JP4980629B2 - 無機質繊維製断熱マットとその製造方法 - Google Patents
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Description
図18は、この種の断熱マットを示す。断熱マットが直方体である場合、断熱マットは、最長辺方向たる長さ方向(P)と、断熱マットの横断面における長辺方向たる幅方向(Q)と、該横断面における短辺方向たる厚さ方向(R)とを有し、長さp、幅q、厚さrを有す。即ち、断熱マットは、正面及び背面(PQ面)と、長側面(PR面)と、短側面(QR面)とを有す。公知の多くの断熱マットにおいては、図18に示すごとく、無機質繊維は、図示のようにR方向に堆積又は積層されている。即ち、無機質繊維の積層面は、PQ面に平行な面に存している。
そして、該断熱マットに、熱可塑性樹脂フィルム等公知の手段により被覆して、断熱材とする。
そして、このような断熱マットよりなる断熱材は、PR面又はQR面を上下とし、PQ面が室外及び室内に面するように、家屋等の構築物内に配置され、断熱材として機能する。
下記特許文献1は、図18に示すように、無機繊維を堆積し、板状に成形してなり、無機繊維がPQ面に平行な面配列された無機繊維マットを開示しており、更に、両PQ面に対して垂直なスリットを、反対面に対して切り残し部分を残すように形成し、このスリット部分でスリットを開く方向に180度折曲可能としており、スリットの部分で折曲させることにより、PQ面方向に向いていた無機繊維の配列方向をR方向(断熱マットの厚さ方向)として、無機繊維の積層面をPR面に平行にすることとしている。
従って、断熱マットの幅方向方向(Q)に圧縮することができ、かつ厚さ方向の断熱性が更に改良された断熱マットが求められている。
また、本発明によれば、長さ方向及び幅方向に延びる正面及び背面と、長さ方向及び厚さ方向に延びる長側面と、幅方向及び厚さ方向に延びる短側面とを有し、無機質繊維を幅方向に積層してなる、無機質断熱マットであって、無機質繊維の積層面の少なくとも一部が、断熱マットの前記長側面に対して傾斜し、マットの短側面に現れる該積層面の縦断面形状をサインカーブ状とすることを特徴とする、無機質繊維製断熱マットが提供される(請求項2)。
前記マットの短側面に現れる該積層面の形状は、サインカーブ状及びのこぎり歯の形状の双方であっても良い(請求項3)。
また、好ましくは、前記断熱マットが、幅方向において2以上に分割されている(請求項5)。
(a)無機質物質を繊維化して無機質繊維とする繊維化工程と、
(b)該無機質繊維を積層方向に堆積して無機質繊維積層体とする堆積工程と、
(c)搬送方向において該無機質繊維積層体を圧縮することにより、無機質繊維の積層面を、搬送方向に対して傾斜させて、屈曲積層体とする屈曲工程と、
(d)該屈曲積層体を加圧、乾燥する加圧乾燥工程と、
(e)加圧乾燥された屈曲積層体を、搬送方向において所望長さに切断する切断工程と、
(f)所望長さに切断された屈曲積層体を、水平面において搬送方向と直交する幅方向に延びる軸を中心軸として90度回動する回動工程と、
よりなる無機質繊維製断熱マットの製造方法が提供される(請求項8)。
また、本発明によれば、上述の無機質繊維製断熱マットの製造方法であって、
(a)無機質物質を繊維化して無機質繊維とする繊維化工程と、
(b)該無機質繊維を積層方向に堆積して無機質繊維積層体とする堆積工程と、
(c’)水平面において搬送方向と直交する幅方向において該無機質繊維積層体を圧縮することにより、無機質繊維の積層面を、幅方向に対して傾斜させて、屈曲積層体とする屈曲工程と、
(d)該屈曲積層体を加圧、乾燥する加圧乾燥工程と、
(e’)加圧乾燥された屈曲積層体を、幅方向において所望幅に切断する切断工程と、
(f’)所望幅に切断された切断屈曲積層体を、搬送方向に延びる軸を中心軸として90度回動する回動工程と、
よりなる無機質繊維製断熱マットの製造方法が提供される(請求項9)。
(a)無機質物質を繊維化して無機質繊維とする繊維化工程と、
