JP4976825B2 - 情報再生装置および情報再生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置および情報再生方法にかかり、特に、垂直磁気記録媒体を用いた情報再生装置および情報再生方法に関する。また本発明は、少なくとも再生機能を有する装置に適用可能であるが、再生専用装置には限定されず、記録および再生が可能な装置、例えば、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)等にも適用可能である。
コンピュータなどにおける情報記録再生装置として、ハードディスクドライブが広く用いられている。ハードディスクドライブの記録方式として、従来の水平記録方式に替わり垂直記録方式が実用化されつつある。垂直記録方式では従来の水平記録方式の信号と異なり、DC成分を持つ。そこで、このDC成分を生かした等化検出方法が提案されてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
「垂直磁気記録のための信号処理方式(Signal Processing Channel for Perpendicular Magnetic Recording System)」(電子情報通信学会技術研究報告、Vol.101 No.498(MR2001 77-83) Page.31-38(2001,12,13)、著者名:澤口秀樹他)
しかしながら、近年用いられている高感度の再生ヘッドでは、低域にノイズ成分を持つ媒体ノイズが支配的となり、必ずしもDC成分を生かした等化検出方式が有利とはならない。そこで、実際に最適な等化検出方法を選ぶ場合には、装置を出荷する際にいくつかの候補から誤り率を測定し、決定するのが一般的であるが、その調整にかかる時間が膨大となり、問題となる。また、経年変化などでヘッド・媒体特性が変わった場合には、当初決定した等化検出方式が最適ではないと言った問題も起こる。
本発明は、上記背景技術が有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、装置出荷時における調整の効率化および時間の短縮を図るだけでなく、経年変化などによるヘッド・媒体の特性変化が発生した場合でも、等化検出を最適化するための適応型方式を提供することの可能な、新規かつ改良された情報再生装置および情報再生方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点によれば、媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置であって、媒体から読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(228)と、前記デジタル信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部(242、230)と、前記媒体のノイズ比率を取得する媒体ノイズ比率取得部(234)と、前記周波数特性と前記ノイズ比率に基づいて波形等化を行う処理部(244)と、を備えたことを特徴とする、情報再生装置(200)が提供される(請求項1)。
かかる構成によれば、媒体のノイズ比率と、媒体から読み出した信号の周波数特性とを取得し、これらに基づいて最適な波形等化処理を行うことが可能である。このため、装置出荷時における調整の効率化および時間の短縮を図るだけでなく、経年変化などによるヘッド・媒体の特性変化が発生した場合でも、等化検出を最適化するための適応型方式を提供することが可能である。なお、上記本発明の第1の観点では、波形等化を行う処理部(例えば、MPU)でソフトウェア的に波形等化処理を行うが、後述するように、ハードウェア的に処理を行うことも可能である。
なお上記において、構成要素に付随して括弧書きで記した参照符号は、説明の便宜のために、後述の実施形態および図面における対応する構成要素を一例として記したに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。以下も同様である。
本発明では様々な応用が可能であるが、いくつかの応用例を挙げれば以下の通りである。
前記周波数特性取得部はデジタルフーリエ変換器(242)を含み、前記周波数特性は、前記デジタルフーリエ変換器からの高調波成分に基づいて取得されるようにしてもよい(請求項2)。低域成分と高域成分の比から、周波数特性を容易に取得可能である。
または、前記周波数特性取得部はデジタル処理による波形等化を行うデジタルフィルタ(230)を含み、前記周波数特性は、前記デジタルフィルタからのタップゲイン情報(Tap Gain)に基づいて取得されるようにしてもよい(請求項3)。タップゲインは信号の周波数特性に依存するため、逆にこのタップゲインから信号特性を類推することが可能である。
