JP4976090B2 - 温度履歴インジケータ - Google Patents

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Description

本発明は、温度履歴インジケータに関し、さらに詳しくは、食品・医薬品・各種機械器具類などの冷蔵領域である−10℃〜+10℃の所定温度で生鮮食品等の品質を鮮度よく簡便かつ確実に管理できるような温度履歴インジケータおよびこの温度履歴インジケータを用いた温度履歴インジケータセット並びにこれらを用いて物品の温度履歴を管理する方法に関する。
近年、食品分野は元より、医薬品・医療用品分野、印刷インキ分野、電気・機械・器具分野などでも、物品の品質保持の観点から、冷凍あるいは冷蔵した状態で、あるいはチルド温度(すなわち0℃を超え+5℃程度までの温度)で、さらには0℃以上の特定の温度で、運搬、保存(貯蔵)、加工等されるものがある。
これら食品に代表される物品では、品質管理上、その温度履歴が一目瞭然となるように、貼付可能な種々の温度管理ラベル、温度履歴インジケータ等が提案され、また一部は実際に使用されている。
対象温度が0℃以下の温度履歴インジケータとしては、例えば、特開2005−114363号公報(特許文献1)、特開2005−114364号公報(特許文献2)等に記載のものが挙げられる。
上記特許文献1〜2には、「密封容器内に、氷点下において凝固した乳化液を備え、前記乳化液は昇温により相分離する低温履歴インジケータであって、前記乳化液は、水、脂肪酸および脂肪酸ナトリウムから構成され、前記水は、糖類又は高分子からなる添加剤を含む低温履歴インジケータ」が開示されている。しかしながらこれらの特許文献1〜2に記載の低温履歴インジケータには、室温では液状の乳化液が含まれており、取扱い方により液漏れの恐れがあり、低温履歴管理すべき食品等に付着してそれらを汚染する恐れがある、−20℃〜0℃の範囲での温度履歴に対して視認性に劣るなどの問題点がある。
なお、対象温度が、0℃以上のインジケータとしては、特開2002−129139号公報(特許文献3)、特開2003−342428号公報(特許文献4)、特開2004−340671号公報(特許文献5)が挙げられる。
これらのうちで特許文献3(特開2002−129139号公報)には、基材上に温度及び/又は湿度ならびに経過時間に応じて変色する変色インキ層及び非変色インキ層を有する変色性経時インジケーターであって、当該基材と変色インキ層及び非変色インキ層とを隔離する隔離層を有し、変色インキ層の一部又は全部が外気にさらされるように隔離層上に変色インキ層及び非変色インキ層が形成されている変色性経時インジケーターが開示されている。この変色インキには調製シアニン染料(C.I.ベイシックレッド37)が用いられ、+20℃での実施例のみが示されている。
特許文献4(特開2003−342428号公報)には、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物(樹脂A)と吸湿性有機化合物(化合物A)との混合物10〜90wt%に対し、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分けん化物(樹脂B)を90〜10wt%で配合してなる、湿度あるいは温度応答性を有する樹脂組成物を用いたインジケータが開示されている。該インジケータは、80〜110℃の温度で数秒間保持すると、当初の透明から変化し白濁したと記載されている。
特許文献5(特開2004−340671号公報)には、支持体の一面上に、該支持体側から順次、設定された温度条件に曝されている期間中に拡散移動する染料を含有する染料層と、染料層からの染料の拡散移動速度を制御する染料拡散制御層と、染料層より染料拡散制御層を通って拡散移動する染料により染着されて時間経過と共に発色濃度が上昇する発色層とが積層されている構造を有する、設定された温度条件に曝された時間の長さを判別するための温度履歴インジケーターが開示されている。該温度履歴インジケーターは、60℃の温度で2〜4週間保持し、加熱時間差による発色濃度差から、設定された温度条件に曝された時間の長さを判別可能であると記載されている。
このように、従来では、上記何れの公報等を参照しても、−10℃〜+10℃程度の冷蔵領域、例えば、好適な保存温度が0〜+5℃程度の食品に対して、その貯蔵・保管中にその食品の保存に不適な高温(例:+15℃)状態になったか否かの温度履歴を、視覚的に確実(正確)かつ容易に検知することができ、しかも食品等の物品が汚染等される恐れがなく物品の管理を容易に行うことができ、安全性等に優れるなど、種々の温度条件下に冷蔵保存等される個々の物品の温度履歴管理に好適な温度履歴インジケータは何ら記載も示唆もされていなかった。
特開2005−114363号公報 特開2005−114364号公報 特開2002−129139号公報 特開2003−342428号公報 特開2004−340671号公報
本発明は上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、例えば、保存温度が好ましくは−10℃〜+10℃程度の冷蔵領域の食品(例:生畜肉や生鮮魚介類、加工野菜)に対して、その貯蔵・保管中に、当該物品の品質劣化を招くような不適当な高温状態、例えば+15℃、さらに昇温して+20℃になったか否かの温度履歴を確実かつ容易に検知することができその管理を低コストで容易に行うことができ、安全性等に優れるなど、種々の温度条件下に冷蔵保存等される個々の物品の温度管理に好適な温度履歴インジケータを提供することを目的としている。
また、本発明は、上記温度履歴インジケータを用いて簡単かつ確実に温度履歴を管理し得る温度履歴インジケータセットを提供することを目的としている。
また本発明は、上記温度履歴インジケータを用いた、好ましくは、−10℃〜+10℃の温度範囲での簡単かつ確実な温度履歴の管理方法を提供することを目的としている。
本発明に係る温度履歴インジケータは、酸素濃度に対応して変色する酸素検知剤本体と、該酸素検知剤本体を密封被覆するガス微透過性の包装フィルムとを具備していることを特徴としている。
