以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔液滴測定装置の説明〕
<実施例1>
図1は、実施例1の液滴測定装置1の構成図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。図1に示すように、本発明の液滴測定装置1は、レーザ光源10(第1レーザ光源)と第1光学手段と第1受光手段と液滴特性演算手段22などから構成される。
レーザ光源10は、半導体レーザ光源(LD光源)の他、固体レーザ光源、液体レーザ光源、気体(ガス)レーザ光源などが考えられるが、本実施形態では半導体レーザ光源(LD光源)を使用する。その理由として、装置構成を小さくすることができ、また、コストダウンも図れるからである。
レーザ光源10は、その接合面に水平な方向が図1(a)に示す液滴の吐出方向(Z軸方向)と一致するように配置している。これにより、液滴の吐出方向(Z軸方向)においてはレーザ光の広がり角が小さくなり、ケラレが生じないガウスビームとすることができる。
一方、図1(b)に示す液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)においては、レーザ光の広がり角が大きくなり、ケラレによるサイドローブが生じる。しかし、本実施例における液滴の体積や速度や位置の測定においては、レーザ光のビーム断面のうちサイドローブが生じる部分は使用しないため問題がない。そのため、サイドローブの影響を受けずに液滴の体積や速度や位置を正確に測定できる。
第1光学手段は、レーザ光源10側からコリメータレンズ12、シリンドリカルレンズ14、球面レンズ16の順に構成される。第1受光手段は、フォトダイオード20が構成される。なお、図1では第1光学手段と第1受光手段の間にスリット18(光制限手段)を設けているが、スリット18を設けない仕様も考えられる。
図1(a)に示す平面内においてシリンドリカルレンズ14は、その平面状の側面14aを液滴の吐出位置側に向ける一方で、曲面状の側面14bをレーザ光源10側に向け、母線が図の紙面に垂直となるように配置されている。そしてシリンドリカルレンズ14は、レーザ光源10からコリメータレンズ12を介して入射したレーザ光を、液滴が吐出する位置で集光させて照射させるように配置されている。
図1(a)に示す平面内において球面レンズ16は、液滴を照射する位置を通過してきたレーザ光の光束15をスリット18の位置に集光させて、液滴の像を結像させるように配置されている。
一方、図1(b)に示す平面内において、シリンドリカルレンズ14の母線は図の紙面に平行であり、図1(b)に示す平面内においてシリンドリカルレンズ14の屈折力は0である。そのため、図1(b)に示す平面内において、レーザ光源10からコリメータレンズ12を介して入射したレーザ光は、シリンドリカルレンズ14から出た後もコリメータレンズ12から出た時の広がりのまま進む。
液滴特性演算手段22は、レーザ光を受光することにより生成されるフォトダイオード20の出力信号(検出信号)をもとに、液滴の体積と速度と位置を演算することができる手段である。
また、図1では、シリンドリカルレンズ14と球面レンズ16の間に、印字ヘッド160から液滴を吐出している状態を示している。この印字ヘッド160は、インクジェットプリンタなどの画像形成装置に搭載されるものが想定される。そして、この場合、液滴測定装置1は、当該画像形成装置の印字ヘッド160のユニット部分(後述する印字ヘッドユニット150)に設置することが考えられる。また、液滴測定装置1は、当該画像形成装置とは別個の装置として画像形成システムの一つの構成装置とすることも考えられる。なお、図1(b)においては、液滴は印字ヘッド160のノズルから図の紙面に垂直な方向で、図の紙面の手前側に吐出される。
以上のように構成される液滴測定装置1は、以下のように作用する。レーザ光源10から照射されるレーザ光は、コリメータレンズ12を介してシリンドリカルレンズ14に入射される。このとき、シリンドリカルレンズ14は、印字ヘッド160から吐出される液滴の吐出方向(Z軸方向)には曲率を持つが、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)には曲率を持たない特徴を有している。
そして、シリンドリカルレンズ14に入射後のレーザ光は、曲率を持つ液滴の吐出方向(Z軸方向)について集光される。シリンドリカルレンズ14の曲率やシリンドリカルレンズ14と印字ヘッド160との距離などを調整することにより、図1(a)に示すように、集光したレーザ光を、印字ヘッド160から吐出される液滴に照射させる。
液滴に照射されたレーザ光は、球面レンズ16によりスリット18の位置で液滴の像を結像させるように集光される。そして、集光された後にフォトダイオード20にて受光される。
そして、受光したフォトダイオード20は、液滴特性演算手段22に出力信号を供給する。液滴特性演算手段22では、当該出力信号に基づき液滴の体積や速度を演算する。
ここで、液滴特性演算手段22における液滴の体積と速度の演算手法について説明する。今、液滴を一滴吐出して当該液滴にレーザ光を照射させた場合に、レーザ光を受光して生成した出力電圧(検出信号)の値の時間変化の様子を示すフォトダイオード20における出力電圧波形を図2(a)に、印字ヘッド160における液滴の吐出の駆動波形を図2(b)に示す。
液滴の速度の演算では、まず、図2に示すように、液滴の吐出の駆動波形の駆動部分(液滴の吐出駆動を行った時)とフォトダイオード20における出力電圧波形の落ち込み部分(出力電圧の値が所定量変化した時)との時間間隔ΔTvを測定する。図13では、スレッシュレベルを落ち込み量の50%となる時の出力電圧値とし、出力電圧値が落ち込み量の50%となる時の時間間隔ΔTvを測定している。次に、予め作成した時間間隔ΔTvと液滴の速度Vとの相関関係を示すルックアップテーブルや補正式に基づいて、測定した時間間隔ΔTvから液滴の速度Vを求める。
なお、時間間隔ΔTvと液滴の速度Vとの関係は以下のように求めることができる。まず、1つのノズルから液滴を連続吐出して、レーザ光を液滴の速度の測定における基準の位置から液滴の吐出方向(Z軸方向)の位置に移動させた位置における時間間隔ΔTvを測定する。ここで、レーザ光を移動させた量ΔZvは、レーザ光源を搭載させた精密ステージの送り量やレーザ変位計などによる測定で求めることができる。そして、レーザ光を移動させた量ΔZvと時間間隔ΔTvの関係(図3(a))から、最小二乗法などを用いて液滴の速度Vを算出する。その後、時間間隔ΔTvを変えながら液滴の速度Vを算出することで、時間間隔ΔTvと液滴の速度Vの関係(図3(b))を求める。
次に、液滴の体積の演算では、まず、図2に示すように、フォトダイオード20における出力電圧波形の最大落ち込み量Ip(出力電圧の値の最大変化量)を測定する。次に、予め作成した出力電圧波形の最大落ち込み量Ipと液滴の体積Volとの相関関係を示すルックアップテーブルや補正式に基づいて、測定した出力電圧波形の最大落ち込み量Ipから液滴の体積Volを求める。
なお、出力電圧波形の最大落ち込み量Ipと液滴の体積Volとの関係は以下のように求めることができる。まず、非揮発性のインクを用いて液滴の吐出量として、例えば106滴程度の多量の液滴の吐出量を吐出し、その液滴溜まりの質量を測定する。なお、質量の測定は、液滴溜まりの質量を直接測定する以外に、液滴を吐出するヘッドへの供給用のインクタンク内のインクの減少量から測定することができる。また、この多量の液滴を吐出する時の各液滴ごとの出力電圧波形の最大落ち込み量Ipの平均値を測定する。その後、液滴の吐出量を変えながら最大落ち込み量Ipの平均値を測定することで、出力電圧波形の最大落ち込み量Ipと液滴の体積Volとの関係を求める。
ここで、液滴に照射させるため集光したレーザ光について、図4に液滴に対し照射させる位置におけるビーム断面の光強度分布を示す。図4(a)に示すように、シリンドリカルレンズ14の作用により、レーザ光のビーム断面について液滴の吐出方向(Z軸方向)のビーム幅に対して前記液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のビーム幅が大きくなるように形成され、光強度分布が液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)に対して、液滴の吐出方向(Z軸方向)が狭まるように形成されている。これを液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)についての光強度としてグラフに示すと、図4(b)のように示される。図4(b)に示されるように、X軸方向のビーム幅X1の範囲でシリンドリカルレンズ14の作用により、X軸方向の位置の変化に対する光強度の変化量が非常に小さくなっている。そのため、X軸方向のビーム幅X1の範囲で光強度の値は小さな範囲内に収まっている。