あるいは、前記周波数特性取得部は、フーリエ変換器(242)と、デジタル処理による波形等化を行うデジタルフィルタ(230)との両方を含み、前記周波数特性は、前記デジタルフーリエ変換器からの高調波成分と、前記デジタルフィルタからのタップゲイン情報との両方に基づいて取得されるようにしてもよい(請求項4)。周波数特性の精度を向上させることが可能である。
前記媒体ノイズ比率取得部は、符号系列ごとの分散量の差または比から媒体ノイズ比率を取得するようにしてもよい(請求項5)。例えば、データに依存する媒体ノイズの予測・訂正回路(以下、媒体ノイズ予測器と称する。)による統計処理により、媒体ノイズ比率を容易に取得することができる。
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の観点によれば、媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置であって、媒体から読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(228)と、前記デジタル信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部(242、230)と、前記媒体のノイズ比率を取得する媒体ノイズ比率取得部(234)と、前記周波数特性と前記ノイズ比率とから、波形等化を行うための波形等化情報を取得するためのテーブル情報が記憶された記憶部(248)と、を備えたことを特徴とする、情報再生装置(300)が提供される(請求項6)。
かかる構成によれば、媒体のノイズ比率と、媒体から読み出した信号の周波数特性とを取得し、これらに基づいて最適な波形等化処理を行うことが可能である。このため、装置出荷時における調整の効率化および時間の短縮を図るだけでなく、経年変化などによるヘッド・媒体の特性変化が発生した場合でも、等化検出を最適化するための適応型方式を提供することが可能である。さらに、波形等化を行うための波形等化情報を取得するためのテーブル情報が記憶された記憶部を備える構成とすることで、簡単な論理回路を設けてハードウェア的に波形等化処理を行うことが可能である。
本発明の第2の観点にかかる情報再生装置においても、上記第1の観点にかかる情報再生装置と同様の応用が可能である(請求項7〜10)。
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の観点によれば、媒体に記録された情報の再生を行う情報再生方法であって、媒体から読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換工程と、前記デジタル信号の周波数特性を取得する周波数特性取得工程と、前記媒体のノイズ比率を取得する媒体ノイズ比率取得工程と、前記周波数特性と前記ノイズ比率に基づいて波形等化を行う波形等化工程と、を含むことを特徴とする、情報再生方法が提供される(請求項11)。
かかる方法によれば、媒体のノイズ比率と、媒体から読み出した信号の周波数特性とを取得し、これらに基づいて最適な波形等化処理を行うことが可能である。このため、装置出荷時における調整の効率化および時間の短縮を図るだけでなく、経年変化などによるヘッド・媒体の特性変化が発生した場合でも、等化検出を最適化するための適応型方式を提供することが可能である。
本発明の情報再生装置における一応用例として、予め、前記周波数特性および前記ノイズ比率と、波形等化を行うための波形等化情報との関係を示すテーブルを生成しておき、前記波形等化工程において、前記テーブルから波形等化情報を取得することも可能である(請求項12)。波形等化を行うための波形等化情報を取得するためのテーブル情報が記憶された記憶部を備える構成とすることで、簡単な論理回路を設けてハードウェア的に波形等化処理を行うことが可能である。
また、前記媒体ノイズ比率取得工程において、符号系列ごとの分散量の差または比から媒体ノイズ比率を取得するようにしてもよい(請求項13)。例えば、媒体ノイズ予測器による統計処理により、媒体ノイズ比率を容易に取得することができる。
以上のように、本発明によれば、媒体のノイズ比率と、媒体から読み出した信号の周波数特性とを取得し、これらに基づいて最適な波形等化処理を行うことが可能である。このため、装置出荷時における調整の効率化および時間の短縮を図るだけでなく、経年変化などによるヘッド・媒体の特性変化が発生した場合でも、等化検出を最適化するための適応型方式を提供することが可能である。
その他の本発明の優れた効果については、以下の発明を実施するための最良の形態の説明においても説明する。
