JP4974140B2 - リパーゼ阻害剤及びそれを用いた飲食品 - Google Patents

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Description

本発明は、食事由来の脂質の吸収を阻害することによる体脂肪の上昇抑制、ひいては脂肪の蓄積防止に有効であるリパーゼ阻害剤及びそれを用いた飲食品に関するものである。
わが国では、1960年代より、心疾患(例えば心筋梗塞)、脳血管疾患(例えば脳梗塞や脳卒中)が、日本人の死因ワースト3に常にランクされており、その割合は30%を超える。すなわち、これらの疾患は、心臓又は脳内の血管内で血栓が生じた結果、血管が閉塞して血流が悪化、血栓が生じた先の組織に酸素が送られなくなることに起因する。健康な人であれば、血栓は生じないよう体内で維持されている。しかし、運動不足、脂肪分過多の食生活といった生活習慣である場合は、血液中の中性脂肪またはコレステロールが過剰に存在し、蓄積する高脂血症を引き起こす。この結果、血液の粘性が上がり、かつ、血管壁に付着した脂肪分により血管が細く又脆くなるため、血流悪化や血管壁の脆弱化が生じる。
そこで、血液中の中性脂肪や、総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(以下、LDLコレステロールという)を低下させ、高密度リポタンパク質コレステロール(以下、HDLコレステロールという)を増やすものとして、ブドウ種子の抽出物が知られている。
一般に、上記中性脂肪等を低下させる要因として、リパーゼが阻害されることにより、腸での吸収が妨げられる、もしくは小腸粘膜において中性脂肪(トリグリセリド)に再合成するのが妨げられることが考えられる。しかしながら、ブドウ種子が中性脂肪等を低下させる作用機序は明らかではない。
また、近年、各社では、食事由来の脂肪が体内に吸収されるのを抑制する目的で、消化吸収酵素である膵リパーゼ阻害成分の研究が進められている。具体的には、ドッカツ、リョウキョウ、ビンロウシ、ヨウバイヒ、サンペンズおよびケツメイシよりなる群から選択される一種以上の生薬の抽出エキス(例えば、特許文献1参照。)、ベルゲニン(例えば、特許文献2参照。)、エピガロカテキンガレート(例えば、特許文献3参照。)、主成分がプロシアニジンであるタマリンド種皮抽出物(例えば、特許文献4参照。)等が提案されている。
しかしながら、上記成分は、原料が安価に入手できないことや、少量では効果が得られず多量摂取しなければならないこと、更には、風味が悪く連用には適さないという問題点があり、改良の余地があった。
一方で、本発明者らは、甘栗の製造工程中に発生する廃棄物である栗の鬼皮及び渋皮の利用用途について、抗酸化作用及びα−グルコシダーゼ阻害作用を有することを突き止めており、既に出願している(特許文献5、6参照。)。しかしながら、これら出願時には、栗皮抽出物にリパーゼを阻害する作用があることは見出されていなかった。
特許第2602387号公報 特開2004−91464号公報 特開平9−291039号公報 特開平3−228664号公報 特開2004−189956号公報 特願2004−179010号
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、一次利用後の廃棄物からでも得ることができ、強力なリパーゼ阻害活性を有し、風味が良好で、連用摂取しやすく、特に水溶性の場合には様々な剤形に応用可能な新規なリパーゼ阻害剤及びそれを用いた飲食品を提供するにある。
本発明は、栗皮抽出物を含有することを特徴とするリパーゼ阻害剤により上記目的を達成する。
好ましくは、栗皮抽出物が、焼成栗皮の抽出物である。更に好ましくは、栗皮抽出物が、親水性溶媒を含有する抽出溶媒により抽出された抽出物である。また、栗皮抽出物が、栗皮由来のタンニンを含有することがより好ましい。更に好ましくは、栗皮抽出物が、栗皮由来のプロアントシアニジンを含有する。