そこで、図4(a)に示すように、それぞれの吐出タイミングをずらして、第1の液滴d1と第2の液滴d2を吐出した場合について説明する。第1の液滴d1と第2の液滴d2は、体積が等しく、かつ速度も等しいとする。そして、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、第1の液滴d1は理想の吐出位置にて吐出され、第2の液滴d2は第1の液滴d1の吐出位置に対し距離δ外れた位置に吐出されたとする。第2の液滴d2は、例えば印字ヘッド160のノズル部分の汚れなどが原因で飛翔曲がりが生じた状態で吐出された場合が想定される。
このとき、第1の液滴d1を吐出させた場合と第2の液滴d2を吐出された場合のフォトダイオード20における出力信号の電圧値の時間軸波形について、それぞれの波形の時間軸を合わせて示すと図5(a)のように示される。なお、図5(b)は、第1の液滴d1を吐出させた場合と第2の液滴d2を吐出させた場合の印字ヘッド160における液滴の吐出駆動波形を示している。
図5(a)に示すように、第1の液滴d1を吐出させた場合と第2の液滴d2を吐出された場合において、フォトダイオード20における出力電圧波形の落ち込み量がほぼ等しく、かつ、出力電圧波形の落ち込みの時間的なタイミングがほぼ一致している。このことは、体積が等しく、かつ速度も等しい液滴同士が距離δ外れた位置に吐出された場合であっても、吐出位置のばらつきに関らず正確に体積や速度を測定できることを意味している。
以上のように吐出位置のばらつきに関らず正確に体積や速度を測定できる理由は、以下のとおりである。図4(a)に示すように、本実施形態での液滴測定装置1では、シリンドリカルレンズ14の作用により、液滴に照射されるレーザ光のビーム断面における光強度分布を液滴の吐出方向(Z軸方向)に狭めて形成している。その結果、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)における第1の液滴d1の吐出位置と飛翔曲がりが生じた第2の液滴d2の吐出位置において、レーザ光の光強度が液滴の体積や速度の測定に影響を与えない所定の範囲内に収まっているからである。
以上のように、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、飛翔曲がりによる液滴の吐出位置のばらつきが生じる領域内で、レーザ光の光強度が液滴の体積や速度の測定に影響を与えない所定の範囲内に収めることにより、液滴の飛翔曲がりが生じた場合であっても液滴の体積や速度を正確に測定することができる。
ここで、レーザ光の光強度を所定の範囲内に収めるにあたり、当該所定の範囲として望ましい範囲は、液滴の体積について理想の体積の1%単位の測定を可能とし、液滴の速度について1%単位の測定を可能とするような範囲である。なお、液滴の理想の体積とは、直径がφ10μm〜φ30μmであり液滴量が0.5pl〜15plとなるような体積である。
ここで、液滴の体積について理想の体積の1%単位の測定を可能とするための具体的な条件を考える。そこで、出願人は、以下の方法によりシミュレーションによる検証を行った。
図6は、シミュレーションで使用したガウスビームプロファイル(ガウスビームの光量分布)を示す。図6(a)はガウスビームが液滴により蹴られていない状態を示し、図6(b)はガウスビームが2plの液滴により蹴られた状態を示す。なお、図6ではガウスビームのビーム幅の一例として、X軸方向に100μm、Z軸方向に40μmとした場合を示している。
図7は、横軸にX軸方向の液滴の吐出位置(μm)を、縦軸に光量分布における光量を積算した積算光量(a.u.)を取り、図6に示すガウスビームプロファイルを使用したシミュレーション結果を示す。図7では、シミュレーション結果の一例として、液滴量を2plと2.5plとして2種類の液滴の体積についての結果を示している。このとき、図7において、体積2plにおける液滴のX軸方向の吐出位置のばらつきが20μmのとき(X軸方向の液滴の吐出位置が0μmと−20μmで比較したとき)の光量差はδL、液滴の体積のばらつき(2種類の液滴の体積)による光量差はδVと表される。
そして、図8〜図11は、横軸にX軸方向のビーム幅(μm)を、縦軸に光量差(%)を取り、液滴の体積と液滴の吐出位置に様々なばらつきを与えたときの上記シミュレーションの結果を示す。図8〜図11では、それぞれ基準となる理想の液滴の体積を実現するための液滴量として20pl、2plとした場合に、液滴の体積のばらつきが生じたとして、その液滴の体積を理想の液滴の体積に対して±1%、±2%としたときの結果を示す。例えば、高画質のインクジェットプリンタを考えたときに、液滴の体積のばらつきが理想の体積の1%以下であることが要求される。そのため検証の条件として、液滴の体積のばらつきは、液滴の体積を理想の液滴の体積に対して±1%、±2%とした。
また、同時に、図8〜図11では、それぞれ液滴の吐出位置のばらつきとして、基準となる理想の液滴の吐出位置に対し、20μm、30μmずらしたときの結果を示す。例えば、600pdiや1200pdiのインクジェットプリンタを考えたときに、一般に印字ヘッドの特性として、飛翔曲がりによる吐出位置のばらつきは20μm以下であることが要求される。そのため検証の条件として、液滴の吐出位置のばらつきは、理想の吐出位置から20μm、30μmずらした位置とした。
そして、図8、図10はZ軸方向のビーム幅が40μmのときの結果を示し、図9、図11はZ軸方向のビーム幅が60μmのときの結果を示す。
図8、図9では、X軸方向のビーム幅が1000μmのときに、液滴の体積のばらつきが±1%の場合の光量差と液滴の吐出位置のばらつきが30μmの場合の光量差がほぼ等しくなっている。そして、X軸方向のビーム幅が1000μm以下では、液滴の体積のばらつきが±1%の場合の光量差よりも、液滴の吐出位置のばらつきが30μmの場合の光量差が大きくなっている。
そのため、X軸方向のビーム幅が1000μm以下では、液滴の吐出位置のばらつきが30μmの場合には、液滴の体積のばらつきとして±1%が生じた場合であっても、光量差として表れず、液滴の体積のばらつきを測定できない。
したがって、X軸方向のビーム幅が1000μm以下では、液滴の吐出位置のばらつきの影響により光量差から液滴の体積のばらつきを測定できず、液滴の体積を正確に測定できない場合があるといえる。
同様に、図10、図11では、X軸方向のビーム幅が600μm以下では、液滴の吐出位置のばらつきの影響により光量差から液滴の体積のばらつきを測定できず、液滴の体積を正確に測定できない場合があるといえる。
このように図8〜図11に示すように、Z軸方向のビーム幅が40μmのときも60μmのときも、液滴量が20plのときはX軸方向のビーム幅が1000μm以下、液滴量が2plのときはX軸方向のビーム幅が600μm以下で、液滴の吐出位置のばらつき(30μm)による光量差が液滴の体積のばらつき(±1%)による光量差より大きくなることがわかる。
そのため、液滴の吐出位置のばらつき(30μm)による光量差が液滴の体積のばらつき(±1%)による光量差より小さくするためには、Z軸方向のビーム幅が40μmのときも60μmのときも、液滴量が20plのときはX軸方向のビーム幅が1000μm以上、液滴量が2plのときはX軸方向のビーム幅が600μm以上であることが要求される。
ここで、液滴の吐出位置のばらつきによる影響を受けず、液滴の体積を正確に測定するためには、液滴の吐出位置のばらつきによる光量差が液滴の体積のばらつきによる光量差の10%以下である小さな値にすることが望ましい。そこで、これを実現するためには、図8〜図11より、X軸方向のビーム幅は2000μm以上が望ましいことが分かる。
以上のシミュレーション結果より、飛翔曲がりによる液滴の吐出位置のばらつきに関わらず液滴の体積を正確に測定するために液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)においてのレーザ光の光強度分布を所定の範囲内に収めるにあたり、当該所定の範囲内として望ましい範囲は、液滴の吐出位置のばらつきによる光量差が液滴の体積のばらつきによる光量差が10%以下になる範囲である。そして、この範囲を実現するための条件として、X軸方向のビーム幅は2000μm以上が望ましいことが分かる。なお、Z軸方向のビーム幅は30μm〜100μmが望ましい。