本発明では、上記包装フィルムは、25℃の温度における酸素透過度(酸素透過率測定
装置:モコン社製、OX−TRAN2/21シリーズMD型にて測定。)が0.1〜50
ml/m2・日、好ましくは、0.3〜30ml/m2・日であることが望ましい。
本発明では、上記包装フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリアクリロニトリル(PAN)と、ポリアミド(NY)と、ポリエチレン(PE)のうちから選択される何れかの重合体よりなるフィルム(あるいは層)が2種以上積層し密着(接着
)してなる積層フィルムであることが望ましい。また、必要により上記各積層フィルムまたは各積層フィルムを構成している各層用のフィルムは、2軸延伸等されていてもよい。
本発明では、上記酸素検知剤本体が、還元性の糖類、アルカリ金属化合物および、還元性糖類によって還元されて識別可能に色が変化する色素を含有する水溶液を担体に担持させたものであることが望ましい。
本発明では、さらに、上記還元性の糖類によって還元されない色素を含有することが望ましい。
本発明に係る温度履歴インジケータセットは、上記の何れかに記載の温度履歴インジケータと、温度と経時的な色調変化の関係を示す色見本とを具備したことを特徴としている。
本発明に係る物品の温度履歴を管理する方法は、少なくとも−10℃〜+10℃の温度範囲において、酸素濃度に対応して(しかも時間の経過につれて不可逆的に、)識別可能に変色する上記の何れかの温度履歴インジケータあるいは上記の温度履歴インジケータセットを利用して、物品の温度履歴を管理する点に特徴がある。
本発明によれば、例えば、好適な保存温度が−10℃〜+10℃程度の食品に対して、その貯蔵・保管中にこれより高温で品質管理に不適当な温度、例えば、0℃から(15℃昇温して)+15℃前後、さらにはそれ以上の温度状態になったことがあるか否かの温度履歴を、視覚的に確実かつ容易に検知することができその管理を容易に行うことができ、安全性等に優れるなど、種々の温度条件下に冷蔵保存等される個々の物品の温度履歴管理に好適な温度履歴インジケータが低コストで提供される。
また本発明に係る温度履歴インジケータセットによれば、簡便かつ確実に温度履歴を管理できる。
また本発明によれば、上記温度履歴インジケータを用いた−10℃〜+10℃前後の温度範囲での簡単かつ確実な各種物品の温度履歴の管理方法が低コストで提供され、このような温度履歴インジケータによる温度履歴管理方法は、例えば、生畜肉や生鮮魚介類、加工野菜などの食品を数日〜1週間程度の比較的短期間にわたって温度履歴管理する場合に
おいて、時間の経過や、温度変化により顕著な色の変化が発揮され、食品等の温度が元の温度になっても温度履歴インジケータの色戻りもないため、医薬品・医療用品分野、印刷インキ分野、電気・機械・器具分野などにおいても生肉などと同様に好適に温度履歴管理に適用できる。
以下、本発明に係る温度履歴インジケータについて図面を参照して具体的に説明する。
図1の付番10は、本発明に係る温度履歴インジケータの好適な1態様を示す模式断面図である。
<温度履歴インジケータ10>
図1に示す本発明の好適な温度履歴インジケータ10は、酸素検知剤本体20と、該酸
素検知剤本体20を密封するガス微透過性の包装フィルム30とを具備したインジケータである。
本発明に係る温度履歴インジケータの特徴は、例えば、小売用の陳列ケース内での数日〜1週間程度の短期保存では−5℃〜+5℃程度の保存管理が望ましいとされる生の畜肉
や生鮮魚介類、加工野菜や加工食品(例:生麺、弁当)、あるいは0℃〜+10℃程度の
温度領域での保存管理が望ましい生野菜や果物等(以下、まとめて「生畜肉等」ともいう
。)を所定期間保存する場合に、生畜肉等を当該期間鮮度良く保存でき、保存中の品質劣
化が極めて生じ難いような貯蔵・保存温度である−5℃程度(あるいはそれ以下)の温度から、+15℃程度等へと昇温すると、品質劣化が短期間に顕著に進行する恐れがあることから、このような生畜肉等の保存時における温度履歴、例えば、好適な−5℃〜+5℃程度の温度域から、短期間での品質劣化が懸念される+15℃へと昇温した事実の有無(
温度履歴)を簡単かつ確実に肉眼で監視できるようにした点にある。
すなわち、本発明の温度履歴インジケータでは、包装フィルム30として、好ましくは、−10℃〜+10℃の温度範囲において、昇温するとガス透過度が著しく増大するフィルム材を選択している。
しかも、酸素検知剤本体20としては、このようなフィルム材にて密閉被覆した場合に、酸素等のガス濃度に対応して、酸素検知剤本体20の色が肉眼で容易かつ確実に把握可能に変化するもの(すなわち、温度変化に伴う色戻りなどがなく、不可逆的に色が変化するもの)が用いられる。
本発明では温度履歴インジケータがこのような構造を採ることにより、生畜肉等の低温保存時における温度履歴を簡単かつ確実に監視できるようになっている。
詳説すれば、例えば、本発明の温度履歴インジケータの包装フィルム30が共押出ポリアミド(NY)/ポリアクリロニトリル(PAN)積層フィルムよりなり、酸素検知剤本体20が、特開昭63−243754号公報の実施例3〜4(3頁左下〜右下欄)に記載のものである態様が挙げられる。
この特開昭63−243754号公報の実施例3〜4に記載の酸素検知剤本体20は、「0.5%メチレンブルー水溶液13重量部、0.25%サフラニンT水溶液13重量部、30%D−グルコース65重量部、15%水酸化カリウム水溶液9重量部を混合して混合液を調製し、この混合液をろ紙に含浸させたものである(同公報[実施例3])。なおその後、必要により真空乾燥し、不要な水分を除去したものでもよい(同公報[[実施例4]]。この酸素検知剤本体20は、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.1%以下)に保持すれば、ピンク色になり、また、上記濃度を超える酸素が浸入すると青色に発色する。