また、上記リパーゼ阻害剤は、飲食品に含有させてもよく、その飲食品に、脂肪の蓄積を防止する旨を表示してもよい。
すなわち、本発明者らは、脂肪の吸収阻害のアプローチの中でも、腸でリパーゼにより脂肪の分解を阻害することで、脂肪の吸収を防止しうる新たな膵リパーゼ阻害剤を得るため鋭意研究した。
そこで、従来、リパーゼ阻害効果を有することが知られているプロアントシアニジンに着目し、一次利用後の廃棄物等をリサイクルでき、強力なリパーゼ阻害活性を有し、かつ飲食品に添加しても飲食品本来の風味に対する影響の少ない各種飲食品原料について探索をした。
その結果、驚くべきことに、各種栗製品の製造の際に廃棄物として大量廃棄されてきた栗皮、特に鬼皮と渋皮を用いた抽出物が、リパーゼ阻害作用を有することを今回初めて見出し、本発明に到達した。
本発明によれば、従来のリパーゼ阻害剤よりも、風味に癖がなく、継続しての連用摂取がしやすい。
また、強力なリパーゼ阻害作用が得られるため、他のリパーゼ阻害剤を併用する必要がなく、他のリパーゼ阻害剤から生じる風味劣化を防止し、バリエーション豊富な風味展開が可能である。
更には、本発明のリパーゼ阻害剤の形態や、これを用いた飲食品の形態等を限定しない為、食事と共に摂取可能で、汎用性が高い。
また、本発明のリパーゼ阻害剤は、特に水溶性とした場合には、これを用いた飲食品への混合及び溶解が容易で、飲食品への応用性が高い。
また、甘栗や栗甘露煮、マロングラッセ等の栗菓子を製造する際に大量廃棄されていた栗の鬼皮及び渋皮を有効利用できるので、原料を特段に栽培する必要がなく、安価で、安定した原料供給が可能であり、しかも廃棄物の排出量の低減に役立ち、地球環境への影響を配慮したものである。
更には、栗皮を用いることにより、煩雑な工程を設けることなく、抽出工程のみでもリパーゼ阻害作用を有する抽出物を得ることができるので、短時間で効率良く簡単にリパーゼ阻害剤を得ることができる。
また、本発明のリパーゼ阻害効果により、血液中の中性脂肪や、総コレステロール、LDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを増やし、高脂血症を予防・改善させたり、フケ防止に効果がある可能性がある。
本発明を詳しく説明する。
まず、本発明のリパーゼ阻害剤とは、トリグリセリドを脂肪酸に分解する酵素を阻害するものであって、特に好適には、腸において働く膵リパーゼを阻害し、脂肪酸及びモノグリセリドの吸収を阻害する効果を有するので、血中脂肪を下げつつ体脂肪蓄積抑制効果を有する物質である。
本発明のリパーゼ阻害剤は、栗皮抽出物を含有する。
本発明の原料となる栗の品種や大きさは特に限定するものではなく、一般に用いられているものから適宜選択して用いればよい。例えば、栗の品種としては、日本栗、欧州栗、中国栗、アメリカ栗等が挙げられる。
本発明のリパーゼ阻害剤に用いる栗皮は、栗のイガを取り除いた種実のうち、果肉部分を除いた栗の渋皮、最外皮の栗の鬼皮を使用し、これらは単独もしくは組合せて適宜選択して用いればよい。
上記栗皮は、一次利用後の廃棄物であっても、果肉付きの栗から専用に剥皮してもよく、特に限定するものではないが、一次利用後の廃棄物を用いる方が、安価で、安定した原料供給が可能であると共に、廃棄物の排出量を低減させることができる点で好適である。
上記栗皮は、生のままでもよく、あるいは加熱(焼成、煮る、蒸す、茹でる等)、凍結、乾燥等の各種処理を単独もしくは複数組合せて施したものを用いてもよい。
特に、焼成処理を施した栗皮は、有効量を添加しても食品本来の風味を損なわず、好適に効果を発揮し、且つ、大量に添加した際には香ばしく美味な風味を付与することができるため、コーヒー及び麦茶等の焙煎系飲食品に好適に用いられ、更には好ましい琥珀色の色調を付与する点で好適である。
焼成処理を施した栗皮を使用する際には、栗皮の焼成条件は、例えば、剥き栗用生栗の場合、熱風ロースト等により250〜400℃、5〜10分程度が挙げられるが、必ずしも、この条件に限定されるものではない。