図12は、スリット18を表した図である。球面レンズ16とフォトダイオード20の間にスリット18を設けることにより、フォトダイオード20に入射するレーザ光を制限しつつ、球面レンズ16により液滴dの像をスリット18の部分に結像させる。このようにすることで、液滴dの像が結像されている時と結像されていない時のフォトダイオード20における受光の強度の差(消光比)が大きくなり、液滴dの体積や速度を高精度に測定することができる。なお、液滴測定装置1においてスリット18を設けない場合には、球面レンズ16により液滴dの像をフォトダイオード20の受光面の部分に結像させる。
また、レーザ光源10からのレーザ光について、測定する液滴の色に対する補色であるので、液滴に照射されたレーザ光を反射あるいは吸収することができ、液滴の体積や速度
を高精度に測定することができる。レーザ光と液滴の補色の関係を図13に示す。
<実施例2>
また、図14に示すような液滴測定装置2も考えられる。実施例2の液滴測定装置2では、光学手段は、レーザ光源10側からコリメータレンズ12、シリンドリカルレンズ24、シリンドリカルレンズ26,球面レンズ16の順に構成される。
図14(a)に示す平面内において、シリンドリカルレンズ(24,26)の母線は図の紙面に平行であり、シリンドリカルレンズ(24,26)の屈折力は0である。そのため、図14(a)に示す平面内において、レーザ光源10からコリメータレンズ12を介して入射したレーザ光は、シリンドリカルレンズ(24,26)から出た後もコリメータレンズ12から出た時の広がりのまま進む。
一方、図14(b)に示す平面内においてシリンドリカルレンズ24は、その平面状の側面24aをレーザ光源10側に向ける一方で、その曲面状の側面24bをシリンドリカルレンズ26側に向け、母線が図の紙面に垂直となるように配置されている。そしてシリンドリカルレンズ24は、レーザ光源10からコリメータレンズ12を介して入射したレーザ光を、シリンドリカルレンズ26との間で集光するように配置されている。
また、図14(b)に示す平面内においてシリンドリカルレンズ26は、その平面状の側面26aを液滴の吐出位置側に向ける一方で、曲面状の側面26bをシリンドリカルレンズ24側に向け、母線が図の紙面に垂直となるように配置されている。そしてシリンドリカルレンズ26は、シリンドリカルレンズ24により一旦集光され再び広がったレーザ光を平面状の側面26aにて入射し、曲面状の側面26bから出射する。
なお、曲率半径は、シリンドリカルレンズ24よりもシリンドリカルレンズ26のほうが大きい。これにより、図14(b)に示すように、シリンドリカルレンズ26を出た後のレーザ光は、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について大きく広がる。
その他の構成は、実施例1の液滴測定装置1と共通する。
以上のように構成される液滴測定装置2は、以下のように作用する。レーザ光源10から照射されるレーザ光は、コリメータレンズ12を介してシリンドリカルレンズ24に入射される。このとき、シリンドリカルレンズ24は、印字ヘッド160から吐出される液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)には曲率を持つが、液滴の吐出方向(Z軸方向)には曲率を持たない特徴を有している。
そして、シリンドリカルレンズ24に入射後のレーザ光は、曲率を持つ液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について一旦集光される。
一旦集光されたレーザ光は再び広がってシリンドリカルレンズ26に入射される。このとき、シリンドリカルレンズ26は、印字ヘッド160から吐出される液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)には曲率を持つが、液滴の吐出方向(Z軸方向)には曲率を持たない特徴を有している。そのため、シリンドリカルレンズ26を出た後のレーザ光は、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について大きく広がってその広がりのまま進み、印字ヘッド160から吐出される液滴に照射される。
液滴に照射されたレーザ光は、球面レンズ16によりスリット18の位置で液滴の像を結像させるように集光される。そして、集光された後にフォトダイオード20にて受光される。
そして、受光したフォトダイオード20は、液滴特性演算手段22に出力信号を供給する。液滴特性演算手段22では、当該出力信号に基づき液滴の体積や速度を演算する。
以上のような実施例2の液滴測定装置2によっても、図4(a)に示すように、シリンドリカルレンズ(24,26)の作用により、光強度分布は液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)に対して、液滴の吐出方向(Z軸方向)が狭まるように形成される。
そのため、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、飛翔曲がりによる液滴の吐出位置のばらつきが生じる領域内で、レーザ光の光強度が液滴の体積や速度の測定に影響を与えない所定の範囲内に収めることにより、飛翔曲がりが生じた場合であっても液滴の体積や速度を正確に測定することができる。
また、スリット18の効果、レーザ光源10からのレーザ光を測定する液滴の補色を有する波長とすることの効果は、実施例1の液滴測定装置1と同様である。
<実施例3>
また、図15に示すような液滴測定装置3も考えられる。実施例3の液滴測定装置3では、光学手段は、レーザ光源10側からコリメータレンズ12、拡散板28、球面レンズ32、球面レンズ34、球面レンズ38、球面レンズ16の順に構成される。
このように、拡散板28と液滴の吐出経路の間に球面レンズ32と球面レンズ34を配置して、球面レンズ32と液滴、拡散板28と球面レンズ34が各々光学的に共役の関係となるように配置する。
拡散板28は、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のみレーザ光を拡散させるものとすることにより、液滴の吐出方向(Z軸方向)においてはレーザ光は拡散されずガウスビームとなる一方で、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)においては均一な光強度の部分を形成することができる。なお、拡散板28は液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のみだけではなく、液滴の吐出方向(Z軸方向)にもレーザ光を拡散させる特性を有するものとしてもよい。
その他の構成は、実施例1の液滴測定装置1と共通する。
以上のように構成される液滴測定装置3は、以下のように作用する。レーザ光源10から照射されるレーザ光は、コリメータレンズ12を介して拡散板28に入射される。そして、拡散板28に入射後のレーザ光は、拡散される。このとき、上述したように拡散板28が液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のみレーザ光を拡散させるものとすることにより、液滴の吐出方向(Z軸方向)においてはレーザ光は拡散されずガウスビームとなる一方で、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)においては均一な光強度の部分を形成することができる。
拡散されたレーザ光は、球面レンズ32、球面レンズ34を介して、球面レンズ38にて液滴の吐出方向(Z軸方向)および液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について集光された後に、印字ヘッド160から吐出される液滴に照射される。
液滴に照射されたレーザ光は、球面レンズ16によりスリット18の位置で液滴の像を結像させるように集光される。そして、集光された後にフォトダイオード20にて受光される。
そして、受光したフォトダイオード20は、液滴特性演算手段22に出力信号を供給する。液滴特性演算手段22では、当該出力信号に基づき液滴の体積や速度を演算する。
以上のような実施例3の液滴測定装置3によれば、液滴に照射される時のレーザ光の光強度分布は、図16(a)に示すように、拡散板28の作用により液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)についてほぼ一様な強さの状態になっている。液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)についての光強度をグラフに示すと図16(b)のように示され、液滴の吐出方向(Z軸方向)についての光強度をグラフに示すと図16(c)のように示される。