以下に添付図面を参照しながら、本発明にかかる情報再生装置および情報再生方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本実施形態では、情報再生装置としてハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)を例に挙げ、その再生系に着目して説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
(1)再生系のブロック図(図1)
まず、図1を参照しながら、ハードディスクドライブにおける情報再生の流れを説明する。なお、ハードディスクドライブは情報の記録および再生を行う装置であることは言うまでもないが、本実施形態では、特に情報の再生に着目して説明する。図1は、ハードディスクドライブ100の一構成例を示すブロック図であり、図中の矢印は情報の流れを示す。以下、情報の流れを中心に説明する。
ハードディスクドライブ100は、図1に示したように、リードチャネル部102とプリアンプ部104とヘッド部106に大別される。リードチャネル部102とプリアンプ部104には、以下に説明する様々な機能を有する回路が集積されている。また、ヘッド部106は、媒体108からの情報の再生(読み出し)を行う。
リードヘッド(MRヘッドとも称される)120によって再生された信号はプリアンプ(Pre-Amplifier)122に入力される。プリアンプ122は、リードヘッド120からの微弱信号を増幅するための回路である。プリアンプ122で増幅された信号は、リードチャネル部102内のハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)124に入力される。ハイパスフィルタ124はAC結合(AC Coupling)を行うことを主な目的とするが、垂直記録の場合には上述の微分回路の代わりにも用いられる。
アナログフィルタ(Continuous Time Filter:CTF)126はアナログ的な波形等化を行う。さらに、アナログデジタル変換器(Analog Digital Converter:ADC)128でデジタル信号に変換された後、デジタルフィルタ(Finite Impulse Response Filter:FIR)130はデジタル的な波形等化を行う。この両者のフィルタによって、目的となる波形(以下、目標等化波形と称する。)に等化される。目標等化波形は、デジタルフィルタ130、ビタビ検波器132、媒体ノイズ予測器134等のパラメータとして、設定される。デジタルフィルタ130は、その等化出力が目標等化波形になるように、パラメータが自動調整されるような適応型が用いられており、信号特性の変動に対しても対応可能である。
さらに、後段のビタビ検波器(Viterbi Detector)132によって、目標等化波形の決まりに基づいた最尤検出が施され、0/1の符号に識別される。また、媒体ノイズ予測器134はビタビ検波器132の出力結果を訂正するものであり、デジタルフィルタ130の離散値信号から検出出力の符号列ごとに信号平均値、平均値からの分散量、その偏差の自己相関量などがトレーニング(Training)され、これらの統計情報に基づき訂正がなされる。
さらに、ランレングス復号化回路(RLL Dec.)136にてランレングス復号化処理されて、リードデータ140として出力される。
(2)ヘッド出力(図2、図3)
図2、図3は、水平記録方式(Longitudinal Magnetic Recording:LMR)と垂直記録方式(Perpendicular Magnetic Recording:PMR)の信号波形を比較するための説明図である。図2は、水平記録方式の場合のリードヘッド120の出力であり、図3は、垂直記録方式の場合のリードヘッド120の出力である。
図2、図3に示したように、垂直記録方式では、水平記録方式の場合と波形が異なる。そこで水平記録方式と同様の復調方法を行うためには、微分処理を行う必要がある。すなわち、垂直記録方式での波形は矩形であるが、微分回路を通した場合には、近似的に水平記録方式での再生波形とみなせる。このことから、垂直記録方式における信号処理方法として微分回路+水平記録用信号処理回路が用いられるのが一般的である。
(3)スペクトラム(A、B:ヘッド出力、C、D:等化後)(図4)
図4は、ヘッド出力の信号スペクトラムと、DC-Free Targetと、DC-Full Targetを示す説明図である。図中の参照符号Aは水平記録方式の信号スペクトラムを示し、参照符号Bは垂直記録方式の信号スペクトラムを示し、参照符号CはDC-Free Targetを示し、参照符号DはDC-Full Targetを示す。