(b’)無機質繊維と共に無機質粒状物を堆積させ、該無機質粒状物により無機質繊維の積層面を傾斜させて屈曲積層体とする堆積工程と、
(d)該屈曲積層体を加圧、乾燥する加圧乾燥工程と、
(e”)加圧乾燥された屈曲積層体を、搬送方向において所望長さに、又は水平面において搬送方向に直交する幅方向において所望幅に切断する切断工程と、
(f”)所望長さ又は所望幅に切断された切断屈曲積層体を、幅方向に延びる軸又は搬送方向(X)に伸びる軸を中心軸として90度回動する回動工程と、
よりなる無機質繊維製断熱マットの製造方法が提供される(請求項10)。
請求項4に記載の発明によれば、前記積層面が、断熱マットの長側面に対して10〜45度で傾斜しているので、断熱マットの幅方向の圧縮性を損なうことなく、断熱性が向上した断熱マットが提供されることとなる。
請求項5に記載の発明によれば、断熱マットが幅方向において2以上に分割されているので、寸法の小さな場所に断熱マットを配置しようとする場合に、断熱マットを切断する必要が無く、施工現場での省力化を図ることができると共に、断熱マットの切断に伴う廃材の発生を防ぎ、また断熱マットの切断作業に伴う無機質繊維の飛散を防止することが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、不要となった無機質繊維を砕くことにより得られる無機質粒状物を前記積層面の間に配置することによって、前記積層面を傾斜させるので、資源の再利用を図ることができるという効果を有し、また容易に製造可能な断熱マットが提供される。
請求項7に記載の発明によれば、断熱性が十分に向上したと共に、断熱マットの幅方向の伸縮性が損なわれない断熱マットが提供される。
請求項9に記載の発明によれば、搬送方向と直交する方向において無機質繊維積層体を圧縮すると言う簡単な操作だけで、無機質繊維の積層面を傾斜させることができ、伸縮性と断熱性との双方を兼ね備える無機質繊維製断熱マットを簡単に製造することができる。
請求項10に記載の発明によれば、無機質粒状物を積層面の間に配置すると言う簡単な操作だけで、無機質繊維の積層面を傾斜させることができ、伸縮性と断熱性との双方を兼ね備える無機質繊維製断熱マットを簡単に製造することができる。また、不要となった無機質繊維より得られる無機質粒状物を用いるので、製造コストが減少されると共に、資源の再利用を図ることができるという効果も有する。
本発明の断熱マットは、無機質繊維1を堆積、積層して得られる無機質繊の維積層体よりなる。図1に示した断熱マットは、直方体であって、最長辺方向たる長さ方向Pと、断熱マットの横断面における幅方向Qと、該横断面における短辺方向たる厚さ方向Rとを有し、正面(PQ面)と、背面(PQ面)と、第一の側面たる2つの長側面(PR面)と、第二の側面たる2つの短側面(QR面)とを有す。
尚、図1においては、無機質繊維の積層体の積層面Lが模式的に示されているが、無機質繊維1そのものは示されていない。図2〜4及び図9も同様である。
また、図示実施例においては、直方体の断熱マットを示しているが、立方体であっても良い。
全ての積層面Lが、長側面(PR面)に対して傾斜している必要は無く、一部であってもよい。一部が傾斜していることにより、断熱マット全体として見た場合に、厚さ方向の断熱性が良好となるからである。
断熱マット6の厚さ方向に対する無機繊維の積層面Lの傾斜角度Wが10度未満だと、断熱性の改良が図られない。一方、該傾斜角度Wが45度を超えると、断熱性は改良されるものの、断熱マット4の幅方向Qの圧縮性が劣ることとなってしまう。
このように、断熱マットは、幅方向(Q方向)において2以上に分割されていることが好ましい。このように、幅方向に2以上に分割されていると、寸法の小さな場所に断熱マットを配置しようとする場合に、断熱マットを切断する必要が無く、回動屈曲積層体の数を少なくするだけで、寸法の小さな場所にも設置することが可能となる。