そのため、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、飛翔曲がりによる液滴の吐出位置のばらつきが生じる領域内で、レーザ光の光強度分布をほぼ一様な強さの状態とすることにより、飛翔曲がりが生じた場合であっても液滴の体積や速度を正確に測定することができる。
また、スリット18の効果、レーザ光源10からのレーザ光を測定する液滴の補色を有する波長とすることの効果は、実施例1の液滴測定装置1と同様である。
<実施例4>
また、図17に示すような液滴測定装置4も考えられる。実施例4の液滴測定装置4では、図17(a)に示すように、光学手段は、レーザ光源10側からフライアイレンズ40、フライアイレンズ42、球面レンズ46、球面レンズ16の順に構成される。
このように、レーザ光源10と球面レンズ46との間にフライアイレンズ40、フライアイレンズ42を配置して、レーザ光源10とフライアイレンズ42、フライアイレンズ40と球面レンズ46の物点が各々光学的に共役の関係となるように配置する。
フライアイレンズ(40,42)は、図17(b)のように片方向のみ曲率を有するものを使用して、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のみに曲率を持たせることにより、液滴の吐出方向(Z軸方向)においてはレーザ光は拡散されずガウスビームとなる一方で、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)においては均一な光強度の部分を形成することができる。なお、フライアイレンズ(40,42)は、図17(c)のように両方向に曲率を有するものを使用して、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のみだけではなく、液滴の吐出方向(Z軸方向)にも曲率を持たしてもよい。
その他の構成は、実施例1の液滴測定装置1と共通する。
以上のように構成される液滴測定装置4は、以下のように作用する。レーザ光源10から照射されるレーザ光は、フライアイレンズ(40,42)に入射される。そして、フライアイレンズ(40,42)に入射後のレーザ光は、拡散される。このとき、上述したようにフライアイレンズ(40,42)が液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)のみレーザ光を拡散させるものとすることにより、液滴の吐出方向(Z軸方向)においてはレーザ光は拡散されずガウスビームとなる一方で、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)においては均一な光強度の部分を形成することができる。
拡散されたレーザ光は、球面レンズ46にて液滴の吐出方向(Z軸方向)および液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について集光された後に、印字ヘッド160から吐出される液滴に照射される。
液滴に照射されたレーザ光は、球面レンズ16によりスリット18の位置で液滴の像を
結像させるように集光される。そして、集光された後にフォトダイオード20にて受光される。
そして、受光したフォトダイオード20は、液滴特性演算手段22に出力信号を供給する。液滴特性演算手段22では、当該出力信号に基づき液滴の体積や速度を演算する。
以上のような実施例4の液滴測定装置4によれば、液滴に照射される時のレーザ光の光強度分布は、実施例3の液滴測定装置3と同様に、図16(a)に示すように、フライアイレンズ(40,42)の作用により液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)についてほぼ一様な強さの状態になっている。液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)についての光強度をグラフに示すと図16(b)のように示され、液滴の吐出方向(Z軸方向)についての光強度をグラフに示すと図16(c)のように示される。
そのため、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、飛翔曲がりによる液滴の吐出位置のばらつきが生じる領域内で、レーザ光の光強度分布をほぼ一様な強さの状態とすることにより、飛翔曲がりが生じた場合であっても液滴の体積や速度を正確に測定することができる。
また、スリット18の効果、レーザ光源10からのレーザ光を測定する液滴の補色を有する波長とすることの効果は、実施例1の液滴測定装置1と同様である。
<実施例5>
また、図18に示すような液滴測定装置5も考えられる。実施例5の液滴測定装置5では、光学手段は、レーザ光源50側からコリメータレンズ52、球面レンズ48、球面レンズ56の順に構成される。受光手段は、フォトダイオード60が構成される。なお、図18では光学手段と受光手段の間にスリット58を設けているが、スリット58を設けない仕様も考えられる。
レーザ光源50、コリメータレンズ52、球面レンズ56、スリット58、フォトダイオード60は、実施例1の液滴測定装置1のレーザ光源10、コリメータレンズ12、球面レンズ16、スリット18、フォトダイオード20と同様な構成と作用を有する。
その他の構成は、実施例1の液滴測定装置1と共通する。
以上のように構成される液滴測定装置5は、以下のように作用する。レーザ光源10から照射されるレーザ光は、コリメータレンズ12を介して球面レンズ48に入射される。
そして、球面レンズ48に入射後のレーザ光は、液滴の吐出方向(Z軸方向)および液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について集光される。球面レンズ48の曲率や球面レンズ48と印字ヘッド160との距離などを調整することにより、図18に示すように、集光したレーザ光を印字ヘッド160から吐出される液滴に照射させる。
液滴に照射されたレーザ光は、球面レンズ16によりスリット18の位置で液滴の像を結像させるように集光される。そして、集光された後にフォトダイオード20にて受光される。
そして、受光したフォトダイオード20は、液滴特性演算手段22に出力信号を供給する。液滴特性演算手段22では、当該出力信号に基づき液滴の体積や速度を演算する。
以上のような実施例5の液滴測定装置5によれば、球面レンズ48により液滴に照射させるレーザ光の光強度がガウスビームの分布になる。そのため、図19に示すように、液滴の吐出方向(Z軸方向)および液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、液滴の飛翔曲がりが生じる領域内でレーザ光の光強度が不均一になる。液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)と液滴の吐出方向(Z軸方向)についての光強度をグラフに示すと、それぞれ図19(b),(c)のように示される。
そこで、図19(a)に示すように、それぞれの吐出タイミングをずらして、第1の液滴d1と第2の液滴d2を吐出した場合について説明する。第1の液滴d1と第2の液滴d2は、体積が等しく、かつ速度も等しいとする。そして、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、第1の液滴d1は理想の吐出位置にて吐出され、第2の液滴d2は第1の液滴d1の吐出位置に対し距離δ外れた位置に吐出されたとする。第2の液滴d2は、例えば印字ヘッド160のノズル部分の汚れなどが原因で飛翔曲がりが生じた状態で吐出された場合が想定される。
このとき、第1の液滴d1を吐出させた場合と第2の液滴d2を吐出された場合のフォトダイオード20における出力信号の電圧値の時間軸波形について、それぞれの波形の時間軸を合わせて示すと図19(d)のように示される。
図19(d)に示すように、フォトダイオード20における出力電圧波形の最大落ち込み量は、第2の液滴d2を吐出させた場合よりも第1の液滴d1を吐出させた場合のほうが大きい。また、出力電圧波形の落ち込み開始の時間的なタイミングは、第1の液滴d1を吐出させた場合と第2の液滴d2を吐出させた場合で異なり、第2の液滴d2を吐出させた場合よりも第1の液滴d1を吐出させた場合のほうが早い。
このことは、体積が等しく、かつ速度も等しい液滴同士が距離δ外れた位置に吐出された場合に、吐出位置のばらつきを測定できることを意味している。