図4に示したように、水平記録(A)のヘッド出力スペクトラムに比べ、垂直記録時(B)にはDC付近(低周波数領域)でのスペクトラムが強いことから、この低域信号成分を生かすような等化検出方式も提案されている。すなわち、従来の垂直記録の場合には水平記録に用いられるようなDC-Free Target(C)のように等化されていたが、低域成分を保持するようなDC-Full Target(D)に等化する方式である。
(4)ヘッド出力でのノイズスペクトラム(図5)
図5は、ヘッド出力でのノイズスペクトラムを比較したものである。垂直記録(PMR)は水平記録(LMR)と比べて、ノイズスペクトラムにおいても低域成分が強い。特に、最近用いられている高感度の再生ヘッドでは、媒体ノイズが支配的となっている。従って、必ずしもDC成分を生かした等化検出方式が有利とはならない。そこで、低域を若干抑制したような目標等化波形も提案されており、ヘッド・媒体ごとにその最適化が必要であり、一般的には装置出荷時にエラーレートを測定しながら、最適な目標等化波形が選ばれる。しかしながら、目標等化波形は種類も多く、最も基本的なパラメータであるため、その調整には時間がかかる。また、経年変化などでヘッド・媒体特性が変わった場合には、出荷時に決定した等化検出方式が最適ではないと言った問題も起こる。
(5)各種目標等化波形のスペクトラム(図6)
図6に目標等化波形での等化器での規格化ゲイン(各目標等化波形の最小ユークリッド距離dmin^2で規格化)の一例を示す。横軸の周波数は媒体上に記録・再生されるビットクロックで規格化されている。またこの例では、垂直記録での再生信号の規格化線密度CBD(Channel Bit Density)が1の場合であり、この線密度が小さい場合にはこの計算例に比べ高域での強調が少なくなり、線密度が大きい場合には高域での強調はさらに大きくなるが低域での強調は少なくなる。従って、どの目標等化波形が最適かについては、再生信号の規格化線密度とノイズスペクトラムの形に依存し、このノイズスペクトラムの形は媒体ノイズ比で決まる。
(6)各符号系列ごとのノイズ分散量(図7)
図7は各符号系列ごとのノイズ分散量を示す。ただし、符号の0/1は磁化方向に対応してある。媒体ノイズが無い場合、あるいは小さい場合には符号列ごとの差は少ない。しかし、媒体ノイズが電気的ノイズ(回路ノイズ)に比べ、支配的である場合には、系列ごとの差は大きくなる。これは媒体ノイズのほとんどが磁化反転に起因するためである。
そこで本実施形態では、系列ごとの分散量の差(あるいは比)から媒体ノイズ比率を推測し、最適な等化検出方式を決定する方法について説明する。
(7)本実施形態のブロック図(図8)
図8は、本実施形態にかかるハードディスクドライブ200の一構成例を示すブロック図であり、特に情報の再生に着目した部分の構成を示している。図中の矢印は情報の流れを示す。以下、情報の流れを中心に説明する。
ハードディスクドライブ200は、図8に示したように、リードチャネル部202とプリアンプ部204とヘッド部206に大別される。リードチャネル部202とプリアンプ部204には、以下に説明する様々な機能を有する回路が集積されている。また、ヘッド部206は、媒体208からの情報の再生(読み出し)を行う。
リードヘッド(MRヘッドとも称される)220によって再生された信号はプリアンプ(Pre-Amplifier)222に入力される。プリアンプ222は、リードヘッド220からの微弱信号を増幅するための回路である。プリアンプ222で増幅された信号は、リードチャネル部202内のハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)224に入力される。ハイパスフィルタ224はAC結合(AC Coupling)を行うことを主な目的とするが、垂直記録の場合には上述の微分回路の代わりにも用いられる。
アナログフィルタ(Continuous Time Filter:CTF)226はアナログ的な波形等化を行う。本実施形態では、デジタルフィルタ230の適応後のタップゲイン(Tap Gain)を用いて信号の周波数特性を取得する。この点についてはさらに後述する。さらに、アナログデジタル変換器(Analog Digital Converter:ADC)228でデジタル信号に変換された後、デジタルフィルタ(Finite Impulse Response Filter:FIR)230はデジタル的な波形等化を行う。
上記両者のフィルタによって、目的となる波形(目標等化波形)に等化される。目標等化波形は、デジタルフィルタ230、ビタビ検波器232、媒体ノイズ予測器234等のパラメータとして、設定される。デジタルフィルタ230は、その等化出力が目標等化波形になるように、パラメータが自動調整されるような適応型が用いられており、信号特性の変動に対しても対応可能である。