尚、図示実施例においては、幅方向(Q方向)において4つに分割されているが、本発明は、幅方向において2以上に分割されていることに限定されず、また4つに分割することに限定されないことに留意されたい。
図9に示す断熱マット106は、図1に示す断熱マット6と同じであるが、図1に示す断熱マット6の製造方法とは異なる方法により製造されたものである。
図3に示した断熱マット106においては、Mの範囲において、積層面Lが長側面に対して傾斜しており、Nの範囲において、長側面に対して10〜45度に傾斜している。上述のように、全ての積層面Lが、長側面(PR面)に対して傾斜している必要は無い。N及びMの範囲において、有効に断熱性が図られるからである。
図4に示されたように、断熱マット306には、積層面Lが長側面に対して傾斜している部分S(以下「傾斜部分」という)が点在している。
この無機質粒状物311の材料は、無機質繊維1の材料と同じであることが好ましく、例えば、無機質繊維1がガラス繊維である場合には、無機質粒状物311もガラス粒状物である。無機質粒状物として、不要となった無機質繊維を砕くことによって得られる解繊綿(屑綿)を用いれば、資源のリサイクルを図ることができ、好ましい。
無機質粒状物の大きさは、5〜30mmの径を有することが好ましい。5mm未満だと、積層面Lを十分に傾斜させることができず、また、30mmを越えると、傾斜が大きくなり過ぎてしまう。
また、無機質粒状物の形状は、特に限定されず、球状でも、無定形であっても良い。
尚、断熱マットの第一の側面に対する積層面Lの傾斜角度を10〜45度とする場合には、上述の無機質繊維に対する無機質粒状物の含有量及び粒状物の大きさを考慮する。
図17は、木造軸組工法による住宅施工における、断熱材7の配置の一例を示す。断熱材7は、外装下地材71と内装下地材72との間の空間に、PQ面が室内及び室外に面するように配置され、そして図示実施例にあっては、間柱74と内装下地材用受け材75との間、内装下地材用受け材75と間仕切壁用受け材76との間に配置される。本発明の断熱マットより作られた断熱材は、木造軸組工法のみならず、木造パネル工法(プレハブ工法)、枠組壁工法(2×4工法)、鉄骨軸組工法、鉄骨パネル工法等にも用いられる。
図1及び2に示す断熱マットは、本発明の製造方法に係る第1の製造方法により製造される。図5は、第1の製造方法に用いる装置を模式的に示した側面図である。
第1の製造方法は、(a)繊維化工程と、(b)堆積工程と、(c)屈曲工程と、(d)加圧乾燥工程と、(e)切断工程と、(f)回動工程とよりなる。
好ましい実施例によれば、第1の製造方法は、(a)繊維化工程により、無機質材料を無機質繊維1とし、(b)堆積工程により、無機質繊維1を無機質繊維積層体2とし、(c)屈曲工程により、無機質繊維積層体2を屈曲積層体3とし、(d)加圧乾燥工程により、屈曲積層体3を加圧、乾燥させ、(e)切断工程により、加圧、乾燥された屈曲積層体3を、搬送方向において所望長さ(j)に切断して、切断屈曲積層体4とし、(f)回動工程により、切断屈曲積層体4を、水平面において搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)に延びる軸を中心軸として90度回動させて、切断屈曲積層体4の各々を回動屈曲積層体5として、断熱マット6を得る。
尚、公知技術であることより図5では詳細に示されていないが、図15に示されたように、繊維化装置の一例としては、ガラスを用いる場合、ガラス原料をガラス溶融窯13に入れ、溶融槽15にて溶融された原料を清澄槽17に送り、溶融ガラスを清澄槽より回転体21’に落下させ、回転体21’の遠心力で溶融ガラスを繊維化するものである。
集綿機31上に堆積された後、無機質繊維積層体2は、搬送コンベア33等公知の搬送手段により搬送される。
堆積時、無機質繊維1は、垂直方向に堆積、積層される。以下、この(b)堆積工程における垂直方向(積層方向)を、「Z方向」と言い、搬送コンベア33の搬送方向を「X方向」と言い、水平面において、X方向と直交する方向(搬送コンベア33の幅方向)を「Y方向」と言う。