以上のように吐出位置のばらつきを測定できる理由は、以下のとおりである。図19(a)に示すように、本実施形態での液滴測定装置5では、球面レンズ48の作用により、液滴の吐出方向(Z軸方向)および液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、レーザ光の光強度を不均一にしている。その結果、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)における第1の液滴d1の吐出位置と飛翔曲がりが生じた第2の液滴d2の吐出位置において、レーザ光の光強度が変化しているからである。
以上のように、液滴の吐出方向に垂直な方向(X軸方向)について、レーザ光の光強度を不均一にすることにより、液滴の位置を正確に測定することができる。
ここで、液滴特性演算手段22における液滴の位置の演算方法について説明する。
液滴の位置の演算では、まず、上述した図2(a)に示すように、フォトダイオード20における出力電圧波形の最大落ち込み量Ipを測定する。次に、予め作成した出力電圧波形の最大落ち込み量Ipと液滴の位置Xpとの関係を示すルックアップテーブルや補正式に基づいて、測定した出力電圧波形の最大落ち込み量Ipから液滴の位置Xpを求める。
なお、出力電圧波形の最大落ち込み量Ipと液滴の位置Xpとの関係は以下のように求めることができる。まず、1つのノズルから液滴を連続吐出して、レーザ光を液滴の速度の測定における基準位置からノズルの並び方向(X軸方向)の位置に移動させた時の出力電圧波形の最大落ち込み量Ipを測定する。ここで、レーザ光を移動させた量ΔXpは、レーザ光源を搭載させた精密ステージの送り量やレーザ変位計などによる測定で求めることができる。このようにして、図20に示すように、出力電圧波形の最大落ち込み量Ipと液滴の位置Xpとの関係を求める。
<実施例6>
また、図21に示すような液滴測定装置6も考えられる。実施例6の液滴測定装置6では、図21に示すように、特定の波長や偏光面だけを透過させてその他の波長や偏光面を反射させる特定要素透過手段(62,64)として、ダイクロイックミラーや偏光ビームスプリッターを配置することにより、同一平面上に、実施例1の液滴測定装置1の構成と実施例5の液滴測定装置5の構成を組み合わせた構成としている。
特定要素透過手段(62,64)として、ダイクロイックミラーを使用する場合には、第1レーザ光源であるレーザ光源10から照射されるレーザ光と第2レーザ光源であるレーザ光源50から照射されるレーザ光は、波長が異なるものとする。これにより、例えば、図21に示すように、ダイクロイックミラーはレーザ光源10から照射されるレーザ光のみを透過して、レーザ光源50から照射されるレーザ光を反射させることができる。
特定要素透過手段(62,64)として、偏光ビームスプリッターを使用する場合には、第1レーザ光源であるレーザ光源10から照射されるレーザ光と第2レーザ光源であるレーザ光源50から照射されるレーザ光は、例えば、それぞれP偏光とS偏光として偏光面が異なるものとする。これにより、例えば、図21に示すように、偏光ビームスプリッターはレーザ光源10から照射されるレーザ光のみを透過して、レーザ光源50から照射されるレーザ光を反射させることができる。
なお、第1レーザ光源であるレーザ光源10から照射されるレーザ光により液滴の体積や速度を演算する第1液滴特性演算手段と、第2レーザ光源であるレーザ光源50から照射されるレーザ光により液滴の位置を演算する第2液滴特性演算手段は、ともに液滴特性演算手段22内に備わるが、別個の液滴特性演算手段として設けてもよい。
また、その他、実施例2の液滴測定装置2の構成と実施例5の液滴測定装置5の構成、実施例3の液滴測定装置3の構成と実施例5の液滴測定装置5の構成、実施例4の液滴測定装置4の構成と実施例5の液滴測定装置5の構成をそれぞれ組み合わせた構成としてもよい。
以上のような実施例6の液滴測定装置6によれば、液滴の体積と速度と位置を同時に測定することができる。
なお、その他、レーザ光源10から照射されるレーザ光とレーザ光源50から照射されるレーザ光を異なる波長にして、同一平面上に、実施例1の液滴測定装置1の構成と実施例5の液滴測定装置5の構成を組み合わせた構成、その他の上記組み合わせ構成としてもよい。
<実施例7>
また、図22に示すような液滴測定装置7も考えられる。実施例7の液滴測定装置7では、光学手段は、レーザ光源50側からコリメータレンズ52、球面レンズ48、球面レンズ56の順に構成される。受光手段は、フォトダイオード60が構成される。なお、図22では光学手段と受光手段の間にスリット58を設けているが、スリット58を設けない仕様も考えられる。
レーザ光源50、コリメータレンズ52、球面レンズ56、スリット58、フォトダイオード60は、実施例1の液滴測定装置1のレーザ光源10、コリメータレンズ12、球面レンズ16、スリット18、フォトダイオード20と同様な構成と作用を有する。
実施例7の液滴測定装置7では、印字ヘッド160の位置決めを行なうヘッド精密位置決め移動機構70、フォトダイオード60と液滴特性演算手段22の間に配置された信号サンプリング手段72を有する。その他の構成は、実施例1の液滴測定装置1と共通する。
アクチュエータを備えたヘッド精密位置決め移動機構70により、印字ヘッド160は前記の光学手段および受光手段(以下、実施例7において「光学系」と表現する)に対し相対的に移動し、順次位置を変えて位置決めされる。これにより、印字ヘッド160のノズルとフォトダイオード60の相対的な位置を変更させることができる。移動方向は、図22に図示したレーザ光の進行方向にほぼ垂直な方向(X軸方向)である。印字ヘッド160の移動量は、測定対象となる印字ヘッド160のノズルの吐出する液滴の吐出方向精度によるが、所定の間隔で、かつ等間隔に移動させる。なお、印字ヘッド160の移動量は、等間隔に移動させることに限定されない。
また、測定対象のノズルの位置は、印字ヘッド160の取り付け時に、ヘッド取り付け突き当て基準からの距離で、ある誤差の範囲で特定される。そのため、図22に点線で示した測定すべき液滴のおおよその通過位置もこのノズルの位置から特定される。したがって、例えば、突き当て基準からXmmの位置、±50μmの範囲を液滴は通過する、と特定することができる。
そこで、本実施例では、測定対象のノズルに対し、突き当て基準からXmm−50μmの位置を測定開始位置とし、所定の間隔でXmm+50μmの位置を測定終了位置とし、印字ヘッド160をヘッド精密位置決め移動機構70により、順次位置を変えて位置決めし、各位置決めポイントで光学系により液滴の検出を行う。
ここで、第1の集光レンズである球面レンズ48で集光されたレーザ光の強度分布は、前記の図19の(b)、(c)のようにガウス分布になっている。
印字ヘッド160から吐出した液滴は、Y軸方向には球面レンズ48の集光位置に吐出され、印字ヘッド160と光学系が、レーザ光中を通過する位置に相対的に位置決めされている状態では、図19(a)の様に、レーザ光の一部を遮蔽するので、フォトダイオード60の検出する光量は、図19の(d)のように液滴がレーザ光中を通過する際に低い光量として検出される。
つまり、印字ヘッド160と光学系の相対的な位置を変えて液滴を吐出すると、図19(a)の液滴d1とd2の様に、吐出された液滴の飛翔位置とレーザ光の集光位置とが変わるので、前述したように、レーザ光の強度分布は、図19の(b)、(c)のようにガウス分布になっていることから、レーザ光に対し液滴が通過した位置に応じて、フォトダイオード60の検出する光量が変わる。そのため、フォトダイオード60の検出する光量に比例した電気信号をサンプリングする信号サンプリング手段72から、図19(d)に示すように、レーザ光に対し液滴が通過した位置に応じた電圧変化の波形が得られる。
本実施例では、測定装置全体、さらにレーザ光源50を図示しない温調手段にて温調してほぼ一定温度を保っているので、図19に示すレーザ光の光量分布は、位置としてほぼ不動の状態になっており、また、光量も一定になるように、図示しない光量フィードバック手段によりほぼ一定に保たれている。
また、前記のように、印字ヘッド160はヘッド精密位置決め移動機構70により位置決めされており、本実施例では50nmの分解能で印字ヘッド160の位置を特定できる。