本発明の栗皮抽出物は、上記栗皮から適宜の抽出方法により抽出されたものを指す。好ましくは、タンニンが抽出されていることが、リパーゼ阻害活性の点で好適である。
上記タンニンとは、フェノール性水酸基を多数持ち、獣皮をなめす性質を示す植物由来化合物の総称であり、加水分解型タンニンと縮合型タンニンとに大別される。
加水分解型タンニンとは、一般に分子内のポリフェノール部分としてgalloyl基、hexahydroxydiphenoyl基及びその酸化体等があり、これらが分子内の糖または環状ポリアルコールとエステル結合した構造を持つ。
一方、縮合型タンニンは、カテキン等のフラバン類が、互いに分子間でC4−C8位又はC4−C6位等でC−C結合により結ばれて、2量体以上の重合体を形成したものであり、モノマーのフラボノイド類とは分類上異なる。縮合型タンニンの中でも、C−C結合の開裂によりアントシアニジンを生成するものを、プロアントシアニジンと呼ぶ。
本発明に係る栗皮抽出物には、上述のように、タンニンが含有されていることが好ましいが、該タンニンの中でも、特に縮合型タンニン、更に好ましくはプロアントシアニジンが含有されていることが、リパーゼ阻害活性の点で好適である。
本発明のリパーゼ阻害剤は、上記栗皮抽出物を有効成分として含有する。有効成分とは、目的とする機能が発揮される程度に該抽出物を含むことを示す。具体的には、リパーゼ阻害剤全体重量中、固形分換算で好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、栗皮抽出物を含有することが、より好ましくはリパーゼ阻害剤全体が栗皮抽出物のみからなることが、リパーゼ阻害活性を十分に得ることができる点で好適である。
本発明のリパーゼ阻害剤には、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択した副原料を含有してもよい。副原料としては、例えば糖質甘味料(果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、オリゴ糖、トレハロース、麦芽糖等の少糖類、粉末水あめ、デキストリン、糖アルコール等)、高甘味度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ステビア等)、でん粉等の多糖類、油脂類、乳製品、安定剤、乳化剤、香料、色素、酸味料、風味原料(卵、コーヒー、茶類、ココア、果汁果肉、ヨーグルト、酒類等)、蛋白質、食物繊維、ビタミン類、ミネラル等が挙げられる。これらは単独もしくは複数組合せて用いればよい。
また、本発明のリパーゼ阻害剤の形態は、特に限定するものではなく、例えば液状、粉体、顆粒状、ペースト状等種々の形態が挙げられる。この中でも、粉体もしくは顆粒状は、膵リパーゼ阻害活性効果が長期間安定に保たれる点で好ましい。
次に、一次利用後の廃棄物である栗皮を用いて本発明のリパーゼ阻害剤は、例えば次のようにして製造される。
すなわち、まず、栗皮を準備する。このとき、栗皮を細かく粉砕すると、効率的に抽出物を抽出できる点で好適である。なお、本発明のリパーゼ阻害剤を調製する段階で栗皮を焼成する場合は、焼成処理と粉砕処理とをどちらを先に行ってもよいが、焼成処理を施してから粉砕する方が効率性の点で好適である。また、栗皮を水で洗う、水に浸漬して濾別する等の処理を施して、予め不活性成分である親水性画分を除去するようにしてもよい。
他方で、栗皮を抽出する抽出溶媒を準備する。
上記抽出溶媒としては、親水性溶媒、多価アルコール、超臨界二酸化炭素等が挙げられ、単独もしくは複数組合せて用いればよいが、少なくとも親水性溶媒を含むことが抽出効率、飲食品への汎用性及び加工適性に優れた水溶性のリパーゼ阻害剤を得る点で好適である。
上記親水性溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