本発明の第1の製造方法においては、無機質繊維積層体2に対して、X方向に圧縮力を加え、無機質繊維積層体2を構成する無機質繊維を座屈させ、X方向に積層面を屈曲させることにより、積層面Lの縦断面形状を「のこぎり歯」の形状(図1)及び/又は「略サインカーブ」の形状(図2)とし、積層面をXY面に対して傾斜させる。
コンベア41の下流側には、抑え板45が配置されている。抑え板45は、図示実施例においては、上下動可能となっており、間欠的に、コンベア41上の無機質繊維積層体2を上方より抑える。抑え板45の傾斜面47は、XY面に対して10〜45度の範囲で傾斜している。
XY面に対する積層面の傾斜角度は、(1)抑え板26によって搬送速度を遅くすることと、(2)抑え板45による上方からの押圧との2つの動作により決定されるものであり、これら2つの要素のバランスにより調整する。
加圧、乾燥手段は、公知のものを使用することが可能であり、例えば、プレスによる加圧、送風又は加熱による乾燥が挙げられる。
切断装置及び切断方法は、公知のものを使用することが可能である。
また、必要に応じて、屈曲積層体3の耳部(幅方向端部の不要部分)を切断しても良いことは勿論である。
回動方法としては、公知のものを使用することが可能である。
このようにして、積層面Lが90度回動された回動屈曲積層体5が得られる。
複数の回動屈曲積層体5を並列させることにより、図1に示す断熱マット6となる。尚、回動屈曲積層体5が1つだけでも、断熱マットとして使用することは可能であり、本発明の断熱マットは、複数の回動屈曲積層体を並列したものに限定されない。
本発明の製造方法に係る第2の製造方法は、(c’)屈曲工程、(e’)切断工程及び(f’)回動工程が、第1の製造方法の(c)屈曲工程、(e)切断工程、(f)回動工程と異なることを除き、第1の製造方法と同じであり、図9に示す断熱マットが製造される。即ち、好ましい実施例によれば、第2の製造方法は、(a)繊維化工程により、無機質材料を無機質繊維1とし、(b)堆積工程により、無機質繊維1を無機質繊維積層体2とし、(c’)屈曲工程により、無機質繊維積層体2を屈曲積層体103とし、(d)加圧乾燥工程により、屈曲積層体103を加圧、乾燥させ、(e’)切断工程により、加圧、乾燥された屈曲積層体103を、水平面において搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)において所望幅(i)に切断して、切断屈曲積層体104とし、(f)回動工程により、切断屈曲積層体104を、搬送方向(X)に延びる軸を中心軸として90度回動させて、切断屈曲積層体104の各々を回動屈曲積層体105として、断熱マット106を得る。
第2の製造方法の(a)繊維化工程及び(b)堆積工程は、第1の製造方法のものと同じである。
該装置においては、コンベア141と第2抑え板143と第3抑え板145とが用いられる。コンベア141は、搬送コンベア33に連続して配置される。
第2抑え板143は、Y方向においてコンベア141の両側に配置されており、Y方向に移動可能となっている。
第3抑え板145は、コンベア141の上方に配置されており、Z方向に移動可能(上下動可能)となっている。
尚、第2波形コンベア61のX方向長さ(圧縮幅)と、圧縮時間と、第2波形コンベア61の搬送速度とを調整することにより、流れ作業により(c’)屈曲工程を行うことができる。
このように、コンベア141が傾斜面142を有すると、傾斜面142によっても積層面Lが屈曲されることとなり、積層面Lを、より正確に屈曲させることが可能となる。但し、本発明は、コンベア141の表面が波形であることに限定されない。
加圧乾燥された屈曲積層体103は、(e’)切断工程に付され、図8及び図6に示したように、第2カッター163により、幅方向(Y方向)において、所望幅(i)に切断され、切断屈曲積層体104とする。換言すれば、X方向寸法、Z方向寸法を変えることなく、屈曲積層体103のY方向寸法を、例えば4等分する。図示実施例においては、Y方向寸法を4等分しているが、本発明は、4つに分割することに限定されず、また、等分することに限定されない。
