JPH10261205A - 磁気記録再生装置及び同装置に適用する再生補償装置 - Google Patents

磁気記録再生装置及び同装置に適用する再生補償装置

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JPH10261205A
JPH10261205A JP6448197A JP6448197A JPH10261205A JP H10261205 A JPH10261205 A JP H10261205A JP 6448197 A JP6448197 A JP 6448197A JP 6448197 A JP6448197 A JP 6448197A JP H10261205 A JPH10261205 A JP H10261205A
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JP
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equalization
recording
reproducing
equalizer
processing
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JP6448197A
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Inventor
Kazuto Shimomura
和人 下村
Yusuke Ohinata
祐介 大日向
Tatsuo Horiguchi
龍生 堀口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】記録媒体の磁気的な不均一性等に起因する物理
的位置及び経時変化、または同一記録条件下で記録した
場合でも記録媒体に記録された過去の履歴により変動す
る磁化転移形成の状態が変化することを要因とする波形
等化処理における等化誤差を抑制できるようにして、高
記録密度化のデータ再生特性を向上させて常に最適なシ
ステムパフォーマンスを提供することにある。 【解決手段】データ再生系として、異なる等化特性を有
する複数の等化器13−1〜13−nから構成される並
列等化器群13と、各等化器13−1〜13−nから出
力された各等化出力値に基づいて、最小の等化誤差を示
す等化器を判定する最小等化誤差判定回路15と、この
最小等化誤差判定回路15の判定結果に基づいて最小の
等化誤差を示す最適の等化器の出力を復号処理回路18
に送出する最適等化器選択回路16とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に高記録密度の
磁気ディスク装置に適用し、データ再生処理時に理想再
生波形との誤差を最小化した再生信号波形を得る再生補
償機能を有する磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特にパーソナルコンピュータなど
に内蔵される小型のハードディスク装置(HDD)は、
図8(A)に示すように、金属製の筐体93の中にディ
スクドライブ機構が組み込まれている。筐体93は、同
図(B)に示すように、トップカバー90により密閉さ
れた状態でパーソナルコンピュータなどに組み込まれ
る。このトップカバー90が筐体93に締結螺子などに
より締結されると、外部粉塵などが筐体93の内部に混
入されるような状態を防止することができる。
【0003】ディスクドライブ機構は大別して、スピン
ドルモータ2によりディスク1を回転させるディスク回
転機構、ヘッド5をディスク1上の半径方向に移動させ
るヘッド駆動機構、および記録再生処理回路を有する。
ヘッド駆動機構は、ヘッド5を保持しているヘッドサス
ペンション91を支持して、ボイスコイルモータ94に
より駆動するアクチュエータアーム92を有する。この
ヘッド駆動機構により、ヘッド5はディスク1上のアク
セス対象の位置(トラック)に位置決めされる。なお。
ヘッドの位置決め制御は、ディスク1上に記録されたサ
ーボ情報に基づいて、ドライブのメイン制御装置を構成
するCPUにより実行される。
【0004】ヘッド5は再生専用ヘッドとしてMR(m
agnetoresistive)ヘッドを使用し、記
録ヘッドとして誘導型ヘッドを使用した記録再生分離型
ヘッドである。記録再生処理回路は、ヘッド5によりデ
ィスク1から読出されたリード信号からリードデータを
再生したり、ホストコンピュータから転送されたライト
データを記録電流に変換してヘッド5に出力する。ヘッ
ドプリアンプ12は再生用アンプと記録用アンプを有
し、ヘッド5からのリード信号を増幅し、またヘッド5
への記録電流を出力する。リードデータとライトデータ
は、フレキシブルケーブル95を介してホストコンピュ
ータとの間で交換される。ドライブとホストコンピュー
タ間のデータ転送は、ドライブの内部に配置されている
ディスクコントローラ(HDC)により実行される。
【0005】このようなHDDは、図9に示すような記
録再生処理系により、ディスク1にデータを記録する記
録動作およびディスク1からデータを再生する再生動作
に関係する記録再生処理が実行される。まず、データ記
録動作では、ホストコンピュータ10からライトデータ
(記録情報)WDが発信されると、スクランブラ(また
はランダマイザと称する)7により非バイアス化処理が
なされる。即ち、スクランブラは、データ再生動作時の
復号化処理時に、復号特性による復合誤りに偏りが発生
しないように、データパターンのランダム化に相当する
処理を実行する。符号回路6は、記録再生の対象とする
伝送路特性に応じた記録符号情報(例えばRLL符号化
による8−9変換符号)に符号化し、記録データパター
ンP1を出力する。
【0006】ここで、HDDでは、ディスク1と記録ヘ
ッドとの相互特性により、データ記録時に非線形性の記
録歪みが発生することが知られている。このため、デー
タ記録時にその記録歪みを補償するための記録用の歪み
