7)酸素透過率
実施例、比較例で作製した積層体を、モダンコントロール社製(MOCON OXTRAN、10/50A)を用いて、25℃、65%RH雰囲気下で測定した。
(8)味覚試験
実施例、比較例で作製した積層体を、150×150mmのパウチを作製し、このパウチに、ウーロン茶を注入し、403日保存後の味覚試験を行った。優、良、不可の3段階評価を行った。
(熱可塑性ポリエステル樹脂A−1の合成例)
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸 5096部、イソフタル酸 566部、、トリメリット酸 32.7部、エチレングリコール4370部を加え、230〜240℃、3.0kgf/cm2の加圧下で2.5時間エステル化反応を実施した。エステル化反応終了後、テトラブチルチタネート1.7部を加え、反応系を220℃から275℃に昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしていき、60分かけて275℃で5Torrとした。そしてさらに3Torr以下90分間重縮合反応を行い淡黄色透明のポリエステルAを得た。樹脂特性を表1に示す。
熱可塑性ポリエステル樹脂A−1と同様に、ポリエステルA−2〜A−7を合成した。
Figure 0004983403
(使用した部分芳香族ポリアミド樹脂=Ny−MXD6)
試験に使用した部分芳香族ポリアミドの特性を表2に示す。
Ny−MXD6(a)は、メタキシリレンジアミンとアジピン酸の約80重量%以上の濃度の水溶液を用いて、原料調合工程、アミド化反応工程、初期重縮合反応工程および後期重縮合反応工程から構成される回分式重縮合反応装置によって、製造時間約120分間以内で重縮合時間を適宜変更して得たものである。リン原子含有化合物として次亜リン酸ナトリウムを添加した(P残存量=200ppm、Na含有量=440ppm)。なお、ナトリウム量としては次亜リン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのナトリウム原子の合計量としてリン原子の約3倍モルになるようにした。
Ny−MXD6/MXDI(b)は、Ny−MXD6(a)と同一装置を用いて、原料としてメタキシリレンジアミン、アジピン酸、イソフタル酸を表2の組成に対応するように調整した原料組成物の約80重量%以上の濃度の水溶液を用いて、製造時間約120分間以内で重縮合して得たものである。
(使用したエチレンビニールアルコール共重合樹脂(EVAL))
(株)クラレのエバール、T101を用いた。
(使用したポリグリコール酸(PGA))
グリコリドを塩化スズ触媒を用いて170℃で開環重合して得た。
樹脂特性を表2に示す。
(使用したポリカプロアミド(Ny6))
東洋紡績(株)製の溶融粘度5000Pa・sのNy6を用いた。
Figure 0004983403
以下、実施例5、7、10〜12は、それぞれ参考例5、7、10〜12と読み替える。
〈実施例1〉
PET(A−1)のチップを押出機Aに投入し、280℃で溶融した。一方で、Ny−MXD6(a)チップBを押出機Bに投入し、260℃で溶融した。両押出機で溶融した樹脂を、樹脂比率がA/B=60/40(質量比)となるように、280℃のフィードブロックに導き、さらに、280℃のスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、12エレメント、内径38.4mm、1エレメントのL/D=1.5、1エレメントの捩り角180度、捩り勾配46度)にて積層化した。次いでこの溶融体を坪量84.9g/m2の紙の片面に押出し塗布し、20μmの厚さの多層状の樹脂層(バリヤ層)を積層したバリヤ性紙積層体を作製した。結果を表3に示す。結果は問題なかった。
(実施例2)
Ny−MXD6(a)の替わりにNy−MCD6/MXDI(b)を用いて、表3の構成とする以外は実施例1と同様にして紙積層体を成形した。
結果を表3に示す。結果は問題なかった。
(実施例3)
EVAL樹脂を用いて、表3の構成とする以外は実施例1と同様にして紙積層体を成形した。
結果を表3に示す。結果は問題なかった。
(実施例4)
PGA樹脂を用いて、表3の構成とする以外は実施例1と同様にして紙積層体を成形した。
結果を表3に示す。結果は問題なかった。
(実施例5)
ポリカプロアミド(Ny6)樹脂を用いて、表3の構成とする以外は実施例1と同様にして紙積層体を成形した。
結果を表3に示す。結果は問題なかった。
Figure 0004983403
(実施例6〜11)
同様にPET(A−1)の替わりにPET(A−2)〜PET(A−7)を用いて、表4の構成とする以外は実施例1と同様にして紙積層体を成形した。
結果を表4に示す。結果は問題なかった。
(実施例12)
同様にPET(A−1)を用いて、表4の構成とする以外は実施例1と同様にして紙積層体を成形した。
結果を表4に示す。
Figure 0004983403
(比較例1)
PET(A)チップ単独を単一の押出機Aに投入して280℃で溶融し、スタティックミキサを使用せずに、実施例1と同様にして中空容器を成形した。
結果を表5に示す。酸素透過率が高く、味覚試験も不良となり問題であった。
Figure 0004983403
本発明のバリヤ性多層ポリエステル成形体は、ガスバリヤ性および層間剥離がなく、また機械的特性に優れており、特に乳飲料、果汁飲料等の飲料用容器として好適である。

Claims (2)

  1. 少なくとも紙層とバリヤ層とからなるバリヤ性紙積層体であって、前記バリヤ層が、熱可塑性ポリエステル樹脂Aを含む基材樹脂成分と、熱可塑性樹脂Bを含む副樹脂成分とを、それぞれ別々の押出機で溶融し、溶融状態のまま基材樹脂成分および副樹脂成分をスタティックミキサ経由で成形して得た多層構造の層を主として含むバリヤ性ポリエステル層であって、
    前記熱可塑性ポリエステル樹脂Aが、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とから得られる熱可塑性ポリエステルであり、
    構成する芳香族ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及びイソフタル酸を含み、テレフタル酸の占める割合が75モル%以上であり、
    3官能以上のポリカルボン酸もしくはポリオールを0.1モル%〜10モル%共重合したポリエステル樹脂であり、
    前記熱可塑性樹脂Bが、部分芳香族ポリアミド樹脂、エチレンビニールアルコール共重合樹脂、ポリグリコール酸樹脂、共役二重結合を含有する樹脂から選ばれる一種以上であり、
    バリヤ層中の熱可塑性ポリエステル樹脂Aの含有量が、80〜60重量%で
    あることを特徴とするバリヤ性紙積層体。
  2. さらに最内層に熱可塑性ポリエステル樹脂Aを含む層をシーラント層として設けたことを特徴とする請求項1に記載のバリヤ性紙積層体。
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