尚、(e’)切断工程に先立って、公知の方法で、屈曲積層体103の耳部を切断することは勿論可能である。
回動方法の一例として、図8に示す方法が挙げられるが、本発明の(f’)回動工程は、図8に示す方法に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。図8は、第2の製造方法の(e’)切断工程及び(f’)回動工程に用いる装置を模式的に示した平面図である。
(e’)切断工程により得られた切断屈曲積層体104は、スぺーサー165により、一つの切断屈曲積層体104と隣接する切断屈曲積層体104との間にスペースが設けられ、これによって、各切断屈曲積層体104は回動することが可能となる。
次に、切断屈曲積層体104は、ねじり形状ガイド166に送られる。これによって、切断屈曲積層体104の各々は、コンベアにより進行するにしたがってひねられ、切断屈曲積層体104の横断面(YZ面)の中央を中心軸(X方向に延びる軸)として90度回動することとなり、「回動屈曲積層体105」となる。図示実施例においては、全ての切断屈曲積層体104を90度回動させることとしているが、一部の切断屈曲積層体104のみを90度回動させてもよい。
集合機167によって、回動屈曲積層体105と隣接する回動屈曲積層体105との間のスペースをゼロとすることにより、断熱マット106が得られる。図示実施例においては2つの回動屈曲積層体105よりなる断熱マット106が示されているが、更に集合機を用いることにより、4つの回動屈曲積層体105よりなる断熱マット106が得られることは勿論である。
図3に示す断熱マットは、第3の製造方法により製造される。図10〜14は、第3の製造方法により断熱マットを製造する方法を模式的に示す。
第3の製造方法は、(c”)屈曲工程が第2の製造方法の(c’)屈曲工程と異なることを除き、第2の製造方法と同じである。即ち、第3の製造方法は、(a)繊維化工程と、(b)堆積工程と、(c”)屈曲工程と、(d)加圧乾燥工程と、(e’)切断工程と(f’)回動工程とよりなり、(a)繊維化工程により「無機質繊維1」を製造し、(b)堆積工程により「無機質繊維積層体2」を製造し、(c”)屈曲工程により「屈曲積層体203」を製造し、(d)加圧乾燥工程により屈曲積層体203を加圧乾燥させ、(e’)切断工程により、加圧、乾燥された屈曲積層体203を、水平面において搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)において所望幅(i)に切断して、切断屈曲積層体204とし、(f)回動工程により、切断屈曲積層体204を、搬送方向(X)に延びる軸を中心軸として90度回動させて、切断屈曲積層体204の各々を回動屈曲積層体205として、断熱マット206を得る。
第3の製造方法の(c”)屈曲工程においては、無機質繊維積層体2に掛け針241を挿入することによって、積層面Lを屈曲させる。より詳細には、無機質繊維積層体2に、無機質繊維の積層方向(Z方向)に掛け針241を挿入し引き抜くことによって、掛け針挿入部分及びその周辺部の積層面Lを挿入方向に屈曲させるものである。
掛け針241は、掛け針駆動装置(図示せず)によって、積層面Lに対して直交する方向(Z方向)に往復動する。
図11に示したように、掛け針241は、軸243と、軸方向に直交した方向に突出する1又は2以上の突起245とよりなる。各突起245は、掛け針の先端方向に向かうに従って横断面積が小さくなるように形成されており、斜面247と後面248とよりなる。掛け針241の後面248が、軸247に対して直交していることが好ましい。
XY面に対する積層面Lの傾斜角度は、掛け針241の復動速度及び突起245の横断面積等によることとなるので、積層面Lの傾斜角度を10〜45度とする場合には、これらを考慮する。