補償回路8が設けられている。る。歪み補償回路8は、
後述するように、符号化された記録データパターンP1
を非線形性の歪み補償処理した記録電圧パターンP2に
変換する。
【0007】記録電圧パターンP2は、記録用アンプ
(電圧/電流変換アンプ)6により記録電流パターンに
変換されて、ヘッド5の記録ヘッドに出力される。この
記録ヘッドによる記録磁界により、ディスク1の指定位
置(アクセス対象のセクタ)に磁気的に記録される(飽
和記録される)。
【0008】次に、データ再生動作では、ヘッド5の再
生ヘッドがディスク1上から記録情報を検出して、電気
信号である再生信号に変換して出力する。前述したよう
に、再生ヘッドはMRヘッドであり、ディスク1上の磁
化の存在状態を検出し電気信号に変換する。再生プリア
ンプ13は、再生ヘッドからの再生信号を増幅して自動
利得調整アンプ(AGCアンプ)30に出力する。AG
Cアンプ30は、スピンドルモータ2の回転変動、ヘッ
ド5の浮上高変動、記録半径位置等により生じる振幅変
動を吸収し、所定の振幅値に設定される。
【0009】イコライザ(等化器)31は、磁気記録の
特徴を反映する伝送路特性に合致するように再生信号波
形を波形整形する。サンプルホールド回路32は、クロ
ック抽出回路35から出力されたチャネルクロックに同
期して、アナログ波形の再生信号のレベルをホールドす
る。再生信号は通常では、波形整形の確度を向上させる
ため適応型イコライザ33により等化(誤差吸収)され
て、復号回路36に送られる。復号回路36は、符号化
前の情報であるライトデータWDに復号化する。復号回
路36は、A/D変換回路によりディジタルデータに変
換された再生信号を復号化する方式またはアナログ処理
により復号化する方式がある。復号化された再生データ
は、同期合わせ等のポスト処理回路37を介してホスト
コンピュータ10に転送される。
【0010】ところで、一般的に、HDDでは記録密度
を向上させると、信号対雑音(S/N)比が劣化し、再
生エラーレート(再生誤り率)が劣化する。このため、
従来の小型HDDでは、再生感度が非常に大きい磁気抵
抗効果型の再生ヘッド(MRヘッド)の搭載や雑音が混
入されていても良好な復合特性が得られるパーシャルレ
スポンス方式(PRML方式)の信号チャネル(データ
再生処理系)が採用されるようになっている。これらの
技術の採用により、記録密度を飛躍的に向上した高記録
密度のHDDが実現可能になっている。
【0011】ここで、HDDのデータ再生処理系とし
て、PRML方式の信号チャネルを使用した場合のPR
(パーシャルレスポンス)等化器の特性を磁気記録再生
過程から、図10を参照して概略的に説明する。図10
は、図9の記録再生処理系をさらに簡便化した模式図で
ある。
【0012】まず、ステップ状の記録電流パターン10
0が、記録ヘッド101により磁気ディスク上に磁化転
移として記録されたと想定する。このとき、磁気ディス
ク上の磁化状態を簡略化して表現すると、磁石のN極、
S極が突き合わされた形で磁化転移が形成される。この
磁化転移102を、ここでは図示していない磁気抵抗効
果型等の再生ヘッド(MRヘッド)で再生すると、再生
信号波形104が得られる。このような記録電流パター
ン100の生成、磁化転移102の発生、及び再生信号
波形104の出力までを、一般的に磁気記録再生過程と
呼ばれている。
【0013】このような磁気記録再生過程を信号伝送路
に見立てると、「記録電流パターンを磁気ディスク上に
磁化転移として記録し、その磁化転移を再生する」とい
った操作を伝達関数103で置き換えることが可能とな
る。伝達関数103の特性は磁気記録再生系の特性とし
て取り扱うことが可能であり、磁気ヘッド、記録媒体、
及び記録再生条件の特性により大きく左右される部分で
ある。PRML方式では、記録電流波形100の入力に
対して、106に示すような再生波形を得ることが期待
されている。従って、磁化転移を検出して得られた前記
の再生信号波形104を、期待される再生波形106に
一致させる処理が必要となる。
【0014】このような処理を実現するために、伝達関
数105の特性を示す等化器を信号伝送路に挿入し、再
生信号波形104を期待される再生波形106に波形整
形(波形等化処理)する方法がある。
【0015】図11は理想的なパーシャルレスポンス
(PR特性)の伝達関数を実線で示し、等化器特性を破
線で示し、一般的な磁気記録再生系特性を一点鎖線で示
した特性図である。磁気記録再生系特性は、前述したよ
うに、磁気ヘッド、記録媒体、記録再生条件により変化
する。従って、等化器特性においても、個々の磁気ヘッ
ド、、記録媒体系の特性に伴って、最適なシステムパフ
ォーマンスが満足できるように、最適な等化定数(等化
パラメータ)を設定して必要な特性を得る必要がある。
【0016】ところで、最近では、再生ヘッドとして使
用するMRヘッドやGMR(巨大磁気抵抗効果型)ヘッ
ドの開発に伴って、それらの再生効率が非常に優れてい
るという特徴を生かして、ディスク1の1枚当たりの記
録密度が飛躍的に増加する傾向にある。特に最近では記
録再生分離型ヘッドの搭載が必要条件となり、より強力
な磁界発生が可能な記録ヘッドおよび再生効率の優れた
磁気抵抗効果型ヘッドの採用や、さらに再生感度の優れ
た巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)の採用が
望まれており、再生系、記録系、それぞれにおいて最適
な設計が行われるようになってきた。さらに、記録再生
ヘッドの能力を十分に発揮させるために、磁気記録特性
の優れた媒体ノイズの少ない記録媒体(ディスク)の開
発も行われており、より高密度記録が可能な小型HDD
の開発が行われている。
【0017】しかしながら、磁気記録の素材となるヘッ
ド材質や媒体材料の開発速度に比べて、コンピュータシ
ステム側からのHDDに対する記録密度向上に対する要
求は著しく大きく、ますます高くなりつつある。特に小
型のHDDの分野では超大容量化が推進されている。こ