本発明では、この公報の実施例3(または実施例4)に記載の上記酸素検知剤本体20を、例えば、温度によりガス透過性が大きく異なる、ガス微透過性包装フィルム30の1種である、上記共押出ポリアミド(NY)/ポリアクリロニトリル(PAN)積層フィルム(B)にて窒素雰囲気下(例:酸素濃度0.1%以下)に密封・被覆する。この積層フィルム(B)と、上記酸素検知剤本体20を組合わせてなる該温度履歴インジケータは、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.1%以下)に同温度(−20℃)で5日間保持してもピンク色である。
ところが、この積層フィルム(NY/PAN)は、少なくとも−20℃〜0℃の温度範囲では昇温するとガス透過性が著しく増大し、温度変化に伴う酸素透過度(cc/m2
日)の差が著しく大きく、例えば、0℃で5日間保持すると、上記濃度(0.1%)を超える酸素ガスが、ガス微透過性包装フィルム30の微孔を経て酸素検知剤本体20に浸入して、該本体を青色に発色させるから、元のピンク色と明確に区別でき、酸素検知剤本体の変色量の差として、ハンターのLab表色法(Lab値)におけるa値の差は、10.8程度になる。
換言すれば、食品等を5日間保存した場合に、貯蔵開始から5日目においても温度履歴インジケータがピンク色のままであれば、−20℃前後かそれ以下の温度で継続して冷凍
保存されていたことを示し、また青色に変色していれば、数日間(例:5日)少なくとも0℃前後で保存されたか、あるいはそれ以上の温度(0℃を超える温度)で5日未満のある期間保存されていたことが分かる。
本発明においては、特に、温度と経時的な色調変化の関係を示す色見本などを本発明の温度履歴インジケータとセットにしておくと、温度履歴の判断が容易かつ確実となるため好ましい。
以下、このような本発明の温度履歴インジケータを構成している酸素検知剤本体20、該酸素検知剤本体20を密封被覆する包装フィルム30、温度履歴インジケータの製法、その使用方法等について順次説明する。
<酸素検知剤本体20>
酸素検知剤本体20としては、酸素濃度に対応して変色するものが用いられる。より具体的には、酸素検知剤本体20としては、少なくとも上記のような−20℃〜+20℃、好ましくは、−10℃〜+10℃の温度範囲でガス透過度の変化量が著しく大きく、しかも、そのような範囲でのガス透過度の変化量を、色の違いとして明確に視認・識別し得るものが好適に用いられる。
このような酸素検知剤本体20としては、特開2004−254684号公報の「0038」〜[0046]に記載の「酸素検知剤本体」あるいは、特開昭63−243754号公報に記載の「シート状酸素検知剤」などが、少なくとも上記所定の温度範囲において、上記のようなフィルムを使用した場合の酸素濃度変化に対応して大きく変色し、視認性に優れるなどの点で好適に使用される。
すなわち、例えば、酸素検知剤本体としては、食品等の包装容器内や包装容器外の酸素濃度や酸素の有無を、酸素透過率制御フィルムを介して通過・浸透してくる酸素濃度や酸素の有無を検知でき、特に、ガス置換包装、脱酸素包装などをした際にガス置換され、酸素が充分に除かれていること、あるいは限界量の酸素濃度であることなどを検知でき、色の変化、すなわち色相、色彩あるいは明度の変化により、酸素濃度や酸素の有無等を表示するものが用いられる。
上記酸素検知剤本体には、該酸素検知剤本体と一体あるいは別体に構成され、少なくとも、酸素検知剤本体の酸化前の初期状態を示す色と、品質保持上の上限を超える温度状態を示す色と、必要により品質保持温度内の状態を示す色と共に、該酸素検知剤本体の変色(例:メチレンブルーの青)や未変色(例:サフラニンTまたは食紅のピンク)にそれぞれ対応する各食品等の状態を説明する表記、さらには、その酸素検知剤本体を用いて品質管理すべき食品等の種類、あるいは品質管理条件(当該食品の保存温度、保存時間あるいは、真空密封、ガス置換包装などの包装条件など)と共に示された色見本がセットされていることが、この酸素検知剤本体の誤用を防ぎ、品質管理の適正化を図る上で好ましい。
酸素検知剤本体としては、錠剤状の成形物、紙、糸、脱脂綿、多孔質樹脂、多孔質無機物あるいは多孔質無機系酸化物等の多孔質部材に酸素検知組成物溶液を含浸させ、必要により乾燥等を行ったもの、紙またはフィルムの表面に酸素検知組成物を塗布し必要により乾燥させたもの、または該組成物を印刷したもの等が挙げられる。
特に、食肉などの品質管理用のインジケータのように数日間明るい陳列棚に陳列されるような、耐光性が必要とされる用途には、酸素検知剤本体が変色後、その色調がより良好に保持される点で、後述する多孔質無機系酸化物などの多孔質部材を用いることが好ましい。
この酸素検知組成物としては、従来より公知のものを使用し得るが、いわゆる酸化還元型のものが好ましく用いられる。酸化還元型酸素検知剤としては、代表的には、還元性の糖類によって還元されて識別可能に色が変化するメチレンブルー等の特定の色素と、該色素を還元するための還元剤としてのグルコース等との組合せが挙げられる(特開2000−39429号公報、特開昭53−120493号公報、特開昭56−60349号公報、特開昭63−243754号公報等参照)。これらは酸素が存在する場合にはメチレンブルー自体が酸化されて青色を呈するが、酸素の不存在下では、上記青色を呈していた色素がグルコース等の還元剤によって還元されて(色素を酸化した酸素をグルコースが奪いグルコース自体は酸化される)、無色になるという現象を利用したものである。通常、メチレンブルーが無色になったとき、そのことがはっきりと強調されて分かるように色素(例:食紅などの赤系色素)が配合されている。
特に、本発明では、酸素検知剤本体が、特開昭63−243754号公報に記載の「シート状酸素検知剤」すなわち、「還元性の糖類(a)、アルカリ金属化合物(b)および、還元性糖類によって還元されて識別可能に色が変化する色素(c−1)を含有する水溶液をシート状等の担体に担持させたもの」であることが視認性、安全性等の点で好ましい。成分(a)の還元性糖類としては、D−グルコースなどの単糖類、マルトースなどの多糖類が挙げられ、成分(b)としては、Na,Caなどの水酸化物、炭酸化物等が挙げられ、上記成分(c−1)としては、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、ラウスバイオレット、メチレングリーン等が挙げられ、特にメチレンブルーが視認性の点で好ましい。