尚、上述の(c”)屈曲工程に先立って、(d)加圧乾燥工程を行っても良い。即ち、(b)堆積工程により得られた無機質繊維積層体2を加圧、乾燥し、加圧乾燥した無機質繊維積層体2を(c”)屈曲工程に付しても良い。(c”)屈曲工程に先立って加圧乾燥を行うことにより、無機質繊維がバインダーによって強固に接着されることとなり、掛け針241を挿入した場合に、無機質繊維積層体2全体の形状が崩れることが無くなる。
図4に示す断熱マットは、本発明の製造方法に係る第4の製造方法により製造される。図15は、第4の製造方法に用いる装置を模式的に示した側面図である。
第4の製造方法は、(b’)堆積工程において積層面が屈曲されるものであり、第1〜3の製造方法における(c)〜(c”)屈曲工程が存しない。また、第4の製造方法の(f”)回動工程においては、X軸又はY軸のいずれか一方を中心軸として切断屈曲積層体を回動させれば良く、これに伴い(e”)切断工程での屈曲積層体の切断が決定する。
即ち、第4の製造方法は、(a)繊維化工程と、(b”)堆積工程と、(d)加圧乾燥工程と、(e)切断工程と、(f)回動工程とよりなり、(a)繊維化工程により「無機質繊維1」を製造し、(b”)堆積工程により、無機質粒状物を含む「屈曲無機質繊維積層体303」を製造し、(d)屈曲無機質繊維積層体303を加圧乾燥し、(e”)加圧乾燥された屈曲無機質繊維積層体303を、搬送方向(X)又は水平面において搬送方向(X)と直交する方向(Y)において所望長さ(j)又は所望幅(i)に切断して、「切断屈曲積層体304」とし、(f”)切断屈曲積層体304を、水平面において搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)、又は搬送方向(X)に伸びる軸を中心軸として90度回動させて、切断屈曲積層体304の各々を「回動屈曲積層体305」として、断熱マット306を得る。
(a)繊維化工程において製造された無機質繊維1は、繊維化装置21より落下すると共に、接着剤塗布装置23により接着剤(バインダー)を吹き付けられ、集綿機31上に落下、堆積する。この集綿機31上に堆積した無機質繊維1の上に更に無機質繊維が堆積され、積層面Lが形成されると共に、無機質繊維積層体が形成される。
図15に示したように、無機質粒状物311を貯留した粒状物貯留槽313の吹出口315が、集綿機31の上方に配置されており、該吹出口315から無機質粒状物311が、集綿機31上の無機質繊維の上に落下し、積層面(L、L)間に配置される。
尚、図15は、製造装置を模式的に示したものであって、一つの繊維化装置21と、一つの吹出口315しか示されていないが、複数の繊維化装置21と複数の吹出口315を設けて、繊維化装置21と吹出口315とをX方向において交互に配置すれば、積層面(L、L)間に無機質粒状物311が配置された屈曲無機質繊維積層体303が形成される。積層面(L、L)間に無機質粒状物311が配置されているので、積層面Lは、無機質粒状物311によって傾斜することとなる。
(b’)堆積工程において形成された屈曲無機質繊維積層体303は、第1〜3の製造方法と同じ方法で(d)加圧乾燥工程に付される。
第4の製造方法においては、、屈曲無機質繊維積層体302の積層面Lがランダムな方向に傾斜しているので、(f”)回動工程は、Y方向に延びる軸を中心軸としてもよく、X方向に延びる軸を中心軸としても良い。即ち、第4の製造方法の(f”)回動工程は、第1の製造方法の(f)回動工程と同じでも良く、第2及び第3の製造方法の(f’)回動工程と同じであっても良い。Y方向に延びる軸を中心軸として(f”)回動工程を行う場合、第4の製造方法の(e”)切断工程は、第1の製造方法の(e)切断工程と同じであり、X方向に延びる軸を中心軸として(f”)回動工程を行う場合、第4の製造方法の(e”)切断工程は、第2及び第3の製造方法の(e’)切断工程と同じである。
尚、図15においては、第1カッター61、第2カッター163の双方が示されているが、いずれか一方を配置すれば良い。