そこで、まず、測定対象のノズルから吐出される液滴の設計上(理想上)の通過位置に、前記図19(b)(c)のガウス分布の頂点部分がくるように、印字ヘッド160と光学系の相対的な位置を調整する。そして、前記のように印字ヘッド160と光学系の相対的な位置を変えていき、測定対象のノズルから吐出される液滴がレーザ光を遮蔽して最も多く光量を減少させる時の印字ヘッド160と光学系の相対的な位置を測定する。そして、測定された印字ヘッド160と光学系の相対的な位置から、測定対象のノズルから吐出される液滴について、印字ヘッド160の位置決め基準からの実際の飛翔位置を求めることができる。
例えば、図19(d)に示すような場合では、液滴d1がレーザ光の最も光量の多い位置を通過しているので、この液滴d1が吐出された時のヘッド160と光学系の相対的な位置をもとに、測定対象のノズルから吐出される液滴の実際の飛翔位置について、印字ヘッド160の位置決め基準からの位置を求めることができる。
そして、求めた印字ヘッド160の位置決め基準からの実際の飛翔位置と、設計上(理想上)の印字ヘッド160の位置決め基準からの飛翔位置を比較することで、液滴の飛翔位置のばらつきを求めることが出来る。
このように、印字ヘッド160の位置決め基準からの実際の飛翔位置を各ノズルの液滴について求め、各々の飛翔位置を設計値(理想値)と比較することで、各ノズルについて液滴の飛翔位置のばらつきを求めることが出来る。
しかし、特定のノズルから吐出される液滴がレーザ光を遮蔽するとき、最も多く光量を減少させる印字ヘッド160と光学系の位置関係を求めるには、印字ヘッド160と光学系の位置を細かく変えて数多く測定する必要があるので効率が悪い。なお、本実施例では、吐出位置ばらつきは、印字ヘッド160のノズル面から0.7mmの位置で測定しており、この位置で、印字ヘッド160の位置ばらつき誤差は、σ=0.7μmであるので、この誤差を検出するためには、これより小さい間隔、実際には0.1μm間隔で上記測定を繰り返し、最も多く光量を減少させる印字ヘッド160と光学系の位置関係を求める必要がある。
つまり、設計位置に対し±50μmの範囲に存在すると思われる液滴の位置を0.1μm間隔で測定すると、最大1001回の測定が必要である。
近年のインクジェットヘッドはノズル数が増える傾向にあるが、本願の印字ヘッド160も同様で、装置に組み込む状態の印字ヘッド160には、1色あたり約35000個のノズルがあり、4色で140000個のノズルがある。よって、装置1台分のノズルについて一通り測定すると、1億4千万回以上の測定が必要である。この測定回数は、の各ノズルの誤差が小さいという前提を置けば測定範囲を絞り、多少少なくすることは出来るが、根本的な解決にはならない。
本実施例では、前述の測定時の印字ヘッド160と光学系の位置関係を、前述の、誤差を求めるために必要な0.1μm間隔よりもはるかに大きく取り、一例として、2μmまたは5μm間隔で等間隔に移動して、少ない測定位置で、液滴がレーザ光を遮蔽するときの光量減少を測定し、その測定値に対し、図22の液滴特性演算手段22によって後述のデータ処理方法による処理を行って、各ノズルから吐出される液滴について、液滴が最も多く光量を減少させる時の位置、すなわち、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する時の位置を求め、この時の印字ヘッド160と光学系の位置関係をもとに、各ノズルから吐出される液滴の飛翔位置を求める。
そこで、測定値から液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する時の位置を求めるデータ処理方法について、以下に説明する。
図23は、測定対象のノズルから吐出される液滴がレーザ光を遮蔽するときの光量減少量を測定した結果を示す図である。図23(a)は印字ヘッド160を5μm間隔で移動させて測定したときの結果であり、図23(b)は印字ヘッド160を2μm間隔で移動させて測定したときの結果である。
図23は、横軸が、印字ヘッド160と光学系の相対位置を示しており、座標値として印字ヘッド160の位置決め基準位置からの距離をμm単位で示している。縦軸が、測定値として、フォトダイオード60が検出した光量減少量の出力を信号サンプリング手段72によりサンプリングした結果から電圧値(単位V)で示している。図23中、各測定点における測定値を三角形や菱形のプロットで示しているが、このうち後述するデータ処理方法において演算対象とする測定値を三角形のプロットとして示している。そして、三角形のプロットには各々、S1〜S5の記号を付している。なお、測定値の絶対値の大きい順に、S1〜S5の記号を付している。
図23(a)では、S1が付された測定点(以下、測定点S1のように表現する。S2、S3,S4,S5が付された測定点についても同様に表現する。)で最も光量減少量が多く、次いで測定点S2で光量減少量が多いことを示している。すなわち、光量減少量が多い順にS1,S2,S3,S4,S5を付している。
そのため、測定点S1と測定点S2の間に、最も光量減少量が多くなる位置、すなわち液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置(図中、円形のプロットが付された位置)があるものと推定される。なお、図23(a)では、光量減少量の測定範囲を20μmとしており、測定点S5は当該測定範囲外となり、光量減少量の測定値を得ることができなかった。
同様に、図23(b)でも、測定点S1と測定点S2の間に、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置があるものと推定されるが、図中示すように、測定点S1の付近と推定される。
<データ処理方法の第1例>
まず、前記の図23に示される測定値から、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する時の位置、を求めるデータ処理方法の第1例を説明する。
データ処理方法の第1例では、まず、各測定点のうち、最も光量減少量が大きい測定点を求める。次に、求めた最も光量減少量が大きい測定点の前後にある各2点の測定点を演算対象とする。その際、一部の測定点が測定範囲外となって測定できない場合には、測定値を得ることができた測定点についてのみ演算対象とする。
例えば、図23(b)においては、最も光量減少量が大きい測定点は測定点S1であり、前後にある各2点の測定点である測定点S2,S3,S4,S5について演算対象とする。また、図23(a)においては、測定点S5は測定範囲外となって測定値を得ることができなかったので、測定値を得ることができた測定点S2〜S4について演算対象とする。
以下、図23に示す座標系において、測定点S1〜S5における測定値(電圧値ISの座標値)をIS1〜IS5で表し、測定点S1〜S5の位置(印字ヘッド160と光学系の相対位置XSの座標値)をXS1〜XS5で表す。
まず、5つの測定点S1〜S5について全ての測定値IS1〜IS5を得ることができた場合においては、下記の数1の式で示される補間関数を用いる。この補間関数の各係数a,b,c,dは、測定点S1〜S5の位置XS1〜XS5および測定値IS1〜IS5から最小二乗法により求める。
次に、求めた数1の式を微分し、以下の数2の式を求める。
そこで、数2の式において、IS´=0となるXSの解を2つ求め、実数であってXS1の値に近いほうの値のXSを、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置とする。
仮に、求めたXSの解が2つとも虚数であった場合や、XS1の値がXS2からXS3の間にない場合は、測定点の選択が不適切であるか、ノズルからの吐出が極端に不安定である可能性が高いので、液滴測定装置の表示手段(不図示)に「XSの解が虚数になった」旨、あるいは「XS1の値がXS2からXS3の間にない」旨を表示し、XS1を液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置とする。
また、測定点S1〜S4について測定値IS1〜IS4を得ることができた場合、あるいは測定点S1〜S3について測定値IS1〜IS3を得ることができた場合については、下記の数3の式で示される補間関数を用いる。この補間関数の各係数b,c,dは、測定点S1〜S4の位置XS1〜XS4および測定値IS1〜IS4、あるいは測定点S1〜S3の位置XS1〜XS3および測定値IS1〜IS3から最小二乗法により求める。
次に、求めた数3の式を微分し、以下の数4の式を求める。
そこで、数4の式において、IS´=0となるXSの解を求め、このXSの値を、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置とする。