また、この酸素検知剤本体には、該公報に記載されているように上記色素(c−1)の他に、上記還元性の糖類(a)によって還元されない色素(c−2)を含有していてもよい。この非還元性色素(c−2)は、上記還元性色素(c−1)がメチレンブルー等である場合に、還元状態で無色となり、肉眼では判定しずらい場合もあるため、酸素の有無を視覚的により容易かつ正確に判定しやすくする。上記還元性の糖類によって還元されない色素(c−2)としては、サフラニンT、フェノサフラニン等が挙げられる。またシート状担体としては、イオン交換樹脂、セルロース性物質、有機高分子化合物等が挙げられる。
ところで、前記多孔質部材のうちで、多孔質無機物としては、活性炭、木炭、骨炭などが挙げられる。また、多孔質無機系酸化物としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、カリウム(K)等の酸化物やこれら酸化物の混合物、これら元素を有する複合酸化物などが挙げられる。
より具体的には、多孔質無機系酸化物としては、シリカゲル、シリカ、ゼオライト、モルデナイト、ベントナイト、モンモリナイト、(活性)アルミナ、マグネシア、チタニア、活性白土、クレー、スラグ、ボーキサイト、多孔質ガラスビーズ等が挙げられる。
これらの多孔質部材のうちでは、多孔質無機系酸化物が好ましく、さらには、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、モルデナイトが得られる酸素検知剤の耐光性、色調変化の視認性、安全性などの点から好ましい。
これらの多孔質部材は、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
<包装フィルム30>
該包装フィルム30は、酸素検知剤本体20を密閉・被覆するものであって、ガス微透過性を有し、しかも、温度に依存してガス(例:酸素ガス)透過度が異なり、少なくとも−10℃〜+10℃程度の範囲で温度が変化するとガス透過度が多く変化することが必要である。本発明では、物品保存日数(好適例:3日〜7日程度)の経過や、少なくとも上
記温度範囲での温度上昇に伴い酸素ガス透過度が増加する包装フィルム30と、この包装フィルム30のガス透過度(量)の変化に対応して視認識別可能に敏感に変色する酸素検知剤本体20とを組合わせている点に特徴がある。
本発明では、このような包装フィルム30としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリアクリロニトリル(PAN)と、ポリアミド(NY)と、ポリエチレン(PE)のうちから選択される何れか2種以上の重合体(あるいはそのフィルム)よりなる積層フィルムであって、上記各積層フィルムまたは各積層フィルムを構成している各層用のフィルムは、2軸延伸されていてもよい。換言すれば、上記積層フィルムは、PET、PAN、NY、PEのうちの何れかの重合体よりなるフィルム(あるいは層)が2種以上積層し密着(接着)している。
より具体的には、包装フィルム30は、積層構造が(A)チレンテレフタレート(PET)/ポリアクリロニトリル(PAN)である積層フィルム、(B)ポリアミド(NY)/ポリアクリロニトリル(PAN)である積層フィルム、(C)ポリアミド(NY)/ポリエチレンテレフタレート(PET)、に代表される積層フィルムのうちから選択される未延伸積層フィルムであるか、または、
(D)2軸延伸ポリアミド(ONY)/PANである積層フィルム、(E)2軸延伸ポリアミド(ONY)/PETである積層フィルムのうちから選択される2軸延伸層を有する積層フィルムであることが好ましい。なお、上記未延伸積層フィルムとして、(F)ポリアミド(NY)/ポリエチレン(PE)を用いることもできる。
本発明の好ましい態様では、上記包装フィルムが、(B)ポリアミド(NY)/ポリアクリロニトリル(PAN)積層フィルム、(D)2軸延伸ポリアミド(ONY)/PAN積層フィルム、または(E)2軸延伸ポリアミド(ONY)/PET積層フィルムであることが、本発明で用いられる特定の酸素検知剤本体20と組み合わせた場合に、酸素検知剤本体20は温度の違いによる色の変化(a値の差)が大きく、しかも冷蔵領域(好ましくは、−10℃〜+10℃)で短期間(3〜7日程度)生鮮食品などを保存・保管する場合に、係る温度範囲で上下に変動しても酸素検知剤本体の変色戻りが発生せず、物品の温度履歴の管理が正確かつ容易となるなどの点で望ましい。
なお、本発明では、包装フィルム30の使用態様は、上記積層フィルムの何れの層が内層であってもよいが、熱融着可能な温度がより低温となり、かつ接合強度がより高くなるように、例えば、PET/PE積層フィルムでは、PET層より低融点のPE層が内層(シール面)となるように貼り合わせればよく、他の積層フィルムでも同様である。
このような積層フィルムとしては、例えば、PET/PANの積層フィルム(A)では、12μm/30μm(厚)で、酸素透過度(25℃)が6.0cc/m2・日程度のも
のが挙げられ(図10−1、図10−2)、
共押出ポリアミド(NY)/PAN(B)では、15μm/30μm(厚)で、酸素透過度(25℃)=5.5cc/m2・日程度のものが挙げられ(図2−1、図2−2)、
SiPET/PAN(C)では、12μm/30μm(厚)で、酸素透過度(25℃)が0.5cc/m2・日程度のものが挙げられ(図1−1、図1−2)、
2軸延伸ポリアミド/PAN(D)では、15μm/30μm(厚)で、酸素透過度(25℃)=約6cc/m2・日程度のものが挙げられ(図3−1、図3−2)、
KPET/PANでは、12μm/30μm(厚)で、酸素透過度(25℃)が3.5cc/m2・日程度のもの(図7−1、図7−2)などが挙げられる。