さらに、後段のビタビ検波器(Viterbi Detector)232によって、目標等化波形の決まりに基づいた最尤検出が施され、0/1の符号に識別される。また、媒体ノイズ予測器234はビタビ検波器232の出力結果を訂正するものであり、デジタルフィルタ230の離散値信号から検出出力の符号列ごとに信号平均値、平均値からの分散量、その偏差の自己相関量などがトレーニング(Training)され、これらの統計情報に基づき訂正がなされる。本実施形態では、媒体ノイズ予測器234は、媒体のノイズ比率を取得するために用いられる。この点についてはさらに後述する。
さらに、ランレングス復号化回路(RLL Dec.)236にてランレングス復号化処理されて、リードデータ240として出力される。
本実施形態では、系列ごとの分散量の差(あるいは比)から媒体ノイズ比率(Noise Variance)を推測し、最適な等化検出方式を決定することを特徴とする。このために、本実施形態にかかるハードディスクドライブ200は、特徴的な構成要素として、リードチャネル部202内にデジタルフーリエ変換器(Digital Fourier Transform:DFT)242と、演算処理部(Micro Processing Unit:MPU)244を含んで構成される。
符号系列ごとの分散量は、上述した媒体ノイズ予測器234により統計処理されているため、容易に取得することができる。演算処理部244は、媒体ノイズ予測器234から分散量を取得し、系列ごとの分散量の差(あるいは比)から媒体ノイズ比率を推測し、最適な等化検出方式を決定することができる。
また、最適等化方式は媒体ノイズ比率のみならず、信号の周波数特性にも依存する。そこで、リードチャネル部202内にデジタルフーリエ変換器(Digital Fourier Transform:DFT)242を設けることで、低域成分と高域成分の比から、信号特性についても取得可能である。演算処理部244は、デジタルフーリエ変換器242から低域成分と高域成分の比を取得し、この低域成分と高域成分の比から信号特性を取得することができる。
また、デジタルフィルタ230の適応後のタップゲイン(Tap Gain)は信号の周波数特性に依存するため、このタップゲインから逆に信号特性を類推することも可能である。演算処理部244は、デジタルフィルタ230からタップゲインを取得し、このタップゲインから信号特性を取得することができる。
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、系列ごとの分散量の差(あるいは比)から媒体ノイズ比率を推測し、最適な等化検出方式を決定することが可能である。このため、装置出荷時における調整の効率化および時間の短縮を図るだけでなく、経年変化などによるヘッド・媒体の特性変化が発生した場合でも、等化検出を最適化するための適応型方式を提供することが可能である。
(第2の実施形態)
次に、上記第1の実施形態の応用例として、第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、媒体ノイズ比率と信号周波数情報を取得し、演算処理部244で最適な等化検出方式を決定する方法について説明した。本実施形態では、簡単な論理回路とテーブル(メモリ)をリードチャネル内に設け、ハードウェアで構成する実施形態について説明する。
本実施形態にかかるハードディスクドライブ300は、図9に示したように、上記第1の実施形態にかかるハードディスクドライブ200(図8)の演算処理部244に変えて、論理回路(Logic)246と、テーブルが格納される記憶部(Memory)248を備えたことを特徴とする。その他の構成については、上記第1の実施形態の構成と実質的に同様であるので、重複説明を省略する。
論理回路246には、デジタルフーリエ変換器(DFT)242からの高調波成分と、デジタルフィルタ(FIR)230からのタップゲイン情報(Tap Gain)とが入力される。さらに論理回路246には、媒体ノイズ予測器234からの情報として、符号系列ごとの分散量(媒体ノイズ比率(Noise Variance))が入力される。
記憶部に記憶されたテーブルは、周波数特性と媒体ノイズ比率とから、波形等化を行うための波形等化情報を取得するための情報が記載されている。論理回路246に必要な情報が入力されると、テーブルから波形等化情報が取得されて、ビタビ検出器232に入力される。テーブルの詳細について以下説明する。
図10に示したテーブルは、媒体ノイズ比と規格化綿密度によって規定されている。規格化線密度の大小および媒体ノイズ比の大小に応じ、ビットエラーレートが最良となる目標等化波形がこのテーブルから選ばれ、設定される。図10に示した一例では、図6に示した6通りの目標等化波形(1、0、−1)、(1、1、−1、−1)、(1、2、0、−2、−1)、(1、1)、(1、2、1)、(1、3、3、1)についてのみ示しているが、実際には数十万通りの目標等化波形の中から選ばれ、テーブルが構成される。