のため、このようなHDDに搭載する記録媒体では、再
生効率のさらに優れた磁気抵抗効果型の再生ヘッドの採
用により、これまでは再生ヘッドのインピーダンス・ノ
イズや、アンプの熱雑音、ショット雑音などのシステム
ノイズにより隠れていた記録媒体が有する媒体ノイズ
が、システムパフォーマンスに大きく影響を及ぼすよう
になってきている。さらに、従来の信号処理系では線形
過程が成立し、ノイズはシステムノイズのように白色ガ
ウス雑音系のもとで検討が進んできているため、媒体ノ
イズのような系や記録非線系性を多く含む系では対応で
きなくなりつつある。特に、こうした媒体ノイズの振る
舞いは、システムに与える影響度について不明確な部分
が多く、また、その絶対量は記録動作の影響を受けた
り、記録場所や記録密度によっても異なってくる。
【0018】そこで、磁気ヘッドや記録媒体を含めた磁
気記録再生系の開発は、可能な限りこれら媒体ノイズを
低減する方向で開発が進んでいる。ところが、こうした
地道な開発だけでは記録密度の向上における開発速度の
早さに対応できない状況になりつつある。従って、いか
にして媒体ノイズ系のシステムにおいて、その磁気記録
特性を利用していくかが重要な課題となり、信号処理方
式、磁気ヘッド、磁気ディスク媒体を一体として最良の
記録再生特性が確保できるような開発を検討していかね
ばならないようになってきている。
【0019】従来のように記録ビット長に対して磁性粒
子あるいは磁性粒子群の大きさが無視できるほど小さい
場合や、それらに起因して発生する媒体ノイズの影響が
システムノイズに隠れて見えない記録密度においてシス
テムパフォーマンスを満足させようとする場合、記録媒
体の磁気特性のばらつきがシステムに与える影響は弱か
ったが、記録密度向上に伴い、記録媒体の磁気特性のバ
ラツキが相対的にめだってくるよう領域でシステムを構
築する場合、磁気記録特性の変動がシステム成立の合否
に大きな問題を与える。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
のHDDの設計開発では、情報の記憶と復元を確実なも
のとするために、記録特性を可能な限り線形化する必要
があった。しかしながら、磁気記録の特徴として記録時
に記録情報がディスク上に意図する形式で正確に記憶保
存できないという非線形要因が混入する場合がある。
【0021】一方、情報の再生において使用する信号処
理系は線形系を過程して構成されてきたため、前述する
ような非線形要因が混入しない領域、あるいは非線形要
因が弱い領域で使用することが前提とされている。この
ような結果として、磁気記録の基本要素であるディスク
と磁気ヘッドの開発とそれらの組み合わせや、記録条件
の抽出に注力して非線形性を排除するような設計がされ
てきた。その一つに記録補償と呼ばれる方法があり、こ
れを利用した再生過程で常に安定した線形性が保たれる
ように工夫している。こうした線形過程が確立できた上
で、高密度記録領域においてシステムを成立させるた
め、S/N比(信号対雑音比)に優れたパーシャルレス
ポンス方式(PRML方式)が採用されている。しかし
ながら、パーシャルレスポンス方式においても各種の問
題があり、再生系の応答が理想的なパーシャルレスポン
スの伝達特性に等化されて初めて効果を発揮してくる。
従って、等化誤差が含まれる再生系では効果が十分では
なく、場合によってパフォーマンスを著しく劣化させ
る。このため、いかにして磁気記録特性を最適等化を図
るかが、パーシャルレスポンス方式を含めて種々の信号
チャネルの等化器に対する要求となる。
【0022】HDDは大型から小型のものまでさまざま
な形態をとるが、同一形態でのHDDにおいても外周か
ら内周に渡って周速度の違いにより磁気記録再生系の伝
達特性が変化することが知られている。また、この特性
がディスク上の同一半径位置においても、微妙に異なっ
てくる。即ち、ディスク上の異なる記録領域に対する各
再生状態において、ある記録領域で適切に設定された等
化定数を使用して、別な記録領域の再生処理時にその等
化定数を等化器に適用した場合に、等化器の出力信号に
は等化誤差が含まれていることが一般的である。
【0023】これを回避するために、従来では工場出荷
時に、ディスク上の適切な半径位置にて等化誤差が小さ
くなるような等化定数を予め算出してテーブルに保存
し、実際にHDDを駆動する際に、そのテーブル内容を
参照しながら所定の半径位置での等化定数を再設定する
方式が採用されている。また、記録動作や記録領域によ
る微妙な等化定数の誤差を吸収するために、適応型等化
器を採用している。通常では、適応型等化器の適応等化
定数は、ディスク上の各セクタの所定の領域に設けられ
たトレーニング・ゾーンに記録された学習パターン(ト
レーニング・パターン)の再生結果を演算することによ
り決定される。その定数を固定化し、所定セクタに対す
る再生出力に対して、波形等化処理を実施するよう工夫
されている。このようにして可能な限り等化器の等化処
理能力を向上して、システムパフォーマンスの改善を図
っている。
【0024】ところで、本来の磁気記録系は未だ明確化
に至っていない非線系記録歪や過去の記録履歴による影
響等の複雑な振る舞いを起こす。しかしながら、従来の
磁気記録再生系のシステムではその影響度は大きく見え
ず、系の簡略化、近似化が可能であった。一方、磁気記
録再生系がシステムに与える影響を複雑化させる要因の
代表的な要素として記録媒体から発生するノイズがあ
る。従来、磁気記録再生系を含めたHDDのノイズは、
白色ガウス雑音過程で振る舞うシステムノイズが支配的
であった。従って、HDDのパフォーマンスはS/N比
で一対一に対応付けされてきた。ところが、記録密度の
飛躍的な向上に伴って、磁気抵抗効果型再生ヘッド(M
Rヘッド)の採用によりシステムノイズは改善された
が、その反面、媒体ノイズのシステムに与える影響が顕
著になりつつある。媒体開発ではこの媒体ノイズを低減
させる方向で開発を進めていくが、その開発速度を上回
る速度で磁気ディスク装置の記録密度増加要求が高まっ