なお、上記積層フィルム形成用の基材フィルム(材)としては、未延伸フィルム材では、ポリアクリロニトリル(PAN)」フィルムでは、「ハイトロンBX」(タマポリ(株
)製、厚み:30〜40μm)などが挙げられ、ポリアミドフィルム材では、「スーパーニール」(三菱樹脂(株)製、ポリアミドフィルム、厚み:15〜25μm)等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでは、「ハイトロンPG」(タマポリ(株)製)等が挙げられる。
2軸延伸フィルム材では、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでは、「ダイヤホイルH105」(三菱ポリエステルフィルム(株)製、2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み:12〜25μm)等が挙げられる。
「K−PET(一般名)」(商品名:「セネシKET」、ダイセルバリューコーティング社製、PVDCコート2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み:12〜16μm)などが、基材フィルムとして好適に用いられる。
また、SiPETフィルムとしては、「テックバリア」(三菱樹脂(株)製、透明で、アミノ基含有シランカップリング剤層などが片面に設けられた2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み:12μm程度。)が挙げられ、
2軸延伸ポリアミドフィルム(材)(ONY)としては、「サントニール」(三菱樹脂(株)製、MXD系共押出2軸延伸ポリアミドフィルム、厚み:15〜25μm)などが挙げられる。
包装フィルム30が上記の何れか、好ましくはNY/PAN(B)、ONY/PAN(D)またはONY/PET(E)の何れか、特にONY/PET(E)であると、酸素検知剤本体20として好適な、前記特開昭63−243753号公報の実施例3〜4に記載の酸素検知剤本体20と組合わせて用いる場合に、0℃〜−20℃の温度範囲で、温度履歴に応じて大きなa値の差[ハンターのLab表色法(Lab値)におけるa値の差]が得られ、しかも−20℃かそれより数度上昇した範囲では経時的にガス透過度が少なく、酸素検知剤本体20を視認可能な程度までには変色させず、しかも、−10℃へ、さらには0℃へと昇温すると酸素検知剤本体20を識別可能に大きく変色させることができ、少なくとも0℃〜−20℃の温度範囲で温度履歴の視認性に優れる点で望ましい。
このように、これらの包装フィルム30は、市販の種々のフィルム材を組合わせてなる積層フィルムのうちで比較的ガス微透過性を有し、少なくとも0℃〜−20℃の温度範囲において温度が上昇するとガス透過度が著しく増大するという特徴を有している。
例えば、本発明の調製例7(ONY/PAN(D))に示すように、−20℃の場合のガス(例:酸素ガス)透過度に比して、より温度の高い−10℃の場合、さらには0℃の
場合では、このガス透過度が(酸素検知剤本体20の変色で十分識別可能なまでに、)顕著に大きくなり、その結果、時間(日数)の経過と共に、該包装フィルム30内に収容された酸素検知剤本体20の変色量は大きくなる。
この包装フィルム30としては、0℃および−20℃の各温度に設定保持直後の温度履歴インジケータの変色量、特にそれを構成している酸素検知剤本体20の変色量として、ハンターのLab表色法(Lab値)におけるa値の差が0.5以下、換言すれば0〜0.5の範囲にあり、かつ、
上記各温度で5日間保持した場合の上記a値の差が9.0以上であることが、温度履歴の視覚的な識別性に優れるなどの点で好適である。
本発明ではこのように温度によるa値の差の大きい包装フィルムを用いることにより、例えば、5日間食品を−20℃で保存しようとした場合に、もし途中で保存に不適当な−10℃あるいは0℃等に昇温してしまうと、メチレンブルー系の酸素検知剤本体20の色はピンクから薄青紫色(−10℃)に、さらには青色(0℃)に変色し、とくに最後の青
色まで変色すると色戻りがなくその色が保持されるから、例えば、4日目にかかる状態を視認すれば、当該食品は−20℃より高い品温に少なくとも5日以内に一時期晒されたことが一目瞭然で識別可能となる。
上記例では、温度履歴インジケータ10(特に該インジケータ用の包装フィルム30)は5日間、畜肉等の保存管理を行う場合を想定しているが、本発明ではこの包装フィルム30としては特に限定されず、例えば、そのガス透過度を適宜調整することにより、低温履歴を管理すべき日数(例:5日)等に応じて使用可能な温度履歴インジケータを得るこ
とができる。なお、包装フィルム30の枚数を1〜5枚などと適宜調整し、また上記包装フィルム30と従来より公知の任意のフィルムとを適宜組合わせることなどにより、長期間の低温履歴を管理できるようにしてもよい。
<温度履歴インジケータの製造>
上記のような本発明に係る温度履歴インジケータは、従来より公知の方法を適宜組合わせて製造できる。
すなわち、特開昭63−243754号公報の実施例3〜4に準じて、任意の寸法の酸素検知剤本体20を作成する。
この酸素検知剤本体20を、例えば、上記特定の包装フィルム30材、例えば、付番(B)に示すような共押出ポリアミド(NY)/ポリアクリロニトリル(PAN)積層フィルム、特に好ましくは(D)に示すような2軸延伸ポリアミド(ONY)/PAN積層フィルムにてサンドイッチ(挟持)して、積層フィルムのPAN層の周縁部同士を熱融着あるいは接着剤等により接合することにより、酸素検知剤本体20を積層フィルム30にて密閉・被覆すれば、図1に示すような本発明に係る温度履歴インジケータ10が得られる。
なお、窒素雰囲気下(酸素濃度が0.1%以下であり、酸素検知剤本体20がピンク色を保持する状態。)に上記密封・被覆操作を行えば、酸素検知剤本体20をピンク色(還元状態)に保持できる。