図10に示した一例では、媒体ノイズ比が小であり、規格化綿密度が小の場合には、目標等化波形(1、1)が選択される。以下同様に、媒体ノイズ比が小であり、規格化綿密度が中の場合には、目標等化波形(1、2、1)が選択される。媒体ノイズ比が小であり、規格化綿密度が大の場合には、目標等化波形(1、3、3、1)が選択される。
媒体ノイズ比が中であり、規格化綿密度が小の場合には、目標等化波形(1、1、−1、−1)が選択される。媒体ノイズ比が中であり、規格化綿密度が中の場合には、目標等化波形(1、1)が選択される。媒体ノイズ比が中であり、規格化綿密度が大の場合には、目標等化波形(1、2、1)が選択される。
媒体ノイズ比が大であり、規格化綿密度が小の場合には、目標等化波形(1、0、−1)が選択される。媒体ノイズ比が大であり、規格化綿密度が中の場合には、目標等化波形(1、1、−1、−1)が選択される。媒体ノイズ比が大であり、規格化綿密度が大の場合には、目標等化波形(1、2、0、−2、−1)が選択される。
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに、簡単な論理回路とテーブル(メモリ)246で構成することができるので、構成を簡略化することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明にかかる情報再生装置および情報再生方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態においては、信号の周波数特性を、デジタルフーリエ変換器(DFT)242からの高調波成分と、デジタルフィルタ(FIR)230からのタップゲイン情報(Tap Gain)との両方に基づいて取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、このいずれか一方のみから情報を取得することも可能である。すなわち、デジタルフーリエ変換器(DFT)242からの高調波成分のみに基づいて周波数特性を取得してもよく、デジタルフィルタ(FIR)230からのタップゲイン情報のみに基づいて周波数特性を取得してもよい。
本発明は、記録媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置および情報再生方法に利用可能であり、特に、垂直磁気記録媒体を用いた情報再生装置および情報再生方法に利用可能である。また本発明は、少なくとも再生機能を有する装置に適用可能であるが、再生専用装置には限定されず、記録および再生が可能な装置、例えば、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)等にも適用可能である。
ハードディスクドライブの再生の流れを示す説明図である。 水平記録方式の場合のリードヘッドの出力を示す説明図である。 垂直記録方式の場合のリードヘッドの出力を示す説明図である。 ヘッド出力と等化器後のスペクトラムを示す説明図である。 ヘッド出力でのノイズスペクトラムを示す説明図である。 各種目標等化波形のスペクトラムを示す説明図である。 各符号系列ごとのノイズ分散量を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかるハードディスクドライブを示す説明図である。 本発明の他の実施形態にかかるハードディスクドライブを示す説明図である。 波形等化情報テーブルを示す説明図である。
符号の説明
100 ハードディスクドライブ
102 リードチャネル部
104 プリアンプ部
106 ヘッド
108 媒体
120 リードヘッド
122 プリアンプ
124 ハイパスフィルタ(HPF)
126 アナログフィルタ(CTF)
128 アナログデジタル変換器(ADC)
130 デジタルフィルタ(FIR)
132 ビタビ検波器
134 媒体ノイズ予測器
136 ランレングス符号化回路
140 リードデータ
200 ハードディスクドライブ
202 リードチャネル部
204 プリアンプ部
206 ヘッド
208 媒体
220 リードヘッド
222 プリアンプ
224 ハイパスフィルタ(HPF)
226 アナログフィルタ(CTF)
228 アナログデジタル変換器(ADC)
230 デジタルフィルタ(FIR)
232 ビタビ検波器
234 媒体ノイズ予測器
236 ランレングス符号化回路
240 リードデータ
242 デジタルフーリエ変換器(DFT)
244 演算処理部
246 テーブル(メモリ)
300 ハードディスクドライブ

Claims (13)