ている。その結果、S/N比だけではシステムパフォー
マンスの測定が難しくなりつつあり、従来のHDDの設
計指針は適用できなくなりつつある。
【0025】このことは、S/N比が系の平均特性に注
目した指標であることに起因している。信号処理系はS
/N比で一意的に特性が決定つけられる方が開発効率が
非常に早く効果的である。このため、前述のパーシャル
レスポンス方式で採用しているような等化器において
も、磁気記録再生系の特性をパーシャルレスポンスの理
想特性に一致させるために、磁気記録再生系が線形で、
その平均特性に対して等化を実施するように考慮されて
いる。しかしながら、媒体上に磁化転移として形成され
た個々の記録情報は、必ずしも磁気記録再生系の平均特
性に一致するものではなく、むしろ異なる場合が多い。
この傾向は記録密度が向上するに伴って顕著になりつつ
あり、記録媒体(ディスク)の媒体ノイズ量とも関係し
あっている。
【0026】ところで、超高密度磁気記録技術への要素
開発の側面からは、磁気記録媒体開発方向は磁性粒子の
微細化や均一化、磁気的クラスタの孤立化や熱擾乱に対
する堅牢化といった検討が進んでおり、非線形性を可能
な限り排除し、記録媒体ノイズを低減することにより、
磁気記録再生系の平均特性を改善して磁気記録特性の高
帯域化を図り、高密度記録化を可能にしようとしてい
る。一方、優れた特性の記録ヘッドの開発も進められて
おり、開発された対象とする磁気ディスク媒体の性能を
十分発揮できるように、磁界の立ち上がりが急峻で高い
磁界が発生できる磁極材料の開発や磁極構造の改良、磁
気ギャップの狭小化などが図られている。さらに、磁気
ディスク媒体と記録ヘッドとのベストマッチングを行う
ため、記録電流、浮上高、転送レート等の記録条件のサ
ーベイが行われている。このような各種の開発検討によ
り、磁気記録再生系の特性を平均化し、可能な限り線形
系での取扱いを可能にさせている。
【0027】しかしながら、こうした要求開発サイドか
らのアプローチだけではシステムサイドの高密度記録に
対する要求には答えられなくなりつつある。特に最近で
は、微細化された磁性粒子を如何にディスク全体に均一
に配置するか、媒体ノイズを如何に低減させるか、ディ
スク全体に渡って熱擾乱を効果的に抑制できるかという
ことが問題になっている。このような問題の中で、磁気
記録特性は出力の周波数対振幅特性に見られるような平
均特性だけでは系の状態を特定できなくなってくる。さ
らに、ディスクの物理的位置(例えばセクタ単位)、あ
るいは経時的変化に伴って、記録動作によっても系の状
態は異なってきているという問題も顕著に起こり始めて
いる。今後、高密度記録を越える超高密度記録への要求
にあたっては、こうした磁気記録再生特性の個々の特性
までも十分考慮したシステム設計を検討していかなけれ
ばならない。
【0028】そこで、本発明の目的は、特に記録媒体の
記録密度を向上させた場合に、記録媒体の磁気的な不均
一性等に起因する物理的位置及び経時変化、または同一
記録条件下で記録した場合でも記録媒体に記録された過
去の履歴により変動する磁化転移形成の状態が変化する
ことを要因とする波形等化処理における等化誤差を抑制
できるようにして、高記録密度化のデータ再生特性を向
上させて、常に最適なシステムパフォーマンスを提供す
ることにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、特に超高記録
密度化を図るHDD等の磁気ディスク装置に適用し、記
録媒体であるディスク上の物理的位置により、同一記録
密度においても記録磁化転移の形状が異なり、その結
果、再生波形の振幅値に変動が発生するような事態を防
止することにある。また、ディスク上の同一の記録領域
に同一記録密度で記録した場合においても、ディスクに
記録された過去の履歴により磁化転移の形成状態が異な
ったり、ディスクの経時変化による局所的な磁気特性変
動により磁化転移状態に変動を発生して、その結果とし
て得られた再生信号波形が期待する再生波形とは異なる
ような事態を防止することにある。
【0030】そこで、本発明は、データ再生処理手段に
含まれる波形等化処理を実行する手段として異なる等化
特性を有する複数の等化器から構成される等化処理手段
と、等化処理手段により波形等化処理された再生信号波
形に基づいて、最小の等化誤差を示す等化器を選択的に
決定するための決定手段と、決定手段により決定された
等化器により波形等化処理された再生信号波形に従って
記録した元のデータを再生する再生手段とを備えた磁気
記録再生装置を提供する。
【0031】具体的には、等化処理手段は、設定された
等化定数(等化パラメータ)により、複数の並列動作す
る等化器から構成されて、各等化器から同一入力の再生
信号波形を波形等化処理を行なう。決定手段は、例えば
セクタ単位の記録領域において、磁気記録系の伝達特性
の平均値、分散値、及び分布を測定し、それらの統計値
を反映する等化定数を設定した各等化器からの出力信号
を比較し、最小の等化誤差を有する等化器を選択する。
再生手段は、最適選択された等化器から得られる波形等
化処理後の再生信号波形に従ってデータ再生を行なう。
【0032】このような本発明の再生補償機能を適用す
ることにより、超高記録密度化を図る磁気記録再生装置
を実現する場合に、ディスク及び記録ヘッドなどの要素
的な磁気特性を常に最良の状態に維持することなく、ま
た高密度記録状態時に顕著になる磁気特性の平均特性か
らのずれ量が大きくても、さらに、磁気ディスク媒体の
部分的な経時変化に伴う熱擾乱等の発生により、そのず
れ量が大幅に変化するような場合があっても、システム
パフォーマンスを最適な状態に保持することが可能とな
る。
【0033】また、超高密度化に伴って、ディスク上の
物理的位置による磁気特性の不均一性に伴う異なる磁気
特性の誤差を効率よく吸収することが可能となるめ、ミ
クロな磁性粒子の磁気特性、あるいは同一特性を示すマ
クロな磁性群をディスク全域に渡って均一に保持できな