また、上記密封・被覆操作を大気中で行う場合は勿論のこと、上記のように窒素雰囲気下に温度履歴インジケータを作成する場合にも、特開昭63−243754号公報に記載の「シート状酸素検知剤」では、酸素検知剤本体20内に、前記還元性の糖類(a)を適宜量で入れておけば、当初、酸素雰囲気下に酸化し青に変色していたとしても、密封後、所定温度(例えば、酸素透過量の少ない−20℃など)でしばらく経過すると、当該温度で包装フィルム30を透過する酸素による酸化反応に比して、酸素検知剤20中の還元剤による還元反応の方が優勢となり、還元されてピンク色に変色する。
<温度履歴インジケータの利用法>
本発明に係る温度履歴インジケータは、食品の包装袋の外表面に貼付して単独で使用してもよく、また、この「温度履歴インジケータ」と、温度と経時的な色調変化の関係を示す「色見本」とを具備した温度履歴インジケータセットとして、食品の包装袋の外表面に貼付して使用してもよい。
特に、セットとして使用すれば、対比観察による識別は容易となり、温度管理も容易になる。
[調製例]
以下、本発明に係る温度履歴インジケータの好適例および比較例について調製例1〜9によりさらに具体的に説明するが、本発明はかかる調製例により何ら限定されるものではない。
[調製例1]
[温度履歴インジケータ(No.5)]
<(イ)酸素検知剤本体20の作成>
特開昭63−243754号公報の実施例3〜4に準拠して、酸素検知剤本体20を作成した。
すなわち、0.5%メチレンブルー水溶液13重量部、0.25%サフラニンT水溶液13重量部、30%D−グルコース65重量部、15%水酸化カリウム水溶液9重量部を混合して混合液を調製し、この混合液をろ紙に含浸させた(同公報[実施例3])。なおその後、必要により真空乾燥し、不要な水分を除去した(同公報[[実施例4]]。
この公報の実施例4に記載の酸素検知剤本体20は、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.1%以下)に保持したこところ、ピンク色になり、また、上記濃度を超える酸素が浸入すると青色に発色した。
<(ロ)包装フィルム30(付番(B))の作成>
付番(B)に示す共押出しポリアミド/PAN積層フィルムを(2液系の)ドライラミネートにより作成した。
すなわち、共押出しポリアミドとして、「スーパーニール」(三菱樹脂社製、15μm(厚))を使用し、また、PANフィルムとして、「ハイトロンBX」{タマポリ(株)製、ポリアクリロニトリル系樹脂フィルム、30μm(厚)}を使用して、ドライラミネート法にて、上記積層フィルム(B)を作成した。
この積層フィルム(B)の酸素透過度(25℃)[酸素透過率測定装置:モコン社製、OX−TRAN2/21シリーズMD型にて測定]は、5.5cc/m2・日となった。
<(ハ)温度履歴インジケータ10(B)の製造>
上記工程(イ)の前段で調製した、上記混合液をろ紙に含浸させてなる酸素検知剤本体20(特開昭63−243754号公報の実施例3)を準備した。この時このろ紙は青色であった。この酸素検知剤本体20を1.5×2.0cmの矩形にカットし、3.0×4.0cmの「共押出しポリアミド/PAN積層フィルム」(共押出しポリアミドフィルム、15μm(厚))/PAN(30μm(厚))の積層フィルムにて、PAN層が内側(
図1の31)となり、かつ第1の積層フィルムの周縁部と第2の積層フィルムの周縁部とがぴったりと重なり合うように配置して熱融着にて、第1の積層フィルムと第2の積層フィルムのPAN層同士を密封し、温度履歴インジケータを作成した。
<温度履歴インジケータによる低温履歴の検査>
次いで、この温度履歴インジケータ(B)を脱酸素剤と共にPVDCコートNY/PE袋内に密封した後、35℃の恒温器に保管した。その結果、15時間後には、温度履歴インジケータ(B)中のろ紙はピンクに変色していた。
この温度履歴インジケータ(色:ピンク色)を+20℃、+10℃、0℃、−10℃、−20℃の恒温器に保管して1日毎に色差計(日本電色工業社製、測色色差計「ZE2000」)にて測色を行った。
測色値であるL*,a*,b*のうちの、赤−緑の変色量を示すa*値(a値)について試験開始時との変化量を評価した。
結果を図2−1〜図2−2に示す。
図2−2の「■(実線)」は−20℃、「◆(点線)」は−10℃、「▲(鎖線)」は0℃、「−(一点鎖線)」は+10℃、「●(点線)」は+20℃でそれぞれ7日間保持した場合のa値の変化を示すグラフである。(他の図でも同様。)
このグラフ(a値)から明らかなように、本発明の温度履歴インジケータの色を、所定の色見本と対比すれば、一定の低温(例:+10℃〜−10℃程度の範囲のうちの、或る特定の温度)で何日間、食品等を保存したかが分かる。
[調製例2]
[温度履歴インジケータ(No.7)]
調製例1において、包装フィルム30として、下記のような2軸延伸ポリアミド(ONY15)/ポリアクリロニトリル(PAN)積層フィルム(D)を用いた以外は、調製例1と同
様にして温度履歴インジケータを作成し、同様に試験した。
結果を図3−1〜図3−2に示す。
なお、調製例2の詳細は、以下の通り。
<(イ)酸素検知剤本体20の作成>
特開昭63−243754号公報の実施例3〜4に準拠して、酸素検知剤本体20を作成した。
すなわち、0.5%メチレンブルー水溶液13重量部、0.25%サフラニンT水溶液13重量部、30%D−グルコース65重量部、15%水酸化カリウム水溶液9重量部を混合して混合液を調製し、この混合液をろ紙に含浸させた(同公報[実施例3])。なおその後、必要により真空乾燥し、不要な水分を除去した(同公報[[実施例4]]。
この公報の実施例4に記載の酸素検知剤本体20は、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.1%以下)に保持したこところ、ピンク色になり、また、上記濃度を超える酸素が浸入すると青色に発色した。
<(ロ)包装フィルム30(付番(D))の作成>
付番(D)に示す2軸延伸ポリアミド(普通名称:2軸延伸ポリアミド(ONY)/PAN積層フィルムを(2液系の)ドライラミネートにより作成した。