本発明の第1の製造方法((a)繊維化工程と、(b)堆積工程と、(c)屈曲工程と、(d)加圧乾燥工程と、(e)切断工程とよりなる)により、300mm×600mm×100mmのグラスウールよりなる断熱マットを製造した。この時、断熱マットの長側面に対する積層面の傾斜角度を表1のものとした。グラスウールの密度は、16kg/m3であった。
これら断熱マットの断熱性能及び圧縮性を測定した。結果を表1に示す。断熱性能及び伸縮性は、最も良いものを「A+」とし、以下、「A」、「B+」、「B」、「C+」、「C」、「D]として、7段階で評価した。
尚、実施例1、実施例4は、請求項1〜3の発明に含まれるものの、請求項4の発明には含まれず、請求項4の観点よりすれば、これらは比較例となる。
本発明の第4の製造方法((a)繊維化工程と、(b’)堆積工程と、(d)加圧乾燥工程と、(e)切断工程とよりなる)により、300mm×600mm×100mmのグラスウール(密度16kg/m3)よりなる断熱マットを製造した。無機質粒状物は、不要となったグラスウールを砕いて得られた解繊綿(屑綿)を用いた。この時、解繊綿の量を、重量%で表2のようにした。
これら断熱マットの断熱性能及び圧縮性を測定した。結果を表2に示す。断熱性能及び伸縮性は、上述と同じ方法で評価した。
尚、実施例5、実施例8は、請求項6の発明に含まれるものの、請求項7の発明には含まれず、請求項7の観点よりすれば、これらは比較例となる。
上述の第3の製造方法((a)繊維化工程と、(b)堆積工程と、(c”)屈曲工程と、(d)加圧乾燥工程と、(e)切断工程とよりなる)により、300mm×600mm×100mmのグラスウール(密度16kg/m3)よりなる断熱マットを製造し、その断熱性及び圧縮性を上述の評価方法で評価したところ、断熱性がC+、圧縮性がBであった。即ち、上述の第3の製造方法により、断熱性と圧縮性との双方を兼ね備える断熱マットが得られることが分かった。
2:無機質繊維積層体、
3、103、203、303:屈曲積層体、
4、104、204、304:切断屈曲積層体、
5、105、205、305:回動屈曲積層体、
6、106、206、306:断熱マット、
21:繊維化装置、
23:接着剤塗布装置、
31:集綿機、
33:搬送コンベア、
41、141:コンベア、
45:抑え板、
51:加圧乾燥機、
61:第1カッター、
143:第2抑え板、
145:第3抑え板、
163:第2カッター、
241::掛け針、
311:無機質粒状物、
L:積層面、
P:断熱マットの長さ方向、
Q:断熱マットの幅方向、
R:断熱マットの厚さ方向、
S:傾斜部分、
X:搬送コンベアの搬送方向、
Y:搬送コンベアの幅方向、
Z:堆積工程における垂直方向、
p:断熱マットの長さ、
q:断熱マットの幅、
r:断熱マットの厚さ
Claims (10)
- 長さ方向(P)及び幅方向(Q)に延びる正面(PQ)及び背面(PQ)と、長さ方向(P)及び厚さ方向(R)に延びる長側面(PR)と、幅方向(Q)及び厚さ方向(R)に延びる短側面(QR)とを有し、無機質繊維(1)を幅方向(Q)に積層してなる、無機質断熱マット(6,106、206,306)であって、無機質繊維(1)の積層面(L)の少なくとも一部が、断熱マットの前記長側面(PR)に対して傾斜し、マットの短側面(QR)に現れる該積層面(L)の形状を「のこぎり歯」の形状とすることを特徴とする、無機質繊維製断熱マット。
- 長さ方向(P)及び幅方向(Q)に延びる正面(PQ)及び背面(PQ)と、長さ方向(P)及び厚さ方向(R)に延びる長側面(PR)と、幅方向(Q)及び厚さ方向(R)に延びる短側面(QR)とを有し、無機質繊維(1)を幅方向(Q)に積層してなる、無機質断熱マット(6,106、206,306)であって、無機質繊維(1)の積層面(L)の少なくとも一部が、断熱マットの前記長側面(PR)に対して傾斜し、マットの短側面(QR)に現れる該積層面(L)の形状をサインカーブ状とすることを特徴とする、無機質繊維製断熱マット。
- 前記マットの短側面(QR)に現れる該積層面(L)の形状が、サインカーブ状及びのこぎり歯の形状である、請求項2に記載の無機質繊維製断熱マット。