仮に、b=0であった場合や、XS1の値がXS2からXS3の間にない場合は、測定点の選択が不適切であるか、ノズルからの吐出が極端に不安定である可能性が高いので、液滴測定装置の表示手段(不図示)に「b=0になった」旨、あるいは「XS1の値がXS2からXS3の間にない」旨を表示し、XS1を液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置とする。
また、測定点S1,S2についてのみ測定値を得ることができた場合には、XS1を液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置とする。
<データ処理方法の第2例>
次に、前記のデータ処理方法の第1例を改良したデータ処理方法の第2例を説明する。
データ処理方法の第2例では、図23に示される測定値のうち演算対象とする測定点を最適化することにより、データ処理方法の第1例よりも、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置の推定値を精度よく求める。
具体的には、まず、図23に示されるような測定点S1,S2,S3の測定値IS1,IS2,IS3および位置XS1,XS2,XS3について、以下の関係式のいずれを満たすかを判断する。ここで、|XS1−XS2|はXS1とXS2の差の絶対値を、|XS2−XS3|はXS2とXS3の差の絶対値を示す。
そこで、数5の式を満たす場合において、測定点S1〜S5について測定値を得ることができたとき(図23(b))は、前記の数1の式と前記の数2の式を用いて第1例で説明した方法で、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を求める。
ここで、数5の式は、図23(b)にて示されるように、測定点S1と測定点S2を繋いだ直線(図中、点線で示す)の傾きが、測定点S2と測定点S3を繋いだ直線の(図中、点線で示す)傾きよりも大きい条件を示している。この条件下では、図23(b)に示すように、測定点S1を中心に、測定点S2と測定点S3、および測定点S4と測定点S5がそれぞれほぼ対称な位置に配置されている。そのため、測定点S1〜S5について全ての測定値IS1〜IS5との位置XS1〜XS5を用いて演算することで、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を精度良く求めることができる。
一方、数6の式を満たす場合において測定点S1〜S4について測定値を得ることができたとき(図23(a))、または数6の式を満たす場合において測定点S1〜S5について測定値を得ることができたときは、前記の数3の式と前記の数4の式を用いて第1例で説明した演算方法で、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を求める。
ここで、数6の式は、図23(a)において示すように測定点S1と測定点S2を繋いだ直線の傾きが測定点S2と測定点S3を繋いだ直線の傾きよりも小さい条件、あるいは等しい条件を示している。この条件下では、図23(a)に示すように、測定点S1〜S4について測定値を得ることができたときに、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置の推定値を中心に、測定点S1と測定点S2、および測定点S3と測定点S4がそれぞれほぼ対称な位置に配置されている。
そのため、測定点S1〜S4についての測定値IS1〜IS4と位置XS1〜XS4を用いて演算することで、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を精度良く求めることができる。
また、数6の式を満たす条件下では、図24に示すように、測定点S1〜S5について測定値を得ることができたときに、同様に、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置の推定値を中心に、測定点S1と測定点S2、および測定点S3と測定点S4がそれぞれほぼ対称な位置に配置されている。
そのため、この場合には、測定点S1〜S5のうち測定点S5を演算対象から外して、測定点S1〜S4についての測定値IS1〜IS4と位置XS1〜XS4を用いて演算することで、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を精度良く求めることができる。
なお、数5の式を満たす場合において測定点S1〜S4について測定値を得ることができたときは、測定点S4も演算対象に入れて、測定点S1〜S4における測定値IS1〜IS4と位置XS1〜XS4より、前記の数3の式と前記の数4の式を用いて第1例で説明した演算方法で、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を求める。
また、測定点S1〜S3について測定値を得ることができたときは、数5の式を満たすか数6の式を満たすかに関わらず、測定点S3も演算対象に入れて、測定点S1〜S3における測定値IS1〜IS3と位置XS1〜XS3より、前記の数3の式と前記の数4の式を用いて第1例で説明した演算方法で、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置を求める。
また、測定点S1,S2についてのみ測定値を得ることができた場合には、XS1を液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置とする。
このように、複数の測定点のうち演算対象とする測定点を適宜選択することにより、補間関数の演算に使用される測定点を出来るだけ対称に配置された測定点に最適化することにより、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置の推定値を求める演算において精度を向上させることができる。
以上のように、データ処理方法の第2例では、測定値の大きい上位の複数の測定点について、その測定値の大きさと位置の関係から、演算対象とする測定点の最適化と、演算に使用する補間関数の次数を選択することにより、演算の精度を向上させる事が出来る。
なお、実施例7の液滴測定装置7の構成と実施例1〜4の液滴測定装置1〜4の構成を組み合わせた構成も考えられる。
また、実施例7においては、液滴の位置の測定方法に関して具体的なデータ処理方法を説明するにあたり、レーザ光を用いた光学手段を用いて光センサにより液滴を検出して液滴の特性を測定する装置を例示したが、実施例7で説明したデータ処理方法は、装置としてこれに限定されることなく、例えば、電極間に液滴が付着したときの両電極間の静電容量を検出して液滴を検出する検出手段を用いて液滴を検出し液滴の特性を測定する装置などにおいても適用可能である。
実施例7によれば、印字ヘッド160と光学系の相対的な位置を変更しながら、各位置においてフォトダイオード60により液滴の通過による光量減少量を検出し、各位置において検出された光量減少量から液滴の位置を演算することができる。
また、測定対象のノズルに対し、少ない測定点数で測定し、最小二乗法により係数を求めた補間関数を用いて液滴の位置を求めるので、測定時間を大幅に短縮ができる。
また、補間関数を求める際に、液滴がレーザ光の最も光量が多い光軸を通過する位置の推定値(解があると推定される位置)を中心に、対称に配置された測定点を演算対象にするので、補間による液滴の位置の演算精度を向上させることができる。
〔インクジェット記録装置の構成〕
次に、上述した液滴測定装置(1〜7)の具体的な適用例としてのインクジェット記録装置について説明する。本適用例の場合、上述した液滴測定装置(1〜7)は後述する印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yに設置されるものとする。なお、上述した液滴測定装置(1〜7)は本適用例以外にも、インクジェット記録装置とは別個の独立した装置として、インクジェット記録システムの一つの構成装置としての適用例も考えられる。
図25は、インクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数の印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介して印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yと連通されている。