すなわち、2軸延伸ポリアミド(ONY)として、「サントニール」(三菱樹脂(株)製、2軸延伸ポリアミドフィルム、厚み15〜25μm)のうちで、15μm(厚)のもの「ONY15」を使用し、また、PANフィルムとして、「ハイトロンBX」(タマポリ(株)製、ポリアクリロニトリル系樹脂フィルム、厚み:30〜40μm)のうちで、30μm(厚)を使用して、ドライラミネート法にて、上記積層フィルム(D)を作成した。
この積層フィルム(D)の酸素透過度(25℃)[酸素透過率測定装置:モコン社製、OX−TRAN2/21シリーズMD型にて測定。]は、約6cc/m2・日となった。
<(ハ)温度履歴インジケータ10の製造>
上記工程(イ)の前段で調製した、上記混合液をろ紙に含浸させてなる酸素検知剤本体20(特開昭63−243754号公報の実施例3)を準備した。この時このろ紙は青であった。この酸素検知剤本体20を1.5×2.0cmの矩形にカットし、3.0×4.0cmの「ONY15」(2軸延伸ポリアミドフィルム、15μm(厚))/PAN(30μm(厚))の積層フィルムにて、PAN層が内側(熱シール側)となり、かつ第1の積層フィルムの周縁部と第2の積層フィルムの周縁部とがぴったりと重なり合うように配置して熱融着にて、第1の積層フィルムと第2の積層フィルムのPAN層同士を密封し、温度履歴インジケータを作成した。
<温度履歴インジケータによる低温履歴の検査>
次いで、この温度履歴インジケータを脱酸素剤と共にPVDCコートNY/PE袋内に密封した後、35℃の恒温器に保管した。その結果、15時間後には、温度履歴インジケータ中のろ紙はピンクに変色していた。
この温度履歴インジケータ(色:ピンク色)を調製例1と同様に所定温度の恒温器に保管して1日毎に色差計にてa値の測色を行った。
結果を図3−1〜図3−2に示す。
[調製例3]
[温度履歴インジケータ(No.9)]
調製例1において、包装フィルム30として、下記のようなONY(2軸延伸ポリアミド)/ポリエチレンテレフタレート(PET)積層フィルム(E)を用いた以外は、調製例1と同様にして温度履歴インジケータを作成し、同様に試験した。
結果を図4−1〜図4−2に示す。
なお、調製例3の詳細は、以下の通り。
<(ロ)包装フィルム30(付番(E))の作成>
付番(E)に示す2軸延伸ポリアミド(普通名称:2軸延伸ポリアミド(ONY)/P
ET積層フィルムを(2液系の)ドライラミネートにより作成した。
すなわち、2軸延伸ポリアミド(ONY)として、「サントニール」(三菱樹脂(株)製、2軸延伸ポリアミドフィルム、厚み15〜25μm)のうちで、15μm(厚)のもの「ONY15」を使用し、また、PETフィルムとして、「ハイトロンPG」(タマポリ(株)製、厚み:30μm)を使用して、ドライラミネート法にて、上記積層フィルム(E)を作成した。
この積層フィルム(E)の酸素透過度(25℃)は、約10cc/m2・日となった。
上記以外の点は、調製例1と同様とした。
[他の調製例]
[温度履歴インジケータ(No.1〜4、6、8)]
上記温度履歴インジケータNo.1〜4、6、8は、積層フィルムとして、それぞれの表に示すものを用いた以外は、調製例1と同様にして調製した。
結果を調製例1と同様に、それぞれ図2−1〜図10−2に示す。
図1は、本発明に係る温度履歴インジケータの一実施例を示す模式断面図である。 図2−1は、調製例1に示す本発明の温度履歴インジケータ(B、No.5)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図2−2は、調製例1に示す本発明の温度履歴インジケータ(B、No.5)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図3−1は、調製例2に示す本発明の温度履歴インジケータ(D、No.7)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図3−2は、調製例2に示す本発明の温度履歴インジケータ(D、No.7)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図4−1は、調製例3に示す本発明の温度履歴インジケータ(E、No.9)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図4−2は、調製例3に示す本発明の温度履歴インジケータ(E、No.9)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図5−1は、調製例4に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.1)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図5−2は、調製例4に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.1)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図6−1は、調製例5に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.2)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図6−2は、調製例5に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.2)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図7−1は、調製例6に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.3)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図7−2は、調製例6に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.3)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図8−1は、調製例7に