また、上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
これらは、単独または複数組合せて混合した水溶液や分散液でもよい。
この中でも、好ましくはエタノールを用いることが、更に好ましくは20〜80重量%エタノール水溶液を用いることが、リパーゼ阻害活性に優れ、水溶性のリパーゼ阻害剤を効率良く抽出し得る点で好適である。
次に、上記のように準備した栗皮と抽出溶媒とを用いて、栗皮抽出物を抽出する。
抽出方法は、還流操作、常温浸漬等が挙げられる。この中でも、好ましくは還流操作により抽出することが、短時間でリパーゼ阻害活性に優れた抽出物を効率良く得る点で好適である。
エタノールを用いて還流操作にて抽出する場合は、上記栗皮と抽出溶媒とを接触させ抽出させる際の抽出溶媒の温度を50℃以上に設定すると、リパーゼ阻害活性に更に優れた抽出物を効率良く得る点で好適である。
上記のように得られた抽出物は、必要に応じて更にカラム等を用いて精製処理を適宜組合せてもよい。好ましくは、抽出物固形分換算で、プロアントシアニジンが30重量%以上抽出されるような組合せとすることが、リパーゼ阻害活性に優れた抽出物を得る点で好適である。
次いで、上記抽出物に、必要に応じて副原料等を添加し、凍結乾燥、減圧濃縮、スプレードライ等の常法によって、適宜所望の形態とすることで、本発明のリパーゼ阻害剤が得られる。なお、粉体もしくは顆粒状に成形する際には、バインダーとしてデキストリン等を用いてもよい。
このようにして得られたリパーゼ阻害剤は、各種飲食品はもちろん、医薬品や一般工業品にも応用することが可能である。中でも、特に飲食品に用いると、手軽に美味しく喫食でき、効率良く簡単にリパーゼ阻害作用を得ることができる点で好適である。また、上記リパーゼ阻害剤が水溶性である場合には、特に応用する飲食品、医薬品や一般工業品の剤形を問わない点で好適である。
上記飲食品とは、上記リパーゼ阻害剤を含有できるものであれば、特に限定するものではなく、例えば、菓子類(チューインガム、キャンディ、タブレット、チョコレート、ゼリー等)や、冷菓や、麺類をはじめとする澱粉系食品や、粉末飲食品や、飲料(スープ、コーヒー、茶類、ジュース、ココア、アルコール飲料、ゼリー状ドリンク等)や、ベーカリー食品(パン、ビスケット等)や、油脂食品(マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド等)や、乳製品(バター、クリーム、チーズ等)等が挙げられる。
なお、本発明の飲食品への上記リパーゼ阻害剤の添加時期は、各飲食品の特性、目的に応じ、製造工程の段階で適宜選択して添加すればよい。
上記飲食品におけるリパーゼ阻害剤の含有量は、各飲食品の種類や目的等に応じて異なるが、栗皮抽出物固形分換算で、飲食品全体重量中、好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上であることが、リパーゼ阻害活性の点で望ましい。
本発明の飲食品には、上記リパーゼ阻害剤の他に、本来の目的を損なわない範囲で、上記副原料を適宜選択して含有してもよい。
次に、本発明の飲食品の一例として、飲料は例えば次のようにして製造される。すなわち、まず上述したようにリパーゼ阻害剤を調製しておく。他方で、麦茶等の茶葉を煮出して茶を作っておく。そして、この茶に、上記リパーゼ阻害剤及び必要に応じて副原料を添加混合すれば、本発明のリパーゼ阻害剤含有茶飲料が得られる。
このようにして得られたリパーゼ阻害剤含有茶飲料のみならず、本発明のリパーゼ阻害剤含有飲食品には、脂肪の蓄積を防止する旨の表示を設けてもよい。その表示例としては、「中性脂肪が気になる方へ」、「体脂肪が気になる方へ」、「体に脂肪がつきにくい」、「揚げ物などを多く摂りがちな方に」、「血中中性脂肪の上昇を抑える」、「脂肪の多い食事を摂りがちな人に」等が挙げられる。
以下、本発明を実施例を用いて例示する。
《リパーゼ阻害剤の調製》
<実施例1>(焼成栗皮未精製又は未分画)