い場合が発生しても、それぞれの磁性領域内の記録情報
に対して、その再生出力を等化する際の等化誤差を最小
限に抑制することが可能になるという優れた作用効果が
生じる。また、前記のようなディスクを搭載したHDD
などを使用する場合に、経時変化に伴う劣化要素を多く
含む記録領域が発生したり、あるいは、存在する場合で
も、再生信号波形に対する効果的な波形等化処理が可能
となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。 (第1の実施形態)図1は同実施形態に関係するHDD
の要部を示すブロック図であり、図2は同実施形態の動
作を説明するためのフローチャートである。(システム
構成)本実施形態のHDDは、磁気特性がその物理的位
置に依存して部分的にばらつきがあり、磁気特性が熱擾
乱等の影響を大きく受けて、経時変化あるいは経時劣化
を起こすようなディスク1を使用し、例えば10Gbp
i(ギガビット/インチ)を越えるような超高記録密度
の装置を想定している。
【0035】本実施形態のHDDは、図1に示すよう
に、ディスク1、スピンドルモータ2、記録再生分離型
のヘッド5(記録ヘッド3と再生ヘッド4とから構成さ
れている)、記録アンプ6、再生アンプ11、再生処理
系、および記録処理系7を備えている。記録処理系7
は、歪み補償回路(記録補償回路)8と記録処理部9と
に大別される。記録処理部9は、ホストコンピュータ1
0から送出された記録データに対する符号化処理などの
各種の記録信号処理を実行する。歪み補償回路8は、記
録処理部9から出力された記録データ(符号化データ)
に対して、例えば非線形性歪み補償処理のためのビット
シフト処理などを行なう。
【0036】本実施形態の再生処理系は、PRML(P
artial ResponseMaximum Li
kelihood)方式のクラス4の信号処理チャネル
を想定しているが、これに限定されることなく他の方式
の信号処理チャネルでもよい。
【0037】再生処理系は、前置等化器12と、並列等
化器群13と、等化出力サンプラ14と、最小等化誤差
判定回路15と、最適等化器選択回路16と、クロック
抽出回路17と、復号処理回路18と、等化定数(等化
パラメータ)設定回路19とを有する。なお、これ以外
の構成要素として、AGCアンプ、ゲインコントロー
ラ、ポスト処理回路などを有することを想定している
(図9を参照)。
【0038】並列等化器群13、最小等化誤差判定回路
15、及び最適等化器選択回路16は本実施形態の要旨
となる構成要素である。並列等化器群13は、等化特性
の異なる複数の等化器13−1〜13−nを有し、各等
化器13−1〜13−nが相互に影響されることなく、
独立して波形等化処理を並行に実行するように構成され
ている。ここで、各等化器13−1〜13−nはそれぞ
れ、後述するように、等化定数設定回路19の動作によ
り、所定の等化定数(等化パラメータ)が設定される。
【0039】ここで、等化出力サンプラ14は、クロッ
ク抽出回路17から供給されるサンプリングパルスに同
期して、各等化器13−1〜13−nから出力される等
化出力信号(アナログ信号)をディジタル値に変換する
A/D変換機能を有する。なお、等化出力サンプラ14
は、アナログ系のサンプルホールド回路でもよい。
【0040】最小等化誤差判定回路15は、等化出力サ
ンプラ14から得られた各等化器13−1〜13−nに
対応する等化出力値(波形等化された再生信号波形デー
タ)を比較判定し、最小の等化誤差を示す等化出力値を
選択する。具体的には、予め用意した理想波形との比較
結果に基づいて、それぞれのの等化誤差を算出して、こ
れから最小の等化誤差を求める判定処理を行なう。
【0041】最適等化器選択回路16は、最小等化誤差
判定回路15の判定結果に基づいて、最小の等化誤差を
示した等化器を各等化器13−1〜13−nから選択
し、その等化器から出力された再生信号(ディジタル信
号)を復号処理回路18に送出する。このとき、クロッ
ク抽出回路17には再生信号に含まれる同期クロックが
供給される。復号処理回路18は、最適等化器選択回路
16から送られた再生信号を元の記録データに復元する
ための復号処理を実行し、復号データ(再生データ)を
ホストコンピュータ10に転送する。 (第1の実施形態の動作)以下、図2のフローチャート
を参照して本実施形態の再生動作、特に再生補償処理に
ついて説明する。
【0042】まず、ホストコンピュータ10から再生イ
ベントが発生すると(具体的にはリードコマンドの発
行)、図示しないCPU(HDDのメイン制御装置)
は、ヘッドアクチュエータを制御して、再生ヘッド4を
ディスク1上の目標トラック(再生対象セクタを含むト
ラック)にシークさせて位置決め制御する(ステップS
1,S2)。再生ヘッド4により読出された情報に基づ
いて、再生対象セクタを検出してデータ再生動作の準備
に入る(ステップS3)。
【0043】この再生対象セクタの設定が終了すると、
ホストコンピュータ10から再生対象セクタ及び再生対
象領域(トラックまたはゾーン)に対するインデックス
信号が等化定数設定回路19に送出される。このインデ
ックス信号を受けて、等化定数設定回路19は予めセク
タ単位に設定された所定の等化定数(等化パラメータ)
を求めて、並列等化器群13の各等化器13−1〜13
−n毎に設定する(ステップS4)。
【0044】再生ヘッド4により読出された再生信号
は、再生アンプ11により増幅されて前置等化器12に
より等化された後に、並列等化器群13の各等化器13
−1〜13−nに入力される。各等化器13−1〜13
−nはそれぞれ設定された等化定数により、入力された
再生信号波形に対する波形等化処理を実行する(ステッ
プS5)。等化出力サンプラ14は、各等化器13−1
〜13−nからの波形等化出力結果をA/D変換して、
ディジタル値である等化出力値を最小等化誤差判定回路
15に出力する(ステップS6)。
【0045】最小等化誤差判定回路15は、入力された
各等化出力値の中で等化誤差が最小である等化出力値を