- 前記無機質繊維の積層面(L)が、断熱マットの前記長側面(PR)に対して10〜45度で傾斜している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機質繊維製断熱マット。
- 前記断熱マット(6,106、206,306)が、幅方向(Q)において2以上に分割されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機質繊維製断熱マット。
- 前記無機質繊維(1)の積層面(L,L)間に、無機質粒状物(311)が配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無機質繊維製断熱マット。
- 前記断熱マット(306)の全重量に対して10〜80重量%の無機質粒状物(311)が配置されている、請求項6に記載の無機質繊維製断熱マット。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の無機質繊維製断熱マットの製造方法であって、
(a)無機質物質を繊維化して無機質繊維(1)とする繊維化工程と、
(b)該無機質繊維(1)を積層方向(Z)に堆積して無機質繊維積層体(2)とする堆積工程と、
(c)搬送方向(X)において該無機質繊維積層体(2)を圧縮することにより、無機質繊維の積層面(L)を、搬送方向(X)に対して傾斜させて、屈曲積層体(3)とする屈曲工程と、
(d)該屈曲積層体(3)を加圧、乾燥する加圧乾燥工程と、
(e)加圧乾燥された屈曲積層体(3)を、搬送方向(X)において所望長さ(j)に切断する切断工程と、
(f)所望長さ(j)に切断された屈曲積層体(3)を、水平面において搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)に延びる軸を中心軸として90度回動する回動工程と、
よりなる無機質繊維製断熱マットの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の無機質繊維製断熱マットの製造方法であって、
(a)無機質物質を繊維化して無機質繊維(1)とする繊維化工程と、
(b)該無機質繊維(1)を積層方向(Z)に堆積して無機質繊維積層体(2)とする堆積工程と、
(c’)水平面において搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)において該無機質繊維積層体(2)を圧縮することにより、無機質繊維の積層面(L)を、幅方向(Y)に対して傾斜させて、屈曲積層体(103)とする屈曲工程と、
(d)該屈曲積層体(103)を加圧、乾燥する加圧乾燥工程と、
(e’)加圧乾燥された屈曲積層体(103)を、幅方向(Y)において所望幅(i)に切断する切断工程と、
(f’)所望幅(i)に切断された切断屈曲積層体(104)を、搬送方向(X)に延びる軸を中心軸として90度回動する回動工程と、
よりなる無機質繊維製断熱マットの製造方法。
- 請求項6〜7のいずれか1項に記載の無機質繊維製断熱マットの製造方法であって、
(a)無機質物質を繊維化して無機質繊維(1)とする繊維化工程と、
(b’)無機質繊維(1)と共に無機質粒状物(311)を堆積させ、該無機質粒状物(311)により無機質繊維の積層面(L)を傾斜させて屈曲積層体(303)とする堆積工程と、
(d)該屈曲積層体(303)を加圧、乾燥する加圧乾燥工程と、
(e”)加圧乾燥された屈曲積層体(303)を、搬送方向(X)において所望長さ(j)に、又は水平面において搬送方向(X)に直交する幅方向(Y)において所望幅(i)に切断する切断工程と、
(f”)所望長さ(j)又は所望幅(i)に切断された切断屈曲積層体(304)を、幅方向(Y)に延びる軸又は搬送方向(X)に伸びる軸を中心軸として90度回動する回動工程と、
よりなる無機質繊維製断熱マットの製造方法。
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