  1. 媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置であって、
    媒体から読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記デジタル信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部と、
    符号系列ごとの分散量の差から前記媒体のノイズ比率を推測する媒体ノイズ比率推測部と、
    前記周波数特性と前記ノイズ比率に基づいて最適な等化検出方式を決定する決定部と、
    を備えたことを特徴とする、情報再生装置。
  2. 前記周波数特性取得部はデジタルフーリエ変換器を含み、
    前記周波数特性は、前記デジタルフーリエ変換器からの高調波成分に基づいて取得されることを特徴とする、請求項1に記載の情報再生装置。
  3. 前記周波数特性取得部はデジタル処理による波形等化を行うデジタルフィルタを含み、
    前記周波数特性は、前記デジタルフィルタからのタップゲイン情報に基づいて取得されることを特徴とする、請求項1に記載の情報再生装置。
  4. 前記周波数特性取得部は、フーリエ変換器と、デジタル処理による波形等化を行うデジタルフィルタとを含み、
    前記周波数特性は、前記デジタルフーリエ変換器からの高調波成分と、前記デジタルフィルタからのタップゲイン情報とに基づいて取得されることを特徴とする、請求項1に記載の情報再生装置。
  5. 前記媒体ノイズ比率推測部は、符号系列ごとの分散量の差または比から媒体ノイズ比率を推測することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の情報再生装置。
  6. 媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置であって、
    媒体から読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記デジタル信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部と、
    符号系列ごとの分散量の差から前記媒体のノイズ比率を推測する媒体ノイズ比率推測部と、
    前記周波数特性と前記ノイズ比率とから、波形等化を行うための波形等化情報を取得するためのテーブル情報が記憶された記憶部と、
    を備えたことを特徴とする、情報再生装置。
  7. 前記周波数特性取得部はデジタルフーリエ変換器を含み、
    前記周波数特性は、前記デジタルフーリエ変換器からの高調波成分に基づいて取得されることを特徴とする、請求項6に記載の情報再生装置。
  8. 前記周波数特性取得部はデジタル処理による波形等化を行うデジタルフィルタを含み、
    前記周波数特性は、前記デジタルフィルタからのタップゲイン情報に基づいて取得されることを特徴とする、請求項6に記載の情報再生装置。
  9. 前記周波数特性取得部は、フーリエ変換器とデジタル処理による波形等化を行うデジタルフィルタとを含み、
    前記周波数特性は、前記デジタルフーリエ変換器からの高調波成分と、前記デジタルフィルタからのタップゲイン情報とに基づいて取得されることを特徴とする、請求項6に記載の情報再生装置。
  10. 前記媒体ノイズ比率推測部は、符号系列ごとの分散量の差または比から媒体ノイズ比率を推測することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の情報再生装置。
  11. 媒体に記録された情報の再生を行う情報再生方法であって、
    媒体から読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換工程と、
    前記デジタル信号の周波数特性を取得する周波数特性取得工程と、
    符号系列ごとの分散量の差から前記媒体のノイズ比率を推測する媒体ノイズ比率推測工程と、
    前記周波数特性と前記ノイズ比率に基づいて最適な等化検出方式を決定する決定工程と、
    を含むことを特徴とする、情報再生方法。
  12. さらに、前記周波数特性および前記ノイズ比率と、波形等化を行うための波形等化情報との関係を示すテーブルを生成する工程を含み、
    前記波形等化工程において、前記テーブルから波形等化情報を推測することを特徴とする、請求項11に記載の情報再生方法。
  13. 前記媒体ノイズ比率推測工程において、符号系列ごとの分散量の差または比から媒体ノイズ比率を推測することを特徴とする、請求項11または12に記載の情報再生方法。


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