判定し、判定結果を最適等化器選択回路16に出力する
(ステップS7)。この判定結果を受けて、最適等化器
選択回路16は最小の等化誤差を示した等化器を各等化
器13−1〜13−nから選択し、この選択した等化器
の出力である再生信号(ディジタル信号)を復号処理回
路18に送出する(ステップS8,S9)。復号処理回
路18は、最適等化器選択回路16から送られた再生信
号を元の記録データに復元するための復号処理を実行
し、復号データ(再生データ)をホストコンピュータ1
0に転送する(ステップS10)。
【0046】以上のように本実施形態によれば、記録領
域毎に磁気記録特性がばらついたディスク1を使用し
て、特に個々の磁化転移毎(ビット単位)に再生信号波
形に対する波形等化誤差が発生する場合でも、等化特性
の異なる複数の等化器から等化誤差が最小のものを選択
するため、結果的に等化誤差が最小の最適な等化出力を
得ることができる。換言すれば、データ再生時に例えば
ビット単位に再生信号波形に対する最適な波形等化処理
を実行することにより、再生エラーレートを向上できる
再生補償機能を実現することができる。従って、結果的
に磁気記録再生系のシステムパフォーマンスを向上させ
ることができる。 (第2の実施形態)図3は、第2の実施形態に関係する
等化定数設定回路の構成を示すブロック図である。
【0047】本実施形態の等化定数設定回路30は、基
準周波数設定部31と、参照パターン設定部32と、タ
イミング制御部33と、振幅特性測定部34とを有す
る。振幅特性測定部34は、等化定数の測定のためにデ
ィスク1上に記録された参照パターンに基づいて、その
再生信号の平均値、分散値、最大、最小、分布の各統計
値を算出する統計値算出部35を有する。ここで、参照
パターンは基準周波数設定部31からの基準周波数に基
づいて参照パターン設定部32により設定されて、タイ
ミング制御部33からのタイミングクロックに同期して
記録処理系に送られる。記録処理系により、ディスク1
の所定の位置に参照パターンが記録される(図1の記録
系を参照)。
【0048】振幅特性測定部34は、統計値算出部35
以外に、前述の並列等化器群13の各等化器13−1〜
13−nに設定するための等化定数を決定する等化定数
決定部38と、タイミング制御部37と、記憶制御部3
6とを有する。タイミング制御部37は、振幅特性測定
部34の各構成要素の動作タイミングを生成する。記憶
制御部36は、統計値算出部35により算出された各統
計値および等化定数決定部38により決定された等化定
数をメモリに記憶するための要素である。なお、本実施
形態の振幅特性測定部34は、前記のように等化定数設
定回路30の内部で作成した参照パターンに基づいて等
化定数を決定する方式であるが、従来のディスク1上の
各セクタに設けられた等化定数トレーニング領域に記録
されたトレーニングゾーンを利用した測定結果に基づい
て等化定数を決定する方式でもよい。 (等化定数の設定処理)以下図4のフローチャートを参
照して、本実施形態の等化定数設定回路30を利用した
等化定数の設定処理を説明する。
【0049】まず、本実施形態は、ディスク1上に等化
定数の測定用の特定領域(測定用トラック)を設けるこ
とを想定する。この特定領域は、例えば各セクタのデー
タ領域(ユーザデータ領域)の前の所定領域でもよい。
【0050】ホストコンピュータ10から等化定数の測
定イベントが発生すると、従来のサーボ系(前記のCP
Uを主要素)により記録ヘッド3を目標トラックである
所定の測定用トラックに位置決めさせる(ステップS2
0,S21)。ここで、測定用トラックとして設定され
たトラック上において、等化定数の測定用参照データ
(参照パターン設定部32からの参照パターン)を記録
するための記録領域(セクタ)に記録されているユーザ
データを、一時的に別の領域に退避させる処理を行なう
(ステップS22)。
【0051】次に、記録処理系の動作により、参照パタ
ーン設定部32により設定された測定用の参照データが
ディスク1上の測定用トラックの所定領域に記録される
(ステップS23)。そして、再生処理系により、ディ
スク1上の測定用トラックに記録された参照データの再
生処理に移行する(ステップS24)。
【0052】この再生処理過程では、PLL同期引き込
み動作により、記録された参照データの平均周波数に同
期されたサンプリング・タイミングが生成されて(サン
プリング・クロックの生成)、参照データの振幅値がサ
ンプリングされる(ステップS25,S26)。この参
照データの振幅値が、統計値算出部35の統計処理に必
要十分なサンプル数が得られると、統計値算出部35の
統計処理が実行される(ステップS27のYES)。
【0053】統計値算出部35は、前記のように、参照
データのサンプル値から磁気記録再生系の伝達特性の平
均値、分散値、最大値、最小値、分布の各統計値を算出
する(ステップS28)。等化定数決定部38は、算出
された各統計値に基づいて、後述するような方法によ
り、最適の等化定数を決定する(図5を参照)。等化定
数決定部38は決定した等化定数を、前述の並列等化器
群13の各等化器13−1〜13−nに設定する(ステ
ップS29)。この後に、測定用トラックから別の領域
に退避されていたユーザデータを復帰させる処理を実行
して、通常動作モードに切り替えることになる。
【0054】以上のように本実施形態の等化定数設定回
路30を利用して、第1の実施形態における再生補償処
理に必要な並列等化器群13の各等化器13−1〜13
−nに設定するための最適な等化定数を測定することが
できる。
【0055】ここで、図5は、平均特性、+3σ特性、
−3σ特性の3つの等化特性を算出した結果を示してい
る。なお、50は磁気記録再生特性の変動を示し、51
は期待する理想特性を示す。これらの等化定数を並列等
化器群13の各等化器13−1〜13−nに設定して、
再生信号波形に対して波形等化処理が実行された場合
に、各等化器13−1〜13−nの等化出力は、図5に