中国河北省産の栗を熱風ローストで300℃7分間焼成した後、栗皮(鬼皮及び渋皮)を剥き、栗皮をコーヒーミルで粉砕した。粉砕した栗皮をフラスコに入れ、引き続き50
重量%エタノール水溶液を注ぎ、湯せんにて70℃4時間加熱した。この時、エタノールの蒸発を防止するために、フラスコ上部にリービッヒ冷却管を設け、それに冷水を流すことにより還流操作を行った。得られた抽出液を濾過し、濾液と残渣に分けた。上記濾液を濃縮後、凍結乾燥を施し、栗皮抽出物粉末(水溶性)を得た。
このようにして得られた栗皮抽出物粉末の総タンニン含有量は、該粉末全体重量中47重量%であった。また、総プロアントシアニジン量は、該粉末全体重量中44重量%であった(バニリン塩酸法によって算出)。
上記総タンニン含有量は、バニリン塩酸法、Wilsonらの方法((1990)J.Agric.Food.Chem38、1678−1683)、Inoueらの方法((1988)Analytical Biochemistry169、363−369)の合算により算出した。
<実施例2>(焼成栗皮残渣高分子画分)
栗皮粉砕物を50重量%エタノール水溶液で湯せんする前に、フラスコに栗皮粉砕物及び蒸留水(20℃)を入れ、一晩常温で静置した後、上清部分(親水性の不活性成分)を除去する他は、実施例1と同様に栗皮抽出物粉末(水溶性)を得た。
このようにして得られた栗皮抽出物粉末の総タンニン含有量は、該粉末全体重量中54重量%であった(実施例1と同様に測定)。また、総プロアントシアニジン含有量は、該粉末全体重量中51重量%であった(実施例1と同様に測定)。
<実施例3>(生栗皮未精製又は未分画)
中国河北省産の栗を生のまま栗皮(鬼皮及び渋皮)を剥き、この栗皮をコーヒーミルで粉砕した他は、実施例1と同様の方法にて生栗皮抽出物粉末(水溶性)を得た。
このようにして得られた生栗皮抽出物粉末の総タンニン含有量は、該粉末全体重量中68重量%であった(実施例1と同様に測定)。また、総プロアントシアニジン含有量は、該粉末全体重量中65重量%であった(実施例1と同様に測定)。
《膵リパーゼ阻害率の測定》
上記のようにして調製した実施例1〜3の栗皮抽出物粉末(水溶性)について、下記の方法で膵リパーゼ阻害率を測定した。
酵素としてブタ膵臓リパーゼ、基質として4-メチルウンベリフェロンのオレイン酸エステル(4-MUO)を用い、各実施例の栗皮抽出物粉末の溶液が、膵リパーゼの分解による4-メチルウンベリフェロン(4-MU)の生成をどの程度阻害するかを測定した。
(1)栗皮抽出物溶液の調製
実施例1〜3の栗皮抽出物粉末を、図1に記載の各濃度でMcIlvaine緩衝液に溶解させた。
(2)酵素液の調製
ブタ膵臓リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン(株)製)を13mg/LとなるようにMcIlvaine緩衝液に溶解させた。
(3)基質溶液の調製
0.1mMとなるように4−MUOを、テトラヒドロフランを5容量%含むMcIlvaine緩衝液に溶解させた。
(4)測定手順
1.表1に記載の各溶液を混合して得られた各酵素反応液を、それぞれ試験管に入れ、37℃で20分間反応させた。
2.上記1に、0.1規定のHClを1000μl加えてリパーゼの反応を停止させた。3.上記2に、2mlの0.1Mクエン酸三ナトリウムを加えてpHを4.3となるよう調整した。
4.上記3の各酵素反応液について、蛍光強度を測定し、生成した4-MUの量を蛍光光度計にて測定した(励起波長360nm、蛍光波長450nm)。
Figure 0004974140
(5)阻害率の算出
以上より求めた各栗皮抽出物粉末の蛍光強度を以下の式に代入し、阻害率を求めた。
阻害率(%)=(A−B)÷A×100
A=蛍光強度(コントロール)−蛍光強度(ベース)
B=蛍光強度(サンプル)−蛍光強度(ブランク)
<比較例1、2>