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.4)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図8−2は、調製例7に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.4)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図9−1は、調製例8に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.6)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図9−2は、調製例8に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.6)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。 図10−1は、調製例9に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.8)の使用温度とa値の関係を示す表である。 図10−2は、調製例9に示す本発明の温度履歴インジケータ(No.8)の使用温度とa値の関係を示すグラフである。
符号の説明
10・・・・・本発明の好適な1態様に係る温度履歴インジケータ
20・・・・・酸素検知剤本体
30・・・・・包装フィルム
31・・・・・NY(ポリアミド)層
32・・・・・PAN(ポリアクリロニトリル層)
A・・・・・包装フィルムの部分拡大図

Claims (10)

  1. 酸素濃度に対応して変色し、かつ温度変化に伴う色戻りが無く不可逆的に色が変化する酸素検知剤本体(A)と、該酸素検知剤本体(A)を密封被覆し、少なくとも−10〜+10℃の範囲での温度上昇に伴い酸素ガス透過度が増加するガス微透過性の包装フィルム(B)とを具備する温度履歴インジケータであって、
    物品とともに保存され、ハンターのLab表色法に準拠して色差計で測定された保存中または保存後の酸素検知剤本体のa値と、温度と経時的な色調変化との関係を示す色見本のa値とを対比して、保存中に物品の温度が昇温した事実の有無または一定温度下での物品の保存日数を検知するために用いられることを特徴とする温度履歴インジケータ。
  2. 上記包装フィルム(B)における、25℃の温度における酸素透過度(酸素透過率測定装置:モコン社製、OX−TRAN2/21シリーズMD型にて測定。)が、0.1〜50ml/m2・日であることを特徴とする請求項1に記載の温度履歴インジケータ。
  3. 上記包装フィルム(B)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリアクリロニトリル(PAN)と、ポリアミド(NY)と、ポリエチレン(PE)のうちから選択される何れかの重合体よりなるフィルムが2種以上積層してなる積層フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の温度履歴インジケータ。
  4. 上記包装フィルム(B)は、
    PET/PAN(12μm/30μm(厚))であり、酸素透過度(25℃)が6.0cc/m2・日である積層フィルム、
    共押出ポリアミド(NY)/PAN(15μm/30μm(厚))であり、酸素透過度(25℃)が5.5cc/m2・日である積層フィルム、
    SiPET/PAN(12μm/30μm(厚))であり、酸素透過度(25℃)が0.5cc/m2・日である積層フィルム、
    2軸延伸ポリアミド/PAN(15μm/30μm(厚))であり、酸素透過度(25℃)が6cc/m2・日である積層フィルム、または
    KPET/PAN(12μm/30μm(厚))であり、酸素透過度(25℃)が3.5cc/m2・日である積層フィルム
    であることを特徴とする請求項3に記載の温度履歴インジケータ。
  5. 上記酸素検知剤本体(A)が、還元性糖類、アルカリ金属化合物および、還元性糖類によって還元されて識別可能に色が変化する色素を含有する水溶液を担体に担持させたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の温度履歴インジケータ。
  6. 上記酸素検知剤本体(A)が、さらに、上記還元性糖類によって還元されない色素を含有する請求項5に記載の温度履歴インジケータ。
  7. 保存中に物品の温度が昇温して、−10〜10℃の範囲内の温度になった事実の有無または−10〜10℃の範囲内の温度下で0〜7日の期間内で保存される物品の保存日数を検知するために用いられることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の温度履歴インジケータ。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の温度履歴インジケータと、温度と経時的な色調変化の関係を示す色見本とを具備した温度履歴インジケータセット。
  9. 下記工程(1)〜(3)を順次実施することを特徴とする、保存中に物品の温度が昇温した事実の有無または一定温度下での物品の保存日数を検知する方法;
    工程(1):請求項1〜6の何れか一項に記載の温度履歴インジケータとともに、物品を保存する工程、
    工程(2):ハンターのLab表色法に準拠して色差計で、保存中または保存後の酸素検知剤本体のa値を測定する工程、
    工程(3):温度と経時的な色調変化の関係を示す色見本のa値と、前記a値とを対比して、保存中に物品の温度が昇温した事実の有無または一定温度下での物品の保存日数を検知する工程。
  10. 請求項9に記載の物品の保存中に物品の温度が昇温した事実の有無または一定温度下での物品の保存日数を検知する方法を用いて、物品の温度履歴を管理する方法。
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