示すようにシステムの伝達特性が期待するパーシャルレ
スポンスの伝達特性51に一致する。従って、本実施形
態は、これらの設定値に応じた等化出力は磁気記録再生
系の記録特性に応じて変動する振幅値の最悪状態、最良
状態、平均状態のそれぞれをカバーすることができるよ
うになる。
【0056】また、本実施形態は理想的な特性51を示
しているが、実際のHDDではディスクのイレーズノイ
ズの状態や、オーバーライト現象、パーシャルイレージ
ャ(PE)現象により個々の磁化転移の応答波形が微妙
に異なってくる。このため、さらに細かく等化定数を設
定することにより、磁気記録特性のより細かい変動に対
しても理想の波形等化処理に接近する等化定数を得るこ
とができる。
【0057】本実施形態は、図1に示すように、従来型
の前置等化器12と並列等化器群13を併用することを
想定している。この場合、並列等化器群13の前段に位
置する前置等化器12の等化定数は、従来通りの手法に
より決定される。即ち、磁気記録系の伝達特性の平均特
性に基づい決定される。具体的には、高記録密度領域で
の振幅値、および低記録密度領域での振幅値による振幅
特性から決定する。図6(A)はその時に使用する任意
の記録密度での再生波形を振幅値であり、磁気記録特性
の平均振幅値が等化定数の設定に必要な再生波形を示
す。このとき、各磁気記録転移位置での再生出力の振幅
変動は非常に小さく見える。この結果を使用して、従来
型の前置等化器12の等化定数をまず設定する。この等
化定数値は磁気ディスク装置の内外周での周速度依存す
るような浮上高変動に伴う伝達特性の違いを吸収すれば
よいだけなので、図6(A)に示すような平均振幅値を
測定することにより設定する。
【0058】一方、本実施形態ではディスク1の物理的
位置や記録動作による記録状態の相違により発生する磁
気記録特性の真の特性を等化器により反映させるため、
図6(B)に示される真の出力波形から等化器の等化定
数を決定する。図6(B)は同図(A)の平均出力波形
に対して、所定のセクタ位置において同期をかけた場合
の再生波形であり、実際に記録された磁化転移を再生し
た時の波形である。記録密度が比較的低い場合は、同図
(A)の平均波形と磁化転移状態を反映した同図(B)
の再生波形との間には大差は見えてこないが、本実施形
態では記録密度が例えば200kFCIを越える高記録
密度を想定しているため、記録状態の不確かさやパーシ
ャル・イレージャ(PE)現象が顕著になることから同
図(B)に示すような再生波形が得られる。
【0059】ここで、200kFCIを越える高記録密
度では、記録歪にNLTS以外のPE現象記録歪の影響
が現れてくることを図7を参照して説明する。従来のH
DDでは、ディスクの線記録密度が170から180k
FCI程度である。この程度の記録密度の磁気記録再生
系では非線形系歪量は比較的小さい。この範囲の記録密
度における非線形系歪みの要因としては、NLTS(N
on−Linear Transition Shif
t:非線形ビットシフト)現象に伴うものであると推定
される。しかしながら、NLTS現象は、ヘッドとディ
スクの特性を決定し、記録再生条件を一律に設定すれば
予測可能で補償可能な非線形系歪みである。
【0060】一方、ディスクの線記録密度が200kF
CIを越える高記録密度の領域になると、NLTS現象
以外の記録歪としてPEなどの各種の非線形系歪みが、
データ記録時に混入されてくる。HDDの開発において
は、非線形系歪みを極力抑制することは記録密度の向上
に必要な要素の一つであるが、ヘッドやディスクの要素
技術だけではそれを達成することは非常に困難である。
HDDの開発において、200kFCIを越える高記録
密度になると、前記のNLTS現象以外のPE現象など
の各種の非線形系歪みや、熱攪乱と呼ばれるような現象
も発生する。
【0061】図7は、従来の磁気記録再生系の条件にお
いて、NLTS現象による非線形系歪量を測定したとき
の特性図である。図7において、70(実線)は理論値
を示し、71(丸表記)は実測値を示す。
【0062】図7から明らかなように、記録密度が20
0kFCIを越えると、実測値71が理論値70から外
れてくる。当然ながら、非線形系歪量は小さい値ほど望
ましい。従って、200kFCIを越えると、実測値の
方が理論値より良くなっているように見える。しかしな
がら、これは、期待するNLTS現象以外の非線形系歪
み、特にPE現象による非線形系歪みが同時に発生する
ために、観測される結果であり、記録磁化状態が予想で
きないことを意味している。
【0063】従って、特に200kFCIを越えるよう
な高記録密度の磁気記録再生系に本発明を適用すること
により、ディスク上の記録磁化状態が磁気特性の変動や
磁化転移形成状態の変動により予想できないような場合
でも、再生信号波形の波形等化処理を最小の等化誤差を
示す等化器により行なうことが可能であるため、ディス
クに記録されたデータを高精度に再生することができ
る。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、特
に記録媒体の記録密度を向上させた場合に、記録媒体の
磁気的な不均一性等に起因する物理的位置及び経時変
化、または同一記録条件下で記録した場合でも記録媒体
に記録された過去の履歴により変動する磁化転移形成の
状態が変化することを要因とする波形等化処理における
等化誤差を抑制できるようにして、高記録密度化のデー
タ再生特性を向上させて、常に最適なシステムパフォー
マンスを図ることができる。
【0065】即ち、具体的には、磁気記録特性の分布を
利用した再生波形の等化補償機能を適用した磁気記録再
生装置において、記録密度の向上に伴ってディスク上の
物理的な位置に依存する磁気特性の不均一性、PE現象
による非線形系歪みによる磁化転移の状態変化による波
形等化誤差を吸収できるようにして、ディスク全体に対
して再生動作時の等化誤差が最小になるような等化補償
を実現することができる。従って、ディスクの開発段階
において、磁気特性を高精度に均一化する必要性がなく