同時に、従来知られているリパーゼ阻害効果を持つ物質として、比較例1:エピガロカテキンガレート(EGCG)と、中性脂肪やコレステロールの低下効果を持つ物質として、比較例2:ブドウ種子抽出物(商品名 グラヴィノール、キッコーマン(株)製)のそれぞれについて、膵リパーゼ阻害率を算出した。測定方法は、実施例1の測定と同様の方法で行い、上記算出式にて阻害率を求めた。
上記のようにして求めた実施例1〜3及び比較例1〜2の阻害率を、図1に示す。
図1の結果から、実施例1〜3は、高い膵リパーゼ阻害活性を示し、実施例1と3は、ほぼ同じような傾向を示した。実施例の中でも、特に実施例2は、濃度が低い場合でも強力な効果を奏するものであった。すなわち、膵リパーゼ阻害率としては、好ましくは、栗皮を水洗いする等して、タンニンの含有率を高めた方が好適であることが理解できる。
また、実施例品は、比較例1品より膵リパーゼ阻害活性が明らかに高く、比較例2品と同等の膵リパーゼ阻害効果を持つことが分かった。
≪脂肪吸収抑制試験≫
上記のようにして調製した実施例2の栗皮抽出物粉末(水溶性)について、下記の方法で脂肪吸収抑制効果を確認した。
(1)試験動物
1週間予備飼育を行った8週齢の雄性Wistar系ラット(日本エスエルシー(株))を、1群8匹で試験に用いた。
(2)栗皮抽出物溶液の調製
上述の方法で調製した栗皮抽出物粉末を、200mg/mlの濃度になるように日本薬局方注射用水にて溶解した。また、対照群は上記栗皮抽出物粉末を含有しない日本薬局方注射用水を準備した。
(3)試験手順
17時間絶食させたラットに、オリーブオイル3.5ml/体重kgと上記(2)で調製した栗皮抽出物溶液を5ml/体重kgとなるように、ほぼ同時に強制経口投与した。
投与前及び投与後1、2、3、4、5、6時間にそれぞれ尾静脈から採血し、LタイプワコーTG・H(和光純薬工業(株)製)により、血中中性脂肪濃度を測定した。その結果を、図2に示す。
図2の結果から、対照群のラットはオリーブオイル投与後、血中の中性脂肪濃度が上昇
するのに対し、実施例2の栗皮抽出物溶液を投与した群では、ほぼ血中の中性脂肪濃度が有意に低値を推移した。
これは、本発明の栗皮抽出物がリパーゼの作用を阻害し、小腸における吸収を阻害しているためと考えられる。
〈実施例4、5〉
《飲料の調製》
常法に従い、PET入り麦茶を製造した。この麦茶を分割して、実施例1、2の各栗皮抽出物粉末を0.05重量%添加し、各実施例の栗皮抽出物粉末が含有された麦茶を調製した(実施例1の栗皮抽出物粉末含有麦茶を実施例4、実施例2品含有麦茶を実施例5とする)。
また、コントロールとして、栗皮抽出物粉末を添加しない麦茶を調製した。
上記実施例4、5及びコントロールの麦茶飲料を、専門パネラー20名が1週間、毎食後に200ml飲用した結果、コントロールに対して、実施例4、5品は風味的に遜色なく、むしろ深い琥珀色の色調となり、香ばしさが続く、薫り高い麦茶飲料で連用しやすいものであった。また、栗皮抽出物粉末は麦茶中での溶解性に優れ、均一に分散し、透明のPETボトルに充填しても沈殿がなく、外観的に良好であった。
各種リパーゼ阻害剤の所定濃度における膵リパーゼ阻害率を示した図 栗皮抽出物水溶液、日本薬局方注射用水をそれぞれ投与後のラットの血中中性脂肪濃度の経時変化を示した図

Claims (5)

  1. エタノールを含有する抽出溶媒により抽出された栗皮抽出物を含有することを特徴とするリパーゼ阻害剤。
  2. 栗皮抽出物が、焼成栗皮の抽出物である請求項1記載のリパーゼ阻害剤。
  3. 栗皮抽出物が、栗皮由来のタンニンを含有する請求項1又は2記載のリパーゼ阻害剤。
  4. 栗皮抽出物が、栗皮由来のプロアントシアニジンを含有する請求項1乃至の何れか1項に記載のリパーゼ阻害剤。
  5. 栗皮を、エタノールを含有する抽出溶媒により抽出する工程を備えることを特徴とする栗皮抽出物を含有するリパーゼ阻害剤の製造方法。

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