また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図25では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図25のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図25に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図30中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図25上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図25の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの被記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図26参照)。上述したように、各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yには、インク(液滴)の体積や速度や位置を検出するための検出手段や、検出のためにレーザ光を所定の形状に形成するための光学手段などを備えた、液滴測定装置(1〜6)が設置されている。
印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれの印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型の印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図25に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部124には、受光面に複数の受光素子(光電変換素子)が2次元配列されてなるCCDエリアセンサを好適に用いることができる。エリアセンサは、少なくとも各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yによるインク吐出幅(画像記録幅)の全域を撮像できる撮像範囲を有しているものとする。
また、エリアセンサに代えてラインセンサを用いることも可能である。この場合、ラインセンサは、少なくとも各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Y
によるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列(光電変換素子列)を有する構成が好ましい。各色の印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。
〔印字ヘッドユニットの構造〕
次に、印字ヘッドユニットの構造について説明する。色別の各印字ヘッドユニット112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、これらを代表して符号150によって印字ヘッドユニットを示すものとする。
印字ヘッドユニット150は、インクを吐出する吐出手段として印字ヘッド160を有している。図27(a)は印字ヘッド160の構造例を示す平面透視図であり、図27(b)はその一部の拡大図である。また、図27(c)は印字ヘッドユニット150の他の構造例を示す平面透視図、図28は1つの液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図27(a)中の28−28線に沿う断面図)である。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド160におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド160は、図27(a),(b)に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対
応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図27(a)の構成に代えて、図27(c)に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図27(a),(b)参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口である供給口154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
インク室ユニット153は、供給口154、圧力室152、ノズル151、加圧板156、個別電極157、アクチュエータ158などから構成される。そして、複数のインク室ユニット153の各圧力室152は共通流路155に連通する。図28に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンクと連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部の面(図28において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
上述した構造を有するインク室ユニット153を図29に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチDで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはD× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図29に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13 、151-14 、151-15 、151-16 を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26 を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36 を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16 を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔制御系の説明〕
図30は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能するインターフェース部(画像入力部)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データをヘッドドライバ184に供給して印字ヘッドユニット150の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図30において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ174に記憶される。
プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。この色別ドットデータは、印字ヘッドユニット150のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じて印字ヘッドユニット150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
こうして、ヘッドドライバ184から出力された駆動信号が印字ヘッドユニット150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期して印字ヘッドユニット150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の記録量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図25で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180及びシステムコントローラ172に提供する。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいて印字ヘッドユニット150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
以上、本発明の液滴測定装置および液滴測定方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
1〜7…液滴測定装置、10…レーザ光源、12…コリメータレンズ、14…シリンドリカルレンズ、16…球面レンズ、18…スリット、20…フォトダイオード、22…液滴特性演算手段