なり、ディスクの開発における生産性を向上させること
が可能となる。要するに、高記録密度化に伴ってヘッド
やディスクの要素技術の高度の開発に依存することな
く、本発明の再生補償機能を適用することにより、従来
の要素技術の範囲でも高記録密度化を可能にすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に関係するHDDの要
部を示すブロック図。
【図2】同実施形態の動作を説明するためのフローチャ
ート。
【図3】第2の実施形態に関係する等化定数設定回路の
構成を示すブロック図。
【図4】第2の実施形態の動作を説明するためのフロー
チャート。
【図5】第2の実施形態の効果を説明するための特性
図。
【図6】第2の実施形態の効果を説明するための特性
図。
【図7】第2の実施形態の効果を説明するための特性
図。
【図8】従来のHDDのドライブ機構を示す斜視図。
【図9】従来のHDDに適用する磁気記録再生系を示す
ブロック図。
【図10】従来の磁気記録再生系に相当する模式図。
【図11】従来の磁気記録再生系の特性図。
【符号の説明】
1…ディスク(磁気記録媒体) 2…スピンドルモータ 3…記録ヘッド 4…再生ヘッド(MRヘッド) 5…記録再生分離型ヘッド 6…記録アンプ 7…記録処理系 8…歪み補償回路 9…記録処理部 10…ホストコンピュータ 11…再生アンプ 12…前置等化器 13…並列等化器群 14…等化出力サンプラ(A/D変換回路) 15…最小等化誤差判定回路 16…最適等化器選択回路 17…クロック抽出回路 18…復号処理回路 30…等化定数設定回路 31…基準周波数設定部 32…参照パターン設定部 33…タイミング制御部 34…振幅特性測定部 35…統計値算出部 36…記憶制御部 37…タイミング制御部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体に磁気的に記録したデータをヘ
    ッドにより読出して再生処理を行なうデータ再生処理手
    段を有する磁気記録再生装置であって、 前記データ再生処理手段は、 前記ヘッドにより読出した再生信号波形を等化特性に基
    づいて波形等化処理を実行するための手段であって、異
    なる等化特性を有する複数の等化器からなる等化処理手
    段と、 前記等化処理手段により波形等化処理された再生信号波
    形に基づいて、最小の等化誤差を示す等化器を前記等化
    処理手段から選択的に決定するための決定手段と、 前記決定手段により決定された等化器により波形等化処
    理された再生信号波形に従って、記録した元のデータを
    再生する再生手段とを具備したことを特徴とする磁気記
    録再生装置。
  2. 【請求項2】 記録媒体に磁気的に記録したデータをヘ
    ッドにより読出して再生処理を行なう磁気記録再生装置
    に適用する再生補償装置であって、 前記ヘッドにより読出した再生信号波形を等化特性に基
    づいて波形等化処理を実行するための手段であって、異
    なる等化特性を有する複数の等化器からなる等化処理手
    段と、 再生処理時に前記ヘッドにより読出対象となる前記記録
    媒体上の記録領域毎に、前記等化処理手段の各等化器毎
    に等化パラメータを設定するための設定手段と、 再生処理時に前記各等化器により波形等化処理された各
    再生信号波形を使用して最小の等化誤差を示す等化器を
    選択的に決定する決定手段と、 前記決定手段により決定された等化器により波形等化処
    理された再生信号波形を選択して、データ復元処理を行
    なうデータ再生手段に送出する手段とを具備したことを
    特徴とする再生補償装置。
  3. 【請求項3】 前記等化処理手段は、異なる等化特性を
    有する複数の等化器を有し、 各等化器はそれぞれ前記ヘッドから出力された再生信号
    を独立して入力し、前記再生信号に対して波形等化処理
    を並行に実行するように構成されたことを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録再生装置または請求項2記載の再
    生補償装置。
  4. 【請求項4】 前記設定手段は、記録媒体上の所定の記
    録領域またはテストモード時に設定された等化パラメー
    タの測定領域において、所定の等化パラメータ固定値に
    対する平均変動値、分散値、及び分布を含む統計値を算
    出する統計値算出手段を有し、 前記統計値算出手段により算出された統計値に基づいて
    前記等化パラメータを決定するように構成されたことを
    特徴とする請求項2記載の再生補償装置。
  5. 【請求項5】 前記決定手段は、前記各等化器から得ら
    れた各等化出力信号と予め用意された理想等化信号との
    等化誤差を各等化器毎に測定する手段と、 測定した各等化誤差から最小等化誤差を算出する手段
    と、 前記最小等化誤差を示す等化器を最適等化器として前記
    各等化器から選択する手段とを有することを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録再生装置または請求項2記載の
    再生補償装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008130186A (ja) * 2006-11-22 2008-06-05 Samsung Electronics Co Ltd 情報再生装置および情報再生方法
JP2008243340A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Institute Of National Colleges Of Technology Japan 光ディスク用再生等化方法および再